比重1.25を見て「まだ8割ある」と判断した、真冬の朝の話
冬の朝、車庫でボンネットを開けて液口栓を外し、スポイト式の比重計で電解液を吸い上げた。浮ひょうの目盛りは1.25。前の晩に見た対応表には「比重1.250 → 充電率81.25%」と書いてあった。8割残っているなら十分だと判断して、その日は何もしなかった。夕方、駐車場でキーをひねったら、セルは「カチッ」と鳴っただけだった。
後から分かったのは、その朝の液温が0℃近かったこと。比重計の目盛りは液温で動く。0℃で読んだ1.250は、20℃基準に直すと1.2360で、充電率にすると72.5%。対応表の81.25%は、あくまで液温20℃で読んだときの話だった。差は9ポイント弱。それだけで「良好」と「要充電」の境界(75%)をまたいでいた。
どの対応表にも、よく読むと「20℃において」と小さく書いてある。書いてはあるのだ。ただ、比重計の目盛りを読んだその瞬間に「それは何度の液で読んだ値か」を聞いてくるページが1つも無かった。数字を入れる欄が無いのだから、聞きようがない。
このツールは、その1問を必ず聞く。比重計で読んだ生の値と液温を入れると、20℃・25℃・80°F の3つの基準温度に換算した比重と充電率を返す。ついでに、比重計を持っていない人のために開回路電圧からの経路も用意して、両方入れたときは2つの答えを突き合わせるようにした。
対応表はあるのに、入力欄がどこにも無かった
「バッテリー 比重 充電率」で検索して出てくるのは、ほとんどが静的な対応表だった。1.280=100%、1.250=81.25%、1.200以下は要充電。この3行がページの真ん中に貼ってあって終わり。液温に触れているページもあるにはあるが、そこでも「1℃につき0.0007を足し引きする」と式を書くところまでで、足し引きはユーザーの仕事になっている。メーカーの取扱説明書はもっと正確だが、PDFの表を目で引く形で、しかも自社製品の種別しか載っていない。開放型の始動用バッテリーを持った人がディープサイクルの表を見て判定を誤る余地が、そのまま残っている。
作った理由は2つある。
1つめは、温度補正を必ず通したかったこと。同じ比重1.250でも、液温0℃なら72.5%、20℃なら81.25%、35℃なら87.8%。判定は「要充電・良好・良好」と割れる。手で0.0007を足し引きしていると「まあ誤差だろう」で飛ばしてしまう幅が、実際には判定の境界をまたぐ幅だと目に見えるようにしたかった。
2つめは、比重と開回路電圧という独立した2つの経路で充電率を出して、突き合わせたかったこと。この2つは測っている物理量が違う。片方は電解液の濃さ、もう片方は極板間に立っている起電力。健全なバッテリーなら両者は一致する。ずれたときは、ずれの向きが原因を教えてくれる。電圧だけが高い場合は充電直後の表面電荷。電圧だけが低い場合はセルの内部短絡や端子の接触抵抗。この切り分けは、どちらか片方だけを測っていると絶対に出てこない情報だった。
おまけのつもりで足したのが電解液の凍結温度なのだが、実際に数字を出してみると、これが一番怖い量だった。詳しくは次の節に書く。
バッテリー液の比重が充電率を表すのはなぜか
バッテリー 比重 とは — 硫酸が極板に消えていく
鉛蓄電池の放電は、こういう反応で進む。
Pb + PbO2 + 2H2SO4 → 2PbSO4 + 2H2O (放電・逆向きが充電)
左辺の硫酸(H2SO4)が、両方の極板に硫酸鉛(PbSO4)として取り込まれていく。代わりに右辺で水(H2O)ができる。つまり放電が進むほど、電解液は硫酸が抜けて水に近づく。充電すると硫酸が液へ戻ってきて、また濃くなる(Wikipedia『鉛蓄電池』)。
比重というのは、同じ体積の水と比べて何倍重いかという値だ。純水が1.000で、満充電の電解液がおよそ1.28。砂糖水を思い浮かべると分かりやすい。煮詰めれば濃く重くなり、水を足せば薄く軽くなる。鉛蓄電池の電解液は、放電のたびに「砂糖が壁に貼り付いていく砂糖水」のようなもので、液の濃さがそのまま残量メーターになる。
これは鉛蓄電池に特有の性質だ。リチウムイオン電池では電解液は反応物ではなく、イオンの通り道でしかないので、液の濃さから残量は読めない。鉛蓄電池だけが、蓋を開けて液を吸えば残量が分かる。公益社団法人 日本電気技術者協会も『二次電池について(1)鉛蓄電池』で「放電が進むに従って電解液の硫酸の濃度が低下するので、液の比重が低下する」と、この関係をそのまま解説している。
バッテリー 比重 温度補正 — 0.0007/℃ の正体
ところが比重計の目盛りは、液の温度でも動く。液体は温まると膨らむ。中身の硫酸の量が同じでも、体積が増えれば1cm³あたりの重さは軽くなる。つまり熱い液は薄く読め、冷たい液は濃く読める。充電状態は何も変わっていないのに、である。
換算はこの1本の式で足りる。
S_ref = S_t + 0.0007 × (t − ref)
S_t : 液温 t℃ で読んだ生の比重
ref : 直したい基準温度 [℃]
0.0007 : 電解液比重の温度係数 [1/℃]
