アンテナ長 計算ツール

ダイポール・逆V・1/4λGP・八木宇田の各エレメント長と、同軸の1/2λ整合長を1画面で

周波数からダイポール・逆V・1/4λグラウンドプレーン・八木宇田のエレメント長を短縮率つきで算出し、同軸ケーブルの1/2λ整合長・1/4λスタブ長も同時に出す。アンテナ側の短縮率 k と同軸側の速度係数 VF は別の量なので、入力欄も分けてある。

バンドを選ぶ

自作アンテナで最も本数の多い40mバンドの水平ダイポール。エレメント径は空欄のままにしてある(任意入力)

アンテナの条件

短縮率 k は端部効果と導体の太さでエレメントが理論値より短く共振する比。既定 0.95 は英語圏の実用式 468/f[ft] が意味する 0.9516 とほぼ同じ値。エレメント径は空欄でよく、入れると λ/d 比と太さの区分を表示する(短縮率を自動で書き換えることはしない)。

同軸ケーブル(速度係数)

短縮率 k はエレメントが理論値より短く共振する比、速度係数 VF は同軸の中で波長が縮む比。掛け合わせる場面はありません。

全長(両端間の導体長)20.199 m20,198.8 mm
半波長ダイポール

波長 λ

42.524 m

f = 7.05 MHz

1/2λ(理論値)

21.262 m

短縮率を掛ける前

1/4λ(理論値)

10.631 m

短縮率を掛ける前

全長(両端間の導体長)

20.199 m

20,198.8 mm

片側エレメント長

10.099 m

給電点から先端まで/10,099.4 mm

半波長ダイポールの寸法図

片側 10.099 m全長 20.199 m同軸 1/2λ 整合長 14.245 m(VF 0.67
エレメント 給電点

図は形状を示すもので、縮尺は実寸に比例していません。

速度係数 VF

0.67

充実PE 2V系

同軸 1/2λ 整合長

14.245 m

14,245.5 mm

同軸 1/4λ スタブ長

7.123 m

7,122.7 mm

実効短縮率

0.9500

入力 k 0.95 をそのまま適用

λ / エレメント径

エレメント径を入れると太さの区分を出す

計算値は自由空間の理論長に代表的な短縮率を掛けた「切り出しの出発点」です。実際の共振周波数は、地上高・周辺の建物や樹木・給電部の構造・バランの有無・エレメントの太さで数%変わります。必ず少し長めに切って、SWR計またはアンテナアナライザで最小点を確認しながら詰めてください。八木の素子長・素子間隔は経験則の代表値で、利得や前後比を最適化した値ではありません。実設計では MMANA-GAL や NEC 系の電磁界シミュレータで検証してください。送信に使うアンテナは、無線局免許の範囲内で運用してください。

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切りすぎたエレメントは、もう継ぎ足せない

7MHzのダイポールを庭に張ろうとして、ネットで拾った式のままIV線を切った。碍子で両端を吊り、同軸を繋ぎ、SWR計を見る。最小点は7.05MHzに来ているはずだった。ところが針が落ちるのは7.19MHz。短すぎたのだ。

切ったワイヤーは継げない。ハンダで継ぐと強度も接触抵抗も怪しくなるし、給電部からの距離が変われば共振点もまた動く。結局、買い直しになった。

もうひとつ、同じ日にやらかしたことがある。同軸を1/2λで切ろうとして、アンテナ側の短縮率0.95を掛けてしまった。7.05MHzで5D-2Vなら、同軸上の1/2λは14.245 m。アンテナの全長20.199 mとは6 mも違う。どちらも「短縮率」という同じ言葉で呼ばれているせいで、掛ける相手を平気で間違える。

このツールは、アンテナ側の短縮率 k と同軸側の速度係数 VF を最初から別のセクションに分け、周波数を1つ入れるだけで両方の寸法を同時に出す。半波長ダイポール・逆V・1/4λグラウンドプレーン・八木宇田の4形式を切り替えられるので、「敷地に入らないから逆Vにしたら何m縮むのか」も切る前に分かる。

なぜ作ったのか — 「短縮率」と呼ばれる比は3つある

このツールの出発点は、アンテナ工学の「短くなる比」が1つの物理量ではない、という点だ。少なくとも3つある。

(a) アンテナ側の短縮率 k。エレメントの端では電界が外側に膨らみ、電気的な長さが物理的な長さより伸びる(端部効果)。さらに導体が太いほど、地面が近いほどこの効果は強まる。だから実際に共振する長さは理論値の λ/2 より短い。その比が k で、既定値は0.95。

(b) 同軸ケーブルの速度係数 VF。同軸の中は空気ではなく絶縁体なので、電波の進む速さが遅くなる。ケーブル上の1/2λは自由空間より短い。5D-2Vなら0.67、5D-FBなら0.80。これは絶縁体の材質だけで決まる値で、アンテナの形にも周波数にも設置環境にも一切関係しない。

(c) 八木の素子長のλ比。反射器0.50λ、放射器0.47λ、導波器0.45λ…という経験則の数字は、すでに端部効果を織り込んだ「実際に切る長さ」だ。ここへ k=0.95 をさらに掛けると二重に短くなる。

