録画時間計算 ドラレコ・防犯カメラ・SDカード

容量とビットレートから録画可能時間・上書きサイクルを計算。必要容量の逆算と推奨メディア提示、画質プリセット8種・複数台同時録画に対応

SDカード・HDDの容量とビットレートから「何時間録れるか」を計算。逆に「何日分残したいか」から必要容量と推奨メディアを逆算できる。機種は問わずビットレートだけで計算する

画質プリセット

ビットレートは代表値。機器の設定画面の値に合わせて編集OK。ドラレコは2h/日・防犯カメラは24h/日で連動する

条件入力

10進GB表記。1TB=1000、2TB=2000

機器の設定画面か仕様表の値

同じレコーダーに同時録画する台数。整数のみ

日数換算の分母。常時録画は24、通勤ドラレコは2など

計算結果

録画可能時間

23.7h

128GB ÷ 5.40GB/h

上書きサイクル

約1.0日

1日24h録画で、これを過ぎると古い映像から上書き

1時間あたり容量

5.40 GB/h

1台あたり

※ビットレート×時間の理論値による概算です。実際の録画時間はファイルシステムのオーバーヘッド・音声トラック・イベント(衝撃/動体検知)で上書き禁止に確保される領域などで計算値より1割前後短くなるのが一般的です。多くの機器は可変ビットレート(VBR)で映像の動きにより実レートが変動し、ドラレコの駐車監視は別レートで記録されることがあります。容量はメーカー表記と同じ10進GB(1GB=1000MB)で計算しており、PC表示の2進GiB値とは約7%ずれます。メディア購入時は余裕を持たせ、重要な映像は上書き前に別媒体へ退避してください。

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「128GBのSDカードを買えば、ドラレコは何時間録れるのか」。この問いの答えは、容量をビットレートで割るだけで出る。式にすれば1行、電卓なら10秒だ。それなのに実際に調べようとすると、メーカーの製品ページを開き、自社機種の型番を選び、画質モードの早見表を探し、そこに自分のカードの容量が載っていないことに気づく——という遠回りをすることになる。

早見表が悪いわけではない。ただ、あの表は「その機種を、その画質設定で使う」という前提の上に立っている。手持ちのカードが表に無い容量だったり、画質を一段落としていたり、防犯カメラを2台から4台に増やした瞬間、表は答えを持っていない。

このツールは、その1行の式をそのまま計算機にした。メディア容量・ビットレート・台数・1日あたりの録画時間を入れれば、録画可能時間と「何日で上書きされるか」が出る。逆に「30日分は残したい」から必要容量と推奨メディア(32GB〜8TB)を逆算するモードもある。機種の型番は一切聞かない。ビットレートさえ分かれば、ドラレコでも防犯カメラでもGoProでも同じ式で答えが出るからだ。

なぜ作ったのか — 早見表は「表に無い条件」に答えてくれない

きっかけは、防犯カメラを2台から4台に増やしたときだった。レコーダーに入っているのは2TBのHDD。2台のときは「約1か月半は遡れる」と聞いていたが、4台にしたら何日分残るのかが分からない。メーカーのサイトを見ても、載っているのは「2TB・4台・標準画質で約○日」といった構成別の表だけで、自分が設定した画質は表の行に無かった。

ドラレコでも同じだった。32GB・64GB・128GBの3列だけの早見表があって、手元にあるのは256GB。単純に2倍すればいいと当たりを付けたが、そもそも表の数字がどのビットレート前提なのか書かれていない。前提が分からない数字は倍にしても信用できない。

調べていくうちに気づいたのは、必要な情報は全部、機器の設定画面に載っているということだった。ビットレートだ。多くのドラレコ・防犯カメラ・アクションカムは、録画設定のどこかにMbpsの値を持っている。そしてビットレートが分かれば容量計算に機種名は要らない。1Mbpsで1時間録れば0.45GB——この換算係数ひとつで、あらゆる機種が同じ土俵に乗る。

なのに、その式を素直に計算させてくれるサイトが見つからなかった。あるのは機種選択式のメーカーツールか、静的な早見表か、あるいは単位換算だけして「日数」に翻訳してくれないコンバーターか。欲しかったのは、ビットレートを直接入れられて、台数で割り算してくれて、「で、何日で上書きされるの?」まで答えてくれるものだった。

