1.234kΩ を E24 で作る——誤差0%の3本より、−0.065%の2本を1位にする理由
データシートの推奨回路に「R3 = 1.234kΩ」と書いてある。手元の部品箱は E24 系列。こういう場面、回路を組んでいるとけっこうあるよね。
いちばん近い1本は 1.2kΩ で、誤差は −2.76%。±1% の抵抗を使う回路で、最初から3%近くずれた値を置くのは気持ちが悪い。そこで2本、3本と組み合わせることになる。
このツールに 1.234kΩ・E24・3本まで・許容差 ±1% と入れると、1位に出るのは 24kΩ ∥ 1.3kΩ(並列)だ。合成値は 1.2332kΩ で、誤差は −0.0647%。2位は 1.2kΩ + 33Ω の直列で −0.081%。そして3位になってようやく、820Ω + 390Ω + 24Ω という、合成値がぴったり 1.234kΩ になる3本の組が出てくる。
誤差0%の組があるのに、なぜ誤差の残る2本の組を上に置くのか。答えは、抵抗そのものが ±1% でばらつくことにある。0.065% の差は、部品1本のばらつきの1/15ほどしかない。はんだ付けを1箇所増やしてまで追う意味は薄い。
この「誤差0%がいちばん良いとは限らない」という判断を並べ方に組み込んだのが、このツールだ。目標の抵抗値を E6〜E96 の1〜3本の直列・並列・直並列で作る組み合わせを上位20件並べ、許容差での最悪値と、ばらつきの目安を一緒に出す。
なぜ作ったのか——「ちょうど」を探す道具はあっても、「十分」を教える道具が無かった
合成抵抗の計算そのものは易しい。直列なら足し算、並列なら逆数の和。日本語で「合成抵抗 計算」と調べると、筆者が見かけた範囲では、値を入れて合成値を出す順方向の計算機ばかりだった。欲しいのはその逆で、「1.234kΩ にしたい。E24 のどの値をどうつなげばいい?」に答えてくれるものだ。
逆方向の計算を手でやると、こうなる。まず近い1本(1.2kΩ)を決め、足りない 34Ω を直列で足そうとする。E24 に 34Ω は無いので 33Ω にして −0.081%。次に並列で攻めてみる。1.3kΩ に何かを並列にして少し下げる。要るのは約24.3kΩ で、24kΩ なら −0.0647%。ここで気づく。3本まで使っていいなら、ちょうどの組がまだあるかもしれない。820 + 390 + 24 は? 910 + 300 + 24 は? 電卓を叩くうちに30分が過ぎ、しかもそれが全部の候補を見た結果なのかは最後まで分からない。
英語圏には目標値から組み合わせを探すツールがいくつかある。ただ、筆者が触れたものは2本までのものが多く、誤差0%の組を誇らしげに先頭に並べていた。±1% の抵抗を使うのに、0.01% の誤差を追いかけても実物では見分けがつかない。それなのに、3本で0%の組のほうが2本で0.06%の組より「良い答え」に見えてしまう。
だから並べ方に許容差を入れた。誤差が許容差の1/10以下なら「許容差に埋もれる誤差」とみなし、誤差の大小より本数の少なさを優先する。±1% なら0.1%以下は同じ扱い、±0.1% の精密抵抗なら0.01%以下が同じ扱いになる。許容差を変えると1位が入れ替わる。この切り替わりそのものが、このツールのいちばん大事な仕事だ。
もう1つ、組み合わせたあとの精度も一緒に見せたかった。「2本に分ければ誤差が平均されて精度が上がる」という話を聞くことがあるけれど、最悪値で見ると上がらない。ばらつきで見ても、組み方によってはほとんど縮まない。その数字を候補ごとに並べておけば、2本に分けるかどうかを自分で判断できる。
合成抵抗とE系列の基礎——直列・並列の式と、抵抗値が「半端」な理由
合成抵抗 計算の基本式——直列は足し算、並列は逆数の和
抵抗を一列につなぐ(直列)と、電流は全部の抵抗を順に通る。それぞれの抵抗で電圧が落ち、落ちる電圧の合計が全体の電圧になる。だから合成値は単純な和だ。
直列(2本) R = R1 + R2
直列(3本) R = R1 + R2 + R3
抵抗を横に並べる(並列)と、電圧は全部の抵抗に同じだけかかり、電流が分かれて流れる。流れやすさ(抵抗の逆数=コンダクタンス)が足し算になるので、合成値は逆数の和の逆数になる。
並列(2本) R = R1·R2 / (R1 + R2)
並列(3本) R = 1 / (1/R1 + 1/R2 + 1/R3)
並列の合成値は、いちばん小さい1本より必ず小さくなる。同じ値の2本なら半分、3本なら1/3。10kΩ を2本並べれば 5kΩ、15kΩ を3本並べても 5kΩ だ。
たとえるなら、直列は「一本道を延長する」、並列は「車線を増やす」。道を延ばせば通りにくさは足し算で増え、車線を増やせば通りやすさが足し算で増える。
抵抗 直列 並列 組み合わせ——3本で作れる7つの形
1〜3本でできる接続の形は、このツールでは次の7つを扱う。
| 形 | 本数 | 合成値 |
|---|---|---|
| R1 | 1 | R1 |
