クレーン揚重計画チェッカー

揚重物重量・作業半径・揚程から必要クレーン能力を逆算。定格荷重比の安全判定付き。

揚重物の重量・作業半径・揚程を入力するだけで必要定格荷重とクレーン能力を自動逆算。

吊荷条件

吊り上げる物の重量

ワイヤー・シャックル・治具等の合計→ 自動概算: 0.09 t

旋回中心〜吊荷重心

地面〜フック先端

クレーン条件

判定結果

定格荷重比

58.0%

適正範囲

総吊荷重 3.19 t ÷ 補正後定格 5.5 t

推奨クレーン能力
25t吊
必要定格荷重
3.5 t

定格の90%以内に収める

必要ブーム長(概算)
20.6 m

ブーム先端〜フック間 +3m 含む

総吊荷重
3.19 t
荷重内訳

揚重物 3.00 t + 玉掛器具 0.09 t(概算) + フック 0.10 t

本ツールは揚重計画の概算検討用です。実際のクレーン作業ではメーカーの定格荷重表・地盤条件・風速等を必ず確認し、クレーン等安全規則に基づく作業計画書を作成してください。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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📘 揚重計画・クレーン作業の参考書

現場でよくある「このクレーンで足りる?」問題

鉄骨の建方、空調室外機の搬入、仮設材の荷揚げ——現場で揚重作業が発生するたびに、「25tラフターで足りる? 50t呼ばなきゃダメ?」と悩んだ経験、あるよね。

メーカーの定格荷重表を引っ張り出して、作業半径を拾って、ブーム長を逆算して……。慣れていれば15分、不慣れなら1時間かかる作業だ。しかも計算ミスは即転倒事故に直結する。

クレーン揚重計画チェッカーは、揚重物の重量・作業半径・揚程を入力するだけで、玉掛器具重量やフックブロック重量まで含めた総吊荷重を自動算出し、必要なクレーン能力を逆算してくれるツール。定格荷重比の安全判定もワンタップで確認できる。

なぜクレーン揚重計画チェッカーを作ったのか

逆算ツールがなかった

クレーンの定格荷重表はメーカー・機種ごとにフォーマットがバラバラで、「この重さの物をこの距離で吊りたいけど、何トン吊りのクレーンが必要?」という逆引きに対応したツールがほとんど見つからなかった。

現場監督やオペレーターは経験則で「たぶん50tあれば大丈夫」と判断しがちだけど、その「たぶん」が安全率を食い潰しているケースは少なくない。特に中間張出や短距離で使うとき、定格荷重がどこまで落ちるか正確に把握していない人は多い。

玉掛器具重量が見落とされがち

揚重物の重量だけでクレーンを選ぶと、ワイヤーロープ・シャックル・吊天秤などの玉掛器具重量とフックブロック重量が漏れる。小型クレーンほどこの誤差が致命的になる。本ツールでは自動概算(吊荷の3%)とフックブロック重量の自動加算を組み込んだ。

安全率を「見える化」したかった

クレーン等安全規則では定格荷重を超える使用が禁止されているが、実務では定格の90%を上限の目安として運用することが多い。この「90%ルール」をツール内に組み込み、定格荷重比をパーセント表示とカラー判定で可視化した。80%超で注意、90%超で警告——計算結果を見た瞬間に「もう1ランク上のクレーンにしよう」と判断できる。

揚重計画とは何か——クレーン選定の基礎知識

総吊荷重 とは

クレーン作業で実際にフックにかかる荷重の合計を「総吊荷重」と呼ぶ。計算式はシンプルだ。

総吊荷重 = 揚重物重量 + 玉掛器具重量 + フックブロック重量

揚重物そのものの重量だけではなく、吊るために使うワイヤーロープ、シャックル、吊天秤、さらにクレーン側のフックブロック(巻上げ装置のフック部分)の重量も加算する必要がある。これを見落とすと定格荷重ギリギリの計画になり、風や旋回の動的荷重で一気に危険域に入る。

定格荷重 と 作業半径 の関係

クレーンの定格荷重は「作業半径ごとに変わる」のがポイント。作業半径とは、クレーンの旋回中心から吊荷の重心までの水平距離のこと。半径が大きくなるほどモーメント(荷重×距離)が増えるため、定格荷重は急激に下がる。

たとえば50tクレーンでも、作業半径5mなら22t吊れるが、20mまで伸ばすとわずか4.2tしか吊れない。この「半径が倍になると定格が1/5以下になる」という感覚を持っていないと、現場で「足りない」事態が起きる。

