CT比選定・二次負担検定ツール

負荷電流・設備容量から標準変流比を選定し、接続機器と配線こう長で二次負担の適否まで検定

負荷電流(または設備容量)から標準変流比を直近上位で選定し、接続機器・配線こう長から二次負担の適否まで自動判定。確度クラス・過電流定数の目安付き。

シナリオプリセット

余裕率は常時負荷の125%以上が目安のため既定25%(=×1.25)。空欄は0%扱い。

CT用途

計量用は確度0.5級、保護用は5P級、兼用は両方を自動設定。

接続機器(二次負担)

二次配線・定格負担

使用するCTの定格負担(JIS C 1731標準値)。一次電流基準の推奨最小も結果に目安表示。

選定・検定の結果

推奨変流比200/5一次200A / 二次5A
選定OK
二次負担7.5/15VA余裕50%
適合

負荷電流

150.0 A

目標一次電流(余裕込み)

187.5 A

確度クラス

0.5級

過電流定数の目安

n ≦ 5

機器負担合計

5.0 VA

配線負担

2.46 VA

合計二次負担

7.46 VA

CT定格負担

15 VA

推奨最小(目安)

10 VA

標準変流比・機器負担VA・配線抵抗・定格負担・過電流定数はJIS C 1731/JEC-1201系の代表値と標準軟銅の物性値(20°C)に基づく目安。実際の定格負担・確度階級・過電流定数はCT銘板とメーカー仕様で確認を。配線抵抗は運転温度で増加(75°C換算で約1.2倍)。取引用計量は計量法・電力会社の指定に従い、保護協調はOCR整定と併せて電気主任技術者・設計者が最終確認するもの。

PR

📘 受変電設備・電験の学習に

関連ツール

この回路のCTは何A/5Aを選べばいい?

受変電盤の設計図を前に、電流計や電力量計の横に必ず描かれる小さな四角。変流器(CT)だ。契約電力も設備容量も分かっている。でも、いざ「このフィーダのCTは何A/5Aにするか」を書き込む段になると、手が止まる。300kVAの高圧受電なら一次電流は26A、だから40/5でいいのか。いや、その40/5のCTに電力量計とトランスデューサを繋いで、しかも計器盤まで20m配線を引いたとき、CTの定格負担15VAを超えないのか。変流比だけなら選定表を見れば済む。だが変流比・確度クラス・過電流定数・二次負担の適否まで一気に決めようとすると、途端に資料が散らばる。このツールは、負荷電流(または設備容量)を入れれば標準変流比を直近上位で選び、接続機器と配線こう長から合計二次負担VAを出し、定格負担に収まるかまで1画面で検定する。設計時に「止まる」あの数分を、数秒に変えるために作った。

なぜ作ったのか

CT選定でつまずくのは、必要な情報が「別々の場所」にあるからだ。標準変流比の段階(10/5、15/5、20/5…)はメーカーの選定表に載っている。確度階級0.5級や5Pの使い分けはJISの解説に、機器の負担VAは計器のカタログに、二次配線の抵抗値は電線メーカーの資料に、それぞれ分かれている。設計者はこれらを横断して、電卓を叩きながら手で組み上げる。数字を1つ拾い間違えれば、比誤差が規格を外れて計量精度が落ちたり、事故時にOCRが正しく動かなかったりする。

以前このサイトにもCT選定の簡易ツールはあった。だが変流比を出すだけで、肝心の二次負担の検定ができなかった。「比は選べたが、そのCTに機器と配線を繋いで大丈夫か」が分からなければ、設計判断としては半分でしかない。そこで一度剪定し、変流比の選定と二次負担の検定を1本の流れに統合して作り直したのがこのツールだ。負荷電流の直接入力と、設備容量kVAからの I = P / (√3 × V) 算出の両モードを持たせ、計量用・保護用・兼用で確度クラスと過電流定数の目安まで出るようにした。

この題材は、いま執筆準備中の受変電テーマ(電気設備設計の続編)で扱う保護協調の章とも重なっている。CTは保護継電器の「目」であり、その選定を外すと保護そのものが成り立たない。だからこそ、根拠を追える形で1画面にまとめておきたかった。

