流し撮り・被写体ブレ シャッタースピード計算

被写体の速さ・距離・焦点距離から、止める/流すのに必要なシャッター速度を画素数と鑑賞サイズ込みで計算

被写体の速さ・距離・焦点距離から、写真の上で何ピクセル動くかを計算する。止めるなら許容ブレに収まるシャッター速度を、流し撮りなら背景の流れ量と狙いどおりに流れるシャッター速度を出す。

プリセット(速さ・距離・焦点距離・シャッターをまとめて入れる)

被写体と撮り方

向きは視線との角度。90°=画面を真横に横切る、0°=まっすぐ向かってくる。斜めのときは横切る成分(sin)だけがブレになる。

カメラ

長辺の画素数は2400万画素(3:2)なら6000、4500万画素なら8192前後。電子シャッターの 1/16000・1/32000 は直接入力で入れる。

見せ方と目標

鑑賞サイズ

長辺 2,048px で見たときのpx数を表示する(流れ量%の判定には影響しない)

目標の流れ量は小さいほど控えめ、大きいほど背景が線になる。適正露出は、いまの絞り・ISOで露出計が示すシャッター速度。入れるとNDの段数や足りない明るさが分かる。

計算結果

背景の流れ長辺の 10.3%
狙いどおり

像面での移動量

3.704 mm

等倍での移動量

617 px

画素ピッチ 6.00 µm

鑑賞サイズでの移動量

211 px

長辺 2,048px

目標 8% になるシャッター

1/39

1/3段系列では 1/40

いまの流れと目標の差

+0.4段

シャッター 1/30・±0.5段以内が狙いどおり

被写体にぴったり追従できた場合の背景の流れ量。追従がずれた分は被写体のブレになる。

ブレの見え方

画面(流れの長さは長辺に対する実寸比)背景の流れ: 画面の長辺の 10.3%鑑賞サイズのピクセル拡大(1マス=1px)22マスを超える分は省略(実際は 211px)
被写体/背景の流れ(ピクセル帯)背景の電柱(流れた長さ)

被写体の動きによるブレだけを計算している。手ブレ・流し撮りの追従のズレ・レンズの解像力・被写体の手足の動きは含まない。像の大きさは距離が焦点距離より十分大きい前提の近似で、プリセットの速さは目安。

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関連ツール

1/60で流した電車が、ほとんど流れていなかった

鉄道の流し撮りを調べると、たいてい「電車は1/60前後から」と書いてある。それを信じて、線路から20mほど離れた踏切脇で100mmのレンズを構え、80km/hで走ってくる電車を1/60で追った。家で開いてみると、背景の電柱がほんの少し伸びているだけ。流し撮りのつもりが、ただ「ちょっとブレた写真」にしか見えない。

同じ条件をこのツールに入れると、背景が流れるのは画面の長辺の5.1%。目標を8%に置くと0.64段足りず、判定は「流れが足りない」になる。1/30まで落とせば10.3%で「狙いどおり」に入る。

逆向きの失敗もある。運動会で走る子どもを1/500で撮って、スマホで見たときは気にならなかった。ところがPCの4Kモニターで開くと、腕の輪郭がうっすら二重になっている。5m先を15km/hで走る子どもを50mmで撮ると、1/500のあいだに像はセンサーの上で0.083mm動く。長辺1080pxのスマホ表示ならそれが2.5px、4K表示なら8.9px。同じ1枚が、見る画面によって「わずかにブレ」から「ブレが見える」へ変わる。

シャッター速度の正解は、被写体の速さ・距離・焦点距離・画素数・見る画面の大きさで決まる。このページでは、その5つを1本の式でつなぎ、止めたいのか流したいのかに応じて必要なシャッター速度を出す。

目安表のシャッター速度が当たらない理由を確かめたかった

流し撮りや動体撮影の解説には、被写体別のシャッター速度表がよく載っている。電車は1/60、新幹線は1/125、走る子どもは1/500、飛んでいる鳥は1/2000。どれも間違いではないのだが、表の数字には「どの距離から、何mmで撮り、何画素のカメラで、どの大きさで見たか」が書かれていない。書かれていないだけで、条件はどこかで固定されている。経験から出てきた値というのは、そういうものだ。

困るのは、その固定された条件から自分の撮影が外れたときだ。冒頭の電車は、20m・100mm・1/60で画面の5.1%しか流れなかった。目安表の1/60は、控えめな流れ量を前提にした値と読むのが自然で、背景を線にしたい人には足りない。

走る子どもの1/500も同じ構造をしている。SNSに上げる長辺2048pxで見ると4.7px、スマホの1080pxなら2.5px、PCで等倍に拡大すれば14pxのブレになる。許容を2pxに置けば、スマホでは「わずかにブレ」、SNSサイズでも「ブレが見える」。目安表の1/500は、小さな画面で見る前提の数字だったわけだ。

最初は、速い被写体ほど速いシャッターにすればいい、くらいに考えていた。ところが遠くを飛ぶ旅客機は280km/hもあるのに、1/60で流してもほとんど流れない。速さだけでは説明がつかない。距離が効き、焦点距離が効き、画素数と鑑賞サイズまで効いてくる。

