10:1を2段で——「5×2」と割る前に、17-60 / 18-51 という答えがある
モーターの回転を1/10に落としたい。1段で10倍は無理があるので2段にする。ここまでは誰でも同じ道をたどる。次に頭に浮かぶのはたぶん「5×2」で、17枚の小歯車に85枚、もう1段は17枚に34枚。17-85 / 17-34。計算も一瞬で、どこにも間違いはない。
ただ、それがいちばん小さく作れる組かというと、そうとは限らない。このツールに「2段・10:1・歯数17〜100枚」と入れると、1位に出てくるのは 17-60 / 18-51 だ。1段目が 60/17 ≒ 3.53、2段目が 51/18 ≒ 2.83 という、どちらも整数ではない比。それなのに掛けると 51 が 17 の3倍、60 が 18 の 10/3 倍なので、端数がきれいに打ち消し合ってちょうど10になる。合計の歯数は146枚で、5×2 に素直に割った組より歯車の総量が少ない。
段の比を整数に割り振ってから歯数を探す、という順番そのものが、選択肢を狭めていた。10という目標は「5×2」でも「4×2.5」でもなく、無数の分数の積で作れる。その全部を並べて、誤差の小さい順、同じ誤差なら合計歯数の少ない順に見せるのがこのツールの仕事だ。
対象は3つ。歯数の範囲を決めて1〜3段で探す減速機の設計、手元にある歯車だけで組む工作、そして旋盤の換え歯車で目標のねじピッチを出す作業。目標の比から歯数を逆算する、という一点に絞った道具になっている。
なぜ作ったのか——比から歯数へ戻る道が、どこにも用意されていなかった
歯車の比を出す計算は簡単だ。歯数を2つ入れて割れば終わる。困るのはその逆、「この比を作りたい。歯数はいくつにすればいい?」のほうで、こちらは割り算1回では済まない。
実際にやると、こういう試行錯誤になる。まず全体の比を段に割り振る。10なら5×2か、4×2.5か、√10ずつか。次に各段の比を整数の歯数で作れるか探す。2.5なら20-50でも34-85でもいい。最後に、入力軸と出力軸を一直線に並べたい(同軸にしたい)なら、2組の歯数の和をそろえなければならない。この3つ目の条件が厄介で、和をそろえようとすると1つ目の割り振りからやり直しになる。電卓と方眼紙で1時間ほど行ったり来たりして、ようやく1組見つかる。しかも、それがいちばん良い組だったのかは最後まで分からない。
日本語で「ギア比 計算」と検索すると、見かけた範囲では歯数を入れて比を出す順方向の計算機ばかりで、目標の比から歯数の組を逆算するものには行き当たらなかった。旋盤の換え歯車についても、英語圏には Ed Nisley のミニ旋盤のメートルねじ用換え歯車表のような、ピッチごとに組み合わせと誤差を並べた資料がある。一方、日本語で同じ粒度の表は見つけられなかった。
もう1つ引っかかっていたのが「ちょうど作れないとき、どこまで近づけるか」だ。7.3846 のような割り切れない比や、ピッチ0.5mm を16TPI の親ねじで切るような場面では、誤差ゼロの組がそもそも存在しないことがある。そのとき欲しいのは「誤差0.26%の組と0.0125%の組があって、後者は歯車を1枚足せば作れる」という比較で、1つの答えではない。
だから結果は1組ではなく、上位20件の一覧にした。誤差と合計歯数に加えて、中心距離・切下げの有無・歯数が互いに素かも並べる。比が同じ組の中からどれを選ぶかは設計者が決めることで、その判断に要る材料を横に並べておきたかった。
歯車列の減速比と歯数の関係——比・同軸・切下げ・互いに素
減速比 歯数 計算の基本——従動の歯数 ÷ 駆動の歯数
かみ合う2枚の歯車は、接点で歯が1枚ずつ送られていく。駆動側が1回転すると、駆動側の歯数ぶんの歯が接点を通過する。従動側はそれだけの歯を受け取るので、回る量は「駆動の歯数 ÷ 従動の歯数」回転になる。回転数の比を「入力 ÷ 出力」で書くと、ひっくり返って次のようになる。
減速比 i = 入力の回転数 ÷ 出力の回転数 = 従動の歯数 z2 ÷ 駆動の歯数 z1
身近な例が自転車だ。前のギア(ペダル側・駆動)が48枚、後ろのギア(車輪側・従動)が16枚なら、i = 16/48 = 1/3。ペダル1回転で後輪が3回転する。比が1より小さいので、これは減速ではなく増速になる。前を小さく後ろを大きくすれば比は1を超え、坂道で踏み込みが軽くなる代わりに速度が落ちる。このツールも同じ定義で、10なら1/10に減速、0.25なら4倍に増速と読む。
歯車列 減速比 求め方——多段は掛け算、アイドラーは効かない
軸を挟んで歯車を何組もつなぐと(歯車列)、全体の比は各段の比の積になる。
i = (z2 / z1) × (z4 / z3) × (z6 / z5) × …
z1, z3, z5 … 駆動(各段の入力側)
z2, z4, z6 … 従動(各段の出力側)
2段目の駆動歯車 z3 は、1段目の従動歯車 z2 と同じ軸に付いていて一緒に回る。だから1段目の出力回転が、そのまま2段目の入力回転になる。このツールが歯数を「17-60 / 18-51」のように段ごとに「駆動-従動」で書くのはこの構造に合わせたもので、冒頭の例なら 60/17 × 51/18 = 10 だ。
