複数音源 dB合成計算機

機械・設備の騒音レベルを対数合成し寄与率と低減効果を可視化

音源を追加してdB値を入力すると、対数合成式で合計騒音レベルと各音源の寄与率を計算。最も寄与が大きい音源を1dB下げた場合の合計低減効果も表示する。

シナリオプリセット

音源リスト

3 / 10
音源 1
音源 2
音源 3

合成結果

合計騒音レベル

81.5 dB

3 音源の対数合成

最大寄与音源

コンプレッサ

70.6% を占める

1dB低減時の効果

-0.68 dB

最大音源を1dB下げた場合

音源数

3 個

/10 上限

寄与率(降順)
1. コンプレッサ80.0 dB / 70.6%
2. 送風機75.0 dB / 22.3%
3. ポンプ70.0 dB / 7.1%

本計算は各音源が同評価位置で独立に到達する概算。位相干渉・反射・周波数特性で±数dB変動する。環境基準判定には実測値を用いること。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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機械を1台足したら、うるさくなるのはどれくらい?

機械室に送風機が1台、そこへコンプレッサを増設する。どちらも単体で80dB。合わせたら「80+80=160dB」なんてことにはならないし、かといって直感で「だいたい85dBくらいかな」と当てずっぽうで言える人も少ない。

正解は、約83dB。たった3dBしか上がらない。でもこの「たった3dB」が、労働安全衛生規則の耳栓推奨ラインや、工場敷地境界の規制値を一気に越えさせることがある。dBは対数量だから、足し算も引き算も普通の数字のルールでは動かない。この計算を頭の中でやろうとすると、電卓を持っていても 10^(80/10) を打ち込む時点でつまずく。

このツールは、そんな「複数音源を足したときの合計騒音」を1タップで出すために作った。音源をリストに追加して、dB値を入れるだけ。合計値はもちろん、どの音源が全体の何%を占めているかを降順で並べ、さらに「一番うるさい音源を1dB下げたら合計がどれくらい下がるか」まで同時に見える。対策の優先順位を迷わず決められる、そんな道具を目指した。

なぜ作ったのか

きっかけは、ある設備設計の打ち合わせで出た一言だった。「屋外機が3台から5台に増えたんですが、だいたい+2dBくらいですよね?」— いや、それは条件次第で違う。全部同じレベルなら3台→5台は +2.2dB、ばらつきがあれば +1dB以下のこともある。一番大きい1台が飛び抜けていれば、残り4台を全部追加しても +0.5dBにもならない。でも現場では、この感覚がなかなか共有されない。

既存のツールを探してみた。当サイトには /noise-level で部屋の暗騒音レベルを扱うツールがあり、/sound-insulation で遮音等級を扱うツールもある。海外サイトを含めても単音源の距離減衰計算機は山ほど見つかる。しかし「複数音源を対数合成して、さらに寄与率を降順で出し、どの音源を下げるべきかを可視化する」ところまで踏み込んだツールは驚くほど少なかった。

手計算なら、関数電卓で 10^(Li/10) を1つずつ出して足して、 log10 で戻す。音源が3つならまだ耐えられる。5つ6つになるとミスが増え、寄与率まで出そうとすると電卓の履歴が迷子になる。Excelに組んでもいいが、現場でスマホから開いて数値を叩き込みたい場面では重い。

だから、「音源を追加」ボタンだけで増減できて、入力した瞬間に合計と寄与率と低減シミュレーションが走る、軽いWebアプリにした。対策会議で施主に「この送風機だけ対策すれば目標値に届きます」と言い切れる根拠を、その場で出せる道具が欲しかった。

音圧レベルと対数合成の基礎

音圧レベル(dB)とは — 対数の世界

そもそも音の大きさは、空気の圧力変動の強さで表せる。人間が聞こえる最小の音圧は約20μPa、耳が痛くなる限界は約20Pa。その比は100万倍だ。これを線形の数字でグラフにすると、小さい音は全部ゼロに張り付いて何も見えない。

そこで登場するのが対数。基準音圧 p₀=20μPa に対する比を常用対数で表し、10倍した量が音圧レベル(Sound Pressure Level, SPL)だ。

