プレス打抜きトン数計算

材料・板厚・形状からプレス打抜き力・曲げ力・絞り力をkN/tonで即算出。プレス機の必要能力を判定

材料・板厚・形状を入力するだけで、打抜き・V曲げ・絞りの必要力(kN/ton)と推奨プレス能力を即算出。安全率×1.3込み。

材料条件

一般的な薄板鋼板(τ=310 MPa / σB=340 MPa)

打抜き形状

計算結果(打抜き

推奨プレス能力5 ton安全率×1.3
軽荷重

必要力

31.2 kN

必要トン数

3.2 ton

打抜き周長

62.8 mm

安全率

×1.3

※ 理論式に基づく概算値。実際の金型設計では材料ロット差・パンチ摩耗・潤滑条件等を考慮し、プレスメーカーの仕様を確認のこと。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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「この板厚、何トンで抜ける?」を3秒で解決する

プレス現場でいちばん多い問い合わせ、それが「このワーク、何トンのプレスで抜けるの?」だ。

材料はSPCC、板厚1.6mm、丸穴φ20。答えは約3.2ton――だけど、この数字をパッと出せる人は意外と少ない。材料が変わればせん断強度が変わり、形状が変われば周長が変わる。V曲げや絞りが加わると、さらに別の公式を引っ張り出す必要がある。

このツールは、打抜き・V曲げ・絞りの3モードを切り替えながら、材料と寸法を入れるだけで必要トン数と推奨プレス能力をリアルタイム表示する。安全率1.3倍込みの値が出るから、プレス機の選定根拠としてそのまま使える。金型設計者、生産技術者、購買担当者――プレス加工に関わるすべての人のための速算ツールだ。

なぜこのツールを作ったのか

きっかけは、ある金型設計の打合せだった。

客先から「SUS304の2mm板で30×20の角穴を抜きたい。プレスは10tonでいける?」と聞かれ、その場で答えられなかった。社に戻ってExcelの計算シートを開き、材料定数を手入力し、周長を計算し、せん断力を出し、tonに換算し、安全率を掛ける。答えは約10.6ton、推奨14ton。つまり10tonプレスでは能力不足だ。この結論を出すのに20分かかった。

問題はExcelシートの使い勝手だけじゃない。材料を切り替えるたびにせん断強度の表を引き直す手間。丸穴から角穴に変わったとき周長の計算式を書き換える手間。V曲げや絞りの見積もりが必要になると、別のシートを開かなければならない。

もうひとつの不満は、Web上の既存ツールがほとんど打抜き専用だったこと。プレス加工の見積もりでは、打抜きと曲げを同じワークで行うケースが多い。モードを切り替えて同じ画面で比較できないと、結局Excelに戻ることになる。

「材料を選んで寸法を入れたら、打抜きも曲げも絞りも一発で出る」――そんなツールが欲しくて、自分で作ることにした。6種類の材料プリセット、4種類の打抜き形状、V曲げ・絞りの計算式を1画面に詰め込んだ結果がこのツールだ。

プレス加工の力学 ― せん断・曲げ・絞りの基本原理

打抜き加工(せん断)とは何か

打抜き加工は、パンチ(上型)とダイ(下型)で板材を挟み込み、せん断力で材料を切り離す加工法だ。ハサミで紙を切るのと原理は同じ。ハサミの刃が紙の繊維をせん断で切断するように、プレスのパンチが金属板をせん断面に沿って破断させる。

打抜きに必要な力は、切断する輪郭の長さ(周長)×板厚×材料のせん断強度で決まる。

打抜き力 P = L × t × τ

L: 打抜き周長 [mm]
t: 板厚 [mm]
τ: せん断強度 [MPa = N/mm²]

たとえば、直径20mmの丸穴なら周長は π×20 ≈ 62.83mm。板厚1.6mm、SPCC(せん断強度310MPa)なら、P = 62.83 × 1.6 × 310 ≈ 31,160N ≈ 31.2kN となる。

