独立基礎(フーチング)設計

柱脚荷重と地耐力から接地圧分布・転倒安全率・滑動安全率を自動計算。SVG断面図付き。

柱脚の軸力・曲げモーメントからフーチング寸法・接地圧・必要鉄筋量を自動計算。直接基礎の簡易設計を即チェック。

フーチング寸法

柱脚荷重

地盤条件

断面図・接地圧分布

GL1.50 × 1.50 × 0.50NHMq_max=282.3q_min=19.2B=1.50 m

計算結果

最大接地圧が許容地耐力を超えています。フーチング寸法の拡大または杭基礎への変更を検討してください。

地耐力判定NG
282%
282.3 / 100.0 kN/m²
転倒安全率OK
3.44
基準 ≥ 1.5
滑動安全率OK
5.65
基準 ≥ 1.5
接地圧分布OK
台形分布(核内)
最大接地圧
282.3kN/m²
最小接地圧
19.2kN/m²
偏心距離 e
0.218m
核半径 L/6 = 0.250 m
合計鉛直力
339.2kN
自重 27.0 + 土 12.2 + N

※ 本ツールは独立フーチング基礎の概略設計用です。詳細設計では配筋計算・パンチングシア検討・杭基礎との比較検討等が必要です。建築確認申請には構造計算適合性判定を受けてください。

不具合・ご要望はお気軽に@MahiroMemoまで

PR

📘 建築・構造設計に役立つ書籍

地耐力オーバーに気づいたのは、施工図が出た後だった

小規模鉄骨造の基礎設計で「独立基礎でいけるだろう」と見込んで進めた現場があった。柱脚荷重は300kN程度、地盤調査報告書の長期許容地耐力は100kN/m²。1.5m角のフーチングで問題ないと思い込んでいたが、施工図チェックの段階で水平力とモーメントを加味した接地圧が地耐力を15%超過していることが判明した。フーチングの拡幅で対処できたものの、手戻りのコストと時間は痛かった。

あのとき、荷重を入れた瞬間に「NG」と出るツールがあれば——。それが、この独立基礎設計ツールの出発点だ。

なぜ独立基礎の概略設計ツールを作ったのか

手計算の非効率さ

独立フーチング基礎の設計は、原理自体はシンプルだ。鉛直力・水平力・モーメントから偏心距離を求め、接地圧を計算し、地耐力と比較する。しかし実務では「寸法を変えて何度も試算する」のが常。1.5m角でNG → 1.8m角 → 1.8×2.0……と繰り返すたびに、自重計算からやり直しになる。

Excelで計算シートを組んでいる設計者は多いが、偏心距離がL/6を超えたときの三角形分布への切り替え、転倒・滑動の安全率チェック、そしてそれらの結果を一覧で見渡す仕組みを毎回メンテするのは面倒だ。

こだわった設計判断

  • 接地圧分布の3パターン自動判定: 偏心距離eとL/6の大小関係で台形分布・三角形分布・転倒を自動で切り替える。実務で最もミスが起きやすいポイントを自動化した
  • SVG断面図: 接地圧の分布形状を視覚的に確認できる。台形か三角形か、色で安全/危険がわかる
  • 地盤プリセット: 砂質地盤(密/中)・粘性土・岩盤のプリセットで入力の手間を省きつつ、カスタム入力にも対応

独立基礎(フーチング)とは — 直接基礎の力学モデル

直接基礎と杭基礎の違い

建築物の基礎は大きく2種類に分けられる。地盤に直接荷重を伝える「直接基礎」と、地中深くの支持層まで杭を打ち込む「杭基礎」だ。

直接基礎はさらに、柱1本ずつに独立した基礎を設ける「独立基礎(フーチング)」、複数の柱をつなぐ「連続基礎」、建物全体を一枚の板で支える「べた基礎」に分かれる。独立基礎は最もシンプルな形式で、小規模鉄骨造や設備架台によく使われる。

接地圧の概念 — 建物が地面を押す力

フーチングの底面が地盤を押す単位面積あたりの力を「接地圧」と呼ぶ。身近なたとえで言えば、雪の上をスキー板で歩くか、ブーツで歩くかの違い。スキー板は面積が大きいから沈みにくい=接地圧が小さい。フーチングも同じで、面積を大きくすれば接地圧は下がる。

