油圧ユニット、どこから設計すればいいんだ問題
シリンダの推力とストロークは決まった。あとはポンプとモーターを選ぶだけ――そう思って仕様書を開いた瞬間、流量・圧力・kW・タンク容量という四つの変数がにらみ合ってきて、頭を抱えた経験はないだろうか。ギアポンプのカタログを眺めていると、吐出量と圧力とモーター軸出力が複雑に絡み合い、どこから数字を決めていけばいいのか分からなくなる。
このツールは、そんな油圧パワーユニット(HPU: Hydraulic Power Unit)の選定を、シリンダ作動条件から一気通貫で片付けるためのものだ。内径・ストローク・推力・動作時間・使用圧力・総合効率を入れれば、ピストン面積から電動機所要kW、タンク容量までを一画面で出す。概算が5秒で出るので、提案書の下書きや初期検討の叩き台にちょうどいい。
なぜ作ったのか
社内の油圧ユニットをリプレースする案件で、先輩から「ポンプ吐出量20L/minくらいで、モーター5.5kWで、タンクは60Lあればいい」とざっくり言われた。ところが数字の出所を聞いても「経験則」としか返ってこない。仕方なく自分で計算を始めたのだが、単位換算で何度も詰まった。L/minとm³/s、MPaとPa、kNとN――この三つを行き来しているだけで電卓の履歴が埋まった。
既存のオンラインツールもいくつか試した。シリンダ推力を出すだけのものは多い。ポンプ流量だけを出すものもある。だが「シリンダ条件から電動機kWとタンク容量までを一度に出す」ものは、英語圏のメーカーサイトに断片的にあるだけで、日本語で使えるものが見当たらなかった。とくにタンク容量の3倍則(JIS B 8361相当)まで含めて即答してくれる計算機がなかった。
同じ現場にいる設計者仲間に聞いても、「Excelシートを自作している」「メーカーに丸投げしている」という答えばかり。だったらWebで一元化してしまえば、初めて油圧ユニットを組む若手も、経験値の無い異分野からの転向組も、同じ土俵で議論できる。そう思って作った。
油圧パワーユニットとは何か
油圧パワーユニット(HPU)の構成要素
油圧パワーユニットとは、電動機でポンプを回して作動油を加圧し、シリンダやモーターといった油圧アクチュエータに動力を供給する装置一式のことだ。主な構成要素は次の五つ。
- 電動機: 回転動力源。三相誘導モーターが主流
- 油圧ポンプ: 電動機の回転を油の圧力・流量に変換する。ギアポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプがある
- 油タンク(リザーバ): 作動油を貯め、気泡を抜き、熱を放散する
- 制御弁(リリーフ・方向切換): 圧力を一定に保ち、油の流れる方向を切り換える
- 配管・継手・フィルター: 作動油の経路と清浄度を管理
電気で言えば、電動機+ポンプが「電源回路+変圧器」に、タンクが「平滑コンデンサ」に、リリーフ弁が「過電圧保護」に相当する、と考えると腑に落ちやすい。
油圧動力の基本式
油圧系のパワーは、流量と圧力の積で決まる。これは電気の P = V·I と同じ構造だ。流量Qが電流、圧力pが電圧に対応すると思えばいい。
// 油圧動力 [kW]
P_h = Q [L/min] * p [MPa] / 60
// 電動機軸動力 [kW]
P_m = P_h / η
60で割っているのは、L/minとMPaの組み合わせをkWに揃えるための単位換算だ。1 L/min × 1 MPa = 1/60 kW という関係を覚えておくと、暗算でも概算が出せる。総合効率ηはポンプ効率と電動機効率をひっくるめた値で、ギアポンプ+一般的な電動機で0.75〜0.85程度になる。
タンク容量の3倍則
タンク容量はポンプ吐出量の3倍を目安に設計する、という慣行がある。これは JIS B 8361(油圧用語)や ISO 4413 に準拠した実務的なルールで、次の三つの役割を担うためだ。
- 熱放散: 油圧動力の損失分は熱になる。タンクが小さいと油温が上がり、粘度が下がって漏れや効率低下を招く
- 気泡除去: 還流油の中のエアが抜けきる時間(滞留時間)を確保する。3倍容量で滞留時間は約3分
- 流量変動吸収: 短時間ピーク流量に対するバッファ
半導体工場など常時運転の用途では4〜5倍にする例もあるが、断続運転の産業機械なら3倍で足りる。
容量選定を誤ったときの実害
「経験則で5.5kW」と決めたユニットが、実際には要求流量を満たせないまま稼働し、シリンダ速度が設計値の半分しか出なかった――現場でありがちな失敗だ。では、選定ミスは具体的にどう跳ね返ってくるのか。
