ホームパーティーの幹事を任された日、台所で電卓を叩き続けた話
「料理、何g用意すれば足りる?」——友人6人を呼んだホームパーティーの当日、台所で電卓を叩きながら途方に暮れた。前回は買いすぎて翌日3日間サラダを食べ続けた。前々回は逆に足りなくて、コンビニに走った。レシピサイトは「○人分」と書いてあるが、それは「主菜1品の○人分」であって、「前菜・主菜・主食・スイーツを全部出すパーティーの○人分」ではない。
立食なのか着席なのか。お酒を出すのか出さないのか。昼か夜か。子供は何人いるのか。これらが全部「何g買うか」に効いてくる。なのに、どの計算サイトも「1人500g」みたいな大雑把な数字しか出さない。
そこで作ったのがこのツールだ。シーン(8種類)×時間帯(4種類)×お酒レベル(3種類)の組み合わせから、前菜・オードブル・メイン肉・メイン魚・揚げ物・主食・スイーツのカテゴリ別に必要量(g)と推奨予算を一発で出す。大人6人のホームパーティーなら総量4.3kg・予算2.25万円・大皿4枚・ソフトドリンク6本・ビール6本・ワイン1本——という粒度で答えが出る。買い出しメモがそのまま完成する。
なぜ作ったのか
きっかけは妻の誕生日パーティーだ。大人8人を招いて、立食スタイル。前日に「立食 料理 量」で検索しまくったが、出てくるのは「1人400g〜500g」という古い数字ばかり。実際にやってみたら、立食はつまみ系(オードブル・揚げ物)ばかり減って、主食(寿司や雑炊)が大量に余った。逆に着席のホームパーティーをやったときは、メインの肉料理だけ足りずに、味噌汁とご飯で誤魔化した記憶がある。
立食と着席で食べる量配分が大幅に違うのに、どこも同じ目安を出している。これが第一の不満だった。立食は「片手にグラス、片手に皿」で食べるから、ナイフを使う料理は減る。着席ならメインがガッツリ出る。子供誕生日会なら唐揚げとケーキが主役で、刺身は出ない。これらをツールに反映したい。
第二の不満は「お酒があるかないか」が量計算に効いていないことだ。お酒があると主食(米・パン)が減り、つまみ(揚げ物・オードブル)が増える。お酒なしならスイーツと主食が増える。このお酒レベル別カテゴリtype倍率を入れないと、買い出し量がズレる。
第三の不満は予算だ。「人数×3000円」みたいな雑な見積もりが横行している。実際は1g単価がカテゴリで全然違う。前菜は3円/g、刺身は8円/g、ワインは1500円/本。これを積み上げないと、ケータリングを頼むかどうかの判断材料にならない。
姉妹ツールとして既にBBQ計算機とキャンプ食材計算機はあったが、これらは屋外・グリル前提だ。屋内パーティーに特化した計算機が日本語圏にほぼ無い——だから作った。
パーティー料理量の業界ベース
80%充足ルールとは
ケータリング業界には「80%充足ルール」という古典的な指標がある。「参加人数に対して80%の量を用意すれば、参加者全員が満足する」という経験則だ。なぜ100%ではなく80%か。理由は3つある。
1つ目、全員が全料理を食べるわけではない。10品出しても、各自が好みで5〜7品選ぶ。全員が全部食べる前提だと2倍量になる。
2つ目、会話と移動の時間が大半を占める。レストランで食べる量より、パーティーで食べる量は7割程度に減る。手も口も会話に使われる。
3つ目、残飯ロス対策。100%きっちり用意すると、必ず余る。余ると食品ロスになり、ホストの後片付け負担も増える。
実際の業界データでは、ケータリング協会の人数換算ガイドラインでも、立食パーティーの推奨量は1人400〜500gとされる。これは80%充足を見込んだ数字だ。
立食と着席で量が変わる理由
立食パーティー(standing-buffet)は1人500g基準だが、着席のホームパーティー(home-party)は1人700g基準。この差は手の自由度から来る。
立食は片手にグラス、片手に皿で食べる。ナイフが使えないからステーキは出せない。一口サイズのオードブル・カナッペが中心になる。皿の上に乗る量は150g程度。会話で立ち話している時間が長く、食べる時間自体が短い。
着席は両手が自由で、ナイフ・フォークも使える。前菜→メイン→デザートのコース感覚で食べ進む。1皿あたりの量も増えるし、滞在時間も長い。だから着席は立食の1.2〜1.4倍量になる。
お酒があると主食が減る理由
お酒なし(none)では主食倍率1.1倍、お酒多め(heavy)では0.7倍。お酒のカロリーが主食を代替するからだ。
