表題欄に「JIS B 0405-m」、寸法線には数字だけ
受入検査の検査表をつくる午後。図面には寸法が30個ほど並んでいて、公差が書いてあるのは軸受のはまる φ25H7 と、位置決めの穴ピッチ2か所だけだ。残りの寸法線には「60」「150」「12.5」と数字しかない。表題欄の隅に、小さく「普通公差 JIS B 0405-m」。
この「m」が中級だということは知っている。知っているのに、検査表の上限・下限の欄は勝手には埋まらない。区分表を開き、「60 は30を超え120以下だから ±0.3、上限60.3・下限59.7」と1つずつ書き写していく。12.5 で行を一段読み違えかけ、30 ちょうどの寸法に来たところで「以下」なのか「未満」なのかを確かめに、もう一度規格に戻る。表題欄が「JIS B 0419-mK」なら、真直度・直角度・対称度・円周振れの表がさらに4枚ある。
このツールは、そうした公差の書かれていない寸法を何行でも貼り付けると、行ごとに許容差・上限・下限と、許容差の幅が IT 何級と何級のあいだに当たるかを一覧にする。普通幾何公差を指示した図面なら、真直度・平面度・直角度・対称度・真円度・円周振れも同じ一覧に並ぶ。表題欄に書く「JIS B 0419-mK」のような指示も、一覧も、そのままコピーして検査表に貼れる。
普通公差の区分表を「寸法を貼れば返ってくる」形にした理由
普通公差の表は、探せばどこにでも載っている。JIS ハンドブック、設計便覧の見開き、工具メーカーの技術資料、加工会社のサイトの「普通公差表」。ところが、どれも表のままだ。寸法を入れると答えが返ってくる日本語のツールとなると、見当たらなかった。
寸法が1つなら表で十分だ。困るのは、検査表のように寸法が20〜50個並ぶときだ。1行ずつ区分を目で追っていくと、間違いは決まって区分の境目で起きる。30 は「6を超え30以下」の側で ±0.2、30.5 は「30を超え120以下」の側で ±0.3。わずか0.5mmの差で許容差が1.5倍に変わるのに、表の列は隣り合っていて、指が一列ずれただけで別の値を拾ってしまう。しかもこの書き写しは、誰がやっても同じ結果にならなければいけない作業だ。人の注意力を使う場所としては、いちばんもったいない。
もう1つ欲しかったのが、IT 等級との対応だ。はめあいで「IT7」と言われればすぐに精度の見当がつく人でも、「中級の ±0.3 はどのくらいの精度か」と聞かれると答えに詰まる。許容差の幅を IT の表の同じ寸法の行に当てれば、その普通公差がはめあい公差の何級あたりの粗さなのかが分かる。加工方法の当たりをつけるときにも、外注先と精度の話をするときにも使える物差しになる。
幾何公差も同じ一覧に入れた。表題欄に JIS B 0419 まで書いてある図面では、寸法の ± と一緒に真直度や直角度や円周振れが黙って効いている。これを別の表で引き直すのは寸法の書き写しより手間がかかり、そのぶん抜けやすい。
隣のツールとの役割分担は次のとおりだ。
- 公差の付いた寸法を積み上げて、すき間や干渉をワーストケース・RSS で判定するのは公差積み上げシミュレーターの担当
- φ25H7 のようなはめあいの記号から寸法許容差を出すのはJIS はめあい検索ツールの担当
- このツールは、その手前の「公差が書かれていない寸法の公差を決める」ところを受け持つ
積み上げ計算に普通公差の寸法が混じるなら、ここで ± を確定させてから積み上げ側に入れる、という順番になる。
普通公差 とは何か —— JIS B 0405 と JIS B 0419 の基礎
普通公差 とは — 書かれていない寸法にも公差はある
部品の寸法は必ずばらつく。図面に「60」と書いても、60.000… ぴったりの部品は作れないし、測れもしない。だから寸法には「どこまでずれてよいか」がセットで要る。では、図面に ± が書かれていない寸法はどうなるのか。何も決めなければ、合否の判断は工場や検査の担当者の勘に任されてしまう。JIS B 0405 の序文はまさにこの点を書いていて、図面の公差表示は完全でなければならず、工場や検査部門で採否の判定が暗黙の了解に任されることがないようにしなければならない、としている。
かといって、全部の寸法に ± を書き込むと図面が数字で埋まる。そこで登場するのが普通公差だ。規格の附属書A は、普通公差の値は「工場の通常の加工精度の程度に対応したもの」だと説明している。ふつうの工作機械をふつうの腕前で使えば、特別な注意を払わなくても自然に収まる精度を、寸法の大きさごとに表にしたものだ。
郵便にたとえると分かりやすい。速達も配達日指定も付けない普通郵便にも、「ふつうならこのくらいで着く」という水準がある。急ぐ手紙にだけ速達を付け、残りは普通郵便で出す。図面も同じで、機能上きつい精度が要る寸法にだけ個別の公差を書き、残りは「ふつうの精度」でまとめて縛る。附属書A には、直径35mmの形体を中程度の精度で作れる工場に ±1mm を指定しても得はなく、±0.3mm の普通公差がまったく適切だろう、という例まで載っている。
