屋外騒音 距離減衰シミュレーター

点音源・線音源の距離減衰と遮音壁 Maekawa 回折減衰を合算し、受音点 dB と環境基準の差を算出

室外機・発電機・道路などの屋外騒音を、基準距離の音圧レベルから任意距離で試算。点音源は-6 dB/倍距離、線音源は-3 dB/倍距離。Maekawa 式で遮音壁の回折減衰も計算し、環境基準との差を表示する。

シナリオプリセット

音源条件

点音源=室外機・発電機 / 線音源=道路・長尺ダクト

受音点

遮音壁計算用。不明時は500 Hz

遮音壁(オプション)

計算結果

受音点レベル

59.0 dB

Lp(d₀) − ΔL

基準との差

-4.0 dB

基準 55 dB

距離減衰

26.0 dB

点音源 -6/倍距離

遮音壁減衰

0.0 dB

壁なし

適用基準値

55 dB

住居専用(昼)

判定-4.0 dBLp=59.0 / 基準=55
基準超過

計算値が環境基準を超過。遮音壁・距離確保・音源対策(低騒音機種・防振・吸音カバー)を検討

ISO 9613-2 簡略モデルに基づく概算値。気象条件・地表反射・大気吸収・複数音源合成の影響は含まず、環境影響評価には詳細モデルまたは実測が必要。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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エアコン室外機のうなり、距離で何dB下がる?

梅雨明けの夜、住宅の裏手で回る業務用エアコンの室外機。1m前で計ると85 dB。隣家の窓までは10m。そこは何dBになっているのか、住居専用地域の夜間基準45 dBを守れているのか。現場の担当者から「今すぐ概算がほしい」と電話が鳴る、そんな経験はないだろうか。

屋外騒音の距離減衰は、対数で効いてくる。点音源は距離が2倍になるごとに-6 dB、線音源は-3 dB。遮音壁を1枚立てたときの回折減衰は、Maekawa式という1960年代の実験式で見積もれる。どれも紙とペンがあれば計算できるが、現場では早見表すら持っていないことが多い。

このツールは、ISO 9613-2の簡略モデルと前川純一のMaekawa式を組み合わせ、音源レベル・距離・遮音壁の有無を入力するだけで受音点レベルと環境基準との差を出す。クレーム対応の初動、機器選定の一次検討、近隣説明会の資料作成—そんな「いますぐ数字がほしい」タイミングに応える道具にした。

なぜ作ったのか

きっかけは、とある工場の騒音クレームだった。敷地境界で58 dB、住居専用地域の昼間基準55 dBをわずかに超過。原因調査のため送風機1台ごとに「1m前のレベル×距離減衰×遮音壁減衰」を足し算していくのだが、計算用紙が手元になく、スマホの電卓でlog10を叩きながら現場で汗をかいた。会議室に戻って有償の騒音解析ソフトを立ち上げれば済む話なのだが、ライセンスは社内に1本しかなく、順番待ちが発生する。

有償ソフトは精密モデルを備える一方で、軽量な「その場での見積もり」には重すぎる。Excelのマクロを社内で作ってもバージョン管理が難しく、端末が変わると壊れる。紙の早見表(室外機3台×距離10種×遮音壁あり/なし)を作ろうとしたが、組み合わせ爆発で現実的ではなかった。

欲しいのは、ブラウザを開いてスマホで触れる、計算根拠が記事で読める、しかも無料で使える—そんな道具だった。自分がかつて現場で欲しかったものを、そのまま形にしている。距離減衰の式もMaekawa式も公開情報だから、誰でも検算できる透明性を担保した。精密モデルが必要な案件では有償ソフトに任せ、一次検討・近隣説明・機器選定段階での「あたり付け」は、このツールでワンタップで済ませてほしい。