3つとも「短縮率」と呼ばれ、値も0.5〜1.0のあたりに固まっている。だから取り違えても数字がそれらしく見えてしまう。既存の日本語のアンテナ計算ツールはダイポール専用のものが多く、同軸長を同じ画面で扱わない。取り違えたまま切って、SWRが下がらない理由が分からない、という事故がここで起きる。

もうひとつ書いておきたい設計判断がある。エレメント径から短縮率 k を自動で算出する機能を、あえて実装しなかった。径を入れれば k が出せそうに見えるし、実際そういう曲線は公表されている。ただ、あの曲線が与えるのは自由空間での共振長で、十分に細い導体でも k は0.97〜0.98あたりに漸近する。一方、実務で使われる 468/f 則の k=0.9516 は地上高・碍子・給電部まで含んだ実装後の値だ。両者は別の量を指している。混ぜて「あなたの径なら k=0.978」と出したら、既定の0.95と食い違って必ず混乱する。

だからエレメント径は λ/d 比と3段階の区分(細い/標準/太い)を表示するだけに留め、太い側では k を0.95より小さくして実測で追い込む、という定性的な指針だけを渡す設計にした。

アンテナ 長さ 計算 とは — なぜ半波長なのか

波長 求め方 — 光速を周波数で割るだけ

電波は1秒間に約2億9979万m進む。周波数が7.05MHzなら1秒間に705万回振動するので、1回の振動で進む距離が波長 λ になる。

λ[m] = 299.792458 / f[MHz]

f = 7.05 MHz  →  λ = 42.523753 m
f = 145 MHz   →  λ = 2.067534 m
f = 2437 MHz  →  λ = 0.123017 m

分子の299.792458は真空中の光速をMHz基準に直したもので、SIの定義値なので不確かさが無い。よく見る 300/f は約0.07%大きい近似値だ。空気中では屈折率のぶん0.03%ほど短くなるが、これは短縮率の不確かさ(数%)に完全に埋もれるので自由空間の値をそのまま使う。波長そのものの定義はWikipediaの「波長」が詳しい。

半波長ダイポール 全長 が λ/2 になる理由

ギターの弦を思い浮かべてほしい。両端は固定されていて動けないので、そこは必ず振幅ゼロの節になる。いちばん低い音(基本振動)は、弦の長さがちょうど半波長のときに出る。

導体棒に高周波を流したときも同じことが起きる。棒の先端では電流の行き場が無いので、電流はゼロにならざるを得ない。両端が電流の節、中央が腹——この形が成り立つ最短の長さが λ/2 だ。だから半波長ダイポールは全長 λ/2 で作る。中央で電流が最大になるので、そこに給電すると電流が大きく電圧が低い、つまり低インピーダンス(自由空間で約73Ω)で駆動できる。50Ω同軸を直結しやすい理由がここにある。

1/4波長 アンテナ 自作 で地面が半分を肩代わりする

グラウンドプレーン(GP)やホイップは、垂直に1/4λの棒を立てただけに見える。残り半分はどこへ行ったのか。答えは地面(またはラジアル)の下にある。導体面の下側には鏡に映したような像ができ、電気的には長さ λ/2 のダイポールが立っているのと等価になる。これが接地型アンテナの原理で、必要な高さが半分で済む代わりに、地面側の作りが性能を左右する。自作GPでラジアルの本数と角度がうるさく言われるのはこのためだ。

アンテナ 短縮率 とは — 端部効果で電気的に長くなる

ここまでは理論値の話で、実際にλ/2ちょうどに切ると共振周波数は狙いより低く出る。エレメントの端では電界が外側へ膨らみ、導体の物理的な長さより電気的に長く振る舞うからだ。これが端部効果。導体が太いほど、周囲に金属や地面があるほど強く効く。

そこで実長 = λ/2 × k とし、この k を短縮率と呼ぶ。ワイヤー級の細い導体をHF帯で使うなら0.95前後がよく当たる。Wikipediaのダイポールアンテナの項でも、実際の共振長が理論値より数%短くなることが扱われている。

実用式 468/f をメートルに直すと何が見えるか

英語圏の資料でいちばん見かける半波長ダイポールの実用式が 468/f (長さはフィート、fはMHz)だ。これをメートルに直すと、短縮率の正体がそのまま出てくる。

468 [ft] × 0.3048 = 142.6464       →  L[m] = 142.6464 / f[MHz]

理論値 0.5λ = 149.896229 / f[MHz]

k = 142.6464 / 149.896229 = 0.9516343470

1/4λ用の実用式 234/f も同じで、71.3232 / 74.9481145 = 0.9516343470。まったく独立した2つの実用式が同じ k に帰着する。つまり「実用式を定数で覚える」ことと「λ/2 に短縮率を掛ける」ことは同じ操作で、後者のほうが k を動かせるぶん扱いやすい。本ツールが既定にしている k=0.95 は、この0.9516をわずかに丸めた値にあたる。

なお、同軸の速度係数 VF はここまでの話とは完全に別系統だ。VFは絶縁体の材質で決まり、ケーブル上の波長が縮む比を表す。値はJARLの技術資料「同軸ケーブルの損失」の伝播速度の表に基づいていて、2V系0.67・FB系0.80・SFA系0.88という値がそこから来ている。

