冷媒配管サイジング計算

能力・配管長・高低差から液管/ガス管径と追加チャージ量を一括算出

冷房能力・冷媒種・配管長・曲げ・高低差を入力すると、液管/ガス管径(2分3分等)と追加冷媒チャージ量、許容判定をワンタップで算出。

能力・冷媒

配管ルート

算出結果

許容内12.0 / 30 m高低差 3/15 m
OK

液管外径

6.35 mm

2分

ガス管外径

12.70 mm

12.7mm

追加チャージ

60 g

標準長 7m

等価配管長

12.0 m

実長+曲げ×0.5

許容配管長

30 m

許容高低差

15 m

※実施工前にメーカー据付説明書を確認
不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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エアコン取付の「2分3分」、その数字の根拠をすぐ出す

エアコンを買い替えたとき、工事の見積書に「2分3分 10m」とだけ書かれていて、「本当にその径で足りてるのか?」と首を傾げた経験はないだろうか。能力が1ランク上がると配管径も上がることが多いのに、旧配管を流用するケースは現場で山ほどある。逆に能力は変わらないのに距離だけが15m超になり、追加冷媒チャージを忘れて能力がガタ落ちする事故もよく聞く話。

このツールは、冷房能力・冷媒種・配管長・曲げ数・高低差を入れるだけで、推奨液管/ガス管径、追加冷媒チャージ量、等価配管長、許容判定までワンタップで返す。ダイキンや三菱のPDFを横断せずとも、リビング用4.0kWのR32機に対してすぐ「液6.35/ガス12.7、追加60g、OK」と判定が出る。

現場の親方から「机の上で10秒で出してくれ」と言われた瞬間に答えるための道具。それが今回の冷媒配管サイジング計算だ。

なぜ作ったのか

きっかけは、知人のリフォーム業者から「エアコン取付の度にメーカーPDFを探し回るのが面倒」という愚痴を聞いたこと。ダイキン・三菱電機・パナソニック・日立…メーカーごとに据付説明書の構成が微妙に違い、配管径表・追加チャージ表・許容配管長表がバラバラの位置にある。現場でスマホを片手に探し、電波が弱いと数分待たされる。

既存のWebツールも調べてみたが、メーカー公式は自社機種の問い合わせ機能に寄っていて、「R32家庭用の一般的な目安を横断して知りたい」という需要には合わない。Excelの個人シートはあるが、計算式を信じていいのか分からない。JIS B 8607(冷媒用銅管)の規格番号を知っていても、サイズ選定の意思決定は別問題だ。

そこで、家庭用から小型業務用(14kWまで)の範囲で、メーカー据付説明書の典型値を統合したルックアップテーブルと、等価長計算・追加チャージ差分計算を1つにまとめたツールを作った。筆者自身、設備設計の実務で「配管長が20mを超えたら許容に入ってるか即判定したい」という場面に幾度となく遭遇してきた。第一原理の計算機ではなく、実務で信頼できる数字をノールックで引ける表。それがこのツールの出発点だ。

冷媒配管の基礎 — 液管・ガス管・冷媒種

液管とガス管、それぞれの役割

家庭用ルームエアコンや業務用パッケージエアコンの冷媒配管は、必ず2本セットだ。細い方が液管(液冷媒が流れる)、太い方がガス管(ガス冷媒が流れる)。冷房運転時、室外機の凝縮器で高温高圧のガスが液化し、液管を通って室内機の膨張弁へ送られる。室内機で気化(冷却)したガスはガス管を通って室外機に戻る、という循環だ。

液とガスでは体積流量が2桁違うため、ガス管は常に液管より太い。2.8kW程度の小型機で液6.35mm・ガス9.52mm、5.0kW級で液6.35mm・ガス12.7mm、7.1kW級で液9.52mm・ガス15.88mmが典型。施工現場で言う「2分3分」は液2分(6.35mm)・ガス3分(9.52mm)の略で、分=1/8インチを表す古い単位だ。

