ウキとガン玉の浮力バランス計算

ウキの浮力表示から、釣り合うガン玉の組み合わせを総当たりで出す。鉛の水中での目減り・ハリやサルカンの重さ・海水と淡水の差まで入れて計算

ウキの浮力表示に釣り合うガン玉の組み合わせを総当たりで出す。鉛は水の中で約9%軽くなり、ハリ・サルカンの重さもかかるので、表示どおりに打つと沈むことがある

よくある仕掛けから選ぶ

ウキ

ウキの浮力表示

自重を入れると海水と淡水の浮力差も出る。パッケージの自重表示か、キッチンスケールで量る

表示の基準

釣研は海水基準と公表している。分からなければ海水のまま

使う場所

ガン玉と仕掛け

ガン玉のメーカー

同じ6Bでも 1.90g と 2.70g。袋の表記で確かめる

ガン玉の素材

手持ちのガン玉

10個まとめて量って割ると正確

狙い

入れるとトップが水面に出る長さを出す

釣り合うガン玉G3
釣り合い
水面(海)

トップの色は判定で変わる( 釣り合い/ 浮きすぎ/ 沈む)

使う水でのウキの浮力

0.500 g

表示 0.550 g(基準水で 0.500 g)

ハリ・サルカンの水中重量

0.261 g

必要なガン玉(水中)

0.239 g

選んだ組み合わせ 0.227 g

基準水との浮力の差

0.000 g

ウキの体積 10.24 cm³

表示どおり打ったとき

-0.261 g

沈む

残る余浮力

+0.012 g

目標との誤差 +0.012 g

トップの出る長さ

—

トップ径を入れると出る

表示どおりの号数を打つと、ハリ・サルカンの重さ(水中 0.261 g)の分だけ沈む。表示はガン玉だけで釣り合う前提の数字

ほかの組み合わせ(±0.03g 以内 11 通り・個数の少ない順)

組み合わせ個数水中重量余浮力
G310.227 g+0.012 g
G4 + G820.236 g+0.003 g
G5 + G720.236 g+0.003 g
G6×220.218 g+0.021 g
G4 + G720.264 g-0.024 g
G5 + G620.264 g-0.024 g
G7×330.246 g-0.006 g
G6 + G7 + G830.246 g-0.006 g
G6 + G8×230.218 g+0.021 g
G7×2 + G830.218 g+0.021 g
G5 + G8×230.264 g-0.024 g

ウキの表示は『そのガン玉だけで基準水に釣り合う』とみなし、第一精工の重さで計算している。水の密度は海水1.025・淡水1.000・汽水1.010

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📘 ウキ釣りのガン玉と円錐ウキ

関連ツール

Bのウキに、Bのガン玉。なのにウキがじわじわ沈んでいく

堤防の足元。円錐ウキに刻まれた「B」を確かめて、袋から同じBのガン玉をつまみ、ハリスに噛ませる。仕掛けを投げ込むと、ウキはいったん立ち、そこから水面の下へじわじわ入っていく。アタリかと思って合わせても何も乗らない。回収してもう一度投げても、やはり沈む。表示どおりに打ったのに、どうしてこうなるのか。

理由ははっきりしている。ウキの浮力表示は「その号数のガン玉“だけ”を付けたときに釣り合う」数字で、ハリ・ハリス・サルカン・ゴム管の重さはどこにも入っていない。たとえば3Bのウキに表示どおり3Bを打ち、ハリとサルカンで0.5gをぶら下げると、ウキは水中で0.435g分だけ沈む側に傾く。付属物の分だけ、表示より軽いガン玉で釣り合わせる必要がある。

話はそこで終わらない。同じ「B」でもメーカーによって重さが違う。鉛は水の中に入ると軽くなる。海と川では水の重さそのものが違う。このページのツールは、ウキの表示と自重、ハリやサルカンの重さ、手持ちのガン玉の号数を入れると、釣り合う組み合わせを総当たりで探し、少ない個数のものから順に並べて出す。現場で「G2を打って、まだ浮くからG5を足して……」と繰り返していた作業を、釣り場に着く前に机の上で済ませておくための道具だ。

なぜ作ったのか — 早見表には「水」が書いていない

ガン玉の打ち方を調べると、出てくるのはほとんどが早見表だ。号数とグラム数の対応が一列に並び、「Bのウキには B、2Bのウキには G2を2つ」といった目安が添えられている。便利ではあるけれど、実際の仕掛けで使ってみるとずれる。ずれの原因は、表に載っていない3つの量にある。