距離減衰 とは何か — 逆二乗則から理解する

音は空気の圧力変動として球面状に広がっていく。点音源の場合、エネルギーは距離の2乗に反比例して薄まる。半径1mの球表面と半径2mの球表面では、後者の面積が4倍。同じエネルギーが4倍の面積に広がるので、単位面積あたりのエネルギー(音の強さ)は1/4になる。デシベル表記に直すと、10×log10(1/4)=-6 dB。つまり点音源は距離が2倍になるたびに-6 dB落ちる。これが逆二乗則であり、距離減衰の基礎だ。

点音源と線音源の違い

一方、高速道路のような連続した音源は、球面ではなく円筒面で広がる。半径1mの円筒側面と半径2mの円筒側面では、面積比は2倍。エネルギー密度は1/2、デシベルでは-3 dB。線音源は距離2倍で-3 dB、点音源の半分のペースで減衰する。

たとえ話で言うと、1つの電球(点音源)は離れるほど急に暗くなるが、蛍光灯の一直線(線音源)は離れてもなかなか暗くならない、という感覚に近い。実務では「室外機1台は点音源、道路は線音源、長いダクトも線音源」と覚えておけば大きく外さない。

dBの足し算は対数で

デシベルは対数量なので、数値の単純な引き算ではなく対数の引き算として扱う。基準距離d0での音圧レベルLp(d0)から距離dでのレベルLp(d)を求める式は次の通り。

点音源: Lp(d) = Lp(d0) - 20 × log10(d / d0)
線音源: Lp(d) = Lp(d0) - 10 × log10(d / d0)

log10(2)=0.301 なので、点音源なら20×0.301=6.02 dB、線音源なら3.01 dB。log10(10)=1 なので、点音源が1mから10mへ離れれば-20 dB、線音源なら-10 dB。これが対数感覚の基本だ。詳しい理論背景はWikipediaの逆二乗の法則にも整理されている。ISO 9613-2はこの基本則に、大気吸収・地表効果・障壁減衰を加えて屋外伝搬を総合評価する国際規格だ。

実務での重要性 — 騒音基準を外すとどうなるか

騒音規制法と環境基本法は、地域類型ごとに環境基準値を定めている。住居専用地域は昼55 dB/夜45 dB、商業・準工業は昼60 dB/夜50 dB、工業地域は昼70 dB。これを敷地境界または近隣の生活空間で超過すると、都道府県知事からの改善勧告や、住民からの民事差し止め請求の対象になり得る。

実際、2010年代には工場冷却塔の夜間騒音をめぐる訴訟で、原告住民に対する慰謝料支払いと操業時間制限が命じられた事例がある。設計段階で距離減衰を計算していれば、より奥まった位置への設置変更や遮音壁付設で予防できた案件だった。追加工事のコストは当初想定の数倍に膨れ上がることが多い。

また、1 dBの違いが感覚的に「わずか」でも、規制値ラインをまたぐと法的評価が一変する。56 dB(住居昼55超過)と55 dBは数字こそ1違いだが、行政対応の有無が分かれる。設備担当者にとって、この1 dBをどう確保するかが腕の見せどころになる。

たとえば室外機1台85 dB@1mを住居裏5mに置くと、Lp(5)=85-20×log10(5)=85-13.98=71.0 dB。住居昼55 dBを16 dB超過で論外。同じ機種を10mまで離すと65.0 dB、まだ10 dB超過。20m離してようやく59.0 dB、それでも4 dB超過。結局は遮音壁併用が必要—という判断を、現場で10秒で下せるようにするのが本ツールの狙いだ。環境基準の詳細は環境省 騒音規制法の概要を参照するとよい。

活躍する場面

エアコン室外機・業務用冷凍機の配置検討。店舗改装や住宅新築で、室外機を敷地のどこに置けば近隣の寝室窓で基準を満たせるか。購入前の機種比較(カタログの1m音圧レベル)と距離減衰を組み合わせて即判断。

非常用発電機・コージェネ設備の近隣評価。病院・データセンターなど、大型発電機を屋外に置く場合の設計一次検討。遮音壁高さと敷地境界距離のトレードオフを眺めながら配置を詰める。

道路計画・プラント用地の環境アセス。交通量から算出した車線1mの等価レベルを線音源として入力し、住宅地までの距離で評価。本格アセスの前段で「余裕があるのか、深追いすべきか」の当たり付けに使う。