重要なのは、打抜き力は穴の面積ではなく周長に比例するという点。φ20の丸穴とφ40の丸穴では、面積は4倍だが周長は2倍にしかならない。つまり必要トン数も2倍で済む。

参考: プレス加工 - Wikipedia

V曲げ力の計算式

V曲げは、V字型のダイの上から板材をパンチで押し込む加工法だ。テーブルの端に板を置いて手で曲げる動作を、金型で精密に行う。

V曲げ力 P = C × σ_b × L × t² / V

C: 係数(1.33: エアベンド標準値)
σ_b: 引張強度 [MPa]
L: 曲げ長さ [mm]
t: 板厚 [mm]
V: V溝幅 [mm]

曲げ力はV溝幅に反比例する。V溝幅を狭くすると力は増えるが曲げRは小さくなり、逆にV溝幅を広くすると力は減るが曲げRが大きくなる。一般にV溝幅は板厚の6〜10倍が目安とされている。

絞り力の求め方

絞り加工は、平板(ブランク)をカップ状に成形する加工法だ。お椀やコップの形を想像してもらえればいい。ブランク(円板)の縁を押さえつつ、中央をパンチで押し込んで立体形状にする。

絞り力 P = π × d × t × σ_b × K

d: 絞り径 [mm]
t: 板厚 [mm]
σ_b: 引張強度 [MPa]
K: 補正係数 = (D/d - 1) × 0.65
D: ブランク径 [mm]

ここで D/d は絞り比と呼ばれ、1回の絞り加工で成形可能な限界を表す。一般にD/d ≤ 2.0が1回絞りの目安で、これを超えると再絞り(2工程以上)が必要になる。

材料によるせん断強度の違い

材料選定は必要トン数に直結する。同じφ20×t1.6の丸穴打抜きでも、SPCCなら約3.2ton、SUS304なら約5.3tonと1.7倍近い差が出る。アルミ合金A5052なら約1.7ton。材料が変わるだけでプレス機のクラスが変わりかねないから、材料定数の正確な把握が欠かせない。

材料せん断強度 [MPa]引張強度 [MPa]用途例
SPCC310340一般板金部品
SUS304520520食品機械・化学機器
SUS430370450家電・装飾
A5052170260軽量構造部品
A110075110化粧板・反射板
C2801320440端子・コネクタ

プレス能力の見誤りが引き起こすトラブル

能力不足 ― 金型破損と生産停止

プレス機の能力が必要トン数に対して不足していると、まず起きるのが打抜き不良だ。パンチがワークを完全にせん断できず、バリの増大やカス上がりが発生する。それでも無理に稼働を続けると、パンチの折損やダイの欠けに発展する。

金型の修理費は数万〜数十万円、交換ならさらにかかる。しかも金型が壊れれば生産ラインは停止し、納期遅延のリスクも生まれる。たった1つの計算ミスが、数百万円の損失につながることは珍しくない。

JIS B 6402(プレス機械の定格能力)では、定格能力の表示方法と試験方法が規定されている。定格を超える荷重での連続使用はプレス機自体の寿命を縮めるだけでなく、安全装置の動作不良や構造部材の疲労破壊につながる。

過剰能力 ― 設備投資の無駄

逆に、必要トン数を過大に見積もると、不必要に大きなプレス機を導入することになる。80tonプレスで十分な加工に200tonプレスを使えば、設備費は数倍になり、設置面積・電力消費・メンテナンスコストもすべて増大する。

特に多品種少量生産の現場では、ワークごとに必要トン数が異なる。すべてのワークを1台の大型機で賄うのではなく、必要トン数に応じて適切なクラスのプレス機を割り当てるのが効率的だ。そのためには、各ワークの必要トン数を素早く正確に把握する手段が不可欠になる。