例外がアイドラー(中間歯車)で、A → I → B と1枚挟んでも、比は (I/A) × (B/I) = B/A となり I が消える。アイドラーが変えるのは回転の向きと軸の位置だけだ。
1段で取れる比には実務上の上限がある。平歯車は1段で1:7前後までが目安で、減速機選定計算ツールも1段で7以上は効率・サイズの面で不利と注意を出す。小歯車の歯数を下限まで下げても、大歯車が大きくなりすぎるためだ。歯数の範囲そのものも天井を決める。17〜100枚なら1段の比は最大 100/17 = 5.88 で、1段の上限を10にしたうえで8:1を探しても、いちばん近い 17-100 で誤差 −26.47% にしかならない。
同軸 歯車列 条件——z1 + z2 = z3 + z4
入力軸と出力軸を一直線に並べる歯車列を、同軸(リバーテッド)歯車列という。時計の分針と時針、旋盤のバックギア、同軸型のギアードモーターに使われる形だ。入力軸と出力軸が同じ線上にあるので、1段目の中心距離と2段目の中心距離が等しくなければならない(testbook: Reverted Gear Train)。
標準の平歯車(転位なし)の中心距離は、モジュール m と歯数から決まる。
中心距離 a = m × (z1 + z2) ÷ 2
同軸の条件(全段のモジュールが同じとき)
m(z1 + z2)/2 = m(z3 + z4)/2 → z1 + z2 = z3 + z4
モジュールが共通なら、条件は「2組の歯数の和が等しい」という整数の制約に落ちる。比の積と歯数の和、2つの条件を同時に満たす整数の組を探すことになるので、手で探すと急に難しくなる。
切下げ——17枚を下回ると歯元が削られる
歯数を減らすほど歯車は小さくなるが、下限がある。標準の平歯車をラック形の工具で創成するとき、歯数が少ないと工具の刃先が歯元のインボリュート曲線まで削り込んでしまう。これが切下げ(アンダーカット)で、歯元が細って強度が落ち、かみ合いの長さも短くなる。切下げが起きない最少歯数は圧力角 α から求まる(tec-science: Undercut)。
z_min = 2 ÷ sin²α
α = 20° のとき 2 ÷ sin²20° = 17.10
教科書や講義資料が「17枚以上」とするのはこの値で、実用上は14枚あたりまで許すことも多い。このツールは17枚未満の歯車を含む組に印を付ける。
ハンティングトゥース——歯数を互いに素にする理由
17-51 は 51 = 17×3 なので、小歯車の同じ歯が大歯車の決まった3枚とだけかみ合い続ける。どこか1枚に傷があると、その傷は毎回同じ相手を叩く。歯数が互いに素(最大公約数が1)なら、すべての歯がすべての相手と順番に当たるので、摩耗がならされる。この組み方をハンティングトゥースと呼び、わざと1枚多い「無駄歯」を入れて互いに素にする設計もある(歯車 - Wikipedia)。このツールが各候補に「互いに素」の印を付けているのはそのためだ。
比の誤差は積み上がる——歯数選びが後から効いてくる場面
歯数の組を選ぶとき、比が「だいたい合っている」で済む場面と済まない場面がある。済まないのは、誤差が時間や距離とともに積み上がるときだ。
回り続ける機械の累積誤差。 歯車列の比の誤差は、1回転ごとには小さくても、回し続けるほど位置のずれとして溜まる。円周率を 22/7 で近似した歯車列は、目標 3.14159 に対して誤差 +0.0403% だ。小さく見えるが、時計の輪列で同じ割合だけ進み遅れが出ると、1日あたり約35秒のずれになる。搬送装置の位置決めや、タイマー・カウンターの歯車も同じで、比が「ちょうど」の組を選べるならそれに越したことはない。
ねじ切りのピッチ誤差は長さに比例する。 旋盤のねじ切りで換え歯車の比がずれると、1山ごとのピッチが少しずつ違い、ねじが長くなるほどずれが溜まる。ミニ旋盤(親ねじ16TPI)の標準の換え歯車で M8 並目のピッチ1.25mm を出すと、いちばん近い組でピッチ誤差は +0.0125%、10山切ったときのずれは 0.00156mm だ。ところが同じ歯車セットでピッチ0.5mm を出そうとすると、いちばん近い組でも誤差 +0.263%、10山で 0.0132mm ずれる。1.25mm のときの約8.4倍で、100山なら 0.132mm に達する。ナットがかかる長さが短い小ねじなら実害は小さいが、長いねじや、相手のめねじと長くかみ合う部品では、途中から渋くなる原因になる。誤差の%だけでなく「何山でどれだけずれるか」で読むのが実務の感覚だ。
切下げの歯車は強度が落ちる。 合計歯数を減らそうとして小歯車を17枚より小さくすると、上で見たとおり歯元が削られる。強度計算は標準の歯形を前提にしているので、切下げのある歯車にそのまま当てはめると強度を高く見積もるおそれがある。どうしても小さくしたいなら転位で切下げを避ける手があり、その確認はギアモジュール計算の転位歯車ペアの計算で行える。
