「2号」と言われて、何が2号なのか分からなくなる
釣具屋で仕掛けを揃えていると、あちこちに「号」が出てくる。ラインは2号、ハリスは1.5号、針は7号、オモリは3号、竿は1.5号。
数字が並んでいるので、なんとなく同じものさしで測っているような気がしてくる。ところが実際は違う。
- ラインの2号 — 太さ(直径0.235mm)のこと。強さではない
- 針の7号 — 大きさのこと。ただし針の種類ごとに基準が違う
- オモリの3号 — 重さのこと(11.25g)。尺貫法の匁がそのまま残っている
- 竿の1.5号 — 背負えるオモリの重さのこと
直径・大きさ・重さ・負荷。同じ「号」という字で、4つの別の量を指している。しかも針にいたっては、種類が変われば同じ号数でも大きさが変わり、ルアー用の管付き針では数字が大きいほど小さくなる。
さらに厄介なのが、これらを「揃える」基準がどこにもないこと。ライン2号に合う針は何号か、という問いに一発で答える換算式は存在しない。
この記事は、釣りに出てくる「号」を全部並べて、それぞれが何を測っているのかを整理するためのものだ。そのうえで、仕掛け全体の強度がどこで決まるのかまで一本につないでいく。各領域にブラウザだけで動く無料の計算ツールを紐づけてある。
なぜこの記事を書いたのか|号数を揃えても、仕掛けは揃わない
釣りを始めて最初につまずくのは、たぶん道具選びではなく数字の互換性だと思う。
ネットで「シーバス PE1号」と出てくる。買う。次に「リーダーは4号」と出てくる。これも買う。ここで素朴な疑問が湧く——なぜ本線より太いリーダーを付けるのか。
答えを調べると、今度は「PE1号は20lb、フロロ4号は16lb」という話が出てくる。太いほうが弱い。号数が太さの規格で、強度は素材で決まるからだ。
これで一応は納得するのだが、次に「ドラグは1.5kgくらい」と言われて、また分からなくなる。20lb は 9.07kg のはずなのに、なぜ1.5kgなのか。
答えはノットで落ちるからで、さらにその落ちたあとの1/4に設定するからなのだが、この連鎖を最初から最後まで並べて見せてくれる場所が意外とない。号数の換算表はあるし、ノットの解説記事もあるし、ドラグの目安表もある。ただ、それらが一本につながっていない。
この記事はその連鎖を、号数の整理から始めて順番に追いかける形で書いた。
釣りの「号」の全体像|5つの別々のものさし
| 対象 | 「号」が測っているもの | 1号の実体 | 大きいほど |
|---|---|---|---|
| ライン・ハリス | 直径 | ナイロン0.165mm / PE0.171mm | 太い |
| 針(和式) | 大きさ | 針種ごとに別基準 | 大きい |
| 針(管付き・ルアー用) | 大きさ | #表記 | 小さい |
| オモリ・シンカー | 重さ | 3.75 g(=1匁) | 重い |
| 竿(ロッド) | 背負えるオモリ負荷 | 1号 ≒ オモリ1号相当 | 強い |
共通しているのは「号」という字だけで、単位も基準も揃っていない。歴史的には尺貫法の名残がバラバラに残ったもので、統一する動きもないまま定着している。
この記事で追いかける順番
① ラインの号数(直径)
↓ 素材で強度が変わる
② 素材別の強度(PE / ナイロン / フロロ / エステル)
↓ リーダーを足すと
③ リーダーの号数(本線より太いのに弱い)
↓ 結ぶと落ちる
④ ノットの保持率(60〜95%)
↓ 全部つなぐと
⑤ システム強度=最弱点で決まる
↓ その1/4が
⑥ ドラグ設定値
↓ 一方で仕掛けの先端は
⑦ 針の号数(針種ごとに別基準)
⑧ オモリの号数(3.75g刻み)
↓ 投げる道具は
⑨ 竿の適合表示 ⑩ 飛距離
①ラインの号数|直径の規格であって、強度ではない
ラインの号数は直径で決まっている。もともとは絹糸(テグス)の太さの規格で、標準直径の表が業界で共有されている。
