「この弾、何ジュール出てる?」をその場で出す
サバゲーの調整あるある。弾速計の画面には 90m/s と出ているのに、頭の中ではずっと「で、これってジュールにすると何J? 0.98Jの上限、超えてない?」とぐるぐる考えている。0.20gで測ったときはセーフでも、いつも使う0.25gや0.28gの重い弾に変えた瞬間、数字がどう動くのか即答できない人は多いはず。
このツールは、弾速計が示す初速(m/s)と計測に使ったBB弾重量(g)を入れるだけで、運動エネルギー(ジュール)と日本の法定上限 0.98J までの余裕を一発で出す。逆に「上限ギリギリの 0.90J に収めたい、初速はいくつ?」という逆算もできるし、同じエネルギーのまま 0.20/0.25/0.28/0.30/0.36g に弾を変えたときの初速換算表も並べて見せる。フィールドのレギュレーション照合や、中古エアガン購入時の威力確認に、電卓を叩く前のひと手間をまるごと肩代わりする計算ツールだ。
なお本ツールは計算・確認用であって、改造やパワーアップを助長するものではない。0.98Jを超えるエアソフトガンの所持は違法になりうるという前提で読み進めてほしい。
なぜ作ったのか — 弾速計はm/s、規制はジュールというズレ
きっかけは、毎回フィールドのシューティングレンジで同じ手計算を繰り返していたことだった。弾速計(クロノグラフ)の表示はたいてい m/s か ft/s。ところが日本の規制も、フィールドのレギュレーションの多くも、基準は「ジュール」で書かれている。つまり測った瞬間の数字と、守るべき基準の単位が食い違っている。
その場で J=½mv² を暗算するのは無理がある。弾重量はグラム、エネルギーの式はキログラム。0.20gを0.0002kgに直して、初速を二乗して、半分にして……とやっているうちに、自分の番が終わってしまう。スマホの電卓を開いても、二乗と単位換算を一つずつ手で打つのは面倒だし、桁を一つ間違えれば0.81Jが8.1Jになりかねない。
さらに厄介なのが弾重量の変更だ。0.20gで初速を合わせたあと「実戦は0.25gで行く」となると、エネルギーは同じでも初速の数字は変わる。換算表が手元にないと、結局また計算し直し。海外フィールドだと ft/s 規定のことも多く、m/sとの往復も発生する。
「測る」のは弾速計の仕事だが、「ジュールに直して、上限と照らして、別重量に換算する」のは別の作業だ。この後半の橋渡しだけを、入力一回で終わらせたかった。だから初速→ジュール、ジュール→初速の両方向、別重量換算、ft/s併記を一画面に詰め込んだ。安全に遊ぶための確認を、面倒くささを理由に飛ばしてほしくない、という思いがツールの核にある。
運動エネルギーと0.98J規制とは
運動エネルギー とは — J=½mv²を第一原理から
動いている物体が持つエネルギーを運動エネルギーと呼ぶ。式はシンプルで、質量を m(kg)、速さを v(m/s) とすると次のようになる。
運動エネルギー J = ½ × m × v²
(m: 質量[kg]、v: 速さ[m/s]、J: ジュール)
ポイントは2つ。1つ目は、速さが v² で効いてくること。速さが2倍になればエネルギーは4倍だ。BB弾の威力が初速にとても敏感なのはこのためで、ほんの少しの初速アップが思った以上にジュールを押し上げる。2つ目は単位。BB弾の重量はグラムで語るのに、式の m はキログラムを使う。だから計算では必ず g ÷ 1000 でキログラムに直す必要がある。0.20g なら 0.0002kg だ。ここを忘れると桁が1000倍ずれる。
日常のたとえで言えば、運動エネルギーは「ぶつかったときの痛さの素」だと思えばいい。同じ速さで飛んでくるなら、重いボールのほうが痛い(質量に比例)。同じ重さなら、速いボールのほうが圧倒的に痛い(速さの二乗に比例)。野球のデッドボールが軟式と硬式で痛みが段違いなのも、ピッチャーの球が速いほど怖いのも、すべてこの式の延長線上にある。BB弾も理屈はまったく同じ。詳しくはWikipedia「運動エネルギー」にまとまっている。
0.98J 規制と準空気銃 — なぜこの数値なのか
日本では、エアソフトガンの威力に法律上の線引きがある。銃刀法では、人の生命や身体に危害を加えられる程度の威力を持つ空気銃を「準空気銃」として規制対象にしている。その境界となる運動エネルギーが、銃口から発射された弾1発あたり 3.5J/cm²(銃口部分の単位面積あたり)という基準で定められており、一般的な6mm BB弾(直径約6mm、断面積およそ 0.28cm²)に当てはめると、おおむね 0.98J あたりが上限の目安になる。