JIS B 0405 が対象にするのは、金属の除去加工(切削・研削など)または板金成形で作った部品の寸法だ。金属以外の材料に使ってもよいが、鋳造品のように別の普通公差の規格(JIS B 0403)がある加工法はそちらを使う。外側・内側・段差・直径・半径・間隔・かどの丸み・面取りの長さ寸法と、図面に数値が書かれていない角度に効く。括弧で囲んだ参考寸法と、枠で囲んだ理論的に正しい寸法には効かない。
JIS B 0405 中級 と4つの公差等級 — 普通公差 表
JIS B 0405 には、精級 f・中級 m・粗級 c・極粗級 v の4等級がある。長さ寸法(面取り部分を除く)の表1は次のとおりだ。単位は mm。
| 等級 | 0.5以上3以下 | 3を超え6以下 | 6を超え30以下 | 30を超え120以下 | 120を超え400以下 | 400を超え1000以下 | 1000を超え2000以下 | 2000を超え4000以下 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 精級 f | ±0.05 | ±0.05 | ±0.1 | ±0.15 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | − |
| 中級 m | ±0.1 | ±0.1 | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 |
| 粗級 c | ±0.2 | ±0.3 | ±0.5 | ±0.8 | ±1.2 | ±2 | ±3 | ±4 |
| 極粗級 v | − | ±0.5 | ±1 | ±1.5 | ±2.5 | ±4 | ±6 | ±8 |
読み方で大事なのは区分の境目だ。区分はすべて「下の値を超え、上の値以下」で、上端を含む。30 は「6を超え30以下」に入り、30を少しでも超えたら次の区分になる。例外は最初の区分だけで、「0.5以上3以下」と下端の0.5を含む。0.5mm 未満の寸法には普通公差が無く、表の注(1)は寸法に続けて許容差を個々に指示するよう求めている。表中の「−」は規定が無いという意味で、精級には2000mmを超える長さ、極粗級には3mm以下の長さの値が無い。
かどの丸み(R)と面取り(C)の長さには、別の表2を使う。
| 等級 | 0.5以上3以下 | 3を超え6以下 | 6を超えるもの |
|---|---|---|---|
| 精級 f | ±0.2 | ±0.5 | ±1 |
| 中級 m | ±0.2 | ±0.5 | ±1 |
| 粗級 c | ±0.4 | ±1 | ±2 |
| 極粗級 v | ±0.4 | ±1 | ±2 |
角度の表3は、角度そのものではなく「対象とする角度の短い方の辺の長さ」で区分する。
| 等級 | 10以下 | 10を超え50以下 | 50を超え120以下 | 120を超え400以下 | 400を超えるもの |
|---|---|---|---|---|---|
| 精級 f | ±1° | ±30′ | ±20′ | ±10′ | ±5′ |
| 中級 m | ±1° | ±30′ | ±20′ | ±10′ | ±5′ |
| 粗級 c | ±1°30′ | ±1° | ±30′ | ±15′ | ±10′ |
| 極粗級 v | ±3° | ±2° | ±1° | ±30′ | ±20′ |
辺が長いほど許容差が小さくなるのは、同じ角度の狂いでも、辺が長いほど先端のずれが大きくなるからだ。先端でのずれは、辺の長さ × tan(角度の許容差) で見積もれる。
普通幾何公差 JIS B 0419 — H・K・L の3等級
寸法の ± だけでは、形の狂いは縛りきれない。厚さ10mmの板がどこを測っても公差内なのに、全体として弓なりに反っている、ということは普通に起きる。そこで形と姿勢の狂いにも普通公差を決めたのが JIS B 0419 で、等級は H・K・L の3つだ(H がいちばん厳しい)。
真直度・平面度(表1)は、真直度なら該当する線の長さ、平面度なら長方形の長い方の辺、円形なら直径で引く。
| 等級 | 10以下 | 10を超え30以下 | 30を超え100以下 | 100を超え300以下 | 300を超え1000以下 | 1000を超え3000以下 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| H | 0.02 | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.4 |
| K | 0.05 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.6 | 0.8 |
| L | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.8 | 1.2 | 1.6 |
直角度(表2)は直角をつくる2辺のうち長い方をデータムにして短い方の辺の呼び長さで、対称度(表3)は長いほうの形体をデータムにして呼び長さで引く。
| 等級・特性 | 100以下 | 100を超え300以下 | 300を超え1000以下 | 1000を超え3000以下 |
