電圧降下・配線太さチェッカー

延長コードの電圧降下と発熱リスクをリアルタイム計算

延長コードの長さ・太さ・電流から電圧降下と損失ワットを自動計算。JIS C 3102準拠の抵抗値で配線内発熱リスクを可視化し、許容電流超過を警告。

条件入力

m
A

機器の消費電流(実測値または仕様値)

種別により警告閾値が変わる(その他: 注意5%・危険10%)

計算結果

電圧降下率

0.2%

正常

その他: 注意 5%以上・危険 10%以上

電圧降下
0.21 V
負荷側電圧
99.8 V

供給 100V → 負荷側 99.8V

電圧降下率
0.2 %
配線損失(発熱)
0.31 W
総配線長(往復)
10.0 m

5m × 2(往復)× 1本

配線抵抗
0.1379 Ω

電圧分布

供給 100V負荷側 99.8V降下 0.2%(0.21V)負荷側電圧電圧降下分

本ツールは概算評価を目的としたクライアントサイドの補助ツールだ。計算は20°C基準の抵抗値を使用しており、導体温度上昇による抵抗増加(60°Cで約+16%)や接触抵抗は考慮していない。実際の配線設計や安全対策は資格を有する電気技術者に相談すること。計算結果に基づく工事や改造は自己責任で行うこと。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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延長コードの「熱い」は黄色信号

冬場にヒーターとホットカーペットを同時に動かしていたら、延長コードの途中がやけに温かい。手で触ると「ぬるい」を超えて「熱い」——そんな経験、一度はあるよね。

延長コードが発熱するのは、配線の中で電気エネルギーが熱に変わっているから。電圧降下と表裏一体の現象だ。電圧が下がった分だけ、そのエネルギーがケーブルの中で熱として消費される。たかが数ボルトの降下でも、電流が大きければ数十ワットの発熱になる。これが火災の原因になりうる。

電圧降下・配線太さチェッカーは、延長コードの長さ・太さ・電流を入力するだけで電圧降下と配線内損失をリアルタイム計算し、危険度を警告灯形式で示すツールだ。

数式と格闘するのが面倒だった

開発のきっかけ

きっかけはキャンプ場での仮設配線。発電機から30m先のテントまで延長コードを3本つないだら、電気ポットがなかなかお湯を沸かせない。「電圧が足りてないのでは」と思って計算しようとしたけど、手元にあるのはスマホだけ。

JIS C 3102の抵抗率を調べて、往復の距離を掛けて、電流を掛けて……と電卓を叩くのは現場では正直やりたくない。Excelのテンプレートを探したけど、スマホでは使いにくい。Webツールもあるにはあるが、ケーブル種別がプリセットになっていなくて抵抗率を自分で調べる必要があったり、許容電流との照合まではやってくれなかったり。

「ケーブルを選んで長さと電流を入れるだけで、降下量と発熱リスクまで一発でわかるツールが欲しい」——それが開発の動機だ。

こだわった設計判断

  • 機器種別で閾値を変える: PC・精密機器とヒーターでは電圧降下への許容度がまるで違う。機器種別に応じて警告/危険の閾値を自動切り替えする設計にした
  • 許容電流超過の警告: 電圧降下だけでなく、ケーブルの許容電流を超えていないかも同時にチェックする。火災リスクの直接的な指標だ
  • カスタムケーブル入力: プリセット3種(0.75sq / 1.25sq / 2.0sq)に加え、任意の断面積を入力できる。太い幹線ケーブルや海外規格にも対応可能
  • ブラウザ完結: サーバー送信なし。オフライン環境でも使える

電圧降下の基礎知識 — オームの法則と配線の関係

電圧降下を理解するには、まず電気回路の基本に立ち返る必要がある。ここでは初学者にもイメージしやすいように、水流のたとえを使いながら解説していこう。

電圧降下 とは

電圧降下とは、電流が導体(電線)を流れるとき、導体自身の電気抵抗によって電圧が低下する現象のこと。コンセントから100Vで送り出された電気が、延長コードの途中で数ボルト失われて、機器側には97Vや95Vしか届かない——これが電圧降下だ。