| 号数 | 直径(ナイロン・フロロ・エステル) | 直径(PE) |
|---|---|---|
| 0.3号 | 0.090 mm | 0.094 mm |
| 0.6号 | 0.128 mm | 0.132 mm |
| 1.0号 | 0.165 mm | 0.171 mm |
| 1.5号 | 0.205 mm | 0.209 mm |
| 2.0号 | 0.235 mm | 0.242 mm |
| 3.0号 | 0.285 mm | 0.296 mm |
| 5.0号 | 0.370 mm | 0.382 mm |
見てのとおり、素材が違っても同じ号数ならほぼ同じ太さになる。ここが号数の便利なところで、「1号のラインはガイドを通るか」「1号ならこのリールに何m巻けるか」という問いには、素材を問わず同じ答えが出せる。
なおPEだけは、号数の出どころが少し違う。PEは「デニール ÷ 200」で号数が決まる——デニールは糸の重さの単位(9,000mあたりのグラム数)なので、PEの号数は太さではなく重さ由来だ。結果的にモノフィラの標準直径とほぼ揃うように設計されている。
号数・lb・mmの相互換算と、リールに何m巻けるかは釣り糸スペック換算+糸巻量計算で引ける。
②素材で強度が変わる|同じ1号でPEとナイロンは5倍違う
ここが最初の落とし穴になる。号数は太さの規格なので、強度は素材ごとにまったく別だ。
| 素材 | 1号の強度 | 号数×何lb か |
|---|---|---|
| PE | 20 lb(9.07 kg) | 号数 × 20 lb |
| ナイロン | 4 lb(1.81 kg) | 号数 × 4 lb |
| フロロカーボン | 4 lb(1.81 kg) | 号数 × 4 lb |
| エステル | 4 lb(1.81 kg) | 号数 × 4 lb |
同じ「1号」で、PEはナイロンの5倍強い。太さがほぼ同じなのにこれだけ違うのは、PEが超高分子量ポリエチレンの細い原糸を編み込んだ構造で、伸びずに引張強度を直接受けるからだ。
この「号数×◯lb」の目安には成立する範囲がある。
- モノフィラ(ナイロン・フロロ・エステル)は5号まで、号数×4lb がほぼ完全に一致する。6号以降は頭打ちで、8号は32lbではなく28lb、20号は80lbではなく60lb
- PEは 0.3〜2.5号 の範囲だけ「号数×20lb」が成立する。3号以上は大きく下振れし、4号は80lbではなく60lb前後、10号でも130lb程度
つまり太いラインほど、暗算の目安が効かなくなる。オフショアの太糸を扱うときに号数から強度を推測すると、実際より2〜3割強く見積もることになる。
③リーダーの号数|本線より太いのに、弱い
PEを使う釣りでは、先端にフロロやナイロンのリーダーを継ぐ。理由は主に3つで、根ズレへの耐性、魚から見えにくくする、そしてショックの吸収だ。
ここで冒頭の疑問に戻る。なぜ本線より太い号数を付けるのか。答えは、号数で見れば太いが、lbで見れば弱いから。
| 釣種 | PE推奨 | 本線 lb | リーダー推奨 | リーダー lb | 本線に対する比 |
|---|---|---|---|---|---|
| アジング | 0.3号 | 6 lb | フロロ1.0号 | 4 lb | 0.67 |
| エギング | 0.6号 | 12 lb | フロロ2.0号 | 8 lb | 0.67 |
| タイラバ | 0.8号 | 16 lb | フロロ3.0号 | 12 lb | 0.75 |
| シーバス | 1.0号 | 20 lb | フロロ4.0号 | 16 lb | 0.80 |
| ヒラメ(サーフ) | 1.2号 | 24 lb | フロロ5.0号 | 20 lb | 0.83 |
