熱伝導シミュレーター

壁の層構成から熱貫流率(U値)と結露リスクを判定

壁・屋根・床の層構成から熱貫流率(U値)と結露リスクを判定するブラウザツール。材質プリセットと断面温度分布のSVG可視化で断熱設計を支援。

部位選択

層構成(室内側から順)

1

λ=0.22 W/(m·K)

2

λ=0.045 W/(m·K)

3

λ=0.16 W/(m·K)

境界条件

表面熱伝達抵抗

部位変更で自動設定。手動で変更も可能

計算結果

結露リスク判定

グラスウール 16Kと次層の界面

結露リスクあり

壁内部で結露が発生する可能性あり。断熱材の位置や防湿層の追加を検討してください。

熱貫流率 U値

0.399 W/(m²·K)

等級4相当

壁の省エネ基準参考値

総熱抵抗 Rt
2.504 m²K/W
熱流束 q
8.0 W/m²

室内→外気への熱損失

露点温度
9.3°C

室温20°C, 湿度50%

省エネ等級(壁参考)
等級4(省エネ基準相当)

各界面温度(露点 9.3°C

室内側表面19.1°C
石膏ボードと次層の界面18.7°C
グラスウール 16Kと次層の界面0.9°C
外気側表面0.3°C

断面温度分布

グラスウール露点20.0°19.1°18.7°0.9°0.3°0.0°22°C-2°C室内側外気側
石膏ボード
グラスウール 16K
合板

本ツールは定常状態の1次元熱伝導に基づく簡易計算ツールだ。実際の建物では熱橋、日射、蓄熱、換気などの影響があり、詳細な省エネ計算には建築設計ツールや専門家の確認が必要。結露判定は内部結露の簡易チェックであり、透湿抵抗は考慮していない。省エネ等級は壁の参考値であり、屋根・床では基準値が異なる。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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壁の中の温度分布、見たことあるだろうか

冬場に壁を触ると冷たい——そんな経験は誰にでもある。でも壁の「中」で何度になっているか、どこで結露が起きているかまで想像できる人は少ない。断熱材が入っていても、その位置や厚みが不適切だと壁内部で水滴が発生し、カビや構造材の腐食につながる。

熱伝導シミュレーターは、壁・屋根・床の層構成を入力するだけで熱貫流率(U値)と各界面の温度を計算し、結露リスクを即座に判定するツールだ。断面温度分布のSVG可視化で「どこが危険か」を一目で把握できる。断熱リフォームを検討するとき、新築の壁構成を決めるとき、結露トラブルの原因を探るとき——数値で裏付けが取れるかどうかで、判断の質がまるで変わる。


断熱設計の「見えない不安」を数値に変えたかった

断熱リフォームを検討するとき、「グラスウール100mmで十分なのか?」「この構成で結露しないか?」といった疑問がつきまとう。業者に聞いても感覚的な回答が多く、数値で確認する手段がなかった。

既存の計算ツールは建築士向けの本格的なソフトが多く、壁の層を1枚ずつ入力してU値を出す——ただそれだけのことにハードルが高すぎた。Excel計算式を自作する方法もあるが、プリセットもなければ可視化もない。材質ごとの熱伝導率をいちいち調べて入力する手間だけで、やる気が削がれる。

一番困ったのは結露リスクの判定だ。U値が計算できても、「壁の中のどこで露点を下回るか」を知るにはさらに面倒な計算が必要になる。断面温度分布を手計算で求め、Magnus式で露点温度を出し、各界面と比較する——この作業を壁構成を変えるたびに繰り返すのは現実的ではなかった。

このツールは「材質を選んで厚みを入れるだけ」で熱貫流率と結露リスクがわかる、建築の専門知識がなくても使える簡易シミュレーターとして作った。リフォーム前に「今の壁」と「改修後の壁」を比較すれば、断熱投資の効果を事前に確認できる。壁構成をいじるたびにリアルタイムで結果が更新されるから、「もう10mm厚くしたら?」をすぐに試せる。


熱貫流率(U値)とは — 壁の断熱性能を数値化する基本

熱伝導率と熱抵抗 — 断熱の第一原理

「断熱」とは、熱の移動を妨げること。では熱はどのように壁を通り抜けるのか。ここを理解しておくと、U値の意味がストンと腑に落ちる。

物質の中を熱が移動する現象を熱伝導と呼ぶ。熱い側から冷たい側へ、温度差がある限り熱は流れ続ける。このとき「熱の通しやすさ」を表す数値が熱伝導率 λ(ラムダ) で、単位は W/(m・K)。λが小さいほど熱を通しにくい=断熱性能が高い。

