UGRグレア評価計算

CIE 117式で室内照明の不快グレアUGRを算出。JIS Z 9110用途別許容値と自動照合。

CIE 117式で室内照明のUGR(不快グレア指標)を算出し、JIS Z 9110の用途別許容値と自動照合する。用途とプリセットを選ぶだけで初期検討に使える。

シナリオプリセット

用途(JIS Z 9110)

器具条件

室内条件

概算: 机上面照度×反射率÷π(例: 500lx × ρ0.5 ÷ π ≈ 80 cd/m²)

UGR値17.8上限 19 / 余裕 1.2pt
適合

許容上限(用途別)

19

余裕

1.2 pt

Σ(L²ω/p²)×N

6.75e+4

0.25·ΣT/Lb

168.75

本計算はN個の同一器具を平均値で代表する簡略形。正確な評価にはDIALux/Relux等の配光データ3D計算を推奨する。初期検討・スクリーニング用途として利用してほしい。
不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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天井のLEDパネル、ふと見上げた瞬間に「ウッ」となる

会議室に入って椅子に座り、ホワイトボードを見ようとしたら視界の端で天井のLEDがチカッと刺してくる。オフィスに戻り、ディスプレイ越しに上を向いた瞬間、光源が眼球に残像を焼き付ける。こういう場面、照明設計をやっていると誰もが一度は突き当たる。照度(lx)は基準を満たしているのに、なぜか「まぶしい」「疲れる」「集中できない」という声が現場から上がる。原因はたいていグレア、それも不快グレア(discomfort glare)だ。

UGR(Unified Glare Rating)は、この「まぶしさの不快感」を数値化した国際指標。CIE 117-1995 で統一され、JIS Z 9110 にも取り込まれている。ただ、オフィス照度計算は電卓でもできるのに、UGRだけは DIALux や Relux を立ち上げないと出せない、というギャップがずっと残ってきた。本ツールは CIE 117 の簡略式を使い、器具輝度・個数・立体角・位置指数・背景輝度の5つを入れるだけで UGR を出し、JIS Z 9110 の用途別許容値と自動照合する。初期検討とスクリーニング用途に絞った、ブラウザ完結のグレア計算機だ。

なぜ作ったのか

きっかけは、改修案件で「既存と同じ器具数で LED パネルに入れ替えた」会議室のクレームだった。照度は JIS の 500 lx を満たし、色温度も要望通り 4000K。数値だけ見れば文句なしのはずが、利用者からは「目がチカチカする」「議事録を取ると肩が凝る」と立て続けに報告が上がった。輝度計を持ち込んで測ってみたら、発光面輝度が旧来の Hf 蛍光灯器具の倍以上。原因は器具面の輝度上昇によるグレアだった。

このとき痛感したのが「照度だけでは光環境を語れない」という当たり前の事実と、それを手早く検証できるツールがないという問題だ。DIALux や Relux は高機能だが、器具の IES/LDT ファイルを読み込んで3Dモデルを組むまでの手数が多すぎる。「この器具に変えたら UGR はどう変わる?」という1問1答を10秒で返してくれるツールが欲しかった。

既存のウェブ計算機を漁っても、照度計算(E=Φ×N×U×M/A)はいくらでも見つかるのに、UGR を直接出すものは英語圏にポツポツある程度。しかも JIS Z 9110 の用途別許容値と照合してくれるものはほぼ皆無だった。「簡易でいいから、現場で使える UGR 評価」をコンセプトに、CIE 117 の簡略形(N灯同一近似)に割り切って作ったのが本ツール。精度は DIALux に及ばないが、器具選定の絞り込み・改修前後の比較・クレーム原因の当たりをつけるには十分機能する。

UGR とは何か — 不快グレアを13〜28で表す指標

グレアの2種類:減能グレアと不快グレア

グレアには大きく2種類ある。**減能グレア(disability glare)は眼球に散乱光が入って対象物が見えにくくなる現象で、物理的に視認性が落ちる。夜間の対向車ヘッドライトを思い浮かべれば分かりやすい。もう一つが不快グレア(discomfort glare)**で、見えないわけではないが「まぶしくて不快」「長時間いたくない」という主観的な疲労感を引き起こす。UGR が扱うのは後者だ。