符号の向きを間違えやすいので、体で覚えておくとよい。熱い液で読んだ値は、基準温度に直すと上がる。35℃で1.250を読んだなら、20℃換算では 1.250 + 0.0007 × (35 − 20) = 1.2605 で、実は思ったより充電されている。逆に0℃で読んだ1.250は 1.250 + 0.0007 × (0 − 20) = 1.2360 まで下がる。冒頭の失敗はこれだった。
係数0.0007はJIS D 5301:2019(始動用鉛蓄電池)が持っている換算式 D25 = Dt + 0.0007 (t − 25) そのものだ。
満充電 比重 1.280 と JIS の 1.277 は、同じ値の別表記だった
ここで1つ、調べていて引っかかったことがある。JIS D 5301:2019 の出荷条件には「電解液密度は,満充電時,25 ℃において,通常,1.277±0.010 g/cm3とする」と書いてある。ところが国内の整備現場でも解説記事でも、満充電は1.280と言われる。1.277と1.280。近いが、一致しない。
答えは、同じ規格が持っている換算式そのものにあった。25℃の1.277を、20℃基準に直してみる。
1.277 + 0.0007 × (25 − 20) = 1.2805
四捨五入して1.280。つまり「満充電は比重1.280」というのは規格値そのものではなく、規格値を20℃基準で言い直した表記だった。2つの数字は矛盾していない。基準温度が5℃違うだけだ。
これが分かると、対応表を見るときに真っ先に確認すべきなのは「その表は何度基準か」だと分かる。国内の表は20℃、JIS は25℃、米国メーカーの表は80°F(26.67℃)。同じ比重の数字が3つの土俵に置かれている。だからこのツールは、3つの換算値を同時に出す。手元の表がどの基準で書かれていても、読み替えずに突き合わせられる。
この数字を読み違えると何が起きるか
充電率50%を切ったまま放置するとサルフェーションが進む
放電で極板にできた硫酸鉛は、本来は充電で溶けて液に戻る。ところが放電状態のまま長く置くと、この硫酸鉛が硬い結晶に育つ。こうなると充電しても溶けにくく、その分の極板面積が死んだままになる。容量が戻らない。
始動用バッテリーではこれが独特の形で出る。エンジン始動は一瞬に数百アンペアを流す作業なので、必要なのは容量よりも「一気に電流を出せる有効面積」だ。だから面積が減ると、電圧計では正常に見えるのに、冬の朝だけセルが回らないという症状になる。テスターで12.4Vを確認して安心していると、次の冷え込みでやられる。
放電した電解液は、高い温度で凍る
もっと分かりやすい実害がこれだ。放電が進んだ電解液は水に近いので、凍結温度が跳ね上がる。BCI Service Manual の表(トロージャンの取扱説明書 6.2 に転載)はこうなっている。
| 比重(80°F換算) | 電解液の凍結温度 |
|---|---|
| 1.280 | −68.9℃ |
| 1.265 | −57.4℃ |
| 1.250 | −52.2℃ |
| 1.200 | −26.7℃ |
| 1.150 | −15.0℃ |
| 1.100 | −7.2℃ |
満充電なら−68.9℃まで凍らない。日本のどこに置いても凍りようがない。ところが比重が1.150あたりまで下がると、凍結温度は−15℃前後まで上がる。開放型なら充電率2割を切っている領域だ。日本の寒冷地の冬の朝は、ここに普通に届く。
凍ると電解液が膨張して極板を押し、変形させる。電槽が割れることもある。解凍しても元には戻らない。「冬にバッテリーが上がった」の最悪の形がこれで、しかも上がったまま放置した結果として起きるのがたちが悪い。上がった時点で満充電まで戻していれば、凍結温度は−50℃より下に逃げていた。
セル間の比重差 — 代表値1点では絶対に見えない
12Vバッテリーは2Vのセル6個の直列だ。1つのセルだけが劣化しても、端子で測る電圧は残り5個が支えるので、外からは分かりにくい。代表値として1セル分の比重を測っただけでも同じで、たまたま健全なセルを吸ってしまえば「良好」と出る。
だから測るなら全セルだ。しきい値は2つの資料が別々に定めている。トロージャンの取扱説明書 9.3 は「If any battery has a specific gravity variation of more than 0.030 between cells, equalize the set.(セル間の比重差が0.030を超えたら均等充電をかけろ)」。FAA AC 43.13-1B の 11-19 は「When a specific gravity difference of 0.050 or more exists between cells of a battery, the battery is approaching the end of its useful life(0.050以上の差があるバッテリーは寿命末期に近づいている)」。
直列は一番弱いセルで性能が決まる。1セル死ねば、残り5個がどれだけ健全でも全体が使えない。
ディープサイクルは、深く使えるが底も決まっている