|---|---|---|---|---|
| H 直角度 | 0.2 | 0.3 | 0.4 | 0.5 |
| K 直角度 | 0.4 | 0.6 | 0.8 | 1 |
| L 直角度 | 0.6 | 1 | 1.5 | 2 |
| H 対称度 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
| K 対称度 | 0.6 | 0.6 | 0.8 | 1 |
| L 対称度 | 0.6 | 1 | 1.5 | 2 |
円周振れ(表4)だけは長さに関係なく、H 0.1・K 0.2・L 0.5 の一定値だ。表に無い特性は本文の規則で決まる。真円度は直径の寸法公差の値に等しくとるが、円周振れの値を超えてはならない(5.1.2)。平行度は寸法公差と、平面度・真直度公差の大きいほうに等しくとる(5.2.2)。円筒度・線の輪郭度・面の輪郭度・傾斜度・同軸度・位置度・全振れには、普通幾何公差を適用しない。
一般公差 JIS と ISO 2768 m — 表題欄への書き方
JIS B 0405:1991 は ISO 2768-1:1989 を、JIS B 0419:1991 は ISO 2768-2:1989 を、どちらも技術的内容を変えずに翻訳した規格だ。海外の図面に「ISO 2768-m」とあれば、JIS B 0405-m と同じ表を引けばよい。現場では「一般公差」と呼ぶこともあるが、中身は同じものを指している。
図面への書き方は規格で決まっていて、表題欄の中かその付近に書く。
- 寸法の普通公差だけ: 「JIS B 0405-m」(ISO では「ISO 2768-m」)
- 寸法と幾何の両方: 「JIS B 0419-mK」(寸法の等級を先、幾何の等級を後に並べる)
- 幾何の普通公差だけ: 「JIS B 0419-K」
- 単一のサイズ形体すべてに包絡の条件を付ける: 「JIS B 0419-mK-E」
普通公差を書き忘れる・厳しくしすぎると何が起きるか
書き忘れると、合否が「話し合い」になる
外注先から納品された部品で、図面に「150」とだけ書かれた寸法が150.6で入ってきたとする。表題欄に普通公差の指示があり、それが中級なら、150 の許容差は ±0.5 で、0.6のずれは公差外だと誰が見ても決まる。指示が無ければ、この部品が不良かどうかを決める根拠がどこにも無い。発注側は「常識的にもっと精度が出るはずだ」と言い、加工側は「公差が書いていない寸法は寸法どおり狙って削った」と言う。どちらも間違っていないので、話は平行線になる。
JIS B 0419 の附属書A.3 e) は、普通公差を明示する利点として、発注・受注の技術者が契約前に「工場の通常の加工精度」を知って注文を取り決められ、受渡当事者間の引渡しで争いを避けられる、と挙げている。表題欄の一行は、図面の飾りではなく取引の条件そのものだ。
厳しくしすぎると、全寸法が精密加工になる
反対に「念のため」で精級 f を書くのも危ない。表題欄の等級は、公差が書かれていないすべての寸法に一律でかかるからだ。φ25 なら中級 ±0.2 が精級では ±0.1 になり、精度の要らない逃がし穴や外形の面取り位置まで同じ厳しさで仕上げ・検査することになる。規格の一般事項も、等級を選ぶときは個々の工場で通常得られる加工精度を考慮しなければならない、としている。しかも附属書A によれば、通常の加工精度を超えて公差を大きくしても生産の経済性はふつう上がらない。だから等級は「工場のふつう」に合わせ、本当にきつい寸法だけを個別に書くのが正攻法になる。
IT 等級に直すと、普通公差がどれだけ粗いかが実感できる。中級の幅は寸法によって IT13〜IT15 のあいだに入る。φ25 なら、H7 の公差幅(IT7)が0.021mm なのに対して、中級の幅は0.4mm。ほぼ20倍の開きがある。はめあいが要る面に普通公差のままの寸法が残っていたら、それは検図で拾うべき見落としだ。
「外れたら即不合格」ではない
JIS B 0405 の6.と JIS B 0419 の7.は、特に明示した場合を除き、普通公差を超えた工作物でも、機能が損なわれなければ自動的に不採用にしてはならない、と定めている。検査で普通公差の外れを見つけたら、その場で廃却にせず、組み付くか・干渉しないかを設計に照会する、という手順が規格に沿った扱いになる。JIS B 0419 の附属書B(参考)は、図面例の普通幾何公差について、通常の加工精度をもつ工場で機械加工すれば自動的に満足されるので一般には検査は要求されない、とまで書いている。検査の手間は個別に公差を書いた寸法に集中させ、普通公差の寸法は抜取りで工場の精度が落ちていないかを見る、という配分が規格の想定だ。
規定の無い穴と、直角の扱い
等級の選び方で見落としやすい穴が2つある。1つは表の「−」で、精級で2500mmの長さ、極粗級で2mmの長さを指示すると、許容差がどこにも無い。大きな架台に精級を書いたら、長い寸法だけ個別に公差を入れるか中級にするしかない。