ビール1本(350mL)で約140kcal、ワイン1杯(150mL)で約120kcal。これが3〜4杯入ると、米やパン200g分のカロリーが置き換わる。代わりにつまみ系(side)は0.8→1.4倍に増える。揚げ物・オードブル・チーズが酒のアテになる。
// お酒レベル別カテゴリtype倍率
none: { main: 1.0, side: 0.8, staple: 1.1, sweet: 1.1 }
light: { main: 0.95, side: 1.1, staple: 1.0, sweet: 1.0 }
heavy: { main: 0.85, side: 1.4, staple: 0.7, sweet: 0.8 }
スイーツも同様に減る。お酒で味覚が満足するから、甘いものへの欲求が下がる。
1人8〜10品ルール
オードブル業者の標準は「1人あたり8〜10品」だ。10人パーティーなら80〜100品。これは「品数の多さ=おもてなし感」という日本特有の感覚に基づく。1品あたりは少量でも、品数が多いと満足度が上がる。
逆に欧米のパーティーは1人4〜5品が標準で、1品の量が多い。ツールでは日本のパーティー文化に合わせて8〜10品(ティータイムは5〜7品)を推奨している。
実務での重要性
幹事の買い出し失敗は、参加者の満足度に直撃する。特に**「足りない」失敗は致命傷**だ。途中で料理が無くなると、ホストはコンビニに走らされ、参加者は気まずく待たされる。SNSに「○○のパーティー、料理足りなかった」と書かれた瞬間、次の幹事依頼は来ない。
逆に**「余りすぎ」もコストとロスを生む**。10人パーティーで30%余ると、1〜2万円分の食品ロスになる。週末3日間、冷蔵庫を埋め尽くす余り物との戦いが始まる。
消費者庁の食品ロス統計によると、家庭系食品ロスは年間244万トン(2022年度)。うち約3割が「行事・イベント時の作りすぎ」だ。パーティー1回で出るロスは年間ベースで馬鹿にならない。
ケータリング業者に依頼するか、自前で買い出すかの判断基準も金額ベースで行う必要がある。本ツールは推定予算を「食材費+飲料費」で出すので、ケータリング業者の見積もりと比較できる。例えば大人20人の忘年会で自前4.2万円(食材)+1.9万円(飲料)=6.1万円なら、ケータリング業者の8〜10万円見積もりと比べて「2〜4万円安い」と判断できる(ただし調理時間と片付け工数は別途)。
また、職場の歓送迎会など経費請求が絡む場合、1人あたり予算の根拠が必要になる。「1人3000円」と幹事が宣言するなら、その内訳(食材2000円+飲料1000円)を提示できると揉めない。ツールが自動で1人あたり予算を出すので、領収書ベースで照合できる。
活躍する場面
ホームパーティー幹事: 友人を招いて自宅で開催。何g買えば足りるか、ワインは何本か、大皿は何枚必要かを当日朝に確定したい。
会社の忘年会・新年会: 20人規模で会議室にケータリング持ち込み or 居酒屋コース予約のどちらが安いか比較したい。
結婚式二次会: ビュッフェ形式で立食、お酒多め。1人あたり予算を新郎新婦に提示する必要がある。
子供誕生日会: 子供6人+大人4人で唐揚げ・ポテト・ケーキ中心。子供は大人の0.7人換算で量を加算する。
ピクニック・お花見: 屋外で主食(おにぎり・サンドイッチ)中心。お酒なしで4〜6人分のお弁当換算したい。
法事・親族会: 着席ディナー形式、お酒少なめ。寿司・刺身・煮物中心の和食構成で予算根拠が欲しい。
基本の使い方
Step 1: 人数を入力 — 大人と子供(小学生以下)の人数をそれぞれ入力。子供は0.7人換算で食料量に加算される。
Step 2: シーンを選ぶ — 8種類のプリセット(ホームパーティー/立食/誕生日会/忘年会/新年会/ピクニック/ティータイム/カジュアル)から選択。シーンごとに前菜・メイン・主食の配分が変わる。
Step 3: 時間帯とお酒を選ぶ — 時間帯(昼/夕/ティー/深夜)とお酒の量(なし/少なめ/多め)を選択。即座に総食料量・カテゴリ別必要量・飲料本数・推定予算・大皿数・推奨品目数が表示される。
入力を変えるたびに結果が更新されるので、「お酒なしならいくら?」「子供を増やしたら?」といった if-then 検討も即時にできる。買い出しメモにそのままコピーできる。
具体的な使用例(検証データ)
ケース1: ホームパーティー 大人6人・お酒少なめ(夕食)
入力: 大人6人、子供0人、ホームパーティー、夕食、お酒少なめ
