FX複利・資産成長シミュレーター

初期資金・勝率・RR比・リスク率から複利運用の資産推移とドローダウンを可視化

初期資金・勝率・リスクリワード比・1トレードリスク率を入力するだけで、複利運用の資産推移・最大ドローダウン・連敗リスクをチャートで可視化。

運用パラメータ

サマリー

1トレード期待値0.25R月間期待リターン 9.8%
良好

月間期待リターン

9.8%

プロフィットファクター

1.50

最終残高

153.7万円

資産推移チャート

25万57万89万121万154万0%3%5%1M2M3M4M5M6M7M8M9M10M11M12M残高ピークDD%初期資金

シミュレーション結果

最大ドローダウン0.0%
低リスク

累計リターン

207.3%

最終残高

153.7万円

連敗リスク分析

想定最大連敗数

8連敗

(50%以上の確率で発生)

最大連敗時ドローダウン

14.9%

リスク率2% × 8連敗

月次推移テーブル

残高月間損益DD%
154.9万+4.9万0.0%
260.3万+5.4万0.0%
366.2万+5.9万0.0%
472.7万+6.5万0.0%
579.8万+7.1万0.0%
687.7万+7.8万0.0%
796.3万+8.6万0.0%
8105.7万+9.4万0.0%
9116.1万+10.4万0.0%
10127.4万+11.4万0.0%
11139.9万+12.5万0.0%
12153.7万+13.7万0.0%

本シミュレーションは過去の成績を保証するものではなく、実際のトレード結果は市場環境・スリッページ・スプレッド等により異なります。投資判断はご自身の責任で行ってください。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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「月利5%で複利運用すれば1年で1.8倍」――その皮算用、連敗を計算に入れてる?

FXの情報商材やSNSでよく見かける複利シミュレーション。月利5%が12ヶ月続けば資金は1.8倍、月利10%なら3.1倍。数字だけ見ると夢がある。

だが実際のトレードでは、3連敗・5連敗は当たり前に起きる。勝率50%のトレーダーでも、20回のトレードで5連敗する確率は約25%。連敗のたびに口座残高が削られ、そこから元に戻すには連敗分以上の勝ちが必要になる。単純な「月利×12ヶ月」の掛け算では見えないリスクが、複利運用には潜んでいる。

このシミュレーターは、勝率・リスクリワード比・1トレードリスク率から期待値ベースの複利成長連敗時のドローダウンを同時に可視化する。皮算用で終わらない、現実的な資産推移を確認してみてほしい。

連敗の恐怖を無視した複利ツールに不満があった

FX複利シミュレーターは世の中にいくつもある。だが、ほとんどが「月利○%」を入力して累乗するだけの単純な計算機だった。

自分がほしかったのは違う。勝率50%・リスクリワード比1.5のトレード戦略で、1トレードあたり口座の2%をリスクに晒し、月20回トレードしたらどうなるのか。この条件での「期待値ベースの成長率」と「連敗が来たときのドローダウン」を同時に見たかった。

既存ツールの多くは「月利」を直接入力する設計で、勝率やRR比から月利を逆算する手間がかかる。さらに厄介なのが、連敗によるドローダウンを一切考慮しない点だ。月利5%の裏側で、5連敗すると口座が10%近く吹き飛ぶ現実を見せてくれるツールがなかった。

あるとき勝率40%・RR比2.0の戦略をバックテストしていて、期待値は正なのに7連敗で口座が30%近く減り、メンタルが崩壊しかけた経験がある。数字上は「勝てる戦略」でも、ドローダウンの深さを事前に把握していなければ続けられない。この失敗から、期待値と連敗リスクを一画面で確認できるツールを作ることにした。

FX複利運用の基本 ― 単利との違い・ポジションサイジング・期待値

FX 複利運用 とは

複利運用とは、トレードで得た利益を元本に組み入れ、次のトレードのポジションサイズを大きくしていく運用方法だ。

日常のたとえで言えば、雪だるまを転がすイメージに近い。最初は小さくても、転がすほど表面に雪がくっつき、加速度的に大きくなる。FXの複利運用も同じで、利益が出るたびにロットが増え、同じ値幅でも獲得金額が大きくなっていく。