長さが数%ずれると何が起きるか

共振周波数はエレメント長にほぼ反比例する。長さが1%短ければ共振周波数は約1%高くなる。この比例関係が、寸法精度の要求をそのまま決める。

7.05MHz狙いのダイポールなら、全長1%の誤差で共振点は約70kHz動く。国内の7MHz帯は7.000〜7.200MHzの200kHz幅しかないので、たった1%でバンドの3分の1を食う。20 mのエレメントの1%は20 cm。巻尺の読み違いや、碍子の結び代を寸法に入れ忘れただけで簡単に届く量だ。

433MHz帯ではもっと厳しい。同じ1%が4.3MHzに相当する。放射器の実長は325.4 mm(使用例のケース6)だから、1%はわずか3 mm強。パイプカッターの位置決めが数mmずれるだけで、狙ったチャンネルから外れていく。UHFで「実測しながら詰める」が必須になるのはこの感覚だ。

ずれた結果どうなるか。共振点から外れるとSWRが上がり、送信機に反射電力が戻る。最近の無線機は保護回路が働いて出力を自動で絞るので、いきなり壊れることは少ない代わりに「なぜか飛ばない」状態になる。古い機種やリニアアンプでは終段を傷める。そしてエレメントを切りすぎていた場合、継ぎ足す手段が実質的に無い。だから鉄則は「計算値より少し長めに切って、SWR最小点を見ながら両端を均等に詰める」。詰めるのは何度でもできるが、伸ばすのは一度もできない。

もうひとつ、法令の側の話をしておく。アマチュア無線で送信する以上、無線局免許状に記載された周波数・空中線電力の範囲で運用する義務がある。第四級アマチュア無線技士でも自作アンテナは使えるが、想定外の周波数で共振しているアンテナは不要輻射の原因にもなる。設計中心周波数をきちんと決めて、そこで共振させる——寸法計算はその出発点だ。

このツールが効く場面

開局してすぐ、7MHzのダイポールを庭に張る。 いちばん本数が多い自作アンテナがこれだ。周波数を7.05MHzにしてダイポールを選べば、全長と片側の長さ、それに同軸の1/2λ整合長までまとめて出る。SSB用とCW用で数cm変わることも、周波数を打ち替えれば見える。

敷地の幅が足りなくて逆Vにする。 逆Vはポール1本で済むのが利点だが、知りたいのは「両端の間が何mになるか」だ。頂角を入れると必要な水平スパンと端部の垂下量が出るので、庭に収まるかどうかを切る前に判断できる。頂角を変えると寸法図の角度もそのまま変わる。

144MHz帯のGPをアルミパイプから自作する。 エレメントもラジアルも1/4λなので、材料からの取り都合を考えやすい。ラジアルは同寸の値と「慣用の5%長め」の値を並べて出す。

Wi-Fi 2.4GHzやLoRa 920MHzのモジュールに自作アンテナを付ける。 ここは無線家以外の電子工作層の領域だ。基板から生やす1/4λホイップは数cmしかなく、mm単位の話になる。プリセットにWi-Fi 2.4GHz(ch6)とLoRa 920MHz(AS923の既定チャネル)を入れてあるので、周波数を調べ直さずに始められる。

電波工学の演習で、形式ごとの寸法の違いを比べる。 同じ周波数でダイポール・逆V・GP・八木を切り替えると、λに対する比がどう変わるかが一望できる。

基本の使い方(3ステップ)

ステップ1: バンドを選ぶか、周波数を直接入れる。 3.5 / 7 / 21 / 50 / 144 / 430 MHz帯とWi-Fi 2.4GHz、LoRa 920MHzの8件のプリセットがあり、選ぶと周波数・アンテナ形式・短縮率・同軸種別などがまとめて入る。プリセットに無い周波数は入力欄に直接打てばよい。設計中心周波数はバンド端ではなく、実際に使う周波数を入れる。

ステップ2: アンテナ形式を選ぶ。 ダイポール/逆V/1/4λ GP/八木宇田の4択で、選んだ形式に応じて入力欄の顔ぶれが変わる。逆Vでは頂角、八木では素子数の欄が出る。八木では短縮率とエレメント径の欄が消え、代わりに短縮率を適用しない理由の注記が表示される。

ステップ3: 寸法を読む。 主寸法(ダイポール系は全長、GPはエレメント長、八木は放射器長)が最初に出て、その下に形式ごとの寸法が並ぶ。1m未満の寸法はmm主体の表示に切り替わる。同軸の1/2λ整合長・1/4λスタブ長は別のセクションにあり、選んだケーブル種別の速度係数から計算される。寸法図には寸法線が引かれるので、その長さが全長なのか片側なのかを取り違えずに済む。結果はテキストでコピーできる。

使用例と検証データ(9ケース)

すべて実装の計算エンジンに同じ入力を与えて確認した値だ。9ケースを、入力 → 結果 → 解釈の順に並べる。

ケース1: 7.05MHz 半波長ダイポール(基準)

入力: 7.05MHz/ダイポール/短縮率0.95/同軸5D-2V(VF 0.67)/エレメント径は空欄

結果: λ = 42.523753 m、1/2λの理論値 21.261876 m、全長 20.198783 m(20198.8 mm)、片側 10.099391 m。同軸の1/2λ整合長 14.245457 m。

