ばね設計シミュレーター

圧縮コイルばねのばね定数・応力・固有振動数をリアルタイム算出

圧縮コイルばねの材質・線径・コイル平均径・有効巻数・自由長を入力し、ばね定数・ワール修正付きせん断応力・安全率・固有振動数をリアルタイム算出。

ばね材質

JIS G 3522 ピアノ線 A種。汎用ばね用。G=78.5 GPa

ばね寸法

作動条件(任意)

計算結果

ばね定数 k
4.791 N/mm
ばね指数 D/d
8.00
ワール修正係数 Kw
1.184
密着長さ Ls
20.0 mm

総巻数 Nt = 10.0

最大たわみ δmax
20.0 mm
密着荷重 Fmax
95.8 N
固有振動数
347.5 Hz

サージング周波数

ばね側面図

LfLs

本ツールはJIS B 2704に基づく圧縮コイルばねの簡易計算ツールです。実際の設計では疲労寿命、座屈、温度特性、製造公差等を考慮し、ばねメーカーや専門家にご確認ください。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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圧縮コイルばねの設計パラメータを一画面で検証

「この線径と巻数で、荷重30Nに耐えられるだろうか?」「ばねが共振しそうだけど、固有振動数はいくつになるんだろう?」——ばね設計のパラメータをひとつ変えるたびにExcelを開いて再計算するのは、地味にストレスがかかる作業だ。

ばね設計シミュレーターは、圧縮コイルばねの材質・線径・コイル径・有効巻数・自由長を入力するだけでばね定数・ワール修正付きせん断応力・安全率・固有振動数をリアルタイムに算出するブラウザツール。パラメータを変えた瞬間に結果が更新されるから、設計の試行錯誤がサクサク進む。JIS B 2704に準拠した計算式で、エンジニアの事前検討や機械工学の学習に使える。

ばね設計シミュレーターを作った経緯

試行錯誤の非効率さ

機械設計の現場で圧縮コイルばねの選定をするとき、線径をφ1.5からφ2.0に変えたらばね定数がどう変わるか、コイル径を変えたらワール修正係数がどう動くか——こうした「もし〜なら」の検討を繰り返す必要がある。

手元のExcelシートで計算すると、セルの数式を追いかけるのが面倒だし、途中で入力ミスしてもすぐには気づけない。ばね定数を計算できるWebツールは存在するが、ワール修正係数込みのせん断応力固有振動数(サージング周波数) まで一画面で確認できるものは見当たらなかった。

こだわった設計判断

  • ワール修正係数(Kw)の自動計算: コイル内側のせん断応力集中を無視したツールが多い中、ばね指数から自動でKwを算出して応力に反映する。これが実際の破損リスクを見積もるのに不可欠
  • 固有振動数の算出: サージング(共振による異音・早期疲労)は動的使用のばねで問題になりやすい。設計段階で固有振動数を把握できれば、駆動周波数との干渉を事前に避けられる
  • 材質プリセット: SWP-A(ピアノ線 A種)、SWP-B、SUS304-WPB(ステンレス)、SUP(ばね鋼)の4種をプリセットで用意。横弾性係数Gや許容応力をいちいち調べなくて済む。カスタム入力にも対応しているので特殊材質もOK
  • パラメータ変更の即時反映: React + useMemoで入力変更のたびに全計算結果が更新される。Excelの再計算ボタンを押す手間がない

圧縮コイルばねの基礎知識 — ばね定数・応力・ばね指数とは

ばね設計で避けて通れない3つの数値——ばね定数、せん断応力、ばね指数——の正体を、原理から解きほぐしていこう。公式を丸暗記するよりも「何がどう効くのか」を体で理解するほうが、設計の勘所をつかむ近道になる。

ばね定数(スプリングレート)とは

ばね定数は、ばねの「硬さ」を表す数値。単位は N/mm で、1mm変形させるのに必要な力を意味する。

身近なたとえで考えてみよう。ボールペンのノック機構に入っている細いばねは k ≒ 0.3 N/mm 程度。指先で「カチッ」と押すだけで十分に縮む。一方、自動車のサスペンションばねは k ≒ 20〜40 N/mm。車が段差を越えたときの「ドスン」という衝撃を受け止めるために、この差が必要になる。ボールペンのばねでは車体を支えられないし、サスペンションばねではペンのノックがガチガチに硬くなる——ばね定数とは、用途に合った「硬さの設計値」そのものだ。

