湿り空気線図計算ツール

乾球・湿球・露点のいずれか2値から露点・絶対湿度・エンタルピーを算出

乾球温度と「湿度/湿球/露点」のいずれか2値を入れるだけで、露点・絶対湿度・エンタルピー・比容積まで全状態量を同時算出。ASHRAE流のMagnus近似式を採用。

よくある空気条件

空気状態

標準大気圧 101325 Pa。標高が高い地点では下げる(例: 標高1000m ≈ 89875 Pa)

計算結果

乾球温度

26.00 ℃

湿球温度

18.71 ℃

露点温度

14.77 ℃

相対湿度

50.0 %

絶対湿度

10.49

g/kg(DA)

比エンタルピー

52.90

kJ/kg(DA)

比容積

0.8618

m³/kg(DA)

水蒸気分圧

1,681 Pa

飽和水蒸気圧

3,361 Pa

ASHRAE Handbook近似式ベース。-40〜80℃の常温域で高精度だが、産業用途の高精度要求にはMollier線図や公式プログラムと併用を推奨。

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「湿度は高いのに、なんか乾いてる」あの違和感の正体

真夏の倉庫で汗だくなのに、搬入した段ボールは妙にパリパリしている。逆に、冬のオフィスで加湿器をフル稼働させても静電気でバチバチ。相対湿度の数字だけ見ていると、現場の肌感覚と合わない瞬間がある。

原因は単純だ。同じ「湿度60%」でも、32℃の空気と0℃の空気では中に含まれる水蒸気量が10倍近く違う。人が結露や乾燥として感じているのは相対湿度ではなく、絶対湿度や露点温度のほうだ。

このツールは、乾球温度と「もう1つの値」を入れるだけで、湿り空気の全状態量を同時に算出する。空気線図を定規で読むあの作業を、スマホで数秒に置き換えるために作った。

なぜ作ったのか — 線図を読むのがとにかく面倒だ

空調設計の現場に出ると、湿り空気線図(サイクロメトリックチャート)を読む場面が山ほどある。外気条件から冷却コイルの負荷を出すとき、加湿器の必要水量を決めるとき、結露リスクを判定するとき。そのたびにA3の線図を広げ、乾球温度の縦線と相対湿度の曲線の交点を探し、定規でエンタルピー軸まで斜めに線を引く。慣れれば数分だが、慣れても読み取り誤差が残る。

既存のWeb計算ツールもいくつか試した。ただ、多くは「乾球+相対湿度」の1モードしか受け付けない。現場で測るのはアスマン乾湿計の「乾球+湿球」だったり、結露計算なら「乾球+露点」だったりする。そのたびに頭の中で換算するのは本末転倒だ。

もう一つの不満は、結果が絶対湿度とエンタルピーだけで止まっていること。比容積や水蒸気分圧まで同時に出してくれないと、ダクト質量流量や結露圧力差の計算につながらない。

だから3モード切替・全状態量同時表示・大気圧補正つきを1画面で完結させた。実務で湿り空気を触るなら、これ一枚あれば線図を開かずに済む、という水準を目指した。

湿り空気とは何か — 乾き空気と水蒸気の「カクテル」

乾球温度・湿球温度・露点温度 の違い

湿り空気は、乾き空気と水蒸気が混ざり合った気体だ。この混合物の状態を決めるには「温度」と「水蒸気量」の2つの情報が要る。面倒なことに、温度にも湿度にも複数の定義がある。

乾球温度(Dry Bulb, Tdb) はふつうの温度計が示す値。空気そのものの温度だ。

湿球温度(Wet Bulb, Twb) は、温度計の球部を濡れたガーゼで覆って風を当てたときの温度。水が蒸発するときに熱を奪うので、乾球より低く出る。空気が乾いていればいるほど蒸発が活発で、湿球との差が大きくなる。打ち水で涼しくなる原理と同じだ。

露点温度(Dew Point, Tdp) は、その空気を冷やしていって水滴が出始める温度。冷たい缶ジュースの表面に水滴がつくあの温度である。空気中の水蒸気量そのものを表す指標で、露点が高いほど「じめじめ」している。

絶対湿度と相対湿度 の関係

相対湿度(RH) は「今の温度で空気が含める水蒸気の最大量に対する割合」。だから温度が変わると同じ水蒸気量でも数値が変わる。32℃で60%RHの空気を0℃まで冷やすと、途中で100%を超えて結露する。

