オペアンプ回路計算機

反転・非反転・差動・加算・積分・微分・フォロワの7回路を切替。ゲイン・帯域幅を自動計算しボード線図で可視化

反転増幅・非反転増幅・差動・加算・積分・微分・フォロワの7回路をワンタップ切替。

回路設定

Vout = -(Rf/R1) × Vin

入力と出力が逆位相

部品値

ボード線図

1101001k10k100k1M10M-50-30-101030-180°-90°0°90°180°周波数 (Hz)ゲイン (dB)位相 (°)
ゲイン 位相 GBW制限

計算結果

ゲイン(倍率)
-10 倍
ゲイン(dB)
20.0 dB
帯域幅 (-3dB)
100 MHz
入力インピーダンス
10 kΩ
位相シフト(低周波)
180°

本ツールは理想オペアンプの近似に基づく概算です。実回路ではオフセット電圧、バイアス電流、スルーレート制限、電源電圧範囲等の影響があります。詳細設計にはSPICEシミュレーションを推奨します。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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📘 オペアンプ・アナログ回路の参考書

データシートと関数電卓の往復作業、もう終わりにしよう

反転増幅回路のゲインを計算して、帯域幅を確認して、ボード線図を描いて──そんな作業を1つの回路あたり何度も繰り返した経験はないだろうか。回路タイプを変えれば計算式も変わるし、オペアンプのGBW(ゲイン帯域幅積)を考慮すると実効ゲインも理想値からずれてくる。

このツールは、反転・非反転・差動・加算・積分・微分・ボルテージフォロワの7回路をワンタップで切り替え、ゲイン・帯域幅・カットオフ周波数を自動計算する。しかもボード線図でゲイン特性と位相特性を同時に描画するから、周波数応答の全体像が一目で掴める。

なぜオペアンプ回路計算機を作ったのか

きっかけは「7回路分の手計算」

学生時代の電子回路の実験レポートが原体験だ。反転増幅回路を設計して、非反転に切り替えて、さらに差動増幅でCMRR(同相信号除去比)を確認して──1回路ごとに電卓を叩いてExcelに転記する作業は、正直しんどかった。

既存のオンライン計算ツールは確かにある。しかしほとんどが「1回路1ページ」の構成で、回路を切り替えるたびにページ遷移が必要だった。パラメータを変えて複数の回路を比較したいのに、いちいちURLを行ったり来たりする不便さ。これを1画面で完結させたかった。

設計で特にこだわった3つのポイント

GBW制限の可視化。 理想オペアンプと実ICでは、高周波域での挙動がまるで違う。LM358のGBWは1MHzしかないのに、100倍(40dB)のゲインを要求すると帯域幅はわずか10kHz。これをボード線図上でリアルタイムに確認できるようにした。

逆算モード。 「20dBのゲインが欲しい」という目標から抵抗値を逆算できるモードを搭載。設計の初期段階で部品値を仮決めするときに重宝する。

オペアンプ型番の切り替え。 LM358、NE5532、TL072など代表的な品種をプリセットで用意した。型番を切り替えるだけでGBW制限がボード線図に反映されるから、「この品種で足りるのか?」が直感的にわかる。

オペアンプとは何か──帰還がすべてを決める

オペアンプの正体は「増幅器の素」

オペアンプ(Operational Amplifier)は、2つの入力端子(+入力と−入力)と1つの出力を持つアナログICだ。名前の「Operational(演算用)」は、アナログコンピュータで加算・減算・積分などの「演算」を行うために生まれたことに由来する。

オペアンプ単体の開ループゲイン(帰還をかけていない状態のゲイン)は10万倍〜100万倍と非常に大きい。しかし、この巨大なゲインをそのまま使うことはまずない。鍵となるのが**負帰還(ネガティブフィードバック)**だ。

仮想接地──オペアンプ回路の第一原理

負帰還をかけたオペアンプでは、回路が安定動作しているとき、+入力と−入力の電圧がほぼ等しくなる。これを仮想接地(仮想短絡)と呼ぶ。日常のたとえで言えば、天秤ばかりに似ている。片方の皿に重りを載せると、もう片方も自動的につり合う位置に移動する──オペアンプの帰還も同じ原理で、出力が「ちょうどバランスする電圧」に自動調整される。

この仮想接地の性質を使えば、回路の動作を簡単に理解できる。反転増幅回路なら、−入力が仮想的にGNDと同電位になるから、R1を流れる電流 = Rfを流れる電流。結果、ゲインは -Rf/R1 になる。非反転増幅なら、+入力に信号を加えて−入力にR1-Rf分圧を帰還するから、ゲインは 1 + Rf/R1。