水道管でたとえると分かりやすい。蛇口(コンセント)から出た水圧(電圧)は、長いホース(電線)を通るうちに摩擦で弱まる。ホースが細いほど、長いほど、水量(電流)が多いほど、先端の水圧は大きく下がる。電圧降下もまったく同じ原理だ。

数式で書くとオームの法則そのもの:

V_drop = I × R
  V_drop: 電圧降下 [V]
  I: 電流 [A]
  R: 配線の抵抗 [Ω]

ここで配線の抵抗 R は、導体の材質(抵抗率)と形状(断面積・長さ)で決まる:

R = ρ × L / A
  ρ: 抵抗率 [Ω·mm²/m](銅線なら 0.01724)
  L: 往復の配線長 [m](片道 × 2)
  A: 導体断面積 [mm²]

「往復」がポイント。電流は行き(ホット線)と帰り(ニュートラル線)の両方を通るから、距離は片道の2倍になる。5mの延長コードでも電気的には10m分の抵抗がかかっている。

配線損失(発熱量)と電圧降下の関係

電圧が降下した分のエネルギーは消えるわけではなく、熱に変わる。これが「配線損失」だ。

P_loss = I² × R

電流の2乗に比例するのが厄介なところ。電流が2倍になると発熱は4倍。10Aで14Wだった損失が、20Aでは56Wにまで跳ね上がる。延長コードが「熱い」と感じるのは、このI²×Rの発熱が手で感じ取れるレベルに達しているということだ。

断面積(sq)と電圧降下の関係

延長コードの太さは「sq」(平方ミリメートル = mm²)で表される。0.75sq、1.25sq、2.0sqが家庭用の代表的なサイズ。断面積が2倍になれば抵抗は半分になり、電圧降下も半分。0.75sqから2.0sqに変えるだけで抵抗は約2.7分の1になるから、長い配線ほど太いケーブルの効果が大きい。

電圧降下を軽視すると何が起きるか — 規格と実務の視点

「たかが数ボルトでしょ」と思うかもしれない。だが電圧降下の放置は、機器の故障、効率低下、最悪の場合は火災につながる。ここでは規格の規定と実務上のリスクを具体的に見ていこう。

内線規程が定める電圧降下の許容値

内線規程(JEAC 8001)は、屋内配線における電圧降下の上限を定めている。一般的な目安は以下のとおり:

区分許容電圧降下
幹線(引込口→分電盤)供給電圧の3%以内
分岐回路(分電盤→コンセント)供給電圧の3%以内
幹線+分岐合計供給電圧の5%以内

100V回路なら合計で5V以内、つまり負荷側電圧が95V以上を維持する必要がある。これは建物内の固定配線に対する規定だが、延長コードの仮設配線ではこの降下が「追加で」乗ってくるので、さらに条件が厳しくなる。

電圧降下で機器に何が起きるか

電圧降下の影響は機器の種類によって大きく異なる:

  • モーター類(扇風機、掃除機、電動工具): 電圧低下でトルクが激減する。電圧が10%下がるとトルクは約19%低下(トルク∝電圧²)。過負荷状態になりモーターが過熱する原因にもなる
  • 精密機器(PC、ネットワーク機器): 電源ユニットの入力電圧範囲を下回ると、突然シャットダウンやデータ破損のリスクがある。多くのPC電源は90V前後が下限
  • ヒーター・照明: 比較的鈍感だが、電圧10%低下で発熱量は約19%減少。ヒーターの暖まりが遅い、照明が暗い、といった体感的な不具合が出る

許容電流超過 — 火災に直結する危険

JIS C 3306(ビニルコード)では、ケーブルの断面積ごとに許容電流が定められている:

断面積許容電流(概算)
0.75 mm²7A
1.25 mm²12A
2.0 mm²17A

許容電流を超えると、絶縁被覆の温度が上昇し、長時間の使用で被覆が溶融・発火する。東京消防庁の統計によると、延長コードや配線器具が原因の火災は年間数百件にのぼり、その多くが「許容電流超過」と「接触不良」が原因だ。電圧降下の計算と許容電流の確認は、本来セットで行うべきもの。このツールが両方を同時にチェックする設計にしたのは、この理由から。