流し撮りで流れなかった電車と、止めたはずなのにブレていた子ども。この2つの失敗は、方向こそ逆だが、根っこは同じ「像がセンサーの上で何mm動いたか」の問題だ。だったら同じ式で両方を説明できるはずで、それを確かめるためにこの計算機を作った。

被写体ブレと流し撮りの仕組み——像は画面の上で何mm動くのか

角速度——遠くの飛行機がゆっくり動いて見えるわけ

新幹線のホームに立つと、目の前を通過する車両は一瞬で視界を横切る。一方、空港の展望デッキから見る離陸機は、時速300km近く出ているのに、ゆっくり滑っていくように見える。違いを生んでいるのは距離だ。

カメラから見て被写体がどれだけ速く動いて見えるかは、速さそのものではなく、1秒あたりに視線が何度回るか、つまり角速度で決まる。視線に垂直な速さを v⊥、距離を D とすると、

ω = v⊥ / D    [rad/s]

80km/hの電車を20m先から見ると、ω は毎秒約63.7°。280km/hの旅客機を500m先から見ると毎秒約8.9°。速さは3.5倍なのに、見かけの動きは7分の1ほどしかない。遠くの被写体が「流れにくい」のはこのせいだ。

被写体ブレ 計算——像面の移動量を求める式

レンズは、角度の動きを像面(センサー上)の長さの動きに変える。焦点距離 f のレンズで、被写体が十分遠ければ、像の倍率はおよそ f/D。だから像面の上で像が動く速さは f × ω で、シャッターが開いている時間 t のあいだに動く量は次のようになる。

s = f × v⊥ × t / D
  s  : 像面での移動量 [mm]
  f  : 焦点距離 [mm](レンズに書いてある実焦点距離)
  v⊥ : 視線に垂直な速さ [m/s](km/h ÷ 3.6)
  t  : シャッター速度 [秒]
  D  : 被写体までの距離 [m]

焦点距離を2倍にすれば s も2倍、距離を2倍にすれば s は半分。シャッターを1段速くすれば s は半分になる。被写体ブレの計算は、本質的にはこの掛け算と割り算だけだ。

正確には、薄肉レンズの倍率は f/D ではなく f/(D − f) になる(Magnification(Wikipedia))。距離が焦点距離の10倍あると、近似の0.100に対して正確な値は0.111で、近似が約1割小さく出る。スポーツや鉄道のように被写体が何mも先にいる撮影では無視できる差だが、距離が焦点距離の10倍を切る近接撮影では、ツールが注記を出すようにしてある。

画素ピッチ とは——mmをピクセルに直す物差し

像面で0.1mm動いたと言われても、それが写真の上でどれくらいのブレなのかはピンとこない。そこで、センサーの画素1個あたりの幅、画素ピッチで割ってピクセルに直す。

画素ピッチ = センサー長辺 ÷ 長辺の画素数
等倍での移動量 [px] = s ÷ 画素ピッチ

フルサイズ(長辺36.0mm)で長辺6000px(2400万画素の3:2)なら、画素ピッチは6.0µm。同じフルサイズでも長辺8192px(4500万画素前後)なら4.39µmと細かくなる。マイクロフォーサーズ(17.3mm)で長辺5184pxなら3.34µm。像の動きが同じ0.1mmでも、ピッチが細かいほどまたぐ画素の数が増え、等倍で見たときのブレは大きくなる。

鑑賞サイズで縮めると、ブレのピクセル数も縮む

写真を等倍で見ることはむしろ少ない。SNSは長辺2048px前後に縮小されるし、スマホの画面は横長写真を1080px程度の幅で表示する。縮小すれば、ブレのピクセル数も同じ比率で減る。

鑑賞サイズでの移動量 [px] = 等倍の移動量 × (鑑賞サイズの長辺 ÷ 長辺の画素数)

6000pxの写真をSNSの2048pxで見るなら倍率は0.341、4Kモニターの3840pxなら0.64、スマホの1080pxなら0.18。同じ1枚でも、どの画面で見るかで「ブレているかどうか」の答えが変わるのはこのためだ。

許容ブレと許容錯乱円の関係

どこまでのブレなら止まって見えるかには、ピントの世界に先輩がいる。錯乱円だ。ピントが合っていない点は小さな円にぼけるが、その円がある大きさ以下なら人の目には点に見える。この限界を許容錯乱円と呼び、画面対角の1/1500前後がよく使われる。

フルサイズなら対角43.3mmの1/1500で約0.029mm。長辺に対する割合にすると約0.08%で、長辺2048pxで見たときの1.6pxに当たる。このツールが許容ブレの既定値を鑑賞サイズで2pxにしているのは、ピントの許容とほぼ同じ厳しさでブレを見るためだ。ボケもブレも、点が点に見えなくなる限界という意味では同じ物差しで測れる。