種別で判定の物差しが変わることも押さえておきたい。トロージャンは放電深度80%、つまり充電率20%を超える放電を明示的に禁じている。ディープサイクルは深く使うことを前提に作られているが、その代わり底が決まっている。
このツールが判定しきい値を種別で変えているのはそのためだ。開放型(始動用)・AGM・GEL は 90/75/50%、ディープサイクル(液式)は 90/50/20%。同じ「充電率30%」でも、始動用なら過放電で即対処、ディープサイクルなら要充電の範囲内という扱いになる。種別を取り違えると、判定が丸ごと1段ずれる。
バッテリーの比重を測るのは、こんな場面
冬の朝、エンジンがかからなかった翌日。 充電すれば直るのか、それとも交換なのかを決めたい。比重が残っているのに電圧だけが低いなら、それは充電不足ではないので充電しても直らない。この切り分けが1画面で付く。
キャンピングカーや車中泊のサブバッテリーを、季節をまたいで管理するとき。 夏の車内は液温が40℃を超え、冬の朝は氷点下まで下がる。去年の夏に測った比重と今朝の比重を同じ土俵に載せるには、温度換算が要る。生の目盛りのまま記録していると、季節変動と劣化の区別が付かない。
非常用電源やUPSの据置バッテリーの定期点検。 ここではセル別に測って記録を残すことに意味がある。全体の比重は前回とほぼ同じでも、セル間の差だけが0.010から0.035へ広がっていれば、劣化は着実に進んでいる。
フォークリフトやゴルフカートのディープサイクルバッテリー。 均等充電(イコライズ)をいつかけるかを、感覚ではなくセル間差0.030という数字で決められる。かけすぎれば電解液が減り極板も傷むので、必要なときだけかけたい。
基本の使い方
ステップ1 — バッテリー種別とセル数を選ぶ
液口栓を開けて電解液を吸える構造なら、開放型(補水式・始動用)かディープサイクル(液式)。栓が無く完全に密閉されているなら制御弁式(AGM / GEL)だ。鉛蓄電池は1セルが約2Vなので、セル数は12Vなら6、8Vなら4、6Vなら3を選ぶ。種別を選ぶと、その種別の対応表が何度基準で、満充電と放電端の比重がいくつなのかが表示される。
ステップ2 — 比重(または電圧)と液温を入れる
比重は、比重計で読んだ生の値をそのまま入れてほしい。温度補正はツール側でやるので、自分で足し引きしておく必要はない。
液温の欄には、外気温ではなく電解液そのものの温度を入れる。ここが一番ずれる。冬の朝の車庫で外気温が−5℃でも、前夜に走っていれば液温は10℃を超えている。逆に真夏の走行直後なら40℃を超える。棒温度計を液に差せるのが理想だが、難しければ「何時間停まっていたか」から見当を付けて、値を振ってみるとよい。液温を変えると換算比重も充電率もその場で変わるので、幅の大きさが分かる。
制御弁式(AGM・GEL)は電解液がセパレータやゲルに保持されていて取り出せないので、比重計そのものが使えない。この種別では電圧から出す経路を使う。開回路電圧は端子間の電圧を、充電をやめてから最低6時間、できれば24時間置いてから測る(トロージャンの取扱説明書 9.4)。直後に測ると表面電荷で0.1〜0.3V 高く出る。
なお電解液は希硫酸なので、測定は保護めがねと手袋を着けて行い、こぼしたら大量の水で流してほしい。
ステップ3 — 判定と「次にやること」を読む
充電率と4段階判定(満充電/良好/要充電/過放電)、20℃・25℃・80°F の3つの換算比重、比重から推定した開回路電圧、電解液の凍結温度が表示される。比重と電圧の両方を入れれば、2つの経路の充電率の差と、食い違いの向きが表示される。液式でセル別比重を入れれば、最大と最小の差から健全/均等充電/寿命末期の判定が出る。
最後に「次にやること」が1文で出る。優先順はまず数字が信用できるかを疑い、次にばらつきを直し、最後に充電するという順番にしてある。比重が満充電値を超えているようなときは、充電ではなく液面の確認と測り直しを先に促す。
具体的な使用例9ケース
すべて実際にツールへ入力して出力を確認した値だ。
ケース1〜3 — 同じ比重1.250を、液温だけ変えて読む
開放型(始動用)・12V(6セル)で、比重計の目盛りはどれも1.250。違うのは液温だけ。
| ケース | 液温 | 20℃換算比重 | 充電率 | 判定 | 次にやること |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 20℃ | 1.2500 | 81.25% | 良好 | そのまま使用可 |
| 2 | 35℃ | 1.2605 | 87.81% | 良好 | そのまま使用可 |
| 3 | 0℃ | 1.2360 | 72.50% | 要充電 | 補充電 |
解釈。 同じ目盛りなのに充電率は72.50%から87.81%まで広がり、判定は良好と要充電に割れた。ケース2(真夏の炎天下で測った想定)は 1.250 + 0.0007 × (35 − 20) = 1.2605 の補正が効いて、満充電に近い側へ寄る。ケース3(真冬の朝)は逆に 1.250 + 0.0007 × (0 − 20) = 1.2360 へ下がり、良好の境界75%を割る。冒頭の失敗そのものだ。25℃換算・80°F換算も同時に出るので、ケース1なら1.2465(JIS基準)/1.2453(米国表基準)と、どの表とも突き合わせられる。推定開回路電圧はそれぞれ12.542V/12.605V/12.458Vで、テスターの読みと直接比べられる。