だから作った。設計方針はひとつ、機種に依存しないこと。新製品が出ても、画質設定を変えても、カメラを増やしても、式は同じまま使える。早見表が古びていくのに対して、式は古びない。

ビットレート 容量 計算 の基礎 — 蛇口とバケツで考える

ビットレート とは — 1秒あたりに流れるデータの量

録画容量の話は、水道の蛇口とバケツにたとえると一気に分かりやすくなる。ビットレートは蛇口の太さだ。単位はMbps(メガビット毎秒)で、「1秒間にどれだけのデータが流れ出るか」を表す。12Mbpsなら毎秒1200万ビット。画質・解像度・フレームレートを上げる操作は、全部「蛇口を太くする」ことにあたる。メディア容量はバケツの大きさで、128GBのSDカードや2TBのHDDがそれだ。

そうすると録画可能時間は「バケツが満杯になるまでの時間」そのものになる。難しいのは蛇口の単位(ビット毎秒)とバケツの単位(バイト)が違うことだけだ。

ただし録画機器の場合、満杯になっても録画は止まらない。古い映像から順に消して上書きする「ループ録画」が普通だ。だから満杯までの時間は「録れる時間」であると同時に「遡って見られる限界」でもある。容量選びが単なる快適さの話ではなく、証拠が残るか消えるかの話になるのはこのためだ。

外部参考: 単位としての定義は Wikipedia: ビットレート にまとまっている。

SDカード 録画時間 の換算 — Mbps から GB/h へ

蛇口の太さから、1時間あたりに溜まる量を出す。

1Mbps = 1秒あたり 1,000,000 bit
1時間 = 3600秒

3600秒 × 1,000,000 bit = 3,600,000,000 bit/h
÷ 8(1バイト = 8ビット)  = 450,000,000 byte/h
÷ 1000 ÷ 1000 ÷ 1000     = 0.45 GB/h

つまり 1Mbpsで1時間録画すると0.45GB。この0.45が本ツールの計算の全てを支えている。あとはビットレートに0.45を掛けて1時間あたりの消費量を出し、メディア容量をそれで割るだけだ。ドラレコのフルHD標準的な12Mbpsなら 12 × 0.45 = 5.4GB/h、128GBのカードなら 128 ÷ 5.4 で約23.7時間となる。

CBRとVBR — 蛇口の太さは一定とは限らない

ここまでは蛇口の太さが一定という前提で話してきた。これをCBR(固定ビットレート)と呼ぶ。実際の機器の多くはVBR(可変ビットレート)で、映像の内容によって太さが変わる。夜の駐車場で何も動いていない映像は圧縮が効いて小さくなり、雨のワイパーや揺れる街路樹、人が行き交う店内はフレーム間の差分が大きく一気に太くなる。カタログのMbpsは平均値か上限値のどちらかで、実際はその周りを上下する。計算結果は「平均的にはこのくらい」という目安であり、動きの多い環境なら短めに見積もるのが安全側だ。

H.264とH.265 — 同じ画質でレートが半分になる

蛇口の太さを決めるもうひとつの要素がコーデック(圧縮方式)だ。同じ解像度・同じ見た目の画質でも、圧縮方式が新しいほど細い蛇口で済む。長く標準だったH.264(AVC)に対し、後継のH.265(HEVC)はおおむね半分のビットレートで同等の画質を実現する。防犯カメラの200万画素(1080p)なら、H.264で4Mbps必要だったものがH.265では2Mbps前後だ。

ビットレートが半分になれば、同じHDDで残せる日数は倍になる。カメラを買い替えなくても、レコーダーとカメラが両対応なら設定変更だけで保存日数が倍増する——容量計算の中で一番コスパの良い打ち手だ。

外部参考: 圧縮効率の詳細は Wikipedia: H.265 を参照。

10進GBと2進GiB — 買った容量と表示される容量が違う理由

128GBと書かれたSDカードをPCに挿すと119GBと表示される。壊れているわけでも詐欺でもなく、単位の定義が2つあるだけだ。メーカーやSDカードの表記は10進で 1GB = 1,000,000,000バイト。一方OSの多くは2進で、1GiB = 1,073,741,824バイトを「GB」と表示する。128,000,000,000 ÷ 1,073,741,824 = 約119.2。この約7%のずれが、容量が減ったように見える正体だ。

