ミニ四駆 速度・ギア比計算機

モーター×ギア比×タイヤ径で理論最高速度をレンジ計算。A/B比較・傾向判定つき

モーター・ギア比・タイヤ径を選ぶだけで理論最高速度をタミヤ公称レンジ付きで計算。A・B比較でセッティング変更の効果を数値化できる。

セッティング

タイヤ:

比較モード

計算結果

セッティング傾向26.9 km/h公称レンジ 24.1〜29.7 km/h
最高速重視

理論最高速度

26.9 km/h

公称レンジ 24.1〜29.7 km/h

秒速

7.47 m/s

代表値(レンジ中央)

タイヤ回転数

5,486 rpm

4,914〜6,057 rpm

タイヤ1回転の進み

81.7 mm

π × タイヤ径

公称回転数(無負荷寄り)による理論値。実走は駆動ロス・コース抵抗・電池状態で概ね1〜3割下回る。両軸PRO版はスペックが異なる場合あり。

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モーターを載せ替えたら何km/h?——その場で答えが出ない問題

土曜の夜、パーツ箱を前にして考える。いまのマシンはハイパーダッシュ3に超速ギヤ、タイヤはローハイトの26mm。これをスプリントダッシュに換えたら何km/h伸びるのか。逆にコースアウト対策でギヤを4:1に落としたら、どこまで遅くなるのか——ミニ四駆をいじっていると、この「で、何km/h?」が一日に何度も頭をよぎる。

計算自体は掛け算と割り算だけ。なのに、モーターの公称回転数をパッケージやサイトで調べて、ギア比で割って、タイヤの円周を掛けて、mmからkmへ単位換算して……とやっているうちに億劫になり、「まあ走らせれば分かるか」で終わらせてしまう。あるあるだよね。

「ミニ四駆 速度・ギア比計算機」は、この皮算用を数タップで終わらせるツールだ。タミヤ公称回転数を内蔵したモーター9種プリセットから選び、ギア比とタイヤ径を指定するだけで理論最高速度をkm/hで即表示。公称回転数のmin〜maxレンジで速度の幅も出るし、セッティングAとBを並べる比較モードで「換える前 vs 換えた後」の差もその場で数字になる。

なぜ作ったのか——単発計算だけのツールでは足りなかった

速度の計算式そのものは、ミニ四駆コミュニティで昔から知られている単純な運動学だ。それでも毎回手が止まる理由がある。

まず、モーターの公称回転数を覚えていない。ハイパーダッシュ3は17,200〜21,200rpm、パワーダッシュは19,900〜23,600rpm——この数字を毎回タミヤのパッケージ裏や製品ページで確認するところから始まる。次に、公称値はレンジで公表されているから、幅を知りたければmin側とmax側で2回計算しないといけない。そして一番やりたい「変更前後の比較」は、2構成×2回=4回の計算結果をメモ帳に並べてようやく見えてくる。掛け算と割り算だけの作業が、気づけば10分仕事になっている。

既存の個人製作ツールもいくつか試したが、多くは回転数を手入力して単発の速度を1つ返すだけ。公称レンジによる速度幅の表示も、A/B比較も、1画面でやれるものが見つからなかった。だったら作るしかない。

こだわったのはモーターデータの品質だ。ネット上に転がっている回転数一覧は出典が曖昧で、実際この計算機を作る途中でも、ノーマルモーターとトルクチューン2の値が両軸PRO版のスペックと混ざった資料に出くわした。そこで9種すべてをタミヤ公式製品ページの公表値と1件ずつ突合し、片軸基準(マッハダッシュのみ両軸PRO)で統一して内蔵している。プリセットを選んだ瞬間に、調べ物ゼロで正しいレンジ計算が走る。それがこのツールの核だ。

ミニ四駆の速度はどう決まるか——回転数・ギア比・タイヤ径の三要素

ミニ四駆 速度 計算の基本式を第一原理から追う

難しい物理は何もいらない。マシンが進む仕組みを順番に追えば、式はひとりでに出てくる。

  1. モーターは1分間にN回まわる(単位はrpm)
  2. モーターの回転はギヤでG分の1に減速されて、タイヤは1分間にN÷G回まわる
  3. タイヤは1回転すると、円周ぶん=π×D mm進む(Dはタイヤ径)
  4. だから1分間に進む距離は (N÷G)×π×D mm。60倍して1時間あたりに、100万で割ってmmをkmに直せば時速になる