近隣クレーム対応・説明会資料。「うちの窓ではどのくらいの音になっているのか」を数値で示す説明資料。Maekawa式で遮音壁の効果を可視化できるので、対策案の提示にも使える。

基本の使い方

  1. 音源タイプを選ぶ—室外機・発電機・単体機器なら「点音源」、道路や長尺ダクトなら「線音源」を選択。
  2. 基準レベルと距離を入力—メーカーカタログの「1m前音圧」や、実測した場所のレベルと距離を入れる。
  3. 対象距離・遮音壁・環境基準を設定—評価したい地点までの距離、遮音壁の有無と経路差、地域の環境基準類型を選ぶ。

結果欄には対象地点の予想音圧レベルと、環境基準との差(margin)が表示される。marginがプラスなら基準以内、マイナスなら超過。赤バナーが出たら対策検討が必要だ。

具体的な使用例 — 6ケース

ケース1: 室外機 85 dB@1m → 10m(住居裏、壁なし)

入力: 点音源 / lpRef=85 dB / d0=1m / d=10m / 壁なし / 住居昼55

計算: ΔL=20×log10(10)=20.0 dB、Lp=85-20=65.0 dB。margin=55-65=-10.0 dB。

解釈: 10 dB超過で完全アウト。距離を取るだけでは届かないので、遮音壁併用か機種変更が必要。

ケース2: 道路騒音 75 dB@1m → 10m(商業地、壁なし)

入力: 線音源 / lpRef=75 dB / d0=1m / d=10m / 壁なし / 商業昼60

計算: ΔL=10×log10(10)=10.0 dB、Lp=75-10=65.0 dB。margin=60-65=-5.0 dB。

解釈: 線音源は距離を取っても落ちにくい。5 dB超過、沿道の防音壁や植栽帯で補うのが定石。

ケース3: 室外機 85 dB@1m → 20m + 遮音壁 δ=0.3m @500Hz

入力: 点音源 / lpRef=85 / d=20m / 壁あり δ=0.3m / f=500Hz / 住居昼55

計算: ΔL=20×log10(20)=26.0 dB、λ=343/500=0.686、N=2×0.3/0.686=0.875、Ab=10×log10(3+17.49)=10×log10(20.49)=13.1 dB。Lp=85-26.0-13.1=45.9 dB。margin=55-45.9=+9.1 dB。

解釈: 距離20m+低めの遮音壁で9 dBの余裕を確保。住居地でも安心して設置できる構成。

ケース4: 大型発電機 90 dB@1m → 50m + 遮音壁 δ=1.0m @1000Hz

入力: 点音源 / lpRef=90 / d=50m / 壁あり δ=1.0m / f=1000Hz / 工業昼70

計算: ΔL=20×log10(50)=34.0 dB、λ=0.343、N=2×1/0.343=5.83、Ab=10×log10(3+116.62)=10×log10(119.62)=20.8 dB。Lp=90-34.0-20.8=35.2 dB。margin=70-35.2=+34.8 dB。

解釈: 工業地の基準70に対して35 dBの余裕。周波数が高く経路差が大きいほど壁効果が伸びるため、1000Hz帯の機械音には遮音壁が特に有効。

ケース5: 店舗室外機 80 dB@1m → 30m + 遮音壁 δ=0.5m @500Hz

入力: 点音源 / lpRef=80 / d=30m / 壁あり δ=0.5m / f=500Hz / 住居昼55

計算: ΔL=20×log10(30)=29.5 dB、λ=0.686、N=2×0.5/0.686=1.458、Ab=10×log10(3+29.15)=10×log10(32.15)=15.1 dB。Lp=80-29.5-15.1=35.4 dB。margin=55-35.4=+19.6 dB。

解釈: 距離30m+中規模の壁で約20 dBの余裕。夜間基準45 dBに対しても+9.6 dBとれるので、24時間運転も可能な設計。

ケース6: 道路騒音 80 dB@1m → 50m(沿道住宅、壁なし)