圧縮コイルばねのばね定数は次の式で決まる:

k = G × d⁴ / (8 × Na × D³)  [N/mm]
  G : 横弾性係数 [MPa](材質固有の定数)
  d : 線径 [mm]
  Na: 有効巻数
  D : コイル平均径 [mm]

注目すべきは d の4乗。線径を2倍にするとばね定数は16倍になる。逆にコイル平均径 D は3乗で反比例し、D を大きくするとばねは柔らかくなる。有効巻数 Na は1乗で反比例するだけなので影響は小さい。つまりばね定数を調整するなら、まず線径から手をつけるのが最も効率的ということだ。

ばね指数 — コイル巻き比 c の意味

ばね指数 c = D/d は「線径に対してどれだけ大きく巻いたか」を表す無次元数。c が小さいほど太い線を小さく巻いた硬いばねで、c が大きいほど細い線をゆるく巻いた柔らかいばね。

JIS B 2704では c = 4〜22 が製造可能範囲とされているが、実務的には c = 4〜15 が推奨される。c < 4 ではコイリング加工が困難になり専用設備が必要、c > 15 では座屈しやすく形状が不安定になる。コスト・品質・安定性のバランスが取れるのは c = 6〜10 あたりだ。

ワール修正係数 — せん断応力の補正

コイルばねの素線はまっすぐではなく、螺旋状に曲がっている。このためコイル内側は外側よりも曲率が大きく、応力が集中する。ワール修正係数 Kw はこの不均一を補正する係数で、次の式で求まる:

Kw = (4c − 1) / (4c − 4) + 0.615 / c

c = 10 のとき Kw ≒ 1.14、c = 5 のとき Kw ≒ 1.31。きつく巻いたばねほど応力集中が大きい。Kw を掛けずに応力を評価すると、実際より10〜30%低く見積もることになり、設計が危険側に傾く。ばね設計で「安全率が足りていたはずなのに折れた」という事故の一因がここにある。

なぜばね定数と応力の正確な把握が設計の成否を分けるのか

ばね定数が出せれば設計完了——というわけにはいかない。ばね定数と応力が使用条件のなかで適切な範囲に収まっているかどうかが、製品の安全性と寿命に直結する。

ばね定数のミスマッチ — 荷重不足と過荷重

ばね定数が想定より低いと、必要な力を発生できない。たとえば金型のストリッパーばねで k が不足すると、プレス後にワークが金型から離れず生産停止になる。逆に k が高すぎると、操作力が重くなったり相手部品に過大な力がかかって破損の原因になる。

JIS B 2704ではばね定数の許容差を規定しており、精密級で ±5%、一般級で ±10%。設計時にこの許容差を織り込まないと、量産品のばらつきで不具合が発生する。このツールで事前にばね定数を確認しておけば、許容差込みの安全マージンを設計段階で確保できる。

応力超過 — へたりと折損の直接原因

使用応力が許容せん断応力を超えると、ばねは塑性変形を起こす。これが「へたり」(永久変形)だ。自由長が縮んでばね定数も変化し、設計通りの力を発生しなくなる。さらに高応力のまま繰り返し荷重がかかると疲労折損に至る。

実務での目安として、静的用途では安全率 S ≧ 1.5、動的用途(繰り返し荷重 10⁶回以上)では S ≧ 2.0〜3.0 を確保するのが一般的だ。自動車のバルブスプリングなど高サイクル疲労が問題になる部品では、ショットピーニング処理を施した上でさらに高い安全率が要求される。

材質選定の影響 — 同じ寸法でもまるで違う

同じ d = 2.0mm、D = 16mm、Na = 8 の圧縮ばねでも、材質によって許容応力が大きく異なる:

材質横弾性係数 G許容せん断応力 τa備考
SWP-A(ピアノ線 A種)78,500 MPa588 MPa最も汎用的。コスパ良好
SWP-B(ピアノ線 B種)78,500 MPa686 MPaA種より高強度。精密ばね向け
SUS304-WPB(ステンレス)68,600 MPa441 MPa耐食性◎。G が低くばね定数も下がる
SUP(ばね鋼)78,500 MPa784 MPa大荷重向け。熱処理で高強度化

SUS304は耐食性に優れるが、許容応力はピアノ線の約75%、しかも横弾性係数が低いためばね定数自体も約12%下がる。「耐食性が必要だからSUS304に変えよう」と安易に材質だけ変えると、ばね定数の低下と安全率の低下がダブルで効いてくる。このツールで材質を切り替えた瞬間に数値が変わるから、トレードオフを定量的に把握できる。