ケース4 — 比重1.150、凍結温度が−14.27℃まで上がる
開放型・12V・比重1.150・液温20℃。充電率は18.75%で判定は過放電、次にやることは補充電。20℃換算比重は1.1500、80°F換算では1.1453になる。
解釈。 注目は凍結温度の−14.27℃だ。凍結温度の表は80°F基準なので、20℃で読んだ1.150は換算すると1.1453になり、表の1.150(−15.0℃)と1.100(−7.2℃)の間を補間して−14.27℃になる。満充電時の−68.9℃と比べると50℃以上も上がっている。この状態で寒冷地の車庫に置けば、朝の冷え込みで届く温度だ。過放電の警告と凍結の警告は、別々の話ではなく同じ話の裏表になっている。
ケース5 — 比重1.250なのに電圧12.00V、56.5ポイントの食い違い
開放型・12V・比重1.250・液温20℃に加えて、開回路電圧12.00Vを入力した場合。
- 比重側の充電率: 81.25%
- 電圧側の充電率: 24.79%(
12.00 ÷ 6 − 0.845 = 1.155(80°F換算)→ 20℃換算 1.1597) - 差: 56.46ポイント、判定は「食い違い」で向きは電圧が低すぎる
- 実測電圧 − 推定電圧: −0.542V
- 次にやること: 測定値そのものを疑う
解釈。 電解液には硫酸が十分残っている(比重1.250)のに、端子には電圧が出てこない。これはセルの内部短絡、端子やケーブルの接触抵抗、極板のサルフェーションによる内部抵抗の増大を疑う場面だ。ここで大事なのは、この状態は充電では直らないということ。比重だけを見て「8割あるから大丈夫」でも、電圧だけを見て「12.0Vだから充電しよう」でもない答えに、2経路の突き合わせで初めて辿り着く。次はセル別に比重を測って、どのセルが原因かを絞り込む番になる。
ケース6・7 — 同じ12.24Vでも、AGMは50.0%、GELは41.7%
どちらも12V(6セル)、電圧モードで開回路電圧12.24Vを入力。違いは種別だけ。
| ケース | 種別 | 充電率 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 6 | AGM(制御弁式) | 50.00% | 要充電 |
| 7 | GEL(制御弁式) | 41.67% | 過放電 |
解釈。 同じ電圧、同じセル数なのに8ポイント以上ずれ、判定も1段変わった。AGM と GEL は満充電・完全放電の端点が同じでも、途中の刻みが違うからだ(12V端子で AGM が 12.84 / 12.54 / 12.24 / 11.94 / 11.64 V、GEL が 12.84 / 12.66 / 12.36 / 12.00 / 11.82 V に対して 100 / 75 / 50 / 25 / 0%)。ケース6の12.24V は AGM 表の50%行そのもので、公表値をそのまま返している。制御弁式のバッテリーを「密閉型」でひとくくりにして1つの表で読むと、GEL を AGM の表で読んだ時点で8ポイント楽観することになる。凍結温度はどちらも−25.53℃で、電圧から逆算した比重にもとづく推定値として表示される。
ケース8 — セル間差0.035、均等充電の目安を超える
開放型・12V・代表値1.250・液温20℃に加えて、セル1から順に 1.255 / 1.250 / 1.245 / 1.260 / 1.225 / 1.250 を入力。
- 最小1.225・最大1.260、セル間差 0.035、判定は「均等充電」
- セル平均1.2475(代表値との差 0.0025)
- 全体の充電率は81.25%で「良好」のまま
- 次にやること: 均等充電(イコライズ)をかけてから測り直す
解釈。 全体としては良好判定なのに、セル5の1.225だけが他より0.020〜0.035低い。トロージャンの0.030というしきい値を超えているので、まず均等充電をかける。電解液の成層化(濃い液が下に沈む現象)か、そのセルだけの充電不足なら、これで差が縮む。縮まなければ、そのセルが劣化しているという切り分けになる。代表値とセル平均の差が0.0025しかない点も重要で、これは代表値の測り方自体は信用してよいという意味になる。
ケース9 — セル間差0.060、寿命末期
同じ構成で、セル別比重が 1.265 / 1.260 / 1.255 / 1.260 / 1.205 / 1.255 の場合。
- 最小1.205・最大1.265、セル間差 0.060、判定は「寿命末期」
- セル平均1.2500(代表値との差 0.0000)
- 全体の充電率は81.25%で「良好」
- 次にやること: 交換を検討する