| R1 + R2 | 2 | 和 |
| R1 ∥ R2 | 2 | R1·R2/(R1+R2) |
| R1 + R2 + R3 | 3 | 和 |
| R1 ∥ R2 ∥ R3 | 3 | 1/(1/R1+1/R2+1/R3) |
| R1 + (R2 ∥ R3) | 3 | R1 + R2·R3/(R2+R3) |
| R1 ∥ (R2 + R3) | 3 | R1·(R2+R3)/(R1+R2+R3) |
下の2つが直並列の混在だ。たとえば 1.2kΩ + (68Ω ∥ 68Ω) は、68Ω の2本並列で 34Ω を作ってから 1.2kΩ に足すので、ちょうど 1.234kΩ になる。逆に R1 ∥ (R2 + R3) は、2本を直列にして作った値を、もう1本と並列にする形だ。
7つの形には共通の性質がある。どの抵抗の値を増やしても合成値は増える(単調増加)。そして、全部の抵抗を同じ倍率 k 倍すると、合成値もちょうど k 倍になる。数学でいう1次同次だ。この2つの性質が、あとで出てくる最悪値の計算と探索の速さを支えている。
E24 系列 とは——1桁を等比で分けた「標準数」
抵抗器の値は、1.0・1.2・1.5・1.8・2.2・2.7……と半端な数が並ぶ。これは国際規格 IEC 60063(日本では JIS C 5063)が定めるE系列(標準数列)で、1から10までの1桁を、隣どうしの比が一定になるように n 個に分けたものだ。E24 なら24個に分けるので、隣どうしの比はおおよそ次のとおり。
E24 の隣どうしの比 ≒ 10^(1/24) ≒ 1.101 (約10.1% 刻み)
E96 の隣どうしの比 ≒ 10^(1/96) ≒ 1.024 (約2.43% 刻み)
等差ではなく等比で分けるのには理由がある。抵抗の誤差は「±5%」のように比率で決まる。10Ω に対する 1Ω と、10kΩ に対する 1Ω では重みがまるで違うので、値の間隔も比率で揃えたほうが無駄が無い。
| 系列 | 1桁の値の数 | 隣どうしの比 | 対応する許容差 |
|---|---|---|---|
| E6 | 6 | 約1.468(46.8%刻み) | ±20% |
| E12 | 12 | 約1.211(21.2%刻み) | ±10% |
| E24 | 24 | 約1.101(10.1%刻み) | ±5% |
| E48 | 48 | 約1.049(4.91%刻み) | ±2% |
| E96 | 96 | 約1.024(2.43%刻み) | ±1% |
許容差の列を見ると、刻みの約半分になっている。E24 の 4.7kΩ ±5% は 4.465〜4.935kΩ、隣の 5.1kΩ ±5% は 4.845〜5.355kΩ。隣どうしの範囲が少し重なって、おおむね隙間なく並ぶ。製造した抵抗がどの値になっても、たいていはどれかの公称値の許容範囲に入る。作った抵抗を捨てずに済むように、刻みと許容差が組で決められているわけだ(対応する許容差は Wikipedia「E series of preferred numbers」 の値の一覧による)。
定規でいえば、E24 は1cm刻み、E96 は2.4mm刻みの目盛りのようなもの。1.234 という位置に目盛りが無いとき、1本の抵抗では一番近い目盛りに丸めるしかない。2本・3本を組み合わせるのは、目盛りと目盛りの間を足し算・割り算で埋める作業になる。
なお E48・E96 は 10^(n/96) などを有効3桁に丸めた値と全部一致するが、E24 には式と合わない値が8つある。式どおりなら 2.6・2.9・3.2・3.5・3.8・4.2・4.6・8.3 になるところが、実際の値は 2.7・3.0・3.3・3.6・3.9・4.3・4.7・8.2 だ。このツールは式で値を作らず、規格の値の表をそのまま持っている。
許容差の意味——公称値は「真ん中」にすぎない
抵抗器に書かれた 1.2kΩ は公称値で、実物は許容差の範囲のどこかにある。±1% なら 1.188〜1.212kΩ。だから、組み合わせの誤差を0.01%まで詰めても、実物の抵抗値はその100倍の幅で揺れている。このツールが許容差を入力に取るのはそのためで、誤差の目安(許容差の1/10)、最悪値、ばらつきの3つはすべて許容差から計算している。
抵抗値のずれが効く場面——組み合わせても最悪値は1本と同じ
分圧・帰還抵抗では、抵抗値のずれが出力電圧のずれになる
抵抗値がそのまま回路の性能になる場面は多い。代表は電源の帰還抵抗だ。降圧型DC-DCコンバータの出力電圧は、基準電圧 Vref と2本の抵抗の比で決まる。
Vout = Vref × (1 + R1 / R2)
例: Vref = 0.8V、R2 = 10kΩ、Vout = 3.3V にしたい
→ R1 = 31.25kΩ(E24 に無い)
R1 = 30kΩ にすると Vout = 3.2V(−3.03%)
R1 = 33kΩ にすると Vout = 3.44V(+4.24%)