流し撮り シャッタースピード 計算——背景の流れ量も同じ式になる

流し撮りでは、カメラを被写体の動きに合わせて回す。被写体にぴったり追従できれば、カメラは角速度 ω で回り続け、被写体は像面の同じ位置に留まる。

では背景はどうなるか。電柱も山も、止まっている物はすべて、カメラが回った角度 ω × t だけ視線から外れていく。近くの電柱でも遠くの山でも、回った角度は同じだ。だから背景が像面で流れる量は f × ω × t で、止めるときのブレ量 s とまったく同じ式になる。止めたときにブレる量が、そのまま流したときに背景が流れる量になる、と覚えておけばいい。

流し撮りでは、この量を画面の長辺に対する割合で見るほうが分かりやすい。

流れ量 [%] = s ÷ センサー長辺 × 100

この割合は画素数にも鑑賞サイズにもよらない。8%なら、スマホで見ても印刷しても、画面の幅の8%ぶん背景が線になる。

斜めに走る被写体は sin θ だけ効く

被写体が画面を真横に横切るとは限らない。斜めに近づいてくる電車なら、ブレになるのは視線に垂直な成分だけだ。

v⊥ = v × sin θ    (θ は視線と進行方向の角度。90°で真横、0°で真正面)

80km/hの電車が視線に対して30°の向きで走ってくると、sin 30° = 0.5 で横切る速さは半分。1/30で流しても背景は画面の5.14%しか流れず、真横の10.29%の半分になる。真正面から向かってくる被写体(0°)は画面の上で横に動かないので、横方向のブレはゼロになる。そのとき問題になるのはブレではなく、ピントの移動のほうだ。

数字で見ると何が変わるか——画素数・鑑賞サイズ・距離・明るさ

式が分かると、撮影現場で起きる「なぜか失敗する」の理由が数字で見えてくる。実務的に効いてくる4つを並べる。

(a) 画素数を上げると、同じ写真でもブレが増える。 5m先を15km/hで走る子どもを、フルサイズ・50mm・1/500で撮る。長辺6000pxのカメラで等倍に拡大すると14px、長辺8192px(4500万画素前後)のカメラなら19pxのブレになる。像面での移動量は0.083mmで同じなのに、画素ピッチが6.0µmから4.39µmへ細かくなったぶん、またぐ画素が増える。等倍で止めるのに必要なシャッターは、6000pxなら1/4000、8192pxなら1/5000。高画素機に買い替えたら動体の歩留まりが落ちた、という話の正体はこれだ。

(b) 鑑賞サイズで判定が変わる。 同じ子ども・1/500・6000pxのまま、見る画面だけを変えると、許容ブレ2pxに対して次のようになる。

鑑賞サイズ長辺ブレ判定止めるのに必要なシャッター(系列値)
スマホ1080px2.5pxわずかにブレ1/640
SNS2048px4.7pxブレが見える1/1250
4K3840px8.9pxブレが見える1/2500
等倍6000px14pxブレが見える1/4000

スマホとPCの等倍では、必要なシャッターが2段半ほど違う。撮るときに「どこで見せるか」を決めていないと、あとで等倍にしたら全部ブレていた、という事故が起きる。運動会の写真をA4で印刷して配るつもりなら、スマホ基準の1/500では足りない。

(c) 遠い被写体は流れにくい。 前の節で見たとおり、500m先の旅客機の角速度は、20m先の電車の7分の1ほどしかない。電車の感覚で1/60のまま旅客機を流すと、背景はほとんど動かず、流し撮りなのに止まって見える写真になる。遠い被写体ほど、焦点距離を伸ばすかシャッターを遅くする必要がある。具体的な数字は使用例で示す。

(d) 晴天の流し撮りはNDが要る。 流し撮りで欲しい1/30〜1/40は、晴天の屋外では明るすぎる。晴れた日の適正露出が1/500だとすると、狙いのシャッターまで3.7段の差がある。絞りを絞り込むだけでは追いつかないことが多く、NDフィルターで光を落とすことになる。この差を現場で暗算するのは難しいので、適正露出を入れればNDの番手と残りの段数まで出すようにした。

失敗の実害は、どれも撮り直しがきかないことだ。運動会のリレーも、1日に数本しか来ない臨時列車も、帰宅してから等倍で見て気づいたのでは遅い。

流し撮り・動体撮影で出番が来る場面

鉄道・飛行機の流し撮り。 撮影地に着いたら、線路や滑走路までの距離と、列車・機体の速度の見当をつけて入れる。距離は地図アプリで測れるし、速度は路線の最高速度や離陸速度の目安がある。目標の流れ量を決めれば、何分の1から試し撮りを始めればいいかが分かる。電車・新幹線・旅客機の離陸はプリセットに入れてある。

モータースポーツ。 サーキットのバイクや車は、コーナーの立ち上がりと直線で速さがまるで違う。撮影ポイントごとに速さと距離を入れ直せば、同じ流れ量を保つにはシャッターをどう変えればいいかが見える。望遠で遠くのコーナーを狙うときほど、思ったより流れないことに気づくはずだ。

運動会・子どもの撮影。 走っている子どもを止めて写したいとき、見せ方から逆算する。家族のLINEに送るだけならスマホ基準、写真館のようにA4で印刷するならA4基準。必要なシャッターと、そのとき足りない明るさの段数(ISOをどれだけ上げればいいか)が分かる。