この 0.98J を超えるエアソフトガンは準空気銃に該当し、所持していること自体が罰則の対象になりうる。だからメーカーの製品も、サバゲーフィールドのレギュレーションも、この 0.98J を一つの天井として設計されている。多くのフィールドではさらに余裕を見て 0.9J 前後を上限にしたり、初速ベースで「0.20g弾で○○m/s以下」と定めたりしている。準空気銃の法的な位置づけはWikipedia「準空気銃」に詳しい。
つまり 0.98J は、適法に遊べるか・違法な所持になってしまうかを分ける、エアソフトにおける最重要ラインだ。このツールが最初に表示するのも、入力した条件が 0.98J の内側か外側か、そしてどれだけ余裕があるか、という判定になっている。
なぜこの数値が大事か — 0.98Jを超えると何が起きるか
0.98J という数字は、単なる目安ではなく実害に直結する。超えてしまうと、まず所持自体が違法になりうる。準空気銃に該当するエアソフトガンを持っていれば、使う・使わないにかかわらず銃刀法上の問題になりかねない。次に、ほぼすべてのサバゲーフィールドで入場時に弾速チェックがあり、規定オーバーが出ればそのゲームに参加できない。せっかく現地まで行って、入口で弾かれる事態になる。そして何より、過剰なエネルギーの弾は当たったときの怪我のリスクが跳ね上がる。サバゲーの安全は0.98Jという上限の上に成り立っている。
特に怖いのが「初速だけ見て弾重量を変えると超過する罠」だ。具体的に見てみよう。0.20g弾で初速 90m/s のセッティングは、計算すると 0.81J。上限まで 17.3% の余裕があり適法だ。ところが、まったく同じ初速 90m/s のまま弾だけ 0.25g に持ち替えると、エネルギーは 0.5×(0.25/1000)×90² ≈ 1.01J まで上がってしまう。初速の数字は変わっていないのに、上限を超える。弾が重いぶん、同じ速さでも運動エネルギーは大きくなるからだ。「初速は前と同じだから大丈夫」という思い込みが、そのまま違法状態を生む。
逆に、エアガン側のセッティング(バネの強さなど)を変えていなければ、弾を重くすると初速は下がり、エネルギーは概ね一定に保たれる。問題は「初速計測に使った弾」と「実戦で撃つ弾」が違う重量のとき、あるいは弾を変えた後に測り直さないときだ。だからこのツールは、別重量での初速換算表を常に並べて、どの弾でどれだけの初速になるかを一目で確認できるようにしている。
念のため強調しておくと、上限を超えた数値が出たからといって、バネを強くする・初速を上げる改造でつじつまを合わせるのは本末転倒だ。改造による初速超過は違法であり、本ツールはそれを一切推奨しない。あくまで現状を正しく把握し、必要なら初速を下げる方向に調整するための確認用だと考えてほしい。最終的な可否は、必ず利用先フィールドのレギュレーションと現行法令に従うこと。
こんな場面で確認に使える
カスタム・調整後の初速チェック。スプリングやシリンダーを組み替えたあと、弾速計で測った初速を入れれば、ジュールが 0.98J の内側に収まっているかその場で分かる。0.9Jを超えていれば、ホップや気温で上限を割る危険があるサインだ。
弾重量を変えるときの再確認。普段 0.20g で調整して、実戦は 0.25g や 0.28g で運用する人は多い。換算表を見れば、同じエネルギーのまま弾を重くしたときの初速がすぐ読める。逆に重い弾で測った値から、軽い弾だと何J相当かも逆算できる。
フィールド規定との照合。「0.20g弾で○○m/s以下」「○○J以下」とレギュレーションは様々。手元の数値をジュールにも m/s にも ft/s にも直せるので、どの基準で書かれていても突き合わせやすい。
中古エアガン購入時の威力確認。譲り受けた個体や中古品を測ったとき、適法な範囲に収まっているかを買う前・使う前にチェックできる。違法域の数値が出れば、その個体は調整なしには使えないと判断できる。
いずれの場面でも、実測そのものは弾速計の役目だ。このツールは測った数字を意味のある判定に変える「翻訳係」だと考えてほしい。
基本の使い方は3ステップ
ステップ1: 計算モードを選ぶ。「初速→ジュール」と「ジュール→初速」のどちらかをセグメントボタンで選ぶ。手元に弾速計の実測値があるなら前者、「0.90Jに収めたい、初速は何m/s?」のように狙いから逆算したいなら後者だ。
