「8段まで耐える設定」が4段目で止まる——ナンピンマーチンの耐久を段ごとに数え直す
ナンピンマーチンの EA の設定画面に、こんな数字を入れたとする。USD/JPY を150円で1万通貨買い、20pips 逆行するたびにロットを2倍にして買い増し、最大8段。口座には100万円。8段目は1段目から140pips 下だから、そこまでナンピンしてさらに下で受け止める——設定を書いた本人は、だいたいそういう絵を思い浮かべている。
ところが、この設定をこのツールに入れると、建てられるのは4段目までだ。5段目(16万通貨)を建てようとした149.200円の時点で、新規の注文に要る証拠金が口座に残っていない。残った4段・合計15万通貨を抱えたまま相場が下がり続けると、1段目から412.9pips の145.871円でロスカットされ、損失は551,360円。資金の55.1%が消える。この設定で1回の利確は15,000円なので、1回のロスカットを取り返すには利確が約37回要る。
「8段」「2倍」「20pips」という3つの数字だけを見ていると、この4段目での打ち切りは見えてこない。効いているのは、段ごとに倍になる必要証拠金と、平均建値から下へ広がる含み損が、口座の有効証拠金をどちらから先に食い尽くすかだ。
この記事は、ナンピンやマーチンゲールを勧めるものではない。設定ごとに「何段まで建つのか」「何pipsでロスカットか」「そのとき資金の何割を失うのか」を数字で並べ、自分の設定がどこで止まるかを先に知っておくための記事だ。
なぜ作ったのか——「破綻しやすい」の先にある数字が欲しかった
ナンピンマーチンについて日本語で調べると、解説はたくさん見つかる。筆者が読んだ範囲では、その多くが「小さな利益をこつこつ積み上げて、最後に大きく負ける」「資金管理を誤ると破綻する」という結論で締めくくられていた。たとえば OANDA証券の解説 も、建玉を追加しすぎると証拠金不足で戦略が破綻するリスクと、いわゆる「コツコツドカン」の損益の形を指摘している。指摘そのものは正しい。ただ、それを読んでも「自分の設定だと何pipsでロスカットなのか」は分からない。
知りたかったのは、もっと手元の数字だ。
- 資金100万円・初期1万通貨・20pips・2倍で、実際に何段目まで建てられるのか
- 打ち切られるのは、ロスカットが先に来るからなのか、新規の証拠金が足りないからなのか
- 最後に建てた段の状態で、1段目から何pips 逆行したらロスカットか
- 全段を建て切るには、資金がいくら要るのか
当サイトには FXロスカット逆算シミュレーター がある。口座残高とポジションからロスカットレートと耐えられるpips数を逆算し、追加入金でロスカットラインがどれだけ遠ざかるかも出せる。ただし扱えるのは1つのポジションだけだ。ナンピンは建値の違う複数のポジションを積み上げていくので、段を建てるたびに平均建値・必要証拠金・ロスカットレートがまとめて動く。1段目の数字を入れ直しながら手で追いかけると、4段目あたりで必ずどこかを間違える。
そこで、段ごとの建値・ロット・平均建値・必要証拠金・維持率・ロスカットレートを1枚の段数表に並べ、どの段で何が理由で止まるかまで自動で判定する計算機を作った。止まる理由が「新規の証拠金不足」なのか「先にロスカット」なのかで、取るべき手当て(資金を足すのか、幅を狭めるのか、ロットを下げるのか)が変わるからだ。
ナンピン・マーチンゲール・証拠金維持率の基礎
ナンピン 平均建値 計算——天秤の支点がどこへ動くか
ナンピン(難平)は、持っているポジションが逆行したときに同じ方向へ買い増し(売りなら売り増し)して、平均の建値を相場に近づける手法だ。買いなら、下がった価格で買い足すほど平均の買い値が下がり、少しの戻りで含み損が消えるようになる。
平均建値は、ロットで重み付けした建値の平均だ。
平均建値 A = (L₁×P₁ + L₂×P₂ + … + Lₙ×Pₙ) ÷ (L₁ + L₂ + … + Lₙ)
Lᵢ : i段目のロット(万通貨)
Pᵢ : i段目の建値
天秤を思い浮かべると分かりやすい。棒の上の目盛りが価格で、各段のロットがその目盛りに吊るしたおもりだ。平均建値は、棒がちょうど水平に釣り合う支点の位置にあたる。軽いおもりを足しても支点はほとんど動かないが、重いおもりを足すと支点はそちらへ大きく引き寄せられる。
150円で1万通貨、149.800円で2万通貨買うと、平均建値は (1×150 + 2×149.8) ÷ 3 = 149.867円になる。後から買った2万通貨のほうが重いので、支点は149.800円寄りに動く。
平均建値まで戻れば含み損はゼロになる。言い換えると、ナンピンで得られるのは「最後に買った値から、平均建値まで戻れば損益ゼロ」という状態であって、逆行が止まる保証ではない。
マーチンゲール FX——ロットを倍々にすると何が倍になるか
マーチンゲールは、負けるたびに賭け金を2倍にして、どこかで1回勝てばそれまでの負けを取り返せる、という賭け方だ(Martingale (betting system) - Wikipedia)。FX のナンピンマーチンでは、逆行して次の段に着くたびにロットを倍率(2倍なら1→2→4→8…)で増やしていく。