1つめは、鉛が水の中では約9%軽くなること。空気中で0.55gのガン玉でも、海の中で糸を引く力は0.500gしかない。ウキの浮力表示もガン玉で決めた数字なので、表示どおりの組み合わせ同士なら目減りは打ち消し合う。ところがハリやサルカンは鉄で、鉛とは目減りの割合が違う。比べる物の素材が変わった瞬間に、空気中の重さでの足し算は合わなくなる。

2つめは、ガン玉の重さがメーカーごとに違うこと。同じ「6B」でも、第一精工の表では1.90g、YO-ZURI(デュエル)のガン玉 製品ページでは2.70gと、4割以上の開きがある。軽い号数ほど差は縮むが、Bで0.55gと0.48g、3Bで1.00gと0.94g。早見表はたいていメーカーを書いていないので、手持ちの袋と同じ表なのかが分からない。

3つめは、海水と淡水で浮力が変わること。海水の密度は淡水より約2.5%大きい。ウキの体積が10cm³あれば、それだけで0.25g前後の差になる。ガン玉のG3ひとつ分だ。海水基準で浮力を合わせた自重10gのBウキを川に持ち込むと、浮力は0.256g減る。ハリとサルカン0.3gを付けただけでほぼ沈み切り、ガン玉は1個も打てない。

この3つは、どれも単独なら知っている釣り人が多い。けれど、3つを同時に足し引きして「では手持ちのどれを何個打てばいいか」まで答えてくれる表はない。だから全部を式に入れて、組み合わせまで一気に出すことにした。

ウキの浮力とガン玉の釣り合い — 押しのけた水の重さで全部説明できる

ウキ釣りの浮力の話は、ひとつの原理だけで最後まで説明がつく。アルキメデスの原理、つまり「水に沈めた物は、押しのけた水の重さと同じ大きさの力で上に押される」というものだ。以下、重さはすべてグラム(g)で扱う。

ウキの浮力とは何か — 体積×水の密度−自重

ウキを水に完全に沈めたとき、ウキは自分の体積ぶんの水を押しのける。体積が10cm³で水が海水(密度1.025g/cm³)なら、押しのけた水は10.25gで、これがウキを押し上げる力になる。ウキ自身の重さ(自重)が10gなら、差し引き0.25gぶんの「持ち上げる余力」が残る。この余力を正味浮力と呼ぶ。ガン玉を付けて、この余力をちょうど使い切ったとき、ウキのトップが水面ぴったりで止まる。

たとえるなら、風呂と海水浴の違いだ。海では体がぷかりと浮きやすく、プールや風呂では同じように力を抜いても沈みがちになる。体の体積と体重は変わっていないのに、周りの水が重くなったぶん、押し上げる力だけが増える。ウキもまったく同じことをしている。

ガン玉 水中の重さ — 鉛は海水で9.0%軽くなる

ガン玉の側にも同じ原理が働く。鉛(密度11.34g/cm³)の粒も水を押しのけるので、水の中では押しのけた水の重さだけ軽くなる。軽くなる割合は「水の密度÷素材の密度」で決まる。

素材密度 [g/cm³]海水中で軽くなる割合
鉛11.349.0%
スズ7.2914.1%
タングステン(釣り用の合金の目安)18.05.7%
鉄(ハリ・サルカン)7.8513.1%

ハリやサルカンは鉄なので、鉛より目減りが大きい。空気中の重さで足し算するとこの差が消えてしまうので、比べるときは必ず水中の重さにそろえる。代表的な号数を、メーカー別に海水中の重さへ直すと次のとおりになる。

号数第一精工(空気中)第一精工(海水中)YO-ZURI(空気中)YO-ZURI(海水中)
6B1.90g1.728g2.70g2.456g
3B1.00g0.910g0.94g0.855g
B0.55g0.500g0.48g0.437g
G30.25g0.227g0.24g0.218g
G80.06g0.055g0.06g0.055g

ウキの浮力表示の意味 — 「そのガン玉だけ」で釣り合う数字

ウキに書かれた「B」や「0.8号」は、その重さの鉛のガン玉だけを付けたとき、基準の水でトップが水面ちょうどになるという意味だ。ウキの浮力表示 D(空気中の鉛の重さ)、基準の水の密度 ρref、ウキの自重 m_f を使うと、この定義はそのまま式になる。