解釈。 ケース8との違いは、悪いセルがどれだけ落ちているかだけだ。5個のセルは1.255〜1.265と揃っているのに、セル5だけが1.205。FAA AC 43.13-1B の0.050以上に該当する。ここで注目したいのは、代表値の1.250もセル平均の1.2500も、全体の充電率81.25%も、すべて健全に見えることだ。セル別に測らない限り、この個体は最後まで「良好」のまま使われ続ける。均等充電をかけても差が縮まないなら、直列につながった全体が1セルの道連れになる前に交換したい。
仕組み・アルゴリズム
3つの手法を比べて、公表表の補間を採った
比重から充電率を出す方法には、大きく3つの候補があった。
(A) メーカーの公表表を単調補間する。 メーカーや規格が出している 比重‑充電率 の表をテーブルとして持ち、実測値を線形補間する。
(B) 満充電比重と放電端比重の2点だけで直線内挿する。 実装は一番簡単で、国内の対応表はまさにこれで作られている。ただしトロージャンの公表表を見ると、100%→90%の刻みが0.019なのに、20%→10%では0.025と1.3倍も違う。上端と下端で勾配が違うのだから、2点直線で近似すると中間で最大4ポイントずれる。
(C) 硫酸の活量から起電力を求めるネルンスト式で解く。 一番「物理的に正しそう」に見えるが、温度と濃度ごとの活量係数表を持ち込むことになる。そしてもっと問題なのは、ユーザーが手元に持っている情報(比重計の目盛りとテスターの読み)では、この計算が正しいかどうかを誰も検証できないこと。精度が上がったかを確認する手段が無い手法は採らない。
採用したのは (A) だ。ただし1つ条件を付けた。テーブルには出典の数値をそのまま入れ、その表の基準温度も出典どおりに持つ。換算して丸めた値をテーブルに書かない。ユーザーの実測比重のほうを、使う直前にそのテーブルの基準温度へ換算する。
この設計にすると、出典の表を厳密に再現できることが検算で示せる。トロージャン Table 7 の全20行(液式10行・AGM 5行・GEL 5行)の比重を「80°Fで測定した値」として入れると、充電率は20行すべてで公表値と一致する(誤差0.001ポイント未満)。AGM の 12.84 / 12.54 / 12.24 / 11.94 / 11.64 V と GEL の 12.84 / 12.66 / 12.36 / 12.00 / 11.82 V も、電圧モードで入れれば 100 / 75 / 50 / 25 / 0% を厳密に返す。逆に言えば、テーブルに換算後の丸めた値を入れた瞬間、この検算はできなくなる。
温度換算は関数1本に集約する
このツールは20℃・25℃・80°F・テーブル基準の4通りの換算を行う。これを別々の式で書くと、符号をどれか1つで間違えても他の3つが正しいので、目で見て気づけない。だから換算はこの1関数だけを使い回している。
// 温度換算はこの1本だけ。呼び出し側は ref を変えるだけにする
toRef(s, t, ref) = s + 0.0007 * (t - ref)
sg20 = toRef(sg, temp, 20) // 国内の整備現場の表と突き合わせる
sg25 = toRef(sg, temp, 25) // JIS D 5301 の基準
sg80f = toRef(sg, temp, 26.67) // 80°F。米国メーカーの表の基準
sgRef = toRef(sg, temp, preset.refTempC) // 補間に使うのはこれ
比重と電圧を橋渡しする「+0.845」
比重と開回路電圧を行き来する式は、拍子抜けするほど単純だ。
1セルあたりの開回路電圧 = 比重(80°F換算) + 0.845
端子電圧 = セル数 × 1セルあたりの開回路電圧
傾き1のオフセットが1つあるだけ。本当にこれでいいのかを確かめるため、トロージャン Table 7 の20行すべてについて「CELL」列から「SPECIFIC GRAVITY」列を引いてみた。結果は20行すべてでちょうど0.845だった(液式なら 2.122−1.277、2.103−1.258、…、1.918−1.073、AGM なら 2.14−1.295、2.09−1.245、GEL も同様)。表そのものがこの式で作られている。Engineers Edge の解説記事も「Cell open circuit voltage = specific gravity + 0.845」と同じ式を載せているので、独立2ソースで確定できた。
ここで、資料によって 0.84 と 0.845 が混在する理由も片が付く。0.845 は80°F換算比重に対する値だ。同じ関係を20℃換算比重で言い直すと、こうなる。
0.845 − 0.0007 × (26.67 − 20) = 0.840
どちらも正しく、どちらの比重を指しているかが違うだけ。このツールは出典どおり、80°F換算比重に対する0.845を計算に使い、20℃換算比重は表示専用に持っている。
計算例 — トロージャンの表の80%行を再現する
入力: ディープサイクル(液式)・12V(6セル)・比重1.238・液温26.67℃(80°F)。トロージャンの表で言えば「充電率80%・比重1.238・端子電圧12.50V」の行にあたる。
1) 各基準温度へ換算する
S20 = 1.238 + 0.0007 × (26.67 − 20) = 1.2427