安全率の考え方

本ツールでは安全率1.3を標準としている。これは、材料のロット差(同じSPCCでもメーカーや製造時期で強度が±10%程度ばらつく)、パンチの摩耗による必要力の増加、潤滑条件の変動などを考慮した値だ。日本塑性加工学会や金型メーカー各社の技術資料でも、1.2〜1.5の安全率が推奨されている。

金型設計からプレス機選定まで ― 現場で効くシーン

シーン1: 金型設計の初期検討

新規金型の設計段階で、パンチレイアウトを決める際に各穴の打抜き力を積算する。複数の穴を同時に抜く場合、すべての穴の必要力の合計がプレス能力を超えないことを確認する必要がある。

シーン2: プレス機の選定・購買

設備導入の際、加工予定ワークの最大必要トン数から適切なクラスのプレス機を選定する。推奨能力の値がそのまま購買仕様書に記載できる。

シーン3: 見積もり時の加工費算出

板金加工の見積もりでは、ワークの打抜き力からプレス機のクラスを判断し、時間単価を決める。大型機ほど単価が高いから、必要トン数の正確な把握はコスト見積もりの精度に直結する。

シーン4: 既存設備への新規ワーク投入判断

新しいワークを既存のプレス機で加工できるかどうか、設備余力を判断する。必要トン数がプレス定格の80%以内であれば安心して投入できるが、90%を超えるなら別の機台への振り替えを検討するべきだ。

3ステップで結果が出る使い方

ステップ1: 計算モードを選ぶ

画面上部のセグメントボタンで「打抜き」「V曲げ」「絞り」のいずれかを選択する。モードによって入力欄が切り替わる。

ステップ2: 材料と寸法を入力する

材料をプルダウンから選ぶと、せん断強度・引張強度が自動入力される。板厚と形状の寸法を入力すれば準備完了。打抜きモードでは「丸」「角」「長丸」「周長入力」の4パターンから選べる。

ステップ3: 結果を確認する

入力と同時に、必要力(kN)、必要トン数(ton)、推奨プレス能力(ton)がリアルタイムで表示される。推奨値は安全率1.3倍を掛けて切り上げた値。コピーボタンでクリップボードに転記できるから、報告書や見積書への転記も一瞬だ。

実務で使える6つの計算ケース

ケース1: SPCC 丸穴φ20 打抜き(t=1.6mm)

最もベーシックな打抜き計算。一般板金の丸穴抜きだ。

  • 入力: 打抜きモード / SPCC / 板厚1.6mm / 丸穴φ20mm
  • 結果: 31.16 kN → 3.18 ton → 推奨5ton
  • 解釈: 5tonクラスの小型プレスで十分対応できる。最も一般的な加工条件であり、卓上プレスやCフレームプレスの守備範囲だ。

ケース2: SUS304 角穴30×20 打抜き(t=2.0mm)

ステンレスの角穴打抜きは、せん断強度がSPCCの約1.7倍あるため必要トン数が大きく跳ね上がる。

  • 入力: 打抜きモード / SUS304 / 板厚2.0mm / 角穴30×20mm(周長100mm)
  • 結果: 104.0 kN → 10.6 ton → 推奨14ton
  • 解釈: 10tonプレスでは能力不足。14ton以上が必要だ。SUS304はSPCCの約1.7倍のせん断強度を持つため、同じ形状・板厚でも必要トン数が大きくなる。プレス機の選定ミスが起きやすいケースだ。

ケース3: SPCC V曲げ(L=200mm, V=10mm, t=1.0mm)

薄板のV曲げは比較的軽荷重だが、V溝幅が狭いと力が増える点に注意。

  • 入力: V曲げモード / SPCC / 板厚1.0mm / 曲げ長さ200mm / V溝幅10mm
  • 結果: 9.04 kN → 0.92 ton → 推奨2ton
  • 解釈: 1ton未満の曲げ力。小型のプレスブレーキで十分対応できる。V溝幅10mmは板厚1.0mmの10倍で適切な範囲だ。