まとめるとこの1行。

v[km/h] = (N ÷ G) × π × D × 60 ÷ 1,000,000

  N: モーター回転数 [rpm]
  G: ギア比(5:1なら5)
  D: タイヤ径 [mm]

たとえばハイパーダッシュ3の公称中央値19,200rpmに超速ギヤ3.5:1、タイヤ26mmなら、タイヤ回転数は5,485.7rpm、1回転の進みは81.7mm、理論最高速度は26.9km/h。手のひらサイズのマシンが原付の法定速度に迫る計算になる。

ミニ四駆 ギア比 とは——自転車の変速ギアで考える

ギア比は「モーターが何回まわるとタイヤが1回まわるか」の比率だ。5:1ならモーター5回転でタイヤ1回転、3.5:1なら3.5回転で1回転。数字が小さいほどタイヤが速くまわる。

自転車の変速ギアがそのままのたとえになる。重いギア(=3.5:1の超速ギヤ)はペダル1回転で進む距離が長く、スピードに乗れば速いが、漕ぎ出しはずっしり重い。軽いギア(=5:1)は出足が軽快な代わりに、いくら漕いでも最高速が伸びない。ミニ四駆のギア比はカウンターギヤとスパーギヤの組合せで5:1/4.2:1/4:1/3.7:1/3.5:1の5段階が定番で、最高速寄りの3.5:1が「超速ギヤ」と呼ばれている。

ミニ四駆という遊び自体の背景はタミヤ公式ミニ四駆サイトWikipediaのミニ四駆の項が詳しい。

回転数・ギア比・タイヤ径——どれがどれだけ効くか

基本式を見ると、3つの要素はすべて速度に線形で効く。回転数が2倍なら速度も2倍。だから「比率がそのまま速度の伸び率になる」という感覚が持てると、セッティングの見通しが一気に良くなる。

  • ギア比を5:1→3.5:1にすると、5÷3.5=1.43倍で速度は約+43%
  • タイヤ径を24mm→31mmにすると、31÷24=1.29倍で約+29%
  • モーターをノーマル(中央値11,850rpm)→ハイパーダッシュ3(中央値19,200rpm)にすると約1.62倍

つまり最高速への寄与はモーター>ギア比>タイヤ径の順で大きいのが定番構成の相場感。ただし線形とはいえ、実車では加速・トルク・コーナー安定とのトレードオフが常につきまとう。そこを数字で見比べるのが次の話だ。

セッティング検討で「理論値の当たり」が大事な理由

当たりなしでコースに持ち込むと何が起きるか

速度の見積もりを持たずにパーツを盛ってコースに置くと、結末はだいたい2択だ。速すぎればコーナーやレーンチェンジで吹っ飛んでコースアウト、即リタイア。遅すぎればただの周回負け。特に立体コースでは、ドラゴンバックやジャンプセクションへの進入速度がそのまま着地成功率を決める。「完走できる最高速」を探る競技だからこそ、投入前に理論値の当たりを付けておく意味が大きい。

理論値があると「あと2km/hだけ落としたい」に具体策で答えられる。ハイパーダッシュ3×3.5:1×26mm(26.9km/h)を基準にすると、タイヤを26→24mmに換えれば約2.1km/h減、ギヤを3.5:1→3.7:1に1段落とせば約1.5km/h減。モーターごと格下げする前に、ギヤとタイヤの小さな一手で狙いの速度域に収められるかを机上で確かめられる。

公称レンジの幅——同じモーターでも±10%変わる

このツールが速度を1つの数字ではなくレンジで出すのには理由がある。タミヤの公称回転数自体が幅を持つからだ。ハイパーダッシュ3の17,200〜21,200rpmは、同じ構成でも速度にして24.1〜29.7km/h、代表値26.9km/hに対して約±10%の幅になる。この幅の正体は個体差と慣らし(ブレークイン)の進み具合。「公称レンジの下限で見積もっておけば実走とのギャップが小さい」という読み方ができるのは、レンジ表示ならではだ。