帯域幅とGBW──ゲインを上げると帯域が狭くなる理由

実際のオペアンプには**ゲイン帯域幅積(GBW: Gain-Bandwidth Product)**という制約がある。GBWとは「ゲイン × 帯域幅」が一定になる性質のことで、たとえばGBW = 1MHzのオペアンプでゲイン10倍を設定すると、帯域幅は100kHzに制限される。ゲインを100倍にすれば帯域幅はわずか10kHz。

この関係を理解していないと、「計算上は正しいのに実回路では信号が歪む」という事態に陥る。本ツールのボード線図では、GBW制限による実効ゲインのロールオフを破線で重ね描きしているから、理論値と実効値のギャップを視覚的に確認できる。

参考: オペアンプ - Wikipedia

ゲイン設計を間違えると何が起きるか

帯域不足による信号歪み

10kHzの音声信号を増幅したいのに、帯域幅が5kHzしかないアンプを使えば、高域が減衰して音がこもる。さらに位相特性も崩れるから、矩形波を入力すればオーバーシュートやリンギングが発生する。

オーディオ回路なら「音が悪い」で済むが、工業用のセンサ信号処理では計測誤差に直結する。温度センサのアンプで帯域設計をミスすると、急峻な温度変化を正確に追従できず、制御系のフィードバックが遅延する。

発振のリスク

位相余裕が不足すると、帰還ループが正帰還に転じて回路が発振する。特に容量負荷を駆動する場合や、高ゲインで帰還量が少ない場合に発生しやすい。発振は出力をクリッピングさせ、後段のADコンバータやロジック回路に異常信号を送り込む危険がある。

選定ミスによるコスト影響

GBWが足りないオペアンプを選定してしまうと、基板のリワーク(部品交換)が必要になる。量産段階で発覚すれば、部品のリードタイム分だけ出荷が遅延する。設計段階でGBW制限を確認しておくことは、品質とコストの両面で重要だ。

こんな場面で力を発揮する

センサ信号の増幅設計

熱電対や歪みゲージの微小信号を増幅する計装アンプ(差動増幅回路ベース)の設計。ゲインと帯域幅のバランスを素早く検討できる。

オーディオ回路のプリアンプ設計

マイクプリアンプやフォノイコライザの設計で、反転・非反転増幅のゲインと周波数特性を確認。ボード線図でオーディオ帯域(20Hz〜20kHz)の平坦性を一目で確認できる。

電子回路の授業・レポート

「反転増幅のゲインを変えると帯域幅がどう変化するか」をボード線図で実際に見せることで、GBWの概念がぐっと理解しやすくなる。教科書の公式暗記で終わらせない。

アクティブフィルタの初期検討

積分回路・微分回路はアクティブフィルタの基本ブロック。カットオフ周波数とゲイン特性を素早く確認して、本格的なフィルタ設計ツールに進む前の初期検討に使える。

基本の使い方

たった3ステップで結果が出る。

Step 1: 回路タイプを選ぶ

プルダウンから7種類の回路を選択。回路の伝達関数と特徴が表示されるから、どの回路を使うか迷ったときの参考にもなる。

Step 2: 部品値を入力する

R1、Rf、Cf等を入力。逆算モードに切り替えれば、目標ゲイン(dB)を指定してRfを自動計算できる。オペアンプの型番も選択可能──型番を変えるとGBW制限がリアルタイムに反映される。

Step 3: ボード線図と計算結果を確認

ゲイン(倍率・dB)、帯域幅、カットオフ周波数が一覧表示される。ボード線図ではゲイン曲線(シアン)と位相曲線(紫)が描画され、GBW制限の破線と合わせて周波数応答の全体像が把握できる。

具体的な使用例と検証データ

ケース1: マイクプリアンプ(反転増幅 20dB)

マイクの出力を約10倍に増幅するプリアンプ。

入力値:

  • 回路タイプ: 反転増幅
  • R1: 10 kΩ、Rf: 100 kΩ
  • オペアンプ: NE5532 (GBW: 10MHz)

計算結果:

  • ゲイン: -10倍 (20.0 dB)
  • 帯域幅: 1 MHz
  • 入力インピーダンス: 10 kΩ

解釈: NE5532なら20kHzのオーディオ帯域に対して十分な帯域幅。入力インピーダンス10kΩはダイナミックマイクには適切だが、コンデンサマイクには非反転増幅のほうが良い。

ケース2: 温度センサ増幅(非反転 40dB)

白金測温抵抗体の微小電圧変化を100倍に増幅。

入力値:

  • 回路タイプ: 非反転増幅
  • R1: 1 kΩ、Rf: 99 kΩ
  • オペアンプ: LM358 (GBW: 1MHz)

計算結果:

  • ゲイン: 100倍 (40.0 dB)
  • 帯域幅: 10 kHz
  • 入力インピーダンス: 非常に高い

解釈: 温度変化は数Hz以下のゆっくりした信号なので帯域幅10kHzで十分。LM358は単電源動作可能で、温度計測システムに最適。

ケース3: 差動増幅でノイズ除去(10dB)

長い配線のノイズをコモンモードで除去し、差動信号だけを取り出す。

入力値:

  • 回路タイプ: 差動増幅
  • R1: 10 kΩ、Rf: 33 kΩ、R2: 10 kΩ
  • オペアンプ: TL072 (GBW: 3MHz)

計算結果:

  • ゲイン: 3.3倍 (10.4 dB)
  • 帯域幅: 909 kHz

解釈: 差動増幅でCMRRを確保するにはR1=R2、Rf=Rgの抵抗マッチングが重要。0.1%精度の抵抗を使えば実用的なCMRRが得られる。

ケース4: 積分回路でローパスフィルタ(fc = 159Hz)

入力値:

  • 回路タイプ: 積分回路
  • R1: 10 kΩ、Cf: 100 nF
  • オペアンプ: 理想オペアンプ

計算結果:

  • カットオフ周波数: 159.2 Hz
  • ゲイン@fc: 0 dB

解釈: カットオフ以上の周波数では-20dB/decで減衰するから、電源ノイズ(50/60Hz)の除去には不向き。fc を10Hz以下にするにはCfを1µF以上にする必要がある。

ケース5: 微分回路によるエッジ検出(fc = 1.59kHz)

矩形波のエッジをパルスとして取り出す。

入力値:

  • 回路タイプ: 微分回路
  • Rf: 100 kΩ、Cf: 1 nF
  • オペアンプ: OPA2134 (GBW: 8MHz)

計算結果:

  • カットオフ周波数: 1.592 kHz

解釈: カットオフ以下では+20dB/decでゲインが増加するが、GBW制限で高周波側のゲインは頭打ちになる。実用では入力に直列抵抗を追加してノイズゲインを制限する。

ケース6: 逆算モードで部品選定(目標26dB)

入力値:

  • 回路タイプ: 反転増幅
  • 計算モード: 目標ゲイン → 部品値
  • R1: 10 kΩ、目標: 26 dB
  • オペアンプ: NE5532

計算結果:

  • 逆算Rf: 199.5 kΩ
  • ゲイン: 20.0倍 (26.0 dB)
  • 帯域幅: 500 kHz

解釈: 199.5kΩは標準E24系列にないので、200kΩを選択すれば0.25%の誤差。十分実用的だ。

仕組み・アルゴリズム

伝達関数 H(s) の導出

各回路の閉ループ伝達関数を、仮想接地と無限大入力インピーダンスの理想近似で導出している。

反転増幅:     H = -Rf / R1
非反転増幅:   H = 1 + Rf / R1
差動増幅:     H = Rf / R1  (R1=R2, Rf=Rg条件)
加算(反転): H = -Rf / Rn  (各入力に対して)
積分回路:     H(s) = -1 / (s × Cf × R1)
微分回路:     H(s) = -s × Cf × Rf
フォロワ:     H = 1

GBWロールオフの適用

実際のオペアンプでは開ループゲイン A_ol が周波数とともに低下する。GBWが一定の1極モデルでは:

A_ol(f) = GBW / f

閉ループゲイン = (理想ゲイン × A_ol) / (A_ol + 理想ゲイン)

高周波になるとA_olが理想ゲインに近づき、やがて閉ループゲインが低下し始める。この-3dBとなる周波数が帯域幅で、bandwidth = GBW / |gain| で求まる。

逆算アルゴリズム

目標ゲインG(dB)からRfを求める逆算は単純な代数操作:

反転: Rf = R1 × 10^(|G| / 20)
非反転: Rf = R1 × (10^(G / 20) - 1)
差動: Rf = R1 × 10^(G / 20)

積分・微分回路はゲインが周波数依存なので、逆算は「ユニティゲイン周波数」の概念でカットオフを求める形になる。

なぜ理想近似を採用したか

SPICEシミュレーションのような詳細モデル(入力バイアス電流、有限スルーレート、電源電圧制限)も検討したが、Webブラウザ上でのリアルタイム計算には過剰だった。GBW制限を加えた1極モデルは、設計の初期段階での部品選定・帯域見積もりには十分な精度を持つ。詳細検証はSPICEに任せ、本ツールは「素早い概算」に特化した。