絶対湿度(Humidity Ratio, W) は乾き空気1kgあたりに含まれる水蒸気の質量 [kg/kg(DA)]。温度に影響されないので、空気を加熱冷却しても(結露しない限り)一定だ。加湿負荷や除湿負荷の計算では必ずこちらを使う。

比エンタルピー という"空気の持つエネルギー"

比エンタルピー(h) は乾き空気1kgあたりに蓄えられた熱量 [kJ/kg(DA)]。顕熱(温度に対応する熱)と潜熱(水蒸気が持つ蒸発熱)の合計で、次式で表せる。

h = 1.006 × Tdb + W × (2501 + 1.86 × Tdb)

空調機が空気を処理するとき、実際に動かしているのはこのエンタルピーだ。温度だけ見て「10℃下げた」と思っても、除湿まで行っていれば潜熱分のエネルギーも動いている。冷房能力をkWで見積もるときの主役である。

詳しくは湿り空気(Wikipedia)ASHRAE Handbook Fundamentalsに当たってほしい。

実務での重要性 — 数値を間違えると、壁にカビが生える

湿り空気の状態量を誤ると、設計現場ではそのまま事故につながる。

結露事故は代表例だ。外気32℃・60%RHの露点は約23.3℃。壁の室内側表面温度が23℃を下回ると、その場所で水滴が発生する。断熱欠損のある外壁隅でこれが起きれば、カビ・クロス剥離・木下地の腐食まで一直線だ。省エネ法の住宅性能表示制度でも結露防止は必須項目に入っている。

除湿負荷の見積もりミスも痛い。ある中規模オフィスで、外気32℃60%RHを26℃50%RHまで処理する場合、顕熱だけで冷やすのと潜熱込みで処理するのでは、必要冷房能力が1.4~1.6倍変わる。エンタルピー差 h1−h2 を取らずに温度差だけで選定すると、真夏にコイルが溶けるほど負荷が足りない事態になる。

加湿空調では逆の問題が起きる。冬期0℃60%RHの絶対湿度は約2.26 g/kg。これを22℃50%RH(約8.3 g/kg)まで持ち上げるには、1kgの空気あたり6 g の水を投入しなければならない。換気量m³/hから必要加湿量L/hを算出するときに絶対湿度を使わないと、加湿器が全く追いつかず、冬のオフィスで静電気とインフルが蔓延する。

塗装・印刷・食品など湿度管理が品質に直結する現場では、許容絶対湿度の上限下限を線図で囲った"管理ボックス"を持つことが多い。日々の乾湿計読みをこのボックスに当てはめる作業が、本ツールの出番だ。

こんなときに効く

  • 空調設計:外気条件と室内条件のエンタルピー差から、冷房・除湿・加湿負荷を一発算出
  • 結露リスク判定:外気露点と壁表面温度を比較し、内断熱の熱橋部で水滴が出ないか確認
  • 塗装ブース・印刷工場:管理湿度範囲(例: 絶対湿度7~10 g/kg)を外れていないか現場チェック
  • 倉庫・データセンター:サーバ室の露点を見て、精密空調の設定が妥当かを判定

基本の使い方(3ステップ)

  1. 入力モードを選ぶ — 手元の計測値に合わせて「乾球+湿度」「乾球+湿球」「乾球+露点」のいずれかをタップ
  2. 2つの値と大気圧を入力 — 乾球温度ともう1つ、そして大気圧(標準は101325 Pa、高地なら下げる)
  3. 全状態量を確認 — 絶対湿度・エンタルピー・比容積・水蒸気分圧までその場で並ぶ。コピーボタンで一括保存できる

具体的な使用例 — 7ケースで感覚をつかむ

ケース1: 快適オフィス(26℃・50%RH)

  • 入力: Tdb=26℃, RH=50%, Patm=101325 Pa
  • 結果: W≈10.49 g/kg, h≈52.9 kJ/kg, Tdp≈14.8℃
  • 解釈: 日本の夏期の快適設定。露点15℃弱なので、壁表面温度が15℃を切らなければ結露しない。オフィスビルの代表設計点

ケース2: 夏期外気(32℃・60%RH)

  • 入力: Tdb=32℃, RH=60%
  • 結果: W≈18.02 g/kg, h≈78.3 kJ/kg, Tdp≈23.3℃
  • 解釈: 東京の8月代表値。ケース1とのエンタルピー差は25.4 kJ/kg。1,000 m³/hの外気導入なら約8.5 kWの冷却除湿負荷が必要になる計算