入力: 線音源 / lpRef=80 / d=50m / 壁なし / 商業昼60

計算: ΔL=10×log10(50)=17.0 dB、Lp=80-17.0=63.0 dB。margin=60-63=-3.0 dB。

解釈: 50m離しても線音源は落ちない。3 dB超過、沿道防音壁か、セットバック距離の追加確保が必要。道路計画では線音源の減衰の緩さを甘く見てはいけない典型例。

仕組み・アルゴリズム

候補手法の比較

屋外騒音の予測モデルには、大別して3種類ある。(1)ISO 9613-2の簡略モデル、(2)Nord2000などの詳細モデル(気象依存)、(3)CFD+音響解析の数値シミュレーション。本ツールは設計一次検討向けなので、計算が手早く、入力パラメータが少なく、現場で透明に検算できる(1)を採用した。Nord2000は気象条件(風向・気温勾配)の入力が必要で、精度は上がるが気軽には使えない。CFDは設備設計の検討段階では過剰だ。

遮音壁の減衰計算にも複数の方法がある。Kirchhoff-Fresnel理論に基づく厳密解、Maekawa実験式、ISO 9613-2のA_bar式。実務界で最もよく使われるのがMaekawa式で、1968年に前川純一(東京工業大学)が実験データをフィッティングして得た簡潔な式だ。点音源・単一遮音壁という理想条件下では±3 dB以内の精度があり、設計初期には十分。本ツールもこれを採用した。

実装詳細

計算フローは次の通り。

// 距離減衰
const distanceAtt = sourceType === 'point'
  ? 20 * Math.log10(d / d0)
  : 10 * Math.log10(d / d0);

// 遮音壁減衰(Maekawa式)
const lambda = 343 / frequency;           // 波長
const fresnelN = 2 * pathDiff / lambda;   // フレネル数
const barrierAtt = useBarrier && fresnelN > 0
  ? Math.min(10 * Math.log10(3 + 20 * fresnelN), 24)
  : 0;

// 受音点レベル
const lpTarget = lpRef - distanceAtt - barrierAtt;
const margin = envLimit - lpTarget;

フレネル数Nは経路差δと波長λの比で、壁頂を回り込む音波の位相差を無次元化した値。N>0で音源が壁裏に隠れ、値が大きいほど回折減衰が増える。Maekawa式にはN<0(音源が壁頂を見込める位置)の領域もあるが、実務では壁越し配置が前提なのでN≥0のみ扱う。上限24 dBは経験的なキャップで、実際の遮音壁では地面反射や端部回折で理論値ほど減衰しないことが知られている。

計算例

ケース3を手計算で追ってみる。点音源85 dB@1m、対象20m、壁δ=0.3m、f=500Hz。

  1. 距離減衰: 20×log10(20/1)=20×1.301=26.02 dB
  2. 波長: λ=343/500=0.686 m
  3. フレネル数: N=2×0.3/0.686=0.8746
  4. 遮音壁減衰: Ab=10×log10(3+20×0.8746)=10×log10(20.492)=10×1.3116=13.12 dB
  5. 受音点: Lp=85-26.02-13.12=45.86 dB ≒ 45.9 dB
  6. 住居昼基準55 dBとの差: margin=55-45.9=+9.1 dB

仕様書記載のテストベクトルと一致する。ISO 9613-2本体では大気吸収係数α(f,T,RH)による周波数依存の減衰も扱うが、500m以内の短距離・日常設計では寄与が1 dB未満なので本ツールでは省略している。より詳しく知りたい場合はISO 9613-2 公式ページを参照してほしい。

他ツールとの違い

屋外騒音の距離減衰を扱うソフトは、建築音響業界にはすでにいくつも存在する。代表的なのは SoundPLAN や CadnaA といった欧州系の環境騒音予測ソフトで、ISO 9613-2 の全減衰項(幾何拡散・大気吸収・地表効果・遮音壁回折・気象補正)を3D地形モデル上で計算できる。プラント1件の環境アセスメントなら、これらを使うのが王道だ。

