直接基礎の地盤支持力計算ツール

テルツァーギの支持力公式で長期・短期許容支持力を算出。N値推定・告示1113号にも対応

直接基礎の地盤許容支持力をテルツァーギの支持力公式で算出。N値から内部摩擦角・粘着力を推定し、長期・短期許容支持力と安全率を計算。

計算方式

テルツァーギの支持力公式による詳細計算

地盤パラメータ

標準貫入試験のN値

一般的な土: 15〜20 kN/m³

N値からの推定結果

φ = 32.3°c = 0.0 kN/m²

Dunham式: φ = √(20N) + 15

基礎条件

基礎底面より深い場合は影響なし

計算結果

接地圧を入力すると安全率を判定します
推定内部摩擦角 φ
32.3°
推定粘着力 c
0.0 kN/m²
支持力係数
Nc=36.5 Nq=24.1 Nγ=31.7
極限支持力 qu
502.1 kN/m²
長期許容支持力 qa
167.4 kN/m²

= qu / 3

短期許容支持力
334.7 kN/m²

= qu / 1.5

本ツールはテルツァーギの支持力公式に基づく簡易計算です。実際の基礎設計には地盤調査報告書に基づく専門技術者の判断が必要です。地盤の不均質性・傾斜荷重・偏心荷重等は考慮していません。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

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基礎設計の最初の一歩、地盤支持力の概算をブラウザで

「この地盤にこの基礎で大丈夫なのか?」——住宅の基礎設計、仮設構造物の基礎検討、設備基礎の概算見積り。地盤の支持力を確認する場面は多いのに、手元でパッと計算できるツールが意外と少ない。

地盤支持力計算ツールは、テルツァーギの支持力公式で直接基礎の許容支持力を即座に算出するブラウザツールだ。N値から内部摩擦角・粘着力を自動推定し、帯基礎・正方形基礎・円形基礎の形状係数を考慮して長期・短期の許容支持力を算定する。告示1113号の簡便式にも対応しているから、法令に基づく概算チェックにも使える。接地圧を入力すれば安全率の判定まで一画面で完結する。

なぜ地盤支持力の計算ツールを作ったのか

開発のきっかけ

前作の「梁の安全審判員」や「ボルト強度診断」で構造部材の強度計算はカバーできた。だが実際の設計では「部材が持つか」だけでなく「地盤が持つか」の検討が不可欠だ。とくに直接基礎は住宅から仮設構造物まで使用頻度が高く、地耐力の概算チェックは設計の初期段階で必ず必要になる。

既存ツールを調べてみると、有料の地盤解析ソフト(FORUM8のBEAR等)はもちろん高機能だが、概算チェックだけの目的には重すぎる。Excelの自作シートを使っている技術者も多いが、共有しにくいし、支持力係数の計算式が正しいか検証するのも面倒だ。「N値を入れたらテルツァーギの支持力がすぐ出る」ブラウザツールが見つからなかったから、自分で作ることにした。

こだわった設計判断

  • N値→φ・c の自動推定: 地盤調査報告書にはN値が載っているが、内部摩擦角や粘着力が直接記載されていないケースも多い。Dunham式と粘性土の換算式を内蔵して、N値ひとつで計算が完結するようにした
  • テルツァーギと告示の2モード: 詳細な支持力計算と法令準拠の簡便計算を切り替えられる。概算段階では告示1113号で大枠を把握し、詳細検討でテルツァーギに切り替える使い方を想定した
  • 地下水位の自動補正: 地下水位が基礎底面より上にある場合、水中単位体積重量で有効上載圧を自動補正する。この補正を忘れると支持力を過大評価してしまう危険があるため、入力するだけで自動対応する仕組みにした

地盤支持力とは何か——テルツァーギの理論を第一原理から

地盤の許容支持力 とは

地盤支持力(地耐力)とは、地盤が建物の荷重を安全に支えられる強さのことだ。もっと日常的にたとえると、砂浜で砂の上に板を置いてその上に立つ場面を想像してみてほしい。体重60kgの人が10cm四方の板に乗れば、砂にめり込んで沈む。でも1m四方の板に乗れば安定して立てる。これが「接地圧と地盤支持力の関係」の直感的な理解だ。

