土の三相図・土質定数 相互計算

既知の2値から含水比・間隙比・飽和度・各種密度をまとめて逆算する

土質試験値のうち既知の2つ(+土粒子の密度)を入れると、三相図の関係式から残りの土質定数を全部埋める。含水比・間隙比・間隙率・飽和度・空気間隙率と、湿潤密度・乾燥密度・飽和密度・水中密度を単位体積重量つきで表示する。

含水比と間隙比から計算する(教科書の演習で最も多い組合せ)

土質定数

飽和度 Sr56.8%空気間隙率 17.8%
不飽和(一般的な締固め土)

含水比 w

15.00 %

間隙比 e

0.700

間隙率 n

41.2 %

空気間隙率 va

17.8 %

湿潤密度 ρt

1.793 g/cm³

γt = 17.58 kN/m³

乾燥密度 ρd

1.559 g/cm³

飽和密度 ρsat

1.971 g/cm³

γsat = 19.32 kN/m³

水中密度 ρ'

0.971 g/cm³

γ' = 9.52 kN/m³

土粒子の比重 Gs

2.650

ρs / ρw(ρw = 1.000 g/cm³)

三相図(体積比と質量比)

体積比 V質量比 m空気の質量は 058.8%23.4%17.8%間隙 41.2%87.0%13.0%全体積 = 100%全質量 = 100%
土粒子空気

三相図の基本関係式(Sr·e = Gs·w、ρd = ρs/(1+e)、ρt = ρd(1+w/100))による計算結果です。水の密度は 1.000 g/cm³、土粒子の密度は未入力時 2.65 g/cm³ と仮定しています。実際の土質定数は試料の採取方法・試験方法(JIS A 1202 / A 1203 / A 1225)によってばらつきます。設計・施工の判断は地盤調査報告書と土質試験成績表の実測値で行ってください。

PR

📘 土質力学・地盤工学の本を探す

関連ツール

成績表に並ぶ「含水比 15.0%」と「間隙比 0.700」は、独立した2つの数字ではない

土質試験成績表を開くと、含水比・間隙比・間隙率・飽和度・湿潤密度・乾燥密度・土粒子の密度が縦にずらりと並んでいる。初めて見たときは、これが全部それぞれ別の試験で測った独立の値だと思い込んでいた。

実際は違う。独立しているのは土粒子の密度と、そのあと2つだけだ。土粒子の密度 2.65 g/cm³、含水比 15%、間隙比 0.700 — この3つが決まった瞬間に、飽和度は 56.79%、湿潤密度は 1.793 g/cm³、乾燥密度は 1.559 g/cm³、間隙率は 41.18%、空気間隙率は 17.79% と、もう1通りにしか決まらない。三相図の関係式がそう縛っている。

だから本当に困るのは、その「2つ」が欲しい形で揃っていないときだ。現場密度試験の記録には湿潤密度と含水比しか書かれていない。締固め管理の帳票には乾燥密度と含水比しかない。演習問題では間隙比と飽和度だけが与えられる。欲しい値はいつも表の別の行にあり、そこへ辿り着く式を毎回自分で組み立て直すことになる。

このツールは、その組み立てを4つの入口として用意した。手元にある2値の組合せを選んで入れれば、残りの土質定数が単位体積重量つきで全部埋まり、体積比と質量比の三相図が同時に描かれる。

なぜ作ったのか — 解説は無数にあるのに、逆引きできる計算ツールが1つもない

「土の三相図」で検索すると、日本語の解説は驚くほど大量に出てくる。大学の講義資料、資格試験の対策サイト、施工管理の技術ブログ。どれも図は丁寧だし、式も正確だ。

ところが、それらはほぼ例外なく式の羅列で終わっている。含水比の定義、間隙比の定義、飽和度の定義、そして Sr·e = Gs·wρd = ρs/(1+e)ρt = ρd(1+w/100) が並ぶ。並ぶだけだ。「では、いま手元にあるのが湿潤密度と含水比だけのとき、間隙比はどう出すのか」という問いには誰も答えていない。

この非対称が、ずっと気になっていた。知識としての三相図はネット上に飽和するほどあるのに、手元の組合せから解く手順を示したものがない。読者側は、定義式を睨みながら「これを e について解いて、それを別の式に代入して……」を毎回やる羽目になる。演習でつまずくのはたいてい概念の理解ではなく、この代入の順序だ。

計算ツールも探した。単位換算のツールや、含水比だけを求めるフォームは見つかる。だが「どの2つを入れても残りが埋まる」逆引き自由型のものは、日本語ではひとつも見つからなかった。英語圏にいくつかある計算機も、入力が固定パターンで、しかも単位体積重量を返さない。

もうひとつ、作りながら気づいたことがある。三相図で本当に難しいのは式ではなく、含水比だけが質量の比で、間隙比・間隙率・飽和度・空気間隙率は全部体積の比だという点だ。同じ「比」という言葉が2つの世界にまたがっている。ここを混同したまま式を暗記すると、代入は合っているのに答えが合わない、という一番苦しい状態になる。

だから結果表示の隣に、体積比と質量比の積み上げ棒を並べて描くことにした。同じ土を2本の棒で見せると、体積では2〜8割を占めていた間隙が質量では水だけの細い帯に縮み、空気は消える。この対比を毎回目にしていれば、混同のしようがない。式を解説するツールではなく、式を解いた先の姿を見せるツールが要ると思った。

