プラントの搬送ライン、まだ先輩の勘で決めてる?
「ベルト幅は800でいいだろ」「モーターは15kWで足りるって」——新人時代、こういう"経験値だけの設計判断"を聞いて、もやもやした覚えはないだろうか。根拠を聞いても「昔からこれで動いてるから」としか返ってこない。いざ搬送量を変更したいとき、どこからどう計算し直せばいいのか分からない。
ベルトコンベヤ設計計算ツールは、搬送物・距離・傾斜角を入力するだけで、ベルト幅・駆動力・張力・モーター出力・プーリの回転数とトルクを JIS B 8805 の式で一発算出するツールだ。数式を調べてExcelに打ち込む時間を、もっと本質的な設計判断に使ってほしい。
なぜベルトコンベヤ設計計算ツールを作ったのか
開発のきっかけ
メーカーが提供する選定ツールは、自社製品のカタログスペックに紐づいた専用ソフトが多い。「まずはメーカーに見積依頼」が業界の常識だが、概略設計や比較検討の段階で「ざっくり何kW必要か」「ベルト幅は600で足りるのか800なのか」を知りたい場面がある。
既存のWebツールは英語圏にいくつかあるが、JIS規格のベルト幅やモーター出力に対応したものがほとんどない。結局、毎回JIS B 8805(ゴムベルトコンベヤの計算式)を開いて電卓を叩く羽目になる。それなら、その計算フローをそのままWebツールにしてしまおうと考えた。
こだわった設計判断
搬送物プリセットは12種類を用意した。砂利から鉄鉱石、穀物、木材チップまで、嵩密度と最大傾斜角をセットで管理している。プリセットを選ぶだけで中央値が自動入力されるので、概略検討なら10秒で結果が出る。
ベルト速度は自動推奨を基本にしつつ、手動指定もできる設計にした。搬送物の密度とベルト幅から推奨速度を算出するが、実務では粉塵飛散や乗り継ぎの都合で速度を抑えたい場面がある。そういった微調整を妨げない柔軟さを持たせた。
ベルトコンベヤ設計計算の基礎知識
ベルトコンベヤ とは
ベルトコンベヤは、エンドレスベルトをプーリ間に張り渡し、上面に搬送物を載せて運ぶ連続搬送機だ。鉱山、砕石プラント、港湾、食品工場、物流倉庫——あらゆる産業で使われている。原理は単純だが、ベルト幅・速度・駆動力の組み合わせで搬送能力が大きく変わるため、設計計算が欠かせない。
たとえるなら、ベルトコンベヤは「動く歩道」の産業版だ。動く歩道の幅が狭ければ人が渋滞し、速度が遅ければスループットが落ちる。コンベヤも同じで、搬送量に見合ったベルト幅と速度を選ばないと、こぼれや過負荷が発生する。
搬送能力 計算式
搬送能力Qは次の式で求める:
Q = 3600 × A × v × γ [t/h]
A: ベルト上の搬送物断面積 [m²]
v: ベルト速度 [m/s]
γ: 搬送物の嵩密度 [t/m³]
断面積Aはトラフ角度とベルト幅で決まる。トラフ角度が大きいほどベルトが深い樋状になり、同じ幅でも多くの搬送物を積める。JIS B 8805(ゴムベルトコンベヤの計算式)は、有効幅 b = 0.9B − 0.05 のベルト上に、トラフの水切り断面と側角による盛り上がりを足して積載断面積を求める式を定めている。
トラフ角度 と 断面積係数
このツールは、トラフ角度ごとの係数kを使った概算 A = k × (B − 0.05)² で断面積を出している。JIS の式より小さめに出る(ベルト幅が広めに選ばれる)安全側の概算だ:
| トラフ角 | 係数 k (m²) | フラット比 |
|---|---|---|
| 0°(フラット) | ≈ 0 | — |
| 20° | 0.0435 | 1.0x |
| 25° | 0.0534 | 1.2x |
| 30° | 0.0625 | 1.4x |
| 35° | 0.0705 | 1.6x |
| 45° | 0.0825 | 1.9x |
35°が標準とされるのは、搬送効率と設備コストのバランスが良いから。45°にすれば容量は増えるが、ベルトの曲げ疲労が増し寿命が短くなる。
有効張力 とは
有効張力 FU は、コンベヤを動かすためにベルトに必要な力の合計だ。JIS B 8805 の簡易式(機長80m以上)では次の3つから成る:
FU = C × FH + FST [N]
FH : 主抵抗 = f × L × g × [qR + (2qB + qG) × cosδ]