S25 = 1.238 + 0.0007 × (26.67 − 25) = 1.2392
S80F = 1.238 + 0.0007 × (26.67 − 26.67) = 1.2380
2) テーブル基準(このテーブルは80°F基準)の比重で補間する
1.2380 は表の80%行そのもの
→ 充電率 = 80.0012 %
3) 開回路電圧を推定する
6 × (1.2380 + 0.845) = 12.498 V
公表表の 12.50V との差は 0.002V(表が小数2桁に丸めているぶん)
4) 比重計の許容差 ±0.005 を、この比重域の勾配で充電率に直す
→ ±2.4405 ポイント
5) 凍結温度(80°F換算比重 1.2380 で表を補間)
→ −46.08 ℃
手順4の不確かさは、「0.005 ÷ (満充電比重 − 放電端比重)」では計算していない。テーブルが等間隔でない種別では比重域によって勾配が変わるので、±0.005 の両側を実際に補間して差を取っている。だから開放型(2点直線)は表の内側なら一律±3.125ポイント、ディープサイクルは比重域によって±1.96〜±2.44ポイントと変わる。表の端で頭打ちになる場合は、幅も自動的に縮む。
定数はどこから来ているか
- 温度係数 0.0007/℃ — JIS D 5301:2019 の換算式そのもの。独立検証は3つある。トロージャンの取扱説明書 9.3「80°Fより10°F高いごとに0.004を足す」、FAA AC 43.13-1B の TABLE 11-2「10°Fあたり4ポイント」、batteryfaq.org が公開している0〜140°Fの13行の表(10°Fごとに0.004ずつ変わる)。この3つはいずれも
0.004 ÷ 5.556℃ = 0.00072/℃で、JIS の 0.0007 と2.9%しか違わない。入力範囲の端(液温−30℃)でも比重の差は0.0011どまりで、充電率にすると0.7ポイント未満に収まる。米国系の0.00072ではなくJISの0.0007を採ったのは、国内の対応表がすべて0.0007で作られていて、突き合わせる相手がそちらだからだ。 - OCVオフセット 0.845 — 上で示したトロージャン Table 7 の全20行と、Engineers Edge の2ソース。
- セル間差 0.030 と 0.050 — トロージャンは「more than 0.030」、FAA は「0.050 or more」。不等号の向きが出典で違うので、ちょうど0.030は健全側、ちょうど0.050は寿命末期側に入れてある。この非対称は出典どおりで、見た目を揃えるために片方を書き換えたりはしていない。
- 開放型の0%点 1.120 — 開放型(始動用)には10点刻みの公表表が見つからなかったので、逆算して確定させた。国内の対応表は「比重1.280 → 100%、比重1.250 → 81.25%」を返す。この2点が直線上にあると仮定して0%点 g0 を解くと、
(1.250 − g0) ÷ (1.280 − g0) = 0.8125から g0 = 1.120 ちょうどが出る。81.25% = 13/16 という半端な値は、1.280と1.120の2点直線からしか出てこない。この逆算は同時に、国内の比重‑充電率表が2点直線で作られていることの証明にもなっている。
日本の表と米国の表で、同じ比重でも判定が変わる
最後に、このツールが国内向けであることの帰結を書いておきたい。米国の BCI 標準は開放型の満充電を1.265(80°F)=20℃換算で1.270 と、JIS より一段低く取る。Battery University の BU-903 が載せている BCI 表の5点を、このツールに入れて比べるとこうなる。
| BCI 表の充電率 | 比重(80°F) | 本ツールの充電率 |
|---|---|---|
| 100% | 1.265 | 93.5% |
| 75% | 1.225 | 68.5% |
| 0% | 1.120 | 2.9% |
最大で6.5ポイントのずれだ。さらに BCI 表の電圧列は 比重+0.845 の関係を満たしておらず、傾きが0.874になっている(推定開回路電圧で最大0.10Vの差)。
同じ比重でも、どの国の表を見るかで判定が1段変わりうる。 このツールは国内向けなので JIS 側を採ったが、それだけだと米国メーカーの表を持っている人が困る。だから80°F換算比重を必ず併記している。手元がトロージャンやBCIの表なら80°F換算の値で引けばよいし、JISの1.277±0.010と直接比べたいなら25℃換算の値を見ればよい。
なお、開回路電圧そのものには温度補正をかけていない。鉛蓄電池の起電力の温度係数は0.2mV/℃/セル程度(12Vで1.2mV/℃)と小さく、しかも公表表はどれも25〜27℃の1条件しか持たない。モデル化しても検証する相手がいないので、電圧は生の値のまま使い、比重側だけを補正して両者を突き合わせる設計にしてある。
静的な比重表・メーカーPDF・CCAテスターと何が違うか
国内の解説ページが静的な対応表で止まっていて、液温を入れる欄がどこにも無いことは前半で触れたとおり。ここでは、その先にある作りの違いを並べる。