設計現場で役に立つ場面

試作前のパラメータスタディ

新しい製品の試作でばねを選定するとき、線径を0.5mm刻みで変えてばね定数の変化を確認する——といったパラメータスタディが素早くできる。密着長さと自由長の関係もリアルタイムで把握できるから「ストロークが足りない」という設計ミスを事前に回避できる。

既存ばねの逆算チェック

手元のばねの寸法をノギスで測って入力すれば、そのばねのばね定数や安全率を逆算できる。「この部品に使われていたばね、交換品を探したいけどスペックがわからない」という場面で活躍する。

機械工学の学習・教育

大学の機械設計演習で、ばね定数の公式 k = Gd⁴/(8D³Na) を手計算する課題がある。パラメータを変えたときの挙動を視覚的に確認できるから、公式の意味を直感的に理解する助けになる。

サージング(共振)リスクの事前チェック

動的に使用する圧縮ばねでは、外部振動とばねの固有振動数が一致するとサージングが起きる。異音や早期疲労の原因になるこの現象を、設計段階で固有振動数を確認することで未然に防げる。

3ステップで結果を確認

Step 1: 材質を選ぶ

プリセットからばね材質を選択する。ピアノ線(SWP-A/B)、ステンレス(SUS304-WPB)、ばね鋼(SUP)の中から用途に合ったものをタップ。特殊な材質なら「カスタム」を選んで横弾性係数と許容応力を直接入力する。

Step 2: ばね寸法を入力する

線径d、コイル平均径D、有効巻数Na、自由長Lfの4つを入力する。端末処理(両端研削 / 両端密着 / オープン)も選択可能で、密着長さの計算に反映される。

Step 3: 結果を確認する

ばね定数・ばね指数・密着長さ・最大たわみ・密着荷重・固有振動数が一覧で表示される。さらに、たわみ量を入力するとワール修正付きのせん断応力と安全率がStatusCardで色分け表示される。安全率が1.0未満なら赤で「危険」、3.0以上なら青で「十分安全」と判定される。

具体的な使用例と検証結果

ケース1: 小型ばね(φ1.0×φ8×Na10)

入力値:

  • 材質: SWP-A(ピアノ線 A種、G=78,500 MPa)
  • 線径 d = 1.0 mm、コイル平均径 D = 8.0 mm
  • 有効巻数 Na = 10、自由長 Lf = 30 mm

結果:

  • ばね定数 k = 1.924 N/mm
  • ばね指数 D/d = 8.0(推奨範囲内)
  • 密着長さ Ls = 12.0 mm、最大たわみ δmax = 18.0 mm

解釈: 小型電子機器のプッシュスイッチや蓋のロック機構に使えるレベル。ばね指数8はちょうど製造しやすい範囲で、コスト面でも有利な設計だ。

ケース2: 中荷重ばね(φ3.0×φ24×Na6)

入力値:

  • 材質: SWP-B(ピアノ線 B種、G=78,500 MPa)
  • 線径 d = 3.0 mm、コイル平均径 D = 24.0 mm
  • 有効巻数 Na = 6、自由長 Lf = 60 mm
  • たわみ δ = 15 mm

結果:

  • ばね定数 k = 7.291 N/mm
  • 作用荷重 F = 109.4 N
  • せん断応力 τ = 277.6 MPa、安全率 S = 2.47(安全)

解釈: 産業機器のクッションや安全弁の戻りばねクラス。安全率2.47は静的用途では十分だが、繰り返し疲労が問題になる動的用途ではもう少し余裕がほしい。

ケース3: ステンレスばね(耐食用途)

入力値:

  • 材質: SUS304-WPB(G=68,600 MPa、許容応力 441 MPa)
  • 線径 d = 2.0 mm、コイル平均径 D = 16.0 mm
  • 有効巻数 Na = 8、自由長 Lf = 40 mm
  • たわみ δ = 10 mm

結果:

  • ばね定数 k = 2.101 N/mm(炭素鋼より低い→Gが小さいため)
  • 作用荷重 F = 21.0 N
  • せん断応力 τ = 125.6 MPa、安全率 S = 3.51(十分安全)

