溶接予熱温度カリキュレーター

鋼材の化学成分から炭素当量(Ceq/Pcm)と推奨予熱温度をJIS・AWS基準で自動算出。板厚・拘束度も加味して低温割れリスクを判定。

鋼材の化学成分から炭素当量(Ceq/Pcm)と推奨予熱温度をJIS・AWS基準で自動算出。板厚・拘束度も加味して低温割れリスクを判定する無料Webツール。

鋼種選択

規格: JIS G 3101

化学成分(質量%)

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溶接条件

通常の構造物

判定結果

推奨予熱温度

25 ℃

予熱必要

Ceqベース: 0℃ / Pcmベース: 0℃ → 基準0℃ + 板厚補正0℃ + 拘束度補正25℃

低温割れリスク

安全

低リスク(予熱不要の可能性)
炭素当量 Ceq(IIW)
0.250 %

C + Mn/6 + (Cr+Mo+V)/5 + (Ni+Cu)/15

溶接割れ感受性 Pcm
0.187 %

C + Si/30 + Mn/20 + Cu/20 + Ni/60 + Cr/20 + Mo/15 + V/10 + 5B

本ツールの計算結果は参考値です。実際の予熱温度は溶接施工要領書(WPS)や適用規格に従ってください。特殊鋼・高合金鋼は個別の検討が必要です。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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予熱を忘れた翌朝、溶接ビードにヒビが走っていた

冬の早朝、鉄骨の現場で溶接を終えて翌日検査に行ったら、ビード沿いに髪の毛ほどの細いクラックが入っていた——そんな経験、溶接に関わる人なら一度は聞いたことがあるだろう。低温割れと呼ばれるこのトラブル、原因の多くは予熱温度の不足だ。鋼材の化学成分と板厚、拘束度によって必要な予熱温度は変わる。しかし規格書をめくりながら炭素当量を手計算するのは面倒だし、間違いも起きやすい。

溶接予熱温度カリキュレーターは、鋼種を選んで板厚と拘束度を入力するだけで、炭素当量(Ceq/Pcm)と推奨予熱温度をリアルタイムに算出するツールだ。低温割れリスクの判定も色分けで表示されるから、現場でスマホからでもサッと確認できる。

規格書を引くたびに感じていた「この手間、自動化できないか」

開発のきっかけ

溶接施工要領書(WPS)を書くとき、予熱温度の決定は避けて通れない工程だ。JIS Z 3101やAWS D1.1を引き、鋼材のミルシートから化学成分を拾い、Ceqを電卓で計算し、板厚と拘束度の補正テーブルを参照する。この一連の作業を鋼種が変わるたびに繰り返していた。

既存のWeb計算ツールも試したが、不満が残った。Ceqだけ計算して予熱温度の推奨までは出してくれないもの、Pcmに非対応のもの、板厚補正を考慮しないもの——どれも「あともう一歩」が足りない。特に困ったのは、CeqとPcmのどちらを採用すべきか判断が割れる中炭素鋼域(C=0.20〜0.40%)の扱いだ。実務では両方計算して安全側を取るのがセオリーなのに、片方しか出さないツールが多かった。

こだわった設計判断

このツールではCeqとPcmを常に両方算出し、大きい方の予熱温度を採用する方式にした。さらに板厚補正と拘束度補正を加えて最終的な推奨温度を出す。10種類以上の鋼種プリセットを用意しつつ、ミルシートの値をそのまま入力できるカスタムモードも備えている。「プリセットで素早く」「カスタムで正確に」の両方に対応した。

溶接予熱温度 計算の基礎——炭素当量とは何か

炭素当量(Ceq)とは

鋼に含まれる合金元素が溶接性にどれだけ影響するかを、炭素に換算して一つの数値にまとめたものが炭素当量(Carbon Equivalent)だ。たとえば料理で「砂糖の甘さを基準にして、みりんやハチミツの甘さを砂糖何グラム分として表す」ようなもの。鋼の場合、炭素以外にもマンガン、クロム、モリブデンなどが硬化に寄与するので、それぞれの元素を炭素の影響度に換算して足し合わせる。