基準の水でのウキの正味浮力   N_ref = D × (1 − ρref / 11.34)
釣り合いの定義               V × ρref = m_f + N_ref
→ ウキの体積                 V = (m_f + N_ref) / ρref

1行目は「表示の鉛を基準の水に沈めたときの重さ」で、これがウキの正味浮力と等しい。2行目は「ウキが押しのけた水の重さ=ウキの自重+鉛の水中の重さ」という釣り合いそのものだ。ここから、カタログに体積が書いていなくても、自重さえ分かればウキの体積が逆算できる。

ウキ 海水 淡水 浮力 — 差は「体積×0.025」

体積が分かれば、別の水で使ったときの正味浮力も出る。使う水の密度を ρuse とすると、

使う水での正味浮力   N_use = V × ρuse − m_f
基準の水との差       N_use − N_ref = V × (ρuse − ρref)

自重が引き算で消えるので、差は体積と水の密度差だけで決まる。海水1.025と淡水1.000の差は0.025なので、海水基準のウキを淡水で使うと、体積[cm³]×0.025 g だけ浮力が減る。自重10gのBウキ(第一精工の0.55g表示、海水基準)なら、体積は10.244cm³、淡水での浮力の減り方は0.256gになる。第一精工のG3(0.25g)ひとつ分とほぼ同じ量だ。

釣研のスタッフブログ『浮力のお勉強』には、体積12.5cm³のウキで海水と淡水の差が0.375gになるという数値例がある。同じウキをこの式に入れると0.3125gで、差は比重差を0.03に丸めたか0.025で計算したかの違いだけ。式の形は一致している。同じ記事は、釣研のウキが「海水で使うと浮力が増える」前提で浮力を設定していることも明かしている。

釣り合いの式 — ハリとサルカンを引いた残りをガン玉で埋める

最後に仕掛け全体をまとめる。ハリやサルカンなどの付属物の重さを m_ex、使う水での各ガン玉の水中重量を w とすると、トップに残る余力(余浮力)は次のとおり。

付属物の水中重量   exW = m_ex × (1 − ρuse / 7.85)
ガン玉の水中重量   w   = 表の重さ × (1 − ρuse / ρ素材)
残る余浮力         余浮力 = N_use − exW − Σw

余浮力が0ならトップが水面ちょうど、プラスならトップが出て、マイナスならウキが沈む。表示どおりの号数を打った場合を考えると、基準の水と使う水が同じなら N_use と表示の鉛の水中重量が打ち消し合い、余浮力は −exW、つまりハリとサルカンの水中重量そのものだけ沈む側に傾く。冒頭の「表示どおりなのに沈む」の正体はこれだ。

釣り合いを外すと何が起きるか — 0.03gがトップ9mmになる世界

ウキ釣りで余浮力を気にするのは、ウキがアタリを伝える計器だからだ。計器の針がずれていると、魚の動きが読めなくなる。

浮きすぎの側に外すと、魚がエサをくわえてもウキが沈みにくい。魚は口にした瞬間の抵抗を嫌うので、浮力が残りすぎていると違和感で離されやすい。アタリが出ても小さく、ウキが少し揺れるだけで終わる。浮力の大きいウキは水面上に出る部分も大きくなり、風や波に押されて仕掛けが流されやすくもなる。

沈みすぎの側に外すと逆の問題が起きる。仕掛けがなじむにつれてウキが勝手に沈んでいき、アタリで入ったのか自重で入ったのか区別がつかない。夜釣りの電気ウキなら、光がゆっくり消えていくのを見て合わせても空振りになる。

どれくらいの精度が要るのか、トップの長さで感覚をつかんでおくとよい。第一精工のBウキ(自重10g・海水)でトップを少し出したいとき、余浮力0.05gを狙うとG4が1個選ばれ、残る余浮力は0.058gになる。トップの直径が2mmなら、水面から出る長さは17.9mmだ。直径2mmのトップは海水中で1mmあたり約0.0032gしか浮力を持たないので、±0.03gのずれはトップの長さで約9.3mm、最も軽いG8(海水中で0.055g)1個でも約17mmにあたる。ガン玉1粒の選び方で、目で見えるトップの出方がはっきり変わる。

