敷鉄板・アウトリガー接地圧計算

クレーンの機体重量と吊り荷からアウトリガー最大反力を概算し、敷鉄板サイズ別の接地圧を令93条の許容地耐力と照合する

移動式クレーンのアウトリガー1脚あたりの最大反力を概算し、敷鉄板を介した接地圧を建築基準法施行令93条の許容地耐力と照合して可否を判定する。メーカーの反力計算書がある場合は反力を直接入力できる。

アウトリガー反力

全装備状態。5〜200t

据付のみなら0。0〜100t

実務慣用の安全側概算。旋回してブームが1脚方向を向いたときが最大

敷鉄板

1524×3048mm・最も一般的

板が薄い・地盤が不均一なら70〜80%。50〜100%

地盤条件

令93条 50 kN/m²・未舗装の造成地の目安(括弧内は長期 kN/m²)

令93条の長期許容応力度をそのまま使う。据置き時間が長い、地盤が粘性土、判断に迷う——のいずれかなら長期で照査する

計算結果

安全率1.05接地圧 47.5 / 許容 50 kN/m²
注意(許容内・余裕小)

アウトリガー最大反力

220.6 kN

22.5 t

接地圧

47.5 kN/m²

有効支持面積 4.65 ㎡

許容地耐力

50 kN/m²

砂質地盤・ローム層・長期(推奨)

安全率

1.05

許容地耐力 ÷ 接地圧

必要支持面積

4.41 ㎡

現在の敷板で 1 枚相当

敷板面積

4.65 ㎡

5×10(ゴットー)・22mm厚換算 約802 kg

有効支持面積率100%は敷板が完全な剛体として全面で荷重を伝える理想状態です。実際にはフロート直下に応力が集中し、板の縁ほど地盤に伝わる力は小さくなります。板厚が薄い・板に対してフロートが小さい・地盤が不均一な場合は70〜80%に落として安全側で確認してください

本ツールのアウトリガー反力は「機体総重量と吊り荷重量の和に分配率を掛ける」概算式によるものです。実際の反力はブーム長さ・作業半径・旋回角度・アウトリガー張出し量によって変動するため、作業計画の最終判断は必ずメーカーが公表するアウトリガ反力計算書・反力表によってください。許容地耐力は建築基準法施行令93条の表の値を準用したもので、建築物の基礎を対象とした規定です。実地盤の支持力は地盤調査によって確認してください。敷鉄板の効果は板の曲げ剛性に依存し、本ツールは「敷板面積×有効支持面積率」の範囲に荷重が一様に伝わると仮定した簡易モデルです。地下埋設物、法肩・擁壁際・掘削際、軟弱層上の薄い良質土といった条件では、平均接地圧が許容内でも局部的な破壊・沈下が起こります。移動式クレーンの設置・作業計画は労働安全衛生規則に基づき有資格者が作成・確認してください。

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25tラフターの下に、5×10を1枚敷けば足りるのか

現場に25t級のラフテレーンクレーンを入れる。搬入経路も揚重範囲も詰めた。最後に残るのが「敷鉄板は何をどれだけ手配するか」だ。5×10(ゴットー)を4枚か、それとも1脚に2枚ずつで8枚か。元請の担当者に「その根拠は?」と聞かれて、数字で即答できる人はそんなに多くない。

移動式クレーンの作業計画書には、たいてい「地盤の状況」「敷板・鉄板等の措置」という欄がある。吊り荷重量も作業半径も定格総荷重表から拾えるのに、この欄だけは毎回手が止まる。必要なのは、1脚に何トン載るのかという反力、それを敷鉄板の面積で割った接地圧、そして地盤の許容地耐力に収まるかの照合——たった3つ。それでも順に出すのが面倒で、結局「5×10を敷いとけば大丈夫だろう」で通してしまう。

このツールは、その3つの数字を1画面で出す。機体総重量と吊り荷を入れれば1脚あたりの最大反力を概算し、敷鉄板サイズごとの接地圧を建築基準法施行令93条の許容地耐力と突き合わせ、足りなければ必要支持面積と「今の敷板で何枚相当か」まで逆算する。

揚重計画で事故になるのは、能力不足より据付地盤側だった

きっかけは、以前に作ったクレーン揚重計画のチェックツールだ。作業半径とブーム長から定格総荷重を引いて、吊り荷が何%に収まるかを判定するもので、それ自体はよく使われた。ただ、公開してしばらく経ってから、決定的に抜けている検討があることに気づいた。「吊れるか」は判定できても、「そのクレーンがそこに立てるか」がまるごと落ちている。

