射出成形 冷却時間計算

樹脂種・肉厚・金型温度・樹脂温度から冷却時間とサイクルタイムを算出。成形条件の最適化を支援

💡 樹脂を選ぶと熱拡散率・推奨温度が自動設定。肉厚を入力するだけで冷却時間・サイクルタイム・時間あたりショット数をリアルタイム算出。

樹脂・温度条件

汎用結晶性樹脂。最も使用量が多い(α = 0.065 mm²/s)

成形品の最大肉厚部を入力

HDT付近

サイクル構成

計算結果

冷却時間の割合55%冷却 9.8s / サイクル 17.8s
標準的

冷却時間

9.8 s

サイクルタイム

17.8 s

時間あたりショット数

202 shots/h

1日あたり(8h)

1,615 shots

肉厚 vs 冷却時間

0246810肉厚 (mm)061123184246冷却時間 (s)9.8s

本ツールは平板モデルに基づく理論計算です。実際の冷却時間は成形品形状、冷却水路配置、金型材質等により変動します。複雑な形状にはCAE解析を推奨します。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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サイクルタイムをあと1秒削りたい――成形現場の終わらない最適化

「冷却、もう少し短くできないかな」

射出成形の現場で、この言葉を聞いたことがない人はいないだろう。サイクルタイムの60〜80%を占める冷却工程。ここを1秒縮めるだけで、1日数千ショットの量産ラインでは数十万円単位のコスト差になる。

でも実際にやろうとすると、壁にぶつかる。金型温度を下げすぎればヒケやウェルドラインが出る。取出し温度を高くすれば変形リスクが跳ね上がる。肉厚を変えれば冷却時間は2乗で効いてくるから、0.5mm の差が意外に大きい。

このツールは、フーリエ熱伝導の解析解をベースに、樹脂種・肉厚・金型温度・樹脂温度から冷却時間とサイクルタイムを即座に算出する。CAEソフトを起動するまでもない初期検討や、樹脂グレード切替時の条件出しに使ってみてほしい。

冷却時間計算ツールを作った理由

射出成形の冷却条件を決めるとき、多くの現場では「前の型と同じくらいで」「ベテランの勘で」という決め方をしている。それで問題なく回っているうちはいいが、新しい樹脂に切り替えたとき、肉厚を変更したとき、あるいは海外拠点に技術移管するとき、根拠のない条件設定はトラブルの温床になる。

CAEを使えば精密なシミュレーションは可能だが、「PPからABSに変えたら冷却時間はどれくらい変わる?」という素朴な疑問にCAEを回すのは大げさすぎる。ネット上の計算ツールも意外と少なく、あっても物性値を自分で調べる手間がかかる。

だから、樹脂を選ぶだけで熱拡散率・推奨温度がセットされ、肉厚を入れれば冷却時間からショット数まで一気に出るツールを作った。肉厚-冷却時間グラフで「あと0.5mm薄くしたらどうなるか」も視覚的にわかる。

射出成形の冷却時間 計算の基礎知識

射出成形 サイクルタイムの構造

射出成形の1サイクルは、大きく3つの工程で構成される。

  1. 射出+保圧: 溶融樹脂を金型キャビティに充填し、収縮分を補う圧力をかける
  2. 冷却: 樹脂が固化して取出し可能な温度まで下がるのを待つ
  3. 型開閉+取出し: 金型を開き、成形品をエジェクトし、再び型を閉じる

このうち冷却工程がサイクルタイムの大部分を占める。薄肉の小型部品なら40〜50%程度だが、厚肉の大型部品では80%を超えることもある。つまり、サイクルタイムの短縮 = 冷却時間の短縮と言っていい。

熱拡散率 とは

冷却時間を決める最も重要な物性値が熱拡散率(thermal diffusivity、記号 alpha)だ。単位は mm²/s。

熱拡散率は「熱がどれだけ速く伝わるか」を表す指標で、熱伝導率を密度×比熱で割った値。プラスチックは金属の100分の1程度しかないため、溶融状態から冷えるのに時間がかかる。これが射出成形で冷却工程が長い根本的な理由だ。

代表的な樹脂の熱拡散率を比較してみよう。

樹脂熱拡散率 (mm²/s)特徴
PP0.065汎用結晶性。冷えにくい
ABS0.087汎用非晶性。中程度
PA60.073エンプラ結晶性
PC0.108エンプラ非晶性。比較的冷えやすい
PE-HD0.11汎用結晶性。冷えやすい