R32とR410A、そしてR22

家庭用エアコンの冷媒は、2012年頃を境にR410AからR32へ切り替わった。R32は単一成分のHFC冷媒で、GWP(地球温暖化係数)が675とR410Aの2088に比べて約1/3。しかも能力あたりの充填量が少なくて済むため、環境負荷と運転コストの両面で有利だ。

業務用機器ではまだR410Aが多く残り、さらに古い機種ではR22(HCFC、オゾン層破壊係数あり)が現役のこともある。R22は1995年のモントリオール議定書により生産段階的廃止となり、日本国内では2020年までに新規生産が終了している。修理用の回収冷媒のみが流通する状況で、古い建物の更新工事では避けて通れない。

冷媒種が変わると、標準配管長・許容配管長・追加チャージレートのすべてが変わる。同じ4.0kW機でも、R32なら標準7m・許容30m・追加20g/m、R22なら標準5m・許容20m・追加30g/mといった具合。ツールが冷媒種を最初に選ばせるのはこの違いを吸収するためだ。

規格の位置づけ(JIS B 8607)

冷媒用銅管の寸法・材質はJIS B 8607で規定されている。外径6.35/9.52/12.7/15.88/19.05/22.22mmといった刻みはすべてこの規格の系列。最小肉厚や硬さも規定されており、施工時のフレア加工や曲げ加工に耐える品質が保証される。家のDIYで「ホームセンターの銅管でいい?」と聞かれることがあるが、冷媒用の表示があるもの以外は使わないのが原則。

実務での重要性 — 径を間違うと何が起きるか

細径化による能力低下

推奨径より1サイズ細い配管を使うと、まず起きるのが圧力損失の増大による能力低下。液管で0.5°C、ガス管で1°C相当の温度差分の損失が積み重なり、カタログ定格の5〜15%能力が落ちることはざらにある。5.6kWのリビングエアコンなら0.3〜0.8kW分、つまり畳数で2畳分冷えなくなる計算。夏のピーク時に「思ったほど効かない」というクレームの原因の半分はこれだ。

オイル戻り不良

冷媒にはコンプレッサ潤滑用の冷凍機油が微量混ざって循環する。ガス管の流速が遅すぎるとオイルが管壁に溜まり、室外機側に戻らなくなる。特に室内機が室外機より高い位置にあるケース(例えば2階リビングのエアコンで室外機が1階地上)で顕著で、高低差が10mを超えるとライザー(立ち上がり管)のサイズ選定がシビアになる。オイル戻り不良は、最悪の場合コンプレッサ焼き付きを招き修理費は数十万円コースだ。

冷媒漏洩・チャージ不足

配管長が標準長を超えたら超過分×チャージレートで追加冷媒を充填する必要がある。20mのR32機で13m超過なら260g追加。これを怠ると冷媒不足で低圧異常停止、あるいは静かに能力低下したまま数年運転して電気代で損し続ける。逆に過剰チャージは高圧異常・コンプレッサ過負荷を招く。フロン排出抑制法のもと、冷媒の漏洩・過不足は法的にも管理対象だ。

内線規程相当のエアコン工事標準では、許容配管長を超えた取付を禁止している。机上の数字遊びではなく、法令と保証の境界線の話なのである。

活躍する場面

住宅リフォーム: 既存エアコンを新型に更新するとき、「旧R410A機の配管を流用できるか」を即判定。R32もR410Aも管径互換性が高いため流用できるケースが多いが、許容配管長と追加チャージの見直しは必須。

業務用機器の更新工事: 店舗や事務所でパッケージエアコンを入れ替えるとき、4.0/5.6/7.1/10kWの能力別に液ガス管径を一覧で示せると、見積作成が10分短縮できる。

DIYでのエアコン取付: 真空引き機材とフレアツールを持っている上級DIYerが、能力と距離から「これで足りるか」を事前確認。工事業者に依頼する際のセカンドオピニオンにも使える。