このツールが種別を4つ(開放型・ディープサイクル・AGM・GEL)持ち、判定のしきい値まで種別ごとに変えているのは、同じ比重でも種別が違えば充電率も、そもそも許される放電の深さも変わるからだ。開放型・AGM・GELは90/75/50%で切り、ディープサイクルだけは放電深度80%までを正常運用とするメーカー規定に合わせて90/50/20%で切っている。しきい値まで種別に追随させている計算ツールは、国内外を通して見当たらなかった。
英語圏には開回路電圧から充電率を出す計算ツールがいくつかある。ただし比重を入力できない、液温補正を持たない、種別が「lead acid」ひとつでAGMとGELを区別しない、のどれかで止まっている。AGMとGELは満充電と完全放電の端点が違うだけでなく途中の刻みも違うので、同じ端子電圧を入れても充電率は一致しない。日本の表(満充電1.280)と米国の表(1.265)で基準がずれていることに触れているものも見当たらなかった。
CCA式・内部抵抗式のバッテリーテスターは、機器を買えば数値が出る。ただしCCAは「大電流を出せるか」の指標で、充電率とは別の量だ。だから「充電が足りないのか、それとも劣化したのか」の切り分けにはならない。比重と開回路電圧という独立した2つの経路を突き合わせるこのツールが狙っているのは、まさにその切り分けのほうだ。
関連ツールとの役割分担もはっきりしている。必要な容量やセル数を決める段階は非常用蓄電池容量計算ツール、停電時にどれだけ持つかはUPS容量計算シミュレーターが担当する。どちらも「入れる前」の話で、こちらは「入れた後の状態を診る」側にいる。
80°Fという基準温度と、ガラス管ひとつの比重計
米国の資料は、判で押したように80°Fを基準にしている。摂氏に直すと26.67℃という半端な数字で、なぜここなのかは物理ではなく温度目盛りの都合だ。華氏の目盛りで80は切りがよく、補正表を10°F刻みで並べたときに端数が出ない。FAA AC 43.13-1B の温度補正表は−30°Fから140°Fまで10°F刻みで並んでいて、摂氏に直すと−34.4℃から60℃という誰も覚えられない範囲になる。一方でJISは25℃、国内の整備現場の表は20℃と、こちらは摂氏で切りがいい。基準温度は必然ではなく、その国が使っている目盛りで切りのいい数字が選ばれただけの話だ。
比重計(浮ひょう)のほうは、紀元前3世紀のアルキメデスの原理をそのまま道具にしたものだ。押しのけた液体の重さと自分の重さが釣り合う深さまで沈むので、液が濃いほど浅く浮く。だからhydrometerの目盛りは、上にいくほど数字が小さい逆さの並びになっている。電源も校正も要らず、部品はガラス管と重りだけ。それでいてJISが試験計器に要求する許容差±0.005 g/cm³を満たしているのだから、道具としての完成度が高い。
カー用品店で数百円で売っているフロート玉式の簡易比重計は、これを離散化したものだ。密度の違う色玉が数個入っていて、浮いた玉の数で充電率を示す。玉ごとに浮き始める比重が違うので、「浮く/沈む」の二値が階段状に並んで読める仕掛けだ。手軽だが、読みが最初から離散値なので温度補正のかけようがない。目盛りの読める浮ひょう式を選ぶ理由がここにある。
そして鉛蓄電池そのものは、ガストン・プランテが1859年に作って以来、160年以上も置き換わらずに残っている。重くてエネルギー密度も低いのに生き延びているのは、鉛が安く、内部抵抗が低くて瞬間的な大電流を出せて、使い終わった電池から鉛を溶かして取り出す経済性まで成り立つからだ。最大の欠点である「重い」が、据置用や始動用ではそれほど困らない、という当たり前の理由も大きい。
比重の測り方・読み方のコツ
- 液温の欄を0℃と35℃に振ってみる — 比重をそのままにして液温だけ動かすと、充電率がどれだけ動くかが一目で分かる。同じ比重で判定が割れる様子は使用例の3連ケースを見てほしい。一度これを見ると、比重だけ読んで液温を測らないということがなくなる。
- 手元の対応表の基準温度に合わせて読む — 20℃・25℃・80°Fの3つの換算比重が並ぶので、参照している表がどの温度で作られているかを確かめて、同じ基準の値と比べる。米国メーカーのPDFなら80°F、JISの規定値と比べるなら25℃を読めば、頭の中で換算しなくていい。
- セル別比重はプラス端子側から順に測って記録する — 順番を固定して控えておくと、次の点検で「同じセルがまた低い」のか「毎回違うセルが低い」のかが分かる。前者はそのセルの劣化、後者は測り方のばらつきで、打つ手がまるで違う。
- 浮ひょうはメニスカスの下端で読む — 液面はガラス管の壁に沿って持ち上がる。その盛り上がった上端で読むと比重が高めに出て、充電率を数ポイント多く見積もることになる。目線を液面と同じ高さにして、へこんだ底の位置で読む。
- 電圧を測る前にヘッドライトを1分点ける — 充電直後の表面電荷が抜けて、開回路電圧が本来の値に近づく。静置時間が取れないときの簡易的な逃げ道として使える。
バッテリー比重・充電率のよくある質問
密閉型(AGM・GEL)でも使える?