PPの0.065に対してPCは0.108。同じ条件ならPCのほうが冷却は速いが、樹脂温度300°Cの影響で結果が逆転することもある。だから計算が必要になる。

フーリエ熱伝導方程式 と冷却時間の関係

射出成形の冷却時間は、フーリエの熱伝導方程式の解析解から導かれる。金型壁面温度を一定(Tw)、初期樹脂温度を均一(Tm)と仮定した平板モデルでは、成形品中心部の温度が取出し温度(Te)に達する時間 t は以下の式で求まる。

t = (s² / (pi² × alpha)) × ln((4/pi) × (Tm - Tw) / (Te - Tw))

s: 肉厚 [mm]
alpha: 熱拡散率 [mm²/s]
Tm: 樹脂温度(溶融温度)[°C]
Tw: 金型温度 [°C]
Te: 取出し温度 [°C]

この式から読み取れる重要なポイントは2つ。

  • 肉厚は2乗で効く: 肉厚が2倍になると冷却時間は4倍。3mm → 6mm なら冷却時間は4倍に跳ね上がる
  • 温度比は対数で効く: (Tm-Tw)/(Te-Tw) の比率が大きいほど冷却時間は長くなるが、対数関数なので肉厚ほど劇的には変わらない

つまり、冷却時間を短縮したいならまず肉厚を見直すのが最も効果的ということだ。

冷却時間の計算を怠ると何が起きるか

ヒケ・反りの発生と手戻りコスト

冷却時間が不足した状態で成形品を取り出すと、内部がまだ溶融状態のため収縮が不均一に進む。結果としてヒケ(表面の凹み)や反り(全体的な変形)が発生する。

自動車内装部品でヒケが発見されれば、金型修正(数十万〜数百万円)と条件出しのやり直しが必要になる。量産開始後の発覚ならライン停止で1日数百万円の損失になることも。

過冷却による生産性低下

逆に冷却時間を長く取りすぎるケースも多い。「安全を見て長めに」という判断自体は理解できるが、そのコストは想像以上に大きい。

例えばサイクルタイム20秒の製品で冷却を5秒余分に取ると、24時間稼働で1日あたり864ショット減。年間約31万ショットの差で、単価10円の部品でも310万円の機会損失になる。

JIS B 8650(プラスチック加工機械の安全通則)との関連

JIS B 8650では成形条件の妥当性確認は使用者の責任。冷却不足で成形品が金型に引っかかり、無理な型開きで金型を破損する事故も報告されている。経験則だけに頼らず、物理的な根拠を持った条件設定が不可欠だ。

冷却時間計算が力を発揮するシーン

新規金型の設計段階

金型設計の初期段階で冷却時間を概算しておくと、冷却水路のレイアウトや金型材質の選定に根拠を持てる。「この肉厚なら冷却に30秒かかるから、コンフォーマル冷却を検討しよう」という判断が早期にできる。

樹脂グレードの切替時

PPからABSへ、ABSからPCへ。樹脂を変えれば熱拡散率も推奨金型温度も変わる。切替前に冷却時間を比較計算しておけば、条件出しの試行錯誤を大幅に減らせる。

肉厚変更の影響評価

製品設計で「強度を上げるために肉厚を1mm増やしたい」という要望が出たとき、冷却時間がどれだけ伸びるかを即座に回答できると、設計と生産技術の間の意思決定がスムーズになる。

見積もり時のサイクルタイム算定

新規受注の見積もりでは、サイクルタイムが製造原価の根幹。冷却時間を理論計算で裏付けることで、根拠のある見積もりが出せる。

射出成形 冷却時間計算の使い方

ステップ1: 樹脂を選ぶ

プルダウンからPP・ABS・PC・PA6など10種類の樹脂プリセットを選択。熱拡散率と推奨温度が自動入力される。物性値がわかっている場合は「カスタム」で直接入力も可能。

ステップ2: 肉厚と温度条件を入力

成形品の最大肉厚をmm単位で入力。樹脂温度・金型温度・取出し温度はプリセットの値を必要に応じて調整する。射出+保圧時間と型開閉時間も実際の条件に合わせて変更できる。