3.3V 系のマイコンやセンサーは、動作電圧の幅が ±10% 前後に決められていることが多い。1本で丸めた時点でその幅の1/3〜半分近くを使ってしまい、そこに抵抗の許容差と基準電圧の誤差が上乗せされる。オペアンプの利得(1 + Rf/Rg や −Rf/Rin)も、電流検出の抵抗も同じ構造で、抵抗値のずれはそのまま出力のずれになる。
最悪値の%は、何本組んでも1本の許容差と同じ
ここで誤解しやすいのが「2本に分ければ精度が上がる」という考えだ。上で触れたとおり、7つの形はどれも1次同次で、どの抵抗についても単調増加だ。だから全部の抵抗が下限(×0.99)にそろえば合成値も ×0.99、上限にそろえば ×1.01 になる。最悪値の幅は、何本組んでも1本の許容差 ±1% のままで、狭くも広くもならない。
1.234kΩ の1位、24kΩ ∥ 1.3kΩ の最悪値は −1.06〜+0.935%。幅はちょうど2%で、中心が誤差の −0.0647% だけずれている。精度が本当に要るなら、組み合わせに頼るより許容差の小さい抵抗を選ぶのが筋だ。
なお、2本の比で決まる量(上の帰還抵抗や利得)は別で、R1 が +1%・R2 が −1% に振れると比は 1.01/0.99 ≒ 1.0202、つまり約 +2.02% ずれる。組み合わせで作った1本の抵抗は、その比の片側を担う1本として扱えばよい。
ばらつきは縮むことも、ほとんど縮まないこともある
最悪値は「全部の抵抗が同じ向きの端にそろう」という最も運の悪い場合だ。各抵抗の誤差が独立にばらつくなら、平均的にはもっと小さい。その目安が二乗和(RSS)で、このツールは「許容差の何倍か」で示す。
- 10kΩ ∥ 10kΩ(同じ値2本): 0.707倍。2本の誤差が打ち消し合う余地が最も大きい
- 24kΩ ∥ 1.3kΩ: 0.950倍。合成値のほとんどを 1.3kΩ が決めている
- 1.2kΩ + 33Ω(直列だけで探したときの1位): 0.974倍。33Ω は 1.2kΩ の3%足らずなので、ばらつきはほぼ 1.2kΩ 1本ぶん
つまり「大きい1本+微調整の小さい1本」は、誤差を目標に寄せる効果はあっても、ばらつきを減らす効果はほとんど無い。しかも同じロットの抵抗は誤差の向きがそろいやすく、独立の前提そのものが崩れることもある。二乗和はあくまで目安だ。
本数が増えるほど、基板と信頼性のコストが増える
3本の組は、部品が3つ、はんだ付けが6箇所、部品表の行が最大3つ増える。チップ抵抗なら面積も増え、量産では部品点数がそのまま実装コストになる。はんだ不良や割れの起点も本数に比例して増える。誤差が許容差に埋もれるなら、本数は少ないほうがいい。このツールが本数の少なさを2番目の並べ替えの基準にしているのは、この実務上の感覚をそのまま数式にしたものだ。
こんなときに頼れる——データシートの値、切りのよい値、手持ちのキット
データシートが E96 の値を指定しているのに、手元は E24 しか無い。 47.5kΩ・1.234kΩ のような有効3桁の値は、精密な帰還抵抗やフィルタの定数でよく見かける。E96 の部品を取り寄せる前に、E24 の2本で十分近いものが作れないかを確かめる場面。
E系列に無い「切りのよい値」が要る。 5kΩ、25MΩ、0.25Ω のような値は計算上は自然でも、E系列には無い。分圧比をきれいな数にしたいとき、高電圧の分圧で数十MΩが要るとき、電流検出のシャント抵抗を手持ちの低抵抗で作るときに出番がある。
試作で、手持ちの抵抗キットしか無い。 100Ω・1kΩ・10kΩ……と10数種類の値が入ったキットで、15kΩ のようにキットに無い値を作りたい。部品を注文して待つより、手元の値の並列・直列で済ませたい場面だ。キットのように同じ値を何本でも使える場合と、ジャンク箱のように各値が1本ずつしか無い場合を分けて探せる。
部品の調達先が限られている。 量産で使える抵抗が社内の標準部品表に載った値だけ、という制約は珍しくない。その一覧を手持ちの欄に入れれば、標準部品だけで目標値を作る組み合わせを探せる。
基本の使い方——合成抵抗を目標値から探す3ステップ
① 探し方を選ぶ。 「E系列から」はE系列の全部の値から探す。「手持ちの抵抗」は入力した値だけから探す。
② 目標値と条件を入れる。 目標の抵抗値を数値で入れ、単位を Ω・kΩ・MΩ から選ぶ。0.1Ω〜100MΩ まで扱える。E系列から探すなら系列(E6〜E96)と探す範囲の下限・上限を、手持ちから探すなら値の一覧を入れる。手持ちの欄はカンマや空白で区切り、4.7k・4k7・2R2・R47・1M5・470Ω のような書き方が使える。メガは大文字の M で書く(小文字の m はミリと紛らわしいので受け付けない)。「同じ値を何本でも使える」をオフにすると、書いた本数までしか使わない。10kΩ を2本持っているなら 10k を2回書けばいい。最後に本数の上限(1〜3本)、使う接続の種類(直列・並列・直並列の混在)、使う抵抗の許容差を選ぶ。