片軸と両軸PROでスペックが違う

同じ名前のモーターでも、片軸と両軸PROでは公称値が異なることがある。たとえばトルクチューン2は片軸が12,300〜14,700rpm、両軸PRO版は12,200〜14,400rpm。本ツールのプリセットは片軸基準(マッハダッシュのみ両軸PRO)で統一しているので、PROシャーシ勢は目安として使いつつ、慣らし後の実測値があればカスタム入力に切り替えるのが確実だ。

この計算機が活躍する4つの場面

復帰勢の最初のパーツ選び。 第二次・第三次ブームから帰ってきて、まず悩むのがモーター売り場。9種プリセットを順に切り替えるだけで、チューン系とダッシュ系の速度差が具体的なkm/hで見える。財布を開く前の机上検討にちょうどいい。

コースアウト対策の逆算。 「この立体コースは25km/h前後が完走ライン」と分かっているとき、いまの構成から何をどう換えれば収まるかを比較モードで探れる。

ギヤ比変更とタイヤ径変更、どちらが効くかの検討。 同じ「少し速くしたい」でも、手持ちパーツと加工の手間で選択肢は変わる。両案をA/Bに入れて差分を見れば、迷いが数字で消える。

子どもとの自由研究。 「きみのマシン、時速何キロだと思う?」から始めて、モーターの回転がギヤとタイヤを通って速度になる仕組みを一緒に計算する。掛け算と割り算だけでここまで分かる、良い教材になる。

基本の使い方——3ステップで速度レンジまで

  1. セッティングAを入力する。 モーターをプルダウンから選ぶ(9種プリセット+カスタム回転数入力)。ギア比を5:1〜3.5:1超速から選び、タイヤ径を入力。タイヤは「小径24/ローハイト26/大径31」のプリセットボタンでワンタップ入力もできる。
  2. 結果を確認する。 理論最高速度が公称レンジの幅つきで表示され、タイヤ回転数・秒速・タイヤ1回転の進みが並ぶ。あわせて「加速重視/バランス/最高速重視」の傾向判定が出るので、構成の性格が一目で分かる。
  3. 比較モードで変更案を試す。 「A・B比較」に切り替えてセッティングBに変更案を入れると、A/Bが2カラムで並び、速度差(km/hと%)とどちらが速いかの判定が表示される。結果はコピーボタンでテキスト化できるから、SNSや仲間内の共有もそのまま。

8ケースで検証——入力・結果・解釈

実装済みのツールに実際の値を入れて出力を確認した8ケース。数字はすべて画面表示そのままだ。

ケース1|定番の速度域:ハイパーダッシュ3 × 3.5:1超速 × 26mm 入力: ハイパーダッシュ3(17,200〜21,200rpm)・ギア比3.5:1・タイヤ26mm → 結果: 26.9km/h(24.1〜29.7km/h)・タイヤ回転数5,485.7rpm・秒速7.47m/s・1回転の進み81.7mm・判定「最高速重視」 → 解釈: ダッシュ系×超速×ローハイトという定番構成の速度域。フラットコースの基準値として覚えておくと便利。

ケース2|素組キットの実力:ノーマル × 4.2:1 × 26mm 入力: ノーマルFA-130(9,900〜13,800rpm)・4.2:1・26mm → 結果: 13.8km/h(11.6〜16.1km/h)・判定「加速重視」 → 解釈: 買ってきたキットを素組みした状態の理論値。ケース1と比べると、モーターとギヤの2点交換で速度が約2倍になることが分かる。

ケース3|加速全振り:トルクチューン2 × 5:1 × 24mm 入力: トルクチューン2(12,300〜14,700rpm)・5:1・24mm → 結果: 12.2km/h(11.1〜13.3km/h)・タイヤ回転数2,700rpm・判定「加速重視」 → 解釈: ハイギア×小径の立ち上がり特化構成。最高速はノーマル素組み以下まで落ちる。テクニカルコース以外では持て余す構成だと数字が教えてくれる。

ケース4|慣らし後実測の皮算用:カスタム28,000rpm × 3.5:1 × 31mm 入力: カスタム回転数28,000rpm・3.5:1・大径31mm → 結果: 46.7km/h(単一値表示)・タイヤ回転数8,000rpm・判定「最高速重視」 → 解釈: 回転数チェッカーで測った慣らし後の実測値を入れるパターン。公称レンジではなく実測1点の計算になるので、レンジ表示は消えて単一値になる。