公約数のある歯数は摩耗が偏る。 同じ比でも、歯数が互いに素な組と、公約数を持つ組がある。連続運転の減速機や、歯面の傷が音や振動になって出る機械では、互いに素の組を選んでおくと、特定の歯どうしだけが当たり続ける状態を避けられる。
同軸の条件は後から足せない。 ハウジングを先に決めてしまうと、同軸の条件は「比の積」と「歯数の和」の両方を満たす組を探し直す作業になる。歯数を決める段階でこの条件を入れておけば、中心距離のそろった組が最初から並ぶ。
この逆算が役に立つ4つの場面
減速機・ギアードモーターの設計。 必要な減速比が決まったあと、段数と歯数を決める段階で使う。2段・3段の候補を合計歯数の少ない順に見られるので、ハウジングを小さくまとめたいときの当たりが付けやすい。同軸型にするなら同軸の条件を入れて探せる。必要な減速比そのもの(モーターの回転数と負荷から決める値)は、先に減速機選定計算ツールで出しておくとつながる。
ロボット・模型の駆動。 市販の歯車の歯数は飛び飛びで、手元にあるのは数種類だけ、という状況はよくある。手持ちの歯車の歯数を並べて入れれば、その中から作れる組だけを誤差の小さい順に並べる。同じ歯数の歯車を2枚持っているなら2回書けばよい。
旋盤のねじ切り。 換え歯車でメートルねじを切るとき、親ねじのピッチ(mm または TPI)と目標のピッチから必要な比を出し、手持ちの換え歯車で作れる組を探す。各候補のピッチ誤差と10山切ったときのずれも出るので、許容できるかをその場で判断できる。表に載っていないピッチや、手持ちの構成が標準と違う場合に効く。
時計・計測器・カウンターの歯車比。 3.14159 のような半端な比や、1日・1年といった周期を歯車で作る場面では、誤差ゼロの組が無いことが多い。誤差と合計歯数のバランスを一覧で比べ、許容誤差の範囲に入る組が何通りあるかも確かめられる。
基本の使い方——探し方・目標・候補の3ステップ
ステップ1: 探し方を選ぶ。 「歯数の範囲から」「手持ちの歯車」「ねじ切り」の3つから選ぶ。歯数を自由に決められる設計段階なら歯数の範囲から、手元の歯車で組むなら手持ちから、旋盤で換え歯車を選ぶならねじ切りだ。手持ちとねじ切りは2段までになる。
ステップ2: 目標と条件を入れる。 目標の比(入力の回転数 ÷ 出力の回転数)と段数を入れる。ねじ切りでは比の代わりに、目標のピッチ・親ねじ(mm か TPI)・主軸から換え歯車までの固定比を入れると、必要な比が自動で決まる。歯数の範囲から探すなら最小・最大の歯数を、手持ちから探すなら歯数をカンマか空白で区切って並べる。共通の条件として、1段あたりの比の上限・許容誤差・モジュール(任意)がある。2段で歯数の範囲から探すときは、入力軸と出力軸を一直線に並べる同軸の条件も付けられる。
ステップ3: 1位と候補一覧を読む。 いちばん近い組の歯数、実際の比、比の誤差、合計歯数、許容誤差に入る組み合わせの数が表示される。モジュールを入れていれば中心距離も出る。その下に上位20件の候補が並び、各行に切下げ・互いに素などの印が付く。1位が最適とは限らないので、同じ誤差の組が続いていれば、中心距離や互いに素かどうかで選び直すとよい。プリセット(2段 10:1・同軸 12:1・3段 50:1・旋盤 1.25mm)から入ると、各条件がそろった状態で始められる。
使用例9ケース——入れた条件と、返ってきた歯数
ここからは実際の入力と結果を並べる。特に断りがなければ、歯数の範囲は17〜100枚、1段あたりの比の上限は7、許容誤差は0.5%だ。誤差の符号は、プラスが「目標より減速が強い(出力がわずかに遅い)」を表す。
ケース1|既定の2段 10:1——同じ146枚でも中心距離が違う
モジュール2で10:1・2段を探すと、1位は 17-60 / 18-51、比10・誤差0・合計146枚、中心距離は1段目77mm・2段目69mm。2位は 18-60 / 17-51 で、これも比10・合計146枚だが、中心距離は78mm・68mm になる。3位は 17-68 / 18-45 で合計148枚。許容誤差0.5%に入る組は4,043通りあり、許容誤差を0にしてちょうど10の組だけを数えると154通りに減る。
1位と2位は歯車の総量が同じで、違うのは中心距離の配分だけだ。ハウジングの軸穴位置が1mm単位で効く設計なら、ここで選び分けられる。
ケース2|割り切れない比 7.3846——同じ大きさなら互いに素が先
目標を 7.3846 にすると、1位は 17-64 / 26-51、比7.38462、誤差 +0.000208%、合計158枚で、「互いに素」の印が付く。7.3846 は 96/13 を丸めた値で、この組の比はちょうど 96/13 になっている。2位の 17-51 / 26-64 は同じ4枚の歯車を組み替えただけで、比・誤差・合計歯数がすべて1位と同じ。許容内は7,162通り。
違いは歯数の公約数で、2位は 17 と 51、26 と 64 がそれぞれ公約数を持つ。誤差も合計歯数も同じなら、摩耗がならされる互いに素の組を先に並べている。
ケース3|3段 50:1——ちょうどの組が合計246枚