偏心距離と接地圧分布

建物には鉛直荷重だけでなく、風圧や地震による水平力・モーメントが作用する。これにより荷重の合力作用点がフーチング中心からずれる。このずれ量が「偏心距離 e」だ。

e = (M + H × D) / V
  e: 偏心距離 [m]
  M: 柱脚モーメント [kN·m]
  H: 水平荷重 [kN]
  D: 根入れ深さ [m]
  V: 合計鉛直力(柱脚荷重+基礎自重+埋戻し土重量)[kN]

偏心距離eとフーチング長さLの関係で、接地圧の分布形状が3パターンに分かれる:

  • e ≤ L/6(核内): 台形分布。底面全体に圧力がかかる。最も安定した状態
  • L/6 < e ≤ L/2(核外): 三角形分布。底面の一部が浮き上がり、残りの面に圧力が集中する
  • e > L/2(転倒): 基礎が転倒する。設計として成立しない

地耐力とは — 地盤が支えられる限界

許容地耐力は、地盤が建物の荷重を安全に支えられる上限値。地盤調査(標準貫入試験やスウェーデン式サウンディング試験など)の結果から算出される。最大接地圧がこの値を超えると、地盤が沈下・破壊して不等沈下や構造物の傾斜につながる。

基礎設計が構造安全性を左右する理由

建築基準法施行令第38条

建築基準法施行令第38条は、基礎を「建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない」と定めている。

接地圧が許容地耐力を超える設計は法令違反であり、建築確認申請で構造計算適合性判定を受ける際に必ず指摘される。概略段階で地耐力超過に気づければ、寸法変更やベタ基礎・杭基礎への計画変更を早期に判断でき、手戻りコストを大幅に削減できる。

転倒と滑動 — 基礎の安定性チェック

接地圧だけでなく、基礎には「転倒」と「滑動」の安定性も求められる。

  • 転倒安全率: 基礎が回転して倒れないかを示す指標。安定モーメント(鉛直力×フーチング幅の半分)を転倒モーメント(水平力・曲げモーメント)で割る。基準値は1.5以上
  • 滑動安全率: 基礎が水平方向にずれないかを示す指標。摩擦抵抗力(鉛直力×摩擦係数)を水平力で割る。基準値は1.5以上

これら3つ(接地圧・転倒・滑動)をすべてクリアして初めて「安全な基礎」と言える。

不同沈下リスク

偏心が大きいと接地圧が片側に集中し、地盤の沈下量が不均一になる。これが不同沈下だ。建物が傾き、構造体にひび割れが生じ、最悪の場合は使用不能になる。偏心距離を小さく保つ設計が、長期的な構造安全性に直結する。

こんな設計場面で活躍する

  • 小規模鉄骨造の基礎設計: S造平屋〜2階建ての独立基礎寸法決め。地盤調査報告書を見ながらサクッと概算
  • 設備架台の基礎: 受変電設備やキュービクル、屋上機器の基礎台。荷重が小さくても風圧によるモーメントが効く
  • 太陽光パネルの基礎: 風荷重による転倒検討がメイン。滑動安全率の確認も重要
  • 外構構造物: 門柱・看板・フェンスの独立基礎。根入れ深さと転倒安全率のバランスが設計のカギ

基本の使い方(3ステップ)

  1. フーチング寸法を入力 — 形状(正方形/長方形)を選び、幅B・奥行L・厚さ・根入れ深さを入力する
  2. 荷重と地盤条件を入力 — 柱脚荷重(鉛直N・水平H・モーメントM)と地盤種別・許容地耐力を入力する
  3. 結果を確認 — 接地圧・安全率・地耐力判定のStatusCardを見て、NGなら寸法を調整する

具体的な使用例 — 6ケースで検証

ケース1: 軸力のみ(偏心ゼロ)