転倒事故の記録を読むと、定格総荷重を超えて吊ったケースよりも、アウトリガーが沈んだ・敷板が浮いた・埋設物の上で地盤が抜けた、という据付側の話がかなりの比率を占める。定格総荷重表は「水平で安定した地盤に正しく据え付けた状態」を前提にした数字であり、その前提が崩れた瞬間に表そのものが無効になる。能力計算だけ完璧にやっても、足元が抜けたら意味がない。

では敷鉄板の検討をどこでやるか。メーカー各社は優秀なアウトリガ反力計算ツールを持っているが、たいてい自社機種の型式を選ぶ前提で、会員登録が要る。他社機が入る現場や、そもそも機種が確定していない計画段階では使えない。一方、ネットの解説記事は「軟弱地盤では敷鉄板を敷きましょう」で終わっていて、何サイズを何枚なら足りるのかという数字が出てこない。間を埋める道具が無かった。

だから、機種に依存しない概算式を軸に据えた。文献が示す「機体質量とつり荷質量の和の70〜80%が1本のアウトリガーに集中する」という分配率を使えば、入力は機体重量・吊り荷・分配率の3つで済む。メーカーの反力計算書が手元にある人のために、その値を直接入れて敷板選定だけ回せる直接入力モードも併設した。概算で当たりを付け、正式な数字が出たら差し替える——実務の流れをそのまま形にしたつもりだ。

アウトリガー反力と接地圧の基礎

クレーンは4本足の椅子ではない — アウトリガー 反力 計算 の考え方

4本足の椅子に体重をかけたら、1本あたり体重の1/4——という感覚で移動式クレーンを見ると、大きく踏み外す。椅子と違ってクレーンは旋回する。ブームが1本のアウトリガーの方向を向いた瞬間、重心はその足の側へ大きく寄り、荷重の大部分がその1脚に集中する。

イメージとしては、テーブルの端に立って体を乗り出す動作に近い。両足で床に立っているうちは体重が二等分されるが、前のめりになれば体重のほとんどがつま先側に移る。クレーンの場合、これがブームの旋回と作業半径の変化で起きる。

労働安全衛生総合研究所の技術資料は、この集中の度合いについて「1本のアウトリガーに作用する最大反力は、機体質量とつり荷の質量の和の70〜80%に達する」としている(労働安全衛生総合研究所 技術資料 SD-No.22『移動式クレーンの安定設置に必要な地盤の支持力要件』)。1/4どころか、3倍前後の開きがある。この70〜80%という幅こそが、本ツールの反力分配率 K の根拠だ。

// 概算モード(機種非依存)
R[t]  = (機体総重量 + 吊り荷+フック重量) × K   // K = 0.70 / 0.75 / 0.80
R[kN] = R[t] × 9.80665                        // 質量 → 力

機体25t・吊り荷5t・K=0.75なら、R = (25 + 5) × 0.75 = 22.5t。これを力に直すと 22.5 × 9.80665 = 220.6kN になる。30tの総重量のうち22.5tが1脚に載る、という感覚を持っておくと現場での判断が早い。

敷鉄板 接地圧 計算 は、結局のところ面積の話

接地圧は σ = R / A で決まる。力を面積で割るだけ。だから接地圧を下げる手段は「反力を下げる」か「面積を広げる」かの二択しかなく、現場で即座に効くのは後者だ。

アウトリガーのフロート(先端の受け板)は、仮に一辺40cm角なら接地面積は約0.16㎡。ここに5×10の敷鉄板(1524×3048mm=4.65㎡)を1枚かませると、面積は約29倍になる。面積が29倍になれば、同じ反力に対する接地圧は1/29。敷鉄板が効くのは、この単純な逆比のおかげだ。

ただし、この「面積が広がる」効果は板が曲がらない範囲でしか成立しない。敷鉄板は完全な剛体ではなく、フロートの直下に応力が集中し、板の縁へ行くほど地盤に伝わる力は小さくなる。そこで本ツールでは有効支持面積率という係数を置き、板全面が効くと見るなら100%、板が薄い・板に対してフロートが小さい・地盤が不均一といった条件では70〜80%へ落として安全側で評価できるようにしている。

A_eff = 敷板面積[㎡] × 有効支持面積率[%] / 100
σ     = R[kN] / A_eff                          // kN/m²