参考: ゲイン帯域幅積 - Wikipedia

既存ツールとはここが違う

7回路を1画面で横断比較

多くのオンライン計算ツールは「反転増幅専用」「積分回路専用」のように1回路1ページ構成。本ツールはプルダウン1つで全7回路を切り替えられるから、「この用途なら反転と非反転、どちらが有利か?」の比較が瞬時にできる。

実ICのGBW制限を反映

okawa-denshi等の定番ツールは理想オペアンプ前提のものが多い。本ツールはLM358、NE5532など実在するICのGBWをプリセットで用意し、ボード線図に制限ラインを重ね描きする。理論値と実効値のギャップが一目瞭然。

スマホでも使える

外出先でデータシートを見ながら「このICで足りるかな?」と確認したい場面がある。レスポンシブデザインで画面幅に合わせてレイアウトが最適化されるから、スマホの小さな画面でもストレスなく操作できる。

「演算増幅器」のルーツと豆知識

μA741──半世紀を超えるベストセラー

1968年にFairchild Semiconductorのデイブ・フルーリーが設計したμA741は、世界で最も有名なオペアンプICだ。内部補償コンデンサを内蔵し、外付け部品なしで安定動作するという画期的な設計は、以降のオペアンプの標準仕様となった。GBWは1.5MHzと現代の高速品に比べれば見劣りするが、教育用途や低速回路では今でも現役。

「演算」の名前の由来

オペアンプの「Operational」は、1940年代のアナログコンピュータに遡る。加算器・減算器・積分器・微分器──微分方程式を電気回路で「演算」するために設計された増幅器がルーツだ。デジタルコンピュータが主流になった現在でも、信号処理・フィルタリング・制御回路でオペアンプの「演算」は健在。むしろIoTセンサのアナログフロントエンドとして需要は増えている。

参考: Operational amplifier - Wikipedia

設計をもう一段楽にするコツ

帰還抵抗Rfの実用的な範囲

帰還抵抗は1kΩ〜1MΩの範囲に収めるのが実用的。1kΩ未満だとオペアンプの出力電流制限に引っかかりやすく、1MΩ超だとバイアス電流によるオフセット誤差が無視できなくなる。

GBWの確認はデータシートの1ページ目

オペアンプのデータシートを開くと、最初のページに「Unity-Gain Bandwidth」または「Gain Bandwidth Product」が記載されている。この値が本ツールのGBWプリセットに対応する。カスタム品を使う場合はこの値を確認してから設計に入ろう。

発振対策の基本は位相余裕の確保

帰還ループの位相が-180°に達する周波数でゲインが0dB以上残っていると発振する。本ツールのボード線図で位相曲線(紫)を確認し、ゲインが0dBを下回る周波数と位相が-180°に達する周波数の関係を把握しよう。位相余裕は45°以上を目安にする。

よくある質問

Q: 単電源(片電源)でも使える計算結果なの?

本ツールの計算は両電源(±Vcc)を前提とした理想近似に基づいている。単電源で使う場合は、入力にバイアス電圧(Vcc/2)を加える必要があり、出力の振幅範囲がレール電圧内に制限される。計算結果のゲインや帯域幅自体は単電源でも有効だが、出力のクリッピングには別途注意が必要だ。

Q: 加算回路で3入力以上は計算できる?

本ツールの加算回路は2入力(R1, R2)での計算に対応している。3入力以上の場合は、各入力に対するゲインが -Rf/Rn で計算される原理は同じ。R1 の値を各入力抵抗として個別に計算し、結果を合成すればよい。

Q: 計算データはサーバーに送信される?

すべての計算はブラウザ内(JavaScript)で完結しており、サーバーへのデータ送信は一切ない。入力した部品値や計算結果がネットワークを経由することはなく、プライバシーの心配は不要。

Q: ボード線図のGBW制限線は何を示している?

灰色の破線は、選択したオペアンプの開ループゲイン(GBW/f)を示している。閉ループゲインがこの線を超えることはできないため、理想ゲインがGBW制限線と交差する周波数が実質的な帯域幅の上限になる。理想オペアンプ(GBW: 1GHz)を選択すると、制限線はグラフの上方に逃げるのでほぼ影響しない。

まとめ

オペアンプ回路計算機は、7種類の基本回路のゲイン・帯域幅・位相特性をワンタップで切り替えながら確認できるツールだ。実ICのGBW制限をボード線図で可視化するから、部品選定の判断が設計の初期段階で素早くできる。

RCフィルタの設計も合わせて行うなら、RCフィルタ設計シミュレータも試してみて。抵抗のカラーコード読み取りには抵抗カラーコード計算機が便利だ。


不具合や要望があれば、X (@MahiroMemo)から気軽に教えて。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。学生時代にアナログ回路実験でオペアンプの手計算に苦しんだ経験から、7回路を1画面で比較できる計算機を作った。

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