ステップ3: 結果とグラフを確認

冷却時間・サイクルタイム・時間あたりショット数・冷却時間の割合がリアルタイムで表示される。肉厚と冷却時間の関係グラフで、肉厚変更の影響も一目で把握できる。

成形条件別の冷却時間シミュレーション結果

ケース1: PP 薄肉2mm(汎用コンテナ)

項目
樹脂PP(alpha=0.065 mm²/s)
肉厚2.0 mm
樹脂温度 / 金型温度 / 取出し温度230°C / 40°C / 90°C
射出+保圧 / 型開閉3s / 5s
冷却時間9.8s
サイクルタイム17.8s(202 shots/h)
冷却比率55%

熱拡散率が低いPPでも、肉厚2mmなら冷却比率55%と標準的なバランス。

ケース2: PC 厚肉4mm(透明カバー)

項目
樹脂PC(alpha=0.108 mm²/s)
肉厚4.0 mm
樹脂温度 / 金型温度 / 取出し温度300°C / 90°C / 130°C
射出+保圧 / 型開閉5s / 5s
冷却時間28.5s
サイクルタイム38.5s(94 shots/h)
冷却比率74%

熱拡散率は高いが樹脂温度300°Cの影響で4mm肉厚では28.5秒。冷却比率74%は冷却短縮の効果が大きいゾーン。

ケース3: ABS 薄肉1.5mm(家電ハウジング)

項目
樹脂ABS(alpha=0.087 mm²/s)
肉厚1.5 mm
樹脂温度 / 金型温度 / 取出し温度240°C / 60°C / 90°C
射出+保圧 / 型開閉2s / 4s
冷却時間5.3s
サイクルタイム11.3s(318 shots/h)
冷却比率47%

冷却5.3秒、318 shots/hの高速サイクル。薄肉家電部品の典型的なケース。

ケース4: PA66 3mm(エンプラコネクタ)

項目
樹脂PA66(alpha=0.078 mm²/s)
肉厚3.0 mm
樹脂温度 / 金型温度 / 取出し温度280°C / 80°C / 130°C
射出+保圧 / 型開閉4s / 5s
冷却時間19.0s
サイクルタイム28.0s(129 shots/h)
冷却比率68%

冷却比率68%は「冷却が長め」の領域。金型温度や肉厚の最適化を検討する価値がある。

ケース5: POM 2.5mm(精密ギヤ)

項目
樹脂POM(alpha=0.075 mm²/s)
肉厚2.5 mm
樹脂温度 / 金型温度 / 取出し温度210°C / 80°C / 110°C
射出+保圧 / 型開閉3s / 5s
冷却時間14.4s
サイクルタイム22.4s(161 shots/h)
冷却比率64%

金型温度80°Cが必要で温度差が小さく、冷却14.4秒。精密ギヤでは寸法精度が求められるため、この値を下限の目安にしたい。

ケース6: PE-HD 6mm(厚肉容器)

項目
樹脂PE-HD(alpha=0.11 mm²/s)
肉厚6.0 mm
樹脂温度 / 金型温度 / 取出し温度230°C / 30°C / 80°C
射出+保圧 / 型開閉6s / 6s
冷却時間54.0s
サイクルタイム66.0s(55 shots/h)
冷却比率82%

熱拡散率0.11と高いが、6mm厚肉では54秒。冷却比率82%は「冷却支配」領域で、肉厚削減やガスアシスト成形の検討が強く推奨される。

ケース比較まとめ

ケース肉厚冷却時間サイクルshots/h冷却比率
PP 2mm2.09.8s17.8s20255%
PC 4mm4.028.5s38.5s9474%
ABS 1.5mm1.55.3s11.3s31847%
PA66 3mm3.019.0s28.0s12968%
POM 2.5mm2.514.4s22.4s16164%
PE-HD 6mm6.054.0s66.0s5582%

冷却時間計算の仕組みとアルゴリズム

候補手法の比較

射出成形の冷却時間を求める方法は、大きく3つある。

1. 数値解析(CAE): 有限要素法で3Dモデルの非定常熱伝導を解く。最も高精度だが、準備から実行まで数時間〜1日。Moldflow等の専用ソフトが必要。

2. 平板モデルの解析解(本ツールの採用手法): フーリエの熱伝導方程式を1次元に簡略化。精度はCAEに劣るが10〜20%の誤差範囲で実用的。成形加工学会のテキストでも標準的に使われている手法だ。