20pips 刻み・2倍で8段すべて建てると、次のようになる(USD/JPY 買い150円・初期1万通貨)。
| 段 | 建値 | ロット | 累計ロット | 平均建値 | 累計必要証拠金 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 150.000 | 1.0 | 1.0 | 150.000 | 60,000円 |
| 2 | 149.800 | 2.0 | 3.0 | 149.867 | 179,840円 |
| 3 | 149.600 | 4.0 | 7.0 | 149.714 | 419,200円 |
| 4 | 149.400 | 8.0 | 15.0 | 149.547 | 897,280円 |
| 5 | 149.200 | 16.0 | 31.0 | 149.368 | 1,852,160円 |
| 6 | 149.000 | 32.0 | 63.0 | 149.181 | 3,759,360円 |
| 7 | 148.800 | 64.0 | 127.0 | 148.989 | 7,568,640円 |
| 8 | 148.600 | 128.0 | 255.0 | 148.794 | 15,176,960円 |
ロットが倍になれば、その段の必要証拠金もほぼ倍になる(建値が少しずつ下がる分だけわずかに小さい)。累計必要証拠金も段ごとにほぼ倍で積み上がり、8段目の128万通貨は、それまでの7段の合計127万通貨よりも多い。最新の段が毎回いちばん重いおもりになるので、平均建値は最新の段のすぐ上に引き寄せられ続ける。最新の段の建値と平均建値の差は、2段目で6.7pips、4段目で14.7pips、8段目で19.4pips と、ナンピン幅の20pips に近づいていく。
必要証拠金とレバレッジ25倍——内閣府令の「百分の四」
国内の個人向け FX では、取引額の4%以上の証拠金を預けることが求められている。根拠は金融商品取引業等に関する内閣府令(e-Gov法令検索)の第117条で、第7項が約定時に、第8項が維持のために必要な預託額を、それぞれ取引額の「百分の四」と定めている。4%は1/25なので、これがよく言われる「レバレッジ25倍」の正体だ。
USD/JPY を150円で1万通貨買うと、取引額は150万円、必要証拠金はその4%の60,000円になる。上の表の1段目の数字だ。なお第7項は、取引額の4%のほかに「当該額に外国為替相場の変動を適切に反映させた額」も認めている。現在のレートで必要証拠金を洗い替える業者があるのはこのためで、この違いは仕組みの節で扱う。
証拠金維持率とロスカット——何で割った何%か
口座の中身は、次の3つで読む。
有効証拠金 = 口座資金 + 含み損益
証拠金維持率 = 有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100 (%)
ロスカット = 証拠金維持率がロスカット水準を下回ったら全ポジションを強制決済
ロスカット水準は業者や口座のコースによって違い、100%・50%・20% などがある。
1ポジションだけなら、ロスカットは遠い。資金100万円で150円の1万通貨を持つと、維持率は1,666.7%。ロスカット水準50%なら、ロスカットレートは53.000円で、9,700pips 下だ。ナンピンマーチンは、この「遠いロスカット」を段ごとに手繰り寄せていく。段を建てるたびに必要証拠金(分母)が倍になり、含み損(分子を減らす側)も累計ロットに比例して速く膨らむからだ。
pips と通貨ペア
pips は値動きの単位で、クロス円(USD/JPY など)は1pips=0.01円、ドルストレート(EUR/USD など)は1pips=0.0001ドルだ。ドルストレートは損益がドル建てで出るので、円の口座で証拠金や損益を見るにはUSD/JPYのレートで円に直す必要がある。このツールで円換算レートを入れる欄があるのは、ドルストレートを選んだときだけだ。
実務での重要性——止まるのはロスカットより先、そして止まったあとが長い
先に来るのは「新規の証拠金不足」
ナンピンマーチンの破綻というと、ロスカットを想像しやすい。だが、冒頭の設定(USD/JPY 買い・資金100万円・1万通貨・20pips・2倍・8段・ロスカット50%)で最初に起きるのは、ロスカットではなく5段目が建てられないことだ。
5段目の149.200円に着いた時点で、4段・15万通貨の含み損を引いた有効証拠金は948,000円。ここに16万通貨を新しく建てるには、既存の必要証拠金897,280円に、5段目の954,880円を足した1,852,160円が要る。有効証拠金が900,000円以上足りない。一方、ロスカットの判定ライン(必要証拠金897,280円の50%=448,640円)にはまだ遠い。
業者の説明書を読むと、新規の注文は「発注可能額」の範囲でしか出せない。ヒロセ通商の LION FX の説明では、発注可能額は「有効証拠金 − 必要証拠金 − 発注証拠金 − 出金依頼額」とされ、マネックス証券の資料にも、評価証拠金が総必要証拠金に満たないと新規注文できないとある。つまり、ロスカット水準が低い口座ほど、「ロスカットにはまだ遠いのに次の段が建たない」状態が長く続く。