変流器(CT)とは何か

変流器 とは — 大電流を5Aに変成する装置

変流器(CT: Current Transformer、電流変成器とも呼ぶ)は、回路に流れる大きな電流を、計器や継電器が扱える小さな電流に比例変換する機器だ。日本の標準では二次側を5Aに揃える。たとえば一次側に200A流れる回路に「200/5」のCTを入れると、二次側には5A、100A流れれば2.5Aが流れる。一次と二次の比が変流比で、200/5 なら比 n は 40 になる。

イメージしやすいたとえで言うと、太い送水管を流れる毎分何トンもの水量を、そのまま計量カップで受けることはできない。そこで一定の割合で水を減量する分岐器を通し、扱いやすい小さな流量にしてからカップで測る。CTはまさにこの「減量装置」だ。大電流をそのまま計器に流せば計器が焼けてしまうので、決まった比で縮小して渡す。二次側の5Aを見れば、掛け算で一次側の本当の電流が分かる。

なぜ二次を5Aに揃えるのか。計器や継電器の側を全国どこでも共通の「5A定格入力」で作れるようにするためだ。一次が何千Aだろうと二次は必ず0〜5Aに収まるので、電流計の目盛りは一次電流で刷り、CTだけ差し替えれば同じ計器が使い回せる。1A系も海外や長距離配線で使われるが、国内の受変電では5A系が標準で、本ツールも5A固定で扱う。変流比の呼称「200/5」は左が一次定格、右が二次定格を表し、スラッシュの前後をそのまま読めばよい。

変流器を理解するうえで押さえる概念は4つある。

① 変流比    I₂ = I₁ / n     (n = 一次/二次、例 200/5 なら n = 40)
② 二次負担  S = I₂² × Z     (Z = CT二次側に繋がる総インピーダンス、I₂ = 5A)
③ 確度階級  比誤差の許容範囲を表す級別(計量0.5級 / 保護5P など)
④ 過電流定数 n この倍率の一次電流まで比誤差を保証する(保護用は10以上)

変流比は「何A/5A」の選定そのもの。二次負担は、そのCTの二次側に計器・継電器・配線をぶら下げたときの負荷の重さで、単位はVA(ボルトアンペア)。CTは電流源に近い振る舞いをするので、二次に繋がるインピーダンスZに二次電流の二乗を掛けた I₂²×Z が負担になる。確度階級は、その負担範囲内でどれだけ正確に比を保つかの等級で、取引計量には0.5級(比誤差±0.5%)、保護用には誤差の代わりに飽和しにくさを表す5Pが使われる。過電流定数(定格過電流定数 n)は、定格電流の何倍の事故電流までCTが飽和せず比を保つかの指標だ。計量用は計器を守るため小さく(n≦5)、保護用は事故電流でも飽和させないため大きく(n≧10)設計する。

より詳しい定義や規格の背景は、Wikipedia「変流器」 や計器用変成器の規格 JIS C 1731 が参考になる。本ツールの標準変流比・確度階級・過電流定数の区分も、この JIS C 1731/JEC-1201 系の一般的な値に沿っている。

実務での重要性 — 選定を外すと何が起きるか

CTの選定は「精度」と「保護」の両方を左右する。まず変流比。これが小さすぎると、事故電流が流れたときに一次電流が定格を大きく超え、CTの鉄心が磁気飽和する。飽和すると二次側に正しい電流が出ず、過電流継電器(OCR)が事故を検出できずに不動作になる。保護の要が抜ける最悪のケースだ。逆に変流比が大きすぎると、軽負荷時の二次電流が小さくなりすぎて、計器の目盛りの下のほうでしか振れず、計量誤差が拡大する。だから常時負荷に対して過大でも過小でもない、直近上位の比を選ぶ必要がある。

次に二次負担。合計二次負担がCTの定格負担VAを超えると、比誤差と位相角が規格の許容を外れる。取引用の電力量計であれば計量値がずれて料金精算に直結し、保護用であればOCRの動作電流が狂って整定どおりに動かない。「CTは選べたのに、機器を増設したら負担オーバーで精度が出ない」という手戻りは現場でよく起きる。だからこのツールは機器と配線を足した合計負担まで必ず確認させる。