3. 経験式: 「肉厚1mmあたり2〜3秒」のような簡易式。樹脂種や温度条件の違いを反映できない。

本ツールでは手法2を採用した。入力パラメータが少なく即座に計算でき、樹脂種・温度条件の違いを物理的に反映でき、実務で広く使われている点が理由だ。

実装の計算フロー

入力:
  s  = 肉厚 [mm]
  alpha = 熱拡散率 [mm²/s](プリセットまたは手動入力)
  Tm = 樹脂温度 [°C]
  Tw = 金型温度 [°C]
  Te = 取出し温度 [°C]
  t_inj = 射出+保圧時間 [s]
  t_mold = 型開閉+取出し時間 [s]

計算:
  1. 冷却時間: t = (s² / (pi² × alpha)) × ln((4/pi) × (Tm - Tw) / (Te - Tw))
  2. サイクルタイム: CT = t + t_inj + t_mold
  3. 時間あたりショット数: shots/h = 3600 / CT
  4. 冷却比率: ratio = (t / CT) × 100

バリデーション:
  - Te > Tw(取出し温度が金型温度より高い)
  - Tm > Te(樹脂温度が取出し温度より高い)
  - s > 0

計算例: PP 肉厚2mm

s = 2.0 mm, alpha = 0.065, Tm = 230°C, Tw = 40°C, Te = 90°C

s²/(pi²×alpha) = 4.0 / 0.6415 = 6.234
(4/pi)×(Tm-Tw)/(Te-Tw) = 1.2732 × 3.8 = 4.838
t = 6.234 × ln(4.838) = 6.234 × 1.576 = 9.8 s

サイクル: 9.8 + 3 + 5 = 17.8 s → 202 shots/h, 冷却比率 55%

この結果はCAE解析と概ね10〜20%の範囲で一致する。平板モデルは形状効果(リブ・ボス等)を無視するため、複雑な形状ではやや長めになる傾向がある。初期検討の目安として活用し、量産条件はトライ成形で詰めるのが実務的なアプローチだ。

既存の冷却時間計算ツールとどう違うのか

冷却時間を求める手段はいくつかあるが、それぞれ「気軽に使えるか」という点で課題を抱えている。

CAE解析ソフト は高精度だが初期検討には重すぎる。樹脂メーカーの技術資料 はカタログを引き直して電卓を叩く手間がある。Excel自作シート は物性値を自分で調べる必要があり、他人のシートはブラックボックス化しやすい。

本ツールの差別化ポイントは3つ。

  1. 樹脂10種のプリセット — 熱拡散率と推奨温度が選ぶだけで自動入力。カスタム入力にも対応
  2. 肉厚-冷却時間グラフ — 肉厚0.5〜10mmの2乗カーブを可視化。現在の肉厚位置がマーカーで示される
  3. サイクルタイムまで一気通貫 — 冷却時間・サイクルタイム・shots/h・冷却占有率まで一画面で確認

「ざっくり知りたい」場面に特化した設計になっている。

射出成形と冷却にまつわる豆知識

射出成形の歴史 — 150年前の発明

射出成形の原型は1872年、ジョン・ウェズリー・ハイアットのセルロイド成形機に遡る。ビリヤードの球を象牙の代替品で作る技術として生まれ、1950年代にスクリュー式が確立されて量産品質が飛躍的に向上した。参考: 射出成形 - Wikipedia

冷却時間は肉厚の2乗に比例する

これは成形現場で最も重要な経験則の一つ。肉厚を2倍にすると冷却時間は約4倍になる。フーリエの熱伝導方程式の解析解から導かれる物理的な事実で、「肉厚を少し増やしただけ」のつもりがサイクルタイムを大幅に悪化させる原因になる。

PPで肉厚2mm→4mmにすると冷却時間は約10秒→約40秒。たった2mmの差でサイクルが30秒伸びる。設計者が「リブを厚くしたい」と言ったとき、生産技術者が抵抗する理由はここにある。

コンフォーマル冷却 — 3Dプリンタが変えた金型冷却

金属3Dプリンタ(SLM/DMLS)の普及で、成形品の形状に沿った曲線的な冷却水路が実現可能になった。従来のドリル加工による直線水路に比べ、冷却効率が30-50%向上する。参考: Conformal cooling channel - Wikipedia