許容地耐力とは何か

地盤に載せられる圧力の上限が許容地耐力だ。ここで押さえておきたいのは、許容地耐力は「地盤が壊れる圧力」そのものではないという点。地盤が支持力を失う限界の圧力を極限支持力と呼び、それを安全率(一般に3程度)で割った値が許容地耐力になる。つまり許容値の時点で、すでに3倍前後の余裕が織り込まれている。

本ツールは建築基準法施行令第93条の表をそのまま採用した。岩盤1000、固結した砂500、密実な礫層・土丹盤300、密実な砂質地盤200、堅い粘土質地盤・堅いローム層100、砂質地盤・ローム層50、粘土質地盤20(単位はいずれも kN/m²)。同条ただし書きにより、短期に生ずる力に対する許容応力度は長期の2倍とされているため、荷重期間を短期に切り替えると許容値が2倍になる。

なおこの表は建築物の基礎を対象とした規定であり、クレーンの一時載荷に準用しているのは実務上の慣行だ。埋立地・盛土は表に規定が無いため、本ツールでは粘土質地盤と同じ20 kN/m²を暫定値として置き、選択中は常に「地盤調査が必要」という警告を出すようにしている。

この検討を飛ばすと、何がどう壊れるか

アウトリガーが沈む事故は、突然ひっくり返るわけではない。段階を踏む。

まず、接地圧が許容地耐力を超えるとフロート直下の地盤が塑性化し、敷板の一角が沈み込む。次に機体が傾く。傾けば重心が外側へ移動し、実際の作業半径が図面より伸びる。定格総荷重は作業半径が伸びるほど急激に落ちるため、「規定内で吊っていたはず」の荷が定格を超える。さらに反力が増えてもう一段沈む——この正のフィードバックが回り始めると、オペレーターの操作で止められる領域を短時間で抜ける。転倒災害の多くが、この連鎖の途中にある。

法令上も、この検討は任意ではない。クレーン等安全規則第70条の3は、地盤が軟弱であることや地下工作物の損壊のおそれによって移動式クレーンが転倒するおそれのある場所での作業を原則禁止し、地盤の改良や鉄板等の敷設といった転倒防止措置を講じた場合に限って認めている。同規則第66条の2は、作業前に作業の方法・転倒を防止するための方法・労働者の配置と指揮系統を定めることを求めている。作業計画書の地盤欄は、この「転倒を防止するための方法」を書く場所だ。

さらに厄介なのが、面積平均では足りているのに局部で壊れる条件だ。下水管・ガス管・カルバートといった地下埋設物の直上、法肩や擁壁際、掘削際、軟弱層の上に薄く敷いただけの良質土——これらは平均接地圧の照査を通過しても、局部的な支持力不足で抜ける。計算がOKでも、埋設物図と現地の目視は省略できない。

数字の感覚として押さえておきたいのは、地盤種別の見立てが1ランク違うだけで許容値が1.5〜2.5倍動くことだ。令93条の表で隣接ランクの比を取ると、1000/500=2.0、500/300≒1.67、300/200=1.5、200/100=2.0、100/50=2.0、50/20=2.5。「砂質地盤(50)」と見るか「密実な砂質地盤(200)」と見るかで許容値は4倍変わり、それがそのまま敷板の枚数を決める。だからこそ、地盤の見立ては当てずっぽうでなく、地盤調査報告書か、せめて近隣の柱状図から拾いたい。

使いどころ

作業計画書の地盤支持力欄を埋めるとき。 反力・接地圧・許容地耐力・安全率が一度に出るので、コピー機能で結果を1行テキストとして書き出し、そのまま計画書の根拠欄に貼れる。

現場入り前に敷鉄板を何枚リースするか決めるとき。 5×10と4×8で判定が変わるかを即座に比べられる。不足なら必要支持面積と「今の敷板で何枚相当か」が出るので、手配枚数の当たりが付く。

施主や元請から「この地盤で本当に大丈夫か」と聞かれたとき。 地盤種別を1ランク落として再計算し、それでも安全率1.0を割らないことを見せれば、感覚論ではない答えになる。

造成地・埋立地で地盤改良の要否に当たりを付けるとき。 埋立地・盛土を選ぶと許容値20 kN/m²での照査になり、大判の敷板でも足りないケースが多い。砕石置換やセメント安定処理を計上すべきかの初期判断に使える。