釣り場を変えたときのずれも無視できない。海水基準のウキを使う前提で、同じ仕掛けを持ち込んだ場合を比べてみる。

  • 河口(汽水、密度1.010): 浮力が0.154g減り、海でG3だったところがG7(第一精工0.09g)1個でちょうどになる
  • 川・湖(淡水): 浮力が0.256g減り、ハリとサルカンだけでほぼ釣り合ってしまう

逆向きもある。淡水基準で作られたBウキを海で使うと、浮力は0.263g増える。この場合は表示どおりBを1個打つと、増えた浮力とハリ・サルカンの重さがたまたま打ち消し合ってほぼ釣り合う。海水基準の同じ表示のウキならG3で済むところで、Bが要るわけだ。表示の基準がどちらの水なのかで、打つべき号数が2段階以上ずれる。釣研のように海水基準と公表しているメーカーはあるが、すべてのウキに明記されているわけではないので、手持ちのウキの基準を一度確かめておく価値はある。

この計算が効く4つの釣り場

磯・堤防のウキフカセ。円錐ウキのB・G2クラスに、ハリとガン玉を1〜2個という軽い仕掛けがいちばん計算の効く場面だ。付属物の重さがウキの浮力と同じくらいの大きさなので、ハリを替えただけで釣り合いが崩れる。ハリの号数を上げた日こそ、打ち直す前に一度計算しておきたい。

河口のチヌ(汽水域)。海と川の水が混ざる場所では、水の密度が海水と淡水の中間になる。海で合わせた仕掛けをそのまま河口へ持っていくと浮力が減るので、ガン玉を軽い号数に替える必要がある。潮の満ち引きで塩分が変わる場所でもあり、汽水で計算した結果と海水で計算した結果を両方見ておくと、どちらに振れても対応できる。

電気ウキの夜釣り。2号・3号といった号数表示の電気ウキは浮力が大きく、ガン玉を3〜4個組み合わせて釣り合わせることが多い。暗い中で何度も打ち直すのは手間なので、組み合わせを事前に決めておく意味が大きい。

川の小物釣り。淡水基準の棒ウキにトップを少し出して使う釣りでは、余浮力をわずかに残す合わせ方が中心になる。トップの直径を入れておけば、トップが何mm出るかまで確かめられる。

基本の使い方は3ステップ

① ウキの表示と自重を入れる。 浮力表示は「B・G2など」「号数」「g」の3形式から選べる。表示の基準(海水か淡水か)と使う場所(海・川や湖や池・河口)も選ぶ。自重はパッケージの表示か、キッチンスケールで量った値を入れる。自重を空欄にすると、海水と淡水の補正をせずに計算する。

② ガン玉と仕掛けを入れる。 ガン玉のメーカー(第一精工かYO-ZURI)と素材(鉛・スズ・タングステン)を選び、手持ちの号数を選ぶ。ハリ・サルカン・ゴム管などの重さの合計と、打ってもよい個数の上限(1〜6個)も入れる。

③ 結果を見る。 釣り合う組み合わせ、判定(釣り合い・浮きすぎ・沈む)、残る余浮力が表示される。表示どおりの号数を打った場合の余浮力も並んで出るので、どれだけずれていたかが分かる。トップの直径を入れれば、トップが水面から出る長さも出る。ウキ・トップ・ガン玉の位置関係を描いた図と、ほかの組み合わせの一覧(上位20件)も表示される。

入力に迷ったら、「ウキフカセ(円錐B・海)」「電気ウキ(2号・夜釣り)」「川の小物釣り(棒ウキ)」「河口のチヌ(汽水)」の4つのプリセットから近いものを選び、そこから数字を手直しすると早い。プリセットはガン玉のメーカー・素材・手持ちの号数を書き換えないので、自分の袋の設定はそのまま残る。

使用例8ケース — 実際に入れて出た数字

ここでは特に断りのない限り、ガン玉は第一精工・鉛、手持ちは全14号数、ウキの浮力表示は海水基準として計算している。

ケース1|円錐ウキB・海・ハリ等0.3g → G3 1個で +0.012g

自重10gのBウキを海で使い、ハリとサルカンが合わせて0.3g、打つのは3個まで。結果はG3 1個で、余浮力は+0.012g、判定は釣り合い。許容(±0.03g)に入る組み合わせは11通りあり、そのうち個数が最も少ないものが選ばれている。表示どおりBを打つと−0.261gで沈む側になる。Bのウキに打つべきはBではなく、G1・G2を飛ばして3段階軽いG3だ。

