ドローン飛行時間・推力計算機

機体重量・バッテリー容量・ホバリング消費電流(または推力効率)から飛行時間を算出。モーター推力で推力重量比(T/W)・最大ペイロードも評価

機体重量とバッテリーを入れると、ホバリング飛行時間が出る。ホバリング消費電流(実測)か推力効率(g/W)を選び、モーター推力を足せば推力重量比(T/W)も評価できる。

機体とバッテリーの条件

公称電圧 = セル数 × 3.7V

LiPo保護のため一般に80%

ホバリング時の総消費電流(OSD/テレメトリの実測値)

データシート値。任意(T/W評価に使用)

飛行性能の評価

ホバリング飛行時間約3.5分
実測電流ベース
推力重量比 (T/W)7.33 : 1
高運動性(フリースタイル/レース級)

ホバリング消費電流

18.0 A

公称電圧 14.8V

ホバリング消費電力

266 W

余剰推力

3,800 g

総推力 − 機体重量

最大ペイロード

1,600 g

T/W=2を保てる追加重量

ホバリング状態の理想計算です。実飛行ではモーターの推力-電流特性が非線形で、前進・上昇・風への対応で電流が増えるため、実飛行時間はここで出る値より2〜4割短くなるのが普通です。推力効率(g/W)は概算入力で、正確な飛行時間は実測のホバリング電流を使ってください。推力重量比はメーカー公称の最大推力に基づき、実機では下回ることがあります。バッテリーは使い切ると劣化・墜落の原因になるため、放電深度は80%程度に留めてください。

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「このバッテリーに換えたら、何分飛ぶんだろう」——自作ドローンを組んでいると、半田ごてを置いた瞬間にこの疑問が湧いてくる。1300mAhの4Sを積むか、1500mAhにして数十グラム重くするか。机の上では決め手がない。試しに飛ばしてタイマーを見れば一発だけど、組む前に当たりをつけたいのが本音だよね。

飛行時間は「使える電気量 ÷ 飛ぶのに食う電流」というシンプルな割り算で見積もれる。さらにモーターの最大推力が分かれば、その機体がちゃんと浮くのか、どれだけ荷物を積めるのかまで分かる。このページの計算機は、機体総重量・バッテリー容量・セル数・ホバリング消費電流(または推力効率)を入れるだけで、ホバリング飛行時間と推力重量比(T/W)、余剰推力、最大ペイロードを一気に出すツール。eCalcのような精密シミュレータを開くまでもない「ざっくり当たり」を、日本語で数秒で得られるように作った。

なぜ作ったのか — eCalcは強力すぎて、毎回開くのがしんどかった

ドローンの性能計算といえば eCalc(xcopterCalc)が定番で、モーター型番からプロペラ、ESC、バッテリーまで膨大なデータベースを持つ精密ツール。これは本当によくできている。でも、組み始めの「容量を1300にするか1500にするか」みたいな粗い比較のたびに、英語のUIで何十項目も埋めるのは正直しんどかった。型番が登録されていないモーターだと入力すらできないこともある。

自分が知りたかったのは、もっと手前の数字だ。「いま手元にあるこのバッテリーで、だいたい何分浮く?」「このモーター4本でこの機体、ちゃんと飛ぶ?」——必要なのは容量とホバリング電流、それと機体重量くらい。OSDやテレメトリでホバリング電流を実測できれば、飛行時間は割り算一発で出る。なのに、その一発の割り算のために重量級ツールを開くのは本末転倒だと感じていた。

実際、5インチのフリースタイル機を組んだとき、バッテリーを4本買い揃えてから「このセットアップだと3分半しか飛ばない」と気づいて後悔したことがある。先に紙の上で計算していれば、容量の大きいパックを選ぶ判断ができたはずだ。そういう「組む前の一分間の見積もり」を、誰でもブラウザで完結できるように切り出したのがこのツール。推力効率(g/W)からの推定モードも付けたので、まだ実機がなくて電流を測れない設計段階でも当たりを付けられる。理想計算だと割り切って、軽快さを最優先にした。