解釈: 実際に切るのは片側10.099 mを2本。ここで同軸の14.245 mと全長20.199 mが並んで出るのが重要で、両者を取り違えると6 m違う。日本語圏でよく使われる実用式 142.5/f だと20.212766 mになり、本ツールの値との差は −0.069%(1.4 cm)。20 mのワイヤーで1.4 cmの差なら、施工誤差のほうが大きい。

ケース2: 同じ7.05MHzを逆V(頂角120°)にする

入力: 7.05MHz/逆V/頂角120°/短縮率0.95

結果: 垂下角 β = 30°、追加短縮3%、実効短縮率 0.9215、全長 19.592819 m、片側 9.796410 m、必要な水平スパン 16.967879 m、端部の垂下量 4.898205 m。

解釈: ケース1の20.198783 mに対して、ちょうど −3.0000%。エレメントそのものは60 cm短くなるだけだが、注目すべきは水平スパンだ。20.199 mが16.968 mになり、3.23 m狭い敷地に収まる。しかもポールは中央の1本で済む。逆Vが定番になっている理由が寸法で見える。端部は頂点から4.898 m下がるので、ポールの高さからこれを引いた値が端部の地上高になる。

ケース3: 逆Vの頂角を180°にしてみる

入力: 7.05MHz/逆V/頂角180°

結果: 垂下角 β = 0°、追加短縮0%、実効短縮率 0.95、全長 20.198783 m、水平スパン 20.198783 m、端部垂下量 0。

解釈: ケース1の水平ダイポールと1 mmも違わない。頂角180°は「垂らしていない逆V」=水平ダイポールなので、これは当然そうならなければおかしい。逆Vの追加短縮を垂下角の補間で入れているモデルが、端点で水平ダイポールに連続していることの確認になっている。角度を大きくしていくと短縮が滑らかに消えていくので、120°と180°の間の任意の角度でも安心して使える。

ケース4: 3.5MHz帯を逆Vで張る(頂角で敷地幅がどう変わるか)

入力: 3.53MHz/逆V/エレメント径2 mm。頂角120°と90°で比較

結果: λ = 84.927042 m。頂角120°では実効短縮率0.9215、全長 39.130135 m、水平スパン 33.887691 m、端部垂下 9.782534 m。頂角90°では実効短縮率0.9025、全長 38.323328 m、水平スパン 27.098685 m、端部垂下 13.549342 m。

解釈: 80mバンドはフルサイズで全長39 mある。頂角を120°から90°へ絞ると水平スパンが6.8 m縮み、27 mの敷地でも張れる計算になる。ただし端部は13.5 mも下がるので、ポールを高くしないと先端が人の手の届く高さに来る。エレメント径2 mmでのλ/dは42464で「細い(ワイヤー級)」の区分。この帯域では教科書的な短縮率がよく当たる領域だ。なお頂角90°は追加短縮5%の頭打ち点で、これ以上鋭くしても短縮は増えず放射効率だけが落ちる。

ケース5: 144MHz帯のGPをアルミパイプで作る

入力: 145MHz/1/4λ GP/短縮率0.95/同軸5D-FB(VF 0.80)/エレメント径3 mm

結果: λ = 2.067534 m、1/4λの理論値 0.516884 m、エレメント長 0.491039 m(491.0 mm)、ラジアル長(同寸)491.0 mm ×4本、慣用の5%長めなら 0.515591 m。λ/d = 689.2で「標準(パイプ級)」。同軸の1/2λ整合長 0.827014 m。

解釈: エレメントもラジアルも約491 mm。2 mのアルミパイプ1本から4本取れる計算になる。ラジアルは同寸でよいというのが現在の一般的な見解で、「5%長め」の515.6 mmは慣用として併記してある。差は2.5 cmで、ラジアルを斜め下に垂らす角度による影響のほうが大きい。ちなみに水平に張ると給電点インピーダンスは20Ω台まで下がるので、45°ほど下げて50Ωに寄せるのが定石だ。

ケース6: 433MHz 5素子八木

入力: 433MHz/八木宇田/素子数5/同軸5D-FB

結果: λ = 0.692361 m。反射器 346.181 mm、放射器 325.410 mm、第1導波器 311.563 mm、第2導波器 304.639 mm、第3導波器 297.715 mm。ブーム長は代表値0.519271 m、範囲0.380799〜0.726979 m。

解釈: 導波器が前へ行くほど短くなる(0.45λ→0.44λ→0.43λ)のが八木の基本形で、この段階的な短縮が電波を前方へ引っ張る。ここで入力欄の短縮率0.95はまったく使われていない。素子長のλ比が既に短縮を織り込んだ実長だからで、掛けると二重に短くなる。ブーム長に幅があるのは素子間隔の推奨値が文献で割れているためで、長いブームほど利得は上がるが調整はシビアになる。素子長が30 cm前後しかないので、mm単位の切り出し精度がそのまま効いてくる帯域だ。

ケース7: Wi-Fi 2.4GHzのモジュールに1/4λホイップを付ける

入力: 2437MHz(ch6)/1/4λ GP/短縮率0.95/同軸テフロン(VF 0.70)/エレメント径1.5 mm

結果: λ = 123.017 mm、1/4λの理論値 30.754 mm、エレメント長 29.217 mm、慣用5%長めのラジアル 30.677 mm、λ/d = 82.0で「太い(電気的に太いエレメント)」。同軸の1/2λ整合長 43.056 mm。