動作速度不足: 流量不足の症状はシリンダ速度に直結する。タクトタイムが延び、生産量が落ちる。後から改善しようにも、モーターと配管までを含めた改造は数百万円規模になる。
モーター焼損: 逆に要求圧力がシリンダの必要圧を下回っていると、起動時にリリーフ弁が開きっぱなしになり、全流量が余剰として熱に変わる。ポンプ入口の油温が60℃を超えると粘度低下→漏れ増加→さらに発熱という悪循環に入り、電動機が過負荷トリップ、最悪は焼損する。
省エネ法・契約電力への影響: 工場全体の契約電力は50kW刻みで料金が変わる(高圧電力A契約)。過大なモーターを1台増設しただけで月数万円の基本料金アップ、という話は珍しくない。逆に省エネ法では エネルギー使用の合理化等に関する法律 により大規模事業所は毎年1%のエネルギー原単位低減を求められているため、過大選定は指導対象になりうる。
JIS B 8361/ISO 4413との整合: 日本国内で稼働する産業機械油圧システムは、JIS B 8361(旧B 8370)の適用が事実上の標準だ。圧力区分や呼び径の選定根拠を示せないと、受入検査で指摘される。設計初期に概算レベルでも数字を押さえておけば、後工程で「根拠なし」と突き返されることがなくなる。
活躍する場面
中型プレス・油圧プレスの初期検討: 推力30〜80kN級のプレスは町工場にも広く普及している。シリンダ内径とストロークが決まった段階で、電動機kWとタンク容量が即答できると提案書作成が一気に進む。
射出成型機のリプレース見積もり: 既存機のシリンダを流用しつつ、ポンプとモーターだけ更新するケース。現状のスペックから「これより大きい機種が必要か、小さくできるか」を判断する一次スクリーニングに使える。
クランプ装置・治具の内製: 生産ラインで使う簡易クランプを社内で作る場合、ユニットはパッケージ品を買うのが一般的だ。事前に必要kWとタンク容量を算出しておけば、適切なサイズのパッケージを選べる。
保全現場での故障診断: 「シリンダの動作が遅い」「モーターが熱い」というトラブル時、本来必要な流量・圧力・kWと現状のポンプ仕様を突き合わせると、原因が選定不足なのか経年劣化なのかを切り分けられる。
基本の使い方
- シリンダ条件を入れる: 内径D[mm]、ストロークL[mm]、所要推力F[kN]、押出し動作時間t[s]。推力は負荷+摩擦+背圧の合計値
- システム条件を入れる: 使用圧力P[MPa](一般産業機械は14〜21MPa)と総合効率η(初期検討は0.80でよい)
- 結果を読む: 電動機所要動力kWを確認し、JIS標準モーターの直上値(3.7/5.5/7.5/11/15/18.5/22/30kW…)に切り上げる。圧力マージンが20%未満ならシリンダ内径の再検討、50%以上なら機器が過大の可能性
コピーボタンで全結果を書き出せる。そのまま提案書や議事録に貼り付けると話が早い。
計算例で感覚をつかむ
ケース1: 小型クランプ装置(D=50mm, L=300mm, F=10kN, t=1.5s, P=10MPa, η=0.80)
治具ワークのクランプ用途。内径50mmのシリンダで10kNの押し付け力を1.5秒で出す。
- ピストン面積: 19.63 cm²
- 必要圧力: 5.09 MPa
- シリンダ速度: 0.200 m/s
- 必要流量: 23.56 L/min
- 油圧動力: 3.93 kW
- 電動機所要動力: 4.91 kW → JIS標準5.5kWを選定
- 推奨タンク容量: 70.7 L
解釈: 設定圧10MPaに対し必要圧5.09MPa、マージン約96%。余裕がありすぎるので、内径40mmに絞れば必要圧力が上がり、ポンプも小さくできる。
ケース2: 中型プレス(D=80mm, L=500mm, F=30kN, t=2s, P=16MPa, η=0.80)
汎用油圧プレスの主シリンダ。30kNで500mmを2秒押し出す。
- ピストン面積: 50.27 cm²
- 必要圧力: 5.97 MPa
- シリンダ速度: 0.250 m/s
- 必要流量: 75.40 L/min
- 油圧動力: 20.11 kW
- 電動機所要動力: 25.13 kW → JIS標準30kWを選定
- 推奨タンク容量: 226.2 L
解釈: 設定圧16MPa、マージン168%。圧力側にかなり余裕があるので、ポンプ吐出量を優先したピストンポンプ構成が向く。
ケース3: 大型リフト(D=125mm, L=800mm, F=80kN, t=3s, P=21MPa, η=0.80)
工場内の重量物昇降装置。80kNで800mmを3秒で持ち上げる。
- ピストン面積: 122.72 cm²
- 必要圧力: 6.52 MPa
- シリンダ速度: 0.267 m/s