L = 20·log10(p / p0)    // 単位: dB(デシベル)

圧力比が10倍なら +20dB、100倍なら +40dB。対数を使うことで、聞こえる音の全範囲を0〜140dBくらいに圧縮できる。詳しくは Wikipedia: 音圧レベル を参照。

なぜ普通に足せないのか

dBは対数量だ。対数の世界で足し算をやると、実世界では掛け算になる。80dB + 80dB を普通に足して160dBとしてはいけないのは、指数の足し算に翻訳すれば 10^8 × 10^8 = 10^16 となり、これは圧力比で1京倍、SPLで言えば160dBになってしまうからだ。実際には音は「エネルギー」として足さなければならない。

音のエネルギー(正確には音響強度)は、音圧の2乗に比例する。だから2つの音源の合計エネルギーは、それぞれの 10^(Li/10) を足し合わせて、最後にまた log10 で戻せばよい。

L_total = 10·log10( Σ 10^(Li/10) )

この式から、いくつかの「法則」が自然に出てくる。

+3dBの法則と10dB差の法則

同じ大きさの音源が2つあるとき、合計は元のレベルに約 +3.01dB。3つなら +4.77dB、4つなら +6.02dB。エネルギーがN倍になるから 10·log10(N) だけ上がる、という単純な関係だ。音源が倍になるたびに +3dBと覚えておけば、だいたいの感覚がつかめる。

一方、2音源のレベル差が10dB以上ある場合、合計はほぼ大きい方に等しくなる。80dBと70dBを合成すると、80.41dB。小さい方を消しても、0.4dBしか下がらない。だから 差10dBの法則 として、「小さい音源は無視してもよい」という現場ルールが成り立つ。

この2つの法則を押さえておけば、ざっくりした見積もりはできる。でも3音源以上や中間の差のときは、素直に式で計算した方が速い。

実務での重要性 — 対策を間違えると効果ゼロ

この計算を怠ると、実務で何が起きるか。一番多い失敗は「対策する音源を間違える」ことだ。

例えば工場境界で測ったら90dB、規制値が85dBで5dB下げたい、という案件。現場で3台並んだ機械の騒音を測ったら、A=85dB、B=88dB、C=90dB。「一番うるさいCだけ80dBまで下げればいいだろう」と判断して、防音カバーを付けたとする。費用は数百万円。

ところが合計を計算するとCを下げた後の合計は 10·log10(10^8.5+10^8.8+10^8.0) = 89.9dB。たった0.5dBしか下がらない。規制値85dBには程遠い。なぜか。BとCの差が2dBしかないため、Cを下げてもBが支配的になって合計は下がらなかったのだ。

こういう失敗は決して珍しくない。騒音対策の現場では「寄与率を出してから対策する」が鉄則なのに、「一番うるさい音源を直感で選ぶ」という方法が通ってしまう。寄与率は対数ではなくパワー比で出すので、dB値を見ただけでは感覚がつかみにくい。だからツールに頼る価値がある。

規制の面でも重要だ。騒音規制法 では工場・事業場の敷地境界に時間帯別の規制値(昼間50〜70dB、夜間40〜60dBなど)が設定されている。労働安全衛生規則第588条では85dB以上の職場で耳栓等の保護具着用が義務化される。これらの境界線を跨ぐかどうかは、しばしば 1〜2dB の差で決まる。合成計算を正しく行えているかは、そのまま法令遵守の問題になる。

さらに、対策コストの観点。騒音を1dB下げるのに必要な費用は、低い音源では数万円で済むが、支配的な音源を下げるには数十万〜数百万円かかることもある。「どの音源を何dB下げれば最も費用対効果が高いか」を判断する最初のステップが、寄与率の把握だ。

活躍する場面

機械室の計画段階 — 新設する機械室に入るポンプ・送風機・冷凍機の単体騒音値から、室内の合計騒音を予測し、遮音ドアや吸音パネルの必要性を判断する。

屋外機配置の検討 — ビル屋上に置くパッケージエアコン室外機やクーリングタワーが複数台並ぶとき、敷地境界への影響を概算する。距離減衰計算と組み合わせれば近隣クレームを先回りで防げる。