③ 1位と候補一覧を読む。 1位の合成値と判定(ちょうど・誤差は小・許容差内・許容差超)が表示され、その下に1位の組み合わせ・誤差・許容差での最悪値・ばらつきの目安・いちばん近い1本・探した値の数が並ぶ。1位の接続の形は回路図で描かれる。その下に上位20件の候補が、組み合わせ・合成値・誤差・最悪値・本数とともに並ぶ。1位が気に入らなければ、手持ちの値や配置のしやすさで2位以下から選べばいい。結果はテキストでコピーできる。
抵抗の組み合わせ計算の使用例——9つのケースで並べ方と精度を確かめる
ケース1: 1.234kΩ を E24・±1% で(既定の条件)
入力: 目標 1.234kΩ、E24、範囲 1Ω〜10MΩ、3本まで、全接続、±1%
結果: 1位 24kΩ ∥ 1.3kΩ、合成 1.2332kΩ、誤差 −0.0647%、最悪値 −1.06〜+0.935%、ばらつきは許容差の0.950倍。2位 1.2kΩ + 33Ω(−0.081%)、3位 820Ω + 390Ω + 24Ω(ちょうど)、4位 910Ω + 300Ω + 24Ω(ちょうど)。いちばん近い1本は 1.2kΩ(−2.76%)。
解釈: 誤差の目安は許容差の1/10=0.1%。上位2つはどちらも0.1%以内なので、ちょうどの3本の組より本数の少なさが優先される。2本で −0.0647% なら、±1% の部品を使う限り実物ではちょうどの組と区別がつかない。本数の上限を2本にしても、1位と2位は同じ組のまま変わらない。
ケース2: 同じ 1.234kΩ を ±0.5% で
入力: ケース1と同じで、許容差だけ ±0.5%
結果: 1位 820Ω + 390Ω + 24Ω(ちょうど・3本)、最悪値 −0.5〜+0.5%、ばらつきは0.736倍。上位5件は 910Ω + 300Ω + 24Ω、1.1kΩ + 91Ω + 43Ω、1.1kΩ + 110Ω + 24Ω、1.2kΩ + (68Ω ∥ 68Ω) と、すべて3本のちょうどの組になる。
解釈: 誤差の目安が0.05%に縮み、24kΩ ∥ 1.3kΩ の −0.0647% は「許容差に埋もれる」と言えなくなった。だから本数より誤差が優先され、1位が2本から3本に入れ替わる。入力は許容差1つしか変えていない。良い部品を使うほど、組み合わせの誤差も詰める価値が出てくる。
ケース3: データシートの 47.5kΩ を E24 で
入力: 目標 47.5kΩ、E24、1Ω〜10MΩ、3本まで、±1%
結果: 1位 47kΩ + 510Ω、合成 47.51kΩ、誤差 +0.0211%、最悪値 −0.979〜+1.02%、ばらつき0.989倍。2位 47kΩ + 470Ω(−0.0632%)、3位 10kΩ + (75kΩ ∥ 75kΩ)(ちょうど)。いちばん近い1本は 47kΩ(−1.05%)。
解釈: 47kΩ 1本だと −1.05% で、それだけで ±1% の許容差を食い尽くす。510Ω を1本足せば誤差は +0.0211% になる。ただしばらつきは0.989倍で、精度はほぼ 47kΩ 1本のまま。許容差を ±2% にしても1位は同じ 47kΩ + 510Ω だ。なお E96 にすると 47.5kΩ は1本でちょうどある。E96 の部品が手に入るなら、それがいちばん素直だ。
ケース4: 切りのよい 5kΩ を E12・±5% で
入力: 目標 5kΩ、E12、1Ω〜10MΩ、3本まで、±5%
結果: 1位 10kΩ ∥ 10kΩ(ちょうど)、最悪値 −5〜+5%、ばらつき 0.707倍。2位 47kΩ ∥ 5.6kΩ(+0.076%)、3位 15kΩ ∥ 15kΩ ∥ 15kΩ(ちょうど)。いちばん近い1本は 4.7kΩ(−6%)。
解釈: 1本だと −6% で、±5% の許容差を超える。同じ値2本の並列は誤差0で、ばらつきも1/√2 に縮む、いちばん素直な組だ。同じ 5kΩ を E24・±1% で探しても1位は 10kΩ ∥ 10kΩ で、2位以下に 3kΩ + 2kΩ、15kΩ ∥ 7.5kΩ と、2本のちょうどの組が並ぶ。E24 のいちばん近い1本は 5.1kΩ(+2%)だ。
ケース5: 抵抗キット12種で 15kΩ
入力: 手持ち 100, 220, 330, 470, 1k, 2.2k, 3.3k, 4.7k, 10k, 22k, 47k, 100k(同じ値を何本でも使える)、目標 15kΩ、3本まで、±5%
結果: 1位 47kΩ ∥ 22kΩ、合成 14.9855kΩ、誤差 −0.0966%、最悪値 −5.09〜+4.90%、ばらつき0.752倍。2位 10kΩ + (10kΩ ∥ 10kΩ)(ちょうど・3本)、3位 22kΩ ∥ (47kΩ + 100Ω)(−0.0289%)。いちばん近い1本は 10kΩ(−33.3%)。