ケース2|同じBウキを川で → ガン玉なしで −0.018g

ケース1のウキと仕掛けを、そのまま川・湖で使う。海水基準のウキなので浮力が0.256g減り、使う水での浮力は0.244gになる。ハリとサルカン(淡水中で0.262g)を引くと、もう−0.018gしか残らない。結果はガン玉なしで釣り合い(わずかに沈む側)。表示どおりBを打つと−0.519gで、はっきり沈む。川に持ち込むなら、ガン玉を外すかウキを1段階大きい浮力のものに替えるしかない。

ケース3|3Bウキ・付属物0.5g → 表示どおりの3Bは −0.435g、B 1個で −0.025g

3Bのウキ(第一精工の3B=1.00g)に、少し重めの付属物0.5gを付けた場合。表示どおり3Bを打つと余浮力は−0.435gで、付属物の水中重量(0.435g)がそのまま沈む側に出る。釣り合うのはB 1個で、誤差は−0.025g。許容内の組み合わせは19通りあった。「3Bのウキには3B」と覚えていると、Bで済む場面で2段階重い玉を打っていることになる。

ケース4|同じ3BウキをYO-ZURIの表で → B 1個で −0.016g

ケース3と同じ条件で、ガン玉のメーカーだけYO-ZURIに替える。YO-ZURIの3Bは0.94gなので、ウキの正味浮力は0.855gに下がる。必要なガン玉の水中重量は0.420gで、第一精工の表で計算した0.475gより0.055g少ない。選ばれるのは同じくB 1個だが、YO-ZURIのBは0.48gなので誤差は−0.016gになる。号数の名前が同じでも、中身のグラム数はメーカーの表に従って動く。

ケース5|電気ウキ2号・付属物1.0g・4個まで → 6B×3 + 2B で −0.005g

号数表示の電気ウキ2号(7.5g)、自重15g、付属物1.0g、ガン玉は4個まで。必要なガン玉の水中重量は5.953gと大きい。結果は6B×3 + 2Bで、誤差は−0.005g。4個以内で許容に入る組み合わせはこの1通りだけだった。6Bを3個打ったあと残りを何で埋めるかを現場で試していたら、まず見つからない組み合わせだ。

ケース6|素材で比べる → 鉛 +0.012g・タングステン +0.004g・スズ +0.025g

ケース1の条件で、ガン玉の素材だけ替えてみる。選ばれるのはどれもG3 1個だが、余浮力が変わる。鉛は+0.012g、タングステンは水中での目減りが小さいので+0.004gと、よりちょうどに近づく。スズは目減りが大きいので+0.025gで、許容の上限近くまで浮く側に寄る。同じ号数でも、素材を替えたら釣り合いの中身が変わることが分かる。

ケース7|手持ちがG2とG5だけ(2Bウキ) → G2 + G5 で +0.039g、浮きすぎ

2Bのウキ(0.85g)に付属物0.3g。ところが袋に残っているのがG2とG5だけだった場合。必要な水中重量は0.512gに対し、3個以内で最も近いのはG2 + G5の0.473gで、+0.039gの浮きすぎ。許容に入る組み合わせは0通りだった。「どう組んでも合わない」ことが釣り場に出る前に分かるので、足りない号数を買い足す判断ができる。

ケース8|G5ウキを川で・付属物0.5g → ガン玉なしでも −0.481g で沈む

海水基準のG5ウキ(0.17g表示、自重8g)を川で使い、付属物は0.5g。淡水ではウキ単体の正味浮力がすでに−0.044gで、ウキだけで沈む側になっている。そこに付属物(淡水中で0.436g)を足すと−0.481g。結果はガン玉を1個も打たなくても沈むという判定になる。浮力の小さいウキほど海水と淡水の差の影響が大きく、軽いハリに替えるくらいでは追いつかない。浮力の大きいウキに替えるのが答えだ。

計算の仕組み — 早見表・貪欲法・全列挙

3つの手法を比べた

釣り合うガン玉を探す方法は、大きく3つ考えられる。

1つめは早見表の引き算。必要な重さを出して、号数表からいちばん近い1個を選ぶ。単純だが、組み合わせを扱えないので、電気ウキのように3〜4個を組む場面では役に立たない。