使える。ただし比重計は使えない。制御弁式は電解液がセパレータやゲルに保持されていて取り出せない構造なので、そもそも液が吸えない。種別でAGMかGELを選ぶと、そのメーカー表に対応した充電率テーブルに切り替わり、開回路電圧から充電率を出す経路が使えるようになる。AGMとGELは満充電・完全放電の端点も途中の刻みも違うので、同じ端子電圧でも答えが変わる点に注意してほしい。ラベルに「AGM」「GEL」「VRLA」の表記が無いときは、液口栓の有無で見分ける。栓が無ければ制御弁式だ。なお制御弁式を選んでいるあいだは、セル別比重の欄は結果に使われない。
液温は外気温ではだめ?
だめだ。補正したいのは電解液そのものの密度で、それを決めるのは液の温度であって周りの空気の温度ではない。走行直後やエンジンルーム内のバッテリーは、外気より明らかに高い温度になっている。逆に一晩屋外に置いた後なら、外気温にかなり近いと考えていい。液に温度計を差せない場合でも、少なくとも「動かした直後か、置いてあったか」を考えて数値を決めてほしい。液温を動かしたときに充電率がどう動くかはその場で確認できるので、判断がつかないときは高めと低めの両端を入れて、判定が変わる幅を見ておくといい。
セル別に測るのが面倒。代表値1つでもいい?
いい。代表値ひとつでも、換算比重・充電率・判定・電解液の凍結温度はすべて出る。ただし代表値からはセル間のばらつきが見えない。1つのセルだけが極端に低くても、たまたまそのセルを引かなければ「良好」と表示される。セル別の欄に入れると、入力したぶんだけで最大と最小の差を取り、健全/均等充電/寿命末期の3段階と、何セル分で判定したかが出る。さらに代表値とセル平均の差が0.010を超えると「どちらかの測り方がおかしい」という注記が添えられるので、2種類の入力は互いの検算にもなる。
比重と電圧で答えが食い違う。どちらが正しい?
どちらが正しいかを決めるより、食い違いの向きを読むほうが早い。電圧側の充電率のほうが高い(実測電圧が推定より高い)なら、充電をやめた直後の表面電荷が乗っているか、充電器を繋いだまま測っている。この場合は6時間以上、できれば24時間置いてから測り直せば揃う。逆に電圧側のほうが低いなら、セルの短絡・端子の接触抵抗・内部抵抗の増大が疑わしく、これは静置しても直らない。差が10ポイント以内なら一致、25ポイントを超えたら食い違いとして扱い、向きも合わせて表示される。
換算比重が3つ出るのはなぜ?どれを見ればいい?
手元の対応表がどの基準温度で作られているかによって、読むべき列が変わるからだ。国内の整備現場の表は20℃、JIS D 5301は25℃(満充電1.277±0.010)、トロージャンやBCI・FAAといった米国系の資料は80°F=26.67℃を基準にしている。3つ並べてあるので、参照している資料と同じ基準の値を読めば、頭の中で換算する必要がない。どの係数でどう換算しているか、その係数がどこから来ているかは前半の仕組みの節で説明したとおりで、種別を選び直せば参照するテーブルごと切り替わる。
入力した比重や電圧はどこかに送られる?
送られない。計算はすべてブラウザの中で完結していて、入力値がサーバーに保存されることも、点検記録として蓄積されることもない。ページを閉じれば入力も残らない。裏返すと、点検記録として残したいなら自分で控える必要がある、ということでもある。結果はまとめてコピーできるようにしてあるので、測定日とバッテリーの識別を添えてメモや表計算に貼っておくと、次の点検で前回の値と並べて比べられる。比重は1回の値より、同じセルの推移のほうが多くを語る。
まとめ
比重は液温とセットで初めて意味を持つ数字だ。同じ1.250でも真冬の朝と真夏の炎天下では判定が1段変わるし、比重と開回路電圧を突き合わせれば「充電が足りない」のか「セルが傷んでいる」のかまで見えてくる。測ったら、その場で温度換算まで済ませてしまってほしい。
容量やセル数を決める段階なら非常用蓄電池容量計算ツール、停電時に何分持つかはUPS容量計算シミュレーター、家庭用の蓄電池を検討中なら家庭用蓄電池 容量選定ツールが近い。ポータブル電源の稼働時間はポータブル電源 稼働時間・充電時間計算、交換費用と周期の見積もりは車の年間維持費シミュレーションで扱っている。
判定の根拠になっている表や、対応していないバッテリー種別で困ったことがあれば、お問い合わせページから教えてほしい。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。電解液を吸うたびに「この液、いま何度なんだ」と気になって温度計を差すようになった。比重計の目盛りより、隣に置いた棒温度計のほうを長く見ている。
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