- 必要流量: 196.35 L/min
- 油圧動力: 68.72 kW
- 電動機所要動力: 85.91 kW → JIS標準90kWを選定
- 推奨タンク容量: 589.0 L
解釈: モーターが大型化し、三相200V動力契約だけでは賄いきれない領域。400V系の検討と冷却ファン必須。タンクも600L級で大型化する。
ケース4: 射出成型機の型締シリンダ(D=100mm, L=600mm, F=50kN, t=2.5s, P=18MPa, η=0.82)
中型射出成型機の型締ユニット。効率は高精度ピストンポンプ前提で0.82に上げている。
- ピストン面積: 78.54 cm²
- 必要圧力: 6.37 MPa
- シリンダ速度: 0.240 m/s
- 必要流量: 113.10 L/min
- 油圧動力: 33.93 kW
- 電動機所要動力: 41.38 kW → JIS標準45kWを選定
- 推奨タンク容量: 339.3 L
解釈: 効率ηを0.80→0.82に上げるだけで、電動機出力は約2.5%下がる。長時間連続稼働の成型機ではこの差が電気代に効く。
ケース5: 工作機械クランプ(D=40mm, L=200mm, F=5kN, t=1s, P=14MPa, η=0.78)
マシニングセンタのワーククランプ。小容量・小型ポンプで構成。
- ピストン面積: 12.57 cm²
- 必要圧力: 3.98 MPa
- シリンダ速度: 0.200 m/s
- 必要流量: 15.08 L/min
- 油圧動力: 3.52 kW
- 電動機所要動力: 4.51 kW → JIS標準5.5kWを選定
- 推奨タンク容量: 45.2 L
解釈: 設定圧14MPa、マージン252%。クランプは保持力が主目的なので、高圧小流量ポンプで圧力側に余裕を持たせるのが定石。効率を0.78と低めに置いているのは、小型ギアポンプの実測値を反映したもの。
ケース6: 高圧プレス(D=160mm, L=1000mm, F=150kN, t=4s, P=25MPa, η=0.80)
厚板打ち抜き用の高圧プレス。設定圧25MPaの高圧仕様。
- ピストン面積: 201.06 cm²
- 必要圧力: 7.46 MPa
- シリンダ速度: 0.250 m/s
- 必要流量: 301.59 L/min
- 油圧動力: 125.66 kW
- 電動機所要動力: 157.08 kW → JIS標準160kWを選定
- 推奨タンク容量: 904.8 L
解釈: 25MPa超の高圧域では配管・継手・シール材の耐圧規格確認が必須。モーター160kWは400V三相の大容量契約が前提で、受変電設備の容量も見直す必要がある。タンクも1m³級で、冷却器併設が一般的。
仕組み・アルゴリズム
手法の選び方: 吐出量先行か、圧力先行か
油圧ユニット選定には二つの流派がある。
- 吐出量先行法: シリンダ速度から必要流量を決め、その流量を満たすポンプを選び、最後に使用圧力を当てはめて動力を出す
- 圧力先行法: 使用圧力を先に決め打ちし、必要なピストン面積を逆算する
このツールは前者(吐出量先行法)を採用している。理由は単純で、シリンダの内径・ストローク・動作時間は設計初期に決まっていることが多いからだ。プレスもリフトも「何kNで何秒」という要求仕様が先に来る。圧力は後から14/16/21MPaなどの標準値に合わせ込めばよい。
実装フロー
// 入力: bore[mm], stroke[mm], force[kN], time[s], pressure[MPa], eta[-]
// 1. ピストン面積 [m²]
const A = Math.PI / 4 * Math.pow(bore / 1000, 2);
// 2. 必要圧力 [MPa]
const reqP = (force * 1000) / A / 1e6;
// 3. シリンダ速度 [m/s]
const v = (stroke / 1000) / time;
// 4. 必要流量 [L/min]
const Q = A * v * 60 * 1000;
// 5. 油圧動力 [kW]
const Ph = Q * pressure / 60;
// 6. 電動機軸動力 [kW]
const Pm = Ph / eta;
// 7. 推奨タンク容量 [L](JIS B 8361 慣行の3倍則)
const V = Q * 3;
// 8. 圧力マージン [%]
const margin = (pressure - reqP) / reqP * 100;
総合効率ηの考え方
ηには二種類ある。