飛行時間と推力重量比とは — 第一原理から

ドローンの飛行時間 計算は「電気量 ÷ 電流」

ドローンの飛行時間は、突き詰めると次の割り算でしかない。

飛行時間 = 使える電気量 ÷ ホバリングに必要な電流

バッテリーに貯まっている電気量の単位は Ah(アンペアアワー)。1Ahは「1Aの電流を1時間流せる量」という意味だ。よく見る mAh はその1000分の1で、1300mAh = 1.3Ah。水を貯めたバケツに例えると、容量(Ah)はバケツの大きさ、消費電流(A)は底に開いた穴から漏れる勢い。穴が大きい(電流が多い)ほど、同じバケツでも早く空になる。

ただしバケツの水を最後の一滴まで使うと、LiPoバッテリーは過放電で一気に劣化する。だから実際に使えるのは満タンの8割程度。これを放電深度(DoD: Depth of Discharge)と呼ぶ。

使用可能容量(Ah) = 容量(mAh) ÷ 1000 × 放電深度(%) ÷ 100

これをホバリング電流で割れば時間(時間単位)、60を掛ければ分になる。1300mAhの80%なら使えるのは1.04Ah。ホバリングで18A食うなら、1.04 ÷ 18 = 0.0578時間 = 約3.5分。たったこれだけの式で、5インチ機のリアルな飛行時間が出る。

LiPo 飛行時間 計算に必要な電圧とC定格

ホバリング電流を実測できないときは、消費電力(W)から逆算する。電力 = 電圧 × 電流なので、電流 = 電力 ÷ 電圧。LiPoの電圧はセル数で決まり、1セルの公称電圧は3.7V。

公称電圧 V = セル数(S) × 3.7

4Sなら14.8V、6Sなら22.2V。ホバリングでは全モーターの推力合計がちょうど機体重量と釣り合う。このとき必要な電力は、機体の「推力効率(g/W)」——1Wあたり何グラムの推力を生むか——で割れば出る。

なお C定格 という言葉もよく出てくる。これはバッテリーが安全に出せる電流の上限を容量の倍率で表したもので、例えば1300mAhの100Cなら最大130Aまで放電できる、という意味。飛行時間そのものには直結しないが、ホバリング電流がC定格を超えるような無茶な設計だとバッテリーが膨らむので、容量選びの裏で効いてくる数字だ。

推力重量比 計算(T/W)が機体の運動性を決める

飛行時間とは別に、機体が「どれだけ元気に飛べるか」を表すのが推力重量比 T/W(Thrust-to-Weight ratio)。

T/W = 全モーターの最大推力合計 ÷ 機体総重量

T/Wが1なら、全開でようやく自重を支えられる、つまりホバリングが精一杯で上昇できない。2なら自重の倍の推力が出せるので、半分のスロットルでホバリングでき、姿勢の立て直しにも余裕がある。フリースタイルやレースでは4〜10といった高い値が好まれる。T/Wの考え方は航空機やロケットでも共通の指標で、詳しくは推力重量比 - Wikipediaが参考になる。LiPoの仕組みはリチウムポリマー二次電池 - Wikipediaに詳しい。

なぜこの数値が大事か — 容量だけ見て選ぶと、飛ばない

「容量が大きいほど長く飛ぶ」と思いがちだが、これは半分しか正しくない。容量を増やせばバッテリーは重くなり、機体総重量が増える。重くなればホバリングに必要な推力が増え、消費電流も増える。つまり容量を倍にしても、増えた重量ぶん電流も食うので、飛行時間は倍にはならない。下手をすると重すぎてT/Wが下がり、運動性が犠牲になる。容量の数字だけ見て大きいパックを買い、いざ積んだら「重くて飛びが鈍い割に思ったほど飛行時間が伸びない」という失敗は、自作ドローンの通過儀礼みたいなものだ。