野鳥・ペット。 長い望遠で飛んでいる鳥を止めるとき、1/2000でも足りないことがある。600mm級になると、メカシャッターの1/8000を超える速さが要る場面も珍しくない。走り回る犬も、距離が近いぶん思った以上に像が速く動く。電子シャッターが要るかどうかの判断材料になる。

基本の使い方(3ステップ)

① 被写体を入れる。 まず撮り方を「止める」か「流し撮り」から選ぶ。次に、電車・新幹線・旅客機の離陸・サーキットのバイク・野鳥の飛翔・走る子ども・走る犬の7つのプリセットから近いものを選ぶと、撮り方・速さ・距離・焦点距離・シャッター速度がまとめて入る。プリセットに無い被写体なら、速さ(km/h)・距離(m)・動く向き(視線との角度、真横に横切るなら90°)を直接入れる。

② カメラを入れる。 焦点距離はレンズに書いてある実焦点距離を入れる。センサーはフルサイズ・APS-C・APS-C(キヤノン)・マイクロフォーサーズ・1型から選ぶか、長辺のmmを直接入れる。長辺の画素数は、2400万画素の3:2なら6000、4500万画素なら8192前後。シャッター速度は1/8000〜1秒の一覧から選ぶ。電子シャッターの1/16000や1/32000を試したいときは、直接入力で1/Nの分母を入れる。

③ 見せ方と目標を決めて結果を見る。 鑑賞サイズを等倍・4K・A4印刷・SNS・スマホから選ぶ。止めるなら許容ブレ(既定2px)、流し撮りなら目標の流れ量(既定は画面の長辺の8%)を決める。結果には、判定と、像面での移動量(mm)・等倍での移動量(px)・鑑賞サイズでの移動量(px)、そして止める/狙いどおりに流すのに必要なシャッター速度が、正確値と1/3段系列の値の両方で表示される。下の図では、画面枠の中で背景や被写体がどれだけ伸びるかと、鑑賞サイズのピクセルを拡大して点像が何マス伸びるかを確認できる。

適正露出のシャッター速度の欄は任意だ。入れると、流し撮りならNDの番手と残りの段数、止めるなら足りない明るさの段数が出る。

流し撮り シャッタースピード 目安を条件ごとに計算した使用例(8ケース)

以下はすべて、特に断りのない限りフルサイズ(36.0mm)・長辺6000px・鑑賞サイズSNS(2048px)・真横(90°)で計算している。流し撮りの目標は画面の8%、止めるときの許容ブレは2px。

ケース1:電車 80km/h・20m・100mm——1/60で5.1%、1/30で10.3%

  • 入力:流し撮り、80km/h、20m、100mm、シャッター1/60と1/30
  • 結果:1/60では背景の流れが画面の5.14%(SNSで105px)、目標との差は−0.64段で「流れが足りない」。1/30なら10.29%(211px)、差は+0.36段で「狙いどおり」。目標ちょうどになるシャッターは1/39で、系列の最寄りは1/40
  • 解釈:冒頭の失敗の答え合わせだ。目安表の1/60は控えめな流れ量に相当し、背景をしっかり線にしたいなら1/40〜1/30まで落とす必要がある。1段遅くするだけで流れ量は2倍になる

ケース2:晴天の電車 適正1/500→ND16、適正1/50→NDなし、適正1/15→1.4段足りない

  • 入力:ケース1と同じ電車を1/30で流す。適正露出のシャッター速度を1/500、1/50、1/15の3通りで入れる
  • 結果:
    • 適正1/500(晴天):目標どおりに流れる1/39に対して、3.70段明るすぎる。NDの最寄りはND16(4段)で、残りは−0.30段。ND16を付けたうえで絞りを0.3段開けるかISOを上げて戻す
    • 適正1/50(曇り):差は+0.37段。NDは要らず、0.37段絞れば足りる
    • 適正1/15(夕方):差は−1.36段。光が1.36段足りず、適正露出のまま撮ると流れが強くなる。狙いどおりにするならISOを1.36段上げる
  • 解釈:同じ電車・同じ目標でも、天気で用意すべき物が変わる。晴れの日の流し撮りにND16前後を持っていく理由が、段数で説明できる

ケース3:新幹線 250km/h・50m・200mm・1/125——6.2%で狙いどおり

  • 入力:流し撮り、250km/h、50m、200mm、1/125
  • 結果:流れ量は画面の6.17%(126px)、目標との差は−0.37段で「狙いどおり」。目標ちょうどのシャッターは1/96で、系列では1/100
  • 解釈:新幹線は速いぶん、在来線より速いシャッターで同じくらい流れる。1/125でも範囲内に収まるが、もう少し流したいなら1/100に落とすのが最短の調整になる

ケース4:旅客機の離陸 280km/h・500m・400mm・1/60——2.9%、1/20まで落とす

  • 入力:流し撮り、280km/h、500m、400mm、1/60
  • 結果:流れ量は画面の2.88%(59px)、目標との差は−1.47段で「流れが足りない」。目標ちょうどのシャッターは1/22で、系列では1/20
  • 解釈:電車と同じ1/60でも、500m離れていると背景はほとんど流れない。1/20で400mmを手持ちで追うのは難しいので、現実には目標の流れ量を下げるか、もっと滑走路に近い撮影地を選ぶことになる