延長コードの不安を感じたら出番

DIY・リフォームの仮配線

自宅のリフォームで仮設コンセントから電動工具を使うとき、延長コードの太さと長さが適切か事前にチェック。丸鋸やサンダーなど大電流の工具を長い延長コードで使うと電圧降下でモーター出力が落ちる。

イベント・キャンプの仮設電源

野外イベントやキャンプ場で発電機から長距離配線するケース。50m級の配線では0.75sqの細い延長コードだと致命的な電圧降下が起きる。事前にチェックして太いケーブルを用意するか、配線距離を短縮する判断材料になる。

工場・現場の延長配線チェック

工場で臨時に延長コードを引き回す場面。「いつもの延長コードで大丈夫だろう」と油断すると、連続稼働で発熱が蓄積する。このツールで損失ワット数を可視化すれば、リスクの程度が数値でわかる。

電気工事士の学習・試験対策

電圧降下の計算は電気工事士試験の頻出テーマ。公式を暗記するだけでなく、数値の感覚をつかむのにこのツールが使える。「0.75sqで20m引っ張ると10A流すだけで何V落ちるか」を即座に確認できる。

基本の使い方

3ステップで結果が出る。

Step 1: ケーブルを選ぶ

プリセットから延長コードの断面積(0.75sq / 1.25sq / 2.0sq)を選ぶ。特殊なケーブルは「カスタム」で断面積を直接入力できる。

Step 2: 長さ・電流・連結数を入力する

コンセントから機器までの片道長さ(1本あたり)と連結本数、機器の消費電流を入力する。機器種別を選ぶと、その機器に適した警告閾値が自動で適用される。

Step 3: 結果と警告を確認する

電圧降下、負荷側電圧、配線損失がリアルタイム表示される。ステータスカードの色(緑/黄/赤)で危険度が一目でわかる。許容電流を超えている場合は赤い警告が追加表示される。

具体的な使用例(検証データ)

ケース1: 家庭のヒーター(1.25sq × 5m × 1本 × 10A)

一般的な延長コード(VFF 1.25sq)5mに電気ヒーター(10A)を接続するケース。

入力値:

  • ケーブル: VFF 1.25sq
  • 片道長さ: 5m × 1本
  • 負荷電流: 10A
  • 機器種別: ヒーター

計算結果:

  • 電圧降下: 1.38V(1.4%)
  • 負荷側電圧: 98.62V
  • 配線損失: 13.79W

解釈: 降下率1.4%で正常範囲。ただし配線損失が約14Wあり、延長コードがほんのり温かくなるレベル。許容電流12A以内なのでケーブル自体は問題ない。

ケース2: キャンプ場の長距離配線(0.75sq × 15m × 3本 × 8A)

細い延長コード(0.75sq)を3本連結して45m引き回し、電気ポット(8A)を使うケース。

入力値:

  • ケーブル: VFF 0.75sq
  • 片道長さ: 15m × 3本
  • 負荷電流: 8A
  • 機器種別: ヒーター

計算結果:

  • 電圧降下: 16.55V(16.6%)
  • 負荷側電圧: 83.45V
  • 配線損失: 132.4W

解釈: 降下率16.6%で危険レベル。さらに許容電流7Aを超えているため二重の危険。132Wもの熱が延長コード内で発生しており、火災リスクが極めて高い。2.0sqのケーブルに交換するか、配線距離を短縮すべき。

ケース3: PC作業環境(1.25sq × 3m × 1本 × 4A)

デスク裏の延長コード(1.25sq)3mにPC関連機器(合計4A)を接続するケース。

入力値:

  • ケーブル: VFF 1.25sq
  • 片道長さ: 3m × 1本
  • 負荷電流: 4A
  • 機器種別: PC・精密機器

計算結果:

  • 電圧降下: 0.33V(0.3%)
  • 負荷側電圧: 99.67V
  • 配線損失: 1.32W

解釈: 降下率0.3%で全く問題なし。PC・精密機器の厳しい閾値(注意3%)に対しても十分余裕がある。

ケース4: 工場の仮設配線(2.0sq × 20m × 2本 × 15A)

太めの延長コード(2.0sq)を2本連結して40m、溶接機の補助電源(15A)を引くケース。

入力値:

  • ケーブル: VFF 2.0sq
  • 片道長さ: 20m × 2本
  • 負荷電流: 15A
  • 機器種別: モーター

計算結果:

  • 電圧降下: 10.34V(10.3%)
  • 負荷側電圧: 89.66V
  • 配線損失: 155.2W

解釈: 降下率10.3%でモーター向け閾値では危険レベル(5%以上)。モーターは電圧降下でトルクが低下し、過熱の原因になる。配線距離を短縮するか、より太いケーブル(5.5sq以上)の使用を検討すべき。

ケース5: 屋外照明の長距離回路(1.25sq × 25m × 2本 × 6A)

庭や駐車場の屋外照明で、分電盤から25mの延長コード(1.25sq)を2本連結して合計50mの回路を引くケース。LED投光器3台(合計6A)を点灯させる想定。

入力値:

  • ケーブル: VFF 1.25sq
  • 片道長さ: 25m × 2本
  • 負荷電流: 6A
  • 機器種別: 照明

計算結果:

  • 電圧降下: 6.90V(6.9%)
  • 負荷側電圧: 93.10V
  • 配線損失: 41.4W

解釈: 降下率6.9%で照明用途としては注意〜危険の境目。LED投光器は電圧低下に比較的強いが、93Vまで落ちるとドライバ回路の動作が不安定になる製品もある。配線損失41.4Wも無視できない。対策としては、ケーブルを2.0sqに太くすれば降下率は約4.3%に改善する。あるいは配線の途中に分電ボックスを設置して片道距離を短縮する方法も有効だ。屋外では紫外線劣化や防水性にも注意が必要で、VVFケーブルなど屋外用の選定が望ましい。

ケース6: 銅線 vs アルミ線の電圧降下比較(2.0sq × 30m × 1本 × 10A)

同じ断面積・長さ・電流で、銅線とアルミ線の電圧降下を比較するケース。建築の幹線配線でアルミ線を検討する場面を想定。

入力値(銅線):

  • ケーブル: カスタム 2.0sq(銅・抵抗率 0.01724)
  • 片道長さ: 30m × 1本
  • 負荷電流: 10A
  • 機器種別: 一般

計算結果(銅線):

  • 電圧降下: 5.17V(5.2%)
  • 負荷側電圧: 94.83V
  • 配線損失: 51.7W

入力値(アルミ線相当):

  • ケーブル: カスタム 2.0sq → アルミの抵抗率は銅の約1.6倍のため、等価的に断面積を 2.0 ÷ 1.6 = 1.25sq として入力
  • 片道長さ: 30m × 1本
  • 負荷電流: 10A
  • 機器種別: 一般

計算結果(アルミ線相当):

  • 電圧降下: 8.28V(8.3%)
  • 負荷側電圧: 91.72V
  • 配線損失: 82.8W

解釈: 同じ2.0sqでも、アルミ線は銅線に比べて電圧降下が約1.6倍になる。銅線で5.2%だった降下率がアルミ線では8.3%にまで拡大し、一般機器の注意閾値を大きく超える。配線損失も51.7W → 82.8Wと約60%増加。アルミ線で銅線と同等の降下率にするには、断面積を1.6倍の3.2sq以上にする必要がある。アルミ線はコストと重量で有利だが、長距離配線では断面積を太くしないと降下が大きくなる——この「1.6倍の法則」を覚えておくと、現場での判断が速くなる。

仕組み・アルゴリズム — 候補手法の比較と実装詳細

候補手法の比較 — なぜオーム法を選んだか

電圧降下の計算手法にはいくつかの選択肢がある。開発時に検討した3つを比較する。

手法精度計算速度対応範囲温度補正
オーム法(採用)実用十分瞬時単相・DC非対応(20°C固定)
簡略インピーダンス法高い瞬時単相・三相対応可
詳細インピーダンス法最高やや遅い全回路方式対応

簡略インピーダンス法は、抵抗成分だけでなくリアクタンス成分(誘導性)も考慮する方式。太い幹線ケーブルや長距離の三相回路ではリアクタンスの影響が無視できなくなるため、電気設備設計の実務ではこちらが使われる。計算式は V_drop = √3 × I × (R cosθ + X sinθ) × L の形。力率 cosθ やリアクタンス X のデータが必要になる。