止まったあとも、ポジションは残る
5段目が建たなくても、4段目までのポジションは決済されずに残る。EA なら注文が通らないだけで、15万通貨を抱えたまま相場の行方を待つことになる。この状態のロスカットレートは145.871円で、4段目の建値からは352.9pips、1段目からは412.9pips の逆行だ。
「8段×20pips で140pips 先までナンピンできる」という設計のつもりが、実際には60pips 先(4段目)で建て増しが止まり、そこから先は増えない15万通貨で耐えるだけになる。設定画面の最大段数は「建てようとする段数」であって、「建てられる段数」ではない。
1回のロスカットは、利確の何回分か
ロスカットされたときの損失は551,360円、資金の55.1%だ。一方、平均建値から10pips 戻って全段を利確したときの利益は、4段建っていても15,000円にすぎない。1回のロスカットを取り返すのに、利確が約37回要る計算になる。
ロットを増やさない等倍ナンピンと並べると、性格の違いがはっきりする。
| 設定(資金100万円・20pips・8段) | 建った段 | ロスカットまで(1段目から) | ロスカット時の損失 | 利確1回の利益 | 取り返すのに要る利確 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2倍マーチン | 4段 | 412.9pips | 551,360円(55.1%) | 15,000円 | 約37回 |
| 等倍ナンピン | 8段 | 1,021.4pips | 761,120円(76.1%) | 8,000円 | 約95回 |
等倍は全8段が建ち、ロスカットまでの逆行幅は2倍マーチンの2.5倍ほどある。そのかわり利確1回の利益が小さく、ロスカットされたときの損失は資金の4分の3に達する。どちらが「安全」と言える話ではなく、耐える幅と1回の負けの大きさを、倍率で交換しているだけだ。
ここで出したロスカット時の損失は、ロスカット水準ちょうどで決済されたと仮定した値だ。相場が急に飛べば決済価格は不利な側にずれ、損失はこれより大きくなる。ロスカット水準とそのときの扱いは、口座の規約で確かめておく必要がある。
こんな場面で段数表を引く
EA の設定値を通貨ペアごとに決めるとき。 同じ「20pips・2倍・8段」でも、建値が150円の USD/JPY と190円の GBP/JPY では1段あたりの必要証拠金が違い、値動きの荒さも違う。通貨ペアと売買方向を切り替えて、何段目で打ち切られるかと、ロスカットまでの逆行幅を並べて比べられる。
手動でナンピンする前。 含み損を抱えて「もう1回買い増せば平均建値が下がる」と考えたとき、次の段を建てたらロスカットレートがどこまで近づくかを先に見ておける。段数表の「ロスカットまで(pips)」の列が、段を進めるごとにどれだけ縮むかが一目で分かる。
口座に資金を足すか迷っているとき。 資金を増やせば建てられる段は増えるが、ロスカットまでの逆行幅は思ったほど伸びないことがある。全段を建て切るのに要る資金は、資金の入力に関係なく計算されて表示されるので、「あといくら足せば最後まで建つか」と「足した結果、何pips 伸びるか」を同時に確かめられる。
ロスカット水準の違う口座を比べるとき。 ロスカット維持率を100%・50%・20% などに入れ替えると、同じ設定でロスカットレートと損失額がどう変わるかが出る。水準が低い口座は粘れるぶん、ロスカットされたときに失う割合も大きくなる。
基本の使い方——3ステップ
1. 通貨ペア・売買方向・資金を入れる。 通貨ペアを選ぶと、エントリーレートがそのペアの目安の値に入れ替わる。実際に1段目を建てるレートに書き換えておく。ドルストレートを選んだときは、損益と証拠金を円に直すための円換算レート(USD/JPY)の欄が出る。売買方向は、買いなら下がるたびに買い増し、売りなら上がるたびに売り増す。
2. ロット・ナンピン幅・倍率・段数・ロスカット水準・利確幅を入れる。 初期ロットは万通貨単位で、0.1が1,000通貨だ。ロット倍率は1(等倍ナンピン)から3まで入る。最大段数は1段目を含めて数える。ロスカット維持率は自分の口座の水準を、利確幅は平均建値から何pips 戻ったら全段を決済するかを入れる。「2倍マーチン」「等倍ナンピン」「EA風 1.5倍」のプリセットから始めて、数字を書き換えていくこともできる。
3. 結果と段数表を読む。 最初に、建てられる段数と打ち切りの理由(全段建つ/証拠金不足/先にロスカット/0円に到達)が表示される。その下に、ロスカットまでの逆行幅(1段目から)とロスカットレート、ロスカット時の損失と資金比、平均建値、合計ロット、必要証拠金の合計、利確したときの利益、全段を建て切るのに要る資金が並ぶ。価格の軸に各段の建値・平均建値・ロスカットレート・利確レートを描いた図と、段ごとの建値・ロット・累計ロット・平均建値・累計必要証拠金・維持率・ロスカットまでのpips・利確時の利益の段数表も出る。打ち切った段には、建てられない理由が添えられる。