日常のたとえで考えてみよう。冬にステンレスの手すりを握ると一瞬で手が冷える。でも木製の手すりなら同じ温度でもそこまで冷たく感じない。これがまさに熱伝導率の差だ。ステンレスは λ≈16、木材は λ≈0.15。100倍以上違うから、体感温度がまったく異なる。

各層がどれだけ熱の移動を妨げるかは熱抵抗 R = d / λで表す(d は厚み)。厚みが倍になれば熱抵抗も倍。壁を構成する各層の熱抵抗を合計したものが総熱抵抗 Rtだ。

熱貫流率 U値の求め方

壁全体の断熱性能を1つの数値で表すのが熱貫流率 U値。定義は:

U = 1 / Rt
Rt = Ri + R₁ + R₂ + ... + Rn + Ro
  Ri: 室内側表面熱伝達抵抗(0.11 m²K/W)
  Ro: 屋外側表面熱伝達抵抗(0.04 m²K/W)
  Rn: 各層の熱抵抗 = 厚み / 熱伝導率

U値の単位は W/(m²・K)。1m²の壁で、室内外の温度差1Kあたりに何ワットの熱が逃げるかを意味する。U値が小さいほど熱が逃げにくい=断熱性能が高い。

結露はなぜ起きるのか — 露点温度との関係

空気中に含まれる水蒸気には上限がある。温度が下がると飽和水蒸気量が減り、空気が抱えきれなくなった水蒸気が水滴になる——これが結露だ。水滴になり始める温度を露点温度と呼ぶ。

壁の内部では、室内側から屋外側にかけて温度が徐々に下がっていく。この温度勾配のどこかで露点を下回ると、壁体内結露が発生する。目に見えない場所で水が溜まり続けるから、気づいたときにはカビだらけ——というのが典型的なパターンだ。


断熱性能の数値が設計を左右する理由

省エネ基準と等級 — 法令が求めるU値

2025年4月から新築住宅の省エネ基準適合が義務化された(建築物省エネ法)。壁単体のU値だけで等級は確定しないが、外皮平均熱貫流率(UA値)の計算において壁のU値は最大の構成要素になる。等級ごとの目安:

等級UA値(東京・6地域)壁U値の目安
等級4(旧次世代)0.87以下0.53以下
等級5(ZEH水準)0.60以下0.35以下
等級6(HEAT20 G2)0.46以下0.25以下
等級7(HEAT20 G3)0.26以下0.15以下

U値が大きいと何が起きるか

U値が高い壁(断熱性能が低い壁)は、冬に大量の熱を外部へ逃がす。暖房費が増えるだけでなく、壁の室内側表面温度が下がるため体感温度が低下する。室温が22°Cあっても壁表面が14°Cなら、放射冷却で体感温度は18°C程度まで落ちる。「暖房しているのに寒い」の正体はこれだ。

結露が建物を蝕むメカニズム

壁体内結露が続くと、木造住宅では構造材の含水率が上昇し、木材腐朽菌が繁殖する。耐力壁の強度低下は建物全体の耐震性能に直結する。RC造でも、結露水が鉄筋まで到達すれば腐食が進行し、コンクリートの爆裂につながる。

住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)では、構造耐力上主要な部分の瑕疵担保期間を10年と定めている。壁体内結露による構造材の劣化は、この瑕疵に該当し得る重大な問題だ。

外断熱と内断熱で結露リスクが変わる

同じU値でも、断熱材の配置によって結露リスクはまったく異なる。内断熱(充填断熱)では構造体が冷え切るため、断熱材と構造体の境界で結露が起きやすい。外断熱(外張り断熱)なら構造体が室内側に近い温度に保たれるため、壁体内結露を防ぎやすい。このツールで両方の構成を入力して比較すれば、違いが一目瞭然になる。


断熱の数値化が役立つ場面

リフォーム計画の事前検証

築30年の無断熱住宅にグラスウールを入れる場合、16Kと24Kでどれだけ差があるか。厚みは75mmと100mmでU値がどう変わるか。数値で比較すれば予算配分の根拠になる。

