展開図から描き始めると、たいてい描き直しになる
板金部品の設計で最初にやりたくなるのは、展開図を描くことだ。曲げ線を引いて、伸び代を引いて、外形を出す。ところがこの順番で進めると、後で必ず戻される。
理由は単純で、展開長を出すのに必要な「内R」が、まだ決まっていないからだ。内Rは図面に書く数字ではあるけれど、実際に出来上がる内Rは曲げ工場が使うV金型の幅で決まる。V幅が変われば内Rが変わり、内Rが変われば伸び代が変わり、展開長が動く。
同じ部品でも、V10で曲げるかV16で曲げるかで展開長は変わる。t1.6のハット曲げ(4箇所)で試算すると、その差は1.8mm。板金の一般公差から見れば完全にアウトの量だ。
つまり板金・プレスの計算は、どれを先に決めるかで答えが変わる。この記事は、その順番を決めるための地図として書いた。各領域にブラウザだけで動く無料の計算ツールを紐づけてある。
なぜこの記事を書いたのか|「トン数」が4つの別の力を指している
現場で「この部品、何トンいる?」と聞かれたとき、答えは質問した人の立場で変わる。
| 誰が言う「トン数」か | 実際に計算しているもの | 支配する変数 |
|---|---|---|
| プレスブレーキのオペレータ | 曲げ加圧力 | 板厚² ÷ V幅 |
| 抜き型の設計者 | せん断力+ストリッパー力 | 切り口の周長 × 板厚 |
| 絞り型の設計者 | 絞り力 | 絞り比 × 直径 |
| 成形機のオペレータ | 型締力 | 投影面積 × キャビティ内圧 |
この4つは式も単位系も違う。板厚を倍にすると曲げ力は4倍になるが、打抜き力は2倍にしかならない。V幅を1.3倍にすると曲げ力は0.77倍に減るが、打抜き力はまったく変わらない。同じ「トン数」という言葉で会話しているのに、効く変数が違う。
もうひとつ厄介なのが**「内R」も3つある**ことだ。図面に指示する目標内R、V幅から自然に決まる内R、材質の割れ限界から決まる最小内R——この3つが一致していないと、図面どおりに作れない。
個々の計算ツールは、それぞれ自分の担当ぶんだけを正確に出す。けれどどのツールも「あなたが入力した内Rはどこから来たのか」を聞かない。そこがこの記事の担当だ。
板金・プレスの全体像|12の計算領域と、決める順番
| # | 領域 | 決めるもの | 対応ツール |
|---|---|---|---|
| 1 | 材料と板厚 | 材質・t・重量・剛性 | 鋼材重量・断面性能計算ツール / 材料の許容応力・安全率 逆引き |
| 2 | 金型(V幅) | V幅・自然内R・最小内R | プレス曲げ力カリキュレーター |
| 3 | 展開長 | 伸び代・ブランク寸法 | 板金曲げ展開長カリキュレーター |
| 4 | 曲げ力 | 必要加圧力・機械選定 | プレス曲げ力カリキュレーター |
| 5 | スプリングバック | 補正パンチ角・割れ判定 | スプリングバック予測シミュレーター |
| 6 | 抜き加工 | クリアランス・せん断力 | プレス金型クリアランス計算 / プレス打抜きトン数計算 |
| 7 | 絞り加工 | 絞り比・工程数・絞り力 | 深絞り加工LDR・工程数計算ツール |
| 8 | 抜き勾配 | 勾配角・寸法の食われ | 鋳造・鍛造抜き勾配計算機 |
| 9 | 樹脂成形 | 型締力・成形機トン数 | 射出成形 型締力計算シミュレーター |
| 10 | 後加工 | 回転数・送り・下穴径 | 切削条件計算シミュレーター / タップ下穴径計算ツール |
| 11 | 図面の指示 | 公差・表面粗さ・コスト | 公差積み上げシミュレーター / 表面粗さ換算ブリッジ |
| 12 | 後工程 | めっき・溶接・接合 | 電解めっき膜厚計算シミュレーター / 隅肉溶接 必要脚長 設計計算 |
決める順序
① 材料と板厚を決める(t が以降すべての式に入る)
↓ t から
② V幅を決める(V = 6t〜8t)→ 自然内R = V/6 が確定
↓ 内Rが確定してはじめて
③ 展開長が出せる ④ 曲げ力が出せる
↓ 曲げ力が機械の能力を超えたら②へ戻る
⑤ スプリングバック補正 → 内Rが変わるなら③へ戻る
↓ 曲げが成立したら
⑥⑦ 抜き・絞りの型を設計(ここは板厚と周長で決まり、V幅とは無関係)
↓
⑧〜⑫ 勾配・成形・後加工・公差・表面処理
②で止まらずに③へ進んでしまうのが、いちばんよくある事故だ。V幅が決まる前の展開長は、仮の数字でしかない。
①材料と板厚|このあとの式のほとんどで t² が効く
板厚は、単に「強度が足りるか」だけの話ではない。板金・プレスの各式で板厚がどう効くかを並べると、影響の大きさがまったく違う。
| 量 | 板厚の効き方 | t1.6 → t2.3 でどうなるか |
|---|---|---|
| 曲げ加圧力 | t² に比例 | 2.07倍 |
| 打抜き力 | t に比例 | 1.44倍 |