一方、単利運用は常に固定ロットでトレードする方法。利益が出ても元本は変わらないので、100回目のトレードも1回目と同じポジションサイズだ。短期的にはリスクが一定で安定するが、長期的な資産成長の速度では複利に大きく劣る。

参考: 複利 - Wikipedia

リスクリワード比(RR比)とは

RR比は「利確幅 / 損切幅」で計算される比率だ。RR比1.5なら、損切りが1万円のとき利確は1.5万円。RR比2.0なら損切り1万円に対して利確2万円になる。

RR比が高いほど1回の勝ちで得られる利益が大きいが、一般的に勝率は下がる傾向にある。勝率とRR比はトレードオフの関係にあり、どちらか一方だけを追求しても意味がない。

ポジションサイジング と 1トレードリスク率

1トレードリスク率とは、1回のトレードで口座残高の何%まで損失を許容するかという数値だ。リスク率2%で口座が50万円なら、1回の損切りは1万円まで。この1万円を損切り幅で割ると、取るべきロット数が決まる。

ロット数 = (口座残高 x リスク率) / 損切り幅(pips) / 1pipあたりの価値

複利運用では口座残高が変動するため、毎回のトレード前にロット数を再計算する。これがポジションサイジングの核心だ。

期待値(Expectancy)の求め方

1トレードあたりの期待値は、勝率とRR比から算出される。

期待値 E = 勝率(w) x RR比 - (1 - 勝率) x 1

たとえば勝率50%・RR比1.5なら:

E = 0.50 x 1.5 - 0.50 x 1 = 0.75 - 0.50 = 0.25R

この「0.25R」は、1トレードあたりリスク額の25%が期待利益になるという意味だ。リスク額が1万円なら、長期的には1トレード平均2,500円の利益が見込める。

期待値が正(E > 0)であることが、複利運用で資産を増やすための大前提。期待値がゼロや負なら、複利で運用しても資産は横ばいか減少するだけだ。

プロフィットファクター(PF)とは

プロフィットファクターは「総利益 / 総損失」の比率で、トレード戦略の効率を測る指標。

PF = (勝率 x RR比) / (1 - 勝率)

PFが1.0を超えていれば利益が損失を上回っている。一般的にPF 1.3以上が実用的な戦略、1.5以上が優秀とされる。

ドローダウンを甘く見ると退場する ― 50%の損失には100%の利益が必要

なぜドローダウン計算がFX資金管理で重要なのか

ドローダウンの数学には残酷な非対称性がある。口座が50%減少した場合、元に戻すには残った資金を100%増やさなければならない。30%の減少でも約43%の回復が必要だ。

ドローダウン回復に必要なリターン
10%11.1%
20%25.0%
30%42.9%
50%100.0%
70%233.3%

この非対称性こそ、多くのトレーダーが退場する本質的な原因だ。5連敗程度は勝率50%でも普通に起きるが、リスク率が高いと5連敗で20%以上のドローダウンになる。

金融庁の統計によると、FX口座で年間を通じて利益を出しているトレーダーは全体の約30%程度とされている。退場の多くは、過大なリスクによるドローダウンからの回復失敗やメンタル崩壊が原因だ。

参考: 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 - 金融庁

リスク率の違いが生む天と地の差

同じ期待値0.25Rの戦略でも、リスク率2%と5%では連敗時のダメージが全く異なる。5連敗した場合:

  • リスク率2%: ドローダウン約9.6% → 回復に約10.6%必要
  • リスク率5%: ドローダウン約22.6% → 回復に約29.2%必要

リスク率を2.5倍にしただけで、回復の難易度が約3倍に跳ね上がる。だからこそ、シミュレーションで連敗リスクを事前に把握することが不可欠になる。

FX複利シミュレーションが力を発揮する場面

トレード戦略のバックテスト検証

「勝率45%・RR比1.8の手法を見つけた」。期待値は正だが、実際に12ヶ月運用したらどれくらい増えるのか、最大ドローダウンはどの程度か。シミュレーターに入力すれば、数秒で資産推移とリスクの全体像が掴める。

リスク率の最適化

同じ戦略でもリスク率1%と3%では成長速度もドローダウンも大きく変わる。複数のリスク率を試して「許容できるドローダウンの範囲内で最大のリターン」を探る作業に最適だ。