狭所で4×8しか敷けない現場の可否判断。 敷けるサイズが物理的に決まっている現場では、「機体を1クラス落とす」か「地盤改良する」かの分岐を数字で示せる。

基本の使い方

① 反力を決める。 メーカーのアウトリガ反力計算書や反力表が手元にあるなら「反力を直接入力」を選び、1脚あたりの最大反力をトンで入れる(資料が kN 表記なら9.80665で割る。490kN → 50.0t)。無ければ「重量から概算」で機体総重量と吊り荷+フック重量を入力し、反力分配率を選ぶ。機体据付のみを見たいときは吊り荷を0にしてよい。

② 敷鉄板サイズと有効支持面積率を選ぶ。 5×10・5×20・4×8の定番か任意寸法。選択中の面積と22mm厚換算の質量が下に表示されるので、リース手配やユニックの積載検討にも使える。板が薄い・地盤が不均一なら有効支持面積率を70〜80%へ。

③ 地盤種別を選んで判定を見る。 安全率がOK(1.5以上)/注意(1.0以上)/不可(1.0未満)の3段階で出る。不可なら必要支持面積と枚数相当が対策量の目安になる。

迷ったら、まず分配率0.75・長期・有効率100%で当たりを付ける。判定がぎりぎりだと感じたら分配率0.80・有効率80%に振り直し、それでも1.0を割らないことを確認する——この2回転で、実務上必要な安全側評価はほぼ足りる。

8ケースで見る、判定が動くポイント

以下はすべて実装済みの計算エンジンに同じ入力を与え、出力を確認した値。

ケース1: 25t級ラフター+吊り荷5t・砂質地盤(デフォルト)

入力: 概算・機体25t・吊り荷5t・K0.75・5×10・有効率100%・砂質地盤(50)・長期 結果: 反力22.5t=220.6kN/敷板面積4.65㎡/接地圧47.5 kN/m²/許容50/安全率1.05/注意

いちばん典型的な組合せが、実は余裕ゼロに近い。47.5に対して許容50、差はわずか5%。「25tラフターに5×10を1枚」は、未舗装の造成地では成立しているようで成立していない。次にやるべきは地盤の再確認だ。

ケース2: 同条件で地盤だけ密実な砂質地盤(200)

結果: 接地圧47.5(ケース1と同一)/許容200/安全率4.21/OK/必要支持面積1.10㎡

反力も敷板も一切変えていない。地盤の見立てを1段上げただけで安全率が1.05から4.21へ跳ね上がる。締め固めた砕石路盤なら200 kN/m²の目安に入るので、同じ現場でも「未舗装のままか、路盤を打ってから据えるか」で結論が変わる。敷板を増やすより地盤側を動かす方が効く、という典型例。

ケース3: 敷板だけ4×8に落とす

結果: 敷板面積2.97㎡/接地圧74.2 kN/m²/許容50/安全率0.67/不可/必要支持面積4.41㎡・2枚相当

5×10(4.65㎡)から4×8(2.97㎡)へ、面積は約64%に縮む。接地圧は逆比で1.56倍の74.2へ上がり、判定は不可に転落。狭所で4×8しか置けない現場なら、1脚に2枚並べる・地盤改良する・機体を1クラス落とす、のいずれかが要る。

ケース4: 有効支持面積率を70%へ落とす

結果: 有効支持面積3.25㎡/接地圧67.9 kN/m²/許容50/安全率0.74/不可/2枚相当

敷板は5×10のまま、面積の効き方だけを安全側に見た。それだけで安全率が1.05から0.74へ落ちる。板が薄い、フロートが小さい、地盤が不均一——どれかに該当するなら、ケース1の「注意」は楽観的すぎたことになる。判定が1.0付近をうろつくときは、この評価を必ず一度通したい。

ケース5: 同条件を短期扱い(令93条ただし書き×2)

結果: 接地圧47.5(ケース1と同一)/許容100/安全率2.11/OK/必要支持面積2.21㎡

接地圧は1ミリも動かず、許容値だけが2倍になる。ただしこれは「数時間の一時載荷で、砂質・礫質の即時沈下が支配する地盤」に限って許される見方だ。据付が数日に及べば粘性土では圧密沈下が進む。短期を選ぶ判断そのものが検討事項——迷ったら長期。

ケース6: メーカー反力40tを直接入力・5×20

入力: 直接入力・反力40t・5×20・有効率100%・堅い粘土質地盤(100)・長期 結果: 反力392.3kN/敷板面積9.29㎡(22mm厚換算 約1604kg)/接地圧42.2 kN/m²/許容100/安全率2.37/OK/必要支持面積3.92㎡