ステップ2: 数値を入れる。初速→ジュールなら、弾速計で測った初速(m/s)と、計測に使ったBB弾重量(g)を入力する。重量は 0.20/0.25/0.28/0.30/0.36g のプリセットボタンからワンタップで選べる。弾速計が ft/s 表示なら、その値を 3.28 で割れば m/s になる。ジュール→初速モードなら、目標ジュールと弾重量を入れる。
ステップ3: 判定と換算を読む。運動エネルギー(J)が大きく表示され、0.98Jの内側なら適法、外側なら警告色になる。あわせて 0.98Jまでの余裕(%)、ft/s換算、そして別重量での初速換算表が出る。余裕がマイナスなら上限超過。結果はコピーして仲間と共有してもいい。
入力は即座に反映されるので、初速や弾重量を少しずつ動かしながら、ちょうどいいセッティングを探る使い方もできる。
具体的な使用例で計算を確かめる(8ケース)
実際の入力と出力を並べてみる。すべて J=½mv²(mはg÷1000のkg換算)に基づく値だ。
ケース1: 0.20g・初速90m/s(基準セッティング)
入力: 初速 90m/s、弾重量 0.20g。結果: J = 0.5×(0.20/1000)×90² = 0.81J、ft/s換算は 295、0.98Jまでの余裕は +17.3% で適法。解釈: 上限まで2割近い余裕がある、定番の安全圏セッティング。
ケース2: 0.20g・初速95m/s(上限ギリギリ)
入力: 初速 95m/s、弾重量 0.20g。結果: J = 0.5×0.0002×9025 = 0.9025J(約 0.90J)、余裕 +7.9%、適法。解釈: まだ上限の内側だが、ホップや気温の変動で 0.98J を超えうる「黄色信号」ゾーン。フィールドでは余裕を持たせたい。
ケース3: 0.20g・初速80m/s(しっかり余裕)
入力: 初速 80m/s、弾重量 0.20g。結果: J = 0.5×0.0002×6400 = 0.64J、余裕 +34.7%、適法。解釈: 上限まで3割超の余裕。初心者向けや屋内戦など、安全マージンを厚く取りたいときの目安。
ケース4: 0.25g・初速100m/s(上限超過)
入力: 初速 100m/s、弾重量 0.25g。結果: J = 0.5×(0.25/1000)×100² = 1.25J、ft/s換算は 328、余裕は -27.6% で超過。解釈: 0.98Jを大きく超えており、この状態は準空気銃に該当しうる。初速を下げる調整が必要。
ケース5: 0.25g・初速80m/s(重い弾でも安全圏)
入力: 初速 80m/s、弾重量 0.25g。結果: J = 0.5×0.00025×6400 = 0.80J、余裕 +18.4%、適法。解釈: ケース3と同じ初速 80m/s でも、弾が重いぶんエネルギーは 0.64J→0.80J に増える。弾重量がジュールに直結することがよく分かる。
ケース6: 「初速だけ同じ」の罠(0.28g・初速85m/s)
入力: 初速 85m/s、弾重量 0.28g。結果: J = 0.5×0.00028×7225 = 1.0115J(約 1.01J)、余裕 -3.2% で超過。解釈: 0.20gなら 85m/s は 0.72J で余裕だが、同じ初速でも 0.28g だと上限を超える。「初速は控えめだから平気」という油断が危ない好例。
ケース7: 目標0.90J・0.30gを逆算(ジュール→初速)
入力: 目標 0.90J、弾重量 0.30g。結果: v = √(2×0.90/(0.30/1000)) = √6000 ≈ 77.46m/s、ft/s換算は 254、余裕 +8.2%、適法。解釈: 0.30g弾で 0.90J を狙うなら初速は約 77m/s。狙いのジュールから必要な初速を逆引きできる。
ケース8: 別重量への換算(0.81Jを各重量で)
ケース1の 0.81J を保ったまま弾を変えると、換算表はこうなる。0.20g→90.0m/s / 0.25g→80.5m/s / 0.28g→76.1m/s / 0.30g→73.5m/s / 0.36g→67.1m/s。解釈: エネルギーが同じなら、弾が重くなるほど初速の数字は下がる。弾速計の表示だけ見て「遅くなった=弱くなった」と誤解しないための一覧だ。