| 推奨V幅 | t に比例 | 1.44倍(→曲げ力は結局1.44倍) |
| 板の曲げ剛性 | t³ に比例 | 2.97倍 |
| 重量・材料費 | t に比例 | 1.44倍 |
曲げ加圧力だけが t² で効くのに、推奨V幅も t に比例して広がるので、実務では板厚を上げても曲げ力はおおむね t 比例で増える。一方で剛性は t³ で伸びる。だから「たわみが足りない」という問題は、リブを立てるより板厚を1ランク上げるほうが効くことが多い。
板の重量・断面性能は鋼材重量・断面性能計算ツール、平板としてのたわみは平板たわみ・応力計算、材質ごとの許容応力の根拠は材料の許容応力・安全率 逆引きで確認できる。
板金でよく使う材料の位置づけは次のとおり。
| 材質 | 引張強さの目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| SPCC(冷延鋼板) | 280〜340 MPa | 標準。曲げも抜きも素直 |
| SPCD/SPCE | 270〜290 MPa | 深絞り用。絞り比を稼ぎたいとき |
| SECC(電気亜鉛めっき鋼板) | SPCC同等 | 曲げ性能は同じ。めっきが曲げ外側で割れることがある |
| SUS304 | 520 MPa | 曲げ力が約1.9倍。スプリングバックも大きい |
| A5052 | 230 MPa | 曲げ力は小さいがヤング率が鋼の1/3で戻りが大きい |
JIS G 3141(みがき特殊帯鋼・冷間圧延鋼板)の材質記号は、末尾のSD・SB・SEで絞り性能の等級が分かれている。図面に「SPCC」とだけ書いて深絞り部品を発注すると、割れて戻ってくる。
②金型のV幅|内Rも展開長もトン数も、ここから派生する
エアベンド(V曲げ)では、パンチが板をV溝に押し込む。このとき出来上がる内Rは、パンチ先端のRではなくV溝の幅でほぼ決まる。現場の経験則は次の2本だ。
推奨V幅 V = 板厚 × 6 〜 板厚 × 8
自然内R R ≒ V ÷ 6
t1.6なら V = 9.6〜12.8mm。標準のV型はV10かV12なので、実際に使われるのはこのどちらか。すると自然内Rは V10で1.67mm、V12で2.00mm になる。
ここに3つ目の制約が入る。材質ごとの最小曲げ半径——これを下回ると外側が割れる。
| 材質 | 最小内R | t1.6での値 | V10(自然内R 1.67)で曲がるか |
|---|---|---|---|
| 鉄系(SPCC・SECC) | 板厚 × 1.0 | 1.6 mm | ○ ぎりぎり成立 |
| SUS304・SUS430 | 板厚 × 1.5 | 2.4 mm | ✗ 割れる。V16以上が必要 |
| A5052・A5083 | 板厚 × 0.8 | 1.28 mm | ○ 余裕あり |
SUS t1.6をV10で曲げると割れる。最小内R 2.4mmを満たすV幅は 2.4×6 = 14.4mm 以上、つまりV16になる。ここでV幅が上がると、③の展開長も④の曲げ力も全部変わる。
推奨V幅と材質別の最小内Rはプレス曲げ力カリキュレーターが板厚と材質から同時に表示する。曲げ力を見るためのツールだが、実際にはこの「V幅と内Rの目安」を先に読むために使うのがおすすめだ。
図面に書く内Rは、この3つのどれか
- 目標内R — 設計者が図面に指示する値
- 自然内R — V幅から決まる、実際に出来上がる値
- 最小内R — 材質と板厚で決まる、割れない下限
3つが一致していない図面は、そのままでは作れない。とくに「R0.5」のような小さい値を指示すると、t1.6の鉄でも最小内R 1.6mmを下回るので、曲げではなく別工法(ヘミング・コイニング・切削)になり、単価が跳ね上がる。図面を出す前にこの3つを突き合わせておくだけで、見積もり段階の差し戻しが減る。
③展開長|伸び代は「実際に使うV幅」の関数
内Rが決まってはじめて展開長が計算できる。中立面基準法では、曲げ1箇所あたりの伸び量をこう置く。
伸び量 = (内R + 板厚 × λ) × 2π × 曲げ角度 / 360
λ(中立面の位置係数): SPCC 0.38 / SUS304 0.40 / A5052 0.35
外寸基準で描いた図面から展開長を出すには、各辺から (板厚 + 内R) を引いた「直線部」の合計に、この伸び量を足す。端の辺は1回、中間の辺は両端で2回引く。
V幅を変えると展開長がどれだけ動くか
SPCC t1.6、外寸50×30のL曲げ90°で計算すると次のようになる。
| V幅 | 自然内R | 直線部合計 | 伸び量 | 展開長 | 外寸和80からの控除 |
|---|---|---|---|---|---|
| V9.6 | 1.60 mm | 73.60 mm | 3.47 mm | 77.07 mm | 2.93 mm |
| V12 | 2.00 mm | 72.80 mm | 4.10 mm | 76.90 mm | 3.10 mm |