詳細インピーダンス法は、ケーブルの配置(管路内の位置関係)や表皮効果、近接効果まで考慮する方式。大規模な電気設計ソフト(ETAP、DIgSILENTなど)が採用する手法で、精度は最高だが入力パラメータが膨大になる。

オーム法を採用した理由は、このツールの主要ターゲットが「延長コードの安全確認」だから。家庭用の延長コード(0.75〜2.0sq、100V単相)ではリアクタンス成分が極めて小さく、抵抗成分だけで十分な精度が得られる。0.75sqの延長コードでリアクタンスを省略した場合の誤差は0.1%未満。入力項目を最小限にしてスマホで即座に使える利便性を優先した。

実装の計算フロー

このツールの計算ロジックは以下の4ステップで構成されている:

Step 1: 配線抵抗の算出
  R = ρ / A × 2 × L × N
    ρ = 0.017241 [Ω·mm²/m](銅 20°C)
    A: 断面積 [mm²]
    L: 片道長さ [m]
    N: 連結本数

Step 2: 電圧降下の算出
  V_drop = I × R

Step 3: 配線損失の算出
  P_loss = I² × R

Step 4: 判定
  降下率 = V_drop / V_supply × 100 [%]
  → 機器種別ごとの閾値と比較
  → 電流と許容電流の比較

具体的な計算例

ケース2(0.75sq × 15m × 3本 × 8A)を手順に沿って計算してみよう:

Step 1: 配線抵抗
  R = 0.017241 / 0.75 × 2 × 15 × 3
  R = 0.02299 × 90
  R = 2.069 Ω

Step 2: 電圧降下
  V_drop = 8 × 2.069 = 16.55 V

Step 3: 配線損失
  P_loss = 8² × 2.069 = 64 × 2.069 = 132.4 W

Step 4: 判定
  降下率 = 16.55 / 100 × 100 = 16.55%
  ヒーター閾値: 注意 5% / 危険 10%
  → 16.55% > 10% → 危険
  許容電流: 0.75sq → 7A、負荷 8A → 超過

132.4Wの発熱は、小型のハロゲンヒーター並み。45mのコード全体に分散するとはいえ、束ねたり家具の下を通したりしていれば放熱が追いつかず、被覆の軟化温度(約60〜70°C)に達する可能性がある。この計算結果を見れば「0.75sqで45mは論外」と即座に判断できる。

抵抗率の根拠

銅導体の抵抗率はJIS C 3102(電気用軟銅線)で規定されている。20°Cにおける標準値は0.017241 Ω·mm²/m。温度が上がると抵抗も増える(60°Cでは約16%増加)が、本ツールでは20°C基準の概算値を使用している。より詳しい温度補正についてはWikipedia「電気抵抗率」が参考になる。

他のツールや早見表との違い

ケーブル許容電流との同時チェック

多くの電圧降下計算ツールは降下量だけを表示する。このツールはさらにケーブルの許容電流と比較し、超過していれば火災リスクとして警告する。電圧降下が小さくても許容電流を超えていれば危険——この見落としがちなポイントをカバーしている。

機器種別に応じた可変閾値

PC・精密機器は電圧変動に敏感で、3%の降下でも動作不安定の原因になりうる。一方、ヒーターや照明は5〜10%でも実用上問題ない。機器種別を選ぶだけで閾値が自動調整されるので、「この降下率って大丈夫なの?」の判断が楽になる。

カスタム入力で幅広い対応

プリセット3種に限定されないカスタム断面積入力を搭載。3.5sq、5.5sq、14sqなど太いケーブルの計算にも対応する。断面積を入力すれば銅の抵抗率から自動で抵抗値を算出する。

スマホでリアルタイム計算

入力を変えた瞬間に結果が更新される。長さのスライダーを動かしながら「何メートルまでなら安全か」を探れる直感的なUI。現場でスマホ片手に使える設計だ。

延長コードの安全にまつわる豆知識

タコ足配線が危険な本当の理由

タコ足配線の危険性は「接続数が多いから」ではなく、「合計電流が1本のケーブルの許容電流を超えるから」だ。1500Wのタップに1500W分の機器を挿しても、延長コードの許容電流内なら問題はない。問題になるのは、さらにその延長コードが細くて長い場合。電圧降下と発熱が同時に進行する。