T/Wが低い機体は、もっと深刻なトラブルを招く。T/Wが1.5を切るような機体は、ホバリングでスロットルの大半を使ってしまう。すると突風で姿勢が崩れたとき、立て直すための「のりしろ」が残っておらず、そのまま墜落する。空撮機で最低2:1が推奨されるのはこのためだ。逆に、モーターやプロペラを強化せずカメラやジンバルを後付けして重量だけ増やすと、知らないうちにT/Wが危険域に落ちる。

最も怖いのがペイロードオーバー。配送や農薬散布のように荷物を積む用途では、「積めるはずの重量」を超えると、まずT/Wが1を割って離陸できないか、無理に飛ばしてもモーターが過熱して飛行中に止まる。墜落すれば機体だけでなく、地上の人や財物にも被害が及ぶ。だからこそ、設計段階で余剰推力(全推力 − 機体重量)と最大ペイロードを数字で押さえておくことが、事故を防ぐ第一歩になる。なお屋外でドローンを飛ばす際は、機体重量100g以上なら航空法の規制対象になる点も忘れずに。重量の見積もりは法規制の面でも無視できない。

活躍する場面

機体設計を始める前のバッテリー選定で、まず役立つ。手持ちの容量違いのパックをそれぞれ入れて、飛行時間とT/Wがどう変わるかを比べれば、「容量を上げると重くなって却って損」という分岐点が見える。

モーター選定でも使える。候補モーターの最大推力をデータシートから拾って入れれば、その機体でT/Wがいくつになるか即座に分かる。フリースタイル向けに4:1以上を狙うのか、空撮で2:1あれば十分なのか、目標に合わせてモーターの番手を絞れる。

空撮機のペイロード確認は、このツールの本領。ジンバルやアクションカメラを積む前に、最大ペイロードがプラスかどうかを見れば、積載オーバーで離陸できない事態を未然に防げる。

FPVの飛行時間見積もりにも。OSDで実測したホバリング電流を入れれば、レース当日に「あと何本パックがいるか」をパドックで電卓代わりに計算できる。

基本の使い方(3ステップ)

ステップ1。機体総重量・バッテリー容量(mAh)・セル数(S)・使用可能容量(%)を入れる。まだ機体イメージが固まっていなければ、「Tinywhoop 65mm」「5インチ フリースタイル」「空撮機」などの機体クラスプリセットから選べば、代表値が一括で入る。

ステップ2。飛行時間の算出方法を選ぶ。実機があってOSD/テレメトリでホバリング電流を測れるなら「消費電流を入力」、まだ機体がなく概算したいなら「推力効率から推定」を選び、効率(g/W)を入れる。

ステップ3。ホバリング飛行時間と消費電力が表示される。さらにモーター1個の最大推力と本数を入れると、推力重量比・余剰推力・最大ペイロードが評価され、T/Wに応じて「離陸不可」「余裕あり」などのステータスが色付きで出る。結果はコピーボタンで控えておける。

具体的な使用例・検証データ(7ケース)

実際に7つのセットアップを計算してみた。入力 → 飛行時間 → T/W の3点セットで、機体クラスごとの違いを見ていく。

ケース1: 5インチ フリースタイル機

入力: 機体総重量600g、1300mAh、4S、放電深度80%、ホバリング電流18A(実測)、モーター推力1100g×4本。

結果: 公称電圧14.8V、ホバリング消費電力266.4W、飛行時間3.467分、T/W = 7.333、余剰推力3800g、最大ペイロード1600g。使える容量は1.3 × 0.8 = 1.04Ah、18Aで割って60倍すると3.47分。フリースタイル機はこのくらいで「3分半飛べば御の字」という世界。T/W 7.3は爆発的なパワーで、急加速も自在だ。

ケース2: 空撮機(推力効率からの推定)