ナンピンマーチン 計算の使用例——9つの設定で比べる
以下の9ケースは、いずれもスプレッド・スワップ・手数料を含まない計算だ。とくに断りがなければ USD/JPY 買い・エントリー150円・利確幅10pips とする。
ケース1:標準の2倍マーチン(資金100万円・1万通貨・20pips・8段・ロスカット50%)
入力:資金100万円、初期1万通貨、ナンピン幅20pips、倍率2倍、最大8段、ロスカット維持率50%。
結果:建てられるのは4段(5段目で証拠金不足)。段ごとの、建てた直後の維持率とロスカットまでの距離はこう変わる。
| 段 | 建値 | 累計ロット | 維持率 | その段の建値からロスカットまで |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 150.000 | 1.0 | 1,666.7% | 9,700.0pips |
| 2 | 149.800 | 3.0 | 554.9% | 3,026.9pips |
| 3 | 149.600 | 7.0 | 236.6% | 1,117.7pips |
| 4 | 149.400 | 15.0 | 109.0% | 352.9pips |
解釈:1段建てるごとに、ロスカットまでの距離はおよそ3分の1に縮んでいく。4段目を建てた直後の維持率は109.0%で、ロスカット水準が100%の口座なら、この時点でもう余裕がほとんどない。打ち切り後の結果(412.9pips・551,360円)は上で見たとおりだ。
ケース2:資金を全8段に要る額まで増やす
入力:ケース1と同じ設定で、資金だけを、全8段を建て切るのに要る額ちょうどの15,670,960円にする。
結果:8段すべて建つ。合計255万通貨、平均建値148.794円、必要証拠金の合計15,176,960円。8段目を建てた直後の維持率は100.0%だ。ロスカットレートは145.624円で、1段目からの逆行幅は437.6pips。ロスカット時の損失は8,082,480円(資金の51.6%)、利確1回の利益は255,000円で、取り返すのに約32回かかる。
解釈:資金を15倍以上にしても、ロスカットまでの逆行幅はケース1の412.9pips から24.7pips しか伸びない。増えた資金は、5〜8段目のロット(16万〜128万通貨)の証拠金にほぼすべて消える。2倍マーチンでは、資金を足すことは「耐える幅を広げる」より「建つ段を増やす」に使われる。
ケース3:等倍ナンピン(倍率1倍)
入力:ケース1の倍率だけを1倍にする。
結果:8段すべて建つ。合計8万通貨、平均建値149.300円、必要証拠金の合計477,760円で、8段目を建てた直後の維持率は197.6%。全8段に要る資金は533,760円なので、100万円の口座では半分近く余る。ロスカットレートは139.786円、1段目から1,021.4pips。ロスカット時の損失は761,120円(76.1%)、利確1回8,000円で、取り返すのに約95回。
解釈:ロットが増えないので、段数表の維持率は 1,666.7% → 832.2% → 553.0% … と緩やかにしか下がらない。耐える幅は大きいが、利確に要る戻りが長い。8段目の148.600円から平均建値149.300円+10pips まで、80.0pips の戻りが要る。
ケース4:EA 風の1.5倍・細かい幅(0.3万通貨・10pips・12段)
入力:初期0.3万通貨、ナンピン幅10pips、倍率1.5倍、最大12段、利確幅5pips。
結果:ロットは 0.3 → 0.5 → 0.7 → 1.0 → 1.5 → 2.3 → 3.4 → 5.1 万通貨と増え、8段で打ち切り(9段目で証拠金不足)。合計14.8万通貨、平均建値149.470円、ロスカットレート145.702円で、1段目から429.8pips。ロスカット時の損失は557,570円(55.8%)、利確1回7,400円で、取り返すのに約75回。全12段に要る資金は4,751,640円。
解釈:段数は8段と多く見えるが、幅が10pips なので8段目は1段目から70pips の位置にすぎない。耐える幅はケース1(412.9pips)とほぼ同じで、利確幅を細かくしたぶん、1回のロスカットを取り返すのに要る回数は2倍になっている。
ケース5:ロスカット水準を0%にする
入力:ケース1のロスカット維持率だけを0%(有効証拠金がゼロになるまで)にする。
結果:建つ段数は同じ4段。ロスカットレートは142.880円で、1段目から712.0pips。損失は1,000,000円(資金の100%)で、取り返すのに利確が約67回要る。
解釈:ロスカット水準を50%から0%に下げると、粘れる幅は299.1pips 伸びる。だが、5段目が建たない理由は新規の証拠金不足なので、建つ段数は1つも増えない。伸びた分の幅は、資金をすべて差し出すことと引き換えだ。
ケース6:幅を広げすぎて、次の段より先にロスカット
入力:資金10万円、初期1万通貨、ナンピン幅500pips、倍率2倍、最大6段、ロスカット維持率100%。