ケース3: 冬期外気(0℃・60%RH)

  • 入力: Tdb=0℃, RH=60%
  • 結果: W≈2.26 g/kg, h≈5.65 kJ/kg, Tdp≈-6.8℃
  • 解釈: 絶対湿度はケース1の1/4以下。この空気を22℃まで加熱するだけでは相対湿度12%と極端に乾燥する。加湿器が必須になる根拠データ

ケース4: 猛暑日外気(38℃・55%RH)

  • 入力: Tdb=38℃, RH=55%
  • 結果: Ps≈6632 Pa, Pv≈3647 Pa, W≈14.01 g/kg, h≈74.1 kJ/kg, Tdp≈27.5℃
  • 解釈: 絶対湿度はケース2より低いのにエンタルピーはほぼ同等。顕熱が効いている。冷房設備の冷水コイル選定で見落としがちな高温低湿ケース

ケース5: サーバ室管理点(22℃・40%RH)

  • 入力: Tdb=22℃, RH=40%
  • 結果: Ps≈2644 Pa, Pv≈1057 Pa, W≈6.58 g/kg, h≈38.8 kJ/kg, Tdp≈7.8℃
  • 解釈: ASHRAE TC9.9推奨ゾーン中央付近。露点8℃弱なら結露リスクは低いが、静電気対策で絶対湿度6 g/kg下限を切らない管理が要る

ケース6: 塗装ブース上限(28℃・75%RH)

  • 入力: Tdb=28℃, RH=75%
  • 結果: Ps≈3779 Pa, Pv≈2834 Pa, W≈17.76 g/kg, h≈73.5 kJ/kg, Tdp≈23.2℃
  • 解釈: 自動車補修塗装の許容上限付近。これ以上になるとブラッシング(塗膜白化)のリスクが跳ね上がる。外気導入量と除湿能力の境界条件

ケース7: 高地倉庫(20℃・50%RH、Patm=90000 Pa)

  • 入力: Tdb=20℃, RH=50%, Patm=90000 Pa
  • 結果: Ps≈2338 Pa, Pv≈1169 Pa, W≈8.20 g/kg(標準圧力なら7.26 g/kg)
  • 解釈: 標高約1000 mの高地倉庫。同じ相対湿度でも絶対湿度が約13%大きく出る。高地プラントで空調設計する際に大気圧補正を入れないと、除湿負荷を過小評価する

仕組み・アルゴリズム

飽和水蒸気圧式: Magnus か Goff-Gratch か

湿り空気計算の出発点は「その温度で最大どれだけ水蒸気を含めるか」を示す飽和水蒸気圧 Ps(T) だ。代表的な近似式は2系統ある。

  • Goff-Gratch式: WMO公式。多項式+対数の複雑式で、−100~100℃の全域で高精度(誤差0.01%以下)
  • Magnus-Tetens式: シンプルな指数関数1本。−40~50℃で誤差0.1%以下

本ツールはMagnus-Tetens式を採用した。理由は3つある。(1) 実務で扱う空調域(−20~50℃)では精度差が結果に見えない、(2) 露点の逆算が解析的にできる、(3) JavaScriptで計算が軽くリアルタイム表示に向く。Goff-Gratchは氷点下の氷面飽和や極域気象の研究用途向けで、HVACにはオーバースペックだ。

採用式:

Ps(T) = 610.78 × exp(17.27 × T / (T + 237.3))  [Pa, T in ℃]

計算フロー

乾球温度と相対湿度が既知の場合(dbRhモード)のフローはこうなる。

1. Ps = 610.78 × exp(17.27 × Tdb / (Tdb + 237.3))
2. Pv = Ps × RH / 100
3. W  = 0.62198 × Pv / (Patm - Pv)
4. h  = 1.006 × Tdb + W × (2501 + 1.86 × Tdb)
5. v  = 287.055 × (Tdb + 273.15) × (1 + 1.6078 × W) / Patm
6. Tdp= 237.3 × ln(Pv/610.78) / (17.27 - ln(Pv/610.78))
7. Twb= bisect(f(Twb) = h_at(Twb, sat) - h = 0)

湿球温度だけは逆関数が解析的に得られないため、二分法で解く。範囲 [Tdp, Tdb] の中で、「仮のTwbに対する飽和エンタルピー」が実際のエンタルピーと一致する点を探す。収束判定は 1e−4 kJ/kg、最大反復200回。実測ではほぼ20回以下で収束する。

