電線を束ねたら直径何ミリになる?——その疑問に即答するツール
制御盤の設計で「このケーブル群をまとめたら、どのサイズのコルゲートチューブが必要だろう」と悩んだ経験はないだろうか。あるいは、現場で電線束をダクトに通す前に「このまとめ径で本当に入るのか」と不安になったことはないだろうか。
電線束径計算機は、電線の種類と本数を入力するだけで束ねたときの外接円の直径を概算し、束が物理的に入る管まで表示するツール。電線を1本ずつ断面に並べる配置シミュレーションで計算し、余裕率を掛け、SVG断面図も付く。現場でスマホからサッと確認できる、配線設計者のための一本。
束径計算ツールを開発した背景
現場で困った実体験
工場の制御盤更新工事で、既設のケーブルラックにどれだけのケーブルが追加で載せられるかを見積もる必要があった。VVF 2芯が12本、IV線が8本、LANケーブルが4本——これらを束ねたときの直径がわからないと、ラックの余裕幅を判断できない。
手計算で「各電線の断面積×本数を合計して、充填率を考慮して逆算して……」とやるのは面倒だし、計算ミスのリスクもある。Excelで式を組む方法もあるが、現場にPCを持ち込むのは現実的ではない。
既存ツールへの不満
電線管サイズの判定ツールは見つかった(実際に電線管サイズ判定シミュレーターも開発した)。しかし、こちらは「特定の管に電線が通るか」を判定するツールであって、「電線を束ねたら何mmになるか」を逆算するものではない。
海外のケーブルバンドル計算機はいくつかあったが、日本のVVFやIVのプリセットがなく、結局外径を自分で調べてから入力する必要があった。「プリセットから選んで本数を入れれば束径がわかる」——このシンプルな体験を実現するために開発に至った。
設計上のこだわり
- 配置シミュレーション: 断面積を足して充填率で割るのではなく、太い電線から順に1本ずつ断面に並べて、束の外接円を直接求める。太さの違う電線が混ざっても、隙間への入り込みがそのまま結果に出る
- 余裕率の設定: 実務では10〜20%の余裕を見るのが一般的。デフォルト10%で設定し、現場の判断で調整できるようにした
- 入る管の逆引き: 束径が出たら、E管・C管・VE管・PF管のうち束径以上の内径を持つ最小の管を表示する。内径は呼び径ではなく JIS の値を使う(E19は内径16.7mm)
電線束径・充填率の基礎知識 — ケーブルをまとめたら何mmになるか
配管やダクトに電線を通す設計で、まず知っておくべき概念を基本から整理しよう。「束径」と「充填率」——この2つを理解すれば、ケーブル配線設計の判断精度が格段に上がる。
電線束径(バンドル径)とは
電線束径とは、複数の電線やケーブルを束ねたときにできる断面の外接円直径のこと。英語では Cable Bundle Diameter と呼ばれる。
日常のイメージで考えてみよう。ストローを何本か輪ゴムでまとめたとき、束全体の太さはストロー1本の太さ×本数よりもずっと小さくなる。これは、円同士の隙間が部分的に重なり合うから。同じ原理で、電線も束ねると「電線の断面積の合計」から単純に逆算した直径よりは小さくなるが、隙間のぶんだけ断面積の合計よりも大きな円が必要になる。
この「隙間がどれくらいあるか」を定量的に表すのが充填率(Packing Fraction: PF)だ。
充填率(パッキングフラクション)の求め方
充填率は、ある領域に物体を詰め込んだとき、物体が占める体積(2Dなら面積)の割合を表す指標。電線束径の文脈では「束の外接円面積のうち、電線が実際に占めている面積の割合」を意味する。
充填率 PF = 電線の合計断面積 / 束の外接円面積
同一径の円を平面に詰める方法には理論的な上限がある。代表的な2つの配列パターンとそのPFを見てみよう。このツール自体は充填率を仮定せず、電線を1本ずつ並べて外接円を求めるが、束が断面積の合計よりどれだけ膨らむかの目安として知っておくと結果を読みやすい。
六方最密配列(Hexagonal Close Packing)
PF = π / (2√3) ≈ 0.9069
蜂の巣のように六角形格子に沿って円を配置する方式。同一径の円を2次元平面に最も密に詰められる配列であり、ケプラー予想(3次元版)とも深く関連する数学的に有名な問題だ。ただしこれは無限に広い平面での値で、数本〜十数本を円で囲む束では、外周の隙間のぶん充填率はずっと低くなる(同じ太さ3本なら約0.65)。
正方格子配列(Square Packing)