C : 2次抵抗の係数(投入部の加速・プーリの巻付き抵抗などをまとめたもの)
FST: 傾斜抵抗 = qG × H × g
f : 複合摩擦係数(標準的な条件で 0.02)
qR : ローラ回転部の質量(キャリヤ+リターン)[kg/m]
qB : ベルトの質量 [kg/m](キャリヤ側とリターン側で2本分)
qG : 運搬物の質量 [kg/m] = 搬送量 [t/h] ÷ 3.6 ÷ ベルト速度 [m/s]
δ : 傾斜角(18°以下は cosδ = 1)
水平コンベヤなら傾斜抵抗はゼロ。上り搬送では正の値が加算され、下り搬送では負(重力が搬送を助ける)になる。下り搬送でFUが負になる場合は、ベルトが暴走しないよう回生制動やブレーキが必要になる。
有効張力はプーリとベルトの摩擦で伝える力なので、ベルトには張り側 F1 と緩み側 F2 の差として FU が現れる。F2 = FU ÷ (e^(μφ) − 1)、F1 = FU + F2(μ:プーリとベルトの摩擦係数、φ:巻付角)。駆動軸を曲げ、軸受に掛かるのは FU ではなく F1+F2 のほうで、巻付角180°・μ=0.35 なら FU の約2倍になる。
なぜコンベヤ設計計算が重要なのか
過大設計のコスト
「安全側に大きく取ればいい」——そう考えがちだが、コンベヤの過大設計はイニシャルコストに直結する。ベルト幅を1ランク上げると、ベルト本体だけでなくアイドラ・プーリ・フレームまで全部大きくなる。1000mm幅と1200mm幅では、設備全体のコストが20〜30%変わることも珍しくない。
過小設計のリスク
逆に、搬送量に対してベルト幅が不足すると、ベルト上から搬送物がこぼれる。速度で補おうとすれば粉塵が飛散し、作業環境が悪化する。モーターが小さすぎればベルトスリップが発生し、プーリの摩耗やベルトの焼損に至る。最悪の場合、ラインが停止して生産計画全体が崩れる。
傾斜角の見落とし
搬送物ごとに最大傾斜角が異なる点は、初心者が見落としやすい。砂利なら18°、セメントなら15°、穀物は14〜15°が目安だ。この角度を超えると搬送物が滑り戻り、最悪の場合ベルト上で逆流する。傾斜コンベヤの設計では、CEMA(Conveyor Equipment Manufacturers Association)のガイドラインを参照するのが基本だ。
搬送ラインの概略設計で頼れる場面
砕石プラントの新規ライン設計
クラッシャーから製品ヤードへ100t/hの砕石を搬送したい。水平距離80m、傾斜角12°。まずこのツールで「ベルト幅600mm・60 m/min、所要動力7.0kW、モーター11kW」という概算を出し、メーカーへの見積依頼に添える。白紙で問い合わせるより話が早い。
穀物サイロの搬入コンベヤ更新
既存コンベヤの処理能力が足りなくなったとき、ベルト幅と速度のどちらをアップすべきか。現行条件を入力して結果を見れば、速度変更だけで済むのか、ベルト幅の変更が必要なのかが一目で分かる。
リサイクル施設の木材チップライン
木材チップは嵩密度が0.2〜0.5 t/m³と非常に軽い。軽量物は搬送量に対してベルト面積が大きく必要になる。感覚的に「幅600mmで十分」と思いがちだが、実際に計算すると意外にベルト幅が要ることがある。
下り搬送(回生制動)の事前検討
採掘場から下のプラントへ鉄鉱石を搬送する下り傾斜コンベヤ。重力が搬送を助けるためTeが負になり、回生制動が必要かどうかの判断が求められる。このツールで条件を入れれば、回生の要否を即座に確認できる。
基本の使い方
3ステップで搬送ラインの概略スペックが出る。
Step 1: 搬送物を選ぶ
プリセットから搬送物を選ぶと、嵩密度の中央値が自動入力される。カスタム入力で任意の密度も指定可能。搬送量(t/h)を入力すれば準備完了。
Step 2: 距離と傾斜を入力する
水平搬送距離(m)と傾斜角(°)を入力。上り搬送は正、下り搬送は負の値を入れる。トラフ角度はデフォルト35°で問題ないが、フラットベルトや深トラフの検討も可能。
Step 3: 結果を確認する
ベルト幅、速度、有効張力と張力F1・F2、駆動力、モーター出力、プーリの回転数とトルクが一覧表示される。傾斜角が搬送物の許容範囲を超えていれば警告が出る。コピーボタンで全結果をテキスト出力できるので、設計メモや見積依頼にそのまま貼り付けよう。