入力: 機体総重量1500g、5000mAh、6S、放電深度80%、推力効率8g/W(推定)、モーター推力2000g×4本。

結果: 電圧22.2V、消費電力187.5W、ホバリング電流8.446A、飛行時間28.416分、T/W = 5.333、余剰推力6500g、最大ペイロード2500g。効率8g/Wの大径プロペラ機なので、1500g ÷ 8 = 187.5Wで浮く。電流に直すと8.4Aと少なく、5000mAhの大容量と相まって28分超え。空撮機が長時間飛べる理由がこの数字に表れている。

ケース3: Tinywhoop(推力未入力)

入力: 機体総重量30g、300mAh、1S、放電深度80%、ホバリング電流5A。モーター推力は未入力。

結果: 電圧3.7V、消費電力18.5W、飛行時間2.88分、T/Wは非表示。0.3 × 0.8 = 0.24Ah、5Aで割って60倍すると2.88分。室内用の小さな1S機は、容量が小さいぶん3分弱が相場。モーター推力を入れていないので、T/W関連は表示されず、飛行時間と消費電力だけが出る——任意入力の挙動が確認できるケース。

ケース4: 7インチ長距離機

入力: 機体総重量700g、1500mAh、6S、放電深度80%、ホバリング電流12A、モーター推力1800g×4本。

結果: 電圧22.2V、消費電力266.4W、飛行時間6.0分、T/W = 10.286、余剰推力6500g、最大ペイロード2900g。1.5 × 0.8 = 1.2Ah、12Aで割って60倍で6分ちょうど。7インチは大径プロペラで効率がよく、5インチと同じ消費電力でも電流が抑えられ、長く飛べる。T/W 10超は完全にロケット級だ。

ケース5: 2インチ Toothpick(推力未入力)

入力: 機体総重量65g、450mAh、2S、放電深度80%、ホバリング電流8A。モーター推力は未入力。

結果: 電圧7.4V、消費電力59.2W、飛行時間2.7分、T/Wは非表示。0.45 × 0.8 = 0.36Ah、8Aで割って60倍で2.7分。トゥースピックは軽量だが容量も小さく、飛行時間は3分弱。1S機との中間に位置する微小機の例。

ケース6: 農業用ヘキサコプター(効率推定)

入力: 機体総重量8000g、16000mAh、6S、放電深度80%、推力効率10g/W(推定)、モーター推力5000g×6本。

結果: 電圧22.2V、消費電力800W、ホバリング電流36.036A、飛行時間21.312分、T/W = 3.75、余剰推力22000g、最大ペイロード7000g。8000g ÷ 10 = 800Wで浮き、22.2Vで割って36A。16Ahの大容量で21分。6本モーターの合計推力30000gに対しT/W 3.75は重量物運搬向きの安定域で、最大ペイロード7000gは農薬タンクを積む余地が十分にあることを示す。

ケース7: ペイロードオーバー機(離陸不可)

入力: 機体総重量5000g、10000mAh、6S、放電深度80%、ホバリング電流40A、モーター推力1000g×4本。

結果: 電圧22.2V、消費電力888W、飛行時間12分、T/W = 0.8、余剰推力−1000g、最大ペイロード−3000g。全推力は1000 × 4 = 4000gで、機体重量5000gに届かない。T/W 0.8は1未満なので「離陸不可」の赤警告が出る。飛行時間が12分と出ても、そもそも浮かないので意味がない——数字を鵜呑みにせずT/Wを必ず見るべき、という教訓のケース。余剰推力・最大ペイロードがマイナスなのが一目で分かる。