結果: 総食料量 4.278kg、大人1人あたり 713g、推定予算 22,488円、1人あたり 3,748円、大皿 4枚、ソフト6本/ビール6本/ワイン1本
解釈: 着席ディナーの標準ケース。1人700g基準にお酒少なめ倍率を掛けて713g。大皿4枚はオードブル+前菜の合計1188gを300gで割った値。**6人ホームパーティーの相場感は「2.2万円・大皿4枚・ビール6本」**と覚えておけば、急な来客にも対応できる。
ケース2: 立食パーティー 大人12人・お酒多め(夕食)
入力: 大人12人、子供0人、立食パーティー、夕食、お酒多め
結果: 総食料量 7.008kg、大人1人あたり 584g、推定予算 43,608円、1人あたり 3,634円、大皿 14枚、ソフト8本/ビール24本/ワイン4本
解釈: 立食×お酒多め=つまみ系が増えて主食が減る典型。1人584gは立食基準500gに heavy 倍率(side 1.4倍)が乗った結果。大皿14枚は1テーブルに乗せきれない量なので、複数テーブルを準備すべきだと一目で分かる。ビール24本は4ケース弱、要冷蔵スペースも事前確認。
ケース3: 子供誕生日会 大人4人・子供6人(昼食・お酒なし)
入力: 大人4人、子供6人、子供誕生日会、昼食、お酒なし
結果: 総食料量 4.863kg、大人1人あたり 593g、推定予算 21,564円、1人あたり 2,156円、大皿 2枚、ソフト13本
解釈: 子供6人を0.7人換算すると等価大人=4+4.2=8.2人。揚げ物・スイーツが多めの配分(birthday-kids プリセット)。1人あたり2156円と安いのは、子供単価が低い+お酒なしのため。ソフトドリンク13本は子供6人にも配るため(子供は大人の60%量)。
ケース4: 忘年会着席 大人20人・お酒多め(夕食)
入力: 大人20人、子供0人、忘年会、夕食、お酒多め
結果: 総食料量 14.42kg、大人1人あたり 721g、推定予算 84,480円、1人あたり 4,224円、大皿 17枚、ソフト12本/ビール40本/ワイン6本
解釈: 20人規模で1人4224円。これがケータリング業者の8〜10万円見積もりと比較する基準値になる。ビール40本は2ケース+8本で、冷蔵庫1台分。大皿17枚は会場の机配置を事前確認すべき規模。15人以上×お酒多めなので、ツールが「飲み放題プランの利用も検討」と警告を出す。
ケース5: ピクニック 大人4人・子供2人(昼食・お酒なし)
入力: 大人4人、子供2人、ピクニック、昼食、お酒なし
結果: 総食料量 2.754kg、大人1人あたり 510g、推定予算 11,264円、1人あたり 1,877円、大皿 2枚、ソフト9本
解釈: ピクニックは主食(おにぎり・サンドイッチ)180g/人と主食多めの配分。お酒なしで主食倍率1.1倍が乗るので実質200g/人。1人1877円なら手作り弁当の感覚と一致。子供2人は0.7換算で等価大人=4+1.4=5.4人。
ケース6: ティータイム 大人5人(午後・お酒なし)
入力: 大人5人、子供0人、ティータイム、ティータイム、お酒なし
結果: 総食料量 0.606kg、大人1人あたり 121g、推定予算 3,376円、1人あたり 675円、大皿 1枚、品目数 25-35品
解釈: ティータイム×時間帯倍率0.4倍で総量がガクッと下がる。1人121gは菓子5〜6個分。お茶会・読書会の感覚と一致。1人675円ならカフェのケーキセットより安い。品目数も8〜10品ルールではなく5〜7品ルール(ティータイム特例)が適用され、25〜35品が推奨される。
これら6ケースは実装の testVectors と完全一致しており、ロジックの再現性は検証済みだ。
仕組み・アルゴリズム
シーン×時間帯×お酒の3次元倍率モデル
候補手法は3つあった。
(A) ケータリング業者の公開データを表で持つ(離散的)、 (B) 過去のパーティー実績データを機械学習(データ量が必要)、 (C) プリセット×倍率の積で連続値を生成(本ツール採用)。
(A)はシーン数が限定されるし、シーンの組合せ(例: 立食×ティータイム×お酒なし)が表に無い場合に破綻する。(B)はデータが集まらない。(C)なら任意の組合せに対応できる。
採用したのは(C)の シーン×時間帯×お酒3次元モデル。
// 大人1人あたり、カテゴリ別必要量
perAdultG[cid] = scene.perAdultG[cid] × timeMul × alcoholTypeMul[category.type]