反力計算書がある場合の使い方。5×20は5×10のちょうど2倍の面積(9.29㎡)なので、反力が40tへ増えても接地圧は42.2に収まる。ただし1枚1.6t。敷板そのものの運搬・敷設に制約が付くため、判定と同時に質量を出している。

ケース7: 埋立地・盛土+有効率50%(小型ユニック15t+吊り荷3t)

入力: 概算・機体15t・吊り荷3t・K0.70・5×10・有効率50%・埋立地・盛土(20)・長期 結果: 反力12.6t=123.6kN/有効支持面積2.32㎡/接地圧53.2 kN/m²/許容20/安全率0.38/不可/必要支持面積6.18㎡・3枚相当

機体15tの小型ユニックで吊り荷も3tと軽い。それでも埋立地では大きく不可になる。「小さいクレーンだから大丈夫」が通用しない例だ。必要支持面積6.18㎡に対し有効面積が2.32㎡しかないので3枚相当だが、現実には敷板を並べるより砕石置換などの地盤改良を先に検討する場面。20 kN/m²自体が令93条の表に無い暫定値なので、地盤調査も必須になる。

ケース8: 大型機の警告域(機体200t+吊り荷100t)

入力: 概算・機体200t・吊り荷100t・K0.80・5×20・有効率100%・岩盤(1000)・長期 結果: 反力240t=2353.6kN/接地圧253.3 kN/m²/許容1000/安全率3.95/OK/必要支持面積2.35㎡

岩盤なので判定は余裕だが、1脚240tの反力域では別の警告が出る。この規模は敷鉄板1枚で処理する話ではなく、覆工板や仮設構台の設計、地盤改良、メーカー反力計算書による個別検討が前提。数字を出しつつ「専門的な検討の領域に入った」と知らせるのが役割だ。

8ケースを通すと、判定を動かす要因は反力・敷板面積・有効支持面積率・地盤種別・荷重期間の5つ。中でも地盤種別と有効支持面積率という「見立て」の2つが最も大きく効く。計算より、入力する前の観察が結論を決めている。

仕組み・アルゴリズム

なぜ「重量×分配率」の概算式を軸にしたのか

アウトリガー反力の出し方には、大きく3つの選択肢がある。

① メーカー機種別の反力表を内蔵する方式。 最も正確だが、各社・各型式・各アウトリガー張出し段階のデータを網羅する必要があり、公表されていない機種も多い。他社機が入る現場や機種未定の計画段階では使えない。

② ブーム姿勢から重心移動を解く厳密解。 機体の重心位置、カウンタウエイト量、ブーム自重と重心、旋回角、アウトリガースパンが必要になる。これらはメーカー個別データであり、ユーザーが入力できる情報ではない。

③ 重量×分配率の概算式。 入力は機体総重量・吊り荷・分配率の3つだけ。機種に依存せず、計画段階から使える。代わりに、ブーム姿勢による変動は分配率の幅(0.70〜0.80)に吸収させる。

本ツールは③を基本に据えた。理由は単純で、作業計画書の下書き段階でほしいのは「5×10で足りるのか、5×20が要るのか」という桁の判断であって、小数第2位の精度ではないからだ。そのうえで、正式な反力計算書がある人には直接入力モードを用意した。概算で当たりを付け、正式値が出たら差し替えて敷板選定だけ回す——という二段構えになっている。

計算フロー

// 1. 反力(inputMode で分岐)
reactionT  = estimate ? (machineWeight + loadWeight) * K : directReaction
reactionKn = reactionT * 9.80665                  // GRAVITY

// 2. 敷板と有効支持面積
plateAreaM2     = widthM * lengthM                // 5×10 = 1.524 × 3.048
effectiveAreaM2 = plateAreaM2 * effectiveRatio / 100
plateMassKg     = 7.85 * 22 * plateAreaM2         // 22mm厚換算の参考値

// 3. 照査
contactPressure = reactionKn / effectiveAreaM2
allowable       = 令93条の長期値 * (loadTerm === "short" ? 2.0 : 1.0)
safetyFactor    = allowable / contactPressure

// 4. 逆算と判定
requiredAreaM2     = reactionKn / allowable
requiredPlateCount = Math.ceil(requiredAreaM2 / effectiveAreaM2 - 1e-9)
judgment           = safetyFactor >= 1.5 ? "safe"
                   : safetyFactor >= 1.0 ? "caution" : "ng"