ケース4: SPCC 絞り加工(ブランクφ100 → 絞りφ60, t=1.6mm)

カップ状に絞る加工。絞り比D/d = 100/60 ≈ 1.67で、1回絞りの範囲内だ。

  • 入力: 絞りモード / SPCC / 板厚1.6mm / ブランク径100mm / 絞り径60mm
  • 結果: 44.43 kN → 4.53 ton → 推奨6ton
  • 解釈: 6tonクラスのプレスで対応可能。絞り比1.67は一般的な範囲であり、しわ押さえ力を考慮しても10ton以下で収まる。

ケース5: A5052 長丸穴40×20 打抜き(t=2.0mm)

アルミ合金の長丸打抜き。軽量構造部品のスロット穴加工に多い。

  • 入力: 打抜きモード / A5052 / 板厚2.0mm / 長丸40×20mm(周長: 2×(40-20)+π×20 ≈ 102.8mm)
  • 結果: 34.96 kN → 3.57 ton → 推奨5ton
  • 解釈: アルミ合金はせん断強度が170MPaと低いため、SUS304の同寸法と比べて約1/3の力で済む。5tonクラスで余裕を持って加工できる。

ケース6: SUS430 V曲げ(L=150mm, V=12mm, t=1.2mm)

フェライト系ステンレスの曲げ加工。家電外装パネルなどに使われるケースだ。

  • 入力: V曲げモード / SUS430 / 板厚1.2mm / 曲げ長さ150mm / V溝幅12mm
  • 結果: 10.77 kN → 1.10 ton → 推奨2ton
  • 解釈: SUS430の引張強度は450MPaで、SPCCの340MPaより約1.3倍高い。同じ寸法条件でもSPCCより大きな曲げ力が必要になるが、この条件なら2tonクラスで十分だ。V溝幅12mmは板厚の10倍で、適切な範囲に収まっている。

計算の仕組みとアルゴリズム

候補手法の比較

プレス加工の必要力を求める方法には、大きく分けて3つのアプローチがある。

  1. 理論計算式(本ツールで採用): 材料力学に基づくせん断力・曲げ力・絞り力の公式で算出。入力パラメータが少なく、現場での速算に向く。日本塑性加工学会の「プレス加工便覧」に掲載されている標準式。

  2. FEM(有限要素法)シミュレーション: DEFORM、LS-DYNA等のソフトウェアで板材の変形を数値解析する方法。摩擦、材料の加工硬化、パンチ速度の影響まで考慮できるが、モデリングに数時間〜数日かかるため見積もり段階には向かない。

  3. 経験則・早見表: 「SPCCの1mm板なら1ton/cm²」のような現場の暗算則。速いが精度に限界があり、材料や形状が変わると対応できない。

本ツールでは理論計算式を採用した。精度と速度のバランスが最も良く、金型設計の初期検討や見積もりフェーズで求められる「±10%の精度で数秒以内に結果を出す」要件に合致するためだ。

参考: 日本塑性加工学会 / せん断加工 - Wikipedia

実装の計算フロー

1. 材料IDからプリセットのτ(せん断強度)とσ_b(引張強度)を取得
2. 計算モード分岐:
   [打抜き]
     形状からLを算出(丸:πd, 角:2(w+h), 長丸:2(w-h)+πh)
     P = L × t × τ / 1000 [kN]
   [V曲げ]
     P = 1.33 × σ_b × L × t² / (V × 1000) [kN]
   [絞り]
     K = (D/d - 1) × 0.65
     P = π × d × t × σ_b × K / 1000 [kN]
3. kN → ton 変換: ton = kN / 9.80665
4. 推奨能力 = ton × 1.3(安全率)を切り上げ