結果:建つのは1段だけで、打ち切りの理由は「先にロスカット」。1段目を建てた直後の維持率は166.7%で、ロスカットレートは146.000円、400.0pips 下だ。2段目の145.000円は500pips 下なので、そこに届く前にロスカットされる。損失は40,000円(40.0%)。全6段に要る資金は6,114,000円。
解釈:ナンピン幅を広げれば次の段まで粘れる、とは限らない。ロスカット水準100%の口座では、1段目だけで400pips しか持たない。この場合の手当ては、幅を狭めるか、資金を増やすか、初期ロットを下げるかのどれかになる。
ケース7:EUR/JPY を売りでナンピン(ロスカット100%)
入力:EUR/JPY 売り、エントリー163円、資金50万円、初期0.5万通貨、ナンピン幅30pips、倍率2倍、最大6段、ロスカット維持率100%、利確幅15pips。
結果:3段で打ち切り(4段目で証拠金不足)。建値は 163.000 → 163.300 → 163.600 円と上へ進み、合計3.5万通貨、平均建値163.429円。ロスカットレートは171.177円で、1段目から817.7pips 上。損失は271,200円(54.2%)、利確1回5,250円で、取り返すのに約52回。
解釈:売りでは、逆行は価格の上昇で、ロスカットレートは平均建値より上に来る。3段目を建てた直後の維持率は215.9%あるが、4段目に要る証拠金が足りない。
ケース8:ドルストレートの EUR/USD(円換算150円)
入力:EUR/USD 買い、エントリー1.08500、資金100万円、初期1万通貨、ナンピン幅20pips、倍率2倍、最大6段、ロスカット維持率50%、円換算レート150円。
結果:3段で打ち切り(4段目で証拠金不足)。1段目の必要証拠金は65,100円で、同じ1万通貨の USD/JPY(60,000円)より重い。合計7万通貨、平均建値1.08214、ロスカットレート1.00855で、1段目から764.5pips。損失は772,750円(77.3%)、利確1回10,500円で、取り返すのに約74回。
解釈:ドルストレートでは、1pips=0.0001ドルの値動きを円換算レートで円に直す。1万通貨の1pips は1ドル、150円換算で150円になり、クロス円の1万通貨の1pips(100円)より損益が1.5倍速く動く。同じ「20pips・2倍」でも、建つ段がケース1より1段少ない。
ケース9:3倍マーチン・20段
入力:初期0.1万通貨、ナンピン幅20pips、倍率3倍、最大20段、資金100万円、ロスカット維持率50%。
結果:ロットは 0.1 → 0.3 → 0.9 → 2.7 → 8.1 万通貨と増え、5段で打ち切り(6段目で証拠金不足)。ロスカットレートは144.017円、1段目から598.3pips。損失は638,704円(63.9%)。全20段を建て切るのに要る資金は 10,376,670,372,320円、約10.4兆円になる。
解釈:初期ロットを0.1万通貨まで小さくしても、3倍を19回掛ければ最後の段は桁違いの大きさになる。最大段数の欄に「20」と入れられることと、20段建てられることの間には、兆の桁の差がある。
ナンピンマーチン 計算の仕組み——段を1つずつ建て、建てる前に2つの関門を通す
候補の比較:必要証拠金を「建値で固定」か「現在レートで洗い替え」か
必要証拠金の出し方には2通りある。
- 建値基準で固定する:各ポジションの必要証拠金を、建てたときのレートで決めて動かさない。FXロスカット逆算シミュレーター と同じ方式。
- 現在レートで洗い替える:必要証拠金を、その時点のレートで計算し直す。内閣府令の第117条第7項が「外国為替相場の変動を適切に反映させた額」を認めているので、この方式を採る業者もある。
このツールは1を採った。洗い替えるかどうかは口座によって違い、FXロスカット逆算シミュレーターと前提をそろえておけば、段数を1にしたときに同じロスカットレート(ケース1の1段目なら53.000円・9,700pips)が出て、2つの結果を突き合わせられるからだ。そのかわり、ずれの向きははっきりしている。買いのナンピンでは価格が下がるほど洗い替え後の必要証拠金は小さくなるので、建値基準のこのツールは早めに打ち切り・早めにロスカットを出す(安全側)。売りのナンピンでは価格が上がるほど必要証拠金が増えるので、このツールの値は少し楽観側になる。ずれの大きさは逆行の割合と同じ程度で、ケース7の EUR/JPY なら163円から171円台への上昇で約5%だ。
もう1つの設計判断は、打ち切りの判定だ。ロスカットだけを見れば計算は単純になるが、それでは実務での重要性の節で見た「ロスカットより先に次の段が建たない」状態を表せない。そこで、業者の説明にある発注可能額の考え方(有効証拠金から必要証拠金を引いた残りの範囲で新規注文できる)を取り入れ、各段を建てる前に新規の証拠金が足りるかを確かめる。
計算フロー
s = +1(買い)/ −1(売り)、r = ロスカット維持率 ÷ 100
円換算 = 1(クロス円)/ USD/JPY レート(ドルストレート)
段 k(1段目を k=0 として、k = 0, 1, …, 最大段数−1)
建値 Pₖ = P₀ − s × k × ナンピン幅 × pip