| ショアジギング | 2.0号 | 40 lb | フロロ8.0号 | 32 lb | 0.80 |
| オフショアジギング | 3.0号 | 55 lb | フロロ12.0号 | 48 lb | 0.87 |
リーダー号数 ≒ PE号数 × 4 という関係がきれいに出ている。そして強度で見ると、リーダーは本線の0.67〜0.87倍に収まる。
これは偶然ではなく、リーダー側で先に切れるように設計されている。根掛かりしたとき、リーダーが切れれば失うのは1mほどのフロロと結び目1つで済む。本線側で切れると、高価なPEを何十mも失ううえ、切れた先が海に残る。
魚種と釣法からPE・リーダー・ノット・ドラグを一括で提案するのがPEライン&リーダー組み合わせ診断。上の表もこのツールが持っているプリセットから引いた。
④ノット|どんなに良い糸でも、結び目で3〜5割落ちる
ラインの強度表示は直線強度であって、結んだ時点でそれより弱くなる。結び目では糸が折れ曲がり、そこに応力が集中するからだ。
PE⇔リーダーの結束ノット
| ノット | 保持率 | 難易度 |
|---|---|---|
| PRノット | 95 % | 難(ボビン必要) |
| FGノット | 90 % | やや難 |
| SCノット | 85 % | やや簡単 |
| SFノット | 80 % | 簡単 |
| トリプルエイトノット | 75 % | 簡単 |
| 電車結び | 65 % | 簡単 |
終端ノット(ルアー・スナップへの接続)
| ノット | 保持率 | 難易度 |
|---|---|---|
| パロマーノット | 85 % | 簡単 |
| 完全結び(漁師結び) | 85 % | やや簡単 |
| ハングマンズノット | 80 % | やや簡単 |
| ユニノット | 75 % | 簡単 |
| 改良クリンチノット | 75 % | 簡単 |
| クリンチノット | 65 % | 簡単 |
| 八の字結び(チチワ) | 60 % | 簡単 |
**いちばん覚えやすいクリンチノットが65%**というのが効く。20lbのラインをクリンチで結んだ瞬間に13lb相当になる。パロマーに変えるだけで17lb。結び方を覚えるのは、太いラインを買うより安上がりで効果が大きい。
⑤システム強度は最弱点で決まる|良いノットを1つ覚えても足りない
ここが仕掛け全体の話になる。ラインシステムは「本線 → 結束ノット → リーダー → 終端ノット → ルアー」という直列のチェーンで、全体の強度は一番弱いところで決まる。
PE1号(9.07kg)+フロロリーダー4号(7.26kg)の構成で、ノットだけを変えて比べる。
| 結束ノット | 終端ノット | 接続部 | 終端部 | システム強度 | 本線比 | 最弱点 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 電車結び(65%) | クリンチ(65%) | 4.72 kg | 4.72 kg | 4.72 kg | 52 % | 終端 |
| FG(90%) | パロマー(85%) | 6.53 kg | 6.17 kg | 6.17 kg | 68 % | 終端 |
| PR(95%) | 完全結び(85%) | 6.89 kg | 6.17 kg | 6.17 kg | 68 % | 終端 |
読みどころが2つある。
1つ目。FGをPRに格上げしても、システム強度は1gも増えない。最弱点が終端ノット側にあるので、接続部をいくら強くしても意味がない。強くすべきは、いま最弱の場所だけだ。
2つ目。ノットを全部きちんと結んでも、本線の68%までしか使えない。PE1号を「9kgのライン」だと思って設計すると、実際には6.2kgで切れる。