建築基準法では、建物の基礎にかかる接地圧(荷重÷基礎面積)が地盤の許容支持力以下であることを要求している。許容支持力を超えると地盤が破壊し、建物が沈下・傾斜する恐れがある。

テルツァーギの支持力公式

カール・テルツァーギが1943年に提案した支持力公式は、土質力学における最も基本的な支持力理論だ。地盤の破壊メカニズムを「全般せん断破壊」と仮定し、粘着力・上載圧・地盤の自重の3つの寄与を足し合わせて極限支持力を求める:

qu = sc × c × Nc + sq × q × Nq + sγ × γ × B × Nγ

qu: 極限支持力 (kN/m²)
c : 粘着力 (kN/m²)
q : 有効上載圧 = γ × Df (kN/m²)
γ : 土の単位体積重量 (kN/m³)
B : 基礎幅 (m)
Nc, Nq, Nγ: 支持力係数(φの関数)
sc, sq, sγ: 形状係数

N値から地盤パラメータを推定する方法

標準貫入試験のN値は地盤の硬さを示す最も一般的な指標だ。N値から内部摩擦角と粘着力を推定する方法は以下の通り:

  • 砂質土(Dunham式): φ = √(20N) + 15°
  • 粘性土: c = qu/2 = 12.5N/2 = 6.25N (kN/m²)

ただしこれらはあくまで経験式であり、実際の設計では室内試験の結果を優先すべきだ。

N値 地盤強度 目安 — 数値の読み方

N値は地盤調査報告書に登場する最も身近な数値だが、その値が意味する「硬さ」の感覚をつかむのが初学者には難しい。以下の目安を参考にしてほしい:

N値砂質土の状態粘性土の状態推定φ(砂質)推定c(粘性)kN/m²
0〜4非常にゆるい非常に軟らかい15〜24°0〜25
4〜10ゆるい軟らかい24〜29°25〜63
10〜30中位中位29〜39°63〜188
30〜50密な硬い39〜46°188〜313
50以上非常に密な非常に硬い46°以上313以上

日常のたとえで言えば、N値0〜4は「傘の先端で突き刺さるほど柔らかい」地盤、N値50以上は「つるはしでも掘りにくい」地盤だ。住宅の基礎設計では、N値5以上が直接基礎の最低ラインとされることが多い。N値3未満の砂質土は液状化リスクが高く、杭基礎や地盤改良の検討が必要になる。

支持力公式 比較 — テルツァーギ・マイヤーホフ・ハンセン

テルツァーギ以降、支持力理論は複数の研究者によって発展してきた。主要な3つの公式を比較する:

項目テルツァーギ (1943)マイヤーホフ (1963)ハンセン (1970)
荷重条件鉛直中心荷重傾斜・偏心対応傾斜・偏心・地盤傾斜
形状係数3種(帯・正方形・円形)連続的な矩形比連続的な矩形比
Nγの定義多数の近似式が存在Nγ = (Nq-1)tanφNγ = 1.5(Nq-1)tanφ
実務での使いやすさ高い中程度やや複雑
概算精度十分高い最も高い

本ツールはテルツァーギの基本形を採用しているが、概算チェック用途では十分な精度がある。マイヤーホフやハンセンが必要になるのは、偏心荷重や傾斜荷重が作用する大規模構造物の詳細設計の場面だ。

なぜ地盤支持力の確認が重要なのか

不同沈下のリスク

地盤支持力の検討を怠ると、最悪のケースでは建物の不同沈下(部分的な沈み込み)が発生する。不同沈下が起きると壁にクラックが入り、ドアが閉まらなくなり、配管が破断する。修復には基礎の打ち直しやジャッキアップが必要で、費用は数百万円から数千万円に及ぶ。