| V16 | 2.67 mm | 71.47 mm | 5.14 mm | 76.61 mm | 3.39 mm |
L曲げ1箇所なら差は0.46mm。ところが曲げが増えると効いてくる。外寸20-30-40-30-20のハット曲げ(4箇所)で同じ比較をすると、
| V幅 | 展開長 | 差 |
|---|---|---|
| V9.6 | 128.27 mm | 基準 |
| V12 | 127.59 mm | −0.69 mm |
| V16 | 126.44 mm | −1.83 mm |
曲げ箇所の数だけ差が積み上がる。板金の一般公差は寸法にもよるが ±0.3〜0.5mm程度なので、1.8mmは完全にアウト。曲げ加工を外注に出すなら、展開図ではなく完成図(曲げ寸法と内R)を渡して、展開は加工側でやってもらうほうが確実だ。
L曲げ・Z曲げ・コの字・ハットの4パターンに対応した板金曲げ展開長カリキュレーターで、辺の長さと内Rを入れれば直線部と伸び量が分解表示される。内Rの欄には、②で決めたV幅から出した自然内Rを入れるのがポイントになる。
④曲げ力|V幅に反比例するので、板厚だけでは決まらない
V曲げの加圧力は次式で見積もる。
F [kN] = C × σB × L × t² / V / 1000
C(曲げ方式係数): エアベンド 1.33 / ワイピング 0.67 / ボトミング 2.0
σB: 引張強さ [MPa]、L: 曲げ長さ [mm]、t: 板厚 [mm]、V: V幅 [mm]
t² が分子、V が分母。この2つが同時に動くのが厄介なところで、板厚を上げると推奨V幅も上がるため、力の増え方は t² ほど急ではない。
SPCC、曲げ長さ1000mm、t1.6で比較すると次のとおり。
| 条件 | V幅 | 加圧力 | トン数 |
|---|---|---|---|
| SPCC エアベンド | V9.6 | 99.31 kN | 10.13 tonf |
| SPCC エアベンド | V12 | 79.45 kN | 8.10 tonf |
| SPCC エアベンド | V16 | 59.58 kN | 6.08 tonf |
| SPCC ボトミング | V12 | 119.47 kN | 12.18 tonf |
| SUS304 エアベンド | V12 | 147.54 kN | 15.04 tonf |
| SUS304 エアベンド | V16 | 110.66 kN | 11.28 tonf |
読みどころが2つある。
1つ目。V幅を広げれば力は下がる。V9.6→V16で加圧力は4割減る。機械の能力が足りないときの最初の手はV幅を広げることで、板厚を落とすことではない。ただしV幅を広げると内Rが大きくなり、③の展開長が動き、最小フランジ長(曲げ線から端までの最短距離、目安でV幅の0.7倍程度)も長くなる。タダではない。
2つ目。材質を変えたときの倍率は、単純な引張強さ比にならない。SPCC→SUS304は引張強さで1.86倍だが、SUSは最小内Rの制約でV12が使えずV16になる。結果として実際の加圧力は 79.45→110.66 kN、つまり1.39倍に収まる。②と④を往復しないとこの数字は出てこない。
プレス曲げ力カリキュレーターは材質プリセット(SPCC・SUS304・SUS430・A5052・A5083・C2801)と3つの曲げ方式を持っていて、kNとtonfの両方、および1mあたりの荷重を同時に出す。1mあたりの荷重はプレスブレーキのラム許容荷重分布と突き合わせる数字なので、長尺の曲げでは総トン数だけを見ていると足元をすくわれる。
⑤スプリングバック|補正すると②と③に戻ってくる
曲げた板は、離すと少し戻る。戻り量は材料の降伏応力とヤング率の比で決まり、SAEの近似式では無次元量 x を使ってこう書く。
x = σy × R / (E × t)
K = 1 − 3x + 4x³ (K: 角度の残存率)
実際の角度 θ1 = K × 目標角度
補正パンチ角 = 目標角度 + (目標角度 − θ1)
目標90°で計算した結果を並べる。
| 材質 | 板厚 | 内R | R/t | 戻り Δθ | 補正パンチ角 |
|---|---|---|---|---|---|
| SPCC | 1.0 | 2.0 | 2.00 | 0.55° | 90.55° |
| SUS304 | 1.6 | 3.0 | 1.88 | 5.01° | 95.01° |
| A5052 | 2.0 | 4.0 | 2.00 | 1.66° | 91.66° |
| HT590(590MPa級) | 1.2 | 3.0 | 2.50 | 1.38° | 91.38° |
SPCCの0.55°に対して、SUS304は5.01°。ステンレスは降伏後の加工硬化が大きく、単純な σy/E だけでは説明しきれないぶんの補正が入る。アルミは降伏応力が鋼と同程度なのにヤング率が1/3しかないため、鋼の3倍戻る。