解釈: 食品機械や屋外装置など耐食性が必要な用途向け。SUS304はGが68.6 GPaで炭素鋼の78.5 GPaより低いため、同じ寸法でもばね定数が約12%低くなる点に注意。

ケース4: 大荷重ばね鋼(φ8.0×φ50×Na5)

入力値:

  • 材質: SUP(ばね鋼、G=78,500 MPa、許容応力 784 MPa)
  • 線径 d = 8.0 mm、コイル平均径 D = 50.0 mm
  • 有効巻数 Na = 5、自由長 Lf = 120 mm
  • たわみ δ = 30 mm

結果:

  • ばね定数 k = 65.6 N/mm
  • 作用荷重 F = 1,968 N(約200kgf相当)
  • ばね指数 D/d = 6.25

解釈: プレス機の戻りばねやトラックのサスペンション補助ばねクラス。ばね指数6.25は製造性と応力集中のバランスが良い範囲だ。

ケース5: 高温環境用ばね(排気系バルブ機構)

入力値:

  • 材質: カスタム(インコネルX-750相当、G=77,000 MPa、許容応力 520 MPa)
  • 線径 d = 4.0 mm、コイル平均径 D = 28.0 mm
  • 有効巻数 Na = 7、自由長 Lf = 70 mm
  • たわみ δ = 20 mm

結果:

  • ばね定数 k = 7.143 N/mm
  • 作用荷重 F = 142.9 N
  • ばね指数 D/d = 7.0(推奨範囲内)
  • せん断応力 τ = 167.8 MPa、安全率 S = 3.10(十分安全)

解釈: エンジン排気系や工業炉内のバルブ戻りばねなど、300〜500℃の高温環境で使用する想定。常温用のSWP-AやSWP-Bは200℃を超えるとへたりが進行するため、耐熱合金に切り替える必要がある。インコネルX-750はGが77 GPaとピアノ線に近いためばね定数の設計感覚をほぼ維持できるが、許容応力が520 MPaとSWP-Bの686 MPaより低い点がトレードオフになる。安全率3.10は静的用途なら十分だが、高温下の繰り返し荷重ではクリープによる応力緩和も考慮して S ≧ 3.5 を目標にするのが堅実だ。このツールの「カスタム」材質入力を使えば、こうした特殊材の設計検討も即座にできる。

ケース6: 精密小型ばね(電子基板コネクタ用)

入力値:

  • 材質: SWP-B(ピアノ線 B種、G=78,500 MPa、許容応力 686 MPa)
  • 線径 d = 0.5 mm、コイル平均径 D = 3.0 mm
  • 有効巻数 Na = 5、自由長 Lf = 8.0 mm
  • たわみ δ = 2.0 mm

結果:

  • ばね定数 k = 1.813 N/mm
  • 作用荷重 F = 3.63 N
  • ばね指数 D/d = 6.0(製造性良好)
  • 密着長さ Ls = 3.5 mm、最大たわみ δmax = 4.5 mm
  • せん断応力 τ = 221.5 MPa、安全率 S = 3.10(十分安全)

解釈: スマートフォンやウェアラブル機器のボードtoボードコネクタ、SIMトレイのイジェクト機構など、数mm角の狭小スペースに収めるばねの検討例。自由長8mmに対して密着長さが3.5mmなので、有効ストロークは4.5mm。たわみ2mmでの作用荷重3.63Nは指先で軽く押し込めるレベルで、ユーザーの操作感を損なわない。線径0.5mmのばねはばね指数6.0で巻線加工自体は問題ないが、端末処理が研削ではなくクローズドエンド(密着巻き)になることが多い。密着長さと外径(D+d = 3.5mm)が実装スペースに収まるかを、このツールで事前に確認しておくと基板レイアウトとの干渉を防げる。

仕組み・アルゴリズム — 候補手法の比較と採用理由

候補手法の比較 — ばね設計計算のアプローチ

圧縮コイルばねの設計計算を実装するにあたり、3つの手法を検討した。

手法精度計算速度実装の複雑さサージング対応
JIS B 2704 解析公式(採用)高い(理論解)瞬時低い対応
FEM(有限要素法)最高遅い高い対応
メーカー実測データ回帰式中程度瞬時中程度非対応

FEM(有限要素法) はコイルばねを3Dメッシュに分割して応力分布を数値解析する方式。素線断面の変形や端末処理部の局所応力まで評価できるが、ブラウザ上でリアルタイム計算するには計算コストが大きすぎる。パラメータを1つ変えるたびに再メッシュ→再計算が発生するため、「試行錯誤を加速する」というコンセプトに合わなかった。