ケース5:サーキットのバイク 150km/h・30m・300mm・1/250——4.6%、1/160へ

  • 入力:流し撮り、150km/h、30m、300mm、1/250
  • 結果:流れ量は画面の4.63%(95px)、目標との差は−0.79段で「流れが足りない」。目標ちょうどのシャッターは1/145で、系列では1/160
  • 解釈:1/250は、追従に自信がないうちの安全策としてはいい。慣れてきたら1/160まで落とすと、目標の8%前後の流れが得られる

ケース6:野鳥の飛翔 40km/h・30m・600mm(APS-C)・1/2000——9.7px、電子シャッターが要る

  • 入力:止める、40km/h、30m、600mm、APS-C(23.5mm)・長辺6000px、1/2000
  • 結果:SNSで9.7px、許容ブレの4.84倍で「ブレが見える」。止めるのに必要なシャッターは1/9683で、メカシャッターの1/8000を超えるため電子シャッターが必要と表示される
  • 解釈:「野鳥は1/2000」という目安は、もっと短い焦点距離か、もっと小さく見せる前提での話だ。APS-Cの画素ピッチは3.92µmと細かく、600mmで30m先の鳥を狙うと、1/2000では止まらない。距離を取るか、電子シャッターに切り替えるかの判断になる

ケース7:走る犬 30km/h・8m・100mm・1/1000——SNSで5.9px、M4/3+A4なら21px

  • 入力:止める、30km/h、8m、100mm、1/1000。カメラをフルサイズ6000px・SNS表示と、マイクロフォーサーズ(17.3mm)5184px・A4印刷の2通りで計算
  • 結果:
    • フルサイズ・SNS:5.9px、許容の2.96倍で「ブレが見える」。必要なシャッターは1/2963、系列では1/3200
    • マイクロフォーサーズ・A4印刷:21px、許容の10.6倍で「ブレが見える」。必要なシャッターは1/10561で、電子シャッターが必要
  • 解釈:同じ犬を同じ100mmで撮っても、センサーが小さく画素ピッチが細かい(3.34µm)カメラで、しかも大きく印刷すると、必要な速さは一気に跳ね上がる。マイクロフォーサーズの100mmは画角の上では200mm相当で、像が画面に対して速く動くからだ

ケース8:走る子ども 1/500・適正1/125——光が3.2段足りない

  • 入力:止める、15km/h、5m、50mm、1/500、適正露出1/125(曇りの日の校庭を想定)
  • 結果:SNSで4.7pxの「ブレが見える」。止めるのに必要な1/1185は適正露出の1/125より3.25段速い
  • 解釈:止めたいなら、ISO感度を3段強上げるか、絞りを開ける必要がある。ISO400で撮っていたなら、ISO3200(3段)ではまだ少し足りず、ISO4000前後が目安になる。鑑賞サイズごとの必要シャッターは前の「数字で見ると」の表を参照してほしい。スマホ基準なら1/640で済むので、そのぶん必要なISOの上げ幅は小さくなる

計算の仕組み——経験則表ではなく像面移動量で解く

3つの手法を比べた

シャッター速度を決める方法は大きく3つある。

  1. 被写体別の経験則表:電車1/60、子ども1/500のような表。手軽だが、距離・焦点距離・画素数・鑑賞サイズがどこかで固定されている。条件が外れると、ケース1やケース6のように当たらない
  2. 速さに比例させる簡易則:「1/(速度×◯)」のように速さだけからシャッターを決める方法。速さの違いは反映できるが、距離と焦点距離を無視する。80km/hの電車を100mmで目標8%に流すなら、20m先では目標ちょうどのシャッターは1/39(系列1/40)だが、40m先では1/19(系列1/20)になる。速さが同じなので簡易則は同じ答えを返すが、実際には1段違う
  3. 像面移動量の式:上で導いた s = f × v⊥ × t / D に、画素ピッチと鑑賞サイズを掛け合わせる。すべての条件を入れられる

このツールは3を採用した。入力欄は増えるが、プリセットで大半が埋まるので手間は変わらない。

計算フロー

1. 入力を確かめる(速さ1〜400km/h・距離1〜2000m・角度0〜90°・焦点距離8〜1200mm ほか)
2. 像面の移動量 s [mm] を出す(角度0°なら横成分を0として扱う)
3. 等倍の移動量 = s ÷ 画素ピッチ → 鑑賞サイズの移動量 = 等倍 × 鑑賞倍率
4. 流れ量 [%] = s ÷ センサー長辺 × 100
5a. 止める:比 = 鑑賞サイズの移動量 ÷ 許容ブレ
      比 ≦ 1 → 止まって見える / ≦ 2 → わずかにブレ / それ超 → ブレが見える
      必要秒 = 許容ブレちょうどになるシャッター
5b. 流し撮り:目標との差 [段] = log2(流れ量 ÷ 目標%)
      −0.5〜+0.5段 → 狙いどおり / 下回る → 流れが足りない / 上回る → 流れすぎ
      必要秒 = 目標%ちょうどになるシャッター
6. 適正露出があれば:差 [段] = log2(必要秒 ÷ 適正露出の秒)