IIW(国際溶接学会)式は最も広く使われている炭素当量式で、次のように定義されている。

Ceq = C + Mn/6 + (Cr + Mo + V)/5 + (Ni + Cu)/15

Ceqが大きいほど溶接部の焼入れ性が高く、硬くて脆いマルテンサイト組織が生じやすくなる。一般にCeq ≤ 0.40%なら予熱不要、0.40〜0.50%で予熱推奨、0.50%超では予熱必須とされる。

参考: 炭素当量 - Wikipedia

溶接割れ感受性指数 Pcm とは

Pcm(Parameter of Crack Measurement)は伊藤・べっしょ式とも呼ばれ、低炭素鋼(C ≤ 0.18%程度)の低温割れ感受性をより正確に評価できる指標だ。

Pcm = C + Si/30 + Mn/20 + Cu/20 + Ni/60 + Cr/20 + Mo/15 + V/10 + 5B

CeqとPcmの使い分けの目安は以下の通り。

指標適用範囲特徴
Ceq(IIW式)C > 0.18%の中〜高炭素鋼広く普及、JIS/AWS両方で参照
Pcm(伊藤・べっしょ式)C ≤ 0.18%の低炭素高張力鋼日本発、HT60〜HT80級に適合

なぜ鋼は予熱しないと割れるのか

溶接で溶けた金属が急冷されると、オーステナイトからマルテンサイトに変態する。マルテンサイトは硬いが伸びが小さく、溶接残留応力と溶け込んだ水素の影響で数時間〜数十時間後にクラックが発生する。これが**低温割れ(水素割れ・遅れ割れ)**だ。予熱は冷却速度を緩やかにしてマルテンサイトの生成量を減らし、同時に水素を逃がす時間を確保する役割を持つ。

板厚と拘束度が予熱に与える影響

板厚が大きいほどヒートシンク効果で冷却が速くなり、マルテンサイトが生成されやすくなる。また、拘束度が高い(部材が自由に動けない)ほど残留応力が大きくなり、割れのリスクが上がる。そのため、炭素当量だけでなく板厚と拘束度の補正が不可欠だ。

予熱温度を間違えると何が起きるのか

低温割れ事故と手戻りコスト

2000年代に国内で発生した鋼橋の溶接割れ事故では、予熱温度の管理不足が原因の一つとして報告された。割れが見つかればガウジングでの除去→再溶接→再検査となり、手戻りコストは元の溶接費用の3〜5倍に膨らむことも珍しくない。

JIS・AWSが求める予熱管理

JIS Z 3101「溶接施工方法の確認試験」やAWS D1.1 Structural Welding Codeでは、炭素当量に基づく予熱温度の設定を要求している。特にAWS D1.1 Annex Hでは、Ceqに加えて板厚・拘束度・水素量を考慮した簡易予熱判定法が規定されている。建築基準法施行令第67条でも鉄骨溶接の品質管理が義務付けられており、予熱管理は施工計画段階で確定しておく必要がある。

同じ鋼種でも板厚で予熱温度が変わる実例

たとえばS45C(Ceq=0.567%)の場合、板厚12mmなら予熱不要の条件もあり得るが、板厚50mmでは冷却が速くなるため板厚補正+25℃が加わる。さらに高拘束条件なら+50℃で、最終的に225℃の予熱が必要になる。同じ鋼種でも板厚と拘束度で結果が大きく変わるのが予熱判定の難しさだ。

溶接施工計画で予熱判定が求められる場面

  • 溶接施工要領書(WPS)の作成 — 新しい鋼種や板厚の組み合わせが出てくるたびに予熱温度を再計算する必要がある。プリセットで素早く確認し、本格的な検討はWPSに反映する
  • 現場の品質管理・受入検査 — ミルシートの化学成分値をカスタム入力して、その特定チャージの鋼材に対する予熱温度を確認。ロットごとの成分ばらつきにも対応できる
  • 異材溶接の事前検討 — SM490とSCM435のように異なる鋼種を溶接する場合、それぞれのCeq/Pcmを比較し、高い方の値で予熱温度を決める判断材料になる
  • 設計段階での鋼種選定 — 「予熱なしで施工したいからCeq ≤ 0.40の鋼種にしよう」という逆引きの判断にも使える