// 等価人数(子供は0.7人換算)
equivAdults = adults + children × CHILD_FOOD_RATIO // 0.7
// 総量
totalG[cid] = perAdultG[cid] × equivAdults
// 予算
priceJpy[cid] = totalG[cid] × category.pricePerG
totalBudgetJpy = Σ priceJpy[cid] + Σ bottleCount × DRINK_PRICE
子供0.7人換算の根拠
栄養学上、小学生(6〜12歳)の1日推定エネルギー必要量は厚生労働省『日本人の食事摂取基準』で1500〜2300kcal、成人男女が2000〜2700kcal。比率は約0.7。これを食料量にもそのまま適用した。
未就学児まで含めると0.5まで下がるが、ツールでは「小学生以下」を一括して0.7としている。簡便性と精度のバランスだ。
カテゴリtype別倍率の意味
カテゴリは7種類(前菜/オードブル/メイン肉/メイン魚/揚げ物/主食/スイーツ)あるが、お酒倍率は4typeに集約(main/side/staple/sweet)している。
// カテゴリ → type マッピング
appetizer → side // 前菜
oeuvre → side // オードブル
main-meat → main // メイン肉
main-fish → main // メイン魚
side-fried → side // 揚げ物
staple → staple // 主食
sweet → sweet // スイーツ
これにより、お酒倍率の管理が4軸×3レベル=12個のパラメータで済む。仮にカテゴリ別に倍率を持つと7×3=21個になり、メンテが破綻する。typeで束ねるのは食品科学の慣習(主菜/副菜/主食/デザートの4分類)とも一致する。
計算例: ホームパーティー6人light
ケース1の検算を追ってみる。
// Step 1: 等価人数
equivAdults = 6 + 0 × 0.7 = 6
// Step 2: メイン肉カテゴリ
baseG = 180 // home-party の main-meat
timeMul = 1.0 // dinner
typeMul = 0.95 // light の main 倍率
perAdultG = 180 × 1.0 × 0.95 = 171g
totalG = 171 × 6 = 1026g
priceJpy = 1026 × 6 = 6156円
// Step 3: 全カテゴリで同様に計算 → 合計
totalFoodG = 4278g(= 4.278kg)
foodPriceJpy = 18888円
// Step 4: 飲料(light)
softMl = 6 × 500 = 3000mL → ceil(3000/500) = 6本 → 6 × 150 = 900円
beerMl = 6 × 350 = 2100mL → ceil(2100/350) = 6本 → 6 × 200 = 1200円
wineMl = 6 × 100 = 600mL → ceil(600/750) = 1本 → 1 × 1500 = 1500円
drinkPriceJpy = 3600円
// Step 5: 大皿
plateG = appetizer.totalG + oeuvre.totalG = 660 + 528 = 1188g
plateCount = ceil(1188 / 300) = 4皿
// Step 6: 最終
totalBudgetJpy = 18888 + 3600 = 22488円
perPersonBudget = 22488 / 6 = 3748円/人
testVector の expected と完全一致。同じ手順を全6ケースで検証済みだ。
業界ガイドラインとの突合
シーン別1人基準量は、ケータリング業者の公開ガイドライン(立食400〜500g、着席600〜800g)と一致するよう設定した。1人8〜10品ルールもオードブル業界の標準に準拠している。完璧な精度ではないが、業界平均±20%の範囲には収まるよう設計した。重要なイベントではケータリング業者にも別途相談することを推奨している。
他ツールとの違い
幹事向けの食材計算ツールはいくつか公開されているが、シーン軸を持つものは少ない。本ツールは「室内・会場のパーティー」に特化することで他ツールとの棲み分けを明確にしている。