土の三相図とは何か — 土粒子・水・空気を1本の式で結ぶ

土の三相図 とは — 土は3つの箱でできている

土は一様な物質ではない。砂粒や粘土粒子といった固体(土粒子)、その隙間を埋める水、そして残った隙間の空気。この3つが混ざったものが土だ(土質力学の出発点)。

ただし現実の土では、この3つは粒のスケールで入り混じっていて分離できない。そこで、頭の中で無理やり分離して積み上げたものが三相図だ。下から土粒子、その上に水、いちばん上に空気。それぞれの箱に体積と質量を書き込む。

イメージとしてはグラスに入った氷入りのアイスコーヒーが近い。氷(土粒子)とコーヒー(水)と、氷の隙間に残った空気。グラス全体の体積のうち氷が何割か、隙間のうちコーヒーで満たされているのは何割か、そして重さを量ったら氷とコーヒーがそれぞれ何グラムか。土質力学の基本量は、全部この「何割か」を測る指標にすぎない。

含水比 とは — これだけが質量の比

初学者が最初に踏む地雷がここにある。含水比 w は質量の比だ。

w = 水の質量 ÷ 土粒子の質量 × 100 [%]

分母が「土全体の質量」ではなく「土粒子だけの質量」である点に注意する。だから含水比は平気で100%を超える。有機質土やピートでは、水の質量が土粒子の1.5倍(w = 150%)ということが普通に起きる(water content)。「水分が150%」という日本語は一見おかしいが、分母を知っていれば矛盾はしない。

先ほどの砂質土(w=15%)を三相図に描くと、質量比は土粒子 86.96% / 水 13.04% になる。13.04 ÷ 86.96 = 0.15。定義どおりだ。この割り算が成立するかどうかは、あとで出てくる検算にそのまま使える。

間隙比 と 間隙率 の違い — 分母が違うだけ

一方、間隙比 e と間隙率 n は体積の比だ。しかも両者は分母が違う。

間隙比 e = 間隙の体積 ÷ 土粒子の体積        (分母は土粒子だけ)
間隙率 n = 間隙の体積 ÷ 土全体の体積 × 100  (分母は全体)

同じ土を指すのに指標が2つあるのは冗長に見えるが、換算式は単純で n = e/(1+e)×100、逆に e = n/(100−n) になる。e = 0.700 なら n = 41.18%。e は1を超えるが n は絶対に100%を超えない(void ratio / 空隙率)。

なぜ分母が土粒子の e をわざわざ使うのか。理由は圧密にある。土が沈下するとき、押し出されるのは間隙の水と空気であって、土粒子そのものの体積は変わらない。分母が変わらない指標を使えば、沈下量の議論が「e がいくつからいくつへ減ったか」という引き算だけで済む。分母が動く n では同じ議論ができない。

飽和度・空気間隙率 — 間隙のうち水がどれだけ占めるか

飽和度 Sr は「間隙の体積のうち、水で満たされている割合」。地下水位以下の土はほぼ100%、乾いた砂は10〜30%程度になる。100%を超えることは物理的にありえない。間隙より多い水は、そもそも入る場所がない。

空気間隙率 va は「土全体の体積に対する空気の体積の割合」で、va = (1 − Sr/100)·n になる。高含水比の粘性土を締め固めるときの管理指標として使われる値だ。

Sr·e = Gs·w が言っていること

三相図の核になるのが、この1本の式だ。

Sr · e = Gs · w      (Sr と w は %、e と Gs は無次元)

記号だけ見ると暗記事項に見えるが、中身は当たり前のことしか言っていない。左辺の e·Sr/100 は「土粒子の体積を1としたときの、水の体積」。右辺の Gs·w/100 は「水の質量を水の密度で割ったもの=水の体積」を、同じく土粒子の体積を1として書いたもの。つまり水の体積を左から数えても右から数えても同じ、と言っているだけだ。

体積の側から数えた水(左辺)と、質量の側から数えた水(右辺)を突き合わせる橋渡しの式。これが三相図で唯一、質量の世界と体積の世界をつなぐ場所になる。含水比だけが質量の比だったのは、この橋の向こう側にいるからだ。

密度が4種類あるのはなぜか

三相図から出てくる密度は4つある。分子と分母に何を数えるかが違うだけだ。

密度定義使う場面
湿潤密度 ρt(土粒子+水)の質量 ÷ 全体積現場密度試験で直接得られる自然状態の密度
乾燥密度 ρd土粒子の質量 ÷ 全体積締固め度の管理値
飽和密度 ρsat間隙を全部水で満たしたときの質量 ÷ 全体積地下水位以下の土
水中密度 ρ'ρsat − ρw(浮力を差し引いた見かけの密度)有効応力・土圧・支持力

空気は質量ゼロなので分子には現れないが、体積としては全体積に含まれている。だから含水比が同じでも間隙が多ければ密度は下がる。密度 ρ [g/cm³] に 9.80665 を掛ければ単位体積重量 γ [kN/m³] になり、設計計算で使う形に変わる。