溶接予熱温度カリキュレーターの使い方 3ステップ

ステップ1: 鋼種を選ぶ

プリセットからSS400、SM490、S45C、SCM440など10種類以上の鋼種を選択する。化学成分が自動入力されるので、プリセットにない鋼種は「カスタム」を選んでミルシートの値を直接入力する。

ステップ2: 板厚と拘束度を設定する

板厚を6〜100mmの範囲で入力し、拘束度を「低(自由端・薄板)」「中(通常の構造物)」「高(厚板・高剛性拘束)」から選ぶ。

ステップ3: 結果を確認する

炭素当量Ceq・Pcm、推奨予熱温度、低温割れリスク(安全/注意/危険)がリアルタイムで表示される。結果はワンタップでクリップボードにコピーでき、WPSや施工計画書にそのまま貼り付けられる。

溶接予熱温度の計算例——6つのケースで検証

ケース1: SS400(一般構造用)板厚12mm・低拘束

項目
鋼種SS400(C=0.15, Mn=0.60)
板厚 / 拘束度12mm / 低
Ceq(IIW)0.250%
Pcm0.187%
推奨予熱温度0℃(予熱不要)

SS400は低炭素鋼の代表格。Ceq・Pcmともに閾値を大きく下回っており、薄板・低拘束なら予熱なしで問題ない。建築鉄骨のフランジ溶接など、最も一般的な条件だ。

ケース2: S45C(機械構造用)板厚50mm・高拘束

項目
鋼種S45C(C=0.45, Mn=0.70)
板厚 / 拘束度50mm / 高
Ceq(IIW)0.567%
Pcm0.493%
推奨予熱温度225℃

中炭素鋼のS45Cは焼入れ性が高く、Ceq=0.567%と高リスク域。板厚50mmの板厚補正+25℃と高拘束の+50℃が加わり、最終225℃。溶接前にガスバーナーで十分な予熱が必要だ。

ケース3: SCM440(クロモリ鋼)板厚25mm・中拘束

項目
鋼種SCM440(C=0.40, Cr=1.05, Mo=0.20)
板厚 / 拘束度25mm / 中
Ceq(IIW)0.775%
Pcm0.512%
推奨予熱温度175℃

クロモリ鋼はCr・Moの寄与でCeqが0.775%と極めて高い。板厚25mmで板厚補正なし、中拘束で+25℃。Ceqベース150℃ + 拘束度25℃ = 175℃。溶接材料もCr-Mo系の低水素棒が必須だ。

ケース4: SM490A(溶接構造用)板厚25mm・中拘束

項目
鋼種SM490A(C=0.18, Si=0.35, Mn=1.40)
板厚 / 拘束度25mm / 中
Ceq(IIW)0.413%
Pcm0.262%
推奨予熱温度75℃

溶接構造用鋼SM490Aは、Ceq=0.413%で「中リスク」域に入る。板厚25mmなら板厚補正は0℃だが、中拘束の+25℃が加わり75℃。冬場の屋外施工では母材温度が0℃近くまで下がるため、この程度の予熱は省略できない。

ケース5: SM570(高張力鋼)板厚40mm・高拘束

項目
鋼種SM570(C=0.18, Mn=1.50, Cr=0.20, Mo=0.08, V=0.05, Ni=0.20, Cu=0.15)
板厚 / 拘束度40mm / 高
Ceq(IIW)0.519%
Pcm0.298%
推奨予熱温度175℃

高張力鋼SM570は多元素添加でCeqが0.519%。板厚40mmで板厚補正+25℃、高拘束で+50℃が加わり175℃。橋梁や大型構造物のフランジ突合せ溶接で頻出するケースだ。

ケース6: SCM435(クロモリ鋼)板厚60mm・中拘束

項目
鋼種SCM435(C=0.35, Mn=0.75, Cr=1.05, Mo=0.20)
板厚 / 拘束度60mm / 中
Ceq(IIW)0.725%
Pcm0.462%
推奨予熱温度225℃

SCM435は高合金鋼でCeq=0.725%の高リスク域。板厚60mmで板厚補正+50℃、中拘束で+25℃が加わり225℃。圧力容器や大型シャフトの肉盛溶接など、高温予熱と後熱処理(PWHT)をセットで管理する必要がある。