具体的な使用例(検証データ)
数値はすべてツールの出力。トラフ角は各ケースに書いたとおりで、駆動は単一(巻付180°)。
ケース1: 砕石プラント 100 t/h 水平搬送
入力値:
- 搬送物: 砕石(嵩密度 1.55 t/m³)
- 搬送量: 100 t/h
- 水平距離: 60 m / 傾斜角: 0°
- トラフ角: 35°
計算結果:
- 推奨ベルト幅: 600 mm(この幅で最大119 t/h)
- ベルト速度: 60 m/min(自動推奨)、運搬物の質量 27.8 kg/m
- 有効張力: 1,197 N(F1 1,795 N / F2 598 N)
- 必要駆動力: 1.33 kW → 推奨モーター 2.2 kW
→ 解釈: 水平60mなら、600mm幅・2.2kWの小規模な構成に収まる。機長が80m未満なので2次抵抗の係数は80mの値(1.92)で代用していて、画面にも「小さめに出る」旨の注意が出る。投入部のスカートが長い場合などは、メーカーの計算で上振れを確かめたい。
ケース2: 穀物サイロ 50 t/h 傾斜搬送
入力値:
- 搬送物: 穀物・小麦(嵩密度 0.78 t/m³)
- 搬送量: 50 t/h
- 水平距離: 30 m / 傾斜角: 12°
- トラフ角: 30°
計算結果:
- 推奨ベルト幅: 600 mm(90 m/min、最大79.6 t/h)
- 揚程: 6.38 m
- 有効張力: 977 N(うち傾斜抵抗 579 N)
- 必要駆動力: 1.63 kW → 推奨モーター 2.2 kW
→ 解釈: 傾斜12°は小麦の最大傾斜角15°以内なのでOK。短い傾斜コンベヤでは、有効張力の6割近くが持ち上げる分の傾斜抵抗になる。
ケース3: 鉄鉱石 500 t/h 大規模傾斜搬送
入力値:
- 搬送物: 鉄鉱石(嵩密度 2.5 t/m³)
- 搬送量: 500 t/h
- 水平距離: 200 m / 傾斜角: 15°
- トラフ角: 35°
計算結果:
- 推奨ベルト幅: 900 mm(68 m/min、最大519 t/h)
- 揚程: 53.6 m、運搬物の質量 122.6 kg/m
- 有効張力: 73,782 N(F1 110,621 N / F2 36,839 N)
- 必要駆動力: 92.9 kW → 推奨モーター 110 kW
→ 解釈: 揚程53.6mの持ち上げが有効張力の大半を占める。張り側張力が110kNを超えるので、ベルトの心体の強さ(ベルト等級)の選定が別に要る規模だ。スナブプーリで巻付角を210°にすると緩み側張力 F2 が下がり、F1 も約102kNまで下がる。
ケース4: 下り搬送(回生制動判定)
入力値:
- 搬送物: 石灰石(嵩密度 1.45 t/m³)
- 搬送量: 200 t/h
- 水平距離: 100 m / 傾斜角: -15°
- トラフ角: 35°
計算結果:
- 揚程: -26.8 m(下り)
- 傾斜角チェック: 要制動
- 有効張力: -6,917 N(重力が抵抗を上回る)
- 制動に要する動力の目安: 12.0 kW
→ 解釈: 重力が搬送を助けるため有効張力が負になる。ブレーキなしではベルトが暴走する。制動動力は伝動装置の効率で割った値なので、実際に吸収すべき動力より少し大きめに出る(JIS B 8805 では負の負荷の効率を 0.95〜1.0 としている)。
ケース5: フラットベルトの効率検証
入力値:
- 搬送物: セメント(嵩密度 1.35 t/m³)
- 搬送量: 80 t/h
- 水平距離: 40 m / 傾斜角: 0°
- トラフ角: 0°(フラット)
計算結果:
- 警告: フラットベルトは搬送効率が低い。トラフ型を推奨
- 推奨ベルト幅: 1000 mm(125 m/min)
- 必要駆動力: 1.84 kW → 推奨モーター 2.2 kW
→ 解釈: 同じ条件でトラフ角35°に変えると、推奨ベルト幅は 600 mm(75 m/min)、必要駆動力は0.90 kWまで下がる。フラットは断面積が小さいので、幅も速度も大きくしないと同じ量が流れない。
ケース6: 木材チップ 30 t/h 低密度搬送
入力値:
- 搬送物: 木材チップ(嵩密度 0.35 t/m³)
- 搬送量: 30 t/h
- 水平距離: 25 m / 傾斜角: 10°
- トラフ角: 35°