実務でこの数値が効く場面 — 締固め度の分母と、地下水位以下の土被り圧

乾燥密度は締固め度の分母そのもの

盛土や路体の締固め管理では「締固め度」という値で合否を判定する。分子が現場の乾燥密度、分母が室内の突固め試験で得た最大乾燥密度で、この比が規定値を満たしているかを見る。

つまり現場で測るのは湿潤密度と含水比なのに、判定に使うのは乾燥密度だ。この変換を挟み損ねると管理そのものが成立しない。現場密度試験で ρt = 1.900 g/cm³、w = 20% を得たら、ρd = ρt/(1+w/100) = 1.900/1.20 = 1.583 g/cm³ が判定に載せる値になる。含水比が高い日は湿潤密度が大きく出るので、そのまま比べると締まっていない土が合格してしまう。

高含水比の粘性土では、乾燥密度ではなく空気間隙率で規定することもある。空気を何%以下まで追い出したかで締固めを評価する考え方で、この場合は含水比・乾燥密度・土粒子の密度から va を出す必要がある。三相図を経由しない限り出てこない値だ。

γt と γ' を取り違えると、地下水位以下の土被り圧が約1.85倍ずれる

地下水位以下の土は水に浮いている。だから土被り圧(有効応力)を計算するときは、湿潤単位体積重量 γt ではなく水中単位体積重量 γ' を使う。

冒頭の砂質土(ρs=2.65・w=15%・e=0.700)で見ると、γt = 17.58 kN/m³ に対して γ' = 9.52 kN/m³。17.58 ÷ 9.52 ≒ 1.85倍の開きがある。地下水位以下 10 m の位置で、γt を使ってしまうと有効応力を1.85倍に見積もることになる。支持力も土圧も有効応力から組み立てるので、この取り違えは下流の計算すべてを巻き込む。しかも数値としては両方それらしい大きさなので、桁で気づくこともできない。

逆に言えば、成績表に γ' が書かれていないときこそ三相図の出番になる。含水比と間隙比、あるいは乾燥密度と含水比があれば ρsat が出て、そこから 1.000 g/cm³ を引けば ρ' が求まる。土圧の計算に渡す入力は、たいていこの経路で作られている。

どの数値がどの試験から来るのか

三相図に入る実測値は、それぞれ別の試験規格に対応している。土粒子の密度は JIS A 1202(土粒子の密度試験)、含水比は JIS A 1203(土の含水比試験)、湿潤密度は JIS A 1225(土の湿潤密度試験)。これらは日本産業標準調査会で規格番号を確認できる。

重要なのは、間隙比・飽和度・間隙率・空気間隙率には対応する試験が存在しないという点だ。全部が上の3つの実測値から計算で導かれる二次的な量にすぎない。成績表でこれらが並んでいるのは、試験室が三相図を使って埋めたからだ。つまりこのツールがやっていることは、試験室の帳票計算と同じ処理になる。

有機質土では土粒子の密度が 1.4〜2.0 まで下がる。ここを一般値の 2.65 のまま計算すると、間隙比も飽和度も密度も全部ずれる。地盤調査報告書に ρs の実測値が載っていたら必ずそれを使う理由がこれだ。

こんな場面で開いてほしい

土質力学の演習 — 教科書の章末問題は「間隙比と飽和度が与えられたとき湿潤密度を求めよ」のような形で出る。自力で解いたあと答え合わせに使えば、どの中間値でずれたかまで特定できる。入力パターンを切り替えれば、同じ土を別の入口から解き直す練習にもなる。

2級・1級土木施工管理技士の学科試験 — 締固め管理、乾燥密度、含水比の関係は頻出範囲だ。選択肢の数値がなぜその値になるのかを、電卓を叩き直さずに確認できる。

技術士一次試験(建設部門) — 土質・基礎の設問では三相図の基本量の相互関係が問われる。特に飽和密度・水中密度まで一気に出せると解答時間が短くなる。

地盤調査報告書・土質試験成績表の読み解き — 成績表の値が三相図の関係を満たしているかを、その場で検算できる。転記ミスや単位の取り違えは、飽和度が100%を超えるという形で真っ先に表面化する。

盛土の締固め管理 — 現場で得た湿潤密度と含水比から乾燥密度と空気間隙率を出し、規定値と突き合わせる。現場のノートPCやスマホからそのまま使える。

基本の使い方は3ステップ

1. 手元にある2値の組合せをパターンから選ぶ

上部のセグメントから「w + e」「w + ρt」「e + Sr」「ρd + w」の4つを選ぶ。現場密度試験の記録なら w + ρt、締固め管理の帳票なら ρd + w、教科書の演習問題なら w + e か e + Sr がだいたい当てはまる。選ぶと、そのパターンで使わない入力欄はUIごと消えるので、何を入れるべきか迷わない。

2. 土粒子の密度と2つの値を入れる

土粒子の密度 ρs は全パターン共通で使う。空欄のままでも 2.65 g/cm³(砂・シルトの代表値)を仮定して計算が進むが、その場合は「仮定値」の注記が出る。試験値があれば必ず入れてほしい。土質プリセット(締固めた砂質土/自然状態の粘性土/まさ土・路体材/有機質土)を選べば、6つの値フィールドが整合した状態で一括入力される。