もう1つ、リーダーを太くしすぎた場合も見ておく。同じPE1号にリーダー8号(14.5kg)を継ぐと、システム強度は8.16kg(本線比90%)まで上がるが、最弱点が接続部に移る。接続部が切れると、リーダーごと失うことになる。リーダーは本線より少し弱くという③の設計思想は、ここでも効いている。
構成を入れて最弱点と実効強度を出すのがノット強度・ラインシステム診断ツール。上の数値もこのツールの計算結果だ。
⑥ドラグ|実効強度の1/4に設定する
ドラグは、魚が引いたときにラインを送り出してテンションを逃がす機構だ。設定値の目安はシステム実効強度の20〜33%、標準は25%とされる。
なぜ全力の手前で止めるのか。理由は、ファイト中の瞬間張力は設定値を超えるからだ。魚が急に走ったり、竿を煽ったりすると、ドラグが滑り出すまでの一瞬に設定値の1.5倍程度が乗る。
代表的な釣種で計算してみる。
| 釣種 | 構成 | 本線 | リーダー | 実効強度 | ドラグ設定 | 本線比 | 2Lペットボトル |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| アジング | エステル0.3号 直結 | 0.54 kg | — | 0.54 kg | 0.11 kg | 20 % | 0.05本 |
| エギング | PE0.8号+フロロ2号 FG | 7.26 kg | 3.63 kg | 3.27 kg | 0.82 kg | 11.3 % | 0.41本 |
| シーバス | PE1号+フロロ5号 FG | 9.07 kg | 9.07 kg | 8.16 kg | 2.04 kg | 22.5 % | 1.02本 |
| ショアジギング | PE3号+フロロ8号 SC | 27.22 kg | 14.52 kg | 12.34 kg | 4.07 kg | 15.0 % | 2.04本 |
エギングの行を見てほしい。本線PE0.8号は7.26kgあるのに、リーダー2号が3.63kgしかないので、実効強度は本線の半分以下に落ちている。結果、ドラグは本線比11.3%。本線の性能が半分死んでいる構成だが、エギングでは根ズレ対策とイカの足切れ防止でこれが標準になる。
ショアジギングも同じ構造で、PE3号(27.22kg)に対してドラグは4.07kg=本線比15%。本線の号数を上げても、リーダーとノットで頭打ちになる。「もっと強くしたい」ときに本線だけ太くするのは、たいてい無駄になる。
右端の「2Lペットボトル」は、現場での確認方法だ。ドラグを締めたら、水を入れた2Lペットボトルをラインに吊るして持ち上げてみる。シーバスなら1本ぶんで滑り出すのが正解。数値を測る道具がなくても、これなら誰でもできる。
ライン構成からドラグ設定値とペットボトル換算を出すのがリールドラグ設定計算ツール。
⑦針の号数|針種ごとに基準が違い、ルアー用は逆順
ここから仕掛けの先端側に移る。針の号数は大きさを表すが、針の種類ごとに独立した番号体系になっている。
同じ「5号」で、種類別のフトコロ幅(ゲイプ)を並べる。
| 針種 | 5号のフトコロ幅 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 袖針 | 4.0 mm | アジ・イワシ・キス。細軸で小魚向き |
| 丸セイゴ | 4.0 mm | 堤防のエサ釣り全般 |
| グレ針 | 4.5 mm | メジナのフカセ |
| 伊勢尼 | 6.0 mm | 太軸。大物・根魚 |
| チヌ針 | 7.0 mm | クロダイ・マダイ |
チヌ針の5号は、袖針の5号の1.75倍ある。「5号」という共通の数字にほとんど意味がない。針を買うときは、号数の前に針種を確定させないと話が始まらない。
さらにルアー用の管付き針(#表記)では順序が逆転する。
| 表記 | フトコロ幅 |
|---|---|
| #14 | 3.0 mm |
| #10 | 4.0 mm |
| #6 | 6.0 mm |