7ケースを並べると、小型レース機は飛行時間が短くT/Wが高い、大型空撮・運搬機は飛行時間が長くT/Wは控えめ、という設計思想の違いがくっきり見える。

仕組み・アルゴリズム

2つの入力モード — 消費電流 vs 推力効率

このツールが扱う計算の核は「ホバリング電流をどう求めるか」だ。手法は2通りある。

ひとつは消費電流モード。OSDやテレメトリで実測したホバリング電流をそのまま使う。最も正確で、実機があるなら迷わずこちらを使う。もうひとつが推力効率モード。実機がない設計段階では電流を測れないので、機体重量と推力効率(g/W)から逆算する。精度は効率の見積もり次第で揺れるが、当たりを付けるには十分だ。eCalcのようにモーター・プロペラの推力-電流特性カーブから精密に求める手法も検討したが、それには膨大なデータベースが要り、「軽快な見積もり」という目的に反する。だから線形の理想計算に割り切った。

計算フロー

まず電圧と電力・電流を求める。

// 公称電圧
voltage = cells × 3.7

// 消費電流モード
hoverCurrent = currentStr(実測値)
hoverPower   = voltage × hoverCurrent

// 推力効率モード(ホバリングでは総推力 = 機体重量)
hoverPower   = weight / efficiency   // g ÷ (g/W) = W
hoverCurrent = hoverPower / voltage
```

次に使用可能容量から飛行時間を出す。

````ts
AhUsed     = (capacity / 1000) × (dod / 100)   // mAh→Ah、放電深度を反映
flightTime = (AhUsed / hoverCurrent) × 60       // 時間→分
```

モーター推力が入力されているときだけ、推力重量比の評価を加える。