3. 残りの土質定数と三相図を読む

含水比・間隙比・間隙率・空気間隙率と、湿潤密度・乾燥密度・飽和密度・水中密度が単位体積重量つきで表示される。飽和度は判定ラベル付きのカードで大きく出る。下の三相図では体積比と質量比が2本の棒で並び、飽和度が100%を超える組合せは赤い警告と一緒に「間隙に入りきらない水」として突き出て見える。

具体的な使用例 — 12ケースの検証データから

すべて水の密度を 1.000 g/cm³ として計算している。密度は g/cm³、単位体積重量は kN/m³。

ケース1: 締固めた砂質土(w + e)

入力: ρs = 2.65 / w = 15% / e = 0.700 結果: Sr = 56.79%、n = 41.18%、va = 17.79%、ρt = 1.793、ρd = 1.559、ρsat = 1.971、ρ' = 0.971、γt = 17.58、γ' = 9.52

解釈: 締め固めた砂の典型値。間隙率が41%あり、そのうち水が占めているのは57%弱。残りの17.79%が空気として全体積に残っている。体積比は土粒子 58.82 / 水 23.38 / 空気 17.79%、質量比は土粒子 86.96 / 水 13.04% で、質量の側では空気が完全に消える。13.04 ÷ 86.96 = 0.15 が含水比15%と一致するのが検算になる。

ケース2: 自然状態の粘性土(w + e)— ほぼ飽和

入力: ρs = 2.70 / w = 44% / e = 1.200 結果: Sr = 99.00%、n = 54.55%、va = 0.55%、ρt = 1.767、ρd = 1.227、ρsat = 1.773、ρ' = 0.773、γt = 17.33、γ' = 7.58

解釈: 地下水位以下の自然堆積した粘性土。空気間隙率がわずか0.55%しかない。注目すべきは ρt = 1.767 と ρsat = 1.773 がほぼ一致している点で、これが「ほぼ飽和」の何よりの証拠になる。間隙は体積の半分以上(54.55%)を占めているのに、乾燥密度は 1.227 と砂質土(1.559)よりかなり小さい。

ケース3: 現場密度試験から逆算(w + ρt)

入力: ρs = 2.65 / w = 20% / ρt = 1.900 結果: e = 0.674、Sr = 78.67%、n = 40.25%、va = 8.58%、ρd = 1.583、ρsat = 1.986、ρ' = 0.986、γt = 18.63

解釈: 砂置換法やRI計器法で得られるのは湿潤密度と含水比だけで、間隙比は直接測れない。ここでは ρd = 1.900/1.20 = 1.583 を経由して e = 0.674 が逆算されている。締固め度の判定に載せるのは ρt = 1.900 ではなく ρd = 1.583 のほうだ。

ケース4: まさ土・路体材(ρd + w)

入力: ρs = 2.65 / ρd = 1.800 / w = 12% 結果: e = 0.472、Sr = 67.34%、n = 32.08%、va = 10.48%、ρt = 2.016、ρsat = 2.121、ρ' = 1.121、γt = 19.77

解釈: 締固め管理でいちばん手に入りやすい組合せ。間隙比 0.472 は締固めた土として妥当な範囲で、間隙率も32%まで下がっている。体積比は土粒子 67.92 / 水 21.60 / 空気 10.48%。ケース1の砂質土(間隙率41%)と比べると、締固めが間隙を1割近く潰していることが数値で見える。

ケース5: 高含水比の締固め(ρd + w)— 空気間隙率が管理対象

入力: ρs = 2.70 / ρd = 1.550 / w = 25% 結果: e = 0.742、Sr = 90.98%、n = 42.59%、va = 3.84%、ρt = 1.938、ρsat = 1.976、ρ' = 0.976、γt = 19.00

解釈: 空気間隙率が3.84%まで下がっている領域で、高含水比粘性土の締固めでは乾燥密度ではなくこの値で規定されることがある(上限値は発注者の仕様書による)。質量比は土粒子 80.00 / 水 20.00% で、20 ÷ 80 = 0.25 が含水比25%と一致する。

ケース6: 完全飽和(e + Sr)

入力: ρs = 2.65 / e = 0.800 / Sr = 100% 結果: w = 30.19%、n = 44.44%、va = 0.00%、ρt = 1.917、ρd = 1.472、ρsat = 1.917、ρ' = 0.917、γt = 18.80

解釈: Sr = 100% ちょうどは物理的に正当な状態なので、警告は出ない。特徴が3つ同時に出る — 空気間隙率が厳密に0、湿潤密度と飽和密度が厳密に一致(どちらも1.917)、そして水の体積比 44.44% が間隙率 44.44% と一致する。完全飽和の定義がそのまま数値に現れている。

ケース7: 不飽和の砂(e + Sr)

入力: ρs = 2.65 / e = 0.650 / Sr = 45% 結果: w = 11.04%、n = 39.39%、va = 21.67%、ρt = 1.783、ρd = 1.606、ρsat = 2.000、ρ' = 1.000、γt = 17.49、γ' = 9.81

解釈: 飽和度から含水比を逆算するパターン。演習問題でよく出る向きだ。この組合せでは ρsat がちょうど 2.000、水中密度がちょうど 1.000 g/cm³ になる。ρs = 2.65・e = 0.65 のときだけ起きる偶然だが、覚えやすいので検算の基準として使える。

ケース8: 完全乾燥(w + e)