さらに R/t にも意味がある。R/t が 1.0 を下回ると割れ、1.5 未満は注意領域——②で見た最小内Rの制約を、こちらは無次元比で見ている。
ここで戻ってくるのが順番の話だ。スプリングバックを見込んでパンチ角を深くすると、曲げ底での実際の内Rが図面値より小さくなる。内Rが変われば③の展開長が変わる。だから⑤で大きな補正が必要になった時点で、③をやり直すことになる。
スプリングバック予測シミュレーターは材質・板厚・内R・目標角度から補正パンチ角とR/t判定を同時に出す。SUS304・A5052・HT590のプリセットが入っているので、「この材料に変えたら戻りがどれだけ増えるか」を見積もり段階で確認できる。
⑥抜き加工|クリアランスが切り口・バリ・力を同時に決める
穴を抜く・外形を抜く工程では、パンチとダイの隙間(クリアランス)がすべてを決める。板厚に対する比率で指定するのが普通だ。
| 材質 | 片側クリアランス率 | t1.6での片側クリアランス |
|---|---|---|
| SPCC | 5〜8 % | 0.080〜0.128 mm(中央 0.104 mm) |
| SPCD(絞り用) | 4〜7 % | 0.064〜0.112 mm |
| SUS304 | 6〜10 % | 0.096〜0.160 mm |
| A5052 | 3〜6 % | 0.048〜0.096 mm |
| C1100(銅) | 3〜5 % | 0.048〜0.080 mm |
クリアランスを外すとどうなるか。
- 狭すぎる — せん断面が長くなり切り口はきれいだが、抜き力が増え、型の摩耗が急速に進む。二次せん断が起きて微細なバリが出ることもある
- 広すぎる — だれ(ロールオーバー)が大きくなり、破断面が斜めになり、返り側に大きなバリが立つ。寸法も狙いから外れる
「バリが出るから面取りを追加する」という対処は、たいていクリアランスの問題を後工程で拭いている。プレス金型クリアランス計算なら材質と板厚から推奨レンジと中央値、周長、せん断力、ストリッパー力、必要プレス能力までまとめて出る。
同じ穴なのに、2つのツールで力が違う
SPCC t1.6にφ20の丸穴を抜く場合(周長 π×20 = 62.83mm)を、2つのツールで計算すると数字が食い違う。
| ツール | せん断抵抗の取り方 | せん断力 |
|---|---|---|
| プレス打抜きトン数計算 | 材料のせん断強さの実測値(SPCC 310 MPa) | 31.16 kN |
| プレス金型クリアランス計算 | 引張強さの0.8倍(0.8 × 340 = 272 MPa) | 27.34 kN |
差は14%。どちらも間違いではなく、「せん断抵抗をどう見積もるか」の流儀が2つあるだけだ。ハンドブックによっては 0.7σB、0.8σB、実測τ のいずれかを採っている。
実務上の結論は、この程度の幅は安全率で吸収する前提で機械を選ぶということ。プレス打抜きトン数計算は安全率1.3を掛けて必要能力を切り上げ、上の例では5トンを返す。プレス金型クリアランス計算はストリッパー力(せん断力の5%)を足したうえで1.2倍し、3.51トンと返す。ぎりぎりの能力の機械を選ばないという判断が、この14%の存在意義になる。
なおプレス打抜きトン数計算は丸・角・長円・異形の4形状に対応していて、打抜き・曲げ・絞りの3モードを切り替えられる。1台のプレスで工程を集約したいときの能力確認に使える。
⑦絞り加工|LDRを超えたら工程を割る
深絞りでは、ブランク径 D0 と絞り径 d の比を絞り比 β = D0 / d と呼ぶ。材料ごとに1回の絞りで到達できる限界(限界絞り比・LDR)があり、これを超えたら複数工程に分ける。
| 材質 | 引張強さ | LDR |
|---|---|---|
| SPCD(深絞り用鋼板) | 270 MPa | 2.3 |
| SPCE(深絞り用冷延鋼) | 290 MPa | 2.2 |
| SPCC(一般冷延鋼) | 320 MPa | 2.0 |
| A1100(純アルミ) | 110 MPa | 2.1 |
| A5052 | 230 MPa | 1.95 |
SPCCとSPCDの差は0.3しかないように見えるが、これは面積比で1.32倍——1工程で作れる深さが3割変わる。深絞り部品で材質欄に「SPCC」と書くのがもったいない理由がここにある。
1工程で済むか、4工程になるか
| 条件 | 絞り比β | 判定 | 絞り力 |
|---|---|---|---|
| SPCD・D0 100 → d 60・t1.0・プレス油 | 1.67 | LDR 2.3以内 → 1工程 | 93.31 kN |
| SPCC・D0 100 → d 30・t1.0・プレス油 | 3.33 | LDR 2.0超 → 4工程 | 110.58 kN |