計算結果:
- 推奨ベルト幅: 600 mm(90 m/min、最大40.3 t/h)
- 必要駆動力: 0.89 kW → 推奨モーター 1.5 kW
→ 解釈: 低密度の搬送物は体積が大きいので、30 t/hでも600mm幅が要る。駆動力自体は小さく、ベルト幅はこぼれないための条件で決まっている。
仕組み・アルゴリズム
簡易式と詳細計算
JIS B 8805 は、全抵抗力を個別の抵抗の積み上げで求める式と、機長80m以上に使える簡易式の2通りを定めている:
| 項目 | 簡易式(本ツール) | 個別積み上げ |
|---|---|---|
| 適用範囲 | 機長80m以上・概略設計 | すべて・詳細設計 |
| 2次抵抗 | 係数Cでまとめて見込む | 投入部の加速・スカート・プーリ巻付き・軸受を1つずつ計算 |
| 特殊抵抗 | 含まない | クリーナ・スクレーパ・前傾ローラなどを加算 |
| 張力 | F1・F2 まで | 最小張力・たるみ・テークアップまで |
このツールは簡易式を採用している。概略設計では「ベルト幅が600か800か」「モーターが7.5kWか15kWか」を判断できれば十分で、詳細な積み上げは製作段階でメーカーが実施する。係数Cは DIN 22101 の表(80mで1.92、100mで1.78、200mで1.45、1000mで1.09)を直線補間して使う。80m未満は80mの値で代用するので、短いコンベヤほど所要動力は小さめに出る。
計算フロー
1. 標準ベルト幅を小さい順に試し、その幅での推奨速度で
運べる量 = 3600 × k(B − 0.05)² × v × γ が搬送量以上になる最小幅を選ぶ
2. コンベヤ全長 L = L_horiz / cos(θ)、揚程 H = L_horiz × tan(θ)
3. 運搬物の質量 qG = Q / (3.6 × v) [kg/m](v は m/s)
4. 主抵抗 FH = f × L × g × [qR + (2qB + qG) × cosδ]
5. 傾斜抵抗 FST = qG × H × g
6. 有効張力 FU = C × FH + FST
7. 張力 F2 = FU / (e^(μφ) − 1)、F1 = FU + F2
8. 必要駆動力 P = FU × v / (1000 × η)、η = 0.90
f=0.02(JIS B 8805 表3の標準的な条件)、qB=ベルトの質量(幅1mあたり15kg/mの概算)、qR=ローラ回転部の質量(幅1mあたり12kg/mの概算)、μ=0.35(DIN 22101 表6のゴムラギング・湿潤)。手順3の v は m/s で入れる。カタログのベルト速度(m/min)のまま入れると、運搬物の質量が1/60になり、運搬物の摩擦も持ち上げる力もほぼ消える。
計算例: 砂利 150 t/h・水平100m・傾斜5°
幅: 650mm → 65 m/min で 140 t/h(不足)
750mm → 75 m/min で 220 t/h → 750mm
v = 75/60 = 1.25 m/s
qG = 150 / (3.6 × 1.25) = 33.3 kg/m
qB = 11.25 kg/m、qR = 9.0 kg/m
L = 100 / cos5° = 100.38 m、H = 8.75 m
FH = 0.02 × 100.38 × 9.807 × (9.0 + 2×11.25 + 33.3) = 1,276 N
C = 1.778(100mと150mの間を補間)
FST = 33.3 × 8.75 × 9.807 = 2,860 N
FU = 1.778 × 1,276 + 2,860 = 5,130 N
F2 = 5,130 / (e^(0.35π) − 1) = 2,561 N、F1 = 7,691 N
P = 5,130 × 1.25 / (1000 × 0.90) = 7.13 kW → 余裕15%で 8.2 → 11 kW
モーター余裕率の考え方
必要駆動力に対して15%の余裕率を掛け、JIS規格の標準モーター出力に切り上げている。15%は概算の誤差と経年劣化のマージンを見込んだ実務的な値だ。減速機を選ぶときに掛けるサービスファクタ(負荷係数)は減速機の強度に対する係数で、モーター出力に重ねて掛けるものではない点に注意したい。この続きはベルトコンベヤ駆動軸の通し例題で扱っている。