ロット Lₖ = L₀ × 倍率ᵏ を 1,000通貨単位に四捨五入(下限 1,000通貨)
新規証拠金 mₖ = Lₖ × 10,000 × Pₖ × 円換算 ÷ 25
価格が Pₖ に着いた時点の有効証拠金(建てる前)
E = 資金 + s × Λ × 10,000 × (Pₖ − A) × 円換算
(Λ = それまでの累計ロット、A = 平均建値、M = 累計必要証拠金)
関門1 E ≦ M × r → 先にロスカット。打ち切り
関門2 E < M + mₖ → 新規の証拠金不足。打ち切り
(買いで Pₖ ≦ 0 なら、その段は建てない)
通過 Λ += Lₖ、M += mₖ、A を更新して次の段へ
ロットは1,000通貨(0.1万通貨)単位で四捨五入する。ちょうど0.5の端数は切り上げる。1.5倍で 0.45万通貨が0.5万通貨に、0.675万通貨が0.7万通貨になるのはこのためだ。
ロスカットレートは一次式で解ける
段を建て終えた状態では、有効証拠金は価格 X の一次式になる。ロスカットは有効証拠金が「必要証拠金 × ロスカット水準」まで減った点なので、それを X について解けばよい。
資金 + s × Λ × 10,000 × (X − A) × 円換算 = M × r
→ ロスカットレート X = A + s × (M × r − 資金) ÷ (Λ × 10,000 × 円換算)
→ ロスカット時の損失 = 資金 − M × r
ロスカット時の損失が「資金 − M × r」だけで決まり、価格の道のりに関係しないのは、ロスカットの瞬間の有効証拠金が必ず M × r になるからだ。必要証拠金を建値基準で固定しているので、M はロスカットまで変わらない。買いでロスカットレートが0円以下になるときは、価格が0になっても維持率が残るので「ロスカットに届かない」と表示する。
計算例:ケース1の2段目まで
1段目(150.000円・1万通貨):新規証拠金は 1 × 10,000 × 150 ÷ 25 = 60,000円。有効証拠金100万円で足りるので建てる。ロスカットレートは 150 + (60,000 × 0.5 − 1,000,000) ÷ 10,000 = 150 − 97 = 53.000円。
2段目(149.800円・2万通貨):価格が149.800円に着いた時点の有効証拠金は、1,000,000 + 1 × 10,000 × (149.8 − 150) = 998,000円。関門1:ロスカットの判定ラインは 60,000 × 0.5 = 30,000円で、998,000円はそれより大きい。関門2:新規証拠金は 2 × 10,000 × 149.8 ÷ 25 = 119,840円で、建てた後の必要証拠金は 60,000 + 119,840 = 179,840円。998,000円で足りるので建てる。
建てた後の平均建値は (150 + 2 × 149.8) ÷ 3 = 149.867円。維持率は 998,000 ÷ 179,840 × 100 = 554.9%。ロスカットレートは 149.867 + (179,840 × 0.5 − 1,000,000) ÷ 30,000 = 149.867 − 30.336 = 119.531円で、2段目の建値から3,026.9pips 下になる。
同じ手順を5段目まで進めると、関門2で止まる。そのときの数字は実務での重要性の節で示したとおりだ。
全段を建て切るのに要る資金
この値は資金の入力を使わずに出す。各段 k について「k段目まで建てた後の必要証拠金の合計」と「k段目に着いた時点での、それまでの段の含み損」を足し、その最大を取る。2倍マーチンでは最後の段がいちばん大きく、ケース1の設定なら8段目で、必要証拠金の合計15,176,960円に、148.600円に着いた時点の7段分の含み損494,000円を足した15,670,960円になる。買いで途中の段の建値が0円以下になる設定では、その段数は建てられないので計算できないと表示する。
株のナンピン計算や海外のマーチン電卓とどう違うのか
ナンピンマーチンの解説記事がどこで話を終えているかは、冒頭の「なぜ作ったのか」で触れたとおりだ。ここでは、似た目的で使われがちな道具とこのツールの違いを並べておく。
株の平均取得単価計算との違い
株のナンピン計算機が答えるのは「買い増したら平均単価がいくらになるか」までだ。現物株なら、買う現金がある限り持ち続けられるので、それで足りる。FX は証拠金取引なので話が違う。平均建値が下がっても、段を重ねるたびに必要証拠金が積み上がり、新規注文を出せるのは発注可能額(有効証拠金から必要証拠金などを引いた額)の範囲に限られる。このツールは平均建値に加えて、各段を建てた直後の維持率とロスカットレートを並べ、何段目で止まり、その理由が証拠金不足なのか、先にロスカットされるのかまで出す。
英語圏のマーチンゲール電卓・EA のバックテストとの違い