運用目標の現実性チェック

「50万円を1年で200万円にしたい」。この目標には月利何%が必要で、それを達成できる勝率・RR比の組み合わせは現実的なのか。逆算して「これは無理だ」と気づけるだけでも、無謀なトレードを避けられる。

メンタル管理の事前準備

「5連敗でドローダウン9.6%」と事前に知っていれば、実際に連敗が来ても「想定内」と冷静に対処できる。逆に把握していないと、3連敗で慌ててルールを崩してしまう。連敗耐性の心理的な「予防接種」として使える。

FX複利シミュレーターの使い方 ― 3ステップ

ステップ1: 運用パラメータを入力

初期資金、勝率(%)、リスクリワード比、1トレードリスク率(%)、月間トレード回数の5項目を入力する。自分のトレード戦略のバックテスト結果から数値を持ってくるのがベスト。まだ戦略が固まっていない場合は、デフォルト値(勝率50%・RR比1.5・リスク率2%)から始めてみて。

ステップ2: 表示期間を選択

6ヶ月・1年・2年・3年から選ぶ。短期の確認なら6ヶ月、長期の複利効果を見たいなら2-3年を選択。期間が長いほど複利の威力(と連敗リスク)がはっきり見える。

ステップ3: 結果を確認

サマリー(期待値・月間リターン・PF)、資産推移チャート、最終残高、最大ドローダウン、連敗リスク分析がまとめて表示される。特にドローダウンの数値は必ず確認して、自分のメンタルで耐えられる範囲かどうかを判断してほしい。

FX複利運用 シミュレーション結果 ― 6つの具体ケース

ケース1: 勝率50% RR比1.5 リスク2% 月20回 ― 堅実な成長型

入力: 初期資金50万円、勝率50%、RR比1.5、リスク率2%、月20回、12ヶ月

結果:

  • 1トレード期待値: 0.25R
  • プロフィットファクター: 1.50
  • 月間期待リターン: 約9.8%

解釈: 期待値0.25Rは「良好」判定。月利約10%で1年後には資金が大きく成長する。リスク率2%なので5連敗しても約9.6%のドローダウンに収まり、メンタル的にも続けやすい設定。初中級者にとって現実的な目標ラインだ。

ケース2: 勝率40% RR比2.0 リスク1% 月15回 ― 低勝率・高RR戦略

入力: 初期資金100万円、勝率40%、RR比2.0、リスク率1%、月15回、12ヶ月

結果:

  • 1トレード期待値: 0.20R
  • プロフィットファクター: 1.33
  • 月間期待リターン: 約2.9%

解釈: 勝率40%だとトレードの半分以上が負けになるが、RR比2.0のおかげで期待値は正。リスク率1%と控えめなので成長速度は遅いが、5連敗時のドローダウンは約4.9%と極めて低い。「勝率が低くてもRR比で補える」ことを実感できるケース。

ケース3: 勝率60% RR比1.0 リスク2% 月20回 ― 高勝率スキャルピング型

入力: 初期資金50万円、勝率60%、RR比1.0、リスク率2%、月20回、12ヶ月

結果:

  • 1トレード期待値: 0.20R
  • プロフィットファクター: 1.50
  • 月間期待リターン: 約7.9%

解釈: RR比1.0(利確=損切り)でも勝率60%なら期待値は十分に正。月利約7.9%で12ヶ月後の最終残高は約124.6万円(初期資金の約2.5倍)。勝率が高いぶん連敗が起きにくく、精神的な安定感が魅力の戦略。

ケース4: 勝率50% RR比1.5 リスク5% 月20回 ― ハイリスク・ハイリターン

入力: 初期資金50万円、勝率50%、RR比1.5、リスク率5%、月20回、12ヶ月

結果:

  • 1トレード期待値: 0.25R
  • プロフィットファクター: 1.50
  • 月間期待リターン: 約23.4%

解釈: ケース1と同じ勝率・RR比だが、リスク率を2%から5%に上げただけで月利が9.8%から23.4%に跳ね上がる。しかし5連敗時のドローダウンは約22.6%。50%回復には約29%のリターンが必要で、メンタル的にかなり厳しい。リスク率の差がリターンとドローダウンの両方を劇的に変えることがよく分かるケース。

ケース5: 勝率30% RR比3.0 リスク2% 月10回 ― 超低勝率トレンドフォロー

入力: 初期資金100万円、勝率30%、RR比3.0、リスク率2%、月10回、12ヶ月

結果:

  • 1トレード期待値: 0.20R
  • プロフィットファクター: 1.29
  • 月間期待リターン: 約3.4%

解釈: 10回中7回が負けという心理的にタフな戦略。だがRR比3.0で1勝の利益が損失3回分をカバーする。月利3.4%で12ヶ月後は約149.4万円。連敗確率は高いが、リスク率2%に抑えているため5連敗でもドローダウンは約9.6%。「7割負けても資金は増える」を数値で確認できる。

ケース6: 勝率50% RR比1.0 リスク2% 月20回 ― 期待値ゼロの罠

入力: 初期資金50万円、勝率50%、RR比1.0、リスク率2%、月20回、12ヶ月

結果:

  • 1トレード期待値: 0.00R
  • プロフィットファクター: 1.00
  • 月間期待リターン: 約-0.4%

解釈: 期待値はゼロなのに月間リターンがマイナスになる。これが複利運用の罠だ。複利では「同額を勝って同額を負けても、掛け算の性質で少しずつ減る」(ボラティリティドラッグ)。12ヶ月後の残高は約47.7万円。期待値ゼロ=現状維持ではなく、複利では緩やかに資金が減ることをこのケースが証明している。

FX複利シミュレーションの計算アルゴリズム ― 期待値・成長率・連敗確率

候補手法の比較: 決定論的シミュレーション vs モンテカルロ法

FXの資産推移シミュレーションには大きく2つの手法がある。

決定論的シミュレーション: 勝率とRR比から期待値ベースの月次成長率を計算し、毎月同じ率で資産が増減する想定。計算が高速で結果が一意に決まる。

モンテカルロ法: 乱数でトレード1回ごとの勝敗を生成し、数千パスのシミュレーションを走らせる。結果は確率分布として得られ、最悪ケースや中央値を可視化できる。

本ツールでは決定論的シミュレーションを採用した。理由は3つ:

  1. 入力パラメータを変えた瞬間にリアルタイムで結果が反映される即時性
  2. 同じ入力には常に同じ結果が返る再現性
  3. 連敗リスクは確率計算で別途補完できる十分性

モンテカルロ法は将来の拡張枠として保留している。

参考: モンテカルロ法 - Wikipedia

実装詳細: 計算フローと主要な数式

1. 1トレードあたりの期待値

E = w * RR - (1 - w) PF = (w * RR) / (1 - w)

w: 勝率(小数)、RR: リスクリワード比

2. 月次成長率(複利ベース)

1ヶ月のトレード回数のうち、勝ちは wins = trades * w 回、負けは losses = trades * (1 - w) 回。複利運用では各トレードが口座残高に対して乗算的に作用するため:

monthlyFactor = (1 + r * RR)^wins * (1 - r)^losses monthlyReturn(%) = (monthlyFactor - 1) * 100

r: 1トレードリスク率(小数)

3. N月後の残高

balance(N) = initialBalance * monthlyFactor^N

4. 連敗時のドローダウン

N連敗が起きた場合、複利での資金減少率:

drawdown(%) = (1 - (1 - r)^N) * 100

5. 連敗確率

N連敗確率 = (1 - w)^N

参考: ケリー基準 - Wikipedia

計算例: ケース1を手計算で検証

勝率50%、RR比1.5、リスク率2%、月20回の場合:

` Step 1: 期待値 E = 0.50 * 1.5 - 0.50 = 0.25R

Step 2: PF PF = (0.50 * 1.5) / 0.50 = 1.50

Step 3: 月次成長率 wins = 20 * 0.50 = 10回 losses = 20 * 0.50 = 10回 monthlyFactor = (1 + 0.02 * 1.5)^10 * (1 - 0.02)^10 = (1.03)^10 * (0.98)^10 = 1.34392 * 0.81707 = 1.09814 monthlyReturn = 9.8%