PF = π / 4 ≈ 0.7854
碁盤の目のように正方形のグリッドに沿って円を配置する方式。六方最密より充填率が約13%低い。実際の束はこの2つのあいだのどこかに落ち着き、本数が少ないほど低い側に寄る。
平形ケーブル(VVF)の扱い
VVFやEM-EEFは断面が小判形の平形ケーブルで、VVF 1.6-2Cなら6.2×9.4mmある。束の中では向きがそろわず、どの向きにも回るので、このツールは平形を長径の円として並べる(VVF 1.6-2Cならφ9.4mm)。断面積の表示だけは、電線管の占有率と同じく短径×長径の長方形(58.3mm²)で出す。以前は平形を短径ていどの直径の円として扱っていて、束径を小さく見積もっていた(2026年9月に修正)。
余裕率(クリアランス)の考え方
理論上の束径がわかっても、実際の施工ではそのまま使えない。電線の曲げやすさ、結束バンドの締め付け、配管内での通線抵抗などを考慮して、10〜20%の余裕を上乗せするのが実務の常識。余裕率を加味した束径は次のように計算する:
D_bundle_実用 = D_bundle_理論 × (1 + 余裕率 / 100)
この余裕率の設定が、設計の「安全マージン」と「コスト効率」のバランスを決める重要なパラメータになる。
なぜ束径の把握が配線設計を左右するのか
「束径なんて大体の感覚でいいのでは」と思うかもしれない。しかし、束径の見積もりを誤ると、現場で深刻なトラブルにつながる。規格や法令の観点からも、束径の管理は設計品質の根幹に関わる。
電線管の占有率制限 — 内線規程の要求
内線規程(JEAC 8001)では、金属管・合成樹脂管に電線を収める際の占有率(管断面積に対する電線断面積の割合)を規定している。一般に、電線3本以上を収める場合は管内断面積の32%以下という制限がある。
束径を正確に見積もれないと、占有率が制限値を超えてしまう。超過した場合は:
- 通線困難: 電線を管に通す際に抵抗が大きくなり、被覆を傷つけるリスクが高まる
- 放熱不良: 電線間の空間が不足し、許容電流値が低下する(電気設備技術基準の解釈 第146条で規定)
- 検査不合格: 竣工検査で是正を求められ、工期の遅延とコスト増に直結する
束径が大きすぎる場合のリスク
逆に束径を過大に見積もると、必要以上に大きな配管を選定してしまう。PF22で足りるところをPF28にすれば、材料費は約30%増加する。
束が入ることと、占有率を満たすことは別
束径が管の内径より小さければ、束は物理的には入る。しかし内線規程の占有率(屈曲ありなら32%)は、それよりずっと厳しい。たとえば使用例のケース1は束径28.3mmでC31(内径28.6mm)に入るが、同じ電線の占有率はC31で36.3%あり、32%を超える。このツールの「入る管」は下限の目安で、管の選定は電線管サイズ判定シミュレーターの占有率で決める。建物全体の配管をワンサイズ上げたら、数十万円のコスト差になることもある。
曲げ半径への影響
束径が大きくなると、配線の最小曲げ半径も比例して大きくなる。内線規程では、ケーブルの最小曲げ半径は一般に外径の6倍以上と規定されている。たとえば束径30mmのケーブル群は、曲げ半径180mm以上を確保しなければならない。これが壁内や天井裏での取り回しを大きく制約する。
ケーブルラックの積載計算
ケーブルラック上にケーブルを配置する場合、JCAA(一般社団法人ケーブルトレー工業会)の技術資料に基づいて積載荷重を計算する。束径から逆算したケーブル群の断面が、ラックの有効幅に対してどれだけの割合を占めるかが設計のキモ。余裕がないと追加配線のスペースが確保できず、将来の設備増設に対応できなくなる。
配線設計のあらゆるフェーズで活躍
設計段階: 配管ルートの計画
電線の種類と本数が確定した設計段階で、必要な配管径を先に把握できる。束径がわかれば、壁の貫通穴のサイズやケーブルラックの幅も計画できる。
見積もり段階: 配管材料の選定
配管材料の発注前に「この電線群ならPF22で足りるのか、PF28が必要なのか」の見当をつける。過剰な管サイズでコストが膨らむのも、不足で現場手戻りになるのも避けられる。
施工段階: 追加配線の可否確認
既設の配管に追加の電線を通せるかどうかを現場で確認。既存電線+追加電線の合計束径が配管の内径に収まるか、スマホから即座にチェックできる。
DIY・自宅配線の計画
自宅のLAN配線やコンセント増設を計画するDIY愛好家にも使える。専門知識がなくても、プリセット選択と本数入力だけで束径がわかる。