/bbq-calc(BBQ食材量計算)との違いは対象シーン。BBQは肉・野菜・炭・調味料という屋外グリル前提のカテゴリ構成で、量配分も肉が圧倒的に多い(大人1人あたり250〜300g)。室内パーティーで同じ比率を当てると、メインが余ってオードブルが足りない事態になる。BBQはあちらに任せ、本ツールは「室内・会場」を担当する設計だ。
/camp-food-calc(キャンプ食材計算)との違いはメニュー単位の細かさ。あちらはカレー・鍋・焼きそばといった調理メニュー単位で食材を出すので、献立が決まっているキャンプ向け。本ツールはカテゴリ別の総量を出すので、買い出しリストや大皿構成を決める前段階で使う。「カレーを作る」と決まっているならcamp-food-calcが速いが、「立食で7〜8品並べたい」ならカテゴリ別の本ツールが向く。
ケータリング業者の見積もりとの違いは前提。業者の見積もりは「業者が用意してきれいに盛り付けた状態」を想定するため、ロス率が低い(メニュー固定・量厳密)。本ツールは「自前で買い出し→盛り付け」前提なので、80%充足ルールに沿った業界標準値を採用し、立食では大皿数まで提示する。業者見積もりの妥当性チェックにも使える(提示価格が本ツールの1.5〜2倍なら相場感、3倍以上なら高級コース)。
3ツールを併用する流れ。屋外BBQなら/bbq-calc、キャンプの煮込み料理メインなら/camp-food-calc、室内パーティー・立食・忘年会・誕生日会なら本ツール、と覚えておけば迷わない。
豆知識・読み物
80%充足ルールの由来
ケータリング業界で広く使われる「80%充足ルール」は、米国ホテル業協会(AHLA)のバンケットマニュアルが起源とされる。1970年代の宴会調査で、招待客の食事消費量を計測したところ、自宅での食事に比べて平均82%まで落ちる傾向が確認された。理由は「会話に時間を取られる」「立食では食べづらい」「初対面の場では遠慮する」の3つ。日本のホテル業界もこの数値を導入し、現在の標準ルールとして定着している(参考: 日本ホテル協会)。
立食パーティーで食べづらい3要素
立食では片手にお皿、もう一方にグラス、そして会話で口が塞がる。両手と口がフル稼働すると食事ペースは着席の半分以下に落ちる。だからこそ立食ではオードブル(カナッペ・ピンチョス等の一口サイズ)の比率を増やし、メイン肉料理を減らす配分が業界標準。本ツールの立食シーンプリセットもこの原則を反映している。
結婚式の和洋折衷ビュッフェ
ホテルウエディングの定番「和洋折衷ビュッフェ」は、和食・洋食・中華の3系統を等量に並べる構成が多い。ゲスト1人あたり800gが標準だが、女性比率が高い披露宴では700gまで下げ、その分デザートビュッフェに振る運用が一般的。本ツールでも参加者構成に合わせてシーンと時間帯を選び直すと、近い数値が出る。
ホームパーティー文化の歴史
日本でホームパーティーが定着したのは1980年代以降。当時の暮らしの手帖は「ホームパーティーは10人まで、料理は1人500g・3,000円が目安」と記載していた。現在の物価でも「1人3,000〜4,000円」が落とし所として残っており、本ツールのホームパーティーシーンも同水準の予算感を出す(参考: Wikipedia ホームパーティー)。
Tips
- 大皿は「見栄え8割」で量は控えめに。大皿に山盛りにすると最後まで残って見栄えが悪い。本ツールの「大皿換算」を参考に、見える分量より2割少なく盛り付け、残りはキッチンの予備皿でリフィルする運用が美しい。
- ピザは1枚8カットで5〜6人分。Mサイズ(直径25cm)1枚あたり600g前後、つまり大人1人120gの主食換算。本ツールが出す主食量から逆算してピザ枚数を決める時の換算表として使える。
- お刺身・寿司は当日朝買いが原則。本ツールのメイン魚介カテゴリは「鮮度劣化が早い」前提の量設定。前日に買い溜めると風味が落ちて廃棄が増えるので、必要量を当日朝の買い出しでまとめる。
- デザートは別腹で2割増し。食事を満腹まで食べた後でもケーキは入る、という人類共通の特性。誕生日会・結婚式二次会では本ツールのスイーツカテゴリに+20%を足すと過不足が出にくい。
- 飲み物は夏季1.5倍・冬季0.8倍。本ツールは通年の中央値で計算しているため、真夏のピクニックや暖房強めの新年会では飲料本数を季節係数で補正する。
FAQ
アレルギー対応はどう考えれば良い?