建築基準法の要求

建築基準法施行令第93条では、地盤の許容応力度(許容支持力)を求める方法を規定している。告示1113号(平成13年国交省告示第1113号)では、地盤の許容応力度の簡便な算定方法として以下の式を示している:

  • 砂質地盤: qa = 30N(kN/m²、上限600)
  • 粘性土地盤: qa = 18.75N(kN/m²)

これは概算用の簡便式だが、小規模建築物の構造計算ではこの値で十分なケースも多い。一方で大規模建築物や重要構造物では、テルツァーギの支持力公式等による詳細計算が必要になる。

安全率の考え方

極限支持力(地盤が破壊する限界値)をそのまま設計に使うわけではない。安全率を見込んで許容支持力を算定する:

  • 長期許容支持力: qa = qu / 3(常時荷重に対する安全率3)
  • 短期許容支持力: qa = qu / 1.5(地震時等の一時的荷重に対する安全率1.5)

安全率3というのは一見大きく見えるが、地盤は工業製品と違って均質性が保証されない。ボーリング位置から離れた場所の地盤が同じ強度とは限らないし、地下水位も季節で変動する。この不確実性を考えると、安全率3は妥当な値だ。

地盤支持力計算が活躍する場面

住宅の基礎設計

地盤調査報告書を受け取った段階で「この地盤にべた基礎で足りるか、杭が必要か」の判断材料が欲しい。N値を入力して長期許容支持力を算出し、建物重量から求めた接地圧と比較すれば、概算レベルの判断ができる。

仮設構造物の基礎検討

工事現場の仮設足場や仮設架台は、本設ほど詳細な地盤調査データがないことも多い。N値の概算値から支持力を推定し、仮設計画の安全確認に使える。

設備基礎の概算見積り

屋外に設置する大型空調機や発電機の基礎設計で、地盤支持力の概算値が必要になる。機器重量と基礎面積から接地圧を算出し、このツールで安全率を確認する。

建築学生の学習

土質力学の授業でテルツァーギの支持力公式を学ぶとき、教科書の数値例を入力して結果を確認できる。支持力係数のNc・Nq・Nγがφの変化でどう変わるかを体感的に理解できる。

基本の使い方——3ステップで許容支持力を算出

Step 1: 地盤情報を入力する 計算方式を選び(テルツァーギ or 告示1113号)、N値または内部摩擦角・粘着力を入力する。プリセットから典型的な地盤条件を選ぶこともできる。

Step 2: 基礎条件を設定する(テルツァーギの場合) 基礎形状(帯基礎・正方形・円形)を選び、基礎幅と根入れ深さを入力する。地下水位が浅い場合はその深さも入力。

Step 3: 結果を確認する 長期・短期の許容支持力が即座に表示される。接地圧を入力すれば安全率の判定もできる。結果はワンタップでクリップボードにコピー可能。

具体的な使用例——4つのケースで検証

ケース1: 砂質土 N=15 の布基礎

住宅の布基礎を想定。基礎幅B=0.45m、根入れ深さDf=0.5m。

  • N値: 15 → 推定φ=32.3°、c=0 kN/m²
  • 単位体積重量: 18 kN/m³
  • 計算結果: 極限支持力 qu ≈ 275 kN/m²
  • 長期許容支持力: qa ≈ 92 kN/m²
  • 2階建て木造住宅の接地圧が約30〜50 kN/m²とすると、安全率は約1.8〜3.0で安全側

ケース2: 粘性土 N=5 の独立基礎

軟弱地盤に設備基礎を設置するケース。基礎幅B=1.5m(正方形)、根入れDf=0.8m。

  • N値: 5 → 推定φ=0°、c=31.3 kN/m²
  • 単位体積重量: 15 kN/m³
  • 計算結果: 極限支持力 qu ≈ 221 kN/m²
  • 長期許容支持力: qa ≈ 74 kN/m²
  • 注意: N<5の砂質土では液状化の検討も必要