Step 4: 5連敗時ドローダウン DD = (1 - 0.98^5) * 100 = 9.6% `

月利約9.8%。これは「月利を直接入力する」タイプのツールでは得られない、戦略パラメータから導出されたリアルな数値だ。

FX複利シミュレーターは何が違うのか

世の中にFX複利計算ツールは山ほどある。「月利○%で12ヶ月回したら○○万円」——そういう単純な複利計算なら、Excelでも電卓でも10秒で終わる。

問題は、ほとんどのツールが「連敗」と「ドローダウン」を無視していることだ。

このシミュレーターが他と決定的に違うのは以下の3点。

  • 期待値ベースの現実的な成長率: 「月利○%」ではなく、勝率・RR比・リスク率から1トレードごとの期待値を算出し、複利で積み上げる。皮算用ではなく、トレード戦略のパラメータに基づいた成長曲線が出る
  • 連敗確率とドローダウンの同時表示: N連敗が起きる確率と、そのときの口座ダメージを数値で見せる。「勝率50%で240回トレードすれば8連敗は約6割の確率で起きる」——こういう現実を突きつけてくれるツールは少ない
  • SVGチャートによる可視化: 残高推移とドローダウンを重ねて表示するから、「いつ頃どれくらい凹むか」が直感的に分かる

単なる「夢の複利計算機」ではなく、リスクを織り込んだ現実的なシミュレーター。それがこのツールの立ち位置だ。

ケリー基準とプロの資金管理——知っておきたいFX複利の裏側

ケリー基準の誕生と本来の用途

複利運用の最適なベット比率を求める「ケリー基準(Kelly Criterion)」は、1956年にベル研究所のジョン・ケリーが情報理論の論文で発表したものだ。元々は電話回線のノイズ問題を扱う理論だったが、のちにエドワード・ソープがブラックジャックのカード・カウンティングに応用し、さらにウォール街のヘッジファンドに持ち込んだことで金融の世界に広まった。

ケリー基準の式はシンプルだ。

最適リスク比率 f* = (w * RR - (1 - w)) / RR w = 勝率 RR = リスクリワード比

勝率50%・RR比1.5の場合、f* = (0.5 × 1.5 - 0.5) / 1.5 = 0.167——つまり口座の約16.7%を1回のトレードに賭けるのが「数学的に最適」ということになる。

ただし、これはあくまで理論上の最大成長率であり、ドローダウンの深さは考慮されていない。実際にフルケリーで運用すると、途中で口座の50%以上が吹き飛ぶ局面が頻繁に訪れる。だからプロのトレーダーやファンドマネージャーは「ハーフケリー」や「クォーターケリー」——ケリー基準の半分〜4分の1のリスク率——で運用するのが一般的だ。

参考: Kelly criterion - Wikipedia

プロトレーダーの2%ルール

多くのトレード教本で推奨される「2%ルール」は、ケリー基準とは別の文脈から生まれた経験則だ。1回のトレードで口座残高の2%以上をリスクに晒さない、というシンプルなルール。

なぜ2%なのか。10連敗しても口座の約18%しか減らないからだ((1 - 0.02)^10 ≒ 0.817)。勝率50%のトレーダーが年間240回トレードする場合、10連敗が1回以上起きる確率は約10%。つまり2%ルールなら、最悪のシナリオでも口座の2割弱の損失で済む。

一方、リスク率5%だと10連敗で口座は約40%減少する。50%のドローダウンから回復するには100%の利益が必要——この非対称性が、資金管理における最大の落とし穴だ。

参考: Position sizing - Wikipedia

複利の「加速」と「減速」

複利運用の面白い性質として、利益が出ているときは加速度的に増え、損失が出ているときは減速度的に減るという点がある。残高が増えればロットも増えるから利益の絶対額が大きくなり、残高が減ればロットも減るから損失の絶対額は小さくなる。

これは数学的には「幾何ブラウン運動」のドリフト項とボラティリティ項の関係で説明される。このシミュレーターの資産推移チャートを眺めると、右肩上がりの曲線が「だんだん急になる」様子が見えるはず。それが複利の加速効果だ。

FX複利運用を成功させる5つのTips

1. リスク率は2%以下からスタート いきなり5%で回したくなる気持ちは分かるが、まずは1〜2%で半年間のシミュレーション結果を確認してみて。リスク率を1%→2%にするだけで最終残高は大きく変わるが、ドローダウンも深くなる。このバランスを数字で見てから判断するのが正しい順序だ。