炭素当量 計算のアルゴリズム——Ceq vs Pcm の併用戦略

候補手法の比較

溶接予熱温度を決定する手法として、以下の3つが代表的だ。

手法特徴適用範囲
IIW Ceq式最も普及、JIS/AWS共に参照C > 0.18%の幅広い鋼種
伊藤・べっしょ Pcm式低炭素高張力鋼で高精度C ≤ 0.18%のHT60〜HT80級
CEN Ceq式(EN 1011-2)欧州規格で採用EN準拠の構造物

本ツールではIIW Ceq式とPcm式の両方を常に算出し、それぞれから導かれる予熱温度の大きい方を採用する方式を選んだ。これにより、低炭素鋼ではPcmが、中〜高炭素鋼ではCeqが適切に効くため、幅広い鋼種に対して安全側の判定ができる。

計算フロー

1. 化学成分から Ceq と Pcm を算出
2. Ceq → 予熱温度テーブル参照
   Ceq ≤ 0.40 → 0℃
   0.40 < Ceq ≤ 0.50 → 50℃
   0.50 < Ceq ≤ 0.60 → 100℃
   Ceq > 0.60 → 150℃
3. Pcm → 予熱温度テーブル参照
   Pcm ≤ 0.25 → 0℃
   0.25 < Pcm ≤ 0.30 → 50℃
   0.30 < Pcm ≤ 0.35 → 100℃
   Pcm > 0.35 → 150℃
4. 基準予熱温度 = max(Ceqベース, Pcmベース)
5. 板厚補正(≤25mm: 0, ≤50mm: +25, ≤75mm: +50, ≤100mm: +75)
6. 拘束度補正(低: 0, 中: +25, 高: +50)
7. 最終予熱温度 = 基準 + 板厚補正 + 拘束度補正

計算例: SCM440 板厚25mm 中拘束

Ceq = 0.40 + 0.75/6 + (1.05+0.20+0)/5 + (0+0)/15
    = 0.40 + 0.125 + 0.250 + 0
    = 0.775%  → 150℃

Pcm = 0.40 + 0.25/30 + 0.75/20 + 0/20 + 0/60 + 1.05/20 + 0.20/15 + 0/10 + 0
    = 0.40 + 0.0083 + 0.0375 + 0.0525 + 0.0133
    = 0.512%  → 150℃

基準予熱温度 = max(150, 150) = 150℃
板厚補正(25mm)= 0℃
拘束度補正(中)= 25℃
最終予熱温度 = 150 + 0 + 25 = 175℃

参考: AWS D1.1 Structural Welding Code - Steel(AWS公式)JIS Z 3101 溶接施工方法の確認試験(日本産業標準調査会)

JWES溶接シミュレーターとの違い

日本溶接工学会(JWES)が提供する予熱判定ツールや、各溶接材料メーカーのカタログ付属計算シートは業界で広く使われている。それらとの主な違いは以下の通り。

比較項目本ツールJWES等の業務用ツール
CeqとPcm同時算出常に両方表示片方のみの場合が多い
板厚・拘束度補正AWS D1.1 Annex Hベースで自動計算別途テーブル参照が必要
鋼種プリセット10種類+カスタム入力自社製品に限定されることがある
結果コピーワンタップでWPS貼付用テキスト生成PDF出力が主流
アクセスブラウザのみ、登録不要会員登録やインストールが必要な場合あり

本ツールは「WPS作成前のクイック判定」や「現場でのミルシート確認」を想定しており、最終的な施工判断は適用規格と溶接施工要領書に従う必要がある。

予熱の歴史と炭素当量式の変遷

予熱管理のはじまり

溶接部の予熱が体系的に行われるようになったのは1940年代以降だ。第二次世界大戦中、米国で量産されたリバティ船の溶接割れ事故が予熱管理の重要性を世界に知らしめた。当時は経験則で「厚い板には予熱する」程度だったが、1960年代にIIWが炭素当量式を標準化し、定量的な予熱判定が可能になった。