4工程になるほうは、各段の絞り係数が 0.50 → 0.78 → 0.81 → 0.84 と緩んでいき、直径が 50.0 → 39.0 → 31.6 → 26.5mm と縮む。3段目でまだ31.6mmなので目標の30mmに届かず、4段目が必要になる。型が4組、工程が4つ。同じ部品でも絞り比を1段下げる設計変更ができれば、型費が丸ごと1組減る。
しわ(フランジ部の座屈)にも目安があって、板厚 / ブランク径 が 0.005 を下回るとしわ押さえが必須になる。上の例では 1.0/100 = 0.01 なので余裕がある。
潤滑も効く。深絞り加工LDR・工程数計算ツールではプレス油(η=1.1)・固体潤滑(1.2)・乾式(1.3)を選べて、乾式にすると同じ形状で絞り力が110.58→130.69 kNに増える。潤滑を省くと2割増しの機械が要るという話になる。
⑧抜き勾配|型から抜くための角度が寸法を食う
鋳造・鍛造・ダイカスト・射出成形では、製品を型から抜くための勾配(テーパ)が必要になる。この勾配は「付ける/付けない」の問題ではなく、付けたぶんだけ上面の寸法が小さくなるという寸法の問題だ。
高さ30mm、底面60mmの突起で計算すると次のようになる。
| 工法 | 推奨勾配 | 上面寸法 | 食われる量 |
|---|---|---|---|
| 射出成形(標準面) | 0.5° | 59.476 mm | 0.524 mm |
| ダイカスト | 1.0° | 58.953 mm | 1.047 mm |
| 砂型鋳造 | 2.0° | 57.905 mm | 2.095 mm |
| 射出成形(シボ加工面) | 2.0° | 57.905 mm | 2.095 mm |
最後の行が実務では効く。シボ(テクスチャ)を指示すると、推奨勾配が0.5°から2.0°に跳ね上がる。シボの谷が型に食い込むぶん、抜くのに追加の角度が要るからだ。意匠の指示が寸法を4倍食う——外観部品でここを見落とすと、公差の議論が最初からやり直しになる。
鋳造・鍛造抜き勾配計算機は砂型・シェル・ダイカスト・ロストワックス・型鍛造・自由鍛造・射出成形の工法別に、形状(外側/内側/リブ/ボス)と高さから推奨・最小・最大の勾配を出し、上面寸法と寸法差、目標公差に対する合否まで判定する。JIS B 0403(鋳造品の寸法公差及び削り代方式)の引用も併記される。
内側形状の勾配は外側より大きく取るのが原則だ。冷えるとき製品は型の凸部(コア)を締め付ける方向に収縮するので、内側のほうが抜けにくい。
⑨樹脂に置き換えるなら|4つ目のトン数「型締力」
板金部品を樹脂に置き換える検討では、投影面積が支配変数になる。射出中のキャビティ内圧が型を開こうとするので、それに打ち勝つ型締力が要る。
型締力 [kN] = キャビティ内圧 [MPa] × 総投影面積 [cm²] / 10
総投影面積 = 1個あたりの投影面積 × キャビティ数
樹脂ごとのキャビティ内圧の目安は、PE・PS 30 MPa、PP・PVC 35、ABS・PA6・PBT 40、PA66・POM・PET・PMMA 45、PC 50。粘度が高い樹脂ほど内圧が高い。
投影面積100cm²・1個取り・安全率1.2で比べる。
| 樹脂 | 内圧 | 型締力 | 必要トン数 | 選定機 | 使用率 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ABS | 40 MPa | 400 kN | 48.95 t | 50t | 97.9 % | 型締力不足の恐れ |
| PC | 50 MPa | 500 kN | 61.18 t | 75t | 81.6 % | 適正(やや余裕少) |
ABSの行が示唆的で、計算値48.95トンは50トン機に「収まっている」のに、使用率97.9%で警告が出る。バリ(フラッシュ)は型締力が足りなくなった瞬間に出るので、公称能力ぎりぎりの運転はできない。50t機で流すつもりなら投影面積を減らすか、75t機を前提にする。
射出成形 型締力計算シミュレーターは樹脂12種のプリセットと30〜3500トンの標準機サイズ表を持っていて、必要トン数から機械を自動選定し使用率で4段階判定する。キャビティ数を増やしたときにどこで機械のランクが上がるかを見るのに向いている。
⑩後加工|穴・タップ・切削
板金部品でも、精度が要る穴やタップは後加工になる。
切削条件
回転数 n [min⁻¹] = 1000 × vc / (π × D)
送り速度 [mm/min] = n × 1回転あたり送り × 刃数
所要動力 [kW] = vc × 切込み × 送り × 比切削抵抗 kc / (60000 × 効率)