さらに安全上の要点として、CTの二次側は絶対に開放してはならない。一次に電流が流れている状態で二次を開くと、二次負担がゼロになった反動で鉄心が極端に励磁され、二次端子に危険な高電圧が誘起される。計器の交換時は必ず二次を短絡してから外すのが鉄則だ。

受電区分の感覚も持っておきたい。契約電力がおおむね50kW以上になると高圧受電(6.6kV)、2000kW(受電容量でおよそ2000kVA)以上になると特別高圧受電になる。電圧クラスが上がるほど一次電流は小さくなり、6.6kVの300kVAなら一次はわずか26A前後。低圧側の数百Aとは桁が違うので、同じ設備でも受電電圧でCTの比はまるで変わる。ここを取り違えると比の選定自体が根本から狂う。

活躍する場面

新設キュービクルのCT選定。受電容量と受電電圧が決まった段階で、各フィーダのCT比・確度クラス・定格負担を一気に確定できる。プリセットで低圧動力盤・高圧受電・OCR保護・特高計器の典型条件を呼び出せるので、たたき台がすぐ作れる。

既設更新時の負担再チェック。古い盤の計器を新型に載せ替えると、機器の負担VAが変わる。「今のCTのままで負担は足りるか」を、機器チェックと配線こう長の入力だけで即座に検定できる。

計器増設時の余裕確認。既設のCTにトランスデューサや多機能計器を追加したいとき、合計負担が定格を超えないかを事前に確認できる。超えるなら配線の太径化か定格負担の上位選定という対策も示す。

電験三種・エネルギー管理士の学習。変流比の選定、二次負担、過電流定数の関係は受変電分野の頻出テーマ。数値を変えながら挙動を確かめると、暗記ではなく理屈で身につく。設備容量から一次電流を逆算する練習にも使える。

施工・積算での根拠づくり。見積時にCT比と定格負担の当たりを付けておけば、盤メーカーへの発注仕様がぶれない。特注域かどうかも即座に分かる。

基本の使い方

ステップ1: 入力モードかプリセットを選ぶ。 負荷電流が分かっているなら「負荷電流を直接入力」、設備容量kVAしか分からなければ「設備容量から算出」を選んで受電電圧を指定する。迷ったら低圧動力盤・高圧受電キュービクル・OCR保護・特高計器の4プリセットで全条件を一括セットできる。

ステップ2: 用途・機器・配線を入れる。 CT用途(計量用0.5級/保護用5P/兼用)を選び、二次側に繋ぐ計器・継電器をチェック、CTから計器盤までの片道こう長と配線サイズ、使うCTの定格負担VAを入力する。

ステップ3: 結果を読む。 直近上位の標準変流比、確度クラスと過電流定数の目安、機器+配線の合計二次負担、定格負担に対する余裕率と適否判定が並ぶ。負担が超過していれば赤で警告し、対策も表示する。結果はワンタップでコピーできる。

具体的な使用例・検証データ

実装済みのツールに同じ値を入れて出力を確認した7ケースを、「入力→結果→解釈」で示す。

ケース1: 低圧動力盤の電流計用(負荷電流直接)。 入力=負荷電流150A・余裕率25%・計量用・電力量計+電流計・2.0mm² 10m・定格負担15VA。結果=目標一次電流 150×1.25=187.5A → 直近上位の 200/5、確度0.5級(n≦5)、機器負担7.5VA+配線負担4.31VA=合計11.81VA、余裕21.3%で適合。解釈=負担は収まっているが余裕が20%強と薄め。将来この盤に計器を足す予定があるなら定格負担25VAのCTを選んでおくと安全。

ケース2: 低圧の大電流フィーダ(設備容量から)。 入力=210V・100kVA・計量用・電流計・2.0mm² 8m・定格負担10VA。結果=I=100000/(√3×210)=274.9A → 目標343.7A → 400/5、機器2.5VA+配線3.45VA=合計5.95VA、余裕40.5%で適合。解釈=低圧側は電流が数百Aと大きく、比も400/5と大きくなる。同じ100kVAでも受電電圧で比が桁違いになる好例。