クレーン等安全規則 の要点

クレーン等安全規則第66条の2では、移動式クレーンの作業にあたり、定格荷重を超える荷重をかけてはならないと定めている。また、作業前に作業計画を策定し、作業半径・定格荷重・ブーム長を明記した揚重計画書を作成することが義務付けられている。

ブーム長の概算

ブーム長は作業半径と揚程から三角関数で概算できる。

ブーム長 ≒ √(作業半径² + (揚程 + 3)²)

+3mはブーム先端からフックまでの距離の概算値。実際のブーム長はジブの有無・起伏角度によって変わるが、計画段階の概算値としてはこの式で十分実用的だ。

揚重計画を軽視するとどうなるか

転倒事故のリスク

クレーン転倒事故の主な原因は「過荷重」と「アウトリガの不完全な張出」。厚生労働省の労働災害統計によれば、移動式クレーンの災害は毎年数十件報告されており、転倒事故は重篤度が高い。

定格荷重の90%以上で作業する計画は、旋回時の動的荷重や風荷重を加味すると実質的に定格超過に近い。「ギリギリ足りる」は「ギリギリ足りない」と紙一重であることを認識すべきだ。

アウトリガ張出幅の影響

アウトリガを最大に張り出さない場合、定格荷重は大幅に低下する。中間張出で約80%、最小張出では約60%にまで落ちる。道路上や狭小地でアウトリガを全開にできない現場は多いが、この低減係数を計画に反映していないケースが散見される。

法的責任

定格超過でクレーン事故が発生した場合、事業者は労働安全衛生法違反で刑事責任を問われるだけでなく、現場代理人・オペレーターにも安全配慮義務違反の民事責任が及ぶ。「計算していなかった」は言い訳にならない。

施工計画のこの場面で差がつく

鉄骨建方の計画段階

鉄骨建方では柱・梁・ブレースなど部材ごとに重量が異なり、据付位置によって作業半径も変わる。揚重計画チェッカーで全部材の最大重量×最大半径をチェックし、必要クレーン能力を押さえておけば、クレーン手配のミスを防げる。

設備機器の搬入計画

空調機器やキュービクル、受水槽などの大型設備を屋上に揚重する場面。設備重量に加えて搬入治具の重量を加算し、建物端からの離隔距離(=作業半径)で必要クレーン能力を確認。見積段階で正しいクレーン費を計上できる。

仮設足場の大組工法

足場材の一括揚重(パネル荷揚げ)では、一度に吊る本数×単体重量に玉掛治具重量を加えた総重量が必要。分割搬入とのコスト比較にも使える。

現場説明・協議での根拠資料

元請との揚重計画協議で「このクレーンなら定格荷重比が65%で十分余裕がある」とデータで示せれば、計画承認がスムーズに進む。コピー機能で計算結果をそのまま計画書に貼り付けられる。

基本の使い方

操作は3ステップで完結する。

Step 1: 吊荷条件を入力する

揚重物の重量(t)、作業半径(m)、揚程(m)を入力してみて。玉掛器具重量は空欄にしておけば自動で吊荷重量の3%として概算される。正確な重量がわかっていれば手入力もできる。

Step 2: クレーン条件を選択する

クレーン種別(ラフター・オールテレーン・クローラ・トラック)を選び、アウトリガ張出幅を指定する。最大張出が基本だけど、狭小地で中間・最小張出しかできない場合はそれを選択すればOK。

Step 3: 判定結果を確認する

定格荷重比のステータスカードで安全性を一目確認。推奨クレーン能力・必要定格荷重・ブーム長概算が表示される。結果はコピーボタンで揚重計画書にそのまま貼り付けられる。

具体的な使用例(検証データ)

ケース1: 鉄骨柱の建方(小規模)

入力値:

  • 揚重物重量: 2.0 t(H形鋼柱)
  • 作業半径: 8 m
  • 揚程: 12 m
  • アウトリガ: 最大張出

計算結果:

  • 総吊荷重: 2.16 t(玉掛0.06t + フック0.1t)
  • 必要定格荷重: 2.4 t
  • 推奨クレーン: 16t吊

解釈: 16tラフターで十分対応可能。定格荷重比も低く余裕がある。

ケース2: 空調室外機の屋上搬入

入力値:

  • 揚重物重量: 1.5 t
  • 作業半径: 15 m(建物端からの離隔)
  • 揚程: 20 m(5階建屋上)
  • アウトリガ: 最大張出

計算結果:

  • 総吊荷重: 1.65 t
  • 必要定格荷重: 1.83 t
  • 推奨クレーン: 16t吊

解釈: 作業半径15mでの16t定格は1.8t。ギリギリなので25tに上げるのが安心。

ケース3: プレキャストコンクリート部材

入力値:

  • 揚重物重量: 8.0 t
  • 作業半径: 12 m
  • 揚程: 10 m
  • アウトリガ: 最大張出

計算結果:

  • 総吊荷重: 8.54 t
  • 必要定格荷重: 9.49 t
  • 推奨クレーン: 50t吊

解釈: 35t吊だと作業半径12mでの定格荷重が不足。50tが最低ライン。

ケース4: 仮設足場パネルの荷揚げ

入力値:

  • 揚重物重量: 0.8 t(足場パネル×4枚)
  • 作業半径: 6 m
  • 揚程: 25 m
  • アウトリガ: 最大張出

計算結果:

  • 総吊荷重: 0.92 t
  • 必要定格荷重: 1.03 t
  • 推奨クレーン: 10t吊

解釈: 10tクレーンで十分。ただし揚程25mに対応するブーム長(約26m)が確保できるか要確認。

ケース5: 狭小地でのキュービクル搬入(中間張出)

入力値:

  • 揚重物重量: 3.5 t
  • 作業半径: 10 m
  • 揚程: 5 m
  • アウトリガ: 中間張出(×0.8)

計算結果:

  • 総吊荷重: 3.71 t
  • 必要定格荷重: 4.12 t
  • 推奨クレーン: 25t吊

解釈: 最大張出なら16tで足りるが、中間張出による定格低減で25tが必要に。張出幅の制約は1ランク上のクレーン手配に直結する。

ケース6: 大型鉄骨梁の建方

入力値:

  • 揚重物重量: 15.0 t
  • 作業半径: 20 m
  • 揚程: 30 m
  • アウトリガ: 最大張出

計算結果:

  • 総吊荷重: 15.85 t
  • 必要定格荷重: 17.61 t
  • 推奨クレーン: 250t吊

解釈: 作業半径20mで15t超を吊るにはかなり大型のクレーンが必要。作業半径を縮める据付計画の見直しも検討すべき。

仕組み・アルゴリズム

候補手法の比較

クレーン選定の計算方法として2つのアプローチを検討した。

方法A: 機種別の詳細定格荷重表を内蔵——メーカーごとの正確な値が使えるが、機種が膨大で更新も頻繁。汎用ツールには不向き。

方法B: 代表的な能力帯ごとの概算テーブル——10t〜250tの9段階で作業半径5〜25mの定格荷重を代表値としてテーブル化。機種を問わない概算用途に適している。

本ツールでは方法Bを採用した。実務の「どのクラスのクレーンが必要か」を判断する目的には十分な精度であり、特定メーカーに依存しない汎用性を優先した。

計算フロー

1. 総吊荷重を算出
   W_total = W_load + W_sling + W_hookBlock

2. 必要定格荷重を算出(安全率90%以内)
   W_rated_min = W_total / 0.9

3. ブーム長を概算
   L_boom = √(R² + (H + 3)²)

4. アウトリガ補正
   factor = 1.0(最大) / 0.8(中間) / 0.6(最小)

5. テーブル照合(線形補間)
   各クレーンの作業半径Rでの定格荷重を補間
   → 補正後定格 = 定格 × factor
   → 補正後定格 ≥ W_rated_min の最小クレーンを選定

6. 定格荷重比を算出
   ratio = W_total / 補正後定格 × 100%

計算例: 3t吊荷 × 作業半径10m

W_load = 3.0 t
W_sling = 3.0 × 0.03 = 0.09 t(自動概算)
W_hookBlock = 0.1 t(25t以下)
W_total = 3.0 + 0.09 + 0.1 = 3.19 t

W_rated_min = 3.19 / 0.9 = 3.54 t

テーブル照合(最大張出):
  16t吊 @ R=10m → 定格3.5t → 3.5 < 3.54 → NG
  25t吊 @ R=10m → 定格5.5t → 5.5 ≥ 3.54 → OK

推奨: 25t吊
定格荷重比 = 3.19 / 5.5 × 100 = 58.0%(適正範囲)

線形補間の仕組み

テーブルにない中間の作業半径(例: 12m)では、隣接する2点の定格荷重から線形補間で求める。たとえば25t吊の作業半径10m(5.5t)と15m(3.2t)の間で12mを補間すると:

定格 = 5.5 + (12 - 10) / (15 - 10) × (3.2 - 5.5)
     = 5.5 + 0.4 × (-2.3)
     = 4.58 t

メーカーアプリとここが違う

機種を選ばない汎用性

メーカー製アプリは自社製品の定格荷重表に特化しており、他社機種には使えない。本ツールは9段階の能力帯で概算するため、「何トン吊りクラスが必要か」をメーカー問わず判断できる。

逆引き発想

多くの定格荷重表は「このクレーンでこの半径なら何トン吊れるか」という順引き。本ツールは「この荷物を吊るには何トン吊りが必要か」という逆引きに対応しており、計画段階の実務フローに直結する。

ブラウザ完結・アプリ不要

専用アプリのインストールや会員登録は不要。スマートフォンのブラウザでアクセスすればすぐ使える。現場事務所でもタブレットでサッと確認できる。

クレーンにまつわる豆知識

クレーンの語源は「鶴」

クレーン(crane)の語源は英語で「鶴」。長い首を伸ばして餌を取る鶴の姿が、ブームを伸ばして荷を吊るクレーンに似ていることから名付けられた。古代ギリシャの時代から滑車と人力を組み合わせた揚重装置が使われており、クレーンの歴史は3000年以上に及ぶ。

定格荷重は「モーメント」で決まる

クレーンの定格荷重は「転倒モーメント」から逆算される。旋回中心を支点として、ブーム先端にかかる荷重×作業半径のモーメントが、カウンターウェイト×距離のモーメントを上回ると転倒する。つまり定格荷重 = カウンターウェイトモーメント ÷ 作業半径(安全率込み)という関係だ。作業半径が2倍になると定格荷重が半分以下に減るのは、このモーメントバランスの原理による。

揚重計画で失敗しないTips

風速10m/s以上は作業中止を検討

クレーン等安全規則では、強風(10分間平均風速10m/s以上)時の作業中止を定めている。風速8m/s程度でも吊荷が揺れて作業半径が変動し、実質的な定格超過になるリスクがある。風の強い日の計画には余裕を持った選定を。

地盤養生は必ず確認

アウトリガの接地面積あたりの荷重が地盤の許容地耐力を超えると沈下・転倒の原因になる。敷鉄板やアウトリガマット、地盤改良の有無を計画段階で確認しておくべき。特に埋戻し直後の地盤は要注意。

最大半径は「旋回中の最大値」で計画する

吊荷を据え付ける位置の作業半径だけでなく、旋回中に通過する最大作業半径で計画すること。旋回途中でビルの角を回る場合など、一時的に半径が大きくなるポイントを見落とさないように。

よくある質問

Q: 定格荷重表はどのクレーンメーカーに準拠している?

特定のメーカー・機種には準拠していない。10t〜250tの代表的な能力帯における概算テーブルを使用しており、計画段階で「何トン吊りクラスが必要か」を判断する目的で設計している。正式な揚重計画書の作成時には、実際に使用するクレーンのメーカー定格荷重表を必ず確認してほしい。

Q: アウトリガの張出幅による補正係数は正確?

最大張出100%、中間張出80%、最小張出60%は一般的な目安だ。実際の補正係数はメーカー・機種ごとに異なり、中間にも複数段階がある場合がある。本ツールの値は概算用途と理解してほしい。

Q: 入力したデータはサーバーに送信される?

一切送信されない。全ての計算はブラウザ内で完結しており、入力データは端末の外に出ない。通信が発生するのはページの読み込み時のみ。

Q: ブーム長の概算が実際と合わない場合は?

ブーム長は √(作業半径² + (揚程+3)²) で概算しているが、ジブ装着時やブーム起伏角度が浅い条件では誤差が大きくなる。実際のブーム長はクレーンの性能表で確認し、ブーム長ごとの定格荷重表を参照してほしい。

まとめ

クレーン揚重計画チェッカーは、揚重物の重量・作業半径・揚程を入力するだけで必要クレーン能力を逆算できる。玉掛器具重量やフックブロック重量の見落としを防ぎ、定格荷重比の安全判定で「本当にこのクレーンで足りるか」を即座に確認できるのが最大のメリットだ。

吊り角度による張力が気になった人は吊り角度 張力チェッカー、ワイヤーロープの安全荷重を調べたい人はワイヤーロープ安全荷重計算も試してみて。


不具合や要望があれば、X (@MahiroMemo)から気軽に教えて。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。現場で「25tで足りる?50t必要?」と毎回悩んでいた経験から、逆引きで必要クレーン能力を一発で出せるツールを作った。

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