参考までに、各重量で 0.98J ちょうどになる上限初速は、0.20g→約99.0m/s / 0.25g→約88.5m/s / 0.28g→約83.7m/s / 0.30g→約80.8m/s / 0.36g→約73.8m/s。普段使う弾の「これ以上は出してはいけない初速」として頭に入れておくと安全だ。
仕組み・アルゴリズム — 単位換算と別重量換算の導出
中心となる式と単位換算
このツールの計算は、運動エネルギーの基本式ひとつから始まる。
joule = 0.5 × (m / 1000) × v²
m: BB弾重量[g](÷1000でkgに換算)
v: 初速[m/s]
実装上の肝は単位換算だ。BB弾はグラムで扱うので、式に入れる前に必ず /1000 でキログラムに直す。ここを怠ると結果が1000倍ずれる。たとえば 0.20g・90m/s なら、0.5×0.0002×8100 = 0.81J。v² の 8100 を半分にして 4050、それに 0.0002 を掛ければ 0.81、というステップで追える。
逆算モード(ジュール→初速)は、この式を v について解いたものを使う。
velocity = √( 2 × joule / (m / 1000) )
0.90J・0.30g なら √(2×0.90/0.0003) = √6000 ≈ 77.46m/s。目標ジュールから必要な初速がそのまま出る。
別重量換算の考え方 — なぜ v₂ = v₁ × √(m₁/m₂) なのか
別重量の初速換算表は「エネルギー一定」を仮定して導いている。エアガンのセッティング(バネの強さなど)を変えなければ、弾に与えるエネルギーはおおむね一定とみなせる。同じエネルギー J を持つ別重量弾の初速は、上の逆算式に各重量を入れれば求まる。
重量 m₁ で初速 v₁ のとき J = ½(m₁/1000)v₁²
同じ J を重量 m₂ に与えると v₂ = √(2J/(m₂/1000))
2式から v₂ = v₁ × √(m₁/m₂)
つまり初速の比は、重量の比の平方根の逆数になる。重い弾(m₂が大きい)ほど初速 v₂ は下がる。実装では、計算で得た joule を固定し、0.20/0.25/0.28/0.30/0.36g それぞれに逆算式を適用して換算表を作っている。たとえば 0.81J を 0.25g に当てると √(2×0.81/0.00025) ≈ 80.5m/s だ。
採用した手法と、しなかった手法
換算の方法には2つの候補があった。1つは今回採用した「エネルギー一定の理想換算」。もう1つは、重い弾ほどシリンダー内で受け取るエネルギーがわずかに増える実機特性まで織り込むモデルだ。後者は個体差・ホップ・気密の影響が大きく、汎用の早見表としては誤差要因が読めない。そこで本ツールは、一般的な弾速早見表と同じ「エネルギー一定」の理想換算を採用し、誰が使っても同じ基準で比較できることを優先した。実測との差は別途、弾速計で確認する前提だ。
判定ロジックはシンプルで、isLegal = joule ≤ 0.98、余裕は marginPercent = (0.98 − joule) / 0.98 × 100(負なら超過)。ft/s併記は velocityFps = velocity × 3.28084 で、海外フィールドの fps 規定にもそのまま照らせる。運動エネルギーの基礎はWikipedia「運動エネルギー」を参照。
弾速計とは役割が違う ― このツールは「換算と判定」を担う
サバゲーで初速を測る道具といえば弾速計(クロノグラフ)。チャンバーの先に置いてBB弾を撃ち込むと、2点間のセンサーを弾が通過する時間から初速を割り出す。これは物理的な実測ハードウェアで、本ツールとは役割がまるで違う。
弾速計が出してくれるのは、ほとんどの機種で m/s か ft/s の数値だけ。「85m/s」と表示されても、それが何ジュールで、0.98J の上限にどれだけ余裕があるのかは、自分で ½mv² を計算しないと分からない。海外製のクロノグラフだと ft/s 表記しか出ないものも多く、m/s に直すところから始まる。本ツールはその実測値を受け取り、ジュール換算・上限判定・別重量への初速換算をまとめて返す立ち位置にいる。
つまり弾速計は「測る」担当、このツールは「換算して判定する」担当。実測値は弾速計に任せ、その数字をどう読むかをこのツールが引き受ける。ジュール表記(フィールド規定でよく使われる)と弾速表記(弾速計の出力)の橋渡しが、いちばんの存在意義だ。