````ts
totalThrust   = motorThrust × motorCount   // 全モーターの最大推力合計
twRatio       = totalThrust / weight
surplusThrust = totalThrust − weight        // 余剰推力(負なら離陸不可)
maxPayload    = totalThrust / 2 − weight     // T/W=2を維持できる追加重量
```

最大ペイロードを「全推力/2 − 機体重量」としているのは、安定したホバリングと最低限の運動性に必要なT/Wを2と置いているため。荷物を積んでもT/Wが2を下回らない範囲を、安全に積める上限とみなす考え方だ。

### 計算例(ケース1で手検算)

5インチ機(600g、1300mAh、4S、80%、18A、1100g×4)で式を追ってみる。

電圧 = 4 × 3.7 = 14.8V。消費電流モードなので `hoverCurrent` = 18A、`hoverPower` = 14.8 × 18 = 266.4W。使用可能容量 = 1300 ÷ 1000 × 80 ÷ 100 = 1.04Ah。飛行時間 = 1.04 ÷ 18 × 60 = 3.467分。

推力側は、全推力 = 1100 × 4 = 4400g。`twRatio` = 4400 ÷ 600 = 7.333。余剰推力 = 4400 − 600 = 3800g。最大ペイロード = 4400 ÷ 2 − 600 = 2200 − 600 = 1600g。テストベクトルの値と完全に一致する。

なお、推力効率モードのケース2(1500g、6S、効率8)も確かめると、`hoverPower` = 1500 ÷ 8 = 187.5W、`hoverCurrent` = 187.5 ÷ 22.2 = 8.446A、と電流入力なしで矛盾なく繋がる。理想計算ゆえ、ここで出る値は前進・上昇・風の影響を含まない「最良ケース」である点だけ、頭に入れておいてほしい。

## eCalc・battery-sizing との違い — このツールはどの位置にいるのか

ドローン系の計算ツールはいくつかある。それぞれ目的が違うので、役割分担を整理しておく。

定番の [eCalc](https://www.ecalc.ch/) は、モーター・プロペラ・ESC・バッテリーを型番レベルで指定すると、推力カーブや効率曲線をデータベースから引いて飛行時間・電流・温度上昇までかなり精密に弾き出す。完成度は高いが、英語UIで入力項目が多く、型番が登録されていないパーツだと使いにくい。「とりあえずこの容量で何分くらい飛ぶ?このモーターで `T/W` 足りる?」をサッと知りたい初期検討の段階だと、起動コストが重いのも事実だ。

このツールはそこを割り切っている。型番ではなく、機体重量・容量・セル数・ホバリング電流(または効率 `g/W`)という**手元ですぐ分かる数字だけ**で、ホバリング飛行時間と推力重量比を即出す。精密さよりも「机上で方向性を決める速さ」に振った概算ツール、という立ち位置だ。詰めの段階で eCalc を併用するのが現実的な使い分けになる。

サイト内の [/battery-sizing](/battery-sizing) との違いも押さえておきたい。battery-sizing は「必要な容量・放電レートを満たすバッテリーを選ぶ」ための容量選定ツールで、入口が逆だ。こちらは**バッテリーが決まっている前提で飛行時間を見積もる**。「先に積むバッテリーを決めたい」なら battery-sizing、「このバッテリーで何分飛ぶか・このモーターで離陸できるか」を知りたいならこのツール、と覚えておけばいい。両者を行き来すると、容量と飛行時間のトレードオフが立体的に見えてくる。

## 豆知識 — 「カタログ通りに飛ばない」のはなぜか

**実飛行がホバリング計算より短い理由。** このツールが出すのはあくまで「機体を空中に静止させ続ける」ホバリング時間だ。実際の飛行では前進・上昇・旋回・風への姿勢補正のたびにモーター出力が跳ね上がり、消費電流はホバリングの1.5〜3倍に達する瞬間もある。FPVのレース機なら全開と急減速の連続で、平均電流はホバリングの2倍を超えることも珍しくない。結果として、実飛行時間はホバリング値の6〜8割程度に落ちるのが普通。空撮のように穏やかに飛ぶ機体ほど計算値に近づき、アクロバティックに飛ぶほど乖離が大きくなる。

**ホバリング電流の測り方。** いちばん正確な飛行時間が欲しいなら、効率 `g/W` の推定ではなく実測のホバリング電流を入れるのが近道だ。BetaflightなどのフライトコントローラはOSDやテレメトリに電流値を出せるので、安定ホバリング中の `A` を読むだけでいい。電流センサー(ESCの一体型かPDB搭載のもの)が必要だが、これがあると本ツールの飛行時間が一気に現実に近づく。電流計付きの[ワットメーター](https://en.wikipedia.org/wiki/Wattmeter)をバッテリーとの間に挟んで地上で測る方法もある。

**大径プロペラが効率を上げる理由。** 同じ推力を生むなら、小さいプロペラを速く回すより大きいプロペラをゆっくり回す方が効率がいい。プロペラは空気を下に押して反作用で浮くが、同じ運動量を「大量の空気を低速で」動かす方が、運動エネルギーの無駄が少ないからだ。空撮機が `8〜12 g/W` という高効率を出せるのは大径プロペラ+低KVモーターの組み合わせのおかげで、5インチのレース機が `3〜6 g/W` に留まるのは小径高回転で効率を犠牲に運動性を取っているため。