ケース3: 高圧受電キュービクルの計量用。 入力=6.6kV・300kVA・計量用・電力量計・3.5mm² 20m・定格負担15VA。結果=I=300000/(√3×6600)=26.24A → 目標32.8A → 40/5、確度0.5級、電力量計5VA+配線4.93VA=合計9.93VA、余裕33.8%で適合。解釈=取引計量の定番構成。配線を3.5mm²にしておくと20mでも配線負担が約5VAに収まり、15VAのCTで十分こなせる。

ケース4: OCR保護用(高圧)。 入力=6.6kV・500kVA・保護用・OCR・2.0mm² 15m・定格負担40VA。結果=I=43.74A → 目標54.67A → 60/5、確度5P・過電流定数n≧10、OCR5VA+配線6.47VA=合計11.47VA、余裕71.3%で適合。解釈=保護用は事故電流まで飽和させないため過電流定数が大きいCT(40VA級)を選ぶことが多く、負担余裕もたっぷり。計量用とは狙いが違う。

ケース5: 特高の計器用で負担超過(兼用)。 入力=22kV・3000kVA・兼用・電力量計+電力計+トランスデューサ・5.5mm² 30m・定格負担15VA。結果=I=78.73A → 目標98.41A → 100/5、確度0.5級+5P、機器負担13VA+配線4.70VA=合計17.70VA。これが定格15VAを超え、余裕−18%で負担超過。解釈=機器を3台も繋いだうえ配線30mで負担が積み上がった。定格25VA以上のCTに上げるか、機器を計量用・保護用に分けるべき典型例。

ケース6: 目標一次がちょうど標準比に一致(境界)。 入力=負荷電流160A・余裕率25%・兼用・電力量計+OCR・3.5mm² 10m・定格負担25VA。結果=目標 160×1.25=200A ちょうど → 「以上」の最小なのでそのまま 200/5、合計12.46VA、余裕50.1%で適合。解釈=目標が標準比に一致したら、上の250/5ではなく200/5を選ぶ。境界の丸め方向が明確なので迷わない。

ケース7: 2000A超の特注域(範囲外)。 入力=負荷電流2000A・余裕率25%・保護用・OCR+DGR・5.5mm² 50m・定格負担40VA。結果=目標 2000×1.25=2500A で標準比の上限2000Aを超えるため 標準比の範囲外・特注域(表示は2000/5基準)、合計15.84VA、余裕60.4%。解釈=2500A相当は既製の標準変流比に無い。メーカー特注か、母線分割・複数回路への分散を検討する合図。負担検定は2000/5基準で継続して見られる。

7ケースを通して、低圧の大電流から特高の小電流、適合・負担超過・特注域までひととおりの挙動を確認できる。

仕組み・アルゴリズム

変流比の選定はなぜ単純な直近上位検索でよいか

標準変流比の一次電流は [10, 15, 20, 25, 30, 40, 50, 60, 75, 100, 125, 150, 200, 250, 300, 400, 500, 600, 750, 800, 1000, 1200, 1500, 2000] の24段で、すでに昇順にソートされている。求めたいのは「目標一次電流以上で最小の段」だから、配列を先頭から走査して最初に p >= targetPrimaryA を満たす p を返す .find() で必要十分だ。24要素の線形探索はO(24)=実質定数時間で、二分探索を持ち出す価値はない。該当が無ければ(目標が2000A超)overRangeフラグを立て、primaryCurrentA = 2000 として負担計算だけは継続する。境界も明快で、目標がちょうど200Aなら「以上」の条件を200が満たすので200/5を選び、上の250/5には飛ばない。

余裕率×1.25の由来

目標一次電流は targetPrimaryA = loadCurrentA × (1 + margin/100) で求める。既定の余裕率25%は係数1.25に対応する。これはCTの一次定格を常時負荷電流の125%以上に取るという実務の慣行に基づく。連続的に流れる負荷に対して定格ぎりぎりのCTを選ぶと、わずかな負荷増や高調波でCTが過負荷になり、精度低下や発熱を招く。将来の増設余地も見込んで25%程度の余裕を持たせるのが標準的だ。余裕率は入力で変えられ、空欄や負値は0%(×1.0)として扱う。