2つめは貪欲法。重い号数から順に、はみ出さない最大のものを詰めていく方法で、釣り人が現場でやっている手順そのものだ。速いが、個数が最小になる組み合わせを見逃すことがある。たとえば第一精工の1号ウキ(3.75g)、自重15g、付属物0.5g、海で使う場合。必要なガン玉の水中重量は2.976gになる。貪欲法は最初に6B(1.728g)を取り、残り1.248gには5B(1.501g)が入らないので4B(1.182g)を取り、残り0.066gにはG7(0.082g)も入らないので、最後にG8(0.055g)で埋めて、6B + 4B + G8の3個(誤差+0.011g)で終わる。ところが5B×2の2個(誤差−0.025g)でも許容に入る。最初の6Bが、より少ない個数の答えへの道をふさいでいる。

3つめが全列挙。手持ちの号数から重複を許して0〜上限個を選ぶ組み合わせを、すべて計算して並べる。このツールはこの方法を採った。

全列挙の件数と並べ方

14号数から重複ありで最大6個を選ぶ組み合わせは、1〜6個で38,759通り、0個(ガン玉なし)を加えて38,760通り。ブラウザでも一瞬で終わる量なので、最適化の手法を持ち込む必要はない(同じ種類の問題はナップサック問題として知られ、大規模なら工夫が要るが、ガン玉の規模では全部試せば済む)。

全列挙のよいところは、並べ方の好みを素直に書けることだ。許容(±0.03g)に入る組み合わせがあれば、個数が少ない順 → 誤差の小さい順 → 使う号数の種類が少ない順 → わずかに浮く側を先 → 重い号数から並べた順で並べる。許容に入るものが無ければ、誤差の小さい順を最優先にする。許容の±0.03gは、最も軽いG8(0.06g)の半分。これより細かく合わせても、ガン玉1粒の個体差に埋もれてしまう。

自重が空欄のときに補正しない理由

前半の式のとおり、ウキの体積は自重から逆算している。自重が分からないと体積が決まらず、海水と淡水の差(体積×密度差)も出せない。そこで自重が空欄のときは、表示どおりの浮力が使う水でもそのまま出るとみなして計算する。たとえばケース2のウキで自重を空欄にすると、川で使ってもG3 1個(誤差+0.011g)と出る。自重を入れたときの「ガン玉なし」とは答えが変わるので、海と川をまたぐなら自重を入れておくほうがよい。

定数の選び方

水の密度は海水1.025・淡水1.000・汽水1.010を使っている。タングステンは純金属の19.25ではなく、釣り用の合金の目安として18.0を採った。ハリとサルカンは鉄の7.85でまとめている。真鍮のサルカン(8.5)と比べても、0.3gのサルカンで水中重量の差は0.003gにとどまり、許容の1割に満たない。鉛の密度11.34は鉛の物性値どおり。

計算例 — ケース1をステップで追う

ケース1(第一精工・Bウキ・自重10g・海水基準を海で・付属物0.3g・3個まで)が、前半の式を通ってどう答えに着くかを順に追う。

1. 表示 B → 第一精工の表で D = 0.55 g
2. 基準の水(海水)での正味浮力   N_ref = 0.500 g
3. ウキの体積                     V     = 10.244 cm³
4. 使う水も海水なので             N_use = 0.500 g(差 0.000 g)
5. 付属物 0.3 g の水中重量        exW   = 0.261 g
6. 必要なガン玉の水中重量         W*    = 0.500 − 0.261 = 0.239 g
7. 候補 G3 の水中重量             w     = 0.227 g
8. 残る余浮力                     0.500 − 0.261 − 0.227 = +0.012 g
   → 許容 ±0.03 g の内側。1個で入るのは G3 だけなので最良
9. 表示どおり B を打った場合      0.500 − 0.261 − 0.500 = −0.261 g(沈む)

9行目が、前半の釣り合いの式の節で触れた「表示どおりだと付属物の水中重量ぶん沈む」の数値版になっている。8行目で許容内に入った組み合わせは、G3を含めて全部で11通りあり、個数・誤差の順に並べた先頭がG3 1個になる。

ウキとガン玉の計算ツールとして、早見表と何が違うか

前半で触れたとおり、検索して見つかるのはガン玉の号数とグラムの早見表と、ウキの浮力表示の読み方の解説までだ。手元のウキとガン玉の数字を入れて「何を何個打てばいいか」を返す計算機は見当たらなかった。このツールが早見表と違うのは、次の4点になる。