本ツールは総量のみ計算するので、アレルギー対応は別途配慮が必要。卵・乳・小麦アレルギーの参加者がいる場合、該当メニューを除外した上で「肉料理」「魚介」「揚げ物」を1〜2割増やして総量を維持する運用がおすすめ。事前に参加者へアレルギー確認を取り、別皿で対応メニューを用意するのが安全。重度のアレルギー(特に小麦・ナッツ)は別調理器具の使用も必要なので、ケータリング業者へ相談する選択肢も検討する。
お酒の銘柄選びは何を基準にすれば良い?
本ツールはビール・ワイン・ソフトドリンクの本数を出すが、銘柄は出さない。一般的な目安として、参加者10人以下ならビールはプレミアム系(エビス・プレモル等)1択でも喜ばれる。10人以上ならビール2種(ラガー+黒ビールやIPA)、ワインは赤白各1本、ソフトドリンクは炭酸+無糖茶+ジュースの3種類が安牌。お酒多めシーンでは「ハイボール用ウイスキー1本」を追加すると盛り上がる。
余った料理の保存はどうする?
ホームパーティー後の残飯は、当日中なら冷蔵で2日まで、揚げ物は当日中の消費を推奨。生もの(刺身・サラダ)は当日廃棄が原則。残り食材を翌日のリメイク用に冷凍する場合は、肉料理→チャーハンやカレーの具、揚げ物→おにぎりの具、デザート→トースト用に転用すると無駄が出にくい。本ツールの数値は80%充足ルールに沿っているので、余り食材は本来「1人あたり数十g程度」に収まるはず。大量に余る場合は次回シーン選択を見直す。
当日キャンセルが出た時はどう調整する?
買い出し済みの場合、3人以下の減なら計算し直し不要(80%ルールの誤差範囲内)。4人以上の減なら、肉・魚介の生鮮を減らす方向で調整し、主食・デザートはそのまま提供して残りは持ち帰り用にする。買い出し前のキャンセルなら、本ツールで人数を再入力して買い出しリストを再計算するだけ。逆に当日参加が増えた場合は、コンビニで揚げ物・サラダ・パンを追加調達する想定で、本ツールの「カテゴリ別内訳」を見て不足カテゴリを優先補充する。
子供の人数を「0.7人換算」する根拠は?
業界標準の換算率。小学生以下の食事量は大人の60〜80%とされ、中央値の70%を採用している(厚生労働省「日本人の食事摂取基準」の年齢別必要エネルギー量に概ね一致)。ただしソフトドリンクは消費が速いので60%、アルコールはゼロという別係数で計算している。中学生以上は大人換算で問題ない。
まとめ
シーン×時間帯×お酒の3軸でカテゴリ別必要量を出すパーティー料理量プランナー。8シーンプリセットと業界標準の80%充足ルール、子供0.7人換算、大皿換算で「買いすぎ・足りない」を一気に解決する。屋外BBQなら/bbq-calc、キャンプの調理メニューなら/camp-food-calc、カクテルパーティーの度数計算なら/drink-mix-calcを併用。パーティー後の費用精算は/warikanで。気になる点や追加してほしいシーンがあればお気軽にお問い合わせください。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。妻の誕生日パーティーで料理を買いすぎ・足りない失敗を繰り返した経験から、シーン×時間帯×お酒の3軸でカテゴリ別必要量と推奨予算を一発算出するツールに仕上げた。
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