もう1つは直角だ。JIS B 0419 の6.1 は、JIS B 0419-mK のように指示した図面では、角度の数値が書かれていない直角(90°)に JIS B 0405 の角度公差を適用しない、と定めている。短い辺40mmの直角なら、角度公差の中級 ±30′(先端で ±0.349mm)ではなく、K の直角度0.4mm が当たる。表題欄の書き方ひとつで、同じ直角に効く公差の種類が入れ替わる。
普通公差の一括計算が効く4つの場面
受入検査の検査表づくり
図面の寸法を Excel の検査表に縦一列で拾ってあるなら、その列をそのまま貼れば、行ごとの上限・下限が並ぶ。一覧は TSV でコピーできるので、検査表の隣の列に貼り戻せば、測定値を入れる欄の横に判定の基準がそろう。30個の寸法を区分表と突き合わせる作業が、貼ってコピーするだけになる。
検図で公差の無い寸法を洗い出す
検図では「普通公差で本当に足りるか」を寸法ごとに確かめたい。一覧に IT 相当が並ぶので、はめあいや位置決めに使う面の寸法が IT13〜14 程度のまま残っていないかが目で追える。0.5mm 未満の寸法や、等級の選び方で規定が無くなる寸法が混じっていれば、その件数も出るので、個別に公差を書くべき寸法の見落としに気づける。
加工現場で図面の普通公差を確かめる
図面を受け取った加工側にとっては、「どこまで攻めてよいか」の確認になる。表題欄が mK なら、外形の真直度や段の直角度まで含めて、狙う精度の上限が行ごとに分かる。幾何公差の表は寸法の表より引く機会が少ないぶん、記憶違いが起きやすい。
公差の積み上げ計算に入れる前
すき間や干渉を積み上げで確かめるとき、部品の寸法の多くは普通公差のままだ。ここで普通公差の寸法の ± を確定させてから公差積み上げシミュレーターに入れれば、「普通公差の寸法は ±0 のつもりで積んでいた」という見落としを防げる。
基本の使い方 —— 選ぶ・貼る・写すの3ステップ
ステップ1: 種類と等級を選ぶ
まず寸法の種類を、長さ・面取り(R)・角度の3つから選ぶ。次に JIS B 0405 の等級(f・m・c・v)、図面が JIS B 0419 まで指示しているなら普通幾何公差の等級(なし・H・K・L)を選ぶ。迷ったら図面の表題欄に書いてあるとおりにすればよい。面取り・R を選んだときは幾何公差は計算しない。
よく使う組合せは「機械加工 mK」「精密部品 fH」「大物・板金 cL」「角度 m」の4つのプリセットにしてある。押すと種類と等級と見本の寸法が入るので、初めてなら一度押して結果の並び方を見てみてほしい。
ステップ2: 寸法を貼り付ける
寸法欄には1行に1つずつ、最大50行まで入れられる。Excel の列をコピーしてそのまま貼ってよい。頭に付いた φ・R・C の記号と末尾の mm は無視して数値だけを読むので、「φ25」「R3」「C1」「150mm」はそのまま貼れる。φ25H7 のように公差記号の付いた寸法や M6 のようなねじの呼びは読まずに飛ばし、飛ばした件数を表示する。個別に公差の付いた寸法は、そもそも普通公差の対象ではないからだ。角度を選んだときは、角度の値ではなく、その角度をつくる短い方の辺の長さを入れる。
ステップ3: 一覧と図面指示をコピーする
結果は寸法1行ごとの一覧で、許容差・上限・下限・IT 相当(「IT13〜IT14」のように挟む2等級、ちょうど一致すれば1等級)と、選んでいれば幾何公差の値が並ぶ。円周振れは寸法に関係なく全行で同じ値なので、一覧の上に1つだけ出る。あわせて、表題欄に書く指示(例「JIS B 0419-mK」)も表示される。コピーは「図面指示」と「一覧(TSV)」の2つで、一覧は Excel に貼ればそのまま列に分かれる。
普通公差の計算例 —— 10ケースで境界と「規定なし」を確かめる
ここからは実際に入力した結果を並べる。どれも JIS の表から引いた値で、境界の両側や規定の無い区分をわざと選んでいる。
ケース1: φ25 を JIS B 0419-mK で — 規格の附属書と一致する
- 入力: 長さ・中級 m・普通幾何公差 K・寸法25
- 結果: ±0.2(上限25.2・下限24.8・幅0.4)、IT13〜IT14(IT13=0.33・IT14=0.52)。真直度・平面度0.1、直角度0.4、対称度0.6、円周振れ0.2、真円度0.2
- 解釈: 真円度0.2は、JIS B 0419 の附属書B.2 例2(φ25・JIS B 0419-mK → 真円度0.2)と同じ値になる。寸法公差の幅0.4より円周振れの0.2のほうが小さいので、真円度は0.2で頭打ちになる。
ケース2: 30 と 30.5 — 区分の境目で許容差が1.5倍
- 入力: 長さ・中級 m・K・寸法30 と 30.5
- 結果: 30 は ±0.2(上限30.2・下限29.8)、真直度・平面度0.1。30.5 は ±0.3(上限30.8・下限30.2)、真直度・平面度0.2。IT はどちらも IT13〜IT14(30 は IT13=0.33・IT14=0.52、30.5 は IT13=0.39・IT14=0.62)