解釈: キットの中で 15kΩ にいちばん近い1本は 10kΩ で、3割もずれる。それでも2本の並列で −0.0966% まで寄せられる。±5% の目安は0.5%なので、ちょうどになる3本の組より2本が先に来る。
ケース6: 1.234kΩ を E96・±0.1% で
入力: 目標 1.234kΩ、E96、1Ω〜10MΩ、3本まで、±0.1%
結果: 1位 698Ω + 536Ω(ちょうど・2本)、最悪値 −0.1〜+0.1%、ばらつき0.713倍。2位 255kΩ ∥ 1.24kΩ(−0.0000506%)、3位 24.3kΩ ∥ 1.3kΩ(−0.00127%)。いちばん近い1本は 1.24kΩ(+0.486%)。
解釈: 誤差の目安は0.01%まで縮む。それでも E96 は値が細かいので、2本でちょうどの組が見つかる。2位の誤差は1万分の1%(0.0001%)にも満たず、実物では1位と区別できない。並べ方の最後の決め手は「誤差がより小さい」ほうになる。E96 の1本で済ませると +0.486% で、±0.1% の精密抵抗の性能を活かせない。
ケース7: ジャンク箱の各1本で 5kΩ
入力: 手持ち 10k, 10k, 22k(各1本ずつ)、目標 5kΩ、3本まで、±5%
結果: 1位 10kΩ ∥ 10kΩ(ちょうど)。
入力(続き): 手持ちを 10k, 22k, 47k, 4.7k, 1k(各1本ずつ。10kΩ は1本だけ)に変える
結果: 1位 47kΩ ∥ (4.7kΩ + 1kΩ)、合成 5.08349kΩ、誤差 +1.67%(許容差内)、最悪値 −3.41〜+6.75%、ばらつき0.760倍。2位 1kΩ + (22kΩ ∥ 4.7kΩ)(−2.55%)。いちばん近い1本は 4.7kΩ(−6%)。
解釈: 10kΩ が2本あればちょうど作れるのに、1本しか無いと直並列の3本でも +1.67% までしか寄らない。誤差は許容差内でも、最悪値の上側は +6.75% と5%を超える。最悪値を見ずに1位を採ると、この上振れを見落とす。
ケース8: 0.25Ω のシャント抵抗を E24 で
入力: 目標 0.25Ω、E24、範囲 0.1Ω〜10MΩ、3本まで、±1%
結果: 1位 0.13Ω + 0.12Ω(ちょうど)、ばらつき0.708倍。2位 0.15Ω + 0.1Ω、3位 1.5Ω ∥ 0.3Ω(どちらもちょうど)。いちばん近い1本は 0.24Ω(−4%)。
解釈: 範囲の下限を既定の1Ωのままにすると、3本並列でも 1Ω の1/3=0.333Ω より小さい値は作れない。小さい値は範囲の下限を下げてから探す。なお1Ω未満では配線やはんだの抵抗が無視できなくなるので、合成値どおりにならないことは頭に置いておきたい。
ケース9: 高電圧の分圧に 25MΩ
入力: 目標 25MΩ、E24、範囲 1Ω〜10MΩ、3本まで、±1%
結果: 1位 9.1MΩ + 9.1MΩ + 6.8MΩ(ちょうど・3本)、ばらつき0.582倍。2本で最良の 10MΩ + 10MΩ は −20%。いちばん近い1本は 10MΩ(−60%)。
入力(続き): 範囲の上限を 100MΩ に上げる
結果: 1位 13MΩ + 12MΩ(ちょうど・2本)。いちばん近い1本は 24MΩ(−4%)。
解釈: 探す範囲の上限が10MΩだと、2本では最大20MΩにしかならず、3本の直列が要る。範囲を広げれば2本で済む。逆に、手元に10MΩより大きい抵抗が無いなら、3本の組が現実的な答えになる。範囲は「手に入る値の範囲」に合わせて決めるといい。
仕組み・アルゴリズム——総当たりの順位を、総当たりせずに出す
候補手法の比較——全部作って並べるか、最後の1本を二分探索するか
いちばん素朴な方法は、全部の組を作って誤差で並べる総当たりだ。ただ数が多い。E24・1Ω〜10MΩ は169値で、7つの形の組(順番の入れ替えを除く)は約652万通り。E96・0.1Ω〜100MΩ(865値)なら約8.65億通りになり、入力のたびに作り直すには重すぎる。
一方、2本の組なら式で逆算できる。目標 T を作るのに 1.3kΩ と並列にする相手は R2 = T·R1/(R1 − T) で、1234 × 1300 / 66 ≒ 24,306Ω。E24 ではこの両側の 24kΩ と 27kΩ を見ればいい。ところが3本や直並列の混在では、未知数が2つ以上になって解が1つに決まらない。
そこで両者を組み合わせた。最後の1本を除く値(prefix)は総当たりし、最後の1本だけを二分探索で決める。7つの形はどれも最後の1本について単調増加なので、目標に要る値の位置を値の一覧の中で二分探索できる。その位置から上側・下側へ外向きに候補を拾うと、誤差は各側で単調に増えていく。20番目の候補より悪くなった側で打ち切っても、取りこぼしは出ない。
重複の数え方と枝刈り
直列・並列は順番を入れ替えても同じ回路なので、R1 ≦ R2 ≦ R3 の昇順の組だけを数える。R1 + (R2 ∥ R3) と R1 ∥ (R2 + R3) は R1 だけ役割が違うので、R1 は全部の値を、括弧の中の2本だけ昇順で数える。