| #2 | 8.0 mm |
| #1 | 9.0 mm |
数字が小さいほど大きい。#1より大きいサイズは 1/0、2/0、3/0…(「イチゼロ」「ニゼロ」)と続き、こちらは数字が大きいほど大きくなる。#1 と 1/0 が隣り合っていて、そこで向きが変わるのが最大の混乱ポイントだ。
針種の換算と魚種別のおすすめサイズは釣り針サイズ換算&魚種別早見表で引ける。
⑧オモリの号数|1号 = 3.75 g。ガン玉はまた別の体系
オモリの号数は重さで、1号 = 3.75 g。これは尺貫法の1匁そのもので、明治期の質量単位がそのまま残っている。
| オモリ号数 | 重さ |
|---|---|
| 1号 | 3.75 g |
| 3号 | 11.25 g |
| 5号 | 18.75 g |
| 10号 | 37.5 g |
| 15号 | 56.25 g |
| 30号 | 112.5 g |
| 80号 | 300 g |
計算は単純な比例なので、号数 × 3.75 で g、g ÷ 3.75 で号数。ルアーで使うオンス(oz)は 1 oz = 28.3495 g なので、1oz ≒ 7.56号 になる。
ところがウキ釣りで使うガン玉は、まったく別の体系を持っている。
| 表記 | 重さ | 向き |
|---|---|---|
| G8 | 0.07 g | ← 軽い |
| G4 | 0.20 g | |
| G1 | 0.40 g | |
| B | 0.55 g | |
| 2B | 0.75 g | |
| 4B | 1.20 g | |
| 6B | 2.20 g | 重い → |
G は数字が大きいほど軽く、B は数字が大きいほど重い。しかも G1 と B の間で表記の系統が切り替わる。ここも針の #表記 と同じで、境目で向きが変わる構造になっている。
さらに割ビシは「極小・小小・小・中・大」という文字表記で、0.3〜1.5 g を担当する。同じ釣り場で、号・G・B・文字の4つの体系が同時に使われている。
号・g・oz・ガン玉・割ビシを一括で換算するのがオモリ・シンカー号数換算ツール。
⑨竿の号数と適合表示|投げられる重さには窓がある
竿の「号数」は、背負えるオモリ負荷を表す。磯竿1.5号なら、おおむねオモリ1.5号(5.6g)前後を扱う設計という意味になる。ここでも「号」が別の量を指している。
ルアーロッドでは号数ではなく適合ルアー重量(g)と適合ライン(号・lb)が直接書かれている。この2つは「これ以上でもこれ以下でもダメ」という窓になっていて、外すと問題が起きる。
- 上限を超える — キャスト時にロッドに過大な曲げが入り、最悪折れる。ラインの適合上限を超えると、キャスト切れでルアーが飛んでいく
- 下限を割る — ロッドが曲がらないので飛ばない。感度も出ない
適合ルアー10〜40 gのロッドで試すと、20 g は適合範囲の33%地点で「excellent」判定、45 g は上限を12.5%超過して「danger」、5 g は下限割れで「caution」になる。上限超過のほうが危険度が高いのは、折れ・キャスト切れという不可逆な結果につながるからだ。
ロッドの適合範囲と実際に使うルアー・ラインのマッチングを%で診断するのがタックルバランス診断ツール。
⑩飛距離|重さだけでは決まらない
「重いルアーのほうが飛ぶ」というのは半分だけ正しい。同じ初速で投げられたならという条件がつく。
初速35 m/s・射出角40°・リリース高1.5 mで、種類と重さを振ってみる。
| ルアー | 飛距離 | 真空中なら | 空気抵抗による損失 |
|---|---|---|---|
| 30 g メタルジグ | 106.1 m | 124.8 m | 14.9 % |
| 30 g ジグヘッド | 84.0 m | 124.8 m | 32.7 % |