室内照明でまず問題になるのは不快グレアのほう。減能グレアは屋内の一般的な輝度範囲では起きにくく、代わりに「なんとなく疲れる」「頭が痛くなる」といった不快感が積み重なる。これを定量化するために CIE(国際照明委員会)が1995年に統一したのが UGR だ。

CIE 117 UGR 式と13〜28のスケール

UGR は次の式で定義される。

UGR = 8 × log10( (0.25 / Lb) × Σ(L² × ω / p²) )

ここで L は各光源の輝度 [cd/m²]、ω は観測者から見た光源の立体角 [sr]、p は Guth 位置指数(視線からの離れ具合)、Lb は背景輝度 [cd/m²]。視野内の全光源について L²ω/p² を合計し、背景輝度で正規化した対数に係数 8 をかける。係数 8 は主観評価実験から決められたスケーリング定数で、人の「まぶしさの感じ方」が刺激の対数に比例するという Weber-Fechner 則に由来する。

UGR の実用範囲はおおむね 13〜28。13 はほぼグレアを感じない状態、28 は耐え難いまぶしさ。間の各値はそれぞれ「わずかに気になる」「やや不快」「不快」などの心理尺度に対応する。CIE 117 の原典では CIE 117-1995 Discomfort Glare in Interior Lighting に詳しい評価段階表が示されている。

たとえ話:薄曇りの窓と夏の正午の窓

輝度の大小を肌感覚で掴むには、窓から差し込む光を思い浮かべるといい。曇天の昼に見える白い窓はおよそ 3000〜5000 cd/m²、夏の正午の空は 8000〜12000 cd/m²。オフィスの LED パネル器具は拡散カバー付きでだいたい 2000〜5000 cd/m²。つまり「普通の LED 器具」と「曇天の窓」はほぼ同じ輝度帯にいる。しかし窓は大きく立体角 ω が大きい代わりに視線の端にあって位置指数 p が大きい。天井の LED は逆に ω は小さいが頭上にあり p が小さい。UGR 式の L²ω/p² は、この立体角と位置のトレードオフをまるごと1本の数値に畳み込む仕組みだ。

実務での重要性 — VDT作業と法令の要請

UGR は「マナー」ではなく、明確な実務要件だ。日本の事務所衛生基準規則(昭和47年労働省令第43号)は作業面照度の下限を規定し、それを受ける形で JIS Z 9110:2010 がタスク別の推奨照度と許容 UGR を示している。たとえば一般事務所の VDT 作業は 500 lx・UGR≦19、学校教室は 300 lx・UGR≦19、店舗販売エリアは 300 lx・UGR≦22。数値が独り歩きしているわけではなく、長時間 VDT 作業をする空間ほど UGR の上限は厳しく設定される。

UGR 上限を守らないと何が起きるか。厚生労働省が公表している「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」では、照明・採光によるまぶしさ(グレア)の防止が明記されており、眼精疲労・ドライアイ・肩こり・頭痛といった健康障害の温床になる。改修案件では、クレームが出てから輝度計で測り直し、ルーバーを後付けするか器具ごと交換するかという手戻り工事が一番高くつく。初期検討の段階で UGR を確認しておけば、1器具1万円程度のルーバー追加で済むものが、器具総取り替えで数百万円規模に膨れ上がる事態を回避できる。

また労災認定の場面でも「照度は足りていたが UGR が過大だった」ことが健康障害の原因として取り上げられた事例が近年増えている。設計者が UGR を未検討のまま引き渡すのは、現代の設備設計としてはリスクが高い。

活躍する場面

事務所の LED 改修:既存の Hf 蛍光灯から LED パネルへ入れ替える際、同数・同位置で置換すると UGR が跳ね上がることがある。改修前後を比較して遮光角やルーバーの要否を判断する。

学校教室の更新:黒板側に座る児童は天井照明を仰ぐ姿勢になる。教室は UGR≦19 が厳しく、器具選定を誤るとすぐ超過する。更新前のスクリーニングに使う。

工場の高天井照明設計:粗作業は UGR≦25 と緩めだが、精密作業ラインでは UGR≦19 が要求される。同じ工場内でエリアごとに器具タイプを切り替える必要がある。