- 全効率(ポンプ単体): 容積効率×機械効率。ギアポンプで0.85前後、ピストンポンプで0.90前後
- 総合効率(ポンプ+電動機): さらに電動機効率0.88〜0.92を掛けたもの。結果として0.75〜0.85程度
本ツールは後者(総合効率)を使っている。ポンプ型式がまだ決まっていない初期検討では、0.80を既定値に置いておけば大きく外さない。詳細設計段階では、メーカーから提出されるポンプP-Q曲線と電動機効率テーブルを使って個別に計算し直す。
タンク容量3倍則の計算根拠
タンク容量 V [L] = 吐出量 Q [L/min] × 3 [min] は、「滞留時間3分」と読み替えられる。つまり油がタンクを1周するのに3分かかる設計にしておけば、気泡が浮き上がり、熱が壁面から逃げる時間が確保できる、という経験則だ。
ケース2(Q=75.40 L/min)で検算すると、V=226.2 L。これはタンクに75.40 L/minの油を入れて227 L溜める計算なので、満タンから空になるまで3分ちょうど。ISO 4413 では2〜5分の幅で許容しているが、国内の産業機械では3分が最も使われている。
圧力マージンの閾値設定
ツール内部では圧力マージンを4段階で評価している。
- 50%以上: 標準機器で十分な余裕あり(safe)
- 20〜50%: 適正範囲(good)
- 0〜20%: マージン僅少・再検討(caution)
- 0%未満: 圧力不足・設定見直し必須(danger)
20%を下限に置いているのは、リリーフ弁の設定圧とシステム設定圧の間に一般に10〜15%の差が必要で、そこに配管圧損と安全余裕を加えた実用値が20%になるからだ。
他ツールとの違い(棲み分け)
このサイトには流体・アクチュエータ系の計算ツールが複数ある。役割が重なりそうに見えて、実は担当領域が違う。迷わないように整理しておく。
- /hydraulic-cylinder — シリンダ単体の推力・速度・座屈を見るツール。「このボアで何トン出せるか」を確かめるのが主目的。パワーユニット側(ポンプ・モーター・タンク)は扱わない。
- /pneumatic-cylinder — エア駆動のシリンダ選定。作動媒体が空気なので推力レンジ・応答性・効率の考え方が油圧とは全く別物。低推力・高速・クリーン環境向け。
- /pump-head-calc — 水ポンプの全揚程を計算するツール。扱う流体は水、対象は遠心ポンプと配管抵抗。油圧の容積ポンプ(ギア・ピストン)とは設計思想が違う。
- 本ツール(hydraulic-power-unit) — シリンダの作動条件を起点に、ポンプ吐出量・油圧動力・電動機kW・タンク容量までを一気通貫で弾く。装置一式のラフ見積りをしたい瞬間にここに来る。
流れとしては「hydraulic-cylinder で推力と内径を詰める → hydraulic-power-unit で駆動源側を決める」の二段構え。逆に空気でいけそうなら pneumatic-cylinder、水循環や冷却配管なら pump-head-calc。用途で機械的に振り分けられるようにした。
豆知識:JIS B 8361・油温管理・作動油
JIS B 8361 と ISO 4413
油圧装置の設計指針は JIS B 8361「油圧システム通則」に集約されている。これは国際規格 ISO 4413(油圧 — 一般規則および機械装置・構成部品の安全要求事項)の翻訳対応版で、配管取り回し、圧力設定、タンク容量、安全装置の要求までを横断的に規定している。タンク容量「吐出量の3倍」という業界の経験則も、この規格系譜の中で放熱・脱泡・沈殿の時間を確保するために示された数字だ。明文で「3倍」と書かれているわけではないが、実務慣行として定着している。
油温管理のシビアさ
作動油の常用温度は 40〜60℃ が目安。70℃を超えると粘度低下で内部漏れが増え、効率が落ちる。さらに80℃を超えると油の酸化劣化が急激に進み、スラッジ・バーニッシュがバルブに堆積して作動不良を起こす。一般に油温が10℃上がると寿命は半分という経験則(アレニウスの法則の応用)が知られている。タンク容量を大きく取るのは、冷却器なしでも熱容量で温度上昇を抑える狙いがある。
作動油の種類
主流は鉱油系(ISO VG32, VG46, VG68)。VG32は低温立ち上がりが良く寒冷地向け、VG46が一般機械の標準、VG68は高温・高負荷向け。食品機械ではNSF H1認証の合成油、建機ではせん断安定性に優れたマルチグレード油、難燃性が要求される鉄鋼プラントでは水グリコール系やリン酸エステル系が使われる。粘度グレードが違うと同じポンプでも容積効率が変わるため、メーカー仕様書は必ず指定粘度を確認したい。参考: JIS K 2213 タービン油、ISO 3448 粘度分類。