| 30 g ミノー | 60.7 m | 124.8 m | 51.4 % |
| 10 g メタルジグ | 99.9 m | 124.8 m | 20.0 % |
| 60 g メタルジグ | 109.4 m | 124.8 m | 12.3 % |
同じ30 gでも、メタルジグとミノーで1.75倍違う。ミノーは中空ボディで体積が大きく、空気抵抗で半分以上を失っている。形が飛距離を決めているのであって、重さではない。
上下2行も面白くて、同じメタルジグなら10 gと60 gで飛距離が1割しか変わらない(同じ初速の場合)。重いほうが空気抵抗による減速を受けにくいので有利ではあるが、その差は形状の差より小さい。
ただし現実には、60 gを10 gと同じ初速で投げることはできない。ロッドの反発力には限りがあるので、重くなるほど初速は落ちる。だから実際の飛距離は「ロッドが最も効率よく初速を出せる重さ」=⑨の適合範囲の中央付近でピークになる。この表は「初速が同じなら」という思考実験として読んでほしい。
空気抵抗込みの物理計算で飛距離を予測するのがキャスト飛距離予測シミュレーター。射出角を振ると、真空中の45°が最適ではなくなることも確認できる。
⑪糸巻量とコスト|号数が変われば巻ける長さが変わる
号数は直径なので、リールに巻ける長さは号数で決まる。スプールの糸巻量表示は「PE1号-200m」のように書かれていて、太くすれば短く、細くすれば長くなる。下巻きの量を計算するには、この関係を使う。
ラインの直径から糸巻量を計算するのは釣り糸スペック換算+糸巻量計算の糸巻量モードでできる。
年間のコストを見積もるなら釣りコストシミュレーター。釣行回数・スタイルから初期費用・年間コスト・1匹あたりの単価まで出る。ラインは消耗品で、PEは高いので、号数を上げると意外とここに効いてくる。
釣った魚を持ち帰る側はクーラーボックス保冷シミュレーターで、容量・断熱材・外気温・保冷剤から庫内温度の推移が計算できる。
仕掛けを組むときのチェックリスト
- 号数が何を測っているか確認したか。ライン=直径、針=大きさ、オモリ=重さ
- ラインは素材まで指定したか。「1号」だけでは強度が5倍振れる
- 号数×◯lb の暗算が効く範囲か。モノフィラは5号まで、PEは2.5号まで
- リーダーは本線より弱くなっているか。lbで比較する(号数で見ると逆に見える)
- ノットの保持率を織り込んだか。クリンチ65%とパロマー85%で2割違う
- システムの最弱点はどこか。そこ以外を強くしても1gも増えない
- ドラグは実効強度の20〜33%か。2Lペットボトルで現場確認できる
- 針は種類を先に決めたか。チヌ5号と袖5号は1.75倍違う
- #表記の向きを間違えていないか。#1 と 1/0 の境目で逆転する
- ガン玉の G と B の向きを間違えていないか。G は大きいほど軽い
- ロッドの適合ルアー重量の窓に入っているか。上限超過は折れとキャスト切れ
豆知識|「号」は釣り以外でもバラバラ
釣りの号数は尺貫法の生き残り。オモリの1号=3.75gは1匁で、明治24年の度量衡法で「1匁=3.75g」と定義された値がそのまま残っている。1958年に尺貫法は取引・証明での使用が禁止されたが、釣具・和裁・宝飾などの慣習的な表記としては例外的に生き続けている。ラインの号もテグス(絹糸)の太さの号数が起源で、こちらも同じ時代の名残だ。
PEの号数だけは重さ由来。本文①で触れたとおり、PEは デニール ÷ 200 で号数が決まる。デニールは「9,000 m あたりの重さ(g)」なので、1号 = 200デニール = 9,000mで200g という意味になる。太さの規格である他のラインと、重さの規格であるPEが、同じ「号」で並んでいるのは相当ややこしいが、結果的に直径がほぼ揃うように調整されているので実用上は困らない。