本ツールは10進GBで計算している。入力するのは「買ったカードのパッケージに書かれた数字」であり、128と入れたら128,000,000,000バイトとして扱うほうが店頭やECの商品名とそのまま一致するからだ。

実務での重要性 — 「消えていた」は取り返しがつかない

容量の見積もりを外したときの実害は、たいてい事後に判明する。しかも取り返しがきかない形で。

事故映像が上書きされて消えていた。 一番多いのがこれだ。物損事故で相手方と話がつかず、1週間後に「ドラレコの映像を出してほしい」と言われて確認したら、その日の映像はとっくに消えていた。ドラレコは常時ループ録画で、容量が一巡すれば古い順に上書きされる。フルHD 12Mbpsで通勤に片道1時間・往復2時間乗る人が32GBのカードを使っていれば、記録が残るのは3日弱。事故の当日に手動で保護(ロック)しなかった映像は、その周期を過ぎた時点で存在しない。

車上荒らしの犯行時刻が保存期間の外だった。 駐車監視は動体・衝撃検知で断続的に録るが、駐車時間が長い環境ではその断片が容量を食い、走行映像の保存日数を押し下げる。「1週間前から車内が荒らされていたかもしれない」と気づいたときには、その週の頭の映像は残っていない、というケースになる。

防犯カメラの「30日保存」という要件を満たせていなかった。 保険や取引先との契約、社内規程で保存期間が定められている業種がある。設置業者の提案どおりにHDDを載せたが、後からカメラを2台増設したせいで実際の保存日数が20日を切っていた——というのは珍しくない。台数を増やすと同じHDDを分け合うので、保存日数は台数に反比例する。4台を8台にすれば半分だ。この算数が抜けたまま増設が進むと、要件違反に気づかないまま運用が続く。

逆方向の失敗もある。過大な容量は金銭的には無駄だが、書き込みが分散するぶんメディアの寿命は延びる。容量に迷ったら大きめ、が悪手にならないのはこの理屈だ。

そのSDカードには寿命がある。フラッシュメモリは書き換え回数に上限があり、ドラレコのように24時間・365日ひたすら上書きし続ける使い方は消費者向けメディアにとって過酷な部類に入る。容量が一巡する周期が短いほど(=カードが小さいほど)同じ場所への書き込みが早く繰り返され、寿命は早く来る。ドラレコ用のカードは半年から1年での定期交換が現実的な目安で、「録れているつもりで実は数か月前から記録されていなかった」という事故を防ぐには定期的な再生確認とフォーマットが要る。保存日数の計算は、そのままメディアの交換サイクル設計にもつながっている。

活躍する場面

SDカードを買う前の容量選び。 「32GBと128GB、どっちを買うべきか」を値段ではなく残せる日数で判断できる。通勤2時間の人が3日分残したいのか1週間分残したいのかで、必要な容量は倍以上変わる。

防犯カメラの台数追加でHDDが足りるかの確認。 4台に2台増設したら保存日数がどうなるか。台数を変えるだけで結果が動くので、「何台までなら現状のHDDで30日を維持できるか」を試しながら探せる。

旅行・イベント前の撮影計画。 4K撮影でカードの残量が何分に相当するかを事前に把握する。予備カードを持つか、途中でスマホに退避する時間を取るかの判断材料になる。4K60の高ビットレートでは思っているよりずっと早く底を突く。

NVR構成の見積り根拠づくり。 カメラ台数×保存日数からHDD容量を算出し、見積書の根拠にする。「16台を90日」のような要件が単一HDDでは到底収まらないことも、数字で示せば発注前の仕様調整に持ち込める。

コーデック変更の効果試算。 ビットレートを半分にして再計算するだけで、H.265化によって機器を買い足さずに要件を満たせるかが分かる。

基本の使い方

ステップ1: モードを選ぶ。 手持ち・購入予定のカードやHDDで何時間録れるかを知りたいなら「録画時間を計算」、残したい日数から容量を決めたいなら「必要容量を逆算」。ビットレート・カメラ台数・1日あたり録画時間は両モード共通なので、切り替えても入力し直す必要はない。