- 解釈: 30 は「6を超え30以下」の上端に入り、30.5 は次の区分に移る。真直度の表も「10を超え30以下」と「30を超え100以下」の境目なので、許容差と真直度が同時に一段上がる。目で表を追うと、いちばん読み違えやすい場所だ。
ケース3: 150 を mL で — 幅が IT14 とぴったり一致
- 入力: 長さ・中級 m・L・寸法150
- 結果: ±0.5(上限150.5・下限149.5・幅1)、IT14 ちょうど(IT14=1)。真直度・平面度0.8、直角度1、対称度1、円周振れ0.5、真円度0.5
- 解釈: 120〜180mm の行の IT14 は1mm で、中級の幅とちょうど同じになる。このとき IT は1等級だけで表示される。L は幾何公差がいちばん緩い等級で、真円度は円周振れの0.5で止まる。
ケース4: 450 と 1000 — 同じ ±0.8 でも IT は違う
- 入力: 長さ・中級 m・寸法450(幾何なし)と 1000(K)
- 結果: 450 は ±0.8(上限450.8・下限449.2・幅1.6)、IT14〜IT15(IT14=1.55・IT15=2.5)。1000 は ±0.8(上限1000.8・下限999.2・幅1.6)、IT13〜IT14(IT13=1.4・IT14=2.3)。1000 の幾何公差は真直度・平面度0.6、直角度0.8、対称度0.8、円周振れ0.2、真円度0.2
- 解釈: どちらも「400を超え1000以下」の区分で許容差は同じだが、IT の表は区分がもっと細かいので、寸法が大きいほど同じ幅でも IT 等級は細かい側に寄る。1000 は区分の上端ちょうどで、まだ ±0.8 の側に入る。
ケース5: 精密部品 fH の10mm と、精級の最小区分 3mm
- 入力: 長さ・精級 f・H・寸法10、長さ・精級 f・幾何なし・寸法3
- 結果: 10 は ±0.1(上限10.1・下限9.9・幅0.2)、IT12〜IT13(IT12=0.15・IT13=0.22)。真直度・平面度0.02、直角度0.2、対称度0.5、円周振れ0.1、真円度0.1。3 は ±0.05(上限3.05・下限2.95・幅0.1)、IT12 ちょうど(IT12=0.1)
- 解釈: 精級でも IT12 前後で、はめあいの IT7 とはまだ大きな差がある。H の真直度0.02は表のいちばん厳しい値だ。
ケース6: 精級の2500mm と極粗級の2mm — 許容差の規定なし
- 入力: 長さ・精級 f・H・寸法2500、長さ・極粗級 v・幾何なし・寸法2
- 結果: どちらも許容差の規定なし(表の「−」)。2500 には幾何公差だけが出て、真直度・平面度0.4、直角度0.5、対称度0.5、円周振れ0.1
- 解釈: 寸法の表に値が無くても、JIS B 0419 の表は3000mmまであるので幾何公差は決まる。許容差は個別に指示するか、等級を変えるしかない。
ケース7: 0.3mm と 0.5mm — 普通公差の下限
- 入力: 長さ・中級 m・K・寸法0.3、長さ・中級 m・幾何なし・寸法0.5
- 結果: 0.3 は普通公差の対象外(個別に指示)で、幾何公差も出ない。0.5 は ±0.1(上限0.6・下限0.4・幅0.2)、IT13〜IT14(IT13=0.14・IT14=0.25)
- 解釈: 最初の区分は「0.5以上」なので、0.5 ちょうどは対象に入る。薄板の段差や細い溝幅のように0.5を下回る寸法は、図面に個別の公差を書かなければならない。
ケース8: 大物 — v の2200mm、m の3200mm と4500mm
- 入力: 長さ・極粗級 v・L・寸法2200、長さ・中級 m・K・寸法3200 と 4500
- 結果: 2200 は ±8(上限2208・下限2192・幅16)、IT16〜IT17(IT16=11・IT17=17.5)、真直度・平面度1.6、直角度2、対称度2、円周振れ0.5、真円度0.5。3200 は ±2(上限3202・下限3198・幅4)で IT 換算なし、幾何公差は円周振れ0.2と真円度0.2だけ。4500 は4000mm超で区分外
- 解釈: 3200 は IT の表(3150mmまで)と幾何公差の表(3000mmまで)の外にはみ出すが、長さに依らない円周振れと、そこから決まる真円度は残る。4000mm を超えると JIS B 0405 自体に区分が無い。
ケース9: 面取り C1 と C10
- 入力: 面取り・R・中級 m・寸法1(K を選んでいても)、面取り・R・粗級 c・寸法10
- 結果: C1 は ±0.2(上限1.2・下限0.8・幅0.4)。C10 は ±2(上限12・下限8・幅4)。どちらも幾何公差と IT 換算は出ない
- 解釈: 面取りの表は長さの表と別物で、C1 でも ±0.2 と、同じ1mmの長さ寸法(中級 ±0.1)より緩い。面取りを長さの表で引くと、検査で良品をはねることになる。
ケース10: 角度 — 短い辺8mm・40mm・100mm
- 入力: 角度・中級 m・寸法8(幾何なし)、角度・中級 m・K・寸法40、角度・粗級 c・寸法100(幾何なし)
- 結果: 8 は ±1°(短い辺の先端で ±0.140mm)。40 は ±30′(先端で ±0.349mm)で、直角度0.4も出る。100 は ±30′(先端で ±0.873mm)