入力: ρs = 2.65 / w = 0% / e = 0.600 結果: Sr = 0%、n = 37.5%、va = 37.5%、ρt = 1.656、ρd = 1.656、ρsat = 2.031、ρ' = 1.031、γt = 16.24

解釈: 炉乾燥した状態。含水比0はエラーではなく正当な入力として扱っている。空気間隙率が間隙率と一致(どちらも37.5%)、湿潤密度と乾燥密度が一致(どちらも1.656)、質量比は土粒子100 / 水0%。三相図の水の帯が消える。自然状態の土でこの値になることはまずないが、境界の挙動を確かめる意味がある。

ケース9: 飽和度が100%を超える非物理ケース(w + e)

入力: ρs = 2.70 / w = 45% / e = 1.100 結果: Sr = 110.45%、n = 52.38%、va = −5.48%(負値)、ρt = 1.864、ρd = 1.286、ρsat = 1.810、γt = 18.28

解釈: この土は存在しない。矛盾が2通りの形で同時に現れる。ひとつは水の体積比 57.86% が間隙率 52.38% を上回っていること — 間隙に入りきらない水が計算上入っている。もうひとつは ρt = 1.864 が ρsat = 1.810 を上回っていること — 間隙を全部水で満たした状態より重い湿潤密度など存在しない。

面白いのは、これがケース2(w = 44% / e = 1.200 → Sr = 99.00%)とほとんど同じ入力だという点だ。含水比が1ポイント増え、間隙比が0.1減っただけで破綻する。三相図の関係式がどれだけ厳しく縛っているかが体感できる。このツールは計算を中止せず、赤警告と負の空気間隙率をそのまま見せる設計にしてある(理由は次の章で述べる)。

ケース10: 土粒子の密度を空欄にした場合(w + e)

入力: ρs = 空欄 / w = 15% / e = 0.700 結果: ケース1と完全に同一(Sr = 56.79%、ρt = 1.793、ρd = 1.559 …)+「ρs は仮定値」の注記

解釈: 空欄をエラーにせず、2.65 g/cm³ を仮定して計算を続ける。土粒子の密度を知らない学習者が何も計算できない状態を避けるためだ。ただし Gs のセルに「仮定」バッジが付き、黄色の注記が出るので、実測値と取り違えることはない。

ケース11: 有機質土(w + e)

入力: ρs = 2.30 / w = 150% / e = 3.600 結果: Sr = 95.83%、n = 78.26%、va = 3.26%、ρt = 1.250、ρd = 0.500、ρsat = 1.283、ρ' = 0.283、γt = 12.26

解釈: 全体積の78%が間隙という、砂とは別世界の土。質量比は土粒子 40.00 / 水 60.00% で、水の質量が土粒子の1.5倍ある。乾燥密度 0.500 はケース1の砂質土(1.559)の3分の1以下、水中密度に至っては 0.283 対 0.971 で3分の1以下だ。この土に盛土荷重をかけたときの長期沈下が問題になる理由が、数値だけで納得できる。

ケース12: 出力を入力に戻す往復(w + ρt)

入力: ρs = 2.65 / w = 15% / ρt = 1.793(ケース1の出力を表示桁のまま入れ直す) 結果: e = 0.6997(ケース1では 0.700)、Sr = 56.81%(同 56.79%)、n = 41.16%、va = 17.78%、ρd = 1.5591

解釈: 湿潤密度を小数3桁に丸めた影響が、どこにどれだけ伝わるかを見るケース。ずれたのは間隙比の小数3桁目(−0.000335)と飽和度の小数2桁目(+0.027ポイント)だけだった。三相図の関係式は入力の丸めに対してよく安定している、と言っていい。逆に言えば、成績表の値を入れて飽和度が数ポイント単位でずれるなら、それは丸めではなく入力か測定のどこかに原因がある。

仕組み — 4つの入口を1つの導出関数に集約する

候補になった2つの設計

入力パターンが4つあるので、素朴に作ると分岐も4つになる。含水比+間隙比のときはこの式、含水比+湿潤密度のときはこの式、という具合に、パターンごとに「入力から出力までの完全な計算」を4組書く方式だ。

これは最初に思いつくが、書いてみるとすぐ苦しくなる。飽和度・間隙率・乾燥密度・飽和密度・水中密度・空気間隙率・単位体積重量3種・体積比・質量比 — 出力は十数個ある。4パターンぶん書けば同じ式が4回ずつ現れる。式をひとつ直したいとき4か所を直すことになるし、直し忘れれば「あるパターンだけ結果が違う」という追いにくいバグになる。検算も4通り全部やる必要がある。

採用したのはもう一方、正規化してから共通処理に渡す方式だ。どのパターンで入力されても、まず (w, e, ρs) という3つの値に翻訳する。翻訳が終わったら、あとは全パターン共通の導出関数に渡すだけ。分岐はこの翻訳の1か所だけになる。

実装のフロー

ステップ1: 土粒子の密度を確定(全パターン共通)
  ρs が未入力 → 2.65 を採用し isRhosAssumed = true
  ρs が 1.40 未満 / 3.20 超 → null を返す(計算中止)
  Gs = ρs / ρw          (ρw = 1.000 g/cm³)