ステップ2: 画質プリセットをタップする。 ドラレコ フルHD / ドラレコ 4K / 防犯カメラ H.264 / 防犯カメラ H.265 / GoPro 4K60 / GoPro 1080p / スマホ 1080p / スマホ 4K の8種。タップするとビットレートと1日あたりの録画時間が同時に入る。ドラレコなら2h/日(通勤想定)、防犯カメラなら24h/日(常時録画)と、機器ごとの使い方まで反映されるのがポイントだ。代表値なので機器の設定値に合わせて書き換えてよい。

ステップ3: 結果を読む。 録画可能時間、それが何日分にあたるか(上書きサイクル)、1時間あたりの消費容量が出る。逆算モードでは必要容量と推奨メディア(32GB〜8TB)が提示され、SDカードで賄えない容量になればHDD・NVR構成を促す注記が出る。

ビットレートが分からないときは機器の録画設定画面を開いてみてほしい。「画質」「ビットレート」「Mbps」のどこかに必ず値がある。見つからなければプリセットの代表値で当たりを付ければいい。

具体的な使用例・検証データ(7ケース)

ツールへ入力した結果を、録画時間モード5ケース・必要容量モード2ケースで見ていく。0.45GB/h per Mbps の一次式なので、途中の数字も追える形で示す。

録画時間モード

ケース1: ドラレコ フルHD 12Mbps × 128GB(定番の疑問に即答) 入力: メディア容量 128GB / ビットレート 12Mbps / 1台 / 24h/日。 結果: 5.4GB/h、録画可能時間 23.7h(約23時間42分)、上書きサイクル 約1.0日。 解釈: 「128GBのSDカードでドラレコは何時間?」の答えがこれだ。24時間の駐車監視まで含めて常時録るなら、残るのは実質「昨日まで」。一昨日の出来事を確認したいなら、この容量では足りない。

ケース2: ドラレコ 4K 25Mbps × 64GB・通勤2h/日 入力: 64GB / 25Mbps / 1台 / 2h/日。 結果: 11.25GB/h、録画可能時間 5.7h、上書きサイクル 約2.8日。 解釈: 4Kは蛇口が倍以上太くなるが、1日2時間しか乗らないなら5.7時間は約2.8日分にあたる。ケース1より録画時間は短いのに残る日数は長い。日数を決めるのは容量と「1日にどれだけ録るか」の組み合わせだ。

ケース3: 防犯カメラ H.265 2Mbps × 4台 × 2TB HDD 入力: 2000GB / 2Mbps / 4台 / 24h/日。 結果: 1台あたり 0.9GB/h、全4台合計 3.6GB/h、録画可能時間 555.6h、上書きサイクル 約23.1日。 解釈: 効いてくるのが台数の割り算だ。1台なら約92日残るところ、4台で分け合えば約23日。「30日保存」が要件ならこの構成では足りず、4TBへの増量か要件の見直しが要る。

ケース4: 同じ構成をH.264にした場合(コーデック比較) 入力: 2000GB / 4Mbps / 4台 / 24h/日。 結果: 1台あたり 1.8GB/h、合計 7.2GB/h、録画可能時間 277.8h、上書きサイクル 約11.6日。 解釈: 機材構成はケース3と同一で、コーデックをH.265からH.264に戻しただけで保存日数は23.1日から11.6日へちょうど半減する。裏を返せば、H.264運用中の環境が両対応なら設定変更だけで保存日数が倍になる。HDDを買い足す前に確認すべき項目だ。

ケース5: GoPro 4K60 60Mbps × 8GB(分表示になる領域) 入力: 8GB / 60Mbps / 1台 / 1h/日。 結果: 27.0GB/h、録画可能時間 約18分。 解釈: 高ビットレート撮影では容量が一瞬で溶ける。8GBでは18分、アクティビティ1本分も撮れない。1時間を切ると「約○分」表示に切り替わるのは、0.3hと出されても現場で判断できないからだ。4K60で3時間撮るなら81GB必要で、128GBクラスが最低ラインになる。