- 解釈: 同じ ±30′ でも、辺が40mmなら先端のずれは0.349mm、100mmなら0.873mm になる。K を指示した40mmの行に直角度が出るのは、数値の書かれていない直角には角度公差ではなく直角度が当たるからだ。
10ケースを通すと、区分の境目・IT との一致・表の「−」・規格の範囲の端が一通り確かめられる。
普通公差の表引きと IT 等級換算の仕組み
計算の流れ — すべて表引き
計算といっても、四則演算はほとんど無い。1行ごとに次の順で表を引いている。
- 寸法の区分を決める。区分は「下限を超え上限以下」で、JIS B 0405 の表1・表2の最初の区分だけ「0.5以上3以下」。0.5未満と4000超はここで行の状態を「個別に指示」「区分外」にして、ほかの行の計算は止めない
- 種類と等級で表を引き、許容差を得る。上限・下限は寸法 ± 許容差で、小数の桁は寸法と許容差の多いほうに合わせる(30.2 を 30.20 と出さない)
- 長さなら、許容差の幅 W = 2 × 許容差を、JIS B 0401-1 表1 の同じ寸法の行で IT1〜IT18 と比べる。IT の表は3150mmまでなので、それを超えたら換算しない
- 普通幾何公差を選んでいれば、その行の寸法を基準の長さとして真直度・平面度・直角度・対称度を引き(3000mmまで)、円周振れは等級ごとの定数、真円度は W と円周振れの小さいほうにする
- 角度なら、短い辺の長さで許容差を引き、先端でのずれ = 長さ × tan(許容差) を添える
区分の比較には 1e-9 程度の許容誤差を入れている。30 を入れたのに浮動小数点の誤差で「30を超え」の側に落ちる、ということが起きないようにするためだ。
IT 等級を1つに丸めず、2等級で挟む理由
許容差の幅を IT 等級に直すやり方には、いくつか候補があった。
- いちばん近い等級を1つ返す: 見た目はすっきりするが、IT は IT6 から先では5等級ごとに10倍、つまり1等級あたり約1.58倍で増える。IT 値との差で比べるか比で比べるかで「近い」ほうが入れ替わることがあり、決めるには対数で比べる必要がある。そのうえ普通公差の幅はたいてい2つの等級のあいだに落ちるので、1つに丸めた時点で情報が消える
- 幅以上で最小の等級を返す: 「少なくともこの等級より粗い」という安全側の答えにはなるが、ケース1の φ25 が IT14 と出て、実際は IT13 寄りであることが見えなくなる
- 挟む2等級と両方の IT 値を返す(採用): W 以下で最大の等級と、W 以上で最小の等級を返す。両者が同じなら幅が IT 値とちょうど一致している
3つ目にしたのは、読み手が自分の用途で丸め方を選べるからだ。加工方法の当たりをつけるなら粗い側、相手先に精度を説明するなら近い側、と使い分けられる。
真円度を「幅と円周振れの小さいほう」にした根拠
真円度には専用の表が無い。JIS B 0419 の5.1.2は、真円度の普通公差を直径の寸法公差の値に等しくとり、ただし表4の円周振れの値を超えてはならない、としている。附属書B.2 の例2は、φ25 を JIS B 0419-mK で指示した場合、寸法の許容差 ±0.2 から公差は0.4になるが、表4の0.2より大きいので0.2を適用する、と具体的に書いている。ツールはこの規則をそのまま min(W, 円周振れ) にしていて、ケース1が附属書の例と一致することで解釈を確かめた。
なお、幾何公差の基準になる長さは特性ごとに違う。平面度は長方形の長い方の辺、直角度は短い方の辺だ。ツールはどの特性も「その行の寸法」で引くので、直角度を見たい行には短い辺の長さを、平面度を見たい行には長い辺の長さを入れてほしい。
計算例 — φ25・JIS B 0419-mK
寸法 25 → 区分「6を超え30以下」
中級 m の許容差 ±0.2
上限 25 + 0.2 = 25.2
下限 25 − 0.2 = 24.8
幅 W = 2 × 0.2 = 0.4 mm(400 µm)
IT 換算(JIS B 0401-1 表1「18を超え30以下」の行)
IT13 = 330 µm ≦ 400 ≦ IT14 = 520 µm
→ IT13〜IT14(IT13=0.33 / IT14=0.52)
普通幾何公差 K(基準の長さ 25)
真直度・平面度 「10を超え30以下」 0.1
直角度 「100以下」 0.4
対称度 「100以下」 0.6
円周振れ 長さに依らない 0.2
真円度 min(0.4, 0.2) = 0.2
角度も同じ要領で、短い辺8mm・中級なら「10以下」の行で ±1°、先端のずれは 8 × tan(1°) で0.140mm になる。どの行も表を引いて足し引きするだけなので、境目の扱いさえ正しければ答えは1つに決まる。
普通公差の表・PDFと、寸法を入れて引くツールは何が違うのか
普通公差の表そのものは、規格本文にも部品メーカーの技術資料にも載っている。足りないのは表ではなく、表から答えを取り出す手間のほうだという点は、冒頭の「なぜ作ったのか」で触れたとおりだ。そのうえで、表を載せたページや PDF と比べたときにこのツールが受け持つ部分を並べておく。