二次負担 = 機器Σ + 配線負担、配線負担 VA = I₂²×R の導出

二次負担は「接続機器の負担VA合計」と「二次配線の負担VA」の和で表す。

機器負担 = Σ(チェックした機器のVA)
          電力量計5 / 電流計2.5 / 電力計5 / トランスデューサ3 / OCR5 / DGR3 / 多機能計器1

配線負担 VA = I₂² × R_往復
            = 5² × (2 × こう長L × 導体抵抗r)
R_往復 = 往復2線ぶんの抵抗 = 2 × L × r

合計二次負担 = 機器負担 + 配線負担
負担余裕率 = (定格負担 − 合計二次負担) / 定格負担 × 100
適否 = 合計二次負担 ≦ 定格負担

負担がVA(皮相電力)になるのは、CTが電流源的に振る舞い二次に一定電流I₂を流すため、二次側インピーダンスZで消費される皮相電力が S = I₂² × Z になるからだ。二次電流はI₂=5A固定なので、負担は「電流の二乗25」に「二次側の抵抗」を掛けた形になる。配線は行きと帰りの2線ぶんが直列に効くので、往復抵抗は 2 × こう長 × 導体抵抗 になる。

標準軟銅から配線抵抗を出す計算例

導体抵抗は、標準軟銅(IACS 100%・焼なまし銅)の20°C体積抵抗率 1/58 = 0.0172414 Ω·mm²/m を公称断面積で割って求める。

2.0mm² : 0.0172414 / 2.0 = 0.0086207 Ω/m (= 8.62 Ω/km)
3.5mm² : 0.0172414 / 3.5 = 0.0049261 Ω/m (= 4.93 Ω/km)
5.5mm² : 0.0172414 / 5.5 = 0.0031348 Ω/m (= 3.13 Ω/km)

配線が長くなるほど配線負担が増えるので、こう長が長い盤ほど太径にして抵抗を下げるのが効く。たとえば同じ20mでも2.0mm²なら往復抵抗0.345Ω・配線負担8.62VAだが、5.5mm²なら往復0.125Ω・配線負担3.13VAまで下がる。

高圧受電キュービクルのステップバイステップ計算例

ケース3(6.6kV・300kVA・計量用・電力量計・3.5mm² 20m・定格負担15VA)を最初から追う。

① 負荷電流    I = 300000 / (√3 × 6600) = 300000 / 11431.5 = 26.24 A
② 目標一次    26.24 × 1.25 = 32.80 A
③ 変流比選定  32.80 以上で最小の標準段 → 40 → 40/5(比 n = 8)
④ 機器負担    電力量計 = 5.0 VA
⑤ 配線抵抗    3.5mm² → 0.0049261 Ω/m
⑥ 配線負担    5² × (2 × 20 × 0.0049261) = 25 × 0.197044 = 4.93 VA
⑦ 合計負担    5.0 + 4.93 = 9.93 VA
⑧ 適否        9.93 ≦ 15 → 適合、余裕 = (15 − 9.93) / 15 × 100 = 33.8%

このように、負荷電流の算出→余裕込みの目標→直近上位の比→機器と配線の負担→定格との照合、という一本道で答えが出る。各ステップの数値はすべてツールの出力と一致することを確認済みだ。

受変電設計の流れの中でのCT選定と他ツールとの違い

CT比の選定は、受変電設計という長い流れの中の一工程だ。上流から下流まで並べると位置づけがはっきりする。

  • デマンド・契約電力計算 — 一番上流。過去の使用電力量やデマンド値から契約電力を決める工程。ここで決まる電力の大きさが、そもそも受電設備の規模を左右する。CT選定より前にある入口の計算だ。
  • 変圧器容量の選定 — 契約電力と負荷から変圧器を何kVAにするかを決める工程。本ツールの「設備容量から算出」モードに入れる kVA は、まさにこの変圧器容量に相当する値になる。
  • CT比選定・二次負担検定(本ツール) — 変圧器の一次側・受電回路に流れる電流を、計器や継電器が扱える5Aへ変成するCTそのものを選ぶ工程。変流比と二次負担という、CT固有の2軸を決める。
  • OCR整定 — 下流。選んだCTの二次側に付く過電流継電器を、タップとレバーでどう整定するかを決める工程。CT比が決まって初めて、整定電流を実一次電流へ換算できる。