設備設計の初期検討: 機械室から天井裏への引き回しルートを3案作り、それぞれの等価長・許容判定を並べて比較。ルート決定の意思決定材料として。

基本の使い方(3ステップ)

  1. 能力と冷媒種を選ぶ: カタログ記載の冷房能力(kW)を入力し、R32/R410A/R22/R407Cから該当するものを選択。最近の家庭用は99%がR32。
  2. 配管ルートを入力: 実配管長(m)、90°曲げの個数、高低差(m)を入れる。曲げは等価長で0.5m/個として自動加算される。
  3. 結果を読む: 液管外径・ガス管外径・追加チャージ量・等価配管長・許容判定が一覧で出る。許容超過の場合は赤いStatusCardで警告。

具体的な使用例

ケース1: リビング4.0kW R32、一般的な取付(入力 10m / 曲げ4 / 高低差3m)

入力値: capacity=4.0kW, R32, 10m, 4曲げ, 3m高低差 結果: 液管6.35mm / ガス管12.7mm / 追加チャージ60g / 等価長12.0m / 許容内 ✓ 解釈: 家庭用14畳クラスで最も多いパターン。標準長7mを3m超過したため60g追加。許容30mには十分余裕あり。通常の戸建て1階施工ならこの構成でほぼ問題ない。

ケース2: リビング5.6kW R32、真下置き(入力 7m / 曲げ2 / 高低差2m)

入力値: capacity=5.6kW, R32, 7m, 2曲げ, 2m 結果: 液管9.52mm / ガス管15.88mm / 追加チャージ0g / 等価長8.0m / 許容内 ✓ 解釈: 18畳クラス。配管長が標準7m以内のため追加チャージ不要。液ガスとも一段太くなる点に注意。旧2分3分(液6.35/ガス9.52)からの流用は不可で、必ず3分5分(液9.52/ガス15.88)への張替えが必要

ケース3: 2.2kW R410A店舗天吊り(入力 20m / 曲げ4 / 高低差5m)

入力値: capacity=2.2kW, R410A, 20m, 4曲げ, 5m 結果: 液管6.35mm / ガス管9.52mm / 追加チャージ260g / 等価長22.0m / 許容内 ✓ 解釈: 小能力だが配管は長い典型パターン。標準7mを13m超過で260g追加という大きな値になる。真空引き後の追加チャージを忘れると能力が半減するリスクが高いケース。許容30m・許容高低差15mに対してはまだ余裕。

ケース4: 6畳用2.2kW R32、短距離(入力 4m / 曲げ2 / 高低差1m)

入力値: capacity=2.2kW, R32, 4m, 2曲げ, 1m 結果: 液管6.35mm / ガス管9.52mm / 追加チャージ0g / 等価長5.0m / 許容内 ✓ 解釈: 家庭用の最小クラス。配管長4mは標準7mに収まるため追加冷媒不要。2分2分(液6.35/ガス9.52)の最細ペアで、量販店の標準取付工事パックで最もよく使われる構成。

ケース5: 業務用10kW R410A、天井裏引き回し(入力 25m / 曲げ6 / 高低差8m)

入力値: capacity=10kW, R410A, 25m, 6曲げ, 8m 結果: 液管9.52mm / ガス管15.88mm / 追加チャージ360g / 等価長28.0m / 許容内 ✓ 解釈: 小型店舗向けパッケージ。25m引き回し+6曲げで等価長28m、許容30mぎりぎり。これ以上の曲げや延長はNG。業務用としては定番サイズだが、高低差8mでオイル戻りを考慮しトラップ施工が必要なレベル。追加360gは2本セットで1kg缶の半分近く使う計算。

ケース6: 古いR22機の修理更新(入力 3.6kW / 12m / 曲げ3 / 高低差4m)