汎用の物理計算機や関数電卓でも ½mv² は計算できる。ただ毎回 g→kg の単位換算を手で挟み、0.98J と引き算して余裕を出し、別重量での初速を v₂=v₁√(m₁/m₂) で5パターン叩く――その一連の手間を一画面に畳んだのがこのツールだ。手計算の桁ミスや単位ミスがそのまま「上限を超えてないと思い込む」事故につながる領域なので、専用ツールに任せる価値がある。
豆知識 ― 重い弾が「遅いのに遠くまで届く」理由
サバゲーを始めて最初に引っかかるのが、「重い弾に変えたら初速が落ちたのに、飛距離はむしろ伸びた」という一見矛盾した現象だ。
カラクリはエネルギー保存にある。同じバネ・同じセッティングなら、銃がBB弾に与える運動エネルギーはほぼ一定。エネルギー J = ½mv² が固定だと、質量 m が大きいほど初速 v は下がる(v = √(2J/m) で m が分母にいる)。だから0.20gで90m/sだった銃に0.30gを入れると、初速は73m/s前後まで落ちる。ここまでは計算どおり。
ところが飛距離を決めるのは初速だけではない。飛んでいる間、弾は空気抵抗で減速し続ける。軽い弾は出だしこそ速いが、質量が小さいぶん空気抵抗で急ブレーキがかかり、すぐ失速して弾道が乱れる。重い弾は出だしは遅くても、慣性(運動量 mv)が大きく空気抵抗に粘り強い。結果として速度の落ち方が緩やかで、横風にも流されにくく、弾道がまっすぐ安定する。これが「遅いのに遠くまでまとまって届く」の正体だ。弾道学(外部弾道 - Wikipedia)でいう弾道係数の効きどころで、エアソフトに限らず実弾でも重い弾ほど風に強いのは同じ理屈になる。
このとき「ジュールは一定」という前提が効いてくる。運動エネルギー(Wikipedia)が法律の基準になっているのは、弾の重さに左右されず「弾が的に与える衝撃の大きさ」を一本の物差しで測れるからだ。初速だけ見ていると弾重量を変えた瞬間に基準がブレるが、ジュールで見れば「同じ銃なら弾を変えても威力(エネルギー)はほぼ据え置き」と一目で分かる。
ちなみに海外フィールドの規定はジュールではなく fps(ft/s)で線を引くところが多い。屋内のCQB戦と屋外戦で上限を分けている運営も珍しくなく、近距離で撃ち合うCQBは痛みと安全を考えてかなり低い fps に、見通しのよい屋外戦は高めに設定する、といった具合だ。fps は弾重量を決め打ち(多くは0.20g基準)にして初めて意味を持つ数字なので、「何gの弾で測ったfpsか」が併記されていないと比べようがない。本ツールの ft/s 換算と別重量換算表は、まさにこの「規定の物差しの違い」を埋めるために載せている。
Tips ― 上限ギリギリを攻めないための4つの勘所
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0.98Jには必ず余裕を残す:表示が0.97Jだからセーフ、ではない。実測初速はホップの効き具合・その日の気温・個体差で常に数%は揺れる。フィールドで弾速チェックに引っかかると入場できないこともある。0.90J前後を目安に、上限まで10%ほどの余白を持たせておくと安心だ。 -
ホップアップは初速の出方を変える:ホップを強くかけると弾に回転を与えるぶん抵抗が増え、チャンバー手前での初速が変化することがある。弾速を測るときはフィールドで実戦投入する設定のままホップをかけた状態で測るのが基本。ホップを抜いた最速値だけ見て安心していると、本番設定で数値が動く。
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気温で初速は動く:エアの膨張やグリスの粘度、バッテリー出力が温度で変わるため、真夏のフィールドと真冬の自宅では同じ銃でも初速がずれる。夏に上限ギリギリで合わせると、それ自体が暑い日にさらに伸びる側に振れやすい。寒い時期に測った数値を過信せず、季節をまたいだら測り直すのが無難だ。
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重量弾は飛距離・安定性を取りに行く札:上限が同じジュールなら、重い弾に替えても威力(エネルギー)は据え置きで初速だけ下がる。そのぶん弾道が安定して遠距離の集弾が良くなる。屋外の長射程戦では0.28g〜0.30g以上を選ぶ人が多い。ただし弾を替えたら初速は必ず測り直すこと(理由は下のFAQへ)。
よくある質問(FAQ)
0.98Jを超えるとどうなる?