判定の境界ちょうどの入力は、甘い側に入れる。たとえば36km/h・10m・60mm・1/1000・等倍で許容ブレを10pxにすると、ブレはちょうど10.0pxで比1.0になり、「止まって見える」と判定する。浮動小数点の誤差で境界の値が反対側に転ばないよう、比較にはごく小さな許容誤差を入れてある。

止めるときの必要秒が1/8000(メカシャッターの最速)より短ければ電子シャッターが必要、1/32000(電子シャッターの最速)より短ければシャッターでは止めきれない、と表示する。

系列値の丸め方——止めるときと流すときで向きが違う

カメラのダイヤルは1/3段刻みで、計算で出た1/1185や1/39はそのままでは設定できない。そこで1/3段系列の値に丸めて併記するが、丸める向きを撮り方で変えている。

止めるときは、必要秒以下で最も遅い系列値を選ぶ。走る子どもを等倍で見るときの必要秒は1/3472で、系列でいえば1/3200と1/4000のあいだにある。対数の上では1/3200のほうが近いが、1/3200では許容ブレをわずかに超えてしまう。止めるという目的に対しては、許容を割らない側に倒すのが正しいので、表示は1/4000になる。

流し撮りは、対数の上で最も近い系列値を選ぶ。流れ量の許容は±0.5段あり、1/3段刻みの系列なら最寄りの値と必要秒の差はおよそ1/6段以内に収まる。どちらに丸めても狙いどおりの範囲から外れないので、近いほうを選べばいい。

NDの番手と残りの段数

適正露出との差が正(流し撮りに対して明るすぎる)のとき、NDなし・ND2・4・8・16・32・64・400・500・1000の中から、log2 で段数に直して差に最も近い番手を選ぶ。ND400やND1000は段数が整数にならない(ND1000は約9.97段)ので、番号の大小ではなく段数で比べる。選んだ番手で埋めきれない分は「残りの段数」として出し、正なら絞る、負なら絞りを開けるかISOを上げて戻す、と読む。

差が log2(1000) + 0.5 = 10.47段を超えると、ND1000でも足りないと表示する。たとえば5m先の子どもを50mmで画面の30%流そうとして、適正露出が1/8000だと、差は11.02段になる。こういうときはNDを重ねるか、絞る・ISO感度を下げるしかない。NDの重ね掛けの計算はNDフィルター露出換算計算機に任せている。

計算例:電車 80km/h・20m・100mm・1/30(初期値)

ケース1の1/30を、フローの順に追ってみる。

v⊥ = 80 ÷ 3.6 × sin 90° = 22.22 m/s
ω  = 22.22 ÷ 20 = 1.111 rad/s
像面の速さ = 100 × 1.111 = 111.1 mm/s
s  = 111.1 × 1/30 = 3.704 mm
画素ピッチ = 36.0 ÷ 6000 = 6.0 µm
等倍の移動量 = 3.704 ÷ 0.006 = 617.3 px
SNSでの移動量 = 617.3 × (2048 ÷ 6000) = 617.3 × 0.3413 = 210.7 px
流れ量 = 3.704 ÷ 36.0 × 100 = 10.29 %
目標との差 = log2(10.29 ÷ 8) = +0.36 段 → 狙いどおり
目標ちょうどのシャッター = 8 ÷ 100 × 36.0 ÷ 111.1 = 0.02592 秒(1/39)
系列の最寄り = 1/40

流れ量10.29%は、SNSの2048pxで見ると背景の点が約211px伸びることを意味する。画面の幅の1割、写真を見た誰もが「流れている」と分かる長さだ。目標の8%にぴったり合わせたいなら1/40、もう少し強く流したいなら1/30のまま、という判断がこの数字からできる。

近似について補足しておく。この計算は像の倍率を f/D で近似している。先に触れたとおり、距離が焦点距離の10倍を切ると近似が実際より約1割小さく出るので、5km/hの被写体を1m先から200mmで撮るような近接の条件では、注記を表示する。また、流し撮りの流れ量は「被写体にぴったり追従できた場合」の値で、追従のズレによる被写体ブレや手ブレは含めていない。

被写体別の目安表と、このツールの守備範囲

「流し撮り シャッタースピード 目安」で調べると、上位に並ぶのはメーカーや写真メディアの解説記事で、答えはほぼ例外なく被写体別の目安表として書かれている。その表がどこかの条件を固定した経験値であることは前半で触れたとおりなので、ここでは表の代わりに何を出しているかを書く。調べた範囲では、被写体までの距離・焦点距離・画素数・鑑賞サイズを入力してブレの量そのものを計算するツールは見当たらなかった。

1つ目の違いは、止めると流すを同じ入力から出すこと。撮り方を切り替えるだけで、「止める」なら許容ブレに収まるシャッター速度を、「流し撮り」なら背景が画面の長辺の何%流れるかと、目標の流れ量になるシャッター速度を返す。同じ被写体・同じ立ち位置のまま両方を見比べられるので、「この距離なら流しにいくか、止めにいくか」をその場で決められる。