入力値: capacity=3.6kW, R22, 12m, 3曲げ, 4m 結果: 液管9.52mm / ガス管15.88mm / 追加チャージ210g / 等価長13.5m / 許容内 ✓ 解釈: R22は標準長5m・許容20m・追加30g/mとR32より厳しい。12m-5m=7m×30g=210gの追加。R22冷媒は新規流通がないため、実務では回収冷媒の再利用か、思い切って機種ごと更新という判断を迫られるケース。

ケース7: 2階リビング7.1kW R32、高低差大(入力 15m / 曲げ4 / 高低差12m)

入力値: capacity=7.1kW, R32, 15m, 4曲げ, 12m 結果: 液管9.52mm / ガス管15.88mm / 追加チャージ160g / 等価長17.0m / 許容内 ✓ 解釈: 2階設置で室外機が1階地面という典型的な高低差ケース。高低差12mは許容15mに対して8割。数値上はOKだが、ライザー部のオイル戻り対策(Uトラップ・複数配管等の機種別仕様)を据付説明書で必ず確認すべき水準だ。

仕組み・アルゴリズム

手法1: レンジルックアップ vs 手法2: 圧損式からの算出

冷媒配管径を決める方法は大きく2つある。1つは圧力損失式から物性値経由で求める方法。冷媒の物性(密度・粘度・飽和温度)と流量、許容圧損(通常ΔT=1°C相当)を与えて、Darcy-Weisbach式で管径を逆算する。学術的には正しく、CFDシミュレーションにも接続できる。ただし現場の施工判断には重すぎる。

もう1つが本ツール採用のレンジルックアップ方式。メーカー据付説明書に記載された「能力帯→推奨管径」の表をそのまま関数にしたもの。能力 > range.minKw && 能力 ≤ range.maxKw を満たすレンジを線形探索し、対応する液管/ガス管径を返す。計算コストO(n)だが、家庭用の範囲はレンジ4個程度なので実質O(1)。何よりメーカーの推奨値そのものなので、施工後のトラブル時にも「据付説明書に沿った判断」という説明責任が果たせる。

圧損式は理論的汎用性、ルックアップは実務的信頼性。今回は「施工現場で信頼できる数字を即出す」ことを優先し、後者を選んだ。

実装の核

// 冷媒種ごとのスペック
const spec = refrigerantSpecs[refrigerant];
// {standardLength, maxTotalLength, maxHeightDiff, chargeRatePerM, ranges}

// 能力レンジを探索
const range = spec.ranges.find(r => capacity > r.minKw && capacity <= r.maxKw);
const liquidOd = range.liquidOd;
const gasOd = range.gasOd;

// 追加チャージ(標準長超過分のみ)
const additionalChargeG = Math.max(0, pipeLength - spec.standardLength) * spec.chargeRatePerM;

// 等価長(曲がり1個=0.5m加算)
const equivalentLength = pipeLength + bends * 0.5;

// 許容判定
const withinLimit = equivalentLength <= spec.maxTotalLength
                 && heightDiff <= spec.maxHeightDiff;

具体的な計算例(ケース1 R32 4.0kW を手で辿る)

  1. refrigerant = "R32" → spec = {standard: 7, maxTotal: 30, maxHeight: 15, chargeRate: 20}
  2. capacity = 4.0 → 2.8 < 4.0 ≤ 5.0 のレンジにヒット → liquidOd=6.35, gasOd=12.7
  3. pipeLength = 10, standardLength=7 → 超過3m → additionalChargeG = (10-7) × 20 = 60g
  4. bends = 4equivalentLength = 10 + 4 × 0.5 = 12.0m
  5. 12.0 ≤ 30 かつ heightDiff=3 ≤ 15 → withinLimit=true、StatusCardは「許容内」

検証済みテストベクトルとも一致する。電卓でも1分で追えるシンプルさが、ルックアップ方式の強みだ。

標準長差分チャージの意味

追加冷媒チャージレート(R32で20g/m)は、「メーカーが工場充填時に想定した配管長=標準長」を超えた分だけ、実配管容積に応じて追加する必要があるという考え方。20g/mという値は、液管6.35mm〜9.52mmクラスの内容積と液冷媒密度から逆算された典型値で、実機種ごとに多少のブレがあるため据付説明書の最終確認は必須。