日本では運動エネルギーが 0.98J を超えるエアソフトガンは「準空気銃」とみなされ、銃刀法の規制対象になる。所持しているだけで違法となる場合があり、罰則の対象だ。当然、ほとんどのサバゲーフィールドは入場時の弾速チェックで上限を超えた銃を弾く。本ツールでジュールが 0.98J を超えると判定欄が警告色になり、3.5J を超えるとさらに強い警告を出すようにしてある。なお本ツールは計算・確認用であり法的助言ではない。実測・調整は必ず適法の範囲で行ってほしい。
BB弾の重量を変えたら初速は測り直すべき?
測り直すべきだ。同じ銃でも軽い弾ほど初速は速く、重い弾ほど遅くなる。たとえば0.20gで90m/sの銃に0.25gを入れると約80m/sに下がる。ジュール(威力)は理論上ほぼ一定だが、ホップの効きや個体差で実測はずれる。本ツールの別重量換算表はあくまで「エネルギー一定の理想換算」なので、実際にフィールドで使う弾重量で弾速計を当て直し、その実測値を入力して確認するのが確実だ。
弾速計がft/s表記しかない。どう換算する?
ft/s(フィート毎秒)を3.28084で割れば m/s になる。たとえば295ft/sなら 295 ÷ 3.28084 ≒ 90m/s。本ツールは入力された m/s から逆に ft/s も併記表示するので、海外フィールドの fps 規定と照らし合わせるときも変換し直す手間がない。ただし fps 規定は弾重量とセットで初めて意味を持つ(多くは0.20g基準)ので、規定が何gの弾を前提にしているかを必ず確認してほしい。
このツールは改造やパワーアップに使える?
使えないし、その用途を想定していない。本ツールは「いま手元の銃が何ジュールで、適法範囲に収まっているか」を確認するための計算ツールだ。0.98J を超える初速にする改造は違法であり、推奨もしない。逆に「上限を超えないよう初速をどこに収めるべきか」を確かめる、安全側の確認に役立ててほしい。
入力したデータはどこかに送信される?
されない。初速・BB弾重量・目標ジュールの計算はすべてブラウザ内(あなたの端末上)で完結し、サーバーへ送信したり保存したりしない。所持している銃の数値という性質上、外部に出ないのは安心材料になるはずだ。
まとめ
弾速計が出す m/s や ft/s の生数値を、運動エネルギー(ジュール)と 0.98J 上限への余裕に翻訳し、別重量へ初速を換算する――それがこのツールの仕事だ。½mv² の単位換算や別重量換算の手計算から解放され、弾を替えるたびの確認が一画面で済む。投擲物の到達距離など、同じ ½mv² 系の物理を扱う /casting-distance-predictor もあわせてどうぞ。なお表示はあくまで目安で、最終判断は利用先フィールドのレギュレーションと、その場の弾速チェックが優先。安全のためゴーグルなど保護具の着用も忘れずに。計算が合わない・こんな機能がほしいといった声があれば、お問い合わせから気軽に教えてほしい。
不具合や要望があれば、お問い合わせページから気軽に教えて。
Mahiro
Mahiro Appの開発者。0.20gと0.25gを行き来するたびに弾速計のm/s表示をジュールへ手計算していた経験から、初速⇔ジュール⇔別重量換算を一画面にまとめた。0.98Jの確認を面倒で飛ばさないための計算ツール。
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