計算例: 26℃50%RH

ステップを追ってみる。

Tdb=26, RH=50
Ps  = 610.78 × exp(17.27 × 26 / 263.3) = 3362 Pa
Pv  = 3362 × 0.5                       = 1681 Pa
W   = 0.62198 × 1681 / (101325 - 1681) = 0.01049 kg/kg = 10.49 g/kg
h   = 1.006 × 26 + 0.01049 × (2501 + 1.86 × 26)
    = 26.16 + 26.72                    = 52.88 kJ/kg
Tdp = 237.3 × ln(1681/610.78) / (17.27 - ln(1681/610.78))
    = 237.3 × 1.0124 / (17.27 - 1.0124) = 14.78 ℃

検証済みテストベクター(W≈10.49 g/kg, h≈52.9 kJ/kg, Tdp≈14.8℃)と一致する。他の入力モード(dbWb, dbDp)でも同じ内部状態量に落とし込んでから上式を共有するため、どのルートで入力しても結果の整合性が保たれる仕組みだ。

他ツールとの違い

湿り空気の状態量を計算するWebツールは英語圏を中心にいくつか存在する。ただ、日本の設計現場で使う前提で見ると「痒いところに手が届かない」ものが多いのが実情だ。本ツールはそうした不満点を洗い出して設計した。

一つ目の違いは、3つの入力モード(乾球+湿度 / 乾球+湿球 / 乾球+露点)をワンタップで切り替えられる点。既存ツールは「乾球+相対湿度」固定のものが多く、現場で湿球温度計しか手元にない場合に別ツールへ移動する手間があった。アスマン通風乾湿計の読みをそのまま入れられるのは地味に効く。

二つ目は、全9項目の状態量を同時表示していること。露点だけ・エンタルピーだけ出すツールは多いが、設備設計では絶対湿度・比容積・水蒸気分圧まで同じ画面に並んでほしい。特に比容積は送風機の風量換算で毎回参照する値なので、別計算になるとフローが切れてしまう。

三つ目は、大気圧を入力できること。標高1000mを超える山間部や航空機客室の設計では標準大気圧からの乖離が無視できない。多くの簡易ツールは101325Pa固定で、高地の案件に使うと絶対湿度が数%ズレる。本ツールは50000〜110000Paまで入力可能で、標高補正が必要な案件にもそのまま使える。

四つ目は、ASHRAE Handbook Fundamentals 2017準拠の近似式を採用していることを明示している点。精度の出どころが不明なツールは実務で使いにくい。Magnus式(Tetens係数)の誤差は−40〜80℃で0.1%以下、設備設計の実務精度として十分だ。

豆知識・読み物

湿り空気線図は誰が作ったのか

湿り空気線図(サイクロメトリックチャート)の起源は1904年、ドイツの技術者リヒャルト・モリエ(Richard Mollier)にさかのぼる。彼が提案したh-x線図(エンタルピー-絶対湿度線図)は、斜交座標でエンタルピー軸を傾けることで等エンタルピー線を平行にし、空気の状態変化を直線で追えるようにした画期的な図法だった。現在ヨーロッパで主流の空気線図はこのモリエ流派である。

一方アメリカでは1911年、ウィリス・キャリア(Willis Carrier、近代空調の父と呼ばれる人物)がASHRAEの前身であるASHVEに直交座標版のPsychrometric Chartを発表。横軸に乾球温度、縦軸に絶対湿度を取るシンプルな形式で、アメリカ・日本のHVAC業界ではこちらが定着した。同じ物理現象を扱いながら、大西洋を挟んで2つの流派が並存しているのは空調工学の面白いところだ。

日本では戦後、空気調和・衛生工学会(SHASE)がASHRAE流を採用したため、空調便覧や大学の教科書に載っている線図はほぼ直交座標版。ただし化学工学分野ではモリエ線図が使われることもあり、プラント配管の乾燥工程などでは両方読める必要がある。

参考リンク:

Magnus式はなぜこんなに普及したのか

飽和水蒸気圧の近似式はGoff-Gratch、Wexler、Hyland-Wexlerなど精度重視の式が複数存在するが、実務で最もよく見かけるのはMagnus式(Tetens係数版)だ。理由は単純で、指数1つの式で誤差0.1%を達成できるから。電卓でも手計算でも扱える軽さが、設計者の支持を集めた。1980年にドイツ気象局のMurrayが係数を再フィットした版がWMO(世界気象機関)の推奨式となり、事実上の標準になった経緯がある。