等価長(equivalent length)の考え方

曲がり・継手・バルブは直管に比べて圧損が大きいため、直管換算の「等価長」に換算して許容値と比較する。本ツールでは90°エルボ1個=0.5m相当とした。これは配管径・流体粘度に依存する簡略値で、ASHRAE Handbookではより精緻な表が提示されているが、現場判断には0.5m/個で十分な精度がある。

メーカー個別ツールとの使い分け

冷媒配管サイジングに関しては、ダイキン・三菱電機・パナソニック・日立といった主要メーカーがそれぞれ独自の据付説明書や選定ソフトを提供している。メーカー公式ツールは自社機種に対する正確性が担保されており、最終確認にはそちらを使うべきだ。ただし、それぞれ以下のような弱点がある。

  • 機種登録しないと計算画面に進めない — 型番を先に選ぶ設計のため、「とりあえず4kWならどれくらいの管径?」という概算フェーズで使いづらい
  • PDFの据付説明書は表の読み取りが面倒 — 能力帯と許容配管長の表を行き来しながら、追加チャージを電卓で計算する必要がある
  • 冷媒種を横断比較できない — R32とR410Aで管径や許容長がどう違うのか、同じ画面では確認できない

本ツールは機種選定より前の「ざっくりした目安」を、メーカー横断で瞬時に出すことに特化している。リフォームの見積段階や、DIY愛好家が施工可否を判断するフェーズにマッチする。逆に、施工直前の最終寸法確定や保証が絡む案件では、必ずメーカー据付説明書を正として扱ってほしい。「概算は本ツール、確定はメーカー資料」という二段構えが現実的な使い分けになる。

豆知識:R32採用の背景とフロン規制

R32がスタンダードになった理由

1990年代まで主流だったR22はHCFC系冷媒で、オゾン層破壊係数(ODP)がゼロではなく、モントリオール議定書により段階的に廃止された。代替として登場したのがR410AというHFC混合冷媒で、ODPはゼロになったが、地球温暖化係数(GWP)は約2088と非常に高い値を持つ。

そこで2010年代後半から家庭用エアコンで採用が広がったのがR32だ。GWPは675とR410Aの約3分の1。しかも単一冷媒(混合ではない)なので、配管漏洩時に組成変化が起きず、回収・再充填がしやすい。熱力学的特性も良好で、同じ能力をより少ない冷媒量で実現できる。

フロン排出抑制法の影響

2015年施行のフロン排出抑制法では、業務用冷凍空調機器の所有者に対し、定期点検・漏洩記録・算定漏洩量報告が義務化された。7.5kW以上の機器は年1回、50kW以上は3ヶ月に1回の簡易点検が必要だ。配管漏洩は罰則対象になり得るため、据付時のフレア加工品質・真空引き時間・配管サイズ選定は、単なる施工品質を超えて法令順守の意味を持つ。

追加チャージ量を正確に把握しておくことは、将来の漏洩判定や廃棄時の回収量計算でも必要になる。小さな数字に見える「60g」「260g」という値が、機器のライフサイクル全体を通じて記録の起点になることを覚えておきたい。

Tips:施工で差がつく5つのポイント

  1. 曲げは最小化する — 90°エルボ1個あたり約0.5m相当の等価長を食う。4個も曲げれば2m分が消える計算だ。壁貫通位置を設計段階で詰めておくことで、許容長ギリギリの案件でも余裕が生まれる
  2. 真空引きは配管長に応じて延ばす — 標準長7mなら15分でも足りるが、20m級の長配管では30分以上が目安。真空度は-0.1MPa(-755mmHg)まで落とし、5分放置でも戻らないことを確認したい
  3. フレア加工は面粗さが命 — バリ・偏芯・深さ不足はガス漏れの主因。電動フレアツールなら寸法が安定しやすく、ニップル先端のオイル塗布も忘れずに
  4. 液管の保温も必須 — ガス管だけでなく液管も結露・熱ロス防止のため発泡ポリエチレン保温材で被覆する。テープ巻きで継ぎ目を必ず塞ぐ
  5. 配管サポートは1m以内ピッチ — 長配管で垂れ下がるとオイル溜まりが発生し、コンプレッサーのオイル戻り不良を招く。配管クランプは最低でも1m間隔で固定したい