2. 勝率とRR比のトレードオフを意識する 勝率70%・RR比0.5のスキャルピングと、勝率35%・RR比3.0のスイングトレード。どちらも期待値はプラスだが、複利運用での成長曲線はまったく異なる。高RR低勝率は連敗が多くなるため、精神的な耐性も必要になる。シミュレーターで両方試して、自分のメンタルに合うスタイルを見極めよう。

3. 期待値がマイナスなら何をやっても増えない このシミュレーターで期待値が「マイナス」と表示されたら、複利運用以前の問題だ。手法そのものを見直す必要がある。リスク率を下げても損失のスピードが遅くなるだけで、長期的には必ず資金が減っていく。

4. 連敗テーブルは「起きるかどうか」ではなく「いつ起きるか」で見る 勝率50%で年間240回トレードすれば、8連敗は約60%の確率で発生する。「自分は大丈夫」ではなく、「8連敗したとき口座がどうなるか」を事前に確認しておくのがリスク管理の本質。

5. 週次の振り返りと組み合わせる シミュレーション結果はあくまで「理論値」。実際のトレードでは勝率やRR比がブレるから、FX週間プランナーで週次の実績を記録し、シミュレーションとの乖離をチェックする習慣をつけると効果的だ。

よくある質問

Q: 期待値がプラスなのにシミュレーションで残高が減るケースはある?

このシミュレーターは「期待値ベースの決定論的シミュレーション」を採用しているため、期待値がプラスであれば残高は必ず右肩上がりになる。ただし現実のトレードでは、短期的に連敗が集中して一時的に大きく減ることがある。連敗リスク分析セクションで「N連敗時のドローダウン」を確認し、最悪のシナリオに備えておくことが重要だ。将来的にモンテカルロシミュレーション(ランダム性を含む複数パスの表示)を追加予定で、そちらではバラつきのある現実的な推移が確認できるようになる。

Q: リスクリワード比(RR比)はどうやって決めればいい?

RR比は「利確幅 ÷ 損切幅」で決まる。たとえば損切りを20pips、利確を30pipsに設定しているならRR比は1.5だ。自分のトレード履歴から過去50〜100トレードの平均利確幅と平均損切幅を計算するのが最も正確。MT4/MT5の取引履歴からエクスポートすれば簡単に算出できる。まだ履歴がない場合は、バックテストの結果を使おう。

Q: 勝率50%・RR比1.5で本当に年利100%超えになる?

デフォルト設定(勝率50%・RR1.5・リスク率2%・月20回)でシミュレーションすると、月間期待リターン約9.8%、12ヶ月後の最終残高は初期資金の約3倍近くになる。これは毎月一定の勝率とRR比を維持できた場合の理論値であり、スリッページ・スプレッド・メンタル崩壊による逸脱は含まれていない。あくまで「この条件を維持できればこうなる」という上限の目安として捉えてほしい。

Q: 入力した運用パラメータはサーバーに送信される?

一切送信されない。すべての計算はブラウザ上のJavaScriptで完結しており、入力データがサーバーに送られることはない。ページを閉じればデータは消える。口座残高などのセンシティブな情報を安心して入力できる設計になっている。

Q: スプレッドやスリッページの影響はどう考慮すればいい?

このシミュレーターはスプレッド・スリッページを直接入力するパラメータを持っていない。対処法としては、RR比を少し低めに設定するのが実用的だ。たとえば実際のRR比が1.5なら、スプレッド・スリッページ分を差し引いて1.3〜1.4で入力すると、より保守的で現実に近い結果が得られる。

まとめ——数字で見る複利の「光と影」

FX複利運用は、正の期待値さえあれば資金を指数関数的に増やせる強力な仕組みだ。しかしその裏側には、連敗によるドローダウンという避けられないリスクが潜んでいる。

このシミュレーターで「最終残高」だけでなく「最大ドローダウン」と「連敗時の口座ダメージ」を必ずセットで確認してほしい。夢の数字と現実のリスクを同時に見ることが、生き残るトレーダーの第一歩だ。

週次でトレード実績を振り返りたいなら、FX週間プランナーとの併用がおすすめ。シミュレーションの理論値と実績のギャップを可視化することで、手法の改善ポイントが見えてくる。

ツールに関するフィードバックや改善要望は、X (@MahiroMemo)から気軽に送ってほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。複利の加速に夢を見て、7連敗のドローダウンで目が覚めた元トレーダー崩れ。

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