ケース3: 告示1113号の簡便式

小規模建築物の構造計算で告示1113号を適用するケース。砂質土N=20。

  • qa = 30 × 20 = 600 kN/m²(上限値に到達)
  • 粘性土N=10の場合: qa = 18.75 × 10 = 187.5 kN/m²
  • 簡便式は基礎形状や根入れ深さを考慮しないため、保守的な値になりやすい

ケース4: 地下水位が浅い場合

砂質土N=15だが地下水位GL-0.3mと非常に浅いケース。基礎幅B=1.0m、根入れDf=0.5m。

  • 地下水位が基礎底面(GL-0.5m)より上にある
  • 水中単位体積重量γ' = 18 - 9.81 = 8.19 kN/m³で補正
  • 有効上載圧と Nγ項が大幅に低下し、支持力は地下水位なしの場合の約60〜70%に
  • 地下水位の影響は想像以上に大きいので、必ず考慮すること。よくある間違いは、冬場の低水位時のデータだけで計算し、梅雨や台風時の最高水位を考慮しないケースだ。

ケース5: 砂質土 N=30 の正方形独立基礎(設備機器用)

重量のある屋外空調機の基礎を想定。基礎幅B=2.0m(正方形)、根入れDf=0.4m。

  • N値: 30 → 推定φ=39.5°、c=0 kN/m²
  • 単位体積重量: 18 kN/m³
  • 支持力係数: Nq≈53.0、Nγ≈74.3
  • 形状係数: sc=1.3、sq=1.0、sγ=0.4
  • 有効上載圧: q = 18×0.4 = 7.2 kN/m²
  • 極限支持力: qu = 0 + 1.0×7.2×53.0 + 0.4×18×2.0×74.3 = 381.6 + 1069.9 = 1,451.5 kN/m²
  • 長期許容支持力: qa = 1,451.5 / 3 = 483.8 kN/m²

注意点として、N=30は「密な砂」に分類され支持力は十分大きい。しかし基礎幅Bが大きい場合、沈下量の検討も別途必要になる。支持力に余裕があっても、許容沈下量(一般に25mm以下)を超えるケースがある。

ケース6: 粘性土 N=10 の円形基礎(タンク基礎)

円形タンクの基礎を想定。基礎径B=3.0m、根入れDf=1.0m。

  • N値: 10 → 推定φ=0°、c=62.5 kN/m²
  • 単位体積重量: 16 kN/m³
  • 支持力係数: Nc=5.14、Nq=1.0、Nγ=0
  • 形状係数: sc=1.3、sq=1.0、sγ=0.3
  • 有効上載圧: q = 16×1.0 = 16.0 kN/m²
  • 極限支持力: qu = 1.3×62.5×5.14 + 1.0×16.0×1.0 + 0 = 417.9 + 16.0 = 433.9 kN/m²
  • 長期許容支持力: qa = 433.9 / 3 = 144.6 kN/m²

解釈として、粘性土ではφ=0条件のため粘着力cの寄与が支配的になる。円形基礎の形状係数sc=1.3により、同幅の帯基礎より約30%大きい支持力が得られる。よくある間違いとして、粘性土にDunham式(砂質土用)を適用してφを過大に推定してしまうケース。土質の判定を誤ると計算結果が全く変わってくるため、ボーリング柱状図の土質名を正確に読み取ることが重要だ。

仕組みとアルゴリズム——テルツァーギ vs 告示簡便式

2つの計算手法の比較

項目テルツァーギの支持力公式告示1113号簡便式
入力パラメータφ, c, γ, B, DfN値のみ
基礎形状の考慮あり(形状係数)なし
地下水位の考慮あり(γ'で補正)なし
安全率長期3、短期1.5告示に規定
適用範囲全般小規模建築物向け
精度高い概算

テルツァーギの公式を採用した理由は、基礎形状や地下水位の影響を定量的に評価できる汎用性の高さだ。告示1113号はN値だけで計算できる簡便さが魅力で、両方を実装して使い分けられるようにした。