計算例: SUS304 角穴30×20 t=2.0の打抜き

ステップバイステップで追ってみよう。

材料: SUS304 → τ = 520 MPa
形状: 角穴 30mm × 20mm
周長 L = 2 × (30 + 20) = 100 mm
板厚 t = 2.0 mm

P = L × t × τ / 1000
  = 100 × 2.0 × 520 / 1000
  = 104.0 kN

ton = 104.0 / 9.80665
    = 10.6 ton

推奨能力 = 10.6 × 1.3 = 13.8 → 切上げ → 14 ton

この計算結果から、10tonプレスでは能力不足であり、最低でも14tonクラスが必要だと判断できる。V溝幅の目安やせん断強度のバラつきについて不安がある場合は、安全率を1.5に引き上げて検討するとよい。

既存の打抜き力計算ツールと何が違うのか

プレス加工の必要トン数を求めるツール自体は珍しくない。Excelの計算シートを社内で使い回している工場も多いだろう。では、このツールの立ち位置はどこにあるのか。

打抜き・V曲げ・絞りの3加工方式を1画面で切り替えられること。工程ごとに別のシートやツールを開く必要がない。たとえば、打抜き後にV曲げを行うプログレッシブ金型の検討で、同じ材料・板厚のまま2つのモードを行き来できる。材料を変更したら全モードに即反映される。

6種の材料プリセットを内蔵している点も強み。SPCC・SUS304・SUS430・A5052・A1100・C2801のせん断強度と引張強度を自動入力する。Excelシートで「SUS304のせん断強度は何MPaだったか」と別資料を探す手間が消える。もちろん、カスタム入力で任意の材料にも対応している。

安全率1.3倍込みの推奨プレス能力を即座に表示する点も実務寄りだ。計算上のトン数だけでなく、「じゃあ何トンのプレス機を選べばいいのか」まで踏み込んでいる。プレスメーカーのカタログと突き合わせるとき、この数字がそのまま使える。

競合の多くは打抜き力の単一計算か、入力項目が多すぎて初見で迷うかのどちらか。このツールは「必要十分な精度を、最短の操作で」という設計思想で作っている。

プレス加工にまつわる豆知識

打抜き加工の起源

金属板を型で打ち抜く技術の歴史は意外と古い。18世紀のイギリスで、硬貨の製造にスクリュープレスが使われたのが工業的な打抜き加工の始まりとされている。日本では明治期に造幣局が導入し、それが民間の板金産業へ波及していった。現在、日本のプレス機メーカーはアイダエンジニアリング、コマツ産機、アマダなどが世界的なシェアを持つ。特にアイダのサーボプレスは加工速度と精度の両立で評価が高い(参考: プレス加工 - Wikipedia)。

せん断と引張の関係

材料力学では、せん断強度は引張強度の約0.5〜0.8倍という経験則がある。SPCCの場合、引張強度340MPaに対してせん断強度は310MPaで比率は約0.91。一方、A5052は引張260MPaに対してせん断170MPaで比率は約0.65。この比率は結晶構造や加工硬化の度合いによって変わるため、プリセット値を使わずに自分で入力する場合は材料試験成績書(ミルシート)を確認するのが確実だ(参考: JIS G 3141 冷間圧延鋼板及び鋼帯)。

トン数の単位あれこれ

プレス業界では「トン」がデファクト単位だが、厳密にはメートルトン(1000kgf = 9.80665kN)。英語圏のカタログではshort ton(2000lbs ≒ 8.896kN)やlong ton(2240lbs ≒ 9.964kN)が混在することがある。海外製プレス機のスペックを読むときは、どの「トン」なのか注意が必要。このツールではメートルトン(metric ton)を採用している。