つまり本ツールは「電力の大きさ(上流)」と「保護の効かせ方(下流)」のちょうど中間にある。契約電力ツールや変圧器容量ツールは"どれだけの電力を受けるか"を扱い、OCR整定ツールは"異常時にどう切るか"を扱う。そのどちらでもなく、電流を測るための変成器そのものの比と、それに繋ぐ計器・配線の負担を検定するのが本ツールの守備範囲だ。

変流比だけを載せた早見表や、二次負担だけの計算式は個別に存在する。しかし「直近上位の比を選ぶ」と「その比のCTに機器と配線を繋いで負担が収まるか」を1画面で往復できるものは意外と少ない。上流・下流のツールと組み合わせれば、受電計画の骨格を短時間で通しで検討できる。

知っておきたい変流器の豆知識

二次側を絶対に開放してはいけない理由。 これはCTを扱ううえで最重要の安全ルールだ。通常、CT二次には計器や継電器が繋がり、二次電流が一次アンペアターンを打ち消している。ところが一次に電流が流れたまま二次を開放すると、打ち消しが消えて一次電流のすべてが励磁電流になる。鉄心は深く飽和し、二次巻線には尖った高電圧(数百V〜数kV級)が誘起される。感電・絶縁破壊の危険があるため、計器を外すときは必ず二次端子を短絡してから作業する。「電圧計は開放、電流計(CT)は短絡」と覚えておくとよい。

二次5Aと1A系の違い。 国内標準は二次5Aだが、二次1A系も存在する。違いが効くのは配線負担だ。配線負担は VA = I₂² × R で二次電流の2乗に比例するため、同じ配線でも1A系は5A系の 1/25 の負担で済む。CTから計器盤までが遠い大規模変電所や特別高圧では、この差を狙って1A系が選ばれる。本ツールは国内で最も一般的な5A固定としている。

過電流定数nの意味。 定格過電流定数nとは、比誤差が規定(一般に10%)に収まる限界の一次電流が、定格一次電流の何倍かを表す指標だ。保護用で n≧10 を要求するのは、事故電流(定格の10倍前後)まで鉄心を飽和させず、継電器へ正しい電流を渡し続けるため。逆に計量用は n≦5 とあえて小さくし、事故時に早く飽和させて計器を過電流から守る。nは定格負担のもとで定義される値で、実負担が定格より軽ければ実質的なnは大きくなる、という関係もある。

確度階級の使い分け。 計量用は誤差の小さい順に 0.1/0.2/0.5/1.0 級があり、取引用計量には 0.5級以上、一般の指示計器には 1級が使われる。保護用は 5P/10P のように「P(Protection)+許容比誤差%」で表す。5Pは定格過電流時の合成誤差が5%以内という意味だ。用途に対して過剰な高確度を選ぶと不経済になり、逆に不足すると計量や保護が成り立たない。

変流比の呼称。 200/5 は「一次200A/二次5A」を意味し、変流比 n は 200 ÷ 5 = 40 になる。カタログでは一次電流を前に置く 一次/二次 表記が一般的だ。