メーカー実測データ回帰式 は特定メーカーの測定データから経験式を導出する方式。限られた寸法範囲では実測に近い値が出るが、範囲外の条件では信頼性が下がる。また4種の材質すべてに対応するデータセットを用意するのは困難で、カスタム材質にも対応できない。

JIS B 2704 解析公式 を採用した理由は3つ。第一に、解析的に閉じた公式(closed-form)で計算が瞬時に完了し、パラメータ変更のたびにリアルタイム更新できる。第二に、ワール修正係数や固有振動数まで公式が整備されており、追加の近似が不要。第三に、JIS規格準拠なので計算結果の根拠を設計審査で説明しやすい。

計算フロー — ステップバイステップ

1. ばね指数:        c = D / d
2. ワール修正係数:  Kw = (4c−1)/(4c−4) + 0.615/c
3. ばね定数:        k = G·d⁴ / (8·Na·D³)  [N/mm]
4. 密着長さ:        Ls = Nt × d  (Nt = Na + 座巻数)
5. 最大たわみ:      δmax = Lf − Ls
6. 荷重:            F = k × δ
7. せん断応力:      τ = Kw × 8·F·D / (π·d³)
8. 安全率:          S = τa / τ
9. 固有振動数:      fn = d/(2π·Na·D²) × √(G/(2ρ))

具体的な計算例 — SWP-A φ2.0×φ16×Na8

材質: SWP-A(G = 78,500 MPa、τa = 588 MPa、ρ = 7,850 kg/m³) 寸法: d = 2.0 mm、D = 16.0 mm、Na = 8、Lf = 40 mm、端末: 両端研削 たわみ: δ = 10 mm

Step 1: c = 16 / 2 = 8.0
Step 2: Kw = (32−1)/(32−4) + 0.615/8
           = 31/28 + 0.0769
           = 1.1071 + 0.0769 = 1.184
Step 3: k = 78500 × 2⁴ / (8 × 8 × 16³)
           = 78500 × 16 / 262144
           = 1,256,000 / 262,144
           = 4.792 N/mm
Step 4: Ls = (8+2) × 2 = 20 mm
Step 5: δmax = 40 − 20 = 20 mm
Step 6: F = 4.792 × 10 = 47.92 N
Step 7: τ = 1.184 × 8 × 47.92 × 16 / (π × 8)
           = 1.184 × 6134 / 25.133
           = 7263 / 25.133
           = 289.0 MPa
Step 8: S = 588 / 289.0 = 2.03 → 安全
Step 9: fn = 0.002/(2π×8×0.016²)×√(78.5e9/(2×7850))
           ≒ 349 Hz

安全率2.03は静的用途なら合格ライン。動的用途(S ≧ 3.0 推奨)では線径を2.5mmに上げるか巻数を減らす検討が必要になる。

参考文献

Excelやスプレッドシートとの違い

既存のExcelテンプレートやGoogleスプレッドシートのばね計算シートと比べた場合の違いを整理する。

項目Excel/スプレッドシートこのツール
ワール修正自分でセルに式を入力自動計算・応力に自動反映
固有振動数別シートに用意する場合が多い同一画面で表示
材質データ自分で調べて入力プリセット4種+カスタム
安全率判定条件付き書式を設定StatusCardで色分け表示
パラメータ変更セルを書き換え→再計算入力と同時にリアルタイム更新
SVG図別途描画ソフトが必要ばね側面図が自動生成

ツールの強みは「設定不要で即使える」点だ。Excelに慣れた人なら同等のシートを作れるが、セットアップの手間を考えると、サッとブラウザでパラメータを試すにはこちらが速い。

ばねにまつわる豆知識

ばねの歴史は弓矢から

ばねの原理は紀元前から弓矢として利用されてきた。金属コイルばねが登場したのは15世紀のヨーロッパで、時計のぜんまいとして使われたのが始まりだ。産業革命以降、蒸気機関のバルブ機構や鉄道車両のサスペンションに大量採用され、ばね鋼の品質が飛躍的に向上した。

参考: ばねの歴史(Wikipedia)