prefix ごとに、最後の1本を最小・最大にした合成値の誤差だけを先に見て、20番目に届かない prefix はまるごと飛ばす。さらに、上位20件が「誤差が許容差の1/10以下の2本以下の組」で埋まったら、3本の形は誤差0でも割り込めないので探索ごと省く。総当たり版と高速版で上位20件の並びが一致することは、ランダムな110条件で確かめた。ツールの計算エンジンそのものでも、最も重い E96・0.1Ω〜100MΩ・±0.1% で約130ms、既定の E24・1Ω〜10MΩ ではほぼ一瞬で終わる。
並べ方——誤差を許容差の1/10で切り上げる
並べ替えのキーは次の順に比べる。
key1 = max(|誤差|, 許容差 / 10) ← 許容差に埋もれる誤差は同じ扱い
→ 本数の少ない順
→ |誤差| の小さい順
→ ばらつき(rssFactor)の小さい順
→ 形の順(1本, 直列2, 並列2, 直列3, 並列3, R1+(R2∥R3), R1∥(R2+R3))
→ 値の並びの辞書順(最後に一意に決める)
最悪値は、基礎の節で触れた1次同次の性質から、全部を下限にした組と全部を上限にした組の2通りだけで決まる。
最悪値(下側)= (R × (1 − tol/100) / T − 1) × 100
最悪値(上側)= (R × (1 + tol/100) / T − 1) × 100
ばらつきは、各抵抗の感度 s_i = (R_i/R)(∂R/∂R_i) の二乗和の平方根で出す。1次同次なのでオイラーの同次関数定理から Σs_i = 1 になり、1本なら1、同じ値2本なら 1/√2 になる。直列なら s_i = R_i/R、並列なら s_i = R/R_i だ。
ばらつきの目安 = 許容差 × √(Σ s_i²)
計算例——1.234kΩ の1位を手で追う
ケース1の 24kΩ ∥ 1.3kΩ(目標 T = 1234Ω、±1%)を追ってみる。
合成値 R = 24000 × 1300 / (24000 + 1300)
= 31,200,000 / 25,300 ≒ 1233.20Ω
誤差 (1233.20 / 1234 − 1) × 100 ≒ −0.0647%
key1 max(0.0647, 1/10) = 0.1
感度 s1 = R / 24000 ≒ 0.0514
s2 = R / 1300 ≒ 0.9486 (和は1)
rss √(0.0514² + 0.9486²) ≒ 0.950
最悪値 (1233.20 × 0.99 / 1234 − 1) × 100 ≒ −1.06%
(1233.20 × 1.01 / 1234 − 1) × 100 ≒ +0.935%
ちょうどの 820Ω + 390Ω + 24Ω は誤差0だが、key1 は max(0, 0.1) = 0.1 で同じになる。次の基準の本数で2本 < 3本となり、24kΩ ∥ 1.3kΩ が上に来る。2位の 1.2kΩ + 33Ω も key1 = 0.1・2本で同点だが、|誤差| が 0.081% > 0.0647% なので1位には届かない。許容差を ±0.5% にすると key1 の下限が0.05に下がり、0.0647 > 0.05 になって3本のちょうどの組が逆転する。ケース2の入れ替わりは、この1行の比較で起きている。
合成抵抗の計算機・海外の組み合わせ探索ツールとの違い
冒頭の「なぜ作ったのか」で触れたとおり、日本語で見つかる合成抵抗のツールは、値を入れて合成値を出す順方向の計算が中心だ。このツールは向きが逆で、目標の値から組み合わせを探しにいく。そのうえで、探索ツールどうしで比べたときの違いを事実で並べるとこうなる。
- 組み方の数: 1本・2本直列・2本並列・3本直列・3本並列に、R1 + (R2 ∥ R3) と R1 ∥ (R2 + R3) の直並列2つを加えた7つの形を総当たりする(冒頭で触れた2本までの探索ツールとの違い)
- 並べ方: 許容差の1/10以下の誤差を同じ扱いにして本数の少ない組を先に出すので、選んだ許容差によって順位が変わる
- 1位の読み方: 合成値と誤差だけでなく、許容差での最悪値の範囲、各抵抗の誤差が独立なときのばらつきの目安、比較用のいちばん近い1本を並べ、1位の接続の形を回路図で描く
- 手持ちモード: 部品箱にある値だけで探せる。
4k7や2R2のような部品表の書き方がそのまま入る
関連ツールとは、受け持つ範囲を分けている。カラーコードの帯から値を読む、値から帯の色を出す、いちばん近い E12・E24・E96 の1本を知る、までは抵抗カラーコード双方向変換の仕事で、1本で足りないと分かった先がこのツールになる。組み合わせで作った値を R1・R2 に入れて、出力電圧や負荷をつないだときの電圧降下を確かめるのは分圧・分流計算ツール。LED の電流制限抵抗と定格電力の目安は LED回路設計アシスタントが出す(このツールは電力を見ていない)。RCフィルタ設計シミュレータと555タイマー回路設計ツールは計算した抵抗を E24 のいちばん近い1本に丸めて示すので、その丸めの誤差が気になったときにここで2〜3本の組へ置き換える。オペアンプ回路計算機は目標の利得から帰還抵抗を逆算するが、逆算値はたいてい E系列に乗らない半端な値になるので、それを目標に入れて探すのが自然な流れだ。