釣り以外の「号」も全部バラバラ。このサイトには釣り以外にも号数を扱うツールがあって、それぞれ測っているものが違う。
- 指輪サイズ・号数換算 — 指の太さ。1号=内径13.0mm(内周約41mm)で、1号ごとに内径が1/3mmずつ増える
- 額縁・キャンバス号数サイズ換算 — 絵画の寸法規格。同じ号数でもF(人物)・P(風景)・M(海景)で縦横比が違う
- プランター号数⇄リットル⇄直径 逆引きツール — 鉢の直径。1号=1寸=約3cm
指輪は長さ、キャンバスは面の規格、鉢は直径、オモリは重さ、ラインは直径。「号」は単位ではなく「番号」に近い言葉で、何の番号かは分野ごとに決まっている、と考えるのが実態に合っている。
Tips|現場で効く小ネタ
1. ラインは号数ではなく lb でメモしておく。異なる素材を比べるとき、号数のままだと比較にならない。スマホのメモに「PE1号=20lb / フロロ4号=16lb」と書いておくと、店頭で迷わない。
2. ノットは2つだけ覚える。PE⇔リーダーはFG(90%)、終端はパロマー(85%)。この2つで、ほとんどの釣りのシステムが68%前後まで持ち上がる。3つ目を覚えるより、この2つを確実に結べるようにするほうが効く。
3. ドラグは釣り場に着いてから締める。前回のファイトで緩めたまま、あるいは締めたままになっていることが多い。2Lペットボトルが用意できないときは、リールからラインを引き出して「体感で持ち上げられるか」を見るだけでも違う。
4. 針は号数ではなく「フトコロ幅mm」で覚えると釣種をまたげる。チヌ2号も伊勢尼3号も、フトコロは5mm前後で同じくらい。エサの大きさに対して針を選ぶときは、この数字のほうが直感に合う。
5. ガン玉は「B」を基準に覚える。B(0.55g)を真ん中に置いて、G側が軽く、数字付きB側が重い。この1点だけ覚えておけば、G3とB3を取り違えることはなくなる。
よくある質問
PE1号とナイロン1号、どちらを買えばいいのか
太さはほぼ同じ(PE 0.171mm / ナイロン 0.165mm)だが、性質がまったく違うので用途で選ぶ。
PEは同じ太さで5倍強く、ほとんど伸びないので感度が高い。一方で結束が難しく、根ズレに弱く、価格が高い。ルアーで遠投したい・アタリを取りたいならPE。
ナイロンは伸びるのでショックを吸収し、結びやすく、安い。サビキやちょい投げなど、道具立てをシンプルにしたいならナイロンで十分。
PEを選んだ場合はリーダーが必須になるので、③④のぶんだけ手間が増える。最初の一本ならナイロン、慣れたらPEという順序が無理がない。
「号数×20lb」で計算したら、実際の製品と数字が合わない
その目安が成立する範囲を外れている可能性が高い。本文②のとおり、PEは0.3〜2.5号、モノフィラは5号までが目安の有効範囲で、それより太いと実際の強度は下振れする。
PE4号なら計算上80lbだが、実売品は60lb前後。モノフィラ8号なら計算上32lbだが、実際は28lb前後になる。
もう1つ、PEの強度は規格化されていないという事情もある。直径は日本釣用品工業会の標準があるが、強度は各社の公称値ベースで、編み込み本数(4本・8本・12本)や原糸のグレードで変わる。釣り糸スペック換算+糸巻量計算は各社公称値ベースの目安表で換算しているので、購入前には必ずパッケージの表示を確認してほしい。
ドラグをもっと強く設定したい。何を変えればいいのか
まずシステムの最弱点を確認する。本文⑤のとおり、最弱点以外を強くしても実効強度は1gも増えない。
エギングの例(PE0.8号+リーダー2号)では、リーダーが本線の半分の強度しかないので、本線を1号に上げてもドラグはほとんど変わらない。上げるならリーダーを2.5号・3号にするほうが効く。ただしイカの足切れや見切られるリスクとのトレードオフになる。
シーバスの例(PE1号+リーダー5号)では最弱点が終端ノットなので、クリンチをパロマーに変えるだけで実効強度が2割上がる。お金がかからない改善はここにある。