飛行時間を伸ばす王道は、まずプロペラとモーターの最適化にある。

## Tips — 飛行時間と安定性を両立させるコツ

**1. 放電深度は80%を上限に。** LiPoは使い切ると急激に劣化し、セル電圧が下がりすぎると最悪は墜落につながる。残量20%(1セルあたり約3.7V)で着陸する前提で `dod` を80%にしておくのが安全とバッテリー寿命の両立点。飛行時間を稼ぎたくて90%以上に攻めると、寿命と引き換えになると心得ておきたい。

**2. 効率 `g/W` は機体クラスで当たりをつける。** 実測電流が無いときの目安は、空撮・運搬機で `8〜12`、汎用の自作機で `5〜8`、5インチ前後のレース/フリースタイルで `3〜6`、超小型のTinywhoopで `2〜4`。プロペラが大きく機体が軽いほど数値は上がる。

**3. `T/W` の推奨レンジを覚える。** 空撮・運搬なら `2:1` が下限、汎用機で `3:1`、フリースタイルやレースなら `4:1` 以上が快適ゾーン。`T/W` が低いと風や急操作で姿勢を立て直せず墜落リスクが上がる。逆に高すぎると扱いづらく電費も悪化するので、用途に合わせるのが正解。

**4. 軽量化は二重に効く。** 機体を軽くすると、ホバリング電流が減って飛行時間が伸びるのと同時に、分母が小さくなって `T/W` も上がる。10g削るだけでも効果は両側に効くので、飛行時間とハンドリングを同時に改善したいなら、まず重量を見直すのが費用対効果が高い。

## よくある質問(ドローン飛行時間 計算 FAQ)

<details>
<summary>実測の飛行時間とどれくらい違う?</summary>

このツールが出すのはホバリングを続けた場合の理想値だ。実際は前進・上昇・風への補正で電流が増えるため、実飛行時間はおおむね計算値の6〜8割になる。穏やかに飛ぶ空撮機ほど近く、アクロバティックなFPV機ほど短くなる。より現実に近い値が欲しいなら、効率推定ではなく実測のホバリング電流を「消費電流を入力」モードで使うのがコツ。
</details>

<details>
<summary>推力効率 `g/W` はどう決めればいい?</summary>

正確なのは実測だが、無ければ機体クラスで概算する。空撮・運搬機で `8〜12`、汎用自作機で `5〜8`、5インチのレース/フリースタイルで `3〜6`、Tinywhoopで `2〜4` が目安。プロペラが大きく機体が軽いほど高くなる。あくまで概算なので、効率モードで出した飛行時間は方向性をつかむ用途と割り切り、詰めは実測電流で行うのがおすすめ。
</details>

<details>
<summary>推力重量比 `T/W` はいくつが理想?</summary>

用途次第だ。空撮・運搬は `2:1` が下限で、これより低いと風や急操作に対応できない。汎用機で `3:1`、フリースタイルやレースでは `4:1` 以上が快適ゾーンになる。`T/W` が `1` を切ると総推力が機体重量に届かず離陸すらできない。このツールではモーター1個の最大推力と本数を入れると `T/W`・余剰推力・最大ペイロードが出るので、モーター選定の段階でチェックしてみて。
</details>

<details>
<summary>最大ペイロードはどう計算している?</summary>

`T/W=2` を維持できる範囲で追加できる重量として算出している。式は「全モーターの最大推力合計 ÷ 2 − 機体重量」。なぜ `2` で割るかというと、空撮・運搬で最低限の安定性を保つには `T/W` が `2` 以上必要だからだ。余剰推力をすべて積載に回すと `T/W` が `1` ぎりぎりになって危険なので、半分を安定性のために残す設計にしている。値が負なら、その機体は安定して何かを積む余裕が無いという意味になる。
</details>

<details>
<summary>入力したデータはどこかに送信される?</summary>

されない。重量・容量・電流などの入力値はすべてブラウザ内で計算しているだけで、サーバーへの送信も保存も行っていない。自作機のスペックを安心して何度でも試せる。ページを離れれば入力内容は残らないので、機体構成を比較したいときはメモを取っておくといい。
</details>

## まとめ — バッテリー選びとモーター選定を数字で詰める

容量とホバリング電流(または効率 `g/W`)から飛行時間を、モーター推力から `T/W`・余剰推力・最大ペイロードを、机上でサッと見積もるツールだ。あくまでホバリングの理想計算なので、実飛行は6〜8割と見ておけば設計の当たりは外れない。

積むバッテリー自体を容量・放電レートから選びたいなら [/battery-sizing](/battery-sizing) が相棒になる。充電にかかる電気代が気になり始めたら [/electricity-cost](/electricity-cost) で `mAh` あたりのコストも試算してみて。気づいた点や「こんな入力も欲しい」という要望があれば、ぜひお問い合わせから教えてほしい。
M

Mahiro

Mahiro Appの開発者。5インチ機を組んでバッテリーを4本買い揃えてから、3分半しか飛ばないと知った苦い経験がこのツールの原点。組む前の一分間で当たりを付けたい自作派に向けて作った。

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