英語で探せる martingale calculator は、賭け金を倍にしていく連敗回数から必要な元手を出す、カジノ向けの作りが中心だ。為替の値幅や pips、証拠金率の考え方は入っていない。このツールは国内の個人向け FX の証拠金率4%(レバレッジ25倍)を前提に、ナンピン幅を pips で刻み、JPYクロス5ペア・ドルストレート3ペアについて円建ての損益と必要証拠金を出す。ロスカット水準は業者や口座で違うので、固定せずに入力欄にしている。EA のバックテストは過去の値動きをなぞった結果なので、その期間に来なかった逆行については何も言えない。このツールは値動きの順番を問わず「この幅の逆行が来たらどうなるか」で答える。
関連ツールとの役割分担
FXロスカット逆算シミュレーターは、1ポジションのロスカットレートと追加入金の効果を見る道具だ。このツールは段を重ねたときの合計を扱う。段数を1にすると両者が同じ値を返すことは、上の「仕組み」の節で触れたとおりだ。FXポジションサイズ計算機は、許容損失率と損切りpipsから1回ぶんのロットを出す。初期ロットの当たりをつけるのはあちら、そのロットを倍々に重ねたときの耐久を見るのがこちら、という分担になる。
マーチンゲールと難平 ── 2つの言葉がたどった道
マーチンゲール法は18世紀フランスの賭け方
負けるたびに賭け金を倍にし、1回勝てばそれまでの負けを取り返したうえで最初の賭け金ぶんだけ浮く。この賭け方は18世紀のフランスで考案されて流行したもので、日本語では「マルチンゲール戦略」「マルチンゲール法」とも呼ばれる(Wikipedia「マルチンゲール戦略」)。なぜ martingale という語なのかははっきりしない。確率論の歴史を扱う専門誌に The origins of the Word "Martingale"(Roger Mansuy, 2009)という論文が1本書かれているほど、由来には諸説がある。よく並べて語られるのが、表が出るまで賞金が倍々に増える賭けの期待値が無限大になってしまうサンクトペテルブルクのパラドックスだ。どちらも「倍々」が直感を裏切る話として扱われてきた。
確率論の「マルチンゲール」は別物
数学にも同じ名前の概念があるが、こちらは賭け方ではなく確率過程の性質の名前だ。「これまでに分かっている情報のもとで、次の値の期待値が今の値と等しい」という性質を指し、公平な賭けを続けたときの持ち金の動きをモデルにしている(Wikipedia「マルチンゲール」。この項目の注には「倍プッシュ」という別名も載っている)。英語版 Wikipedia によると、概念を導入したのはポール・レヴィ(1934年。名前は付けていない)で、「マルチンゲール」と呼んだのはジャン・ヴィル(1939年)、理論を大きく育てたのはジョゼフ・ドゥーブらだ。初期の研究の動機の一部は、賭けで必ず勝つ方法が存在しないことを数学的に示すことだったという。賭け方の名前が、その賭け方では勝てないことを示す理論の名前になったわけだ。FX の「ナンピンマーチン」が借りているのは前者、つまり賭け方の名前のほうになる。
ナンピンは「難を平らにする」
ナンピンは漢字で「難平」と書く。「難」は損失、「平」は唐宋音で「ぴん」と読み、ならすという意味で、損を平均してならす市場用語だ。買ったあとに相場が下がれば買い増して買値の平均を下げる「難平買い下がり」、売ったあとに上がれば売り増す「難平売り上がり」と、どちらの向きにも使う(コトバンク「難平」)。辞書には2つ目の意味も載っている。見通しもなく難平をして大損をすることから「おろかなこと」を指す用法で、デジタル大辞泉は井原西鶴『好色一代女』の用例を挙げている。相場には「下手なナンピン素寒貧」という格言もあり、言葉そのものが戒めとセットで使われてきた。
段数表を読むための暗算と下ごしらえ
2倍マーチンの累計ロットは「2のk乗 − 1」倍
端数の丸めが無ければ、2倍マーチンを k 段建てたときの累計ロットは初期ロットの 2^k − 1 倍になる。4段なら15倍、8段なら255倍だ。「段を1つ足すと、全段を建て切るのに要る資金はほぼ倍になる」と覚えておけば、段数表を開く前に桁の見当がつく。
平均建値は「最後の建値から ナンピン幅 ÷ (倍率 − 1) 手前」に寄っていく
等倍ナンピンの平均建値は、最初の建値と最後の建値のちょうど真ん中になる。倍率が1より大きいときは、基礎の節の表で見たように最後の建値へ引き寄せられ、段数が増えるほど最後の建値から「ナンピン幅 ÷ (倍率 − 1)」だけ手前の位置に近づいていく。2倍なら1段ぶん、1.5倍なら2段ぶん、3倍なら半段ぶん手前だ。段数表の平均建値の列がこの見当から大きく外れていたら、入力の桁を疑ってよい。
1pip の重さは「累計ロット × 100円」
JPYクロスでは1万通貨の1pip が100円なので、段数表の累計ロット(万通貨)に100円を掛けた額が、その段を建てた後に1pip 逆行するたびに増える含み損になる。逆行が進むほど「1pipあたりいくら減るか」が段ごとに跳ね上がっていく様子は、この掛け算で体感しておくと読み違えにくい。
ロスカットレートはチャートに線で引いておく
結果に出るロスカットレートと、段数表の各段の建値は、取引ツールのチャートにそのまま水平線で引いておくとよい。数字で「何pips」と見るより、そのペアの普段の値動きの中でその線がどれくらい遠いのか、近いのかが目で分かる。
ナンピンマーチン計算でよく聞かれること
スプレッドやスワップ、手数料を入れていないのはなぜ?