ステップ2: 正規化 — (w, e) を確定する【分岐はここだけ】
  w + e   : w, e をそのまま使う
  w + ρt  : ρd = ρt/(1+w/100) → e = ρs/ρd − 1
  e + Sr  : w = Sr·e/Gs
  ρd + w  : e = ρs/ρd − 1

ステップ3: 共通の導出(4パターン完全に同一)
  Sr   = Gs·w/e              (100%超でも計算を止めない)
  n    = e/(1+e)×100
  ρd   = ρs/(1+e)
  ρt   = ρd·(1+w/100)
  ρsat = (ρs + e·ρw)/(1+e)
  ρ'   = ρsat − ρw
  va   = (1 − Sr/100)·e/(1+e)×100
  γ    = ρ × 9.80665 [kN/m³]
  体積比: 土粒子 = 1/(1+e)×100、水 = (e·Sr/100)/(1+e)×100、空気 = va
  質量比: 土粒子 = ρs/(ρs + e·Sr/100)×100、水 = (e·Sr/100)/(ρs + e·Sr/100)×100

ステップ2を見ると、4パターンのうち3つが1〜2行で終わっているのが分かる。三相図の関係式が持つ対称性のおかげで、翻訳自体はどれも短い。長いのはステップ3だが、それは1度しか書かれていない。

副次的な利点として、検算がやりやすくなる。ステップ3が共通なら、正しさの検証もステップ3を1回検証すれば済む。実際に ρt = (Gs + Sr/100·e)/(1+e)·ρw という独立した標準形を別に実装して全12ケースで突き合わせ、最大誤差 7.1e-15(浮動小数点の丸めレベル)であることを確認してある。ステップ2の翻訳が正しいかどうかは、往復(ケース12)で確かめられる。

計算例 — ケース3の正規化を1つ追いかける

現場密度試験で ρs = 2.65、w = 20%、ρt = 1.900 を得た場合を、ステップごとに追う。

ステップ1: Gs = 2.65 / 1.000 = 2.65

ステップ2(w + ρt の正規化):
  ρd = ρt/(1+w/100) = 1.900 / 1.20      = 1.583333
  e  = ρs/ρd − 1    = 2.65/1.583333 − 1 = 0.673684
  → (w, e, ρs) = (20, 0.673684, 2.65) が確定。以降は共通処理

ステップ3(共通の導出):
  Sr   = 2.65 × 20 / 0.673684            = 78.6719 %
  n    = 0.673684/1.673684 × 100         = 40.2516 %
  ρsat = (2.65 + 0.673684)/1.673684      = 1.985849
  ρ'   = 1.985849 − 1.000                = 0.985849
  va   = (1 − 0.786719) × 0.402516 × 100 = 8.5849 %
  γt   = 1.900 × 9.80665                 = 18.63 kN/m³

翻訳が終わった瞬間、この土は「w + e パターンで w = 20%、e = 0.673684 を入力した土」と区別がつかなくなる。入口が違うだけで、中身は同じ土だからだ。

検算に独立式を当ててみる。ρt = (Gs + Sr/100·e)/(1+e)·ρw = (2.65 + 0.786719×0.673684)/1.673684 = 3.180043/1.673684 = 1.900。入力した湿潤密度が厳密に復元された。正規化が正しく行われている証拠になる。

なぜ Sr > 100% でも計算を止めないのか

いちばん迷ったのがここだ。飽和度が100%を超える組合せは物理的に存在しない。ふつうならエラーにして null を返し、「入力を確認してください」と出すところだ。

そうしなかった。理由は3つある。

第一に、このツールの主な読者は学生と資格試験の受験者で、そこでの価値は「なぜ超えたのか」を考えることそのものにある。計算を止めてしまうと、その考える材料が画面から消える。

第二に、原因の切り分けができなくなる。飽和度が100%を超える原因は、含水比が過大、間隙比が過小、土粒子の密度の仮定が違う、のいずれかだ。どれなのかを判断するには、飽和度が何%になったのか(110%なのか300%なのか)を見る必要がある。エラー画面には数字が出ない。

第三に、矛盾は飽和度以外の場所にも同時に現れる。ケース9で見たとおり、空気間隙率が負値(−5.48%)になり、湿潤密度が飽和密度を上回る(1.864 > 1.810)。この2つを並べて見せられるのは、計算を続行したときだけだ。

そこで、計算は最後まで実行しつつ、飽和度カードを危険表示にし、空気間隙率の負値を赤で出し、三相図では水を間隙の幅でクリップしたうえで超過分を赤いハッチとして棒の外に突き出させることにした。「入りきらない水」が視覚的にはみ出している状態が、そのまま矛盾の説明になる。

一方で、計算を中止する判断もある。乾燥密度が土粒子の密度以上(間隙比が0以下)、間隙比が0.05未満または30超、土粒子の密度が 1.40〜3.20 の範囲外 — これらは「考える材料」ではなく単位の取り違えや桁違いである可能性が高いので、原因別のメッセージを出して止める。g/cm³ で入れるべきところに kg/m³ の値を入れた、といったケースがここで捕まる。

既存の三相図解説・他の地盤ツールとの違い

前半で触れたとおり、日本語Webで「土の三相図」を調べて出てくるのは式の一覧と穴埋め問題で、手元の2値を入れれば残りが埋まる計算ツールは見当たらなかった。その話は繰り返さない。ここでは実際に作り終えたあとで輪郭がはっきりした、3つの違いだけを挙げる。