ケース5|バランス構成:パワーダッシュ × 4:1 × 26mm 入力: パワーダッシュ(19,900〜23,600rpm)・4:1・26mm → 結果: 26.6km/h(24.4〜28.9km/h)・判定「バランス」 → 解釈: 4:1は加速重視(4.2以上)にも最高速重視(3.7以下)にも該当しない中間ギヤ。ケース1とほぼ同速なのに構成の性格が違う、という比較も面白い。

ケース6|回転数最強でも逆転する:A/B比較 入力: A=ハイパーダッシュ3×3.5:1×26mm、B=スプリントダッシュ(20,700〜27,200rpm)×4.2:1×24mm → 結果: B側25.8km/h(22.3〜29.3km/h)でAが+1.09km/h(+4.2%)速い判定 → 解釈: 公称回転数はスプリントダッシュが断然上なのに、ハイギア×小径を履かせた瞬間に総合ではハイパーダッシュ3構成が上回る。「モーターだけ最強にしても速くならない」を数字で示す好例。

ケース7|同一設定の比較:差0.00km/h 入力: A・Bとも ハイパーダッシュ3×3.5:1×26mm → 結果: 速度差0.00km/h・判定「A・B同速」 → 解釈: 同じ構成なら差は厳密にゼロ。比較ロジックの健全性チェックも兼ねたケース。

ケース8|理論上限の遊び:カスタム35,000rpm × 3.5:1 × 40mm 入力: 入力上限いっぱいのカスタム35,000rpm・3.5:1・タイヤ40mm → 結果: 75.4km/h・秒速20.9m/s → 解釈: レギュレーション度外視の机上最速。原付どころか一般道の制限速度を超える計算で、ミニ四駆のポテンシャルを実感できる。実走でここに近づけないのは駆動ロスと空力とコースのせい、という話は次章で。

仕組み・アルゴリズム——理論式+公称レンジという設計

実測回帰か、運動学の理論式か

速度を見積もる手法は大きく2つ考えられる。ひとつは実走ログからの回帰——コースでの実測タイムを集めて構成との対応を学習する方法。もうひとつは運動学の理論式だ。実測回帰は一見リアルだが、電池の残量、コースレイアウト、駆動系の仕上げで結果が大きくブレるため、他人のマシンに汎化しない。一方、理論式は「無負荷寄りの上限値」という性格がはっきりしていて、構成同士の相対比較には十分な精度がある。このツールは後者を採用し、公称回転数のmin/max両方で計算してレンジ表示することで「1点の当てもの」ではなく「幅を持った見積もり」に徹する設計にした。

モーターデータの品質——タミヤ公式ページと1件ずつ突合

プリセット9種の公称回転数は、タミヤ公式の製品ページ公表値と1件ずつ突合して収録している(2026年7月確認・片軸基準、マッハダッシュのみ両軸PRO)。ノーマルモーターはFA-130の公表値9,900〜13,800rpmで、チューン系より一段下のレンジになる。ここが間違っていると全計算が狂うので、いちばん神経を使った部分だ。

実装は5行の運動学

計算エンジンの中身は素直にこれだけ。

const tireRpm = motorRpm / gearRatio;          // タイヤ回転数 [rpm]
const advanceMm = Math.PI * tireDiameterMm;    // タイヤ1回転の進み [mm]
const speedKmh = (tireRpm * advanceMm * 60) / 1e6; // 分速[mm/min] → km/h
const speedMs = speedKmh / 3.6;                // 秒速 [m/s]

プリセットモーターはこの式を公称rpmのmin側とmax側で2回実行してレンジを作り、代表値は中央値を採る。カスタム回転数のときは入力値1点だけ計算する。

ステップバイステップ計算例

ハイパーダッシュ3(中央値19,200rpm)×超速3.5:1×タイヤ26mmで追ってみる。

  1. タイヤ回転数: 19,200 ÷ 3.5 = 5,485.7rpm
  2. タイヤ1回転の進み: π × 26 = 81.7mm
  3. 分速: 5,485.7 × 81.7 ≒ 448,080mm/min
  4. 時速換算: 448,080 × 60 ÷ 1,000,000 ≒ 26.9km/h