どれも業者・口座・時間帯・保有日数で変わり、1つの定数で置けないからだ。スプレッドは段を建てるたびにかかり、手数料がある口座では約定のたびに引かれる。どちらも必ず不利な向きに効く。スワップは通貨ペアと売り買いの向きでプラスにもマイナスにもなり、マイナスなら持っている日数だけ有効証拠金を削る。つまり画面に出る「ロスカットまでの逆行幅」は、これらを引く前のいちばん楽観的な値だ。近づけたいなら、利確幅にはスプレッドを差し引いた正味の pips を入れ、逆行幅はスプレッドぶん(広がりやすい時間帯ならその幅)手前で読んでほしい。
必要証拠金を「建値」で固定するのと「今のレート」で洗い替えるのとで、結果はどれくらい変わる?
ずれの向きと大きさは、上の「仕組み」の節で書いたとおりだ。自分の口座が洗い替え方式なら、買いのナンピンは段数表より少し長く耐え、売りのナンピンは少し早く止まる、と読み替えればよい。どちらの方式かは口座の取引ルールで確かめてほしい。
ドルストレートで出てくる「円換算レート」には何を入れればいい?
EUR/USD・GBP/USD・AUD/USD は損益も必要証拠金も米ドル建てで出るので、それを円に直すためのドル円のレートを入れる。1万通貨の1pip は1ドルなので、円換算レートが150円なら1pipあたり150円の損益になり、必要証拠金も同じ倍率で円に直る。実際の口座では、逆行しているあいだにドル円も動き、損益の円換算が日々変わる。ツールはこの値を1つに固定しているので、ドル円が大きく動きそうな局面なら、円換算レートを上下に振って段数表がどう変わるかを見ておくと、その揺れの幅がつかめる。
倍率どおりのロットにならない段があるのはなぜ?
丸め方は上の「仕組み」の節のとおり、1,000通貨単位の四捨五入だ。丸めた後の値は段数表のロット列にそのまま出る。「EA風 1.5倍」のプリセットを押すと、丸めが効いた段が並ぶのが分かる。EA や発注画面が切り捨てで丸める場合は段数表より少し小さいロットになり、段を重ねるほど累計ロットの差が開くので、EA に入れる値と段ごとに突き合わせておいてほしい。
「ロスカットに届かない」「計算できない」と表示されるのはどんなとき?
どちらも買いのナンピンで、価格0円の壁に当たったときに出る。前者は、資金に比べてロットが小さく、価格が0円まで下がっても維持率がロスカット水準を割らない場合だ。ロスカットレートや逆行幅、ロスカット時の損失が出せないので、段数表の該当列は「—」になる。後者は「全段を建て切るのに要る資金」の欄で、ナンピン幅 × 段数が大きく途中の段の建値が0円以下になる場合に出る。0円以下の段は建てないので、その手前で打ち切り、要る資金は計算しない。どちらも現実の為替では起きにくい設定なので、出たら幅や段数の桁を打ち間違えていないかを先に見てほしい。
入力した口座資金や設定はどこかに送られる?
送られない。段数表もロスカットレートも、開いているブラウザの中だけで計算している。口座資金・ロット・ナンピン幅といった入力値をサーバーに保存したり外部へ送ったりする処理は無い。「結果をコピー」も、設定・まとめ・段数表をテキストにしてクリップボードに入れるだけだ。口座の実残高をそのまま入れて試してもかまわないし、気になるなら丸めた金額で入れても結果の読み方は変わらない。
まとめ ── 段を足す前に、逆行幅を数字で見ておく
ナンピンマーチンの耐久は、資金・初期ロット・ナンピン幅・倍率・ロスカット水準の組み合わせで決まり、どれか1つを変えるだけで「建てられる段数」と「ロスカットまでの逆行幅」が大きく動く。このツールはその動きを段数表で見せるところまでを受け持ち、手法を勧めることはしない。1ポジションだけの耐久や追加入金の効果はFXロスカット逆算シミュレーター、初回ロットの決め方はFXポジションサイズ計算機で確かめられる。週の目標から逆算したロット・回数と比べるならFX週間トレード計画、勝率とリスクリワード比から長い目での資産推移と最大ドローダウンを見るならFX複利・資産成長シミュレーターが使える。計算の食い違いや追加してほしい通貨ペアがあれば、お問い合わせページから知らせてほしい。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。既定の設定を入れたら、8段のつもりが5段目で新規の証拠金が足りなくなって驚いた。止まる理由が分かると、資金を足すか幅を狭めるかの判断が早くなる。
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