メーカー選定ツールとの違い
中立性・汎用性
メーカー提供の選定ソフトは自社製品のベルト等級やプーリ仕様に紐づいており、「A社のツールで選定した結果をB社に持ち込む」ことができない。このツールはメーカー非依存の汎用計算なので、複数社への見積依頼時の共通スペックとして使える。
JIS規格対応
英語圏のWebツール(Rulmeca Power Calculation等)はCEMAの計算法とインチ系のベルト幅が基準。このツールは JIS B 8805 の全抵抗力の式と、国内で標準的なベルト幅(400〜2000mm)・モーター出力(0.75〜200kW)で推奨値を出す。
即時性
ソフトのインストールやアカウント登録は不要。スマートフォンからでもアクセスでき、現場での打ち合わせ中にその場で概算を出せる。
コンベヤにまつわる豆知識
世界最長のベルトコンベヤ
モロッコのブークラアにあるリン鉱石コンベヤは全長約98km。砂漠を横断してリン鉱石を港まで搬送している。宇宙からも見えるとされ、Google Earthでその一直線のラインを確認できる。1本のベルトではなく、複数セクションに分かれた「フライト式」だが、それでも世界最長の搬送システムだ。
日本の鉱山コンベヤの歴史
日本では秋田県の花岡鉱山が1930年代にベルトコンベヤを本格導入した先駆的事例とされる。戦後の高度成長期にはセメント工場や火力発電所の石炭搬送ラインで急速に普及し、現在では年間数千台規模のコンベヤが国内で新設・更新されている(日本コンベヤ協会)。
設計で押さえておきたい3つのポイント
スカートボードの設計
投入部(ローディングゾーン)ではスカートボードでこぼれを防ぐ。スカートの高さはベルト幅の1/3程度、長さは搬送物が安定するまでの距離(通常2〜3m)が目安。スカートとベルトの隙間が広いとこぼれ、狭いとベルトを傷める。ゴムシールで密閉するのが一般的だ。
テークアップ(張力調整)の重要性
ベルトは経年で伸びる。テークアップ装置で常時適正張力を維持しないと、プーリでスリップして搬送効率が落ちる。短距離コンベヤにはスクリューテークアップ、長距離にはグラビティ(重錘式)テークアップが使われる。
ベルトクリーナーを忘れない
戻り側ベルトに搬送物が付着したまま走行すると、プーリやアイドラが偏摩耗し、ベルトの蛇行原因にもなる。一次クリーナー(ヘッドプーリ直下)と二次クリーナーの2段構成が標準。清掃が行き届かないと保全コストが跳ね上がる。
よくある質問
Q: スクリューコンベヤとベルトコンベヤの使い分けは?
スクリューコンベヤは密閉搬送に向いており、粉体やスラリーに適している。ただし搬送距離が長くなるとトルクが大きくなり、一般的には30m以内が目安。それ以上の距離や大量搬送にはベルトコンベヤが有利だ。搬送量と距離のバランスで選定するのが基本。
Q: ベルトの寿命はどのくらい?
使用環境や搬送物によるが、一般的なゴムベルトの寿命は3〜7年。研磨性の高い鉱石搬送ではカバーゴムの摩耗が早く、3年程度で交換になることが多い。穀物や軽量物なら7年以上使えるケースもある。定期的なカバーゴム厚の測定が重要。
Q: このツールの計算結果はそのまま発注に使える?
いいえ。このツールは JIS B 8805 の簡易式に基づく概算値であり、詳細設計の代替にはならない。ベルト等級の選定、テンション計算の詳細、始動トルクの検討、環境条件(温度・湿度・腐食性)の考慮は別途必要。概略設計・見積依頼用の参考値として活用してほしい。
Q: 入力データや計算結果はサーバーに保存される?
一切保存されない。すべての計算はブラウザ上で完結しており、入力値がサーバーに送信されることはない。安心して社内データを入力できる。
まとめ
ベルトコンベヤの概略設計は、搬送量・距離・傾斜角の3要素からベルト幅と駆動力を決めることが本質だ。このツールなら、JIS B 8805 の簡易式の計算を10秒で完了できる。駆動軸と軸受の設計につなぐなら、有効張力ではなく張力 F1+F2 を次へ渡す。
搬送ラインの設計に関連するツールとして、減速機の選定なら減速機選定計算ツール、駆動軸なら軸径選定シミュレーター、Vベルトの選定ならベルト伝動計算ツールも試してみて。
不具合や要望があれば、お問い合わせページから気軽に教えて。