1つ目は逆引きの自由度。多くの解説は「含水比と間隙比が与えられたとき」を暗黙の前提にして式を並べている。でも現場で手に入る組合せはそれとは限らない。現場密度試験なら湿潤密度と含水比、締固め管理なら乾燥密度と含水比、地下水位以下を想定するなら間隙比と飽和度。本ツールは4つの入口を用意して、内部では同じ導出関数に流し込む。選んだパターンで使わない入力欄はUIごと消えるので、「今どの値を持っていれば計算できるのか」が画面を見れば分かる。

2つ目は三相図そのものを描くこと。体積比の棒と質量比の棒を並べると、含水比は質量の比、間隙比と飽和度は体積の比、という初学者最大の混同が視覚で解ける。空気は質量棒から消えてしまうし、水の割合は体積で見たときと質量で見たときで大きく違う。この一目の対比は、式の羅列からは絶対に得られない。

3つ目は単位体積重量 γ[kN/m³] の併記。土質定数は g/cm³ で語られるのに、支持力や土圧の式が要求するのは kN/m³ だ。この換算を手で挟むところが地味に事故る。各密度セルの下に γ を並べておけば、そのまま次の計算に持ち込める。

役割分担も書いておく。地盤支持力・擁壁土圧・杭の支持力を扱うツールは、γ や γ' を入力として受け取って地盤の耐力や作用力を出す下流にあたる。本ツールはその手前、土質定数そのものの相互換算に徹していて、支持力や土圧の計算には一切踏み込まない。名前が近い残土の質量・体積換算ツールは、目的が別物だ。あちらは「何m³掘ったら何トンのダンプが要るか」という土量の実務で、三相図の定数を求めるものではない。

豆知識: 2.65という数字の出どころと、間隙比の変な分母

なぜ土粒子の密度は 2.65 が慣用値なのか

未入力のとき本ツールが仮定する 2.65 g/cm³ は、誰かが平均を取って決めた丸めた数字ではない。石英(SiO₂)の密度がおよそ 2.65 g/cm³ で、それがそのまま土質工学の初期値になっている。

理由は風化にある。地表付近の岩石が砕けて砂やシルトになる過程で、化学的風化に弱い鉱物は粘土鉱物に変質したり溶けて流れたりする。そのなかで石英はとにかく硬くて化学的に安定なので、削られても石英のまま残る。結果として、日本の河川がつくった砂層・シルト層は石英を主体とする組成に落ち着く。土粒子の密度を測ると 2.6〜2.8 に収まるのは、この「残った石英」を測っているからだ。逆に有機物を多く含む土は 1.4〜2.0 まで下がる。植物遺体は石英よりずっと軽い。2.65 という慣用値は、地質学的なふるい分けの結果を1つの数字に凝縮したものと言っていい。

間隙比の分母が「土粒子」である理由

間隙率 n は分母が全体積、間隙比 e は分母が土粒子の体積。直感的には n のほうが自然に見えるのに、地盤の実務では e が幅を利かせている。

理由は圧密にある。土が荷重で縮むとき、減るのは間隙の水と空気だけで、土粒子そのものの体積は変わらない。つまり e の分母は圧密の前後で不動だ。分母が動かないから、変化量 Δe がそのまま間隙の減少量に対応する。圧密試験の結果が e-logP 曲線で整理され、沈下量が Δe/(1+e0) × 層厚 で書けるのはこの性質のおかげだ。n を使うと圧密で分母も一緒に縮むので、式の中に分母の変化が紛れ込んで扱いが煩雑になる。「分母が土粒子」は不便な定義ではなく、変形を追いかけるために選ばれた定義だった。

水の密度を 1.000 とする流儀の由来

水の密度は4℃で 0.99997 g/cm³、20℃で 0.99820 g/cm³ で、厳密には1ではない。それでも土質試験の教科書も実務も 1.000 として扱う。もとをたどれば、グラムという単位が「4℃の水1cm³の質量」として定義された歴史の名残だ。

この約束にはご褒美がある。ρw = 1.000 とすると、土粒子の比重 Gs = ρs/ρw の数値が ρs の数値とそのまま同じになる。おかげで Sr·e = Gs·w という中核の式に単位換算がひとつも入り込まない。三相図の関係式があれほど簡潔に書けるのは、水の密度を1に固定する流儀に支えられている。

Tips: 検算・原因の切り分け・単位の罠

  • 試験成績表の検算は質量比でやる: 三相図の質量棒に現れるのは土粒子と水の2つだけ(空気は質量ゼロ)。この水の質量比を土粒子の質量比で割った値は、必ず含水比 w/100 と一致する。成績表の値を入れて質量棒の数字を見れば、成績表そのものの内部矛盾が数秒で分かる。使用例の締固めのケースが、この割り算がぴたりと合う様子を示している。

  • Sr が100%を超えたら w → e → ρs の順に疑う: まず含水比。炉乾燥の秤量ミスや試料の乾き具合の影響を最も受けやすく、荒れる確率が一番高い。次に間隙比。乾燥密度から逆算している場合は、土粒子の密度の誤りをそのまま引きずっている。最後に ρs の仮定。空欄のまま 2.65 で計算していたなら、まずここを実測値に差し替えるだけで解決することが多い。