分配率 K は0.70/0.75/0.80の3段階と任意入力。前述の技術資料が示す70〜80%という範囲を離散化したもので、既定値は実務慣用の0.75にした。敷板寸法は尺呼称(4×8・5×10)とは裏腹に実寸がフィート基準(1ft=304.8mm)なので、1.524 × 3.048 のようにメートルで直接保持し、mm↔m の換算をコード中に作らない設計にしている。質量換算だけは 7.85 × 板厚mm × 幅m × 長さm という慣用式がmmとmの混在を前提にしているため、板厚22mmをそのまま掛ける。この質量は接地圧の計算には一切使わない参考値だ。

requiredPlateCount- 1e-9 が入っているのは、必要支持面積と有効支持面積がちょうど一致するとき(安全率1.00ちょうど)に、浮動小数の誤差で1枚が2枚へ丸め上がるのを防ぐため。境界ケースをテストに入れて確認している。

ケース1をステップバイステップで追う

入力: 機体25t / 吊り荷5t / K=0.75 / 5×10 / 有効率100% / 砂質地盤50 / 長期

① 反力      (25 + 5) × 0.75        = 22.5 t
② 力に換算  22.5 × 9.80665         = 220.649625 kN
③ 敷板面積  1.524 × 3.048          = 4.645152 ㎡
④ 有効面積  4.645152 × 100/100     = 4.645152 ㎡
⑤ 接地圧    220.649625 / 4.645152  = 47.501056 kN/m²
⑥ 許容      50 × 1.0(長期)        = 50 kN/m²
⑦ 安全率    50 / 47.501056         = 1.052608  → 1.0以上1.5未満 = 注意
⑧ 必要面積  220.649625 / 50        = 4.412992 ㎡
⑨ 枚数      ceil(4.412992 / 4.645152 - 1e-9) = 1 枚

⑧の必要支持面積が「反力を許容地耐力で割るだけ」で出るのは、照査の式を面積について解き直しただけだからだ。σ = R / A ≦ 許容A ≧ R / 許容 と読み替えれば、右辺がそのまま必要面積になる。安全率1.0ちょうどに相当する面積なので、実務では必要面積そのものではなく、そこに1.5倍程度の余裕を見た面積で敷板を手配したい。

なお⑦で安全率1.05という数字が出たとき、これを「許容内だから問題なし」と読むか「余裕が5%しかない」と読むかで対応が分かれる。令93条の許容地耐力は極限支持力に対して既に安全率3程度を織り込んだ値なので、1.0を上回っていれば規定上は許容内だ。それでも本ツールが1.5未満を「注意」に落としているのは、反力そのものが概算であること(分配率0.70〜0.80の幅だけで±7%程度動く)、地盤が均一でないこと、敷板下に応力集中があること——この3つの不確実性を、判定バンド側で吸収させるためだ。

機種の縛りも社内フォーマットの縛りもない接地圧計算

メーカー各社もアウトリガー反力の計算資料やツールを用意している。ただしどれも「自社機種の型式を選ぶ」ところから始まる作りで、多くは会員登録やログインが前提だ。手元にその機種の資料が揃っている現場なら最短だが、リース会社からどの機体が来るかまだ決まっていない段階では使えない。「25t級のラフターが入る予定、型式は未定」という一番早い時期に、敷鉄板を何枚手配するか決めなければならないのが実務だよね。

もう一つの選択肢が、社内で受け継がれてきたExcelの計算書。実績がある反面、フォーマットに依存する。数式が保護セルに隠れていて根拠を追えない、地盤種別の選択肢が自社の標準工事に合わせて絞られている、担当者の異動で更新が止まっている——という話は珍しくない。

本ツールは機種にも社内様式にも依存しない。反力の概算(またはメーカー反力表からの直接入力)、敷鉄板サイズの選定、令93条の許容地耐力との照合、不可だった場合の必要支持面積の逆算までを1画面で通す。同じ25t級ラフター+吊り荷5tでも、5×10なら安全率1.05で「注意」、4×8に落とすと0.67で「不可」——という比較が、選択肢を切り替えるだけで並ぶ。

揚重計画全体の中では役割が分かれている。「そのクレーンで吊れるか」を能力側から見るのがクレーン揚重計画チェッカー、「そのクレーンが立てるか」を据付地盤側から見るのが本ツール、「吊り具は持つか」を見るのが吊り金具とワイヤーロープ側のツールだ。地盤の許容支持力そのものをN値や土質定数から算定するのは地盤支持力・接地圧計算ツールの領域で、本ツールは「既知の許容地耐力に対してクレーンの接地圧が収まるか」を照査する側に徹している。