店舗・ショールーム設計:商品を際立たせる演出照明とグレアの両立は悩ましい。UGR≦22 の範囲で輝度メリハリをつける。

病院・介護施設:ベッドで仰臥する患者は常に天井を見る姿勢。UGR≦19 かつ直視しても不快感のない拡散カバー器具の選定が必須。

基本の使い方

  1. 用途を選ぶ:事務所・教室・工場粗/精密・店舗・病院から該当する用途をタップ。対応する JIS Z 9110 の許容 UGR が自動でセットされる。
  2. 器具条件を入力:器具の発光面輝度 L [cd/m²]、視野内に入る器具数 N、平均立体角 ω [sr]、平均 Guth 位置指数 p を入力する。輝度はメーカー仕様書か「光束 ÷ 発光面積 ÷ π」で算出。立体角は「発光面面積 ÷ 距離²」で概算できる。
  3. 背景輝度を入力:室内平均の壁・机上面輝度 Lb [cd/m²] を入れる。机上面照度 E と室内反射率 ρ から Lb ≒ E×ρ/π で概算。あとは算出された UGR と許容上限の適否を読み取るだけ。

具体的な使用例

ケース1:標準的な事務所(適合)

入力:用途=事務所、L=3000 cd/m²、N=4 灯、ω=0.03 sr、p=4、Lb=100 cd/m² 結果:UGR=17.8、許容上限 19、適合、余裕 +1.2pt 4灯構成の一般的な事務室。輝度 3000 は LED パネルの標準域、位置指数 4 はデスクから天井器具までの典型的な離角。上限 19 に対して 1.2pt の余裕があり、そのまま採用できる配置だ。

ケース2:教室の器具過多(不適合)

入力:用途=学校教室、L=5000 cd/m²、N=8 灯、ω=0.05 sr、p=4、Lb=100 cd/m² 結果:UGR=25.6、許容上限 19、不適合、余裕 −6.6pt 輝度 5000 の強力な LED パネルを8灯入れた構成。明るさは十分だが、UGR が 25.6 と上限 19 を 6.6pt も超過。児童は常に仰視姿勢になるためこの値は致命的。拡散カバーの追加か、灯数を 4〜5 に減らして照度設計を見直す必要がある。

ケース3:工場粗作業(適合)

入力:用途=工場(粗作業)、L=8000 cd/m²、N=10 灯、ω=0.02 sr、p=5、Lb=120 cd/m² 結果:UGR=24.2、許容上限 25、適合、余裕 +0.8pt 輝度 8000 は高天井用の高出力 LED。上限 25 のギリギリを攻めた構成で、余裕は 0.8pt しかない。器具の経年劣化で拡散カバーが黄ばむと輝度分布が変わり超過する恐れがあるので、定期的な再評価を推奨したいラインだ。

ケース4:店舗販売エリア(不適合)

入力:用途=店舗販売エリア、L=4000 cd/m²、N=6 灯、ω=0.04 sr、p=3.5、Lb=90 cd/m² 結果:UGR=23.5、許容上限 22、不適合、余裕 −1.5pt 商品を際立たせたくて器具を多めに入れた店舗。UGR が 23.5 と上限 22 を 1.5pt 超過。p=3.5 と視線に近い位置に器具があるのが主因。レイアウトを変えて通路上から外すか、遮光角の深い器具に変更すると改善できる。

ケース5:病院一般病室(適合)

入力:用途=病院一般病室、L=2000 cd/m²、N=4 灯、ω=0.025 sr、p=4.5、Lb=80 cd/m² 結果:UGR=14.3、許容上限 19、適合、余裕 +4.7pt 拡散カバーで輝度を 2000 に抑えた病室構成。患者が仰臥する環境では非常に良好なレベル。余裕 4.7pt は「ほぼ気にならない」領域で、快適性重視の空間にふさわしい値だ。

ケース6:精密工場ライン(不適合)