工場の騒音対策優先順位決め — 既設ラインで規制値オーバーが出たとき、複数の機械のうちどれを対策すれば最も効率よく全体を下げられるかを会議の場で即決できる。

オフィスの空調機・OA機器レベル評価 — サーバールームやコピー機が集まる部屋で、ワーカーの快適性に関わる合計dBを見積もる。NC曲線評価の前段として使える。

音源選定レビュー — 設備機器を発注する前に、カタログ値から合成レベルを試算し、目標に届くメーカーを選ぶ材料にする。

基本の使い方(3ステップ)

  1. 音源を追加する。「音源追加」ボタンを押して行を増やす。最大10音源まで同時入力できる。デフォルトでサンプル(コンプレッサ・送風機・ポンプ)が入っているので、上書きしてもよいしリセットから始めてもよい。

  2. 名称とdB値を入力する。名称は「送風機A」「屋外機1号」など、自分が分かる呼び名でよい。dB値はメーカーカタログや実測値から。0〜140dBの範囲であれば何でも受け付ける。dBAでもdBCでもよいが、同じ重み付け系で揃えること。

  3. 結果カードを確認する。合計騒音レベル、音源数、最大寄与音源の名前と寄与率、そして最大寄与音源を1dB下げたときに合計が何dB下がるか、が並ぶ。「結果をコピー」で値をクリップボードに転送できるので、議事録や設計書にそのまま貼れる。

具体的な使用例(6ケース)

ケース1:同レベル2音源 — +3dBの法則を体感

  • 入力: 音源A 80dB、音源B 80dB
  • 結果: 合計 83.0dB、最大寄与率 50.0%、1dB低減効果 0.47dB
  • 解釈: 教科書通りの +3dB。どちらを1dB下げても効果は0.47dB(約半分)しか出ない。両方同時に下げないと意味がないパターンで、片方だけ対策しても効率が悪いことが数字で分かる。

ケース2:10dB差の支配的音源 — 小さい方は無視してよい

  • 入力: 音源A 80dB、音源B 75dB
  • 結果: 合計 81.2dB、最大寄与率 76.0%、1dB低減効果 0.74dB
  • 解釈: 5dB差でも80dB側が76%を占める。80dBを1dB下げると合計が0.74dB下がるので、対策はほぼ「大きい方」に集中すればよい。75dBを1dB下げても合計への寄与は0.2dB未満。

ケース3:3音源の階段 — 80/85/90 dB

  • 入力: A 80dB、B 85dB、C 90dB
  • 結果: 合計 91.5dB、最大寄与率 70.6%(C)、1dB低減効果 0.68dB
  • 解釈: Cが70%超を占めるため、対策はCから。Cを1dB下げて合計が0.68dB下がるペースなら、5dB下げれば約3dB改善が見込める(厳密には非線形だが目安になる)。AとBを触るより圧倒的にコスパが良い。

ケース4:5音源のばらつき — 実際の機械室に近い

  • 入力: 70 / 72 / 75 / 68 / 80 dB
  • 結果: 合計 82.1dB、最大寄与率 61.1%、1dB低減効果 0.58dB
  • 解釈: 80dBの1音源が61%を占める。残り4音源の合計寄与は40%弱。80dBを75dBまで下げられれば合計は約79dBまで落ちる。寄与率が「6:4」の構造のとき、対策1箇所で大きく下げられる好例。

ケース5:6音源の工場ライン — 段階的な分布

  • 入力: 85 / 82 / 80 / 78 / 75 / 72 dB
  • 結果: 合計 88.4dB、最大寄与率 46.2%、1dB低減効果 0.43dB
  • 解釈: 最大音源の寄与が50%未満になると、1音源を下げてもなかなか効かない。85dBを5dB下げても合計は85.5dB程度にしか落ちない(残りの5音源の合成が約86dBあるため)。この場合は複数音源を同時に対策する計画が必要。