  1. メーカーの表を選べる — ガン玉の重さは第一精工とYO-ZURI(デュエル)の公表値を別々に持ち、手持ちの袋と同じほうで計算する。出典の分からない平均値や混合値は使わない
  2. 水の中の重さで釣り合わせる — ガン玉もハリ・サルカンも、素材の密度から水中での重さに直してから足し引きする。ガン玉は鉛のほか、スズとタングステンも選べる
  3. 表示の基準水と、使う水を分けて扱う — ウキの自重を入れれば、海・川・河口のどこで使うかで浮力がどれだけ変わるかまで計算に入る
  4. 組み合わせを総当たりで並べる — 手持ちの号数と打てる個数の上限の中で、±0.03g に収まるものを個数の少ない順に出す。上限まで打っても届かないときは、届かないとはっきり表示される。トップの直径を入れれば、余浮力がトップ何mm分になるかも出る

関連ツールとは役割を分けている。オモリの号数とグラムの換算だけならオモリ・シンカー号数換算ツール、ハリの号数選びは釣り針サイズ換算&魚種別早見表、道糸やハリスの号数と強さは釣り糸スペック換算+糸巻量計算、PEラインにリーダーを結ぶ仕掛けならPEライン&リーダー組み合わせ診断が受け持つ。「水の密度が変わると浮力が変わる」という原理そのものは、ボートやいかだを扱う浮力・積載量シミュレーターや、海水の比重を塩分に直す海水水槽の比重・塩分濃度換算ツールと共通だ。このツールはその原理を、ウキ1本とガン玉数粒という釣り場の単位に落とし込んだものになる。

ガン玉・ジンタン・オモリの「号」— 呼び名はどこから来たのか

ガン玉 名前の由来は散弾銃の弾

ガン玉の「ガン」は銃のことで、昔は散弾銃の鉛の弾に切れ目を入れてハリスに挟んで使ったのが始まりと言われる。英語でも同じものを split shot(割った散弾)と呼ぶので、洋の東西で発想は同じだったことになる。

散弾の粒の大きさを記号と番号で呼び分ける習慣(散弾 - Wikipedia)があるのも、ガン玉の号数が記号と数字の混ざった体系になっている背景の一つだ。B の数が増えるほど重く、G の後ろの数字が大きいほど軽くなるので、向きが逆の2つの物差しを1本につないだものだと思っておくと覚えやすい。

ジンタンと「G」の数字

G 表記の小さなガン玉は、釣具店では「ジンタン」とも呼ばれる。銀色の小粒の口中清涼剤「仁丹」に見た目が似ているところから付いた愛称だ。ややこしいのは、デュエル(YO-ZURI)の製品ページのように G1〜G8 を「1号〜8号」と書くメーカーがあること。この「1号」はオモリの1号とはまったく別物で、YO-ZURI の1号(G1)は 0.40g しかない。ウキやオモリの「号」と、ガン玉の「号」は名前が同じでも別の体系だと覚えておくと、袋の表記で迷わない。

オモリ1号=1匁=3.75g

中通しオモリや電気ウキの浮力表示で使う「号」は、尺貫法の重さの単位「匁(もんめ)」から来ている。1匁は 3.75g で、1000匁が1貫(3.75kg)。もとは一文銭1枚の重さ「文目」に由来する(匁 - Wikipedia)。尺貫法は計量法で取引に使えなくなり、いまでも法定単位として「もんめ」が残るのは真珠の取引だけだが、釣り具の号数は単位ではなく品番の扱いなので、そのまま生き残った。

ウキの自重とガン玉を量る、現場の小技

  • 五円玉でスケールを確かめる — 五円玉は1枚 3.75g ちょうどなので、キッチンスケールが正しく量れているかの確認に使える。0.1g 単位のスケールでウキの自重を量るなら、乾いた状態で量ること。発泡素材や木のウキは濡れたままだと水を含んだ分だけ重く出る
  • ガン玉は10個まとめて量って割る — メーカーの表の重さは平均値で、1粒ずつには許容差がある。同じ号数を10個まとめて量り、個数で割ると、手持ちの袋が第一精工とYO-ZURIのどちらの表に近いかの見当がつく
  • 自宅のバケツで合わせるなら「使う水」を淡水にする — 水道水は淡水なので、海で使うウキを家で浮かべると、釣り場より沈み気味に見える。家での確認は使う水を「川・湖・池」にして計算した結果と見比べ、釣り場では「海」に戻して差を見るとよい
  • 重い号数は上に、微調整はG8で — 計算結果のうち重い号数はウキ寄りに、軽い号数はハリ寄りに打つと、仕掛けがなじみやすい。現場でトップの出方が合わないときは、ガン玉を付け替える前に、どちらのメーカー表でも 0.06g の G8 を1個ずつ足して詰める。外すときも G8 から外す

ウキとガン玉の計算でよくある疑問

ウキに「B」と「0.55g」の両方が書いてある。どちらで入れればいい?