構成を入れて最弱点を出すのがノット強度・ラインシステム診断ツール、ドラグ値の換算はリールドラグ設定計算ツール。
針の号数を間違えて買ってしまった。使えるか
針種が合っていれば1〜2号の差は実用上問題ないことが多い。号数が1つ違ってもフトコロ幅は0.5mm前後しか変わらない。
問題になるのは針種が違う場合で、本文⑦のとおりチヌ5号と袖5号ではフトコロが1.75倍違う。袖針のつもりでチヌ針の同じ号数を買うと、小魚には明らかに大きすぎる。
判断の基準はエサの大きさと魚の口。オキアミ1匹に対して針が隠れてしまうなら小さすぎ、エサからはみ出しすぎるなら大きすぎる。魚種別のおすすめサイズは釣り針サイズ換算&魚種別早見表にまとめてある。
入力した釣行データや道具の情報はサーバーに送られるのか
この記事で紹介しているツールはすべてブラウザ内で計算が完結していて、入力値も結果もサーバーに送信されない。釣り場やタックル構成を入れても外部には出ない。
ページを離れると入力は消えるので、結果を残したいときは各ツールのコピー機能でテキストとして控えておくのが確実だ。
本文の数値をそのまま信じていいのか
目安として使い、購入時はパッケージの表示を確認してほしい。とくに次の3つは幅が大きい。
- PEの強度 — 規格化されておらず、各社の公称値ベース。編み込み本数や原糸のグレードで変わる
- ノットの保持率 — 実測検証記事のレンジ中央値。結び手の技量、締め込みの丁寧さ、糸の状態で大きく上下する。同じFGノットでも、下手に結べば70%を切る
- 針のフトコロ幅 — メーカーごとに寸法が違う。号数体系そのものが各社の慣習に依存している
本文の計算例は、各ツールの実装と同じ式・同じ定数で算出している。ツールに同じ値を入れれば同じ答えが出るが、手元の製品と一致する保証はない。とくに大物狙いでは、システムを組んだら実際に引っ張って確認するのがいちばん確実だ。
まとめ|「号」は単位ではなく、分野ごとの番号
釣りの数字が分かりにくいのは、計算が難しいからではなく、同じ「号」という字が5つの別の量を指しているからだ。
押さえるのは3つ。
- 号数は太さ・大きさ・重さ・負荷のどれかを指す。ラインなら直径、針なら大きさ(しかも針種ごとに別基準)、オモリなら重さ(1号=3.75g)、竿なら負荷
- 強度は号数では決まらない。同じ1号でPEはナイロンの5倍。しかも「号数×◯lb」の暗算が効くのはPE 2.5号・モノフィラ5号まで
- 仕掛けの強度は最弱点で決まる。ノットを全部きちんと結んでも本線の68%。ドラグはさらにその1/4
ブラウザだけで一通り確認できる:
- ライン:釣り糸スペック換算+糸巻量計算 / PEライン&リーダー組み合わせ診断
- 強度とドラグ:ノット強度・ラインシステム診断ツール / リールドラグ設定計算ツール
- 仕掛けの先端:釣り針サイズ換算&魚種別早見表 / オモリ・シンカー号数換算ツール
- 投げる道具:タックルバランス診断ツール / キャスト飛距離予測シミュレーター
- 釣行まわり:釣りコストシミュレーター / クーラーボックス保冷シミュレーター
- 釣り以外の号数:指輪サイズ・号数換算 / 額縁・キャンバス号数サイズ換算 / プランター号数⇄リットル⇄直径 逆引きツール
不具合の報告や機能リクエストはお問い合わせページから。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。PE1号に「太いほうが安心だろう」とリーダー8号を継いで、根掛かりのたびに接続部から切れてPEを何十mも失った経験がある。リーダーは本線より弱くしておくもの、と教わったのはそのあとだった。
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