3段で50:1を探すと、1位は 17-75 / 17-68 / 18-51、比50・誤差0・合計246枚。2位 17-75 / 18-68 / 17-51、3位 18-75 / 17-68 / 17-51 も合計246枚で、17枚と18枚の置き場所が入れ替わっているだけだ。許容内は356,406通りにのぼる。
1段の上限を5に下げて3段 100:1 を探すと、1位は 17-85 / 17-85 / 17-68(各段 5・5・4)、合計289枚。比を大きくするほど小歯車は下限の17枚に張り付き、大歯車側で比を稼ぐ形になる。
ケース4|同軸 12:1——素朴な組より2枚少ない 18-81 / 27-72
モジュール1.5・同軸の条件付きで12:1を探す。比を4×3に割って「20-80 / 25-75」(和はどちらも100)と組むのが素朴な発想で、これは実際に2位に出てくる(中心距離75mm)。1位はそれより2枚少ない 18-81 / 27-72。1段目が 81/18 = 4.5、2段目が 72/27 ≒ 2.67 と整数ではない比の組で、和はどちらも99、中心距離は両段とも74.25mm。3位は 17-85 / 30-72(和102・76.5mm)。同軸の条件を満たし、許容内に入る組は53通りしかない。
同じ条件から同軸だけを外すと、1位は 17-68 / 17-51、合計153枚で、同軸の198枚より45枚少ない。中心距離は63.75mm と 51mm にばらける。許容内は2,688通り。一直線に並べる代わりに、歯車の総量が3割ほど増えるということだ。
ケース5|円周率 3.14159——22/7 は14枚で切下げの範囲
1段・歯数8〜150枚・上限10で 3.14159 を探すと、1位は 14-44(= 22/7)、比3.14286、誤差 +0.0403%、合計58枚。ただし14枚は17枚を下回るので切下げの印が付く。2位は 43-135(比3.13953・誤差 −0.0654%・合計178枚)、3位は 36-113(比3.13889・誤差 −0.0860%・合計149枚)で、どちらも互いに素。許容内は22通り。
切下げを避けたいなら2位以下から選ぶことになり、誤差は約1.6〜2.1倍に増え、歯車も大きくなる。歯数の下限を17に上げて探し直すと、その条件の中での最良の組が並ぶ。
ケース6|増速 1:4——比 0.25 を入れる
目標に 0.25 を入れると増速になる。1位は 34-17 / 34-17(各段 2倍の増速)、比0.25・誤差0・合計102枚。2位は 36-17 / 34-18 で合計105枚。許容内は16,122通り。
表記は常に「駆動-従動」なので、増速では大きいほうが先に来る。1:4 の増速を「4」と入れてしまうと減速の組が出てくるので、比は「入力の回転数 ÷ 出力の回転数」で入れる、と覚えておけば迷わない。
ケース7|旋盤でピッチ1.25mm——換え歯車表と同じ組
ねじ切りモードで、ミニ旋盤(親ねじ16TPI・標準の換え歯車13枚:20, 20, 35, 40, 40, 45, 50, 55, 57, 60, 65, 80, 80)と目標ピッチ1.25mm、1段の上限10を入れる。必要な比は1.27。1位は 35-40 / 45-50、実際のピッチは1.25016mm(+0.0125%)、10山切ったときのずれは 0.00156mm。Nisley の換え歯車表も 35・40・45・50 の組・誤差 0.013% としていて、同じ答えになる。許容内は11通り。
同じセットでピッチ0.30mm にすると、1位は 20-57 / 35-65、ピッチ誤差 −0.0225%、10山で 0.000675mm。これも Nisley の表と同じ組だ。ただし許容内に入るのはこの1通りだけで、2位はピッチ誤差 +0.79% まで離れる。
ケース8|ピッチ0.5mm——21枚を1枚足すと誤差が約1/21
同じ標準セット13枚でピッチ0.5mm を探すと、1位は 20-50 / 45-57、ピッチ誤差 +0.263%、10山で 0.0132mm。許容内はこの1通りだけだ。
手持ちの欄に「21」を1枚書き足すと、1位は 21-50 / 45-60 に変わり、ピッチ誤差は +0.0125%、10山で 0.000625mm になる。許容内は3通りに増える。Nisley の表がピッチ0.5mm で使っているのも、追加の21枚歯車を入れたこの組だ。どの歯車を1枚買い足せば効くかは、手持ちの欄に候補の歯数を足して結果を見比べれば分かる。
ケース9|手持ち8枚で 3.6:1——ちょうどの組は2通り
手持ちの歯車が 20・25・30・40・50・60・75・80 の8枚で、3.6:1 を2段で作りたい。1位は 25-60 / 20-30、比3.6・誤差0・合計135枚。2位は 25-60 / 50-75 で、これも比3.6だが合計210枚。3位の 20-50 / 40-60 は比3.75・誤差 +4.17% まで離れる。許容内は2通り。