解釈: エレメントは3 cm弱。この寸法だとSMAコネクタの中心ピンの長さや基板パターンの引き回しが誤差として無視できず、計算値は切り出しの出発点にしかならない。λ/dが82と100を下回っているのも見どころで、1.5 mmの線材でも2.4GHzでは「電気的に太い」部類に入る。太い導体は共振長が短くなる方向なので、短縮率を0.95より小さめ(0.92〜0.94あたり)から試して、SWR最小点で追い込むのが現実的だ。径を入れても長さが自動で変わらないのはこのため——ツールは区分を示すだけで、kを勝手に書き換えない。

ケース8: 短縮率をどこまで気にするべきか(100MHz・実用式との比較)

入力: 100MHz/ダイポール。短縮率を0.95と0.951636(実用式468/f相当)で比較

結果: λ = 2.997925 m。k=0.95では全長 1.424014 m(1424.0 mm)、片側 0.712007 m。k=0.951636では全長 1.426466 m、片側 0.713233 m。

解釈: 差は2.5 mm。実用式 468/f をメートルに直した142.6464/f で計算すると1.426464 mになり、k=0.951636の結果と0.0002%で一致する。k=0.95のほうも実用式142.5/f(1.425000 m)と−0.069%で合う。つまり英語圏の468系と日本語圏の142.5系は、短縮率をどこで丸めたかの違いでしかない。100MHzで2.5 mmの差なら、施工精度に埋もれる。短縮率の3桁目を悩むより、切り代を長めに取って実測で詰めるほうが確実だ。

ケース9: 同軸を替えると整合長が変わる(21.2MHz)

入力: 21.2MHz/ダイポール/短縮率0.95/エレメント径2 mm/同軸RG-58A/U(VF 0.66)

結果: λ = 14.141154 m、全長 6.717048 m、片側 3.358524 m。同軸の1/2λ整合長 4.666581 m。λ/d = 7070.6で「細い」。

解釈: 同じ21.2MHzでも、同軸を国産の2V系(VF 0.67)に替えると1/2λ整合長は4.737286 mになり、約7 cm違う。VFがたった0.01違うだけでこれだけ動く。ケーブルを海外キット付属のRG-58から国産5D-2Vに替えたのに長さをそのまま流用する、というのはやりがちなミスだ。アンテナ側の全長6.717 mはケーブルを替えても1 mmも変わらない——kとVFが独立している、というのはこういう意味になる。

仕組みと設計判断

実用式を定数で持つか、λ/2 × k に分解するか

実装の入口で選択肢は2つあった。(A) 実用式 468/f(あるいは142.5/f)を定数として持ち、周波数で割るだけにする。(B) 理論値 λ/2 に短縮率 k を掛ける形に分解して持つ。

採ったのは (B) だ。(A) は式が1本なら最短だが、短縮率を動かせない。エレメントが太い場合も、逆Vで垂らす場合も、同じ468のままになる。しかもGP(1/4λ)には234、1波長ループには別の定数、と形式ごとに覚え直しになり、4形式を1画面で切り替える設計と噛み合わない。何より、468という数字がフィート由来の丸めだという事実が式の中に隠れてしまい、なぜ0.9516なのかを説明できなくなる。(B) なら理論値と実長を並べて表示でき、短縮のぶんがそのまま差として見える。

計算フロー

// 1) 波長(全形式共通)
lambda = 299.792458 / f          // f は MHz、lambda は m

// 2) アンテナ側 — 形式ごとに分岐
dipole:      total   = 0.5 * lambda * k
             leg     = total / 2

inverted-v:  beta    = (180 - apex) / 2         // 垂下角
             s       = interp(beta)             // 0°→0%, 45°→5%
             total   = 0.5 * lambda * k * (1 - s / 100)
             span    = total * cos(beta)        // 必要な水平スパン
             drop    = (total / 2) * sin(beta)  // 端部の垂下量

gp:          element = radial = 0.25 * lambda * k

yagi:        reflector   = lambda * 0.50        // k は掛けない
             driven      = lambda * 0.47
             director[i] = lambda * [0.45, 0.44, 0.43, 0.42, 0.42, 0.42][i]

// 3) 同軸側 — アンテナ側とは完全に独立
coaxHalf    = 0.5  * lambda * vf
coaxQuarter = 0.25 * lambda * vf

ポイントは3番のブロックが1番だけに依存していることだ。kvf を掛け合わせる行は、このツールのコードのどこにも存在しない。UI側でもアンテナの条件と同軸の速度係数を別セクションに置き、両者が別系統であることを画面の構造で示している。

八木で短縮率を掛けない根拠

八木の素子長にkを掛けないのは、λ比そのものが実長の経験則だからだ。これを数値で確かめておく。144MHzで3素子を計算すると、λ = 2.081892 m、反射器 1.040946 m、放射器 0.978489 m、第1導波器 0.936851 m、ブーム長は代表値0.728662 mになる。

市販の2m用八木の実寸は反射器1.03〜1.05 m、放射器0.96〜0.99 mというレンジで、上の値はきれいにその中に収まる。もしここへ0.95を掛けたら反射器は0.989 mになり、市販品のレンジから外へ出る。