3ステップで束径がわかる
Step 1: 電線を追加して本数を入力
プリセットから電線種別(VVF、IV、CV、LAN)を選び、本数を入力する。「+ 電線を追加」ボタンで複数種類を混在させられる。特殊ケーブルはカスタム入力で外径を直接指定。
Step 2: 余裕率を設定
余裕率はデフォルト10%で、現場に応じて調整する。結束バンドの締め付けや通線時のゆとりを見込む係数で、束径にそのまま掛かる。
Step 3: 結果を確認
束径と、束が物理的に入る最小の管がリアルタイムで表示される。SVG断面図で束ね状態を視覚的に確認できる。「結果をコピー」で報告書にも転記可能。
具体的な使用例と計算検証
数値はすべてツールの配置シミュレーションの出力。「入る管」は束径以上の内径を持つ最小の管(全管種から)で、占有率の判定ではない。
ケース1: 照明回路のVVFケーブル束
入力値:
- VVF 1.6mm-2芯(6.2×9.4mm、長径φ9.4の円として配置)× 4本
- 余裕率: 10%
計算結果:
- 合計断面積: 233.12 mm²(長方形 58.28 mm² × 4本)
- 束径: 28.3 mm(余裕率なし 25.7 mm)
- 入る管: C31(内径28.6mm)
→ 解釈: 束としてはC31に入るが、占有率は36.3%で屈曲ありの32%を超える。電線管サイズ判定シミュレーターではE39・C39・VE36・PF36が推奨になる。照明回路4本を1本の管にまとめるより、2本ずつ2系統に分けるほうが現実的だ。
ケース2: コンセント回路+LAN混在
入力値:
- VVF 2.0mm-2芯(6.6×10.5mm)× 3本
- LAN Cat6(φ6.5mm)× 2本
- 余裕率: 15%
計算結果:
- 合計断面積: 274.27 mm²
- 束径: 36.3 mm(余裕率なし 31.5 mm)
- 入る管: VE42(内径40mm)
→ 解釈: 平形のVVFは長径で並ぶので、細いLANを混ぜても束はすぐ太くなる。そもそも強電と弱電は別の管に分けるのが基本で、分ければ VVF 3本とLAN 2本はそれぞれずっと細い管に収まる。
ケース3: 盤内の絶縁電線(IV)
入力値:
- IV 5.5sq(φ5.0mm)× 6本
- IV 8sq(φ6.0mm)× 2本
- 余裕率: 10%
計算結果:
- 合計断面積: 174.36 mm²
- 束径: 22.1 mm(余裕率なし 20.1 mm)
- 入る管: C25(内径22.2mm)
→ 解釈: 丸い絶縁電線は隙間に入り込みやすく、断面積の合計に対して束はそれほど膨らまない。ただし占有率で見るとE25(内径23.0mm)で42.0%となり32%を超えるので、屈曲のある経路ならE31(26.4%)にする。IVの外径はJIS C 3307の仕上外径で、5.5sqでも約5.0mmしかない。
ケース4: 大規模束ね(ダクト向け)
入力値:
- VVF 2.0mm-3芯(6.6×14.0mm)× 10本
- CV 単心 22sq(φ11.0mm)× 4本
- 余裕率: 20%
計算結果:
- 合計断面積: 1,304.13 mm²
- 束径: 70.2 mm(余裕率なし 58.5 mm)
- 入る管: E75(内径72.6mm)
→ 解釈: VVF 2.0-3Cは長径14mmあり、CV 単心4本と合わせると余裕率込みで70mmを超える。これだけの本数は丸い管より角ダクトやケーブルラックで扱うほうがよい。ラックに並べるならケーブルラック幅選定シミュレーターで幅を出す。
ケース5: 既設配管への追加通線判定
入力値:
- 既設: VVF 1.6mm-3芯(6.2×13.0mm)× 3本
- 追加: VVF 2.0mm-2芯(6.6×10.5mm)× 2本
- 余裕率: 15%
計算結果:
- 合計断面積: 380.40 mm²
- 束径: 45.7 mm(余裕率なし 39.8 mm)
- 入る管: C51(内径47.6mm)
→ 解釈: 既設がE31やPF28程度なら、束として入る余地がない。改修では追加分を別の管で新設するほうが早い。既設の管に「入るかどうか」を測るより、束径の見当で早めに別ルートへ切り替える判断に使うとよい。
ケース6: 動力盤の幹線ケーブル集約(大口径)
入力値:
- CV 14sq 3芯(カスタム φ17.5mm)× 3本
- CV 22sq 3芯(カスタム φ21.0mm)× 2本