1枚の歯車は1回しか使えないので、手持ちが限られるとちょうどの組は一気に減る。2通りのうち合計歯数の少ない1位を選べば、軸間も小さく収まる。
仕組みとアルゴリズム——総当たりを、漏れなく速く回す
手法の比較——連分数ではなく、範囲の中の総当たり
目標の比を分数で近似する古典的な方法に連分数がある。円周率なら 3、22/7、333/106、355/113 と、分母が小さいわりに精度の高い分数を順に生み出す。1段の歯数を探すだけなら、これがいちばん速い。
ただ、連分数は「歯数は8〜150枚」「1段の比は7まで」「2段に分けて同軸にする」といった制約を入れられない。333/106 は333枚の歯車が要るので、歯数の上限150の中ではそもそも使えない。また、連分数が出すのは誤差の小さい分数の並びで、誤差が同じ組どうしを合計歯数で比べる仕組みは持っていない。
そこで、範囲の中の組み合わせを総当たりする方式を採った。制約はそのまま「数える条件」として書け、誤差が同じ組を合計歯数で並べ替えるのも自然にできる。課題は計算量で、以下の工夫はすべてそのためにある。
同じものを2回数えない——既約分数で1段を数える
20-60 と 17-51 はどちらも 1:3 で、比としては同じものだ。歯数の範囲から探すモードでは、1段を既約分数 p/q(p ≧ q、最大公約数1)として数え、歯数は最小歯数を満たす最小の整数倍を代表にする。
k = ⌈最小歯数 ÷ q⌉
代表の歯数 = (駆動 k·q, 従動 k·p) ※ k·p が最大歯数以下のものだけ
歯数17〜100・上限7の既定条件で、1段に使える既約分数は2403通りある。冒頭の 18-51 は 17/6 の3倍、ケース5の 14-44 は 22/7 の2倍(k = ⌈8/7⌉ = 2)で、k が2以上になった代表は公約数 k を持つので「互いに素」にならない。段の順番を入れ替えた組(17-60 / 18-51 と 18-51 / 17-60)も同じ比なので、段の番号に順序を付けて1回だけ数える。
1:1 の段は使わない。比に効かない段は、段数を1つ減らせば済むからだ(比1そのものを探すときだけは 17-17 を出す)。手持ち・ねじ切りのモードでは事情が違い、旋盤では中間軸に同じ歯数の歯車を2枚使う組み方が普通にあるので、1:1 の段も残して印を付ける。親ねじ6mm・固定比0.5 でピッチ1.5mm を探すと、必要な比は2で、1位は 40-80 / 20-20。20-20 の段は比に効かないので、1段の 40-80 で足りる、という注記が出る。
並べ方——誤差、合計歯数、互いに素、歯数の並びの順
並べ替えのキーは4つ。第1キーは誤差の絶対値を小数9桁で丸めた値で、浮動小数点の端数で同じ誤差の組の順番が入れ替わらないようにしている。第2キーは合計歯数で、少ないほど小さく作れる。第3キーは全段の歯数が互いに素かどうかで、互いに素の組を先にする(ケース2)。第4キーは歯数の並びの辞書順で、ここまでで順位が一意に決まる。ケース1で同じ146枚の2組のうち 17-60 / 18-51 が先に来るのは、どちらも互いに素ではないので第4キーによる。
外向き走査と打ち切り
2段なら「1段目の比」を、3段なら「1段目と2段目の比の組」を先に決め(ここでは prefix と呼ぶ)、最後の段は残りの比で決める。最後の段に必要な比は「目標 ÷ prefix」なので、既約分数の一覧(比の昇順に並べてある)を二分探索すれば、必要な値をまたぐ位置がすぐ分かる。
need = 目標の比 ÷ prefix の比
j = 一覧の中で need をまたぐ位置(二分探索)
下側 j−、上側 j+ のうち誤差の小さいほうから順に候補へ加える
上位20件の20番目より誤差が大きくなったら、この prefix は打ち切る
最後の段の比が need から離れるほど、上側・下側それぞれで誤差は単調に増える。だから2つの側を誤差の小さい順に合流させ、20番目を超えた時点で止めても取りこぼしは出ない。誤差が20番目とちょうど等しいときは止めずに続ける。合計歯数で順位が入れ替わる可能性があるからだ。
3段では、さらに prefix の段階で枝を刈る。最後の段にどの比を選んでも、誤差が「許容誤差」と「20番目の誤差」の大きいほうを超えるなら、その prefix ごと飛ばす。それでも3段で歯数を8〜150枚・上限10まで広げると1回の計算に1秒前後かかったので、3段のときは歯数の最大を100枚までにしている。手持ちの歯車も、2段の総当たりが重くならないよう24枚までにした。
許容誤差に入る組の総数は、上位20件とは別に数える。許容範囲を最後の段の比の範囲に直し、一覧を二分探索して区間の要素数を数える方式で、区間の両端の1つ外側までは実際に誤差を計算して判定し、境界の丸めで数え漏れが出ないようにしている。参照実装では、この高速版と単純な総当たりの結果(上位20件の並び・許容内の総数)が、60通りのランダムな条件で一致することを確かめた。
同軸・手持ち・ねじ切りの扱い
同軸の条件では、歯数の和 S を最小歯数の2倍から最大歯数の2倍まで動かし、和が S になる歯数の組を比の順に並べて、同じ S の中で2段を組む。同じ既約分数の組は合計歯数が最も少ない1つだけを残す。