FAQ

古いR22用の配管を流用してR32機種に使えるの?

原則として推奨されない。R32はR410A系と同じ高圧冷媒で、運転圧力がR22の約1.6倍に達する。R22時代の銅管肉厚では耐圧不足になる可能性がある。また、R22で使われていた鉱物油が配管内壁に残留していると、R32用のPOE/PVE系合成油と混ざって化学変化を起こし、コンプレッサー故障の原因になる。どうしても流用したい場合は、メーカー指定の洗浄剤で配管を完全洗浄し、耐圧試験を実施した上で自己責任の範囲で判断することになる。

配管を延長したいとき、継手で繋いでも問題ない?

技術的には可能だが、継手部分は漏洩リスクが高いポイントになる。フレア継手よりもロウ付け(ブレージング)の方が信頼性が高く、業務用ではこちらが主流だ。家庭用で継手を使う場合も、継手位置は必ず目視点検できる場所にし、保温材をめくれる構造にしておくこと。継手1箇所につき等価長を少し足して計算するとより安全側になる。

「2分3分」「2分4分」という呼び方は何を意味するの?

これはインチ表記を日本語化した慣用名で、配管外径を表す。「1分」は1/8インチ(約3.175mm)に相当し、「2分」は2/8=1/4インチ(6.35mm)、「3分」は3/8インチ(9.52mm)、「4分」は4/8=1/2インチ(12.7mm)、「5分」は5/8インチ(15.88mm)となる。つまり「2分3分ペア」と言えば、液管6.35mm・ガス管9.52mmの組み合わせを指す。家庭用2.2〜2.8kW機の定番サイズだ。本ツールの結果欄もこの換算で読み替えられる。

許容配管長を少しだけ超える場合、どう対処するべき?

まず機種変更か配管ルート見直しを検討するのが正攻法だ。どうしても超過が避けられない場合、メーカーによっては「配管延長キット」「追加チャージテーブル拡張」を公式に用意していることがある。ただしこれは機種限定なので、必ず据付説明書で対応可否を確認してほしい。本ツールで「限界付近」判定が出た時点で、早めにメーカーサポートに相談するのが安全だ。

業務用マルチエアコンの分岐配管はこのツールで計算できる?

現時点では対応していない。マルチ方式は室外機1台に対して複数の室内機を分岐管(ヘッダー・Y分岐)で繋ぐ構成になり、主管・枝管それぞれに別のサイズ計算が必要になる。本ツールはペア型(1対1)の冷媒配管を対象にしている。マルチ対応は今後のアップデート候補として検討中だ。

まとめ

冷媒配管サイジングは「能力から管径を引く」だけに見えて、許容長・高低差・曲げ・追加チャージと絡み合う多変数問題だ。本ツールでメーカー横断の概算をつかみ、最終確定はメーカー据付説明書で行う二段構えが実務的な使い方になる。空調設計をトータルで進めるなら、あわせて冷房負荷計算で必要能力を固め、ダクトサイジングで風路を詰め、湿り空気計算で結露リスクを確認、配管保温厚計算で保温仕様を決めると流れがスムーズだ。不明点や要望があればお問い合わせから気軽に連絡してほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。冷媒配管の許容長とチャージ量は、据付説明書の山を毎回めくる時間が惜しくて作った。2分3分という呼び名を口にするたびに、インチ換算のちょっとしたロマンを感じてしまうのは職業病かもしれない。

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