入力: N=300kN, H=0, M=0, B=L=1.5m, 厚さ0.5m, 根入れ0.8m, qa=100kN/m²

→ 偏心e=0、均等分布。接地圧=300kN+(自重)を2.25m²で割った値。地耐力判定OK。最もシンプルなケース。

ケース2: 標準的な偏心あり

入力: N=300kN, H=30kN, M=50kN·m, B=L=1.5m, 厚さ0.5m, 根入れ0.8m, qa=100kN/m²

→ 偏心e≒0.2m、L/6=0.25mなので台形分布(核内)。最大接地圧が地耐力をわずかに超える場合、B=1.8mへの拡幅で対処。

ケース3: 大水平力(地震時想定)

入力: N=500kN, H=150kN, M=200kN·m, B=L=2.5m, 厚さ0.6m, 根入れ1.0m, qa=200kN/m²

→ 偏心が大きく三角形分布に。転倒安全率・滑動安全率のどちらが支配的かを確認する。フーチング拡大か根入れ増で安全率を確保。

ケース4: 軟弱地盤

入力: N=200kN, H=20kN, M=30kN·m, B=L=2.0m, 厚さ0.5m, 根入れ0.8m, qa=50kN/m²

→ 地耐力が低いため、軸力が小さくても接地圧がギリギリに。フーチングの大型化か杭基礎への切り替えを検討。

ケース5: 長方形フーチング(方向性のある偏心)

入力: N=400kN, H=60kN, M=100kN·m, B=1.5m, L=2.5m, 厚さ0.6m, 根入れ1.0m, qa=150kN/m²

→ 偏心方向(L方向)を長くとることで、接地圧分布を改善。正方形より経済的な場合がある。

ケース6: 転倒ケース

入力: N=100kN, H=80kN, M=150kN·m, B=L=1.0m, 厚さ0.4m, 根入れ0.6m, qa=100kN/m²

→ 偏心e > L/2で転倒判定。赤いStatusCardで「転倒」が表示される。フーチングの大幅な拡大が必要。

仕組み・アルゴリズム — 偏心距離で分岐する接地圧計算

手法の選定

独立基礎の接地圧計算には、厳密法(弾性床上の梁理論)と簡易法(剛体仮定)がある。厳密法は地盤反力係数の分布を考慮するが、概略設計段階では精度過剰かつ入力パラメータが多い。本ツールでは、建築基礎構造設計指針(日本建築学会)に基づく剛体仮定の簡易法を採用した。実務の概略設計ではこの手法が広く使われており、十分な精度がある。

計算フロー

1. 基礎自重 = B × L × t × 24 kN/m³
2. 埋戻し土重量 = B × L × (D - t) × 18 kN/m³
3. 合計鉛直力 V = N + 基礎自重 + 土重量
4. 偏心距離 e = (M + H × D) / V
5. 判定分岐:
   - e ≤ L/6 → 台形: q_max = V/(B×L) × (1 + 6e/L)
   - L/6 < e ≤ L/2 → 三角形: q_max = 2V / (3B × (L/2 - e))
   - e > L/2 → 転倒
6. 転倒安全率 = (V × L/2) / (M + H × D)
7. 滑動安全率 = 0.5 × V / H

計算例(ケース2のステップバイステップ)

B = L = 1.5m, t = 0.5m, D = 0.8m
N = 300kN, H = 30kN, M = 50kN·m

基礎自重 = 1.5 × 1.5 × 0.5 × 24 = 27.0 kN
土重量  = 1.5 × 1.5 × (0.8 - 0.5) × 18 = 12.15 kN
V = 300 + 27.0 + 12.15 = 339.15 kN

e = (50 + 30 × 0.8) / 339.15 = 74 / 339.15 = 0.218 m
L/6 = 1.5 / 6 = 0.250 m
→ e < L/6 なので台形分布

q_max = 339.15 / (1.5 × 1.5) × (1 + 6 × 0.218 / 1.5)
      = 150.7 × 1.872 = 282.2 kN/m²  ← 地耐力100超過!
q_min = 150.7 × (1 - 0.872) = 19.3 kN/m²

転倒SF = 339.15 × 0.75 / 74 = 3.44 ≥ 1.5 OK
滑動SF = 0.5 × 339.15 / 30 = 5.65 ≥ 1.5 OK