入力:用途=工場(精密作業)、L=4500 cd/m²、N=12 灯、ω=0.025 sr、p=4.5、Lb=150 cd/m² 結果:UGR=21.6、許容上限 19、不適合、余裕 −2.6pt 検査作業のために高照度を確保しようと灯数 12 にした構成。背景輝度 150 と高めにしても、器具数が多く灯数増加分が効いて UGR=21.6 まで跳ねた。精密作業の上限 19 を 2.6pt 超過。ルーバー付き器具への変更か、間接照明に一部切り替えて直接グレアを下げる設計変更が必要になる。

ケース7:ケース2 を改善後の事務所(適合)

入力:用途=事務所、L=2500 cd/m²、N=6 灯、ω=0.025 sr、p=4、Lb=120 cd/m² 結果:UGR=16.7、許容上限 19、適合、余裕 +2.3pt 拡散カバー強化で輝度を 2500 に抑え、立体角も 0.025 に縮めた改善後モデル。灯数は 6 に増えているが、L² の効きが支配的なので全体としては UGR が下がる。改修検討時の「Before/After 比較」に典型的なパターンで、輝度を 17% 下げるだけで UGR が約 1.1pt 改善するのが読み取れる。

仕組み・アルゴリズム — CIE 117 式を簡略化してブラウザに載せる

候補手法の比較

UGR を計算する方法は大きく3つある。

(A) CIE 117 厳密式:視野内の全光源1灯ずつ L・ω・p を個別に計算し、総和する方式。DIALux/Relux などの3D計算ソフトがこれを使う。器具配光データ(IES/LDT ファイル)と観測点ジオメトリが必須で、入力データの準備だけで数十分かかる。

(B) N灯同一近似の簡略式:視野内 N 灯を「平均輝度 L̄、平均立体角 ω̄、平均位置指数 p̄」で代表させる方式。本ツール採用。入力項目が5つで済み、手計算でも検証可能。精度は厳密式に対して概ね ±1pt 以内(均等配置の場合)。

(C) UGR テーブル照会方式:器具メーカーが配光データから予め作成した UGR テーブル(室指数×反射率のマトリクス)を参照する方式。簡単だが、テーブルに載っていない室形状では使えない。

ブラウザ完結で、かつメーカー非依存で動かすには (B) しか選択肢がない。精度は DIALux に譲るが、初期検討の絞り込みという用途には十分に噛み合う。

実装の計算フロー

// 入力: L, N, ω, p, Lb
const sumTerm = N * L * L * omega / (p * p);
const inner = (0.25 / Lb) * sumTerm;
const ugrValue = 8 * Math.log10(inner);
const isAcceptable = ugrValue <= appLimit.maxUgr;
const marginPoint = appLimit.maxUgr - ugrValue;

sumTerm は視野内光源の「グレア寄与の総和」、inner は背景輝度で正規化したグレア密度、それに 8×log10 を掛けて UGR になる。背景輝度 Lb が 0 や負値だと log が発散するため、エッジケースとして Lb ≤ 0sumTerm ≤ 0 ではエラーバナーを出すようにしている。

ステップバイステップの計算例(ケース1)

L = 3000 cd/m², N = 4, ω = 0.03 sr, p = 4, Lb = 100 cd/m²

Step 1: sumTerm = 4 × 3000² × 0.03 / 4²
      = 4 × 9,000,000 × 0.03 / 16
      = 1,080,000 / 16
      = 67,500

Step 2: inner = (0.25 / 100) × 67,500
      = 0.0025 × 67,500
      = 168.75

Step 3: UGR = 8 × log10(168.75)
      = 8 × 2.2274
      = 17.82 → 17.8

許容上限 19 と比較し、差分 1.2pt が余裕として表示される。log10 を使うため、輝度や灯数を倍にしても UGR は約 2.4pt しか上がらない非線形な感度を持つ点が特徴。逆に言えば「器具を半減すれば 2.4pt 下がる」という改善効果の目安としても使える式になっている。