必要容量モード

ケース6: 防犯カメラ4台を30日残す 入力: 2Mbps(H.265) / 4台 / 30日 / 24h/日。 結果: 合計 3.6GB/h → 1日あたり86.4GB → 必要容量 2592.0GB(2.6TB)、推奨メディア 4TB。 解釈: ケース3で「2TBでは23日」と分かった構成を逆側から解いた形だ。30日を満たすには2592GB必要で、市販クラスの直近上位である4TBが推奨になる。3TBという中途半端なサイズを狙うより、4TBで余裕を持たせるほうが実務的だ。

ケース7: 16台×90日(メディアクラス超過の警告域) 入力: 4Mbps(H.264) / 16台 / 90日 / 24h/日。 結果: 1台あたり 1.8GB/h、合計 28.8GB/h → 1日あたり691.2GB → 必要容量 62208.0GB(62.2TB)、推奨メディア 該当なし。 解釈: 中規模の監視システムでよくある要件だが、必要容量は62TB。単一HDDで賄える規模を大きく超え、推奨メディアは「該当なし(8TB超)」になる。複数HDDを積むNVR構成か、H.265化(これだけで31TB程度に落ちる)か、保存日数の短縮か。見積もりを取る前にこの計算をしておけば、業者との会話を要件調整から始められる。

なお20TBのHDDに0.5Mbpsのカメラ1台を常時録画すると計算上は88888.9h(約10.1年)になり、「実運用ではメディアの書込寿命や機器の連続稼働のほうが先に限界を迎える」という注記が出る。

仕組み・アルゴリズム

手法の比較 — 機種DB方式 vs ビットレート方式

録画時間を出す方法は大きく2つある。機種DB方式は、メーカーの早見表と同じ考え方だ。型番と画質モードを選ばせ、対応表から答えを引く。ビットレートを知らなくていいので入口は易しいが、DBに載っていない機種・容量・設定には一切答えられず、新製品が出るたびにメンテナンスが要る。表は作った瞬間から古びていく。

ビットレート方式は、機器を単なる「Mbpsを出す装置」として抽象化する。型番を問わず同じ式で計算でき、ドラレコも防犯カメラもGoProも区別しない。新製品が出ても式は変わらない。欠点は、自分の機器のビットレートを調べる必要があること。

本ツールは後者を選んだ。前者を採ってもメーカー早見表の劣化コピーにしかならないからだ。調べる手間は8種の画質プリセットで埋めた。抽象度を上げつつ、入口の敷居はプリセットで下げる組み立てだ。

0.45GB/h per Mbps の導出

計算の中核は、1Mbpsで1時間録画したときの消費容量という係数ひとつに集約されている。

【ステップ1】1秒あたりのビット数
  1 Mbps = 1,000,000 bit/秒

【ステップ2】1時間ぶんに引き伸ばす
  1,000,000 bit/秒 × 3600秒 = 3,600,000,000 bit/h

【ステップ3】ビットからバイトへ(1 byte = 8 bit)
  3,600,000,000 ÷ 8 = 450,000,000 byte/h

【ステップ4】バイトからGBへ(10進・1GB = 10^9 byte)
  450,000,000 ÷ 1,000,000,000 = 0.45 GB/h

あとは掛け算と割り算だけで全ての結果が出る。

1台あたり消費   gbPerHourPerCamera = bitrateMbps × 0.45
全台合計        totalGbPerHour     = gbPerHourPerCamera × cameraCount

【録画時間モード】
  録画可能時間 = storageGB ÷ totalGbPerHour
  上書きサイクル日数 = 録画可能時間 ÷ hoursPerDay

【必要容量モード】
  必要容量GB = totalGbPerHour × targetDays × hoursPerDay

ケース3で検算すると、2 × 0.45 = 0.9GB/h(1台)、0.9 × 4 = 3.6GB/h(4台合計)、2000 ÷ 3.6 = 555.555…h、555.56 ÷ 24 = 23.148…日で、表示は23.1日。四則演算だけなので、納得できなければ手元の電卓で追える。

10進GBを採用した理由

ステップ4で1,073,741,824(2進のGiB)ではなく1,000,000,000(10進のGB)で割っているのは意図的だ。ユーザーが入力するのは「買ったカードのパッケージに書かれた数字」で、それは10進表記になっている。店頭やECの商品名、機器側の空き容量表示とそのまま一致するほうが実務では間違いが少ない。その代わりPC表示の2進GiB値とは約7%ずれるので、その存在は免責に明記している。