ただし有償ソフトは年間ライセンスが数十万〜数百万円規模で、個人の設備設計者や小規模事務所がちょっと「室外機から10m離せば基準内に収まるか?」を確認するためだけに導入するのは現実的じゃない。そして実際の現場ニーズの8割は、そのちょっとした確認だったりする。

このツールは、そうした「現場で3分で当たりを付けたい」ケースに振り切っている。点音源・線音源の選択、基準距離のレベル、対象距離、Maekawa 式の経路差だけで結果が出る。インストール不要、ログイン不要、Web ブラウザで完結する。計算式はすべてオープンで、ISO 9613-2 と Maekawa 1968 という公開された実験式をそのまま実装しているから、結果を顧客に説明するときも「出典はこれです」と即答できる。

一方、地表効果や気象補正、オクターブバンド別の大気吸収といった詳細項目は意図的に省いている。これらは精度向上には効くが、入力パラメータが一気に増えて「現場で3分」が崩れる。詳細評価が必要な案件では有償ソフトや実測に進むべきだし、このツールはその前段階の一次スクリーニング用と割り切っている。無料・即時・出典明示という3点が、他ツールとの最大の差だ。

豆知識・読み物

前川純一先生とMaekawaチャート

遮音壁の回折減衰を扱うとき、世界中の騒音技術者が必ず参照するのが「Maekawa チャート」と呼ばれる一枚の図だ。これは日本の建築音響学者、前川純一(まえかわ じゅんいち)氏が1968年に発表した実験式に基づくもので、フレネル数 N を横軸に、回折減衰量を縦軸にプロットした曲線が載っている。

当時、屋外遮音壁の設計には Kirchhoff の回折理論など複雑な解析式しかなく、現場で使うには不便だった。前川氏は模型実験を徹底的に繰り返し、N > 0 の領域で Ab = 10 × log10(3 + 20N) という極めて簡潔な式に帰着させた。この式は誤差1〜2 dB 程度で実測と合い、半世紀以上経った今も ISO 9613-2 の遮音壁項の元ネタとして生き続けている。日本人が作った実験式が世界標準になっている数少ない例のひとつで、音響工学を学ぶ学生が最初に覚える公式だ。Wikipedia: 音響学

dBの対数感覚を身につける

騒音値は対数スケールなので、直感が効きにくい。60 dB と 66 dB では、数字上は6しか違わないが、音のエネルギーは約4倍違う。人間の聴感では「だいたい1.5倍うるさい」と感じるレベルだ。逆に、同じ音源を2つに増やすとエネルギーは2倍になるが、dB では +3 しか上がらない。

この「+3 dB = 2倍、+10 dB = 10倍、+20 dB = 100倍」という感覚を持っておくと、計算結果を読み解くスピードが段違いに上がる。たとえば「遮音壁で13 dB 下がる」と聞けば、エネルギー的には約20分の1になる、と即座に変換できる。騒音の世界では、このエネルギー直感が設計センスそのものだ。

Tips

  • 実測との誤差は3〜5 dB を見込む: 地表反射、建物反射、風向、気温勾配などで実測値は簡易計算から±3〜5 dB ずれる。クレーム対策では計算値に5 dB の余裕を持たせて設計するのが安全だ。
  • 複数音源の合成は単純な足し算ではない: 室外機が2台あっても騒音は +3 dB、4台で +6 dB。同じレベルの音源が n 台なら 10 × log10(n) を足す。4台未満なら「ほぼ変わらない」と覚えておくと早い。
  • 代表周波数は用途で変える: 不明時は 500 Hz、低音の強い機器(大型送風機・コンプレッサ)は 250 Hz、高音系(小型ファン・口笛系)は 1000〜2000 Hz。周波数が低いほど遮音壁は効きにくい。
  • 経路差 δ は壁を高くするほど稼げる: δ を倍にすれば N も倍になり、回折減衰は約3 dB 増える。ただし上限は24 dB。実用上は15 dB 前後で設計限界と考える。
  • 線音源の片端が近いと点音源扱い: 長さ L の線音源でも、受音点までの距離 d が L/3 以上になると点音源近似が成り立つ。短い道路や短尺ダクトでは近距離で線、遠距離で点と扱う。

FAQ

Q: 家庭用エアコンの室外機クレーム対応に使っても問題ない?