ケース6:屋外機3台同一仕様 — N倍則の確認

  • 入力: 65 / 65 / 65 dB(全て同じ)
  • 結果: 合計 69.8dB、最大寄与率 33.3%、1dB低減効果 0.31dB
  • 解釈: 同レベル3音源は 10·log10(3) = +4.77dBの法則通り。寄与率は1/3ずつ均等で、1台だけ下げても全体は0.3dBしか動かない。3台すべてを対策するか、台数を減らすか、距離で逃がすかの選択になる。集合住宅の屋上エアコン室外機で頻出する構図だ。

仕組み・アルゴリズム

候補手法の比較 — なぜ対数合成か

複数音源のdB合成を実装する方法は、理論的にはいくつかある。

  1. 単純加算: L_total = L1 + L2 + ... 。物理的に間違い。dBは対数なので足し算は掛け算と同じ意味になる。採用不可。
  2. 算術平均: L_total = mean(Li)。これも違う。平均は「等しく鳴っているときの1音源レベル」であって合計ではない。
  3. 対数合成(エネルギー和): L_total = 10·log10(Σ 10^(Li/10))。物理的に正しい。音響強度(あるいは音圧の2乗)はエネルギー量で線形加算できることから導出される。

3番目が唯一の正解で、国際規格 ISO 9613 やJIS Z 8731でも採用されている。

実装の流れ

// 1. 有効な音源だけ抽出
const validSources = sources.filter(s => parseFloat(s.dbStr) > 0);

// 2. エネルギー換算(10^(Li/10))
const energies = validSources.map(s => Math.pow(10, parseFloat(s.dbStr) / 10));

// 3. 合計エネルギーを対数に戻す
const sumEnergy = energies.reduce((a, b) => a + b, 0);
const totalDb = 10 * Math.log10(sumEnergy);

// 4. 各音源の寄与率(パワー比で降順)
const contributions = validSources
  .map((s, i) => ({ name: s.name, db: parseFloat(s.dbStr), pct: energies[i] / sumEnergy * 100 }))
  .sort((a, b) => b.pct - a.pct);

// 5. 最大寄与音源を1dB下げた場合の再計算
const top = contributions[0];
const newEnergies = validSources.map(s => {
  const db = parseFloat(s.dbStr);
  return Math.pow(10, (s.name === top.name ? db - 1 : db) / 10);
});
const newTotal = 10 * Math.log10(newEnergies.reduce((a, b) => a + b, 0));
const reductionEffect = totalDb - newTotal;

寄与率は「dB値の比」ではなく「10^(Li/10) の比」で計算することがポイント。これを間違えると、例えば 80dBと85dB を 80/(80+85)=48.5% と出してしまい、本当の値(約24%)から大きくズレる。

計算例 — ケース3のステップバイステップ

3音源 80/85/90 dB で手を動かしてみる。

// エネルギー換算
10^(80/10) = 10^8  = 100,000,000
10^(85/10) = 10^8.5 ≈ 316,227,766
10^(90/10) = 10^9  = 1,000,000,000

// 合計
sum = 100,000,000 + 316,227,766 + 1,000,000,000 = 1,416,227,766

// 対数に戻す
10 * log10(1,416,227,766) = 10 * 9.1511 = 91.51 dB  → 91.5 dB

// 寄与率(90dB音源)
1,000,000,000 / 1,416,227,766 = 0.7061 = 70.6%

// 90dBを89dBに下げた場合
new_sum = 10^8 + 10^8.5 + 10^8.9 = 100,000,000 + 316,227,766 + 794,328,235 = 1,210,556,001
10 * log10(1,210,556,001) = 90.83 dB
reductionEffect = 91.51 - 90.83 = 0.68 dB

この計算は音源数が増えても同じ構造で、オーダーはO(N)。最大10音源でも一瞬で終わる。ブラウザのJavaScriptで十分リアルタイム計算できる軽い処理だ。

寄与率降順の意味

ツールでは寄与率を大きい順に並べて表示する。これは対策の優先順位とイコールだ。寄与率1位の音源が50%を超えていれば、そこを重点的に対策する価値がある。逆に1位が30%以下で横並びなら、複数音源の同時対策が必須、という判断材料になる。