E系列とカラーコードの昔話(4.7kΩ はなぜ 4.6kΩ でないのか)
1948年のストックホルムで決まった「12乗根」
IEC の無線通信の専門委員会(TC12)が、抵抗とコンデンサの標準数を国際標準化の急ぎの課題に挙げたのは1948年のストックホルム会議だった。委員会は本当なら ISO の標準数と同じ10乗根の系列(ルナール数)にしたかったが、いくつかの国ではすでに許容差 ±5・10・20% に合わせた12乗根の系列が商慣行になっていて、いまさら変えられなかった。委員会は「ISO のやり方と揃わないのは残念」と書き残したうえで12乗根を採り、E6・E12・E24 の案が1950年のパリ会議で承認され、1952年に IEC Publication 63(IEC 63)として出た。E48・E96 は1957年に英国から提案され、1962年に発行が決まって1963年の第2版に収められている。現行は IEC 60063:2015 で、日本の JIS C 5063 がこれに対応する。
4.7 と 3.3 は「規格より古い値」
E24 に式どおりに丸めると合わない値が8つあることは基礎の節で見たとおり。理由は数学ではなく歴史にある。20世紀前半の部品メーカーはすでにそれぞれの値で抵抗を作って売っていて、規格を作る側は「歴史的な値をいまさら変えるのは現実的でない」と判断した。4.7kΩ が 4.6kΩ にならなかったのは、式の美しさより棚の在庫と図面の都合が勝った結果といえる。さらにさかのぼると、1943年の無線技術者向けハンドブックには比較用に「旧標準の抵抗値」が載っていて、50・75・250・500 のような十進の切りのよい値が並んでいる。等比の系列に切り替わる前は、抵抗値も人間が数えやすい数で作られていた。
カラーコードも1952年生まれ
抵抗の色帯は1930年ごろからラジオメーカーの間で広まり、許容差の帯を含む帯の並べ方は1941年までに米国の RMA(無線製造業者協会)の標準になった。IEC がこれをもとに IEC 62 を出したのが1952年で、E系列の IEC 63 と同じ年、番号まで隣どうしだ(現行は IEC 60062)。色は黒の0から始まり、茶1・赤2・橙3・黄4・緑5・青6・紫7と虹の順に進んで、灰8・白9で終わる。日本では「黒い礼服(0)」「赤いニンジン(2)」のような語呂合わせで覚えた人も多いはずだ。帯が3本しかない古い抵抗は許容差の帯が無く、±20% として扱うのが通例になっている。
抵抗キットが 10・22・47 に偏る理由
基礎の節で見たとおり、E系列の刻みは許容差と組で決まっている。±20% の抵抗が当たり前だった時代なら、1桁に6種類そろえておけば、どんな値の部品が届いてもどれかの公称値の範囲に収まった。安い抵抗キットが 100・220・330・470 といった E6 の値に偏りがちなのは、少ない種類で桁全体をざっくり覆えるからだ。このツールのプリセット「手持ちキットで15kΩ」の12種も、100Ω〜100kΩ の E6 の値から選んだ並びだ。
E96 の先にある E192
1桁に192値を持つ E192 もあり、±0.5%・±0.25%・±0.1% の精密抵抗に使われる。E48 と E96 は式どおりの値なのに、E192 には1つだけ例外があって、式なら 9.19 になるところが公式値は 9.20 だ。逆向きの話もあり、E24 の値には E48・E96・E192 に無いものが多いので、±1% 以下の精度でも E24 の値を作っているメーカーがあり、データシートには「E96 + E24」のように併記される。±1% の E24 という組み合わせは、カタログの上でもちゃんと存在する。
参考: E series of preferred numbers(Wikipedia 英語版)/Electronic color code(Wikipedia 英語版)/Vishay「E-Series Values」
抵抗の組み合わせを手早く決める4つのコツ
- 許容差の欄は、手元の抵抗の最後の帯で決める: 4本帯で金なら ±5%、5本帯で茶なら ±1% が目安。ここを実物と違う値にすると、並べ方の基準も最悪値の範囲も実物からずれる。帯の色に自信が無ければ、先にカラーコードの変換ツールで確かめておくといい
- 探す範囲は部品箱に合わせて狭める: 3.3kΩ を E12 で探すと、1位は3.3kΩ の1本(ちょうど)だが、候補一覧の3位・4位には 3.3kΩ + 1Ω や 10MΩ ∥ 3.3kΩ のような「付け足しても意味の薄い組」が並ぶ。1Ω や 10MΩ を持っていないなら、範囲の下限・上限を手持ちの最小・最大に寄せれば、使えない組が一覧から消える