Guth 位置指数 p について

p の値は視野上の光源の位置で決まる。真正面(視線上)で 1、視線から上側 15° で約 2.5、30° で約 4、45° で約 6、真上では 10 以上。本ツールは「平均 p」を1つ入れる簡略形なので、器具が視線より上 20〜40° の天井面に均等にある典型配置では p=4 前後が妥当。原典の Guth, S.K. "A Method for the Evaluation of Discomfort Glare" (IES, 1963) に詳細表が載っている。

DIALux・Relux との使い分け — 他ツールとの違い

UGR を厳密に評価したいなら DIALux evo や Relux といった 3D 照明シミュレーションソフトが王道だ。IES/LDT の配光データを読み込み、室内の反射率・家具レイアウト・観察者位置まで考慮して各方向の UGR を面的に出力できる。ただし、扱うには配光ファイルの入手・モデリング・光源ライブラリの登録といった前準備が必要で、ちょっと確認したいだけの場面にはオーバースペックになりがちだ。

このツールが狙うのはその「ちょっと確認したい」の層。器具輝度・視野内の灯数・平均立体角・平均位置指数・背景輝度という 5 項目を入れるだけで、CIE 117 の簡略式で UGR を返す。器具メーカーのカタログに載っている発光面寸法と輝度から立体角を暗算し、その場で JIS Z 9110 の許容値に照らせる。

競合になりそうな Web ツールは、英語圏の研究室ページにある UGR 計算機がほとんどで、日本語で JIS Z 9110 の用途別許容値と自動照合するものは少ない。さらに事務所 19、工場粗作業 25、店舗 22 といった数値を覚えていなくても用途を選ぶだけで判定できる。3D シミュレーションに入る前のスクリーニング、あるいは改修案の良し悪しを打ち合わせ中に口頭確認する道具、と位置づけるのが一番しっくりくる。

豆知識・読み物

UGR 19 という数字の出所

事務所照明で金科玉条のように扱われる「UGR 19 以下」。この値は CIE が 1995 年に発行した CIE 117-1995『Discomfort Glare in Interior Lighting』で規定され、日本では JIS Z 9110:2010 の照明基準総則に取り込まれた。統計的には被験者の「ちょうど不快と感じ始める境界(Borderline Between Comfort and Discomfort, BCD)」付近に相当し、UGR が 3 段階(3 ポイント)上がるごとに「気にならない → 少し気になる → 不快」と体感が一段階変わる、という感覚スケールに対応している。

VCP 時代からの系譜

UGR が普及する前、アメリカでは IES が定めた VCP(Visual Comfort Probability)という指標が使われていた。「この部屋なら何 % の人がグレアを許容できるか」という確率表現で、VCP 70 ≒ UGR 19 とされる。UGR は VCP と同じ BCD の考え方を引き継ぎつつ、対数式にすることで計算を簡略化し、世界共通で使える尺度にした。CIE 117-1995 がその下敷きだ。

Guth 位置指数の「発見」

分子に入る位置指数 p は、1949 年に GE の研究者 Sylvester K. Guth が被験者実験で作成した表が起源だ。視線軸から上下左右にずれた光源について「同じまぶしさに感じるには何倍暗くすればよいか」を測定し、真正面を 1 として外側ほど大きな値になるテーブルを作った。70 年以上前の実験値が今も CIE 式の中に生きている、というのは照明工学のロマンである。

Tips

  • 遮光角 30 度以上を確保する: 器具の下端から水平方向 30 度以内に発光面が見えない設計にすれば、観察者の視野に直接光源が入りにくくなり UGR を 1-3 ポイント下げやすい。ルーバーやバッフル付き器具が有効。
  • 拡散カバーで輝度を 1/3 に: 裸の LED 基板は 30000 cd/m² を超えることもあるが、乳白色の拡散パネルを通すと 3000-5000 cd/m² まで落ちる。UGR は輝度の 2 乗で効くので体感 4-5 ポイントの改善につながる。
  • 背景輝度を上げる: 壁面反射率を 0.5 → 0.7 に上げる、あるいは間接照明を足して平均輝度を底上げすると Lb が増え、UGR は下がる。器具側だけで対処できないときの裏ワザ。
  • 席の向きを変える: 同じ器具でも視線方向を 45 度ずらすと位置指数 p が 2 → 4 に変わり、UGR が 2-3 ポイント改善することがある。レイアウト変更のほうが工事より安い。
  • 配列パターンの見直し: 1 列の通路配光ではなく縦横均等に分散させると、1 灯あたりの立体角寄与が減り、視野内の個別影響が緩和される。

よくある質問

位置指数 p の値はどう概算すればいい?