ケース1の画面表示と一致する。min側17,200rpm・max側21,200rpmで同じ手順を踏むと24.1〜29.7km/hのレンジが出る。

傾向判定と「代表値=中央値」の理由

セッティング傾向は、ギア比×タイヤ径の定性マトリクスで判定している。ギア比4.2以上かつタイヤ26mm以下なら「加速重視」、ギア比3.7以下かつタイヤ26mm以上なら「最高速重視」、それ以外は「バランス」。ギア比の条件(4.2以上と3.7以下)が互いに排他なので、判定が重複することはない。ハイギア×大径や超速×小径のような相殺構成は自動的にバランス扱いになる。

代表値に中央値 (min+max)÷2 を使えるのは、速度が回転数に線形だから。回転数の中央値で計算した速度と、min/max両速度の中央値が厳密に一致する。指数や平方根が絡む式ならこの手抜きは許されないが、線形ならば数学的に等価だ。

なお表示されるのはあくまで公称回転数(適正電圧時・無負荷寄り)にもとづく理論値。実走では駆動系のフリクションロス、コーナーやレーンチェンジでの減速、電池のヘタリが乗って、フラット主体でも概ね1〜3割減が目安になる。だからこそレンジの下限側で当たりを付けるのが実戦的な読み方だ。

既存の速度計算ツールとの違い — レンジ・比較・傾向判定

「ミニ四駆 速度 計算」で検索すると、個人サイトの計算ページがいくつか見つかる。回転数・ギア比・タイヤ径を入れれば速度が1つ返ってくるタイプだ。それで足りる場面もあるけれど、実際のセッティング検討で欲しいのはもう少し先の情報だったりする。

本ツールの違いは3つ。

1つ目は公称レンジによる速度幅表示。タミヤ公表の回転数は、どのモーターも「17,200〜21,200rpm」のように幅を持つ。単一値ツールはこのどこか1点を採用して計算するが、本ツールはmin/max両方で計算して「24.1〜29.7km/h」と幅ごと見せる。個体差と慣らし状態で±10%動く世界なのだから、点ではなく幅で捉えるほうが実態に合う。

2つ目はA/B比較。「モーターを換えるか、ギア比を換えるか」の二択を、2構成並べて速度差km/hと%で即断できる。単発計算ツールだと、Aを計算→メモ→Bを計算→暗算、という手順の繰り返しになる。

3つ目はプリセットと傾向判定。内蔵したモーター9種の公称回転数はタミヤ公式製品ページと突合済みで、パッケージや公式サイトを調べ直す手間がゼロ。ギア比5種と定番タイヤ径(小径24・ローハイト26・大径31)もワンタップで入り、出てきた構成が加速寄りか最高速寄りかまで自動で性格づけする。慣らし後の実測回転数があればカスタム入力にも対応。調べ物なしで机上検討が完結するのがいちばんの差だ。

豆知識 — 理論値と実走のあいだ、そしてブームの話

実際のレース速度は20〜35km/h程度。公式コースを走るマシンの実測速度はだいたいこの範囲に収まる。本ツールの理論値がそれより上に出るのは、公称回転数が無負荷寄りの値だからだ。駆動系のフリクション、コーナーやレーンチェンジでの減速、電池のヘタリが積み重なって、フラット主体のコースでも概ね1〜3割減。理論値は「上限の目安」として読むのが正しい使い方だ。

慣らし(ブレークイン)で公称上限を超える個体もある。モーターはブラシとコミュテーターの当たりが付くと回転数が伸びる。回転数チェッカーで測ると公称レンジの上限を超えていた、という報告は珍しくない。だからこそ本ツールにはカスタム回転数入力を付けた。実測値で計算し直すと、皮算用が一段リアルになる。

ブームは三度来た。1980年代後半の第一次(ダッシュ!四駆郎世代)、1990年代半ばの第二次(爆走兄弟レッツ&ゴー!!世代)、そして2012年頃からの第三次は大人の復帰勢が主役。復帰して驚くのが超速ギヤ3.5:1やローハイトタイヤといった当時なかった選択肢の存在で、まさにこのツールで机上検討したくなる領域だ。

モーターは片軸と両軸の2系統。MSシャーシなどのPRO系は両軸モーターを使い、片軸とはラインナップが分かれている。同名でもスペックが微妙に違うことがあり、たとえばトルクチューン2は片軸12,300〜14,700rpmに対し、両軸のトルクチューン2PROは12,200〜14,400rpm。本ツールのプリセットは片軸基準(マッハダッシュのみ両軸PRO)なので、PRO系ユーザーはこの差を頭に入れて読むといい。