φ50・S45C・送り0.2mm/rev・切込み2mmの旋削で試算すると、推奨切削速度の中央値115 m/minに対して732 min⁻¹・送り146.4 mm/min・動力2.01 kW、加工長100mmで0.68分。同じ条件でSUS304に変えると推奨切削速度が75 m/minに落ちて478 min⁻¹・送り95.5 mm/min・1.05分——加工時間が1.5倍になる。材質変更のコスト影響は、材料単価より加工時間のほうで効くことが多い。
切削条件計算シミュレーターは旋盤・フライス・ドリルの3モードで、材質5種の推奨切削速度レンジと比切削抵抗 kc を持っている。切削速度を空欄にすればレンジの中央値が自動で使われる。
タップの下穴
下穴径は、ねじ山のかかり率(引っかかり率)で決まる。
下穴径 = 呼び径 − 2H × (かかり率 / 100)
H = ピッチ × √3 / 2 (三角ねじの理論山高さ)
現場でよく使う 「下穴径 = 呼び径 − ピッチ」という暗算ルールは、かかり率57.7%に相当する。M5×0.8なら 5−0.8 = 4.2mm、計算式でかかり率60%とすると4.169mm。ほぼ一致する。
| ねじ | 暗算(D−P) | かかり率60% | 75% | 100% |
|---|---|---|---|---|
| M3×0.5 | 2.50 | 2.480 | 2.350 | 2.134 |
| M4×0.7 | 3.30 | 3.273 | 3.091 | 2.788 |
| M5×0.8 | 4.20 | 4.169 | 3.961 | 3.614 |
| M6×1.0 | 5.00 | 4.961 | 4.701 | 4.268 |
| M8×1.25 | 6.75 | 6.701 | 6.376 | 5.835 |
かかり率を上げるほど強度は増すが、タップの折損リスクとトルクが急増する。ステンレスや薄板では60〜65%に落とすのが定石だ。タップ下穴径計算ツールは呼び径とピッチからかかり率別の下穴径、推奨ドリル径、不完全ねじ部を含む下穴深さを出す。
穴のそばで曲げる/穴のそばに荷重が来る場合は、応力集中係数Kt計算で穴による応力の跳ね上がりを確認しておきたい。板金部品の疲労破壊は、たいてい穴か曲げ止まりのRから始まる。
⑪図面の指示|公差と表面性状が工程とコストを決める
ここまでの計算が全部合っていても、図面の指示が工程を跳ね上げることがある。
公差
板金の曲げは、曲げ1箇所ごとに角度と位置の誤差が乗る。曲げが3箇所ある部品の端から端までの寸法は、3箇所ぶんの誤差が積み上がる。公差積み上げシミュレーターはワーストケース法とRSS法の両方で累積公差を出し、干渉の可否を判定する。ばらつきの分布まで見たいなら公差解析シミュレーター(RSS+モンテカルロ+Cpk)でモンテカルロを回すほうが実態に近い。
公差の指示は直接コストになる。公差コストトレードオフ計算機は加工法別に「その公差を出すのに何倍のコストがかかるか」を比較する。公差を1ランク緩めるだけで工法が切削から板金に落ちる、という判断がこの表で見える。
表面粗さ
表面粗さ換算ブリッジは Ra・Rz・RzJIS・Rmax・▽記号を相互換算し、加工方法別の達成レンジを併記する。板金の切断面はガス切断でRa 12.5〜25、鋸切断で6.3〜25、フライスで0.8〜6.3。「Ra 1.6」と指示した時点で研削か旋削が必要になり、板金の切りっぱなしでは届かない。
⑫後工程|表面処理と接合
めっき・表面処理
板金部品はほぼ必ず表面処理が入る。膜厚は寸法に乗るので、はめあい部やねじ部では膜厚ぶんを見込む必要がある。
電解めっき膜厚計算シミュレーターは電流密度・時間・めっき種から理論膜厚と所要時間を出す。屋外用途で溶融亜鉛めっきと電気亜鉛めっきのどちらにするかは、亜鉛めっき膜厚比較で5方式の膜厚と期待寿命を並べて決められる。電気亜鉛めっき(SECC相当・数µm)と溶融亜鉛めっき(数十µm)では、寿命が一桁違う。
異種金属を組み合わせるならガルバニック腐食チェッカーで電位差を確認しておきたい。ステンレスのボルトでアルミ板を留める、という何気ない組み合わせが屋外で腐食を呼ぶ。
接合
板金の接合は、溶接・リベット・ねじ・スポットのいずれか。隅肉溶接で留めるなら隅肉溶接 必要脚長 設計計算で設計荷重から必要脚長を逆算できる。薄板に対して脚長を欲張ると母材が溶け落ちるので、必要値が板厚に対して大きすぎるときは継手形状を見直す合図になる。
リベットやピンで留めるならリベット・ピン継手 強度診断ツールが、せん断・支圧・母材引張の3モードを同時に判定する。薄板では支圧が先に効くので、リベット径を太くするより板厚か枚数で対処することになる。
金型そのものの材料を検討するときは、硬さ換算ツールでHRC⇔HV⇔HBを揃え、焼入れ硬さ予測シミュレーターで鋼種と冷却条件から到達硬さを見積もれる。打抜き型のパンチはHRC58〜62が目安で、これを下回ると摩耗が早い。
板金・プレス設計チェックリスト
- 板厚を決めたか。以降すべての式の起点。剛性が足りないなら t³ が効くので厚みが最短距離
- V幅を決めたか。V = 6t〜8t。ここが決まるまで展開長は仮の数字