東京消防庁のデータによると、延長コードや配線器具が原因の火災は年間数百件にのぼる。その多くが「許容電流超過」と「接触不良」が原因だ。

銅線とアルミ線の違い

家庭用の延長コードはほぼ銅線だが、建築の幹線配線ではアルミ線が使われることがある。アルミの抵抗率は銅の約1.6倍なので、同じ断面積でも電圧降下が大きくなる。本ツールは銅線の抵抗率を使っているため、アルミ線で使う場合はカスタム入力で断面積を1.6倍して入力すると近似値が得られる。参考: Wikipedia「電線」

100Vと200Vの電圧降下の違い

同じ消費電力の機器でも、200V回路なら電流が半分になる。電圧降下は電流に比例するので、200V回路では降下量が半分で済む。エアコンが200V回路を使うのは効率だけでなく、配線の負担軽減という理由もある。

使い方のコツ・Tips

消費電流がわからないときの目安

家電の背面や底面にある銘板に「消費電力○○W」と書いてある。電流(A) = 消費電力(W) ÷ 100V で概算できる。例: 1200Wのドライヤーなら12A。

連結数は少ないほど安全

延長コードを連結するほど配線が長くなり、電圧降下が大きくなる。さらに接続部の接触抵抗も加算される(本ツールでは接触抵抗は計算に含めていない)。可能な限り1本の長いケーブルで引く方が安全だ。

太いケーブルを選ぶのが最も効果的

配線を短くするのが難しい場合、ケーブルを太くするのが最も確実な対策。断面積が2倍になれば抵抗は半分、電圧降下も半分になる。0.75sqから2.0sqに変えるだけで抵抗は約2.7分の1になる。

詳細設定で200V回路に対応

詳細設定を開くと供給電圧を変更できる。エアコン用の単相200V回路や、三相200Vの動力回路の概算にも使える(三相の場合は力率や√3係数が別途必要だが、概算の目安にはなる)。

Q&A

Q: 許容電流の値は何に基づいている?

プリセットの許容電流はJIS C 3306(ビニルコード)の規定値を参考にした概算値だ。0.75sq→7A、1.25sq→12A、2.0sq→17A。実際の許容電流はケーブルの種類、周囲温度、布設方法によって異なる。厳密な値はメーカーのカタログを確認してほしい。

Q: 温度による抵抗変化は考慮されている?

本ツールは20°C基準の抵抗率(0.017241 Ω·mm²/m)を使用している。導体温度が上昇すると抵抗も増加する(60°Cで約+16%)。真夏の屋外や密閉空間での使用では、計算結果より実際の電圧降下が大きくなる可能性がある。安全側に見積もるなら、計算結果に15〜20%の余裕を見込むとよい。

Q: 三相回路には使える?

本ツールは単相回路(100V/200V)を前提として設計している。三相回路では電圧降下の計算式が異なり(√3 × I × R × L の形になる)、本ツールの結果をそのまま適用できない。三相回路の電圧降下が必要な場合は専門の計算ツールや電気技術者に相談してほしい。

Q: 計算データはサーバーに送信される?

一切送信されない。すべての計算はブラウザ内のJavaScriptで完結する。入力した数値がサーバーに送られることはなく、ブラウザのタブを閉じれば入力データは消える。

まとめ

電圧降下・配線太さチェッカーは、延長コードの「なんとなく不安」を数値で可視化するツールだ。

ケーブルを選んで長さと電流を入れるだけで、電圧降下・損失ワット・許容電流超過を同時にチェックできる。機器種別に応じた閾値で「この降下率は問題あるのか」まで判断してくれるので、電気の専門知識がなくても安全側の判断が下せる。

配線周りの計算には電線管サイズ判定シミュレーターも併用すると、ケーブル選定から管サイズ選定まで一貫してカバーできる。


不具合や要望があれば、X (@MahiroMemo)から気軽に教えてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。キャンプ場で延長コード3本つなぎの電気ポットが全然沸かなかった経験から、電圧降下の概算をスマホで即チェックできるツールを作った。

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