使えるモーターやマシン規格の詳細はタミヤ公式ミニ四駆サイトミニ四駆公認競技会規則にまとまっている。大会に出るなら一読の価値あり。

セッティング検討のTips

  • 速度を上げる優先順位はモーター→ギア比→タイヤ径。モーター交換は効きが最大(ノーマル→ハイパーダッシュ3で速度ほぼ2倍)で作業も数分。ギア比は5:1→3.5:1で+43%だがシャーシによって選べる組合せに制約がある。タイヤ径は24→31mmで+29%ながら、ホイールごと交換やペラタイヤ加工の手間が乗る
  • コースアウトするなら逆をやる。ギア比を1段加速寄りに落とすか、タイヤを小径にする。比較モードにAとして現構成、Bとして変更案を入れれば「何km/h落ちるか」が数値で見える
  • 見積もりは公称レンジの下限で。実走は理論値より落ちるので、下限値ベースで考えておくとコースに持ち込んだときのギャップが小さい
  • 慣らし後は実測値をカスタム入力。回転数チェッカーの数字をそのまま入れれば、公称レンジよりも自分のモーターに即した速度が出る
  • 1回の比較で変えるのは1要素だけ。モーターとギア比を同時に変えると、どちらが効いたのか分からなくなる。1要素ずつ変えて差分を確認するのが机上検討の鉄則

よくある質問(FAQ)

実際のコースでもこの速度が出る?

出ない、と考えておくのが正解。計算に使う公称回転数は適正電圧・無負荷寄りの値で、実走では駆動ロス・コーナー減速・電池状態が効いて概ね1〜3割減になる。理論値は「この構成の上限がどのあたりか」「変更でどれくらい変わるか」を掴むための物差しとして使うのがいい。

両軸(PRO)モーターでも使える?

目安としては使える。ただしプリセットの公称値は片軸基準(マッハダッシュのみ両軸PRO値)で、同名の両軸PRO版はスペックが微妙に異なる場合がある。たとえばトルクチューン2PROは12,200〜14,400rpmで、片軸の12,300〜14,700rpmとは別の値だ。厳密にやりたいときはPRO版の公称値や実測値をカスタム回転数に入力してほしい。

ペラタイヤの径はどう入力する?

加工後の実測仕上がり径をそのまま入力すればいい。タイヤ径欄は小数1桁まで受け付けるので、ノギスで測った「23.5mm」のような値が使える。入力範囲は20〜40mmで、ペラタイヤの実用域は下限側に余裕を持たせてある。

速度レンジの幅がやけに大きいのはなぜ?

タミヤの公称回転数自体が幅を持っているからだ。たとえばスプリントダッシュは20,700〜27,200rpmと約3割の幅があり、速度は回転数に比例するので速度レンジも同じ比率で開く。この幅は個体差と慣らし状態の現実を反映したもので、自分のモーターの位置を知りたければ回転数チェッカーで実測してカスタム入力するのが確実。

入力したセッティングはどこかに保存される?

どこにも送信されない。計算はすべてブラウザ内で完結していて、モーター・ギア比・タイヤ径の入力値がサーバーに保存されることはない。結果をコピーボタンでクリップボードに写して、メモアプリやSNSに残すのがおすすめだ。

まとめ — 買う前に、走らせる前に、まず計算

モーター・ギア比・タイヤ径を選ぶだけで、公称レンジ付きの理論最高速度と構成の性格が見える。変更案はA/B比較で数値化してからパーツを買えば、無駄な出費も減る。机上検討→実走→実測値でカスタム入力、のループがセッティングの近道だ。

スケール模型の寸法計算には模型スケール換算計算機、実車バイクのギア比検討にはスプロケット丁数変更シミュレーターもどうぞ。同じ「減速比×外径」の世界が広がっている。

ツールの不具合や「このモーターも追加してほしい」といった要望はお問い合わせページから気軽に送ってほしい。

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Mahiro

Mahiro Appの開発者。子どもと再開したミニ四駆で「それ何km/h出てるの?」に即答できなかった悔しさから、タミヤ公式の公称回転数を1件ずつ突合してこの計算機を作った。

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