ただし製作コストが高いため、量産数量とサイクル短縮効果を天秤にかけて判断する必要がある。本ツールで従来冷却の理論値を算出し、投資対効果の検討材料にしてみてほしい。

成形サイクルを縮めるための実践Tips

Tip 1: 肉厚の均一化が最優先

冷却時間は最大肉厚で決まる。部分的に厚い箇所があると、そこが冷え切るまで全体を待たなければならない。リブの根元を薄くする、ボス径を見直すなど、肉厚を均一に近づけるだけでサイクルタイムが改善する。目安として、リブ厚は主肉厚の50-70%が推奨値。

Tip 2: 金型温度は「高すぎず低すぎず」

金型温度を下げれば冷却は速くなるが、低すぎるとショートショットやウェルドラインの原因になる。結晶性樹脂は結晶化度にも影響するため、樹脂メーカーの推奨範囲を守ること。

Tip 3: 取出し温度の見極め

取出し温度を上げれば冷却は短縮できるが変形リスクが上がる。HDT(荷重たわみ温度)を目安に、変形が許容範囲に収まる温度を見つけるのがコツ。

Tip 4: 型開閉時間の短縮も見逃すな

型開閉+取出し時間が5-8秒かかっている場合、1秒の短縮でもショット数が数%改善する。ロボット取出しの最適化やエジェクタストロークの短縮は低コストで実施可能。

Tip 5: 肉厚-冷却時間グラフを設計レビューに活用

本ツールのグラフで「肉厚1mm増→冷却時間+○秒=年間△万ショット減」と金額換算すれば、設計変更の合意が得やすくなる。

よくある質問(FAQ)

円筒形状の成形品にも使える?

平板モデルの解析解を使用しているため、円筒形状には直接適用できない。ただし肉厚が外径に比べて十分薄い場合(肉厚/外径 < 0.1 程度)は平板近似でも実用的な精度が得られる。厚肉円筒はCAE解析を推奨する。

結晶性樹脂と非晶性樹脂で精度に差はある?

結晶性樹脂(PP、PA、POM等)は固化時に結晶化の潜熱を放出するため、計算値よりやや長くなる傾向がある。非晶性樹脂(ABS、PC、PS等)は潜熱がなく精度が高い。結晶性樹脂の場合は10-20%程度のマージンを見込んでおくと安全。プリセット熱拡散率には結晶化の影響を一定程度反映しているが、グレードや添加剤のばらつきは考慮していない。

計算結果と実測値にどれくらい差がある?

薄肉の平板状成形品であれば実測値と10-15%程度の誤差に収まることが多い。ただし複雑な形状(リブ・ボス・偏肉)、冷却水路が遠い配置、金型材質の違い(ベリリウム銅やアルミ金型)で誤差が拡大する。初期検討用の概算値として使い、量産条件はトライ成形で実測すること。

入力データや計算結果はサーバーに送信される?

すべての計算はブラウザ上(クライアントサイド)で実行されるため、入力した樹脂条件や温度データがサーバーに送信されることはない。社外秘の成形条件でも安心して使える。ブラウザを閉じればデータは消える。

ガラス繊維入り(GF)樹脂の場合はどうすればいい?

フィラー入り樹脂はベース樹脂より熱伝導率が高く、冷却時間が短縮される傾向がある。プリセットには用意していないが、「カスタム」で樹脂メーカーのカタログから熱拡散率を入力すれば計算可能。GF30%添加で熱拡散率は1.3-1.5倍程度になる。

まとめ

射出成形の冷却時間は肉厚の2乗に比例し、サイクルタイムの60-80%を占める。この事実を数値で把握できるかどうかが、成形条件の最適化と生産性向上の分かれ目になる。

樹脂10種のプリセットから冷却時間・サイクルタイム・shots/hを即座に算出できるので、設計レビューや見積もりで活用してみてほしい。

型締力の計算には射出成形 型締力計算、収縮補正には収縮率補正計算も合わせて使うと、金型設計の初期検討がより精度の高いものになる。

不具合の報告や機能リクエストはお問い合わせから気軽にどうぞ。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。射出成形の冷却条件出しで、肉厚0.5mm増やしただけでサイクルが5秒伸びた経験がある。2乗則の威力を身をもって知った瞬間だった。

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