- 区分を読む作業を人がしない: 表では「を超え以下」の区分を目で追い、等級の列との交点を拾うところまでが読み手の仕事になる。ここでは寸法を入れれば区分の判定から上限・下限までが返る。境界ちょうどの寸法も、毎回同じ規則で振り分ける
- 寸法をまとめて流せる: 1行に1寸法、最大50行。検査表の寸法列を貼れば、全行の上限・下限が一度に返る
- 長さ・面取り・角度を1画面で: 規格では表が3枚に分かれているが、種類を切り替えるだけで引く表が変わる。角度は分の値に加えて、短い辺の先端でのずれを mm でも出す
- IT 何級相当かを挟む2等級で出す: 普通公差の表には IT 等級が載っていない。許容差の幅を JIS B 0401-1 の同じ寸法の行と比べ、間に挟まる2等級とそれぞれの IT 値を返す
- 幾何公差が同じ行に並ぶ: 普通幾何公差を選ぶと、真直度・平面度・直角度・対称度・真円度が寸法と同じ行に出る。長さに依らない円周振れは一覧の上に1つだけ。平行度は値を出さず、決め方の規則を注記する
- 図面と検査表にそのまま渡せる: 表題欄に書く「JIS B 0419-mK」のような指示と、見出し付きの一覧(TSV)を別々にコピーできる
逆に、等級ごとに値がどう並んでいるかを眺めたいときは、規格本文の表を開くほうが早い。このツールは「この図面の、この寸法たちの答え」を出すことに絞っている。
豆知識:ISO 2768 の前史と、精級・中級・粗級という呼び名
JIS B 0405 と JIS B 0419 が ISO 2768 と同じ内容であることは基礎の節で触れたが、その ISO 2768 にも前史がある。最初の ISO 2768 は1973年に出た1部構成の規格で、1989年に第1部(長さ・角度)と第2部(幾何公差)に分かれた。JIS の2本はこの1989年版をそれぞれ翻訳したもので、JIS B 0405 のまえがきには「技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した」とある。本文中で点線の下線を引いた「参考」だけが、原国際規格に無い日本側の書き足しだ。
ISO 側はその後も動いている。ISO 2768-2 は2021年2月4日に廃止され、ISO 22081:2021 に置き換えられた。第1部の ISO 2768-1 は現行のまま、改訂の段階に入っている。海外の取引先から ISO 22081 を引いた図面が届いたら、H・K・L の表を当てはめて済ませず、図面の記載と取引先に確かめたほうがいい。図面の表題欄に書かれた規格番号が、どの表を使うかを決めるからだ。
等級の記号 f・m・c・v は、ISO 2768-1 の fine・medium・coarse・very coarse の頭文字だ。精級・中級・粗級・極粗級はその直訳になっている。規格の英語名 General tolerances を「普通公差」と訳したので、検索では直訳寄りの「一般公差」という言い方も並んで出てくる。
規格の附属書には、本文の表より読み物として面白い記述もある。JIS B 0419 の附属書A.3 は、不確定さと思い違いを伴う漠然とした「良い技能」(good workmanship)に頼ることは普通幾何公差によってもう要らなくなり、普通幾何公差こそが「良い技能」に求められる精度をはっきりさせる、と言い切っている。「ちゃんと作っておいて」を数字に置き換えるための規格、という性格がよく出た一文だ。
Tips:普通公差 中級の暗算と、測る・打ち切るときの目安
- 中級は区分の上端と値の組だけ覚える: 6まで ±0.1、30まで ±0.2、120まで ±0.3、400まで ±0.5、1000まで ±0.8。検図で寸法を見た瞬間に桁の見当がつき、ツールの一覧と食い違ったときにすぐ気づける。精級は中級の半分以下、粗級は2〜3倍の値と覚えておけば、等級違いの図面にも暗算で当たりがつく
- 測る道具は許容差の幅で選ぶ: 精級の小物(6mm以下)は ±0.05、つまり許容幅0.1mmに、目盛り0.05mmのノギスの目盛りが2つしか入らない。合否の境目で読み取りが揺れるので、この区分はマイクロメータに持ち替える。中級・粗級は区分が大きくなるほど許容幅が広がり、ノギスでも余裕をもって判定しやすくなる
- 角度は分度器ではなく先端のずれで測る: 分単位の許容差は分度器の目盛りでは読み切れない。定盤とハイトゲージで短い辺の先端の高さの差を測り、ツールが出す「先端での mm」と比べるほうが確実だ。区分は短い辺の長さで決まるので、測る辺を取り違えないこと
- 普通公差の寸法をどこまで測るかを決めておく: 規格が普通公差の検査をどう想定しているかは、上の「外れたら即不合格ではない」で触れたとおり。実務では、普通公差の寸法は初品で一通り測ったら、工程や機械が変わったときに測り直す——くらいで打ち切ると、検査表が膨らみすぎない
普通公差・普通幾何公差のFAQ
図面に普通公差の等級が書かれていないときは、どれを選べばいい?