さらに決定的なのが、同じ144MHzで k=0.95 の半波長ダイポールを計算すると全長0.988899 m(=0.475λ)になることだ。八木の放射器 0.47λ = 0.978489 m とほぼ同じ長さである。0.47λという比は、実質的に短縮率0.95を掛けた半波長ダイポールと同じ寸法を指している。つまり比のほうに短縮が織り込まれている。だから八木を選ぶと短縮率の入力欄そのものが消える設計にした。欄が残っていて、動かしても結果が変わらないほうが混乱するからだ。

逆Vの追加短縮を垂下角の補間で持つ

逆Vのエレメントは端部が地面に近づくぶん対地容量が増え、同じ周波数で共振する長さが水平ダイポールより短くなる。この追加短縮は垂下角の関数として扱った。

垂下角 β頂角追加短縮
180°0%
22°136°2%
30°120°3%
37°106°4%
45°90°5%

この5点を線形補間し、45°を超えたら5%でクランプする。頂角120°(β=30°)は入力インピーダンスが約50Ωに近づく定番の角度で、ここで3%の追加短縮が入る。実効短縮率は 0.95 × (1 − 0.03) = 0.9215 となり、これが使用例のケース2の値になっている。

端点の扱いを厳密にしたのは意図的だ。β = 0(頂角180°)で追加短縮が0になるので、逆Vの計算式は水平ダイポールの式と完全に一致する。ケース1とケース3が1 mmも違わないのはそのためで、モデルが端点で連続していることをテストで固定してある。ちなみに逆Vが短くなるという説には英語圏のフォーラムに反対意見もあるので、補正量そのものを画面に表示し、最後は実測で追い込むという前提を崩さない作りにした。

段階を追った計算例(ケース5の145MHz GP)

f = 145 MHz, k = 0.95, VF = 0.80(5D-FB), d = 3 mm

1) lambda   = 299.792458 / 145      = 2.067534 m
2) 0.25λ    = 2.067534 * 0.25       = 0.516884 m   ← 理論値
3) element  = 0.516884 * 0.95       = 0.491039 m   ← 実際に切る長さ
4) radial   = element               = 0.491039 m   (同寸・4本)
5) 慣用5%長め= 0.491039 * 1.05       = 0.515591 m
6) λ/d      = 2.067534 / 0.003      = 689.2        → 標準(パイプ級)
7) 同軸1/2λ = 2.067534 * 0.5 * 0.80 = 0.827014 m   ← kではなくVFを掛ける

3行目と7行目が、このツールで最も取り違えられやすい2つの値だ。片方は0.95を、もう片方は0.80を掛けている。同じ「短縮」でも掛ける相手が違う、という一点さえ押さえておけば、寸法が桁で狂うことはなくなる。

八木の素子間隔は代表値だけでなく推奨レンジの下限・上限も出しているが、これは文献による幅が大きく、代表値だけを断定的に出すと誤解を招くからだ。利得や前後比を最適化した寸法が必要なら、MMANA-GALやNEC系の電磁界シミュレータの領域になる。本ツールが受け持つのは、その手前の「まず切ってみる長さ」までだ。

他のアンテナ長 計算ツールとの違い

日本語で見つかるアンテナ長の計算ページがダイポール一本槍になりがちなことは、前半で触れたとおり。ここでは、そこに何を足したのかだけを書く。

1つめ。4形式を1画面で切り替えられて、切り替えると入力欄と計算の中身がそろって変わる。 半波長ダイポール・逆V・1/4λグラウンドプレーン・八木宇田のどれを選ぶかで、出てくる寸法の種類そのものが入れ替わる。ダイポール系なら全長と片側長、GPならエレメント長とラジアル長、八木なら反射器・放射器・各導波器の素子長と素子間隔・ブーム長。八木を選ぶと短縮率 k の入力欄そのものが消え、代わりに「八木の素子長は短縮を織り込んだλ比を直接使うので短縮率は適用しない」という注記に置き換わる。画面に残っているのに計算では無視される入力を作らない、という方針で分岐を組んだ。

2つめ。アンテナ側の短縮率 k と、同軸側の速度係数 VF を別のセクションに置いた。 同じ画面にエレメント長と、同軸の 1/2λ 整合長・1/4λ スタブ長が並ぶ。両方の寸法を同時に見ながら、それぞれ別の係数で計算されていることが目に入る配置にしてある。エレメントを切る作業と同軸を切る作業は同じ日に続けてやることが多いのに、この2つを別々のページで調べると係数を取り違えたことに気づく機会がない。

3つめ。逆Vでは、頂角から必要な水平スパンと端部の垂下量まで出す。 逆Vを選ぶ動機はたいてい「敷地の幅が足りない」であって、知りたいのは導体の全長ではなく両端の間の水平距離のほうだ。7.05MHz・頂角120°なら水平スパンは16.968 m で、この数字が敷地に収まるかどうかが設置可否を決める。あわせて端部の垂下量も出るので、ポールの高さからこれを引けば端部の地上高が分かる。人や車が通る高さかどうかを、張る前に判断できる。

守備範囲の線引きもはっきりさせておく。このツールが扱うのは空中線そのものの物理寸法だけで、基板側のパターン幅や許容電流、受信段のRCフィルタの定数、LED表示部の抵抗値といった回路側の設計は扱わない。それぞれ別のツールに分けてある(リンクはまとめに置いた)。アンテナから先の回路を詰める段になったら、そちらへ持ち替えてほしい。