他ツールとの違い

騒音・音響系の無料計算ツールは検索するとそれなりに出てくる。ただし大半は「単一音源の距離減衰」か「壁の遮音等級から透過損失を引く」といった単発処理で終わっていて、現場でいちばん欲しい「結局どの音源を叩けば効くのか」までは教えてくれない。この dB 合成計算機は、対数和を出すだけでなく寄与率を降順に並べ、最大寄与音源を 1dB 下げたときの Δdb まで表示するのが差別化点だ。

既存ツールとの対比を整理する。

  • 単純な dB 加算サイトとの違い: 2〜3音源までしか扱えず、コピー機能も寄与率表示もない。この電卓は最大 10 音源まで対応し、寄与率と対策効果を同時に出す
  • 音響シミュレーションソフトとの違い: CadnaA や SoundPLAN など本格ソフトは 3D 形状・反射・回折を扱えるが、初期検討で「この 5 台を並べたらまずいか?」を 30 秒で知りたいという用途には重い
  • エクセル手計算との違い: =10*LOG10(SUMPRODUCT(10^(A1:A5/10))) を書けば出せるが、寄与率降順や低減シミュレーションまで組むと毎回ファイルを作り直すことになる

「合計 dB を出す」だけでなく「次に何をすべきか」まで示す設計にしたので、機械室レイアウト検討や屋外機の台数査定など、意思決定の一歩手前で使える。

豆知識・読み物

「+3dB は 2 倍」問題

dB の世界で最もよく誤解されるのが「2 倍」の意味だ。同じレベルの音源を 2 台並べると、エネルギーは 2 倍だが dB は +3 しか増えない。理由は 10·log₁₀(2) ≈ 3.01 だから。つまり「コンプレッサを 2 台にしても 3dB しか上がらないなら別にいいか」と思いがちだが、人間の聴覚的にはこれでも「少しうるさくなった」と感じるレベルだ。

「+10dB で約 2 倍に聞こえる」の心理音響

じゃあ主観的な「2 倍の音量」は何 dB なのかというと、心理音響の実験では +10dB でラウドネスが約 2 倍 と報告されている。エネルギー的には 10 倍になっているのに、人間の感覚では「だいたい 2 倍」としか感じない。これは聴覚系が対数的に応答しているためで、Stevens のべき乗則でもラウドネスの指数はおよそ 0.3 前後とされている(参考: Equal-loudness contour - Wikipedia)。

逆に言うと、−3dB の改善ではほとんど体感できず、−10dB 下げて初めて「静かになったね」と言われる。騒音対策の目標値を設定するときはこの感覚ギャップを踏まえないと、費用対効果の説明で施主と揉めることになる。

A 特性(dBA)の歴史

環境騒音で広く使われる「dBA」は 1930 年代に定められた周波数補正の一種だ。当初は 40 phon の等ラウドネス曲線を近似する目的で A/B/C の三種類が提案され、A は低レベル音、B は中レベル音、C は高レベル音用だった。ところが実測と管理のしやすさから A 特性だけが残り、いまでは騒音規制・労働安全・環境基準のほぼすべてが dBA ベースで書かれている(参考: A-weighting - Wikipedia)。

この電卓は入力値が同じ重み付け系(すべて dBA、またはすべて dB リニア)で揃っていることを前提としている。dBA と dB リニアを混ぜて足すと意味のない数字が出るので注意。

Tips

  • 測定位置を揃える: 各音源の dB 値は「同じ評価点で測った値」でなければ合成しても意味がない。カタログ値(音源直近 1m)と実測値(作業位置)を混ぜないこと
  • 背景騒音は別枠で扱う: 暗騒音 60dB の工場で 62dB の機械を測ると、純粋な機械音は約 59.7dB。背景が対象音源と 10dB 以上離れていないときは、背景を引き算してから合成に入れる
  • 対策は寄与率の高い順から: 最大寄与音源が 60% を超えている場合、その 1 台を叩かないと全体は動かない。逆に全音源が均等(各 10〜15%)のときは、1 台だけ対策しても ΔL は 0.5dB 以下しか出ないので、複数同時対策か配置変更を検討する
  • 「1dB 低減効果」を判断基準にする: このツールの reductionEffect が 0.5dB を下回るなら、その音源単独の対策は割に合わない。別の支配音源に目を向けるサイン
  • カタログ dB の余裕を見る: メーカー公称値は理想条件の実測であることが多い。設計段階では +2〜3dB のマージンを加えて合成すると現場で驚かない