  • 有機質土に 2.65 を当てると、その土は「存在しない」ことになる: 飽和度は Sr = Gs·w/e なので、Gs を過大に見積もると飽和度がまるごと持ち上がる。実際は 1.4〜2.0 の土に 2.65 を入れれば、飽和していない土が100%超の非物理判定に振れる。乾燥密度 ρd = ρs/(1+e) も同じ比率で過大になる。腐植土・ピートを扱うときは ρs の実測値を必ず入れる。

  • 密度の桁が3つずれたら単位を疑う: 湿潤密度は 0.50〜3.00、乾燥密度は 0.10〜2.50 g/cm³ の範囲でしか受け付けない。1800 のような値を入れて弾かれたら、kg/m³ の値を持ち込んでいる。1 g/cm³ = 1000 kg/m³ なので、小数点を3つ左へ動かせばいい。土粒子の密度も同じで、2650 は 2.65 と入れる。

よくある質問(FAQ)

間隙比と間隙率はどう違うのか

分母が違う。間隙比 e は「土粒子の体積を1としたときの間隙の体積」、間隙率 n は「全体積に対する間隙の割合」で、分母が土粒子だけの e は1を超えることがあるが、分母が全体積の n は100%を超えない(両者の換算式は前半の三相図の解説で導出している)。厄介なのは、地盤調査報告書に載るのは e、参考書の図解は n、という食い違いが日常的に起きることだ。本ツールは両方を同時に出すので、どちらの資料を見ていても読み替えなしで突き合わせられる。

飽和度が100%を超える結果が出るのはなぜか

飽和度は Sr = Gs·w/e で求まる。間隙の体積に対して水の体積が大きすぎると100%を超え、これは「間隙に入りきらない量の水が入っている」という物理的にあり得ない状態を意味する。本ツールは計算を止めずに続行し、赤い警告と負の空気間隙率でその矛盾を見せる仕様にした。原因は3つに絞れる。含水比が過大か、間隙比が過小か、土粒子の密度の仮定が誤っているか。湿潤密度が飽和密度を上回っているかどうかも同じ矛盾の裏返しなので、結果セルを見比べると確信が持てる。使用例の非物理ケースは、正常に収まる自然状態の粘性土とほとんど変わらない入力なのに破綻する。境界がいかに近いかを確かめてほしい。

土粒子の密度が分からないときはどうすればいいか

空欄のままで構わない。2.65 g/cm³(砂・シルトの代表値)を仮定して計算を続け、比重セルに「仮定」バッジと黄色の注記が出る。一般的な土は 2.6〜2.8 に収まるので、砂質土・粘性土なら仮定値でも結論が大きく外れることはない。ただし有機質土・腐植土は 1.4〜2.0 まで下がるため、この領域の土では結果が別物になる。実測値は JIS A 1202「土粒子の密度試験」でピクノメーターを使って求めるもので、土質試験成績表があれば必ず載っている。報告書が手元にあるなら入力してほしい。

完全飽和のときに湿潤密度と飽和密度が一致するのはなぜか

飽和密度は「間隙が全部水で満たされたと仮定したときの密度」として定義されている。実際に飽和度が100%なら、その仮定が現実と一致するので湿潤密度と同じ値になる。同時に空気間隙率もゼロになる。つまり Sr=100%、ρt=ρsat、va=0 の3つは、同じ状態を別の角度から言い換えているだけだ。逆に言うと、飽和度が100%未満なのに ρt と ρsat がほぼ同じ値で並んでいたら、間隙がほとんど水で埋まっている状態=地下水位以下の土や自然状態の粘性土だと読める。使用例の完全飽和のケースと粘性土のケースを見比べると、この関係が腑に落ちるはずだ。

入力した試験値はどこかに送信されるのか

送信されない。計算はすべてブラウザの中のJavaScriptで完結していて、入力値がサーバーに送られることも、どこかに保存されることもない。地盤調査報告書や土質試験成績表の数値は、深さや密度の並びから案件が推測できてしまうこともあるが、この計算に関してはページを閉じた時点で何も残らない。社内の未公開データでも安心して入れてほしい。結果をコピーするボタンも、ブラウザのクリップボードに書き出すだけで外部通信はしない。

まとめ

土の三相図は、含水比・間隙比・飽和度・湿潤密度・乾燥密度という一見バラバラな数字が Sr·e = Gs·w を軸に1本でつながっていることを示す図だ。既知の2つを入れれば、残りは全部決まる。手計算で式を往復していた時間は、数字の意味を考える時間に回してほしい。

求めた単位体積重量は、そのまま次の計算の入力になる。基礎の支持力を見るなら地盤支持力の計算、擁壁に効く土圧なら擁壁土圧の計算、杭基礎なら杭の支持力計算へ。掘削土を何トン運ぶかという土量の話は残土の質量・体積換算が担当する。

計算結果がおかしい、この土質のプリセットも追加してほしい、といった要望があればお問い合わせページから教えてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。現場密度試験の記録から間隙比を出すたびに ρd = ρt/(1+w/100) を電卓で往復していたので、4つの入口を1つの導出関数に集約してこのツールにまとめた。

運営者情報を見る

© 2026 土の三相図・土質定数 相互計算