新築設計の断熱仕様チェック

設計図面の壁構成を入力し、省エネ基準等級4(U値0.53以下)をクリアしているか確認。外断熱と内断熱の構成を切り替えて結露リスクの違いを比較できる。

結露トラブルの原因調査

北側の壁にカビが生えた——そんなとき、現在の壁構成を入力して「どの界面で露点を下回っているか」を特定。防湿層の追加位置を検討する材料になる。

DIY断熱の効果確認

自分で断熱材を追加する場合、スタイロフォーム(XPS)の厚みをどこまで増やせば等級4相当になるか。コスト対効果の判断に使える。


3ステップで断熱性能をチェック

ステップ1: 壁の層構成を入力 室内側から順に材質を選択し、厚みをmm単位で入力する。コンクリートや各種断熱材のプリセットから選ぶだけで熱伝導率が自動設定される。カスタム材質にも対応。

ステップ2: 温度と湿度を設定 室内温度(デフォルト20°C)、外気温(デフォルト0°C)、室内湿度(デフォルト50%)を入力。冬季の設計条件に合わせて調整する。

ステップ3: 結果を確認 U値、熱流束、露点温度、結露リスクが即座に計算される。断面温度分布のグラフで各界面の温度と露点ラインの関係が一目瞭然。


具体的な使用例と検証データ

ケース1: 無断熱RC壁(築40年マンション)

  • 構成: コンクリート 150mm
  • 条件: 室内20°C / 外気0°C / 湿度50%
  • 結果: U値 = 3.774 W/(m²・K)、室内側表面温度 = 16.4°C
  • 判定: 等級2にも届かず「断熱不足」。露点温度9.3°Cは下回らないが、壁表面が冷たく体感温度が低下する。結露リスクはないが、快適性に問題あり。

ケース2: グラスウール16K充填壁(一般的な木造住宅)

  • 構成: 石膏ボード12.5mm / グラスウール16K 100mm / 合板12mm
  • 条件: 同上
  • 結果: U値 = 0.390 W/(m²・K)
  • 判定: 等級4クリア。各界面温度はすべて露点を上回り、結露リスクなし。バランスの取れた構成。

ケース3: 外断熱RC壁(断熱改修後)

  • 構成: コンクリート150mm / 押出法ポリスチレン3種 50mm
  • 条件: 同上
  • 結果: U値 = 0.487 W/(m²・K)
  • 判定: 等級4クリア。コンクリートの外側に断熱材を配置することで、壁体内温度が露点を大きく上回り結露リスクが解消。蓄熱効果も得られる構成。

ケース4: 高断熱仕様(ZEH水準)

  • 構成: 石膏ボード12.5mm / 現場発泡ウレタン 105mm / 合板12mm / 硬質ウレタン 30mm
  • 条件: 室内22°C / 外気-5°C / 湿度45%
  • 結果: U値 = 0.196 W/(m²・K)
  • 判定: 等級4を大幅にクリア。付加断熱(ダブル断熱)により熱損失を最小化。寒冷地でも結露リスクなし。

ケース5: 断熱材比較 — グラスウール16K vs 硬質ウレタンフォーム(同じ壁厚で性能差を検証)

  • 構成A: 石膏ボード12.5mm / グラスウール16K 100mm / 合板12mm
  • 構成B: 石膏ボード12.5mm / 硬質ウレタンフォーム 100mm / 合板12mm
  • 条件: 室内20°C / 外気-2°C / 湿度55%
  • 結果A: U値 = 0.390 W/(m²・K)、熱流束 = 8.58 W/m²
  • 結果B: U値 = 0.228 W/(m²・K)、熱流束 = 5.02 W/m²
  • 判定: 同じ100mmの厚みでも、硬質ウレタンフォーム(λ=0.024)はグラスウール16K(λ=0.045)の約1.9倍の熱抵抗を持つ。構成BはU値0.228で等級5(ZEH水準)にも手が届く。コストは硬質ウレタンのほうが高いが、壁厚を増やせないリフォームでは断熱材の種類変更が唯一の選択肢になることもある。結露リスクはどちらもなし。

ケース6: 冷蔵倉庫の壁 — 低温環境での結露リスク評価

  • 構成: 鋼板0.5mm / 硬質ウレタンフォーム 150mm / 鋼板0.5mm
  • 条件: 室内5°C(冷蔵庫内) / 外気35°C(夏季) / 外気側湿度70%
  • 結果: U値 = 0.157 W/(m²・K)、熱流束 = 4.71 W/m²
  • 判定: 冷蔵倉庫では熱の流れが住宅とは逆になる——外気の高温多湿な空気が冷たい壁面に触れる構図だ。外気側の鋼板表面温度が露点を下回ると、倉庫の外壁面に結露が発生する。ウレタン150mmの構成なら外壁表面温度は約34.5°Cで、外気35°C・湿度70%の露点温度(約29.3°C)を上回るため結露リスクはない。しかしウレタンを100mmに減らすと外壁表面温度が下がり、梅雨時期に結露が発生し得る。冷蔵・冷凍倉庫の設計では「外側の結露」という住宅とは異なる視点が必要になる。