Guth 位置指数は観察者から見て器具が視線からどれだけ外れているかで決まる。真正面を 1 として、水平 20 度で 2、40 度で 4、60 度で 8、ほぼ天頂付近で 12 前後。事務所の天井直付け器具が観察者の斜め前上方にある場合、4-6 あたりが実用値になる。厳密には CIE 117 の Guth テーブルを参照するが、初期検討なら「席から 2-3m 離れた天井器具 = 4」「頭上直上 = 1.5」「部屋の端の器具 = 6-8」で十分近似できる。

器具の平均立体角 ω はどう見積もる?

立体角 ω は「発光面の面積 / 観察者からの距離の 2 乗」で近似できる(単位は sr)。例えば 600×600 mm の LED パネル(面積 0.36 m²)を 3 m 離れた席から見ると ω ≒ 0.36 / 9 = 0.04 sr。器具が斜めから見える場合は cosθ を掛けて投影面積に補正する。視野内に複数灯あるときは各灯の ω を平均した値を入れる。一般的なオフィスなら 0.01-0.05 sr に収まる。

背景輝度 Lb はどうやって測る?

Lb は観察者視野の平均輝度で、器具の直接光以外の部分(壁・天井・床・家具)の反射成分を表す。実測するなら輝度計で壁面を何点か測って平均するのが一番だが、設計段階では E × ρ / π で近似できる(E: 机上面照度 lx、ρ: 室内平均反射率、π で割ってランベルト面換算)。机上 500 lx・ρ=0.5 なら Lb ≒ 80 cd/m²。オフィスの典型値は 50-150 cd/m² だ。

DIALux や Relux との精度差はどれくらい?

CIE 117 の簡略式(N 灯を平均値で代表する形)は、同じ器具を均等配列した標準的な事務所空間では DIALux の詳細計算と ±1-2 ポイント程度の誤差に収まるとされる。ただし不均一な配列、天井高が極端に高い空間、装飾照明を含む複雑空間では誤差が大きくなる。このツールは初期検討・スクリーニング用で、最終確認は配光データを用いた 3D シミュレーションに任せる、という住み分けが安全だ。

UGR に法的な規制はある?

日本の法令(労働安全衛生法・事務所衛生基準規則)で UGR の上限が直接数値で定められているわけではない。ただし「まぶしさを感じない採光・照明」であることは求められており、実務上は JIS Z 9110:2010 の推奨値(事務所 19、精密作業 16 等)に従うのが一般的だ。公共建築の照明設計基準や大手企業の社内基準では JIS 値をそのまま採用するケースが多い。

プリセットにない用途はどう選べばいい?

JIS Z 9110 では上記以外にも図書館、会議室、ホテル客室など多くの用途が定義されている。近い性格の用途を選ぶのが実用的で、会議室や役員室なら事務所(19)、倉庫なら工場粗作業(25)、商業施設のバックヤードなら店舗(22)あたりが目安になる。迷ったら厳しい側(19)で評価しておけば、後から緩める判断はしやすい。

まとめ

UGR はオフィスや工場の照明設計で避けて通れない指標だが、3D シミュレーションを立ち上げるほどでもない場面は意外と多い。用途別の JIS 値を暗算せずに判定できる簡易ツールとして、打ち合わせ中の一次スクリーニングに使ってほしい。照度計算と合わせて使う場面では /lux-calc/room-lighting を、ディスプレイ側の読みやすさまで考えるなら /contrast-checker も併用すると光環境設計が一気通貫で回せる。気になる点があれば問い合わせから教えてほしい。


不具合や要望があれば、お問い合わせページから気軽に教えて。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。LED改修のクレーム対応で輝度計を担いで現場を走った経験から、UGRを10秒で出せるツールが欲しくて作った。DIALuxを立ち上げる前の一次スクリーニング用に活用してほしい。

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