問題ない。むしろ家庭用室外機は代表的な点音源で、カタログの騒音値(例: 48 dB@1m)をそのまま基準レベルに入れれば、隣家境界までの距離で何 dB になるかが即算出できる。住居専用(夜)45 dB の基準に対して、境界で45 dB 以下ならまず苦情は出ない。ただし反射音や低周波成分は別途考慮が必要で、特に壁際設置は反射で+3 dB ほど増えることを頭に入れておく。

Q: 周波数がわからないときはどう設定すればいい?

まず 500 Hz で計算する。これは人間の聴感中心に近く、A特性の重み付けもほぼ0 dB で効いてくる代表値だ。機器カタログに騒音スペクトルが載っていればピーク周波数を使えばより正確になるが、大半のケースは 500 Hz で1〜2 dB の誤差に収まる。低周波が卓越する大型設備(500 kVA 以上の発電機、大型コンプレッサ)は 125〜250 Hz も併せて確認すべきだ。

Q: 夜間基準はどう読めばいい? 昼と何が違う?

騒音規制法・環境基本法では、住居地域の夜間(22時〜6時)基準は 45 dB と、昼間の 55 dB より10 dB 厳しく設定されている。これは睡眠妨害を防ぐためで、実質的には「昼はOKでも夜は対策が必要」というケースが非常に多い。24時間稼働する機器(換気扇、冷却塔、発電機待機運転など)は必ず夜間基準で評価すること。本ツールでは環境基準セレクタから「住居専用(夜)」を選べば自動で 45 dB と比較される。

Q: 遮音壁は何メートル高くすれば効果が出る?

高さそのものではなく「経路差 δ」で決まる。音源と受音点を結ぶ直線から壁の頂上までの距離がポイントだ。目安として、音源高さ1.5 m・受音点高さ1.5 m・壁高さ3 m・壁までの距離5 m なら δ ≈ 0.3 m となり、500 Hz で約13 dB の減衰が得られる。壁高さを4 m に上げると δ ≈ 0.6 m、減衰は約16 dB。高さを2倍にしても減衰は3 dB しか増えない、という対数的な効きかたを覚えておくといい。

Q: 計算結果が基準を超えたらまず何をすべき?

対策の優先順位は (1) 音源対策(低騒音機種への変更、防振ゴム)、(2) 距離確保(レイアウト変更)、(3) 遮音壁・防音ルーバ、(4) 吸音処理、の順だ。音源対策が最もコスト効率が高く、-5〜-10 dB が狙える。距離は2倍離すだけで点音源なら-6 dB。遮音壁は位置と高さが取れれば10 dB 前後効くが、施工コストが読みにくい。本ツールで対策前後を試算し、費用対効果を比較するのが設計の基本フローだ。

まとめ

屋外騒音は距離と遮音壁で大部分が決まる。ISO 9613-2 と Maekawa 式に基づくこのツールを使えば、室外機・発電機・道路・プラントといった代表的な音源について、受音点レベルと環境基準との差を3分で算出できる。有償ソフトを導入する前の一次スクリーニング、近隣説明の根拠資料、設計初期のレイアウト検討に活用してほしい。

関連ツールもあわせて使うとより実務的になる。音源レベルそのものの評価は 騒音レベル計算、建物壁の遮音性能は 遮音等級シミュレーター、部屋の内側からの防音対策は 防音室設計、ダクト経由の騒音低減は ダクト消音器減衰計算 を参照。気になる点や改善要望があれば お問い合わせ までどうぞ。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。騒音クレーム対応の現場で電卓片手にlog10を叩いた経験から、ISO 9613-2とMaekawa式を1画面にまとめた。近隣説明の初動と機器選定の一次検討に使ってほしい。

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