- IV 5.5sq(φ5.0mm)× 4本(接地線)
- 余裕率: 15%
計算結果:
- 合計断面積: 1,492.85 mm²
- 束径: 80.8 mm(余裕率なし 70.3 mm)
- 入る管: プリセットの範囲外(E75の内径72.6mmを超える)
→ 解釈: CV 3芯ケーブルを5本まとめると、ねじなし電線管の最大サイズにも入らない。動力幹線は1本の管に束ねず、ケーブルラックに並べるか、回路ごとに管を分ける。CVの外径はメーカーのカタログ値(住電日立の3心で14sqが17.5mm、22sqが21.0mm)をカスタム入力した。
束径計算の仕組み・アルゴリズム
候補手法の比較 — なぜ配置シミュレーションを選んだか
電線の束径を計算する方法はいくつかある。開発時に検討した3つの手法を比較する。
| 手法 | 精度 | 計算速度 | 異径混在 | 実装の複雑さ |
|---|---|---|---|---|
| 面積合算+充填率補正 | 概算 | 瞬時 | 近似のみ | 低い |
| 貪欲法による配置シミュレーション(採用) | 実用的 | 100本まで瞬時 | 対応 | 中程度 |
| 経験式テーブル参照 | 限定的 | 瞬時 | 非対応 | 低い |
面積合算+充填率補正は、断面積の合計を充填率(0.91や0.79)で割って外接円の直径を逆算する方式。式1本で済むが、充填率は無限に広い平面の値なので、数本〜十数本の束では束径を小さく出す。同じ太さ3本なら、実際の外接円は充填率0.91の式より約2割大きい。異径混在の扱いも近似になる。
経験式テーブル参照は、代表的なケーブル組み合わせに対してメーカーが公表している束径値を参照する方式。データがある組み合わせなら確かだが、任意の電線種×本数に対応できない。
貪欲法による配置シミュレーションを採用したのは、少ない本数でも外周の隙間がそのまま結果に出て、太さの違う電線が混ざっても扱えるからだ。円充填問題の厳密な最適解はNP困難なので、1本ずつ置いていく近似(貪欲法)にとどめている。最適な詰め方より少し大きめに出るが、束径の見積もりとしては安全側だ。
計算フロー
1. すべての電線を半径の大きい順に並べる(平形は長径を直径とする)
2. 最も太い2本を左右に接して置く
3. 3本目以降は、置いた電線のどれかに接する位置を
角度方向に max(24, 8×置いた本数) 通り試し、
ほかの電線と重ならず、原点に最も近い位置に置く
4. 全員の中心の平均(重心)を原点に移す
5. 各電線について「重心からの距離+半径」を求め、その最大値 R を束の半径とする
6. 束径 D = 2R × (1 + 余裕率/100)
7. E・C・VE・PF管のうち、内径 ≧ D となる最小の管を「入る管」とする
本数の上限は100本。それ以上は配置の試行回数が増えて応答が遅くなるため計算しない。
具体的な計算例
同じ太さ3本は手計算で確かめられる。VVF 1.6mm-2芯 × 3本(長径9.4mm、余裕率10%)の場合:
3本の円(半径 r = 4.7mm)は正三角形に接して並ぶ
重心から各円の中心までの距離 = 2r / √3 = 5.43 mm
束の半径 R = 5.43 + 4.7 = 10.13 mm
束径(余裕率なし)= 2R = 20.25 mm
余裕率10%を掛けて D = 20.25 × 1.10 = 22.28 mm
入る管: E25(内径23.0mm)
ツールの出力も22.3mmで一致する。充填率0.91の式で同じ計算をすると、断面積の合計(長径の円で208.2mm²)から 2×√(208.2/(π×0.9069)) = 17.1mm となり、実際の束径を2割ほど小さく見積もることが分かる。
概算の限界
貪欲法は1本ずつ置く順番に結果が左右され、最適な詰め方より数%〜1割ほど大きい束径を返すことがある。平形ケーブルを長径の円で並べるのも、向きがそろえばもっと細く束ねられるので大きめ側だ。「計算上入らない」は確実に入らないが、「計算上入る」は占有率で改めて確かめる、という使い方になる。
電線管サイズ判定シミュレーターとの違い
同じ電気系のツールとして電線管サイズ判定シミュレーターがある。2つのツールは「計算の方向」が逆だ。
| 観点 | 電線管サイズ判定 | 電線束径計算機(本ツール) |
|---|---|---|
| 目的 | 管に電線が通るかを判定 | 電線の束径から管を選定 |
| 入力 | 電線+管サイズ | 電線のみ |