FAQ

位相干渉による打ち消し合いは計算に入っているか

入っていない。本ツールは各音源が非相関(独立な広帯域ノイズ)と仮定したエネルギー加算を行う。純音どうしが同位相で重なると +6dB、逆位相なら理論上 −∞dB まで打ち消すこともあるが、機械設備のような広帯域騒音では位相関係が時間・周波数で平均化されるため、エネルギー加算が実用上最も精度が良い。逆に言えば、ファンの BPF(羽根通過周波数)が完全に一致している 2 台のような特殊ケースでは ±3dB 程度の誤差が出ると考えた方がいい。

周波数帯別(オクターブバンド)の合成には使えるか

現バージョンはオーバーオール値(1 つの dB 値)どうしの合成専用だ。オクターブバンド合成をやりたい場合は、バンドごとに本ツールを回し、最後に全バンドをもう一度対数合成するという二段階の使い方になる。A 特性補正も同じで、各バンドに A 補正値(125Hz なら −16.1dB、1kHz なら 0dB など)を加えてからバンド合成すれば dBA が出る。この二段階機能はロードマップに入れているが、まずはオーバーオール合成で実務の 8 割はカバーできる。

距離減衰は考慮されているか

考慮していない。入力する dB 値は「評価点(人が立つ場所、敷地境界など)での値」に変換済みであることが前提だ。屋外の点音源なら距離 2 倍で −6dB、線音源なら −3dB という減衰則があるので、先に /outdoor-noise-attenuation で各音源の評価点レベルを出し、その値を本ツールに入れるのが正しい使い方になる。室内の場合は /reverberation-time の残響項も絡むので、直接音+残響音の合計を入力してほしい。

環境基準や規制判定にそのまま使えるか

判定の一次スクリーニングには使えるが、法的な適合判断には実測が必要だ。環境基本法に基づく騒音に係る環境基準は「等価騒音レベル LAeq」の時間平均値で評価されるため、本ツールの瞬時合成値とは定義が異なる。また、特定工場等の規制(騒音規制法)は敷地境界での実測が前提になっている。設計段階で「境界で 55dB を切れそうか」を確認する用途にはぴったりだが、検査・届出には使わない方が無難だ。

1 音源だけ極端に大きい場合に他の音源を対策しても意味がないのはなぜか

対数合成の性質で、差が 10dB 以上ある音源は無視してよいからだ。たとえば 90dB と 75dB を合成すると結果は 90.13dB で、75dB 側は 0.13dB しか寄与していない。この 75dB 側を 65dB まで 10dB も下げても、合計は 90.04dB にしかならず、人間には違いがわからない。だからまず支配音源を叩く必要がある。本ツールは最大寄与率と「1dB 低減効果」を同時に出すので、この判断を数字で裏付けられる。

まとめ

複数音源の dB は対数加算で考える必要があり、直感的な足し算は通用しない。本ツールは合計値だけでなく寄与率降順と低減シミュレーションまで出すので、「どの音源を叩けば効くか」を 30 秒で判断できる。機械室レイアウト、屋外機配置、工場境界の事前検討などで気軽に使ってほしい。

騒音・音響の設計フローでは以下のツールも合わせて使うと精度が上がる。

ご意見や機能要望があれば お問い合わせ からぜひ。実務で「こういう音源の組み合わせが計算できないと困る」という声はとくに歓迎だ。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。騒音対策の現場で『一番うるさい音源を直感で選んで対策したら効果ゼロだった』という失敗を何度か見てきた。寄与率を出してから動くのが鉄則だ。

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