オーバーヘッド補正係数を掛けなかった設計判断

実測すると、録画時間は計算値より1割前後短くなるのが普通だ。原因は複数ある。

  • ファイルシステムの管理領域(FAT32/exFATのテーブル、ファイル単位の端数)
  • 音声トラック(映像のビットレートに含まれていない機器がある)
  • イベント保護領域(衝撃検知・動体検知でロックされた上書き禁止ファイルが容量を占有し続ける)
  • サムネイル・ログ・設定ファイルなどの付随データ

ならば0.9を掛けて「実効値」を出せばよさそうだが、採用しなかった。目減り率が機種と使い方で大きく振れるからだ。イベント保護をほとんど使わない環境ではほぼ理論値どおり、衝撃検知が頻繁に働く環境では保護ファイルが積み上がって2割以上減ることもある。一律の係数は、片側には過小・もう片側には過大という別の誤差を作り込む。そこで計算は理論値のまま出し、目減りの存在は免責として明示する方針を採った。実務では計算値に1〜2割の余裕を見て一段上のクラスを選ぶのが現実的だ。

推奨メディアの直近上位ロジック

必要容量モードでは、算出した必要容量に対して市販メディアの代表容量から候補を返す。

MEDIA_CLASSES = [32, 64, 128, 256, 512, 1000, 2000, 4000, 8000]  // GB
推奨 = MEDIA_CLASSES の中で「必要容量 ≦ クラス値」を満たす最小のもの

ケース6の2592GBなら2000では足りず4000で満たせるので4TBが推奨になる。75.6GB程度なら128GB、907GBなら1TBというように直近上位へ丸める。8000GBを超えた場合(ケース7の62208GB)は該当クラスが無く、「該当なし(8TB超)」として複数HDD・NVR構成への切り替えを促す。

推奨が512GBを超えたとき(=1TB以上)にも注記を出している。1TB超のmicroSDは存在するものの、一般流通と機器側の対応上限は512GB前後が中心で、「1TBを買えば解決」と早合点すると機器が認識しない落とし穴があるためだ。数値としての答えと、実際に買えるかどうかは別問題として扱っている。

メーカーの録画時間早見表と何が違うのか

ドラレコや防犯カメラのメーカーサイトにも、録画時間の目安表はたいてい載っている。ただしあれは「自社の型式 × 付属カードの容量」という組み合わせで組まれた表だ。型番を選ぶプルダウンに手持ちの機種が無ければそこで行き止まりだし、画質を一段落として運用している人にとっては表の数字が丸ごと合わない。ビットレートを直接打ち込める欄は、まず用意されていない。

このツールは逆に、ビットレートだけを入口にした。機種名を一切聞かないので、新製品が出ても型番の分からない輸入品でも、同じ一本の式で答えが出る。そのうえで早見表と違う軸が3つある。

必要容量の逆算モード。表が答えられるのは「このカードなら何時間」までだ。だが実務で先に決まっているのは「何日分残したいか」のほう。防犯カメラ2Mbpsを4台、30日分残す条件なら必要容量2592GB(約2.6TB)、推奨は4TB。買うべきメディアから逆に引ける。

機器をまたぐプリセット。ドラレコ・防犯カメラ・GoPro・スマホの8種を1画面に並べてあるので、同じカードが用途によって何時間に化けるかを横断で比べられる。GoPro 4K60は27GB/h、防犯カメラのH.265は1台0.9GB/h。同じ1時間でも消費量の桁が違うのに、機種DB方式はこの落差を別々のページに分断して見せてしまう。

複数台の同時録画。防犯カメラは1台のレコーダーを分け合うので、台数が増えたぶん持ち時間は短くなる。2TBのHDDに2Mbpsを4台なら555.6時間、24時間録画で23.1日で一周する。この掛け算を早見表で表現するのは難しく、だいたい省略されている。