手持ちのモードでは、手持ちから 2×段数 の枚数を取り出し、駆動側・従動側に分けて総当たりする。同じ歯数の歯車は別の個体として扱うが、結果は歯数の値で重複を除く。ねじ切りのモードは手持ちのモードと同じ探索で、目標の比だけをピッチから決める。
親ねじのピッチ[mm] = 25.4 ÷ TPI (16TPI なら 1.5875mm)
目標の比 R = 親ねじのピッチ × 固定比 ÷ 目標のピッチ
実際のピッチ = 親ねじのピッチ × 固定比 ÷ 実際の比
10山のずれ = |実際のピッチ − 目標のピッチ| × 10
計算例——円周率から 14-44 が出るまで
ケース5の条件(1段・歯数8〜150・上限10・目標3.14159)で流れを追う。
- 1段なので prefix は無く、既約分数の一覧そのものを need = 3.14159 で二分探索する
- 3.14159 をまたぐ位置の下側には 135/43 = 3.13953、上側には 22/7 = 3.14286 がある
- 誤差は 22/7 が +0.0403%、135/43 が −0.0654% で、絶対値の小さい 22/7 が1位
- 22/7 の代表の歯数は k = ⌈8/7⌉ = 2 で 14-44。14 < 17 なので切下げの印、14 と 44 は公約数2を持つので互いに素の印は付かない
- 外へ広げると 113/36 = 3.13889(−0.0860%)が3位に入る
2位・3位の 135/43 と 113/36 は、連分数の 3/1 と 22/7 から作る中間の近似分数 (3 + 22k)/(1 + 7k) の k = 6 と k = 5 にあたる。連分数の主要な近似分数ではないが、歯数150枚以内ではこれらが 22/7 の次に近い。連分数の主要な分数だけを追っていたら見落とす組を、総当たりは制約の中でそのまま拾ってくる。
ギア比の計算機・換え歯車表との違い
冒頭の「なぜ作ったのか」で触れたとおり、歯車比の計算機の多くは歯数を入れて比を見る順方向の道具だ。このツールは向きが逆で、比を入れると歯数の組を返す。違いはその先にある。
制約を付けたまま探し、小さく作れる順に並べる。 段数・歯数の範囲・1段あたりの比の上限・許容誤差を条件にして、誤差の小さい順、誤差が同じなら合計歯数の少ない順に並べる。ちょうど作れる組が何十通りもあるとき、どれがいちばん小さく収まるかまで一度に見える。入力軸と出力軸を一直線に並べる同軸の条件を付けたまま探せるのも、手で組み合わせを試すといちばん時間を食うところだ。
換え歯車表との違い。 英語圏には旋盤の換え歯車表があり、使用例で照合に使った Ed Nisley の表は、ミニ旋盤の歯車セットについてピッチごとの組み合わせと誤差を並べている。ただ表は1台の機種・1組の歯車・決まったピッチの一覧なので、手持ちの歯車が違う、親ねじがミリ、主軸から換え歯車までに固定の歯車比がある、表に無いピッチを切りたい、といった場面では読み替えが要る。このツールは手持ちの歯数・親ねじ・固定比・目標のピッチをすべて入力にしているので、歯車を1枚足したら何が変わるかもその場で試せる。逆に、バンジョーに取り付けられるか、歯車どうしが干渉しないかは見ていない。そこは表や取扱説明書のほうが確かなので、組が決まったら照らし合わせてほしい。
関連ツールとの役割分担。 歯車まわりの計算は、段階ごとに道具を分けている。
- 負荷トルクと回転数から必要な減速比とモーター出力を決めるのは減速機選定計算ツール。比が決まったら、このツールで歯数を探す
- 歯数が決まったあとのピッチ円直径・中心距離・転位はギアモジュール計算。ギアモジュール計算にも減速比から従動側の歯数を出す入力があるが、1段で、駆動側の歯数を自分で決めてからの話になる
- 入力と出力を同軸にしたまま大きな比が要るなら遊星歯車減速比計算、1段で大きな比とセルフロックが欲しいならウォームギア効率・セルフロック判定
- 回転を直線の送りに変えるならラック&ピニオンの選定計算、軸間が離れているならタイミングベルト選定計算、チェーン駆動の丁数を変えるならスプロケット丁数変更シミュレーター
豆知識:127枚の歯車、63の代役、355/113
旋盤の127枚はインチとミリの橋渡し
インチの親ねじを持つ旋盤でメートルねじを切るために、127枚という半端な歯車が使われてきた。英語版 Wikipedia の Lathe の項にも、127枚の transposing gear(換算用の歯車)でインチとメートルのピッチを行き来できること、ただし多くの所有者は持っていないオプション品で、ほかの換え歯車より大きくバンジョーに付かない機種もあることが書かれている。
なぜ127なのか。1インチは正確に25.4mmと決まっていて、25.4 = 127 ÷ 5 だ。インチの親ねじの送りにはこの127が必ず入り込むので、切りのいいメートルのピッチに直すには、比のどこかで127を打ち消さなければならない。しかも127は素数(2の7乗引く1)で、小さい歯車2枚の積に分けられない。大きな1枚として持つしかない理由がここにある。