Tips:現場で効く小ワザ
- アキュムレータで流量ピークを平滑化する — プレスや射出成型のように短時間だけ大流量が欲しい用途では、蓄圧式アキュムレータを併用するとポンプ容量を1/2〜1/3に縮められる。待機中にポンプがゆっくり蓄圧し、動作瞬間にアキュムレータから放出する仕組み。電動機kWが1ランク下げられればコスト・省エネの両面で効く。
- モーター出力はJIS標準値に切り上げる — 計算値が 25.1kW でも実装は 30kW を選ぶ。JIS C 4210 の標準出力(0.75/1.5/2.2/3.7/5.5/7.5/11/15/18.5/22/30/37/45kW…)に合わせないと入手性・交換性で不利になる。
- タンクは「縦長より横長」が基本 — 同じ容量なら液面が広い方が脱泡・放熱に有利。リターン配管はサクション配管から離して配置し、戻り油のエアがすぐ吸われないようにする。
- 圧力マージンは20%以上確保する — 必要圧力ギリギリの設定だと、配管抵抗やバルブの圧損を吸収できず動作不良になる。本ツールのStatusCardも20%を適正判定のラインにしている。
- 起動時トルクは定常の2〜3倍を見込む — 本ツールは定常動力の概算値を出すが、実機ではインバータやソフトスタータで起動電流を抑えない限り、瞬間的に2〜3倍の電流が流れる。電動機・契約電力の検討では余裕を見たい。
よくある質問
必要流量が想定より大きく出ました。どう下げればいいですか?
動作時間 t を延ばすか、シリンダ内径 D を絞るかの二択になる。流量は Q = A × v、速度は v = L / t なので、同じストロークでも動作時間を2倍にすれば流量は半分。ただしサイクルタイムの要求があるならアキュムレータ併用で平滑化する方法もある。
引き側(ロッド側)動作は計算できますか?
本ツールは押出し側(ヘッド側)のみを対象にしている。引き側はロッド断面積の分だけピストン面積が小さくなるため、同じ圧力でも推力は約70〜80%に落ち、同じ流量なら速度が約1.3倍速くなる。両側同じ条件で使う用途では、まず本ツールで押出し側を決め、引き側は別途 /hydraulic-cylinder で確認してほしい。
タンク容量は本当に吐出量の3倍必要ですか?
「3倍」はJIS B 8361系の実務慣行で、放熱・脱泡・沈殿時間を確保するための目安だ。連続運転で発熱が大きい用途なら3〜5倍、間欠運転で冷却器付きなら1.5〜2倍まで縮められる。省スペース型パワーユニットでは1倍程度の製品もあるが、その場合は油冷クーラーが必須になる。
総合効率 η は何を入れればいいですか?
ポンプ容積効率 × ポンプ機械効率 × 電動機効率 の総合値。ギアポンプ構成で 0.75〜0.85、ピストンポンプだと 0.85〜0.90 程度。不明なら既定値の 0.80 で見積もり、メーカー選定段階で各要素のカタログ値に差し替えるとよい。
25MPaを超える高圧仕様は何に注意すべきですか?
配管・継手・ホース・シール材の耐圧規格が変わる。一般的な SAE 100R2 ホースは21MPaまで、それを超えると R9/R12/R13 の多層スパイラル構造が必要になる。継手も JIS B 8363 の高圧用、マニホールド・バルブも31.5MPa耐圧品に切り替える。本ツールでも25MPa超では警告を出すようにしてある。
このツールの計算は保存されますか?
計算はすべてブラウザ内で完結しており、入力値・結果はサーバーに送信されない。社外秘の装置仕様を入れても外部に残らない設計だ。別端末に引き継ぎたい場合は「結果をコピー」ボタンでテキスト化してメモ等に貼り付けてほしい。
まとめ
油圧パワーユニットは「シリンダ条件 → 流量 → 動力 → タンク」の順に決めれば、若手設計者でも概算までは一気に辿り着ける。本ツールはその導線をワンフォームに押し込んだ。詰めの検討では /hydraulic-cylinder でシリンダ側を、空圧への置き換え検討では /pneumatic-cylinder を、冷却・潤滑の水配管側は /pump-head-calc を併用してほしい。不明点や計算の疑問があればお問い合わせまで。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。社内プレスのリプレース案件で5.5kWと言われた数字の出所が分からず自分で電卓を叩いた経験から作った。ポンプ・モーター・タンクまで一気通貫で出るのが狙い。
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