支持力係数の算出

本ツールでは、実務で広く使われるPrandtl-Reissnerの一般支持力理論に基づく支持力係数を採用している:

Nq = exp(π × tan φ) × tan²(45° + φ/2)
Nc = (Nq - 1) / tan φ   (φ=0のとき Nc = 5.14)
Nγ = 2(Nq + 1) × tan φ  (Vesicの近似式)

φ=0°(粘性土)の場合はNc=5.14、Nq=1.0、Nγ=0となり、支持力は粘着力cのみで決まる。φが大きくなるほど支持力係数は急激に増加し、φ=30°でNq≈18.4、φ=40°でNq≈64.2となる。

計算例: φ=30°、c=0、B=1.0m、Df=0.5mの帯基礎

Step 1: 支持力係数
  Nq = exp(π × tan30°) × tan²(60°) = exp(1.814) × 3.0 = 18.4
  Nc = (18.4 - 1) / tan30° = 30.1
  Nγ = 2 × 19.4 × tan30° = 22.4

Step 2: 有効上載圧
  q = γ × Df = 18 × 0.5 = 9.0 kN/m²

Step 3: 極限支持力(帯基礎: sc=1.0, sq=1.0, sγ=0.5)
  qu = 1.0×0×30.1 + 1.0×9.0×18.4 + 0.5×18×1.0×22.4
     = 0 + 165.6 + 201.6
     = 367.2 kN/m²

Step 4: 許容支持力
  長期: qa = 367.2 / 3 = 122.4 kN/m²
  短期: qa = 367.2 / 1.5 = 244.8 kN/m²

形状係数の意味

テルツァーギの公式では基礎形状によって破壊面の広がり方が変わることを形状係数で表現する:

基礎形状scsq
帯基礎(2次元問題)1.01.00.5
正方形基礎1.31.00.4
円形基礎1.31.00.3

正方形や円形の基礎はNc項(粘着力の寄与)に1.3倍の増加係数がかかる一方、Nγ項(自重の寄与)は帯基礎より小さくなる。これは3次元的な破壊面の効果を反映している。

他の地盤支持力計算ツールとの違い

FORUM8 BEAR との比較

FORUM8のBEARは地盤の支持力計算専用ソフトで、マイヤーホフの公式やハンセンの公式にも対応し、傾斜荷重・偏心荷重も扱える本格的なツールだ。ただし有料ソフト(年間ライセンス)であり、概算チェックだけの目的にはオーバースペック。

Excelの自作シートとの比較

技術者が各自で作成するExcelシートは柔軟性が高いが、支持力係数の計算式にバグが潜んでいることがある(とくにNγの近似式に複数の定義が存在するため)。本ツールは計算ロジックをオープンにしているので、式の正しさを誰でも確認できる。

本ツールの強み

  • N値からの自動推定: N値ひとつで内部摩擦角・粘着力を自動推定するので、地盤調査報告書のN値だけで計算が始められる
  • 告示1113号対応: 法令準拠の簡便式もワンタッチで切り替え可能
  • 地下水位補正: 忘れがちな地下水位の影響を自動で反映
  • 無料・ブラウザ完結: インストール不要でスマホからもアクセス可能

土質力学の豆知識

テルツァーギ——「土質力学の父」

カール・テルツァーギ(1883-1963)はオーストリア生まれの土木技術者で、土質力学(地盤工学)を学問として体系化した人物だ。1925年に発表した「Erdbaumechanik」(土質力学)は、有効応力の概念を初めて明確に定義した画期的な著作だった。支持力理論の他にも、圧密理論(建物の長期沈下を予測する理論)や土圧理論など、現代の地盤工学の基礎を築いた。

N値の由来と限界

標準貫入試験のN値は、63.5kgのハンマーを75cmの高さから自由落下させてサンプラーを30cm打ち込むのに要する打撃回数だ。1902年にアメリカで考案され、1950年代に日本に導入された。シンプルで実施しやすい試験だが、砂利層ではN値が異常に大きくなったり、粘性土の強度との相関が土質によってばらついたりする限界がある。N値はあくまで「目安」であり、重要な構造物では三軸圧縮試験等の室内試験を併用すべきだ。