サイト内の他ツールとは役割が分かれている。/dof-simulator/nd-filter-calc は「どう撮るか」の設定側、こちらは「撮ったものをどれだけ置いておけるか」の保存側だ。車まわりなら /car-maintenance-cost が年間の維持費、/parts-replacement-tracker が消耗品の交換時期、/tire-size-compare がタイヤの互換性を扱う。ドラレコのSDカードも定期交換が要る消耗品なので、交換管理と組み合わせると噛み合いがいい。

豆知識: SDカードの速度規格と、録画専用に作られたメディアの話

「Class 10」「V30」「A2」は容量ではなく速度の等級

カードのパッケージに並ぶ記号は、初見だとどれが容量でどれが性能なのか判別しづらい。整理すると、GBの数字以外はすべて速度と用途の等級だ。丸の中の10(Class 10)は最低10MB/sの書き込みを保証する古い規格。UとVは動画向けで、V30なら最低30MB/s、V60・V90と上がっていく。Aで始まるA1・A2はアプリの起動を想定したランダムアクセス性能の等級で、動画の連続書き込みとは別軸の指標になる。

ここで容量計算と接続する。ビットレートをMB/sに直せば必要な速度等級が見える。60Mbpsは毎秒7.5MB程度なので、V30(30MB/s)なら余裕がある。つまり4K撮影で「V30以上」と指定されるのは、平均レートではなくピークの変動とカードの経年劣化を織り込んだ安全率のためだ。規格の全体像は SDメモリーカード(Wikipedia) が詳しい。

ドラレコに「高耐久」カードが売られている理由

ドラレコは容量が満杯になったら先頭に戻って上書きする。つまりカード全体を何周も書き潰す使い方で、スマホの写真保存とは負荷の質がまるで違う。128GBのカードで5.4GB/hを流し続ければ、1日弱で一周する計算だ。

一般的なmicroSDは1セルに3ビット記録するTLCで、書き換え可能回数が数百〜千回程度にとどまる。これに対し高耐久(High Endurance)を謳う製品はMLCや、TLCを擬似的に1ビット運用するpSLCモードを採用し、書き換え耐性を桁で稼いでいる。価格は同容量で2倍前後になるが、肝心なときに読めない事態を避けるための保険と考えたい。

「30日保存」が防犯カメラの実務標準になった背景

防犯カメラの見積書には、判で押したように「30日録画」と書かれている。技術的な必然があるわけではなく、実務の積み重ねだ。被害の発覚が数日〜数週間遅れる犯罪(社内の不正、車上荒らし、器物損壊)が多く、月次の締めや点検サイクルとも噛み合うのが1か月という単位だった。自治体の設置ガイドラインや個人情報保護の運用指針でも、保存期間を「1か月程度」と定める例が多い。長く残せばいいというものでもなく、不要に長期保存すること自体がプライバシー上のリスクになるという発想が背景にある。

監視カメラ用HDDが普通のHDDと違うわけ

WD PurpleやSeagate SkyHawkのような監視向けHDDは、24時間365日ずっと書き込まれ続ける前提で設計されている。デスクトップ用HDDが想定するのは1日8時間程度の断続的な使用で、年間書き込み量の許容値も桁で違う。加えて監視向けは、多数のカメラから同時に流れ込むストリームを取りこぼさないよう、エラー訂正でリトライを繰り返して止まるより、多少データを落としてでも書き続ける動作を優先する。防犯カメラのHDD容量を計算して2TB・4TBといった数字が出たら、容量だけでなくその「用途向け」の型番かどうかも合わせて確認したい。

Tips

  • ビットレートは機器の設定画面に必ずある。ドラレコなら画質設定、NVRなら各チャンネルのエンコード設定に「12Mbps」「4096Kbps」といった値が並んでいる。Kbps表記なら1000で割ればMbpsになる。仕様書が手元に無くても、実機のメニューを1分たどるほうが早いことが多い。

  • H.265対応機ならコーデックを変えるだけで保存日数が倍近くなる。2TBのHDDに4台という同じ構成でも、H.264の4Mbpsでは11.6日で上書きが始まるのに対し、H.265の2Mbpsならちょうど倍の23.1日残る。カードやHDDを買い足す前に、まず設定画面を見るべき理由がこれだ。