ちなみに1インチが25.4mmちょうどになったのは1959年の国際協定からで、それ以前のアメリカのインチは 100/3937 m(約25.4000508mm)だった。当時のアメリカの旋盤にとって127枚は、100万分の2ほどずれた「近似」だったことになる。
127枚が無い旋盤は63で代用している
ミニ旋盤の標準の換え歯車に127枚は無い。それでも使用例のミニ旋盤のケースで、ピッチ1.25mmの組と、21枚を足したピッチ0.5mmの組の誤差がそろって0.0125%になるのには、からくりがある。
127 × 63 = 8001 ≒ 8000
127/100 ≒ 80/63 (差は 8001分の1 ≒ 0.0125%)
127と63の積が8000より1だけ大きいので、127/100 は 80/63 でほぼ置き換えられる。上の2つの組は、どちらも駆動側2枚の歯数を掛けると63の倍数になっていて、この近似に乗っている。標準セットで7の倍数は35枚だけ、9の倍数は45枚だけなので、2段で63を作るには駆動側の2枚をこの2枚で埋めるしかない。21枚(3×7)を足すと、45枚・57枚・60枚のような3の倍数と組んで63の倍数を作れるようになり、従動側の選び方に余裕が出る。21枚の効き目の正体はこれだ。
円周率を歯車にすると
5世紀の中国の数学者祖沖之は、円周率の近似分数として密率 355/113 と約率 22/7 を示した。355/113 は 3.1415929… で、π と小数第6位まで一致する。歯車屋の目で見ると、113は素数で 355 = 5 × 71 なので約分できず、1段で作るなら355枚の歯車が要る。精度と大きさの引き換えが分数そのものに表れていて、使用例の円周率のケースで出てくる22/7は、その軽い側の分数だ。
円周率が歯車比に紛れ込むのは雑学だけの話でもない。ラックはピニオン1回転でピッチ円の円周ぶん(π × モジュール × 歯数)進むので、ハンドル1回転でちょうど100mm送りたい、といった装置では、比のどこかにπの近似分数が入り込む。
時計の歯車は「17枚」の外にある
歯車列の基礎の節で触れた17枚という切下げの目安は、圧力角20°のインボリュート歯形の話だ。機械式時計の小歯車(カナ)は歯数がずっと少なく、インボリュートで作ると切下げで歯元が細りすぎる。そのため時計ではサイクロイド歯形が使われてきた。
時計の針も歯車列の教材になる。分針の筒カナから日の裏車を経て時針の筒車へ、12:1 に落とす。筒車は筒カナの軸に被さるように付くので、入力と出力が一直線に並ぶ同軸の歯車列そのものだ(英語版 Wheel train の motion work の項)。手作りの時代は中心距離を式で決めず、1組ずつ実際にかみ合わせて軸穴の位置を写し取る道具(depthing tool)で決めていたという。その距離は、その1組にしか合わなかった。
歯数の組み合わせを探すときのTips
届く比の天井は暗算で先に見積もる
1段で作れる比は「1段あたりの比の上限」と「最大歯数 ÷ 最小歯数」の小さいほうで頭打ちになり、それを段数ぶん掛けた値が全体の天井になる。17〜100枚なら 100 ÷ 17 ≒ 5.88 なので、上限を7にしても1段は6倍弱、2段で約35倍、3段で約200倍が限界だ。目標の比がこれを超えるなら、入力する前に段数を増やすか歯数の範囲を広げると決められる。
許容誤差を0にして「ちょうど」が何通りあるかを先に見る
使用例のケース1のように、許容誤差を0にしても、ちょうど作れる組が何十通りも残ることがある。それだけあるなら誤差を許す必要はなく、合計歯数や中心距離で選べばいい。0通りなら、そこで初めて許容を0.1%、0.5%と少しずつ広げる。最初から広い許容で数千通りを眺めるより、打ち切りどころがはっきりする。
1段の上限は「段ごとの比をそろえるつまみ」に使う
使用例のケース3の後半(3段 100:1・上限5)のように、上限を下げるほど段ごとの比がそろい、1段だけ極端に大きな歯車が付く組が候補から外れる。ケースの高さをそろえたい、最終段の大歯車だけ飛び出させたくない、というときに効く。
既存の機械の比を測って入れるなら、回転を多めに数える
入力軸を10回転させて出力軸を数えるより、50回転、100回転と数えたほうが比の桁が増える。桁が足りていれば、元の歯数の比が誤差ほぼゼロで上位に出てくる(使用例の割り切れない比のケースがこれに当たる)。測った値を丸めすぎないのがコツだ。
手持ちに足す1枚は、素因数で当たりを付ける
目標の比を分数にして分母と分子の素因数を書き出し、手持ちの歯数に無い因数を持つ歯車を候補にする。インチの親ねじで127が絡むなら、上の豆知識の63(7 × 9)のように、近似の分数に要る因数を持つ歯車が効く。候補が2〜3枚に絞れたら、手持ちの欄に1枚ずつ足して、許容内の件数と1位の誤差を見比べる。
歯車列の歯数選定でよくある質問
20-60 と 17-51 のように、歯数を同じ倍率で大きくした組が一覧に出ないのはなぜ?