- 内Rの3つ(目標/自然/最小)が一致しているか。SUSは最小内R 1.5t で鉄の1.5倍
- 展開長は「使うV幅の自然内R」で計算したか。曲げ箇所が多いほど差が積み上がる
- 曲げ力が機械の能力内か。1mあたり荷重もラムの許容分布と突き合わせたか
- スプリングバック補正で内Rが変わっていないか。変わったら展開長をやり直す
- クリアランスは材質別のレンジ内か。バリの相談は、たいていここが原因
- 絞り比がLDR以内か。超えるなら工程数=型の組数が増える
- 抜き勾配で食われる寸法を公差に織り込んだか。シボ指示で4倍になる
- 成形機の使用率が90%を超えていないか。公称能力に「収まっている」だけでは足りない
- 公差と表面粗さの指示が、想定した工法で出せる値か
- めっき膜厚をはめあい・ねじ部に見込んだか
豆知識|トン数・V幅8倍・バリの向き
「トン」はいまも現場語として生きている。SI単位ではプレスの能力はkNで表すのが正しいが、機械の呼称は「80トンプレス」のままだ。1 tonf = 9.80665 kN なので、kNを約9.8で割ればトンになる。設計計算はkN、機械の選定はトンという二重生活が続いているので、計算ツールが両方を併記するのはこの事情による。
V幅が板厚の6〜8倍なのはなぜか。V溝が狭すぎると、板がV溝の肩に乗る角度が急になり、肩の位置で局所的な曲げが起きて割れる。逆に広すぎると板がV溝に落ち込みすぎて、狙った角度まで曲げるのにストロークが要り、内Rが大きくなりすぎる。6〜8倍は「肩で割れない」と「Rが大きくなりすぎない」の交点として経験的に定着した値だ。厚板(t6以上)では10倍以上を使うこともある。
バリは必ず「ダイ側」に出る。パンチが板に食い込み、ダイの刃先で破断が起きるので、返りはパンチが抜けていった方向——つまりダイ側に立つ。だから図面で「バリなきこと」と書く代わりに、「バリはA面側とすること」と指示するほうが実務的だ。組立で当たる面や手が触れる面をパンチ側に向ければ、面取り工程を丸ごと省ける。
打抜きの切り口は3層構造になっている。上から順に、だれ(ロールオーバー)、せん断面(光沢のある滑らかな面)、破断面(ざらついた面)、そしてバリ。クリアランスが適正なら、せん断面が板厚の1/3程度になる。切り口を見ればクリアランスの過不足が読めるので、抜き品が上がってきたら断面を確認する習慣が効く。
Tips|見積もりを取る前にできること
1. 展開図ではなく完成図を渡す。曲げ工場は自社の金型で展開をやり直す。展開図を渡すと「この展開長はどのV幅前提か」の確認が発生し、往復が増える。曲げ寸法・内R・板厚・材質が揃った完成図のほうが早い。
2. 曲げ箇所の内Rを全部そろえる。同じ部品で内Rが2種類あると、V金型を段取り替えすることになる。曲げが3箇所あって内Rが1種類なら1段取り、3種類なら3段取り。単品試作では段取り時間が加工時間より長いので、ここが単価に直結する。
3. 最小フランジ長を目安で確認する。V幅の0.7倍を下回るフランジは、V溝に落ちて曲がらない。t1.6でV12なら約8.4mm。図面を描く段階で「この耳、短すぎないか」を見るだけで差し戻しが減る。
4. 曲げ長さを分けられないか考える。加圧力は曲げ長さに正比例するので、1mを一度に曲げる代わりに500mmずつ2回に分ければ、必要トン数は半分になる。金型の分割やバックゲージの当て方で対応できる場合がある(V幅で調整する手は④で扱った)。
5. 曲げの内側に穴を置かない。曲げ線から穴までの距離が板厚の2〜3倍を切ると、曲げたときに穴が変形して長円になる。どうしても近い位置に穴が要るなら、曲げ後に後加工で開けるか、曲げ線に逃げのスリットを入れる。
よくある質問
展開長の計算に使うλ(K値)は、どこから持ってくればいいのか
厳密には曲げ工場ごと・金型ごとに違う。中立面の位置は内R/板厚比で動くうえ、パンチの押し込み量にも依存するからだ。だからアマダなど機械メーカーは自社の伸び値テーブルを持っていて、それが現場の正解になる。
板金曲げ展開長カリキュレーターは一般値としてSPCC 0.38、SUS304 0.40、A5052 0.35を持ち、カスタム入力もできる。実測できる環境なら、テストピースを1枚曲げて逆算するのがいちばん確実だ。曲げる前の長さと曲げた後の外寸から伸び量を逆算すれば、その工場のλが出る。量産前にこれをやっておくと、初品でのブランク修正がなくなる。
同じφ20の穴なのに、打抜き力が2つのツールで違うのはなぜか
せん断抵抗の見積もり方に流儀が2つあるためで、内訳と数字は本文⑥の表にまとめた。どちらもハンドブックに載っている取り方で、どちらかが間違っているわけではない。
実務でこの差が問題にならないのは、両ツールとも安全率を掛けたうえで必要能力を返すからだ。公称能力に対して2割の余裕を残して機械を選べば、流儀の違いは吸収される。逆に言えば、計算値が機械の公称能力ぎりぎりに収まったときは、流儀を確認するより先に1ランク上の機械を検討したほうが早い。