参考: リバティ船 - Wikipedia

伊藤・べっしょ式(Pcm)の登場

1968年、日本の伊藤・別所両氏がPcm式を発表した。当時普及し始めた高張力鋼(HT60〜HT80級)は炭素含有量が低いためIIW式では差が出にくく、より敏感な指標が必要だった。Pcmは低炭素域でのSi、Mn、Bなどの影響を細かく拾えるため、日本の鉄骨・橋梁業界で広く採用されている。

現代の動向

近年はCE(IIW)とPcmに加え、EN 1011-2で採用されるCET式や、入熱量・水素量を組み込んだ多変量予測モデルも研究されている。しかし現場レベルでは依然としてCeqとPcmの二本立てが実用的であり、本ツールもこの方針に従っている。

予熱温度管理の実務Tips

  • 温度チョーク(テンプスティック)で確認 — 指定温度で溶けるクレヨン状の温度指示材。予熱後、溶接線の両側75mmの範囲で温度チョークを擦り、溶ければOK。デジタル温度計より現場で手軽に使える
  • 予熱範囲は溶接線の両側75mm以上 — JIS Z 3101やAWS D1.1では、予熱は溶接線の近傍だけでなく、両側75mm以上の範囲にわたって行うことが求められている。局所的な予熱だと温度勾配で逆に割れやすくなる場合がある
  • 風速と気温を記録する — 冬場や風の強い現場では、予熱後の温度低下が想定より速い。施工記録に気温と風速を残しておくと、万が一割れが発生した際の原因究明に役立つ
  • 予熱温度の上限にも注意 — 予熱しすぎると結晶粒が粗大化して靭性が低下する。一般的には300℃を超えないようにする。特にSM490などの溶接構造用鋼は250℃以下が推奨される場合が多い

よくある質問

CeqとPcm、どちらを基準にすべき?

一般に炭素量が0.18%以下の低炭素高張力鋼はPcm、0.18%超の中〜高炭素鋼はCeqを重視する。ただし本ツールでは両方を算出して大きい方の予熱温度を採用しているため、使い分けに迷う必要はない。最終判断はWPSや適用規格に従って行う。

板厚補正の根拠は何?

AWS D1.1 Annex Hの簡易判定法に基づいている。板厚が大きいほど溶接部の冷却速度が速くなり、マルテンサイト変態が促進される。本ツールでは25mm刻みで+25℃ずつ加算する簡易テーブルを採用している。実際のAWS D1.1では入熱量や水素量も考慮するため、厳密な判定にはフルバージョンの計算が必要だ。

ステンレス鋼(SUS304等)にもこの計算は使える?

使えない。本ツールのCeq/Pcm式は低合金鋼(フェライト系・マルテンサイト系)向けの式であり、オーステナイト系ステンレス鋼には適用外だ。SUS304をプリセットから選ぶと警告が表示される。オーステナイト系は通常予熱不要だが、異材溶接や極厚材では別途検討が必要になる。

入力した化学成分データはサーバーに送信される?

送信されない。すべての計算はブラウザ内のJavaScriptで完結しており、入力データがサーバーに送られることは一切ない。ミルシートの機密情報を扱う場合でも安心して使える。

算出された予熱温度をそのまま施工に使っていい?

あくまで参考値として使ってほしい。実際の施工では、適用規格(JIS Z 3101、AWS D1.1等)の要求事項、溶接材料メーカーの推奨条件、入熱量、パス間温度なども総合的に考慮してWPSに記載する必要がある。本ツールは「クイック判定」と「見落とし防止」のための位置づけだ。

まとめ

溶接予熱温度カリキュレーターは、鋼材の化学成分からCeqとPcmを同時算出し、板厚・拘束度の補正を加えた推奨予熱温度をリアルタイムで判定するツールだ。WPS作成時の下調べ、現場でのミルシート確認、異材溶接の事前検討など、溶接に関わるあらゆる場面で活用できる。

溶接関連のツールは他にも揃えているので、あわせて使ってみてほしい。

不具合の報告や機能のリクエストはX (@MahiroMemo)からどうぞ。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。溶接管理技術者の資格勉強中にCeqの手計算を何度も間違えた経験から、このツールを作った

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