どちらも 1:3 で比が同じなので、歯数の範囲から探すモードでは1つに数え、最小歯数を満たすいちばん小さい組だけを代表として出している(数え方の理由は「計算の仕組み」の節のとおり)。強度や軸径の都合で大きい歯車にしたいなら、表示された組の歯数を駆動・従動とも同じ整数で掛ければ比は変わらない。最小歯数の欄を上げて探し直せば、大きい側の組を代表にして並べ直すこともできる。たとえば最小歯数を20にすれば、1:3 の段の代表は 20-60 になる。
出力軸を入力軸より速く回したい(増速したい)ときは、どう入れる?
このツールの比は「入力の回転数 ÷ 出力の回転数」なので、増速は1より小さい値で入れる。1:4 の増速なら 0.25 だ(使用例のケース6)。各段の表示は「駆動の歯数-従動の歯数」の順なので、増速では左の数字のほうが大きくなる。4 を入れると減速として探すので、モーター側と負荷側を取り違えないように、比を入れる前にどちらが入力軸かを決めておいてほしい。
手持ちから選ぶ・ねじ切りのモードで、20-20 のような同じ歯数どうしの段が出るのはなぜ?
旋盤の換え歯車では、中間軸の位置合わせのために同じ歯数の2枚を使う組み方がふつうにあるので、この2つのモードでは 1:1 の段も候補に残している(例は「計算の仕組み」の節)。1:1 の段が1位に含まれると、段数を1つ減らしても同じ比が作れるという注記が出る。1段で足りるか、取り付けの都合で中間軸が要るかは機械に合わせて選んでほしい。歯数の範囲から探すモードでは 1:1 の段は使わない。
中心距離が段ごとに違う数字になるのはなぜ?
中心距離はモジュールと、その段の2枚の歯数の和で決まる(式は歯車列の基礎の節のとおり)。段ごとに歯数の和が違えば、中心距離も違って当然で、ふつうの平行軸の減速機ならそれで困らない。入力軸と出力軸を一直線に並べたいときは同軸の条件を付けて探すと、2段の歯数の和がそろった組だけが残り、中心距離も両段で等しくなる。中心距離は全段同じモジュール・転位なしの値で、モジュールの欄を空にすると出さない。段ごとにモジュールを変える、転位で中心距離を合わせるといった設計は、ギアモジュール計算の転位の計算で詰めてほしい。
換え歯車表や取扱説明書と違う組が1位に出た。どちらを使えばいい?
このツールは誤差と合計歯数だけで順位を付けていて、バンジョーに付くか、歯車どうしが当たらないかは見ていない。誤差が同じくらいなら、取り付けられることが確かめてある表や説明書の組を使えばいい。表の組とピッチがずれるときは、主軸から換え歯車までの固定の歯車比を入れ忘れていないかを先に確かめてほしい。固定比が違うと目標の比そのものがずれる。1位が付かないなら、一覧の下の候補から付くものを探す使い方もできる。
入力した歯数や目標の比は、どこかに送られる?
送られない。探索はすべて開いているブラウザの中で計算していて、目標の比・手持ちの歯車の歯数・親ねじの値などをサーバーへ送る処理は無い。社内の装置の減速比や、手元の旋盤の歯車構成をそのまま入れても外には出ない。3段で探すと許容内の組が35万通りを超えることもあるが、それも手元の端末で数えている。
まとめ:減速比から歯数の組み合わせを決める
目標の減速比(増速比)を入れると、1〜3段の歯車列で作れる歯数の組を、誤差の小さい順・小さく作れる順に並べるツールだ。同軸の条件、手持ちの歯車からの選択、旋盤の換え歯車でのねじ切りにも使える。
比そのものを負荷から決めるなら減速機選定計算ツール、歯数が決まったあとの寸法と転位はギアモジュール計算で詰める。同軸で大きな比なら遊星歯車減速比計算、1段で大きな比ならウォームギア効率・セルフロック判定、直線の送りはラック&ピニオンの選定計算(推力・トルク・歯の強さ)、ベルトやチェーンに置き換えるならタイミングベルト選定計算とスプロケット丁数変更シミュレーターが受け持つ。
この歯数のセットも足してほしい、うちの旋盤の式だと合わない、といった声があればお問い合わせページから知らせてほしい。