参考: 変流器 - Wikipedia計器用変成器 - Wikipedia

現場で効くCT選定のTips

  • 配線が長いなら太径化で配線負担を下げる。 配線負担は往復抵抗に比例するので、こう長が伸びるほど効いてくる。同じ距離でも 2.0mm² から 5.5mm² へ替えると抵抗はおよそ 8.62 → 3.13 Ω/km と 1/2.75 に下がり、配線負担もその分だけ小さくなる。本ツールで配線サイズを切り替えて、合計二次負担が定格に収まる最小径を探すとよい。
  • 計量用と保護用は分けたほうが無難。 高精度計量(0.5級)は軽負荷まで正確さを求め、保護用(5P・高過電流定数)は事故電流まで飽和しないことを求める。両者は鉄心設計の要求が相反するため、兼用より計量巻線・保護巻線を分けた多回路CT、あるいはCTそのものを別置するほうが素直な設計になりやすい。
  • 余裕率は将来増設を見込んで決める。 既定の25%(×1.25)は常時負荷の125%を一次定格とする慣行に対応する値だ。増設計画がある回路なら余裕率を大きめに取り、一段上の変流比を先に押さえておくと、後の盤改造を避けられる。
  • 定格負担は必ず銘板で確認する。 本ツールの推奨最小定格負担はあくまで一次電流帯からの目安。実機の定格負担・確度階級・過電流定数はCT銘板とメーカー仕様が正だ。負担が定格ギリギリのときは、銘板値で再検定してから確定する。

よくある質問

Q: CT比はどうやって決めればいい?

基本は「常時流れる負荷電流に選定余裕(既定25%=×1.25)を掛けた目標一次電流以上で、直近上位の標準比を選ぶ」だ。負荷電流が分かっていれば直接入力、変圧器容量や設備容量kVAしか手元に無ければ「設備容量から算出」モードで受電電圧を選べば I = 容量 / (√3 × 電圧) から負荷電流を求めてくれる。例えば負荷150A・余裕25%なら目標187.5A、標準比10/5〜2000/5の中から直近上位の 200/5 が選ばれる。

Q: 二次負担が定格負担を超えたらどうすればいい?

負担超過を放置すると比誤差・位相角が規格を外れ、計量精度の低下やOCRの誤動作を招く。対策は4つ。(1) 二次配線を太径化して配線負担を下げる、(2) 定格負担の大きいCT(例: 15VA → 25VA)を選ぶ、(3) 接続機器を整理して機器負担合計を減らす、(4) CTから計器盤までのこう長を短縮する。本ツールは配線サイズ・定格負担・接続機器を切り替えるたびに合計二次負担と適否を再判定するので、どの対策がどれだけ効くかを画面上で比較できる。

Q: 計量用と保護用のCTは分けるべき?

要求精度が厳しいなら分けるのが無難だ。計量用は確度0.5級で軽負荷まで正確さを、保護用は過電流定数n≧10で事故電流まで飽和しないことを求める。この2つは鉄心特性として相反する。兼用(0.5級 + 5P)も選べるが、高精度計量と確実な保護を両立したい場合は、計量巻線と保護巻線を分けた多回路CTか、CTを別置する構成を検討したい。取引用計量は計量法・電力会社の指定にも従う必要がある。

Q: 入力したデータはどこかに保存される?

すべての計算はブラウザ内で完結し、サーバーへ送信されることは一切ない。入力した設備容量・負荷電流・接続機器などがクラウドに保存されることもないため、設備情報の取り扱いが気になる場合でも安心して使える。「結果をコピー」で出力した内容は、社内検討資料の下書きとして手元で活用できる。

まとめ

CT比選定・二次負担検定ツールは、負荷電流または設備容量から標準変流比(10/5〜2000/5)を直近上位で選び、接続機器と二次配線こう長からの合計二次負担が定格負担に収まるかまでを1画面で検定する。変流比・確度クラス・過電流定数・二次負担という、CT選定に必要な要素をまとめて押さえられる。

受変電設計を通しで進めるなら、関連ツールも合わせて使ってほしい。

なお本ツールの標準変流比・機器負担VA・配線抵抗・過電流定数はJIS C 1731/JEC-1201系の一般的な代表値に基づく初期検討用の目安であり、確定選定は銘板・メーカー仕様と電気主任技術者の確認によるものとする。不具合や要望があれば、お問い合わせページから気軽に連絡してほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。受変電盤のCT欄で選定表と負担計算を何度も往復した経験から、変流比と二次負担を1画面で確定できるようこだわって作った。

運営者情報を見る

© 2026 CT比選定・二次負担検定ツール