  • ドラレコのSDカードは半年〜1年で交換する。上書き録画は書き込み回数を容赦なく消費する。壊れかけのカードは静かに記録を止め、事故のあとで初めて気づくことになる。カレンダーに交換日を入れておくくらいでちょうどいい。

  • フォーマットは必ず機器側で行う。PCでフォーマットしたカードは、機器が期待するファイルシステムやアロケーションサイズと食い違い、録画が途切れたり認識されなかったりする。新品を挿したときも、まず本体メニューのフォーマットを一度通しておく。

  • 重要な映像は上書き前にスマホへ退避する。計算で出た上書きサイクルは、そのまま「気づいてから救出できる期限」だ。ヒヤリとした運転や不審な人影を見た日は、その日のうちにアプリで該当ファイルを抜いておく。

よくある質問(FAQ)

計算値より実際の録画時間が短くなるのはなぜ?

主な理由は3つある。1つはファイルシステムのオーバーヘッドで、管理領域やファイル単位の端数のぶん、使える容量は表示容量より少し減る。2つ目はイベント保護領域だ。多くのドラレコ・防犯カメラは衝撃検知や動体検知のファイルを上書き禁止で確保するため、その割合ぶん常時録画に回る容量が減る。3つ目は可変ビットレート(VBR)で、設定値はあくまで平均であり、動きの多い映像では瞬間的にレートが跳ね上がる。合わせて1割前後短くなるのが一般的なので、購入時は計算値に余裕を持たせておきたい。

ビットレートが分からないときはどうすればいい?

まず機器の設定画面を見てほしい。ドラレコなら画質・録画設定、防犯カメラのNVRならチャンネルごとのエンコード設定に、Mbps または Kbps の値が書かれている。取扱説明書や製品ページの仕様表にも「記録ビットレート」として載っていることが多い。それでも見つからない場合は、画質プリセットの代表値をそのまま使えばいい。ドラレコのフルHDで12Mbps、防犯カメラの2MP H.265で2Mbpsといった値は一般的な設定の中央付近を取ってあるので、大まかな当たりをつけるには十分だ。値が判明したら入力欄で上書きすればいい。

カメラを増やすと録画時間はどうなる?

同じレコーダー・同じHDDを分け合うことになるので、録画できる時間は台数に反比例して短くなる。台数を倍にすれば持ち時間は半分になる、という単純な関係だ。たとえば2TBのHDDに2Mbps(H.265)のカメラを4台つなぐと、合計3.6GB/hで555.6時間、24時間録画なら23.1日で一周する。このツールではカメラ台数を入力すると、1台あたりのGB/hと全台合計のGB/hが並んで表示されるので、増設したときにどれだけ保存日数が削られるかを事前に確認できる。台数を増やすか、コーデックを変えるか、HDDを足すかの判断材料にしてほしい。

入力した容量やビットレートはどこかに保存される?

保存されない。計算はすべてブラウザの中だけで完結していて、入力値がサーバーへ送信されることも、どこかに記録されることもない。設置予定のカメラ台数や保存日数といった、見積り前の検討段階の情報がそのまま外に出ることはないので安心して試してほしい。ページを閉じれば入力内容は消えるため、条件を残しておきたいときは「結果をコピー」でテキストとして手元に控えておくのがおすすめだ。

まとめ

録画時間の計算は、容量をビットレートで割るだけの一本の式に還元できる。機種の早見表を探し回る必要はないし、逆に「何日分残したいか」から必要容量とメディアを引くこともできる。ドラレコのSDカード選びから、防犯カメラのHDD見積りまで一つの画面で完結する。

車まわりの管理をまとめて見直すなら、年間コストを把握する /car-maintenance-cost、SDカードを含む消耗品の交換時期を追う /parts-replacement-tracker、タイヤの互換性を確かめる /tire-size-compare も合わせてどうぞ。撮影の設定側を詰めたいときは /dof-simulator/nd-filter-calc が役に立つ。使ってみて気づいた点や追加してほしい機能があれば、お問い合わせページ から気軽に教えてほしい。

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Mahiro

Mahiro Appの開発者。防犯カメラを2台から4台に増やしたとき、2TBのHDDで何日分残るのかが早見表から読めず、ビットレートだけで解ける式をそのまま計算機にしたのがこのツールだ。

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