敷鉄板の呼び名が尺なのに、実寸がフィートな理由

現場で敷鉄板を注文するときに口にするのは「ゴットー」「シハチ」「サブロク」——5×10、4×8、3×6という尺の呼び名だ。ところがカタログの実寸法は、メートルにもぴったり合わない半端な値になっている。

  • 5×10 → 1524×3048mm(4.645152㎡)
  • 5×20 → 1524×6096mm(9.290304㎡)
  • 4×8 → 1219×2438mm(2.971922㎡)

フィート基準(1ft = 304.8mm)で作られているからだ。5ft = 1524mm、10ft = 3048mm。呼び名だけが尺の慣習に残り、寸法は鋼材流通に合わせてフィートで決まっている。厄介なのは、製品によっては本当に尺基準の1515×3030mmで流通しているものもあること。実寸が違ったら「任意寸法」で入れ直したほうが安全。

厚さは19 / 22 / 25mmの3種が主流で、標準は22mm。質量の慣用式は 7.85 × 板厚mm × 幅m × 長さm(7.85は鋼の比重)で、5×10なら約802kg、5×20なら約1604kg、4×8でも約513kg。カタログの「5×10で約800kg」とぴったり合う。接地圧の計算には一切使わない数字だが、手配段階では効く。4t車のユニックで5×20を運べば1枚で積載の大半を食うし、荷降ろしにもクレーンが要る。「必要枚数は出たが運べない」を防ぐために、選択中サイズの質量を常に表示している。

板厚が接地圧の式に出てこないのには意味がある。板厚が効くのは面積ではなく剛性——載った荷重をどこまで広い範囲に分散して地盤へ渡せるか、という性能だ。薄い板は載荷点の周りで曲がり、板の縁まで力が届かない。有効支持面積率という係数を持たせているのはこのためで、板が薄い・フロートが小さい・地盤が不均一なら70〜80%に落として安全側で見る。敷鉄板は「敷けば安全」ではなく、「板が曲がらない範囲でしか効かない」。

単位の話も一つ。本ツールは1t = 9.80665kNの厳密値で換算しているが、現場資料では1t ≒ 10kNで概算することも多い。差は約2%(10 ÷ 9.80665 = 1.0197)で、安全率が1.05のような境界付近では判定を左右しかねない。手元の資料と結果が微妙にずれたら、まずこの換算係数を疑ってみて。反力分配率の根拠は労働安全衛生総合研究所の技術資料 SD-No.22『移動式クレーンの安定設置に必要な地盤の支持力要件』 が詳しく、無料公開なので作業計画書の根拠として引用しやすい。

判定をぎりぎりで通さないための5つのコツ

  • 反力は最悪姿勢で見る。 反力は旋回角で刻々と変わり、ブームが1脚の方向を向いたときに最大になる。「作業中はほとんど真横」という運用でも、旋回の途中で必ずその姿勢を通る。
  • 迷ったら分配率0.80・有効支持面積率80%・長期の3点セット。 デフォルト条件で有効率だけ70%に落とすと安全率は1.05から0.74まで下がり、判定が「注意」から「不可」に反転する。この感度を知っておくと、ぎりぎりの判定を安易に通さなくなる。
  • 「並べる」より「フロート直下に厚い板」が効く場面がある。 必要枚数の表示は単純な面積比で、剛性までは見ていない。枚数を増やす前に板厚を上げる選択肢も検討する価値がある。
  • 掘削際・法肩・地下埋設物の上は、面積平均が足りていても不可。 この照査は「板の下に一様な地盤がある」前提だ。すぐ横が掘削面、下に下水管やカルバート——なら平均値に余裕があっても局部で崩れる。離隔を取るか防護を別途検討する。
  • 雨後は同じ地盤でも許容値が落ちる。 令93条の表の値は乾いた状態の目安であり、含水比が上がった造成地の表層は簡単に軟化する。判定が「注意」の域なら、日を改める判断も安全のうち。

よくある質問(FAQ)

メーカーの反力表と、このツールの概算値が合わない。どちらを使えばいい?