支持力公式の進化

テルツァーギ(1943年)の後、マイヤーホフ(1963年)が傾斜荷重・偏心荷重への対応を追加し、ハンセン(1970年)がさらに地盤傾斜や基礎傾斜の補正係数を導入した。現在の実務ではこれらを総合した「一般支持力公式」が使われることが多い。本ツールはテルツァーギの基本形を採用しているが、概算チェック用途では十分な精度がある。

使いこなしのTips

Tip 1: プリセットで素早く概算 地盤条件が大まかにしかわからない段階では、プリセットの「中位の砂質土(N=15)」や「軟弱な粘性土(N=3)」を選んで概算値を把握しよう。詳細なデータが入手できたら直接入力に切り替える。

Tip 2: 地下水位は必ず確認 地下水位が基礎底面より上にあると、有効上載圧とNγ項の両方が低下して支持力が大幅に下がる。梅雨時期や河川近くでは水位が上昇する可能性があるので、最高水位で計算するのが安全側だ。

Tip 3: テルツァーギと告示を比較する 同じN値で両方の計算方式を試すと、告示簡便式がどの程度保守的(または楽観的)かを把握できる。設計の妥当性チェックに有用だ。

Tip 4: 安全率が1.0を下回ったら 基礎幅Bを広げる、根入れ深さDfを深くする、地盤改良で地耐力を上げる——この3つが基本的な対策だ。ツール上でBやDfを変えて安全率の変化を確認しよう。

よくある質問

テルツァーギと告示1113号、どちらを使えばいい?

小規模な木造住宅や仮設構造物の概算チェックには告示1113号の簡便式が手軽だ。基礎形状や地下水位の影響を詳細に検討したい場合、あるいはRC造・S造の中大規模建築物ではテルツァーギの支持力公式を使うのが適切。最終的な設計判断は地盤調査報告書と専門技術者の判断に基づくこと。

N値からの推定はどの程度信頼できる?

Dunham式(砂質土のφ推定)や粘性土のc=6.25N推定は、あくまで経験式であり土質によってばらつきがある。とくに砂利混じりの地盤ではN値が過大になりやすく、推定φも過大評価になる。重要な構造物では室内試験(三軸圧縮試験、一軸圧縮試験)の結果を使うべきだ。概算チェックや予備設計の段階では十分に実用的な精度を持つ。

計算データはサーバーに送信される?

一切送信されない。すべての計算はブラウザ上(JavaScript)で完結しており、入力データがサーバーに送られることはない。通信も発生しないため、オフラインでも利用可能だ。

マイヤーホフの公式には対応している?

現時点ではテルツァーギの支持力公式のみに対応している。マイヤーホフの公式は傾斜荷重や偏心荷重を扱えるメリットがあるが、入力パラメータが増えてUIが複雑になるため、概算ツールとしてはテルツァーギに絞った。将来的な対応は検討中だ。

液状化の判定はできる?

液状化判定には対応していない。液状化判定にはFL法(液状化指数の算定)が必要で、地層構成・細粒分含有率・地震動レベルなど多くのパラメータが必要になる。別途専用ツールや解析ソフトを使ってほしい。ただし、N値5未満の砂質土では液状化リスクが高い旨の警告を表示するようにしている。

まとめ——地盤支持力の概算を手軽に

地盤支持力計算ツールは、テルツァーギの支持力公式と告示1113号の簡便式で直接基礎の許容支持力を即座に算出できるブラウザツールだ。N値からの自動推定、3種の基礎形状、地下水位補正に対応し、設計の初期段階での概算チェックに活用してほしい。

構造部材の強度が気になったら「梁の安全審判員」や「ボルト強度診断」も併せてチェック。鉄筋の定着長さが必要なら「鉄筋定着長さ計算」も活用できる。

ご意見・ご要望はX (@MahiroMemo)から。

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