グラムが併記されているなら、表示形式を「g」にしてその数字を入れるのがいちばん確かだ。「ガン玉表記」で入れると、選んだメーカー表の重さで表示をグラムに直すので、同じ「B」でもメーカーの選び方で必要なガン玉の量がわずかに変わる(使用例の3Bウキのケースがそれにあたる)。グラム表示ならその揺れが入らない。ガン玉表記しか書いていないウキは、手持ちのガン玉と同じメーカーの表を選んでおけば、結果がそのまま袋の号数と対応する。

タングステンやスズのガン玉にすると、結果はどう変わる?

素材の密度が違うので、同じ号数でも水中での重さが変わる。どれだけ変わるかは使用例の素材を比べたケースのとおりで、スズは鉛より水中で目減りが大きいぶん、同じ号数でもトップがやや出やすいと思っておけばよい。タングステンの密度を釣り用合金の目安で持っている理由は、前半の仕組みの節で説明している。注意したいのは、タングステンやスズのガン玉が鉛と同じ号数表で作られているとは限らないこと。袋にグラムが書いてあれば、第一精工とYO-ZURIのどちらの表に近いかを見てメーカーを選び、どちらにも近くなければ結果は目安として扱ってほしい。

ウキの自重が分からない。空欄のままでも計算できる?

できる。空欄のときに海水と淡水の差を補正しない理由と、そのとき答えがどう変わるかは前半の仕組みの節で扱ったとおりで、結果欄にも自重を入れると差が出る旨が表示される。表示の基準と同じ水で使うなら空欄でも困らない。川や河口へ持ち込むウキだけでも、Tipsの要領で一度量っておくとよい。

「上限◯個では浮力を消しきれない」と出た。どうすればいい?

打てる個数の上限に、手持ちでいちばん重い号数を並べても必要な重さに届かないときの表示だ。たとえば3号の電気ウキ(自重20g・ハリやサルカン0.3g)に「2個まで」で計算すると、最良でも 6B×2(水中 3.457g)にとどまり、まだ 6.516g 浮きすぎる。この差はガン玉の工夫では埋まらないので、個数の上限を増やすか、手持ちに重い号数を加えるか、そもそも中通しオモリや割りビシで重さを稼ぐ仕掛けを考えたほうがよい。号数の大きいウキほど、ガン玉だけで合わせるのは現実的でなくなる。

入力したウキやガン玉の数字はどこかに送られる?

送られない。計算はすべてブラウザの中で行っていて、入力したウキの浮力・自重・ガン玉の号数などをサーバーに送ったり保存したりはしていない。ページを閉じれば入力も消える。結果を残したいときは、コピー機能で文字として控えておいてほしい。仕掛けのメモとしてスマホのメモ帳に貼っておけば、次に同じウキを使うときにそのまま参照できる。

まとめ

ウキの浮力表示はガン玉だけで釣り合う数字で、ハリやサルカンの重さ、水の違い、メーカーごとのガン玉の重さは入っていない。このツールはそれを全部入れて、手持ちの号数で釣り合う組み合わせを出す。オモリの号数とグラムの換算はオモリ・シンカー号数換算ツール、ハリ選びは釣り針サイズ換算&魚種別早見表、糸の号数は釣り糸スペック換算+糸巻量計算やPEライン&リーダー組み合わせ診断で確かめられる。水の密度と浮力の関係は浮力・積載量シミュレーターや海水水槽の比重・塩分濃度換算ツール(水温補正・足し水・人工海水の量)でも同じ考え方を使っている。

気になる点や追加してほしいメーカーの表があれば、お問い合わせページから気軽に送ってほしい。

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Mahiro

Mahiro Appの開発者。フカセを始めた頃、Bのウキに袋のBを打っては沈ませ、海と川で同じ仕掛けが通用しない理由を海水の密度まで遡って調べたのがこのツールの出発点だ。

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