メーカーの反力表を使ってほしい。本ツールの概算式は「機体総重量+吊り荷重量」に分配率を掛けるだけで、ブーム長さ・作業半径・旋回角度・アウトリガー張出し量という姿勢の要素を一切見ていない。同じ機体・同じ吊り荷でも、ブームを短く立てているときと長く倒しているときでは1脚に集中する反力が変わる。概算値のほうが小さく出た場合は特に注意が要る。

反力計算書や反力表が手に入ったら「反力を直接入力」モードに切り替える。資料がkN表記なら9.80665で割ってt換算する(例: 490kN → 50.0t)。そこから先の「敷板サイズと地盤で足りるか」の照査がツールの役目になる。

敷鉄板を2枚重ねたら、接地圧は半分になる?

ならない。接地圧は R / A_eff(反力 ÷ 有効支持面積)で、上下に重ねても地面に触れている面積は1枚分のままだ。分母が変わらない以上、計算上の接地圧も変わらない。

二重敷きで増えるのは剛性——板全体としての曲げにくさで、その結果として荷重を分散できる範囲が広がる。本ツールではこの効果を有効支持面積率で扱うので、二重敷きなら有効率を高めに見てよいという関係になる。横に「並べた」場合は接地面積そのものが増えるため、合計面積を任意寸法として入力すればいい。結果の「◯枚相当」は並べる方向の枚数を指した面積比の目安で、デフォルト条件を4×8に落とすと2枚相当、埋立地で有効率50%まで落とすと3枚相当と出る。

クローラクレーンや杭打機にも使える?

対象外にしている。クローラクレーンや杭打機は履帯で接地しており、荷重の分布形状がアウトリガーの4点支持とはまったく違う。履帯は長い接地面を持つ代わりに、機体の前後傾斜や旋回で接地圧が前端・後端に大きく偏る。「総重量 ÷ 履帯接地面積」の平均を出しても、実際に地盤が壊れるのは偏った端部からだ。

履帯の接地圧は台形分布・三角形分布として扱うのが一般的で、日本建設機械化協会の『移動式クレーン、杭打機等の支持地盤養生マニュアル』がこの領域を体系的に扱っている。クローラ機の養生計画はそちらを参照してほしい。本ツールはアウトリガーを張り出して4点で支持する移動式クレーン(ラフター、オールテレーン、ユニック等)が前提。

安全率が1.0台の「注意」判定。工事を進めてよいということ?

「許容内だが余裕が薄い」という意味であって、進めてよいという判断ではない。令93条の許容地耐力は極限支持力に対してすでに安全率を見込んだ値なので、1.0以上なら理屈のうえでは許容内に収まっている。ただし反力は概算、地盤は不均一、敷板下には応力集中——この3つの不確実性を考えると1.0すれすれは危うい。

注意判定が出たら、分配率を0.80に、有効支持面積率を80%に振って再計算してみて。それでも1.0を割らないなら実質的な余裕があると判断できる。割るなら、敷板の大判化・複数枚並べ・地盤改良・アウトリガー最大張出しの徹底で対策する。

入力した機体重量や現場の地盤条件は、どこかに保存される?

されない。反力・敷板寸法・地盤種別といった入力はすべてブラウザ内のJavaScriptだけで計算しており、サーバーへの送信も保存も行っていない。ページを再読み込みすれば初期値に戻る。まだ公表前の物件条件や、施主から提供された地盤調査の数値を入れても外部に出ることはない。

結果を残したいときは「結果をコピー」ボタンでテキストを取り出す。反力・敷板サイズ・有効支持面積・接地圧・許容地耐力・安全率・必要支持面積が1行にまとまった形式でコピーされるので、そのまま作業計画書に貼り付けられる。

まとめ

敷鉄板のサイズと枚数は、勘と経験ではなく「反力 ÷ 有効支持面積 vs 許容地耐力」という一本の式で決まる。機体重量と地盤種別を選ぶだけで安全率と必要支持面積まで出るので、作業計画書の地盤支持力欄はここから埋めてほしい。

前段の「そのクレーンで吊れるか」はクレーン揚重計画チェッカー、地盤の許容支持力そのものの算定は地盤支持力・接地圧計算ツール、吊り具側は吊り金具設計シミュレーターワイヤーロープの安全荷重計算、仮設構台や足場の荷重検討は足場荷重・強度検討ツールが対応している。

計算結果への疑問や、扱ってほしい条件のリクエストはお問い合わせページから受け付けている。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。現場代理人に「この地盤で5×10を1枚でいけますか」と聞かれて即答できなかったのが、このツールを作った直接のきっかけ。反力の概算式と令93条の表さえ手元にあれば30秒で答えが出せる、という状態を目指した。

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