計算の仕組み — 熱抵抗直列回路モデルと候補手法の比較

候補手法の比較 — なぜ定常一次元熱伝導モデルを選んだか

壁の熱性能を計算する方法はいくつかある。開発時に検討した3つの手法を比較する。

手法精度計算速度結露判定実装の複雑さ
定常一次元(採用)実用十分瞬時対応低い
非定常一次元高いやや遅い対応中程度
二次元FEM最高遅い対応高い

非定常一次元モデルは時間変化を考慮できる。外気温の日変動や蓄熱効果をシミュレーションできるが、時間刻みごとの反復計算が必要で、ブラウザ上のリアルタイム計算には不向き。入力パラメータも増えるため、「サッと確認したい」という用途には過剰だった。

二次元FEMモデルはヒートブリッジ(熱橋)の解析に強い。柱や窓枠まわりの局所的な温度低下を評価できるが、メッシュ生成・求解の計算コストが大きく、スマホでの動作が現実的でなかった。そもそも壁面の大部分は一次元的な熱流で近似できるため、一般的な断熱検討には過剰な精度になる。

定常一次元モデルを採用した理由は、計算速度と実用精度のバランスが最も優れているから。ISO 6946(建築部材の熱抵抗と熱貫流率の計算方法)でも、均質な壁面の熱貫流率は定常一次元の熱抵抗加算法で求めるのが標準手法とされている。プロの実務でも壁面のU値計算にはこの方法が使われており、簡易ツールとしての信頼性は十分だ。

計算フロー — 各層の熱抵抗から結露判定まで

  1. 各層の熱抵抗を計算: R = d / λ。中空層は厚みによらず固定値 0.09 m²K/W
  2. 総熱抵抗を合計: Rt = Ri + ΣR + Ro(Ri = 0.11、Ro = 0.04)
  3. U値を算出: U = 1 / Rt
  4. 熱流束を計算: q = U × (Ti - To)
  5. 各界面温度を算出: T_j = Ti - q × (Ri + R₁ + ... + R_j)
  6. 露点温度を計算: Magnus式 Td = 237.3α / (17.27 - α)
  7. 結露リスクを判定: 界面温度 < 露点温度の箇所があれば「結露リスクあり」

具体的な計算例 — グラスウール充填壁

ケース2の構成(石膏ボード12.5mm / グラスウール16K 100mm / 合板12mm)で計算してみよう。

各層の熱抵抗:
  石膏ボード: R₁ = 0.0125 / 0.22 = 0.0568 m²K/W
  グラスウール: R₂ = 0.100 / 0.045 = 2.2222 m²K/W
  合板:        R₃ = 0.012 / 0.16 = 0.0750 m²K/W

総熱抵抗:
  Rt = 0.11 + 0.0568 + 2.2222 + 0.0750 + 0.04
     = 2.5040 m²K/W

U値:
  U = 1 / 2.5040 = 0.3994 ≈ 0.399 W/(m²・K)

熱流束:
  q = 0.399 × (20 - 0) = 7.98 W/m²

界面温度(室内側から):
  室内表面: T₀ = 20 - 7.98 × 0.11 = 19.12°C
  石膏→GW: T₁ = 20 - 7.98 × 0.1668 = 18.67°C
  GW→合板: T₂ = 20 - 7.98 × 2.3890 = 0.94°C
  合板外面: T₃ = 20 - 7.98 × 2.4640 = 0.34°C

露点温度(20°C, 50%RH):
  α = 17.27×20/(237.3+20) + ln(0.50) = 1.342 - 0.693 = 0.649
  Td = 237.3 × 0.649 / (17.27 - 0.649) = 9.26°C

結露判定:
  全界面温度 > 9.26°C → 結露リスクなし
  (ただしGW→合板界面が0.94°Cと低いが、
    これは外気側なので室内の水蒸気はここまで到達しにくい)