板厚を上げると曲げ力は t² で増えるのに、実際はそこまで増えない気がする
推奨V幅も板厚に比例して広がるからだ。V = 6t〜8t を守ると、式の t² / V は実質 t に比例する形になる。だから板厚を1.6→2.3にしても、V幅を10→14に広げていれば曲げ力の増加は約1.44倍に収まる。
t² が効くのは「V幅を変えずに板厚だけ上げた」場合。同じ金型で厚い板を曲げようとすると、力は2.07倍に跳ね上がり、しかも肩で割れやすくなる。段取り替えを嫌ってV幅を据え置くのが、この事故の典型的な入り口になる。
試作1個だけ作りたい。プレス型を作らずに済ませる方法はあるか
抜きはレーザー・タレパン、曲げはプレスブレーキの汎用金型(V型)で対応できる。型が必要になるのは、絞り・バーリング・特殊形状のときだけだ。
判断の目安は⑦の絞り比で、絞りが入る形状はどうしても型が要る。逆に「曲げと穴だけ」の部品なら、型費ゼロで単品が作れる。設計段階で絞りを避け、曲げと抜きの組み合わせに置き換えられないかを検討する価値がある——この置き換えが成立すると、初期費用が数十万円変わる。
なお樹脂への置き換えを考えるなら⑨の型締力が判断材料になるが、こちらは型費が板金の比ではない。数百個までは板金、数千個からは樹脂というのが大まかな分岐点になる。
入力した図面寸法や材質はサーバーに送られるのか
この記事で紹介しているツールはすべてブラウザ内で計算が完結していて、入力値も結果もサーバーに送信されない。開発中の製品の板厚・寸法・材質を入れても外部には出ない。
ページを離れると入力は消えるので、結果を残したいときは各ツールのコピー機能でテキストとして控えておくのが確実だ。
本文の数値をそのまま実務に使っていいのか
目安として使い、最終判断はメーカーの技術資料と加工先の実績で確認してほしい。とくに次の3つは幅が大きい。
- λ(伸び値) — 工場ごと・金型ごとに違う。実測で確定させるのが本筋
- クリアランス率 — 材料のロット・調質・型の摩耗状態で最適値が動く
- LDR — 潤滑・しわ押さえ圧・型のRで変わる。表の値は理想条件に近い
本文の計算例は、各ツールの実装と同じ式・同じ定数で算出している。だからツールに同じ値を入れれば同じ答えが出るが、それが現場の答えと一致する保証はどこにもない。試作1個で検証してから量産に進むのが、結局いちばん早い。
まとめ|順番が決まれば、計算は一本道になる
板金・プレスの計算が難しく感じるのは、式が難しいからではなく、入力すべき値が前工程の決定に依存しているからだ。
押さえるのは3つ。
- V幅が決まるまで展開長は出せない。内Rには目標・自然・最小の3つがあり、一致していない図面は作れない
- 「トン数」は4つの別の力を指す。曲げは t²/V、抜きは周長×t、絞りは絞り比、成形は投影面積——効く変数が全部違う
- 戻りループがある。スプリングバック補正で内Rが動いたら展開長へ、曲げ力が能力を超えたらV幅へ戻る
ブラウザだけで一通り確認できる:
- 曲げ:プレス曲げ力カリキュレーター / 板金曲げ展開長カリキュレーター / スプリングバック予測シミュレーター
- 抜き・絞り:プレス金型クリアランス計算 / プレス打抜きトン数計算 / 深絞り加工LDR・工程数計算ツール
- 型・成形:鋳造・鍛造抜き勾配計算機 / 射出成形 型締力計算シミュレーター / 硬さ換算ツール / 焼入れ硬さ予測シミュレーター
- 材料・強度:鋼材重量・断面性能計算ツール / 材料の許容応力・安全率 逆引き / 平板たわみ・応力計算 / 応力集中係数Kt計算
- 後加工:切削条件計算シミュレーター / タップ下穴径計算ツール
- 図面:公差積み上げシミュレーター / 公差解析シミュレーター(RSS+モンテカルロ+Cpk) / 公差コストトレードオフ計算機 / 表面粗さ換算ブリッジ
- 後工程:電解めっき膜厚計算シミュレーター / 亜鉛めっき膜厚比較 / ガルバニック腐食チェッカー / 隅肉溶接 必要脚長 設計計算 / リベット・ピン継手 強度診断ツール
板そのものの断面計算は断面性能・強度計算まとめ、溶接の設計は溶接強度計算まとめ、ねじ締結はボルト設計計算まとめ、軸への圧入や公差記号の読み方ははめあい・軸まわり設計の計算まとめにまとめてある。
不具合の報告や機能リクエストはお問い合わせページから。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。展開図を先に描いて曲げ工場に渡し、「うちのV金型だと展開長が1.5mm違います」と電話をもらったことがある。以来、外注に出す図面は展開せず、曲げ寸法と内Rだけを書いて渡すようにしている。
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