2つ目は、ブレを等倍のピクセルと鑑賞サイズのピクセルの両方で出すこと。等倍で拡大したときの数字と、SNSやスマホに縮小されたあとの数字が並ぶので、どの見せ方を前提にした判定なのかが結果から読める。

3つ目は、露出までつなげていること。目安表はシャッター速度を示したところで終わり、晴れた日にその速度が本当に使えるかは読者に残される。適正露出のシャッター速度を入れれば、流し撮りならNDの最寄り番手と残りの段数を、止めるなら足りない明るさの段数を返す。さらに、必要な速さがメカシャッターの1/8000を超えれば電子シャッターが要ること、1/32000でも届かなければシャッターでは止めきれないことまで出す。

関連ツールとの役割分担も書いておく。被写界深度シミュレーターはピントの合う奥行きと許容錯乱円を扱い、露光中の動きは扱わない。奥行き方向のボケは向こう、時間方向のボケはこちらの担当になる。NDフィルター露出換算計算機は、NDの重ね掛けや長秒露光の換算が守備範囲。このツールが出すのは必要なNDの段数と最寄りの番手までで、ND8とND64を重ねたら何段になるか、といった換算は向こうに任せている。

動く被写体と写真をめぐる小話

「流し撮り」と鉄道写真の文化

流し撮りは英語では panning と呼ばれ、カメラを水平に振る動作そのものが名前になっている。日本語の「流し撮り」は、振った結果として背景が流れる側から名付けているのが面白い。

日本で流し撮りがとりわけ盛んなのは鉄道写真の世界だろう。鉄道写真には、編成全体を斜め前からくっきり止めて記録する「編成写真」という基本の型があり、車両の形式や塗装を正確に残すことが目的になる。流し撮りはその対極にある表現で、車体の細部よりも走っている感じを見せる。同じ撮影地で、朝は編成写真、光が落ちてきたら流し撮りに切り替える、という撮り方をする人も多い。Wikipedia の流し撮りの項目が技法の問題点として真っ先に「露光量が過大になる」ことを挙げているとおり、低感度フィルムの時代から、流し撮りは遅いシャッターをどう確保するかとの戦いだった。

マイブリッジの走る馬は「止める」写真の原点

動く被写体を止めて写した最初期の例として有名なのが、エドワード・マイブリッジの連続写真だ。ギャロップする馬の4本の脚がすべて地面から離れる瞬間はあるのか、という問いに答えるため、1878年6月15日、競馬場のコース沿いに12台のカメラを等間隔に並べ、馬が通るたびにワイヤーでシャッターが順に切れる仕掛けを組んだ。露出時間は1/1000秒前後とも、それより短かったとも伝えられる。当時のコロジオン湿板は晴天でも秒単位の露出が必要だったので、感光材料の化学研究から手を付けての成果だった(Wikipedia「エドワード・マイブリッジ」)。この写真は、前脚を前へ・後脚を後ろへ伸ばして宙を飛ぶという、それまでの絵画の定番の描き方が事実と違うことを示した。いまのカメラがメカで1/8000、電子で1/32000まで切れるのに比べればずっと遅いが、「動きを止めるには露光を短くするしかない」という問題の立て方は当時から変わっていない。

シャッター幕のスリットと、傾いて写る被写体

一眼カメラのフォーカルプレーンシャッターは、先幕と後幕の2枚でできている。高速側では後幕が先幕を追いかけるように走り、細いスリットが画面を横切る。シャッターを速くしても幕の走る速さはほとんど変わらず、スリットが細くなるだけだ(Wikipedia「Focal-plane shutter」)。つまり画面の各点はごく短い時間しか露光されないのに、画面の端と端では露光する瞬間がずれている。非常に速い被写体が斜めに傾いたり、引き伸ばされたりして写るのはこのためだ。電子シャッターはセンサーを1行ずつ読み出すので同じ現象が起き、機種によってはメカの幕より読み出しが遅く、歪みが目立ちやすい。

このツールが計算しているのは、画面の各点が露光している間に像が動く量のほう。画面の場所ごとの時間差による傾きは別の現象なので、計算には入っていない。野鳥のように電子シャッターが要ると出たときは、羽ばたく翼が曲がって写る可能性も頭の片隅に置いておきたい。

流し撮りと動体撮影の現場Tips

  • 流し撮りは連写で数を撃つ: 背景の流れ量は計算どおりに出せても、被写体への追従は1枚ごとに揃わない。最初から連写で撮り、ピントと追従がそろった1枚を選ぶつもりで組み立てる。歩留まりの低さは腕の問題というより、そういう撮り方だと割り切ったほうが気が楽だ。
  • 腕ではなく腰から回す: 足を肩幅に開いて膝を少し緩め、上半身ごと腰を軸にして回す。被写体が来る前から追い始め、シャッターを切ったあとも止めずに振り抜く。振り始めと止めぎわの急な加減速が、縦方向のブレや追従のずれになりやすい。
  • 手ブレ補正は流し撮り用のモードにする: 望遠レンズの多くには、カメラを振っている方向の補正だけを止めるモードがある(キヤノンの「モード2」など)。通常モードのままだと、振る動作まで手ブレとして打ち消そうとして被写体が乱れることがある。機種によっては自動で判定してくれるので、レンズとカメラの説明書を一度確かめておきたい。
  • 距離と速さは現地で測る: 距離は地図アプリの距離計測で、立ち位置から被写体が通る線(線路やコース)までの最短距離を測る。画面を横切る瞬間の距離がそれに当たる。速さが分からなければ、線路沿いの架線柱のように間隔が一定の目印を地図で測っておき、列車の先頭がその間を通り過ぎる時間を動画で測る。間隔[m] ÷ 時間[秒] に3.6を掛ければ km/h になる。