豆知識: 468という数字の出どころと、「八木アンテナ」という名前

なぜ 468 という半端な数字なのか

英語圏の資料を読むと、半波長ダイポールの全長は必ずと言っていいほど 468/f (f は MHz、答えはフィート)で出てくる。この 468 がどこから来たのかは、案外説明されない。

前半で 468/f をメートルに直して短縮率 0.9516 を取り出したが、フィートのまま逆に辿ると数字の出どころが見える。自由空間の半波長はフィートで 491.79/f(よく 492/f と丸めて書かれる)。これに 0.9516 を掛けると 467.9/f になり、丸めて 468 だ。物理定数でも規格値でもなく、単位系と経験則の掛け算の産物でしかない。この出自を知っていると、468/f を絶対視せずに短縮率のほうを動かして追い込む、という発想が自然に出てくる。

ここで一つ注意。同じ系列で 984/f という数字も出回っているが、これは半波長ではなく1波長(フルサイズ)のほうだ。ループアンテナやフルサイズのデルタループの周長を出す式で、ダイポールに使うと単純に倍の長さになる。桁が近い数字が並んでいるので、コピーする前にどちらの式か確かめたい。

もう一つ、光速のほう。300/f と書いてある資料も多いが、正しくは 299.792458/f だ。1983年以降、光速は測って求める値ではなく定義値になっている。メートルという長さの単位のほうが「光が真空中を 1/299792458 秒で進む距離」として定義されているので、光速の桁を後から書き換える余地はもうない(光速 - Wikipedia)。300 と書いても実用上の差は短縮率の不確かさに埋もれるが、定義値をそのまま使えば少なくともここで誤差は増えない。本ツールは 299.792458 を定数に持っている。

「八木アンテナ」は海外から逆輸入された名前

テレビの屋根に上がっているあの魚の骨のようなアンテナを、日本では八木アンテナと呼ぶ。だが実験でその原理を確かめたのは、東北帝国大学の宇田新太郎だ。宇田の研究を、指導的立場にあった八木秀次が英語の論文で対外的に発表したため、海外で "Yagi antenna" の名で広まり、それが日本に戻ってきた(八木・宇田アンテナ - Wikipedia)。学術的な経緯を踏まえて、日本では「八木・宇田アンテナ」と併記するのが通例になっている。本ツールの形式名も八木宇田で統一した。

皮肉な話もついてくる。第二次大戦中、この方式は英国のレーダーに使われていた。日本軍が鹵獲した資料に "YAGI" という語が出てきて、その意味が分からず捕虜に尋ねたところ日本人の名前だと知って驚いた、という逸話が繰り返し語られている。国内では軍事的な価値が理解されないまま、外で先に実用化された発明だった。

速度係数は絶縁体の比誘電率で決まる

同軸ケーブルの中を進む電波は、真空中より遅い。どれだけ遅いかは芯線と外部導体の間を埋めている絶縁体で決まり、比誘電率 εr に対しておおよそ 1/√εr になる。これが速度係数 VF(波長短縮率)だ。

充実ポリエチレンは比誘電率が2.3前後あるので、VF は0.67あたりに落ち着く。発泡ポリエチレンは、同じポリエチレンに気泡=空気を混ぜて見かけの誘電率を下げたものなので、VF が0.80まで上がる。さらに絶縁体の大半を空気にした半空気絶縁(SFA系)では0.88、4AF系になると0.91に達する。JARLが公開している同軸ケーブルの資料には、この伝播速度が型番ごとに載っている(同軸ケーブルの損失 - JARL)。

実務上いちばん効くのは、同じ「5D」でも 5D-2V と 5D-FB では VF が0.67と0.80で別物という点だ。1/2λ の整合長を出すときにこれを取り違えると、2割近く違う長さで切ることになる。手元のケーブルの型番は、太さだけでなく末尾まで確認したい。

Tips

  • 計算値より5〜10cm長めに切って、両端を均等に詰める。 エレメントは切りすぎたら戻せない。ハンダで継ぐと強度も接触抵抗も不利になるので、詰める方向にしか動かせない前提で最初の切り出し寸法を決める。両端を同じ量ずつ詰めれば給電点は中央に保たれる。

  • 共振点が狙いより低ければ長すぎ、高ければ短すぎ。 この対応だけ覚えておけば、SWR計やアンテナアナライザの最小点を見ながら迷わず詰められる。周波数が下に外れているのに切ってしまうと、さらに遠ざかる。

  • 寸法は導体部分だけで測る。 碍子で吊るとき、末端を折り返して締結するとき、どこからどこまでが電気的なエレメントなのかが曖昧になりやすい。折り返した分は長さに数えない、碍子は含めない、と決めて測る。この基準がぶれると、計算精度以前の誤差が数cm単位で乗る。

  • 同軸の整合長にはコネクタの中の長さも含まれる。 1/2λ の整合長で切るときは、両端に付けるコネクタの内部寸法ぶんを見越しておきたい。VHF以上では、この数cmが無視できない割合になる。

  • 逆Vはポールの高さと頂角をセットで決める。 頂角を変えると全長・水平スパン・端部垂下量が同時に動く。先に敷地の幅と使えるポールの高さを決めて、そこから頂角を逆算するほうが早い。実際の寸法の動き方は、使用例の7MHz帯の逆Vのケースを見てほしい。