| 出力 | 占有率・合否 | 束径・推奨管 |
| 準拠 | 内線規程の占有率基準 | 配置シミュレーションによる概算 |
| ユースケース | 管が決まっている場合 | 管をこれから選ぶ場合 |
設計フローとしては、まず本ツールで束径と物理的に入る管の下限を把握し、次に電線管サイズ判定シミュレーターで占有率を確かめる、という使い分けがベストだ。多くの場合、占有率で決まる管のほうが1〜2サイズ太い。
電線の束ね方に関する実務知識
インシュロック(結束バンド)のサイズ選定
束径がわかると、適切な結束バンドのサイズも判断できる。結束バンドは製品ごとに最大結束径が規定されており、100mm用・200mm用などのバリエーションがある。束径の概算値に20〜30%の余裕を加えた値が結束バンドの必要サイズの目安だ。
電線の発熱と許容電流の関係
電線を密に束ねると、相互の発熱により許容電流が低下する。電気設備技術基準の解釈 第146条では、管内に収める電線本数に応じた電流減少係数が定められている。3本以下で0.70、4本で0.63、5〜6本で0.56——本数が増えるほど1本あたりの許容電流は小さくなる。束径の計算と合わせて、電流容量も確認するのが安全な設計の基本。
曲げ半径との関係
電線を束ねる際、曲げ半径も重要な設計パラメータだ。一般にケーブルの最小曲げ半径はケーブル外径の6倍とされる(内線規程)。束径が大きくなるほど曲げ半径も大きくなり、配管の取り回しに影響する。
効率的に使うためのTips
- 余裕率は用途に合わせて調整: コルゲートチューブなら10%、ケーブルラック上なら5%、壁貫通なら20%が目安。施工方法に応じて変える
- 平形は向きをそろえれば細くなる: 結果は平形を長径の円として並べた値。VVFを同じ向きに重ねて結束するなら、実際の束はもう少し細い
- 複数パターンを比較: 余裕率を変えて2〜3パターン計算し、コストと安全性のバランスを検討する
- 保存機能で定型作業を効率化: よく使う電線の組み合わせを保存しておくと、類似案件の見積もりが速くなる
- 電線管サイズ判定シミュレーターと併用: 束径で入る管の下限を把握したら、占有率で管を決める2段階確認がおすすめ
Q&A
Q: 「入る管」と電線管サイズ判定シミュレーターの推奨が違うのはなぜ?
見ている基準が違うからだ。このツールの「入る管」は、束の外接円が管の内径に収まるかどうか(物理的に入るか)だけを見ている。電線管サイズ判定シミュレーターは内線規程の占有率(屈曲ありなら管の断面積の32%以下)で判定するので、ほとんどの場合そちらのほうが1〜2サイズ太くなる。施工の判断には占有率のほうを使う。
Q: 異なる太さの電線が混在しても正確?
対応している。太い電線から順に並べ、細い電線は太い電線どうしの隙間に置かれるので、細い電線が束径をほとんど増やさない様子もそのまま結果に出る。1本ずつ置いていく近似なので、最適な詰め方より少し大きめの値になる。
Q: 余裕率はどのくらいが適切?
施工方法や用途によるが、一般的には10〜20%が推奨される。コルゲートチューブや配管に通す場合は10〜15%、壁やスラブの貫通部は20%程度が目安。結束バンドで束ねるだけなら5%でも問題ない場合がある。
Q: ケーブルの被覆やシースの厚みは考慮されている?
プリセットの外径値は被覆・シースを含んだ仕上がり外径を採用している。VVF・EM-EEFは矢崎・協和電線のカタログの短径×長径、CVTはフジクラ・ダイヤなどのカタログ値だ。メーカーや製造時期により実際の外径は多少異なるため、精密な判定が必要な場合はメーカーカタログの値をカスタム入力で使用することを推奨する。
Q: 計算結果のデータはサーバーに送信される?
すべての計算はブラウザ内で完結する。入力データや計算結果がサーバーに送信されることはない。「設定を保存」機能もブラウザのlocalStorageに保存するだけで、外部には一切送信されない。
まとめ
電線束径計算機は「電線を束ねたら何mmになるか」という実務の疑問にブラウザだけで即答するツールだ。
電線を1本ずつ並べる配置シミュレーションで束径を出し、束が物理的に入る管まで表示する。管の選定そのものは占有率で決まるので、電線管サイズ判定シミュレーターと組み合わせてほしい。ラックに並べる量ならケーブルラック幅選定シミュレーターを、構造部材の断面二次モーメントや重量には鋼材重量・断面性能計算ツールを併せて使ってみて。
不具合や要望があれば、お問い合わせページから気軽に教えてほしい。