実務Tips

  • 湿球温度はアスマン通風乾湿計で測るのが正確。自然通風の簡易乾湿計は風速3m/s未満だと正しい蒸発平衡にならず、実際より高めに出る傾向がある。精度を求めるなら通風式を使おう。
  • 露点温度は結露リスク評価の一次指標。室内表面温度が露点を下回ると結露する。冬季の窓ガラス表面温度・外壁内側温度と比較して余裕を確認してみて。
  • エンタルピー差で冷房負荷を暗算できる。外気32℃60%RH(h=78.3)を室内26℃50%RH(h=52.9)にするには約25.4kJ/kgの熱を除去する必要がある。風量1m³/sなら約30kWの冷却能力が目安だ。
  • 絶対湿度は「水分量そのもの」。相対湿度は温度で変動するが、絶対湿度は空気中の水分質量そのものなので、加湿器のスペック検討や乾燥空気の供給量計算で信頼できる指標になる。
  • 標高1000mで大気圧は約89875Pa。高地案件では必ず標高補正を入れること。同じ温湿度でも絶対湿度が数%下がるので、除湿負荷の見積もりに影響する。

よくある質問

Q: 湿球温度と露点温度はどう違うの?

湿球温度は「濡れたガーゼで温度計を包んで風を当てたときに示す温度」で、蒸発による冷却効果を含む。露点温度は「その空気を冷やしていったときに結露し始める温度」。絶対湿度が同じなら露点は一定だが、湿球温度は乾球温度にも依存して変わる。通常は乾球 > 湿球 > 露点の順になり、飽和状態では3つとも一致する。

Q: 入力モードはどれを使えばいい?

手元にある測定値で選ぶのが基本だ。温湿度計の読みなら「乾球+湿度」、アスマン通風乾湿計なら「乾球+湿球」、鏡面冷却式露点計を使っているなら「乾球+露点」。どのモードで入力しても残り全ての状態量が算出されるので、現場の測定器に合わせて使い分けられる。

Q: 大気圧入力は標準値のままでいい?

標高500m以下・日本国内の一般空調なら101325Paのままで実務上問題ない。誤差は0.5%未満になる。標高1000mを超える高地・航空機客室・低圧試験室などを扱う場合は必ず実圧力を入れること。標高と気圧の関係は国際標準大気(ISA)の式で P = 101325 × (1 − 0.0065h/288.15)^5.255(hはメートル)で概算できる。

Q: 氷点下の計算結果はどこまで信頼できる?

本ツールは−40〜80℃の範囲でMagnus水面式を統一適用している。氷点下でも工学精度(誤差1%程度)では使えるが、厳密には氷点下の飽和水蒸気圧は氷面式(Goff-Gratch等)の方が正確で、−20℃付近で水面式と約1〜2%の差が出る。冷凍倉庫・低温室など氷点下の結露評価では、本ツールの値を参考にしつつ専門的な検証を併用してほしい。

Q: 相対湿度100%を超える値を入れるとどうなる?

物理的には過飽和(霧・ミスト状態)なので、ツール側で100%にクリップし警告を表示する。冷却コイル出口や加湿器直後では瞬間的に過飽和が起きるが、定常状態の設計計算では100%を上限として扱うのが一般的だ。過飽和状態を厳密に扱うならミスト含有率を別途考慮する必要がある。

Q: 計算結果を設計図書にそのまま使っていい?

ASHRAE近似式ベースなので一般的な空調・建築環境設計の概算には十分使える精度だ。ただし産業用途の高精度要求(半導体クリーンルーム・医薬品製造・精密計測室など)ではMollier線図の精密計算、またはASHRAE公式プログラム(LibHuAirProp等)との併用を推奨する。本ツールは設計初期の概算・現場での即席確認・教育用途を主眼に設計している。

まとめ

湿り空気の状態量は、乾球・湿球・露点・相対湿度・絶対湿度・エンタルピーと6つ以上の顔を持つ。どれか2つが分かれば残りは全て決まるのに、紙の線図を読むには時間がかかる。このツールはその変換作業をワンタップに短縮し、設備設計・結露対策・品質管理の現場で使える形にまとめた。

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使いにくい点・追加してほしい機能があればお問い合わせから気軽に教えてほしい。現場の声をもとに改良していく。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。空調設計の実務で湿り空気線図を毎日読む側として、Magnus式の近似誤差がどこで許容できなくなるかに一番神経を使った。

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