実務で差がつく5つのTips

  1. V溝幅は板厚の6〜10倍が基本。板厚1.6mmなら10〜16mmが目安。V溝幅を小さくすると必要力が跳ね上がり、金型の寿命も縮む。逆に広すぎるとスプリングバックが大きくなる。迷ったら板厚の8倍を起点に試してみて。

  2. 絞り比(D/d)は2.0以下を死守。ブランク径を絞り径で割った値が2.0を超えると、1回の絞りではしわや割れが発生しやすい。このツールでもD/d > 2.0で警告が出る。超える場合は再絞り(2工程以上)を前提に工程設計を見直そう。

  3. 安全率1.3は「最低ライン」。パンチの摩耗、材料のロット差、潤滑条件のばらつきを考えると、量産では1.5倍を採用する現場も多い。このツールの1.3倍はあくまで初期検討用の目安だ。

  4. SUS304はSPCCの1.7倍のトン数が必要。同じ板厚・同じ形状でも、ステンレスに切り替えるだけで必要トン数が大幅に増える。既存のプレス機で対応できるか、材料変更時は必ず再計算を。

  5. 丸穴の打抜き力を基準に覚えておくと便利。SPCC t1.6 φ20の打抜き力は約3.2ton。この値を頭に入れておけば、「角穴30×20だと周長が増えるからもう少し上がるな」と現場で暗算の起点にできる。

よくある質問

ストリッパー力(板押さえ力)は計算に含まれている?

含まれていない。このツールは純粋な打抜き力・曲げ力・絞り力のみを算出する。実際のプレス作業ではストリッパー力(一般的に打抜き力の5〜10%)が追加で必要になる。安全率1.3倍の中にある程度吸収されるが、精密打抜きや薄板加工では別途ストリッパー力を加算して検討するのが望ましい。

多数個同時打抜き(複数穴の同時加工)はどう計算する?

各穴の打抜き力を個別に計算し、合算すればよい。たとえば、φ10の丸穴3個とφ20の丸穴1個を同時に打ち抜くなら、それぞれの結果を足し合わせた値が合計必要トン数になる。ただし、パンチの配置による偏荷重には注意が必要で、プレス機のスライド中心にバランスよく配置することが重要だ。

計算結果と実際のプレス加工で差が出るのはなぜ?

理論式は「理想的な条件」を前提にしている。実際にはパンチの刃先摩耗、クリアランスの大小、材料の加工硬化、潤滑油の有無、加工速度などで必要力が変動する。特にパンチが摩耗すると必要力は10〜30%増加することもある。計算値はあくまで「新品の刃で標準条件の場合」と捉え、余裕を持ったプレス機の選定を心がけてほしい。

入力したデータはサーバーに送信される?

一切送信されない。すべての計算はブラウザ内(クライアントサイド)で完結しており、入力値がサーバーに保存・送信されることはない。社外秘の加工条件でも安心して使える。

絞り力の補正係数Kは何を基準にしている?

絞り比(D/d)に基づく近似式 K = (D/d - 1) × 0.6〜0.7 を採用している。これは日本塑性加工学会の推奨する簡易計算式で、D/d ≤ 2.0の範囲で実用的な精度が得られる。絞り比が大きくなるほど補正係数も大きくなり、必要力が増加する仕組みだ。深絞りや異形絞りの場合はFEM解析との併用を推奨する。

まとめ — プレス加工の計算を、もっと手軽に

プレス打抜きトン数計算ツールは、打抜き・V曲げ・絞りの3モードを1画面で切り替え、材料プリセットから安全率込みの推奨プレス能力まで一気に算出する。金型設計の初期検討やプレス機選定の場面で、Excelシートを探し回る時間を削減できるはずだ。

クリアランスの計算が必要ならプレス打抜きクリアランス計算、曲げ力をさらに詳しく検討したい場合はプレス曲げ力計算、展開寸法の算出には板金展開寸法計算も併せて活用してみてほしい。

ツールへの要望や不具合の報告は、お問い合わせページから気軽にどうぞ。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。プレス金型の設計で打合せ中に必要トン数を即答できず悔しい思いをした経験が、このツールの原点だ。

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