等級が書かれていなければ、規格から値は決まらない。表題欄に「JIS B 0405」とだけあって記号が無い、あるいは普通公差の指示そのものが無い図面は、発注元に確かめるのが筋だ。回答を待つあいだは仮に m で一覧をつくっておき、回答が来たら等級を切り替えて作り直せばいい。表題欄が「JIS B 0419-K」のように幾何の記号だけなら、寸法の普通公差は適用しない指示(JIS B 0419 の 6.2)なので、幾何公差の列だけを読む。このとき真円度は寸法公差の幅から決まる値なので、その列は使わない。
φ25H7 や M6、2-φ6 のような行が飛ばされるのはなぜ?
φ25H7 のように公差記号や許容差が付いた寸法は、個別に公差が指示されているので普通公差の対象ではない。M6 はねじの呼びで、精度はねじの規格が受け持つ。2-φ6 は「2か所」の意味か寸法の一部かを機械的に見分けられないので、読み違えるより飛ばすほうを選んだ。飛ばした件数が出るので、数が合わなければ元の表を見直してほしい。JIS B 0405 は括弧で囲んだ参考寸法と、枠で囲んだ理論的に正しい寸法にも適用しない。括弧付きの行は飛ばされるが、枠付きの寸法は Excel に写すと普通の数字になるので、貼る前に外しておくこと。
平行度が一覧に出ないのはなぜ?
JIS B 0419 の 5.2.2 は、平行度の普通公差を「寸法公差と、平面度公差・真直度公差のいずれか大きいほう」と決めている。必要なのは、2つの面の間の寸法(その寸法公差の幅)と、データムになる長いほうの面の長さ(そこから引く真直度・平面度)の2つだ。1行に1つの寸法しか持たない一覧では両方を同時に決められないので、値は出さずに規則だけを注記している。実際には、面と面の間の寸法の行で幅を、面の長さの行で真直度・平面度を読み、大きいほうを取れば平行度になる。
同軸度や位置度、円筒度が出ないのはなぜ?
基礎の節で挙げたとおり、これらは JIS B 0419 が普通幾何公差を適用しない特性で、表が無いのでツールも値を出さない。これらを規制したいなら、図面の形体に個別に幾何公差を指示するしかない。同軸度については、規格の備考が「円周振れは同軸度と真円度からなるので、極端な場合は円周振れ公差と同じ大きさでよい」と述べているので、一覧の上に出る円周振れの値が目安になる。
円周振れが行ごとではなく一覧の上に1つしかないのはなぜ?
JIS B 0419 の表4(円周振れ)は、他の幾何公差の表と違って長さの区分を持たず、H・K・L の等級ごとに1つの値しかない。寸法が何行あっても全行で同じ値になるので、列にして50回並べるより、一覧の上に1つだけ置いたほうが読みやすい。真円度は「寸法公差の幅と円周振れの小さいほう」で決まるため、寸法によって変わりうる。こちらは行ごとの列に残している。
鋳物や樹脂部品の寸法に、この値を使ってもいい?
JIS B 0405 は金属の除去加工と板金成形でつくった部品の寸法に適用する規格で、金属以外の材料に適用してもよいとしている。樹脂の切削品なら、図面に指示があればそのまま使える。鋳造品には別に JIS B 0403 がある。鋳肌のまま残る面と仕上げ面との間の寸法は、2つの普通公差のうち大きいほうを適用する決まりなので、鋳物の図面ではこのツールの値だけで判定しないこと。
貼り付けた寸法はどこかに送信される?
送信しない。寸法の読み取りも表引きも、開いているブラウザの中だけで済ませていて、サーバーには何も送らない。取引先の図面から写した寸法の列をそのまま貼っても、外に出ていくことはない。コピーした一覧も、自分のクリップボードに入るだけだ。
まとめ
公差の書かれていない寸法にも、表題欄の一行で決まる公差がある。その値を寸法ごとに区分表と突き合わせる作業を、貼り付け一回に縮めるのがこのツールの役目だ。出た上限・下限は公差積み上げシミュレーターや公差解析シミュレーター(RSS+モンテカルロ+Cpk)の入力に、許容差の幅は公差コストトレードオフ計算機に渡せる。H7 のように記号で公差を指示する寸法はJIS はめあい検索ツールとはめあいグレード選定アシスタント、幾何公差の記号の意味はGD&T記号判定ガイドで確かめてほしい。
扱ってほしい規格や表の読み方で気になる点があれば、お問い合わせページから気軽に知らせてほしい。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。受入検査の検査表で、30ちょうどの寸法を「30を超え」の列で拾い、許容差を ±0.3 と書いていたのを後から見つけたことがある。区分の境目を目で追う作業は人に向かないと思い、表引きをまるごとツールに任せることにした。
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