ばね鋼の選び方

  • SWP-A/B(ピアノ線): もっとも汎用的。コストと性能のバランスが良い。B種はA種より高強度で、精密ばねやバルブスプリングに使われる
  • SUS304-WPB(ステンレス): 耐食性が求められる食品機械、化学プラント、屋外機器向け。ただし横弾性係数が炭素鋼より低いため、同じばね定数を得るには寸法調整が必要
  • SUP(ばね鋼): 大きな荷重を受ける自動車サスペンション、プレス金型のストリッパーばねなど。熱処理(焼入れ・焼戻し)で高い許容応力を実現する

ショットピーニングによる寿命向上

ばね表面に細かい鋼球を高速で打ち付ける「ショットピーニング」処理は、表面に圧縮残留応力を与えて疲労寿命を2〜5倍に向上させる技術だ。量産ばねでは標準的に行われるが、このツールの計算は未処理状態を前提としているため、ショットピーニング済みのばねは実際にはもう少し余裕がある。

設計のコツ

Tip 1: 線径の変更がもっとも効く

ばね定数はd⁴に比例する。線径を1段階上げるだけでばね定数が大幅に変わるので、ばね定数の調整はまず線径から検討するのが効率的。

Tip 2: ばね指数は6〜12が理想

c = 6〜12の範囲ならワール修正係数が1.1〜1.3程度に収まり、応力集中が適度に抑えられる。製造コストも低い。4未満は特注扱いになることが多い。

Tip 3: 固有振動数は駆動周波数の15倍以上

サージングを避けるには、ばねの固有振動数が外部振動の15〜20倍以上になるように設計するのがセオリー。固有振動数が低い場合は、巻数を減らすか線径を太くする。

Tip 4: 端末処理の選び方

研削端末(closed-ground)は座面が平らになるため荷重が均一にかかり、精度が必要な用途に向いている。コストを抑えたい場合はclosed(研削なし)でもよい。open端末は座巻がないため密着長さが短くなり、ストロークを稼ぎたいときに有利だ。

よくある質問

Q: ばね定数の単位「N/mm」と「N/m」の違いは?

このツールではN/mm(ニュートン毎ミリメートル)で表示している。N/mに換算するには1000を掛ければよい。例えばk = 2.5 N/mmなら2500 N/mだ。ばねメーカーのカタログでは「N/mm」表記が一般的。

Q: 安全率はどのくらいあればよい?

静的荷重(常に一定の荷重がかかる)なら安全率1.5以上、繰り返し荷重(バルブスプリングなど)なら3.0以上が一般的な目安だ。人命に関わる用途ではさらに高い安全率が求められる。ただしこの値は設計基準や業界規格によって異なるため、最終判断は専門家に確認してほしい。

Q: 引張コイルばねにも使える?

現時点では圧縮コイルばね専用だ。引張コイルばねでは初張力の概念が加わるため、計算式が異なる。圧縮・引張・ねじりの3種類に対応したばね定数・応力計算ツールも用意しているので、そちらを試してみて。

Q: カスタム材質で入力する「横弾性係数」はどこで調べられる?

材料メーカーのカタログやJIS規格票に記載されている。一般的な目安として、鋼は約78,500 MPa、ステンレス(SUS304系)は約68,600 MPa、りん青銅は約42,000 MPa、チタン合金は約42,000 MPa程度だ。

Q: ワール修正係数を無視して計算するとどうなる?

ワール修正係数 Kw を掛けないと、せん断応力を10〜30%程度過小評価することになる。ばね指数が小さい(きつく巻いた)ばねほど差が大きく、c = 5 では約31%の過小評価になる。結果として安全率を過大に見積もり、へたりや折損のリスクが高まる。このツールではKwを自動で反映するから、うっかり忘れる心配がない。

まとめ

ばね設計シミュレーターは、圧縮コイルばねの設計パラメータを入力するだけで、ばね定数・ワール修正付き応力・安全率・固有振動数を一画面で確認できるツールだ。

パラメータを変えた瞬間に結果が更新されるリアルタイム計算が一番の強みで、設計の試行錯誤を加速してくれる。ばねで締結する部品の強度が気になったらボルト強度・破断モード診断でボルトの安全率も合わせてチェックしてみて。圧縮・引張・ねじりの3種に対応したばね定数・応力計算もあるので、用途に応じて使い分けてほしい。


不具合や要望があれば、X (@MahiroMemo)から気軽に教えてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。治具設計で「線径を1段上げたらばね定数は何倍?」を毎回電卓で計算していた経験から、パラメータ変更が即座に反映されるシミュレーターを形にした。

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