→ 接地圧は大幅に超過。B=L=2.0mに拡大すればq_max≒120kN/m²程度に下がる。

他ツールとの違い

Excelの基礎計算シートは広く使われているが、偏心距離がL/6を超えたときの三角形分布への切り替えを手動で行うものが多い。本ツールは3パターンを自動判定し、SVGで分布形状を即座に可視化する点が異なる。

RC構造計算ソフト(RC+Sチャートなど)は配筋設計まで一貫して行えるが、概略設計段階では入力項目が多すぎて試行錯誤に向かない。フーチング寸法を数回変えて「地耐力に収まるか」を素早く確認する用途では、本ツールの方が圧倒的に速い。

豆知識 — 日本の地盤と基礎設計

関東ローム層と地耐力

東京を中心とした関東平野の台地部分は、火山灰由来の「関東ローム層」に覆われている。N値は5〜15程度で、長期許容地耐力は30〜80kN/m²程度。独立基礎を使う場合はフーチングが大きくなりがちで、ベタ基礎の方が経済的なケースも多い。

液状化と基礎設計

砂質地盤で地下水位が高いエリアでは、地震時に液状化が発生するリスクがある。液状化が起きると地耐力がほぼゼロになるため、直接基礎では対処できない。液状化の可能性がある地盤では杭基礎が必須となる。地盤調査報告書の「液状化判定」の章を必ず確認しよう。

Tips — 概略設計を効率よく進めるコツ

  • 根入れ深さは凍結深度以上に: 寒冷地では凍上による基礎の浮き上がりを防ぐため、凍結深度以上の根入れが必要。東京では30cm程度だが、札幌では60cm以上が目安
  • 偏心を小さくする工夫: 柱位置をフーチング中心に合わせるのが基本。やむを得ず偏心する場合は、長方形フーチングで偏心方向にLを伸ばす
  • 自重を忘れずに: コンクリート比重24kN/m³は意外に重い。1.5m角×厚さ0.5mで27kN。柱脚荷重が小さい場合、自重の割合が大きくなる
  • 安全率が片方だけNGの場合: 転倒NGなら根入れ増またはフーチング拡大、滑動NGなら根入れ増(受動土圧の追加)が有効

よくある質問

Q. 短期荷重(地震時)の計算に使える?

本ツールは長期荷重を前提とした概略設計用だ。短期荷重の場合、許容地耐力が長期の2倍まで割り増せる(建築基準法施行令第93条)。短期検討では許容地耐力の入力値を2倍にして計算することで近似的に対応できる。ただし正式な構造計算書には長期・短期それぞれの検討が必要。

Q. 摩擦係数0.5は変更できないの?

現行バージョンでは摩擦係数を0.5(砂質地盤の一般値)に固定している。粘性土では0.3程度になることがあり、今後のアップデートで入力可能にする予定だ。滑動安全率が厳しい場合は、計算結果を0.3/0.5倍して補正すれば粘性土の概算になる。

Q. 配筋計算はできる?

本ツールはフーチングの寸法決めと安定性チェックに特化している。配筋計算(主筋・配力筋・パンチングシア)は対応していない。寸法が確定した後の配筋設計はRC構造計算ソフトや手計算で行う必要がある。

Q. 入力データはどこに保存される?

すべてのデータはブラウザ内で処理され、サーバーには一切送信されない。ページを閉じるとデータは消える。計算結果を残したい場合は「結果をコピー」ボタンでテキスト化して保存してほしい。

まとめ

独立基礎の設計は「偏心距離」と「接地圧分布の3パターン」がカギ。このツールで寸法を何パターンか試して、接地圧・転倒安全率・滑動安全率がすべてOKになる最小寸法を見つけてほしい。

地盤の許容地耐力の算出が必要な場合は、地盤調査データの読み方を整理した記事も参考に。また、アンカーボルトの引張・せん断強度の検討にはボルト強度・破断モード診断が使える。梁の強度計算には梁の安全審判員を活用してほしい。


不具合や要望があれば、X (@MahiroMemo)から気軽に教えてほしい。

M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。鉄骨造の基礎設計で地耐力超過の手戻りを経験し、寸法を変えた瞬間に結果が出るツールを開発した。

運営者情報を見る

© 2026 独立基礎(フーチング)設計