よくある質問(FAQ)

短縮率を変えたのに、八木の素子長が1mmも変わらないのはなぜか

八木を選んだときは、短縮率 k を計算に使わない設計にしているためだ。反射器0.50λ・放射器0.47λ・導波器0.45〜0.42λ という素子比率は、端部効果や素子の太さによる短縮をすでに織り込んだ実長の経験則であって、理論上の半波長ではない。ここにさらに k を掛けると二重に短くなり、共振点が狙いより上へ飛んでいく。実際、放射器の0.47λは k=0.95 の半波長ダイポール(0.475λ)とほぼ同じ長さになる。この一致が「掛けてはいけない」ことの裏づけになっている。八木を選ぶと短縮率の入力欄自体が表示されなくなり、その位置に理由の注記が出るので、値を変えて反応を確かめる操作もできない。

同軸の 1/2λ 整合長は何に使う値なのか

1/2λ(またはその整数倍)の長さの同軸には、先端につながったインピーダンスをそのまま手前に伝えるという性質がある。途中で位相が一周して戻ってくるためだ。この性質があるので、アンテナ直下のインピーダンスを離れた場所で測りたいとき、この長さのケーブルを使えばケーブル自身による変換を気にせずに済む。スタブ整合やQマッチを組むときの基準長にもなる。値は自由空間の 1/2λ に速度係数を掛けた 0.5λ × VF で、アンテナのエレメント長とは別系統の計算だ。なお、給電線として普通に使うぶんには長さを合わせる必要はない。整合が取れていれば任意の長さでよく、この値が効いてくるのは測定と整合回路の場面に限られる。

エレメント径を入れても、長さが変わらないのはなぜか

径を入れると λ/d 比と太さの区分(細い/標準/太い)が表示されるが、短縮率 k を自動で書き換えることは意図的にしていない。公表されている径から短縮率を求める曲線と、実務で使われている 468/f 則が意味する短縮率は、そもそも別の量を指しているためだ(詳しい理由は前半の「なぜ作ったのか」で説明している)。自動で書き換えると、既定の0.95と食い違う値が黙って入り、どちらが正しいのか判断できなくなる。そこで λ/d は数値と区分の表示に留め、太い側では短縮率を既定より小さめにして実測で追い込む、という指針を注記で出す形にした。区分そのものは表示専用なので、境界をまたいでも寸法の計算値は一切変わらない。

GPのラジアルが「同寸」と「慣用の5%長め」で2通り出るのはなぜか

古い資料には「ラジアルはエレメントより5%長く」と書かれていることが多い。この慣用は、八木の反射器が放射器より約5%長いという話と混同されて広まったという説がある。現在は、1/4λ GPのラジアルはエレメントと同寸でよいというのが一般的な見解だ。ただし慣用に従った寸法で作られた作例も多く、片方だけを出すと「聞いていた話と違う」となる。実用上の差もごくわずかなので、両方の値を並べて出して選べるようにした。なお、ラジアルを水平に張ると給電点インピーダンスは50Ωよりかなり低くなる。45°ほど斜め下に垂らすと50Ωに近づくので、垂らす角度のほうが長さの5%より効く。

計算どおりに切ったのに、SWRが下がらない

共振周波数は、エレメントの長さだけでは決まらないためだ。地上高(大地との距離)、周辺の建物・金属フェンス・樹木、給電部の構造、バランの有無、エレメントの太さ——これらで数%は動く。数%というのは、7MHz帯なら100kHz以上に相当する幅だ。だからこのツールの出力は完成寸法ではなく、切り出しの出発点として設計してある。長めに切って、SWR最小点を見ながら詰めるのが前提だ。特に地上高の影響は大きく、同じアンテナでも張る高さを変えるだけで共振点が動く。設置場所を決めてから詰める作業に入りたい。八木の素子長・素子間隔は代表値なので、利得や前後比まで最適化したい場合は MMANA-GAL などの電磁界シミュレータの領域になる。

入力した周波数や寸法は、どこかに送信・保存されるのか

されない。計算はすべてブラウザの中で完結していて、入力した周波数・短縮率・頂角・エレメント径・素子数はサーバーへ送られることも、保存されることもない。運用予定の周波数や自宅の敷地に関わる寸法を扱うツールなので、値が外に出ない作りにしてある。ページを閉じれば入力内容は消えるため、繰り返し使う寸法は手元にコピーして残しておいてほしい。計算結果はテキストでコピーできる。

まとめ

アンテナの寸法は、周波数から機械的に決まる部分と、短縮率という経験則に委ねる部分に分かれている。この2つを分けて持てば、形式が変わっても同軸が変わっても、同じ考え方で寸法を出せる。あとは長めに切って、SWR最小点で詰めるだけだ。

アンテナから先の回路を詰めるなら、基板のパターン幅と許容電流を決める PCB配線幅・許容電流計算機、受信段やセンサ出力のフィルタ定数を決める RCフィルタ設計シミュレータ、表示部のLEDと電流制限抵抗を選ぶ LED回路設計アシスタント が使える。気づいた点や要望があれば、お問い合わせページから聞かせてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。7MHzのダイポールを短く切りすぎて買い直した日に、同軸まで同じ短縮率で切りかけた。アンテナ側のkと同軸側のVFを別セクションに分けたのは、その日の反省がそのまま形になったもの。

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