流し撮り・被写体ブレ計算のFAQ

焦点距離は35mm判換算の値を入れてもいい?

組み合わせを揃えれば構わない。レンズに書いてある実焦点距離を入れるならセンサーは実際のサイズを選び、換算値を入れるならセンサーをフルサイズにする。どちらの組でも、像の移動量とセンサーの長辺が同じ比率で伸び縮みするので、画面に対する流れの割合とピクセル数は一致する。避けたいのは換算値とAPS-Cの組のような混ぜ方で、クロップ係数の分だけブレを大きく見積もってしまう。スマホは実焦点距離が入力範囲の下限(8mm)より短いことが多いので、換算値+フルサイズで入れてほしい。

手ブレは計算に入っている?

入っていない。出しているのは被写体自身の動きによるブレだけで、手持ちで構えたカメラの揺れは別に乗る。止めるときは必要なシャッター速度が速くなりやすいので、手ブレが先に問題になることは少ない。気をつけたいのは流し撮りのほうで、遅いシャッターで横に振っている間の縦方向の揺れは、意図した動きではないのでそのまま被写体のブレになる。流し撮り用の手ブレ補正や一脚を併用するとよい。

流し撮りで被写体への追従がずれたらどうなる?

流し撮りの結果は、被写体にぴったり追従できた場合の背景の流れ量だ。結果にもその旨の注記を出している。追従がずれた分は、そのまま被写体のブレになる。どこまでずれてよいかの目安がほしいときは、シャッター速度はそのままで撮り方を「止める」に切り替え、速さの欄に追い損ねた分の速さ(たとえば被写体の速さの1割)を入れてみてほしい。残った動きが許容ブレに収まるかどうかが見える。流し撮りはシャッターが遅いので、わずかなずれでも許容ブレを超えやすいことが実感できるはずだ。

動画のシャッター速度を決めるのにも使える?

1コマを露光している間に像がどれだけ動くかは、静止画と同じ考え方で出せる。シャッター速度に動画の設定値を入れ、鑑賞サイズで「4K」を選べば、4K動画の1コマにどれだけブレが乗るかの目安になる。ただ、動画はコマが連続して再生されるので、1コマのブレは静止画ほど目立たない。むしろ適度なブレがあるほうが動きが滑らかに見えるので、「止まって見える」を目指す必要はない。動画では、ブレすぎて輪郭が崩れないかを確かめる用途が向いている。

真正面から向かってくる被写体だとブレが0になるのはなぜ?

横に動く成分がないので、このツールが扱う横方向のブレは0になる(理由は仕組みの節の sin θ のところで書いた)。ただ、実際には近づくにつれて像が少しずつ大きくなる拡大方向のブレと、ピントの合う位置の移動が起きる。露光中に近づく距離が被写体までの距離に比べて小さければ前者はほとんど目立たず、先に効いてくるのはピントのほうだ。向かってくる被写体では、シャッター速度よりもAFの追従と被写界深度を気にしたい。

入力した速さや距離、カメラの設定はどこかに送られる?

送られない。計算はすべて開いているブラウザの中で行っていて、入力した被写体の速さ・距離、カメラやセンサーの設定をサーバーに送って計算する仕組みは持っていない。会員登録も要らない。入力内容を保存する機能もないので、ページを読み込み直すと初期値(電車のプリセット)に戻る。結果のコピーはお使いの端末のクリップボードに入るだけで、どこに貼るかは自分で決められる。

まとめ:何px動くかを出してからシャッター速度を決める

被写体ブレも流し撮りの流れも、像面で何mm・何px動くかという同じ量で読める。止めたいなら鑑賞サイズに合わせた許容ブレで、流したいなら画面に対する流れの割合で判断すればよい。

ピントの奥行きを詰めるなら被写界深度シミュレーター、NDの重ね掛けはNDフィルター露出換算計算機、ストロボで動きを止めるならストロボ光量シミュレーター、星の流れを抑える露光は星景撮影の露出リミット計算機、超望遠で見える範囲は望遠鏡 倍率・実視界シミュレーターと組み合わせてほしい。

計算結果の食い違いや、追加してほしい被写体のプリセットがあれば、お問い合わせページから気軽に知らせてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。電車を1/60で流したら背景がほとんど流れず、子どもを1/500で撮ったら4Kモニターでブレていた。向きが逆の2つの失敗を、像がセンサーの上で何mm動いたかという1本の式で説明したくて作った。

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