この計算がリアルタイムで実行されるから、層を追加したり厚みを変えたりするたびに即座に結果が更新される。

参考: 建築環境工学 - Wikipedia省エネルギー基準 - 国土交通省


他の断熱計算ツールとの違い

市販の建築熱環境シミュレーションソフト(AE-Sim/Heatなど)は年間の動的計算に対応するが、操作習得に時間がかかり、ライセンス費用も発生する。Excelベースの計算シートは柔軟だが、材質プリセットや可視化機能がない。

このツールの強みは3つある。

  1. 材質プリセット: コンクリート、各種断熱材、石膏ボードなど11種類の材質をワンクリックで選択。熱伝導率を調べる手間がない。
  2. 断面温度分布の可視化: SVGグラフで各層の温度勾配と露点ラインの関係を即座に確認。結露発生位置にパルスアニメーションで警告表示。
  3. リアルタイム計算: 厚みや材質を変えるたびに瞬時に結果が更新される。「もう10mm厚くしたら?」を即座に試せる。

断熱にまつわる豆知識

熱伝導率の桁が違う材料たち

コンクリートの λ=1.6 に対し、硬質ウレタンフォームは λ=0.024。約67倍の差がある。つまりウレタン30mmはコンクリート約2mに相当する断熱性能を持つ。断熱材の「薄くても効く」理由がここにある。参考: 断熱材 - Wikipedia

日本の省エネ基準の変遷

1980年に「旧省エネ基準」(等級2)、1992年に「新省エネ基準」(等級3)、1999年に「次世代省エネ基準」(等級4)が施行された。2022年には等級5〜7が新設され、ZEH水準(等級5)やHEAT20 G2(等級6)が推奨されるようになった。2025年4月からは等級4相当の省エネ基準適合が新築住宅に義務化されている。

外断熱 vs 内断熱 — 結露リスクの観点から

外断熱(外張り断熱)は構造体の外側に断熱材を配置する工法で、壁体内結露を防ぎやすく蓄熱効果もある。一方、内断熱(充填断熱)はコスト面で有利だが、施工精度が低いと断熱材と構造体の間で結露が発生するリスクがある。参考: HEAT20


Tips

  • 断熱材は外側に配置するほうが結露に有利: 室内側の温度が高く保たれるため、壁体内の露点到達を防ぎやすい。逆に室内側に断熱材を入れると、構造体が冷え切って結露しやすくなる。
  • 防湿層(防湿フィルム)を忘れずに: 断熱材だけでは水蒸気の侵入を防げない。室内側に防湿シートを施工し、湿気が壁体内に入るのを抑えることが重要。
  • 中空層の断熱効果は限定的: 中空層の熱抵抗は約0.09 m²K/Wで固定。厚くしても効果は変わらない。断熱材を充填するほうがはるかに効果的。
  • 冬季の設計外気温は地域で異なる: 東京なら-2°C、札幌なら-15°C程度を設定すると実態に近い結果が得られる。

よくある質問

Q. 結露リスク「あり」と表示されたらどうすればいい?

断熱材の位置を見直すか、防湿層を追加することで改善できる場合が多い。結露が発生する界面の室内側に断熱材を追加し、壁体内温度を露点以上に保つ構成を検討してみよう。

Q. 省エネ等級の参考値は正確?

本ツールの等級表示は壁のU値に基づく参考値だ。実際の省エネ基準認定は建物全体のUA値(外皮平均熱貫流率)で判定されるため、壁単体のU値だけでは等級は確定しない。あくまで目安として活用してほしい。

Q. 透湿抵抗は考慮されている?

現時点では考慮していない。本ツールは各界面温度と露点温度の比較による簡易的な結露リスク判定だ。実際の内部結露は水蒸気の移動量(透湿抵抗)も関係するため、詳細な評価には専門的な計算が必要になる。

Q. 入力データのプライバシーは?

すべての計算はブラウザ内で完結しており、サーバーへの送信は一切行わない。入力データは画面を閉じると消えるため、設計情報が外部に漏洩するリスクはゼロだ。必要に応じて「結果をコピー」機能でテキスト保存してほしい。


まとめ

壁の断熱性能を数値で把握することは、快適な住環境とエネルギー効率の両立に欠かせない。このツールを使って層構成ごとのU値と結露リスクを確認し、断熱リフォームや新築設計の判断材料にしてほしい。

構造計算が気になる方は梁の安全審判員ボルト強度診断も試してみて。壁の断面性能を調べたいなら鋼材断面のコンシェルジュもおすすめだ。


不具合や要望があれば、X (@MahiroMemo)から気軽に教えてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。断熱リフォームで「この壁構成で本当に結露しないのか」を数値で確認する手段がなく、自分で作ることにした。

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