- 手持ちで足りないときは、足す1本を E系列モードで探す: 手持ちモードで誤差が大きいまま終わったら、同じ目標を E系列モードでも探し、上位の組に出てくる値のうち手持ちに無いものを1本だけ買い足す。使用例にある「10kΩ が1本しか無いと3本の組になる」ケースのように、1本の有無で本数も誤差も変わる
- 電力は、直列なら大きい値に、並列なら小さい値に集まる: このツールは電力を見ていない。直列の「大きい1本+小さい1本」なら電流は共通なので電力のほとんどは大きい方が受け持ち、並列の「大きい値を足して下げる」組なら電圧が共通なので小さい方に電流が集まる。定格電力を選ぶのは、その主役の1本だけ気にすればたいてい足りる
抵抗の組み合わせ探索 よくある質問
Q: 誤差0%(ちょうど)の組が1位にならないのはなぜ? ちょうどの組を先に見たい
並べ方の理由は、上の「仕組み」の節で説明したとおり、許容差の1/10以下の誤差は実物のばらつきに埋もれるので本数を優先しているからだ。ちょうどの組が消えたわけではなく、使用例のケース1のように候補一覧のすぐ下に並んでいる。誤差を優先して並べたいときは、許容差の欄を小さい値にすればいい。±0.1% を選ぶと本数を優先する目安が 0.01% まで縮み、ほぼ誤差の順に並ぶ。
Q: 手持ちの欄には、どんな書き方が通る?
基本の使い方で挙げた書き方(4k7・2R2 など)のほかに、区切りはカンマ・読点・セミコロン・空白のどれでもよく、日本語入力のまま全角で打った数字や「Ω」「ohm」の付いた値も通る。部品表の列をそのまま貼り付けても読めることが多い。読めない語があると、その語を名指ししたエラーが出るので、どこを直せばいいかはすぐ分かる。R47 のように R で始まる書き方は 0.47Ω と読む。
Q: 手持ちモードで、同じ値を2回書くのはどういうとき?
「同じ値を何本でも使える」をオフにしたときだけ意味がある。オフでは書いた回数がそのまま持っている本数になるので、10kΩ を2本持っているなら2回書く。手持ちの合計が本数の上限より少ないと、上限を下げて探した旨が表示される。たとえば 10k と 4.7k を1回ずつ書いて 3.2kΩ を上限3本で探すと、上限を2本に下げて探し、1位は 10kΩ ∥ 4.7kΩ(−0.085%)になる。キットのように同じ値を何本も持っているならオンのままでよく、1回書けば足りる。
Q: 「◯◯より小さい(大きい)値は作れない」というエラーが出た
E系列モードでは、選んだ探す範囲と本数の上限で作れる合成値の幅が決まっていて、目標がその外にあるとエラーになる。メッセージには作れる範囲が書かれるので、小さすぎるなら範囲の下限を下げる、大きすぎるなら上限を上げるか本数の上限を増やす。手持ちモードではこのエラーは出ず、手持ちの範囲でいちばん近い組を出す。その組の誤差が許容差を超えていれば、そのことも併せて表示される。
Q: 組んだ抵抗をテスターで測ると、合成値と少し違う
合成値は抵抗の公称値だけで計算していて、配線・はんだ・テスターのリード線の抵抗は含んでいない。抵抗値が大きければ気にならないが、1Ω を切る値を並列で作ったときは、これらの寄生抵抗が無視できない割合になる。実測が許容差での最悪値の範囲に入っていれば、抵抗そのものは仕様どおりと見てよい。同じロットの抵抗は誤差の向きがそろいやすく、ばらつきの目安より最悪値に寄ることもある。
Q: 入力した目標値や手持ちの一覧は、どこかに送られる?
送られない。探索はすべて開いているブラウザの中で計算していて、目標値・E系列・手持ちの抵抗の一覧をサーバーへ送る処理は持っていない。試作中の回路の定数や、社内の部品表から写した値を入れても外へは出ない。結果のコピーも手元のクリップボードに入るだけだ。
まとめ
目標の抵抗値が手元の系列に無いとき、このツールは E系列か手持ちの抵抗から1〜3本の組を探し、許容差を踏まえて並べる。帯の色から値を確かめるなら抵抗カラーコード双方向変換、作った値で出力電圧を確かめるなら分圧・分流計算ツール(テブナン/ノートン等価)、電流制限抵抗はLED回路設計アシスタントへ。半端な計算値が出やすいRCフィルタ設計シミュレータ・555タイマー回路設計ツール・オペアンプ回路計算機と組み合わせると、計算した定数をそのまま部品に落とせる。
気になる点や追加してほしい機能があれば、お問い合わせページから気軽に送ってほしい。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。E96 の帰還抵抗を E24 の部品箱で作ろうとして、ちょうど0%の3本の組を見つけて喜んだあと、±1%の抵抗では2本の −